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財政制度分科会(令和7年11月11日開催)議事要旨

財政制度等審議会財政制度分科会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和7年11月11日(火)9:00~11:30

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    • (委員)

      十倉雅和、増田寬也、河村小百合、熊谷亮丸、小林慶一郎、佐藤主光、武田洋子、田中里沙、土居丈朗、藤谷武史、宮島香澄、芳野友子、上村敏之、遠藤典子、小黒一正、木村旬、國部毅、権丈英子、小林充佳、櫻井彩乃、佐野晋平、滝澤美帆、中空麻奈、平野信行、広瀬道明、福田慎一、堀真奈美、神子田章博、横田響子(敬称略)

    • (財務省)

      舞立副大臣、高橋大臣政務官、三反園政務官、宇波主計局長、中山次長、吉沢次長、一松次長

  • 4.

    • 文教・科学技術
    • 防衛
    • 社会保障②
  • 5.議事内容

    • 本日は、「文教・科学技術」「防衛」「社会保障②」という議題のもと、事務局から資料に基づいて説明を行い、その後質疑を行った。
    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

      【文教・科学技術】

      • 教育分野について、人口減少下においてダウンサイジングしていく必要がある中、限られた資源を効率的に配分していくためには、学校単位・個人単位のミクロデータを整備・活用し、効果検証に基づき政策立案を行うことが重要。
      • 18歳人口が減少する中で、教育の質の確保のため、大学の統合・縮小・撤退の促進が重要。私学助成のメリハリ強化が喫緊の課題であり、大学の存続が目的化しないよう留意すべき。
      • 産業界のニーズを踏まえ、日本全体での人材戦略の策定、学部構成の見直しが必要、また、高専など大学以外の高等教育という選択肢も示すべき。
      • 基礎研究への支援強化とともに、全体最適の観点から制度全体の再構築、大学の構造改革や閉鎖性の改善が必要。
      • 若手が長期的な基礎研究に専念でき、人生設計もしやすくなることが必要。
      • 博物館法の文言を修正し、戦略的に自己収入を確保できるようにすべき。二重価格の設定も受益と負担の観点から許容される。
      • 日本の博物館・美術館においても、常設展の魅力を高めるマネジメントなど工夫・努力をすべき。このために必要な学芸員のインセンティブや戦略的な文化施策の策定が必要。
    • 【防衛】

      • 経済力や外交力も含む総合的な国力が重要であり、有事に備えて平時から経済・財政面の体質強化を図ることが必要。平時から借金に依存するような防衛力の強化は、経済・財政の脆弱性をさらけ出すこととなり、他国につけ入る隙を与えかねない。
      • 我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえると、防衛費の増額の必要性は理解できるが、その中身が防衛力の強化に本当につながるものであることが重要。対GDP比という数字ありきではなく、防衛力を真に向上させるために何が必要かをしっかり調査・分析すべき。
      • 恒常的な歳出である防衛費については、安易な国債発行に頼らず、恒久財源を確保すべき。その際、国の安全という公共財の受益者である個人と企業に広く薄く負担を求めるべき。
      • 現在の防衛産業の供給能力が十分でない中、長期的な装備品調達計画の策定、サプライチェーン確保のための支援、デュアルユース技術の開発における産官学の協働、同盟国・同志国との間での共同開発や装備移転、装備品の共有等の促進が必要。
      • 防衛装備品の調達にあたっては、コストチェックの徹底や適正な取引環境の整備といった観点から、コストデータバンクを適切に活用していくことが重要。
    • 【社会保障②】

      • 少子化・子育て支援について、「こども未来戦略」加速化プラン3.6兆円のうち3.0兆円が予算化されたにもかかわらず結果が伴っていない。EBPMをさらに強化し、効果の見られない事業のスクラップも含めて、見直しに取り組むべき。財政支出を増やせば少子化が止まるというものではなく、若者の意見の反映や社会の意識変革も重要。
      • 医療・介護の各論について財政審で議論することに関し、深刻かつ本質的な課題について、ある程度掘り下げて財政審として議論することは重要。
      • 医療費の適正化を進めるには、医療サービスの提供体制の効率化も重要。コスト構造の徹底的な見直し等を通じて、医療産業全体の生産性を向上させるべきであり、あらゆる方策を実行していくべき。
      • 介護保険制度の持続可能性を確保するためには、先送りされてきた2割負担の対象者の範囲拡大やケアマネジメントの利用者負担の導入、軽度者に対する介護サービスの在り方の見直し等について結論を出すべき。なお、2割負担の範囲拡大については、高齢者の場合、一定の金融資産を持っていることが多く、金融資産も勘案すべき。
      • 医療・介護の人材紹介について。ハローワーク等の公的窓口の充実には賛成。ただし、スピード感と専門性の確保が課題であり、DXやAIも活用した取組も必要。
      • 障害福祉については、10%超という令和6年の総費用の伸びの要因を分析した上で、サービスの質の向上は引き続き図りつつも、制度の持続可能性を確保するため、総費用の伸びを抑制する取組が急務。従事者の処遇改善は喫緊の課題だが、収入増や賃上げの実績を踏まえた適切な対応が必要。