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財政制度分科会(令和7年4月23日開催)議事要旨

財政制度等審議会財政制度分科会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和7年4月23日(火)14:00~16:00

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    • (委員)

      増田寛也、秋池玲子、大槻奈那、河村小百合、熊谷亮丸、小林慶一郎、佐藤主光、武田洋子、土居丈朗、藤谷武史、宮島香澄、山口明夫、芳野友子、遠藤典子、木村旬、國部毅、小林充佳、滝澤美帆、中空麻奈、平野信行、広瀬道明、福田慎一、堀真奈美、神子田章博、横田響子、吉川洋(敬称略)

    • (財務省)

      横山副大臣、東大臣政務官、宇波主計局長、中山次長、有利総務課長

  • 4.

    • 持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ)
  • 5.議事内容

    • 本日は、「持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ)」という議題のもと事務局から資料に基づいて説明を行い、その後質疑を行った。
    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

      【総論】

      • 今年は団塊の世代全員が後期高齢者となる節目の年であり、金利上昇や自然災害など有事への備えも欠かせないので、社会保障の質を保ちながら制度をより効率化していくことについて、より切迫感をもって取り組むべき。
      • 受益と負担のバランス確保に向け、医療・介護を中心に不断の改革努力が求められる。大事になるのは医療・介護費の伸びのコントロールだが、医療・介護費の抑制は、単なる緊縮財政でサービスの低下だけをもたらすということではない。サービスの質を保ちながら効率化することで、現役世代の保険料負担の抑制につながり、ひいては手取りが確保され、物価高が進む経済情勢への対応にも必要であることを、国民に理解いただくことが重要。
      • 限られた財源の中で社会保障改革を遅滞なく進めるためには、国民の受益と負担に具体的にどのような影響があるのか、その全体像を示すべきであり、一定の「痛み」が伴うことへの国民理解の醸成が必要。
      • 足元の賃上げや物価高騰を背景に、社会保障関係費を高齢化の伸びに収めるとの方針を撤廃し、賃金、物価に合わせて増加させるべきとの主張があるが、賃上げと同時に社会保障給付の増加が若者を中心とする保険料負担の増加に直結することに細心の注意を払うべき。コスト削減の取組や保険給付範囲の見直しなどの改革に取り組むことで、保険料負担の増加を最大限抑制することが重要。
      • データ整備について、医療機関の経営状況が明らかになっていないのはゆゆしき事態。エビデンスを示して不公平感を解消し、負担できる人には負担してもらうという仕組みを作っていくことが大事。
    • 【医療・介護の理想像】

      • 医療・介護のあるべき姿に基づいて、バックキャストで議論を展開するアプローチは重要。あるべき姿と今のギャップはどの程度あって、改革を進めた先に国民にどのようなメリットがあるのか、更にブラッシュアップを続けて分かりやすく示すべき。
    • 【医療】

      • 医療保険制度の見直しに当たっては、「大きなリスクは共助、小さなリスクは自助」「能力に応じた負担」という原理原則の重要性を改めて確認する必要。若者の負担感に対しては、保険料をどれくらい軽減できるかにかかっている。
      • エビデンスに基づく議論の前提として、また多額の公費投入に対する説明責任を果たす観点からも、職種別給与といった任意項目の義務化も含めて、医療機関の経営情報の徹底的な「見える化」を断行すべき。また、かかりつけ医機能報告制度に関して、国民・患者に役立つ情報提供という観点から、更なる情報開示の充実を進めるべき。
      • 人口減少が進む中で、貴重な医療資源を最大限効率的に活用することにより、持続可能な医療提供体制を構築していくことが重要。病院機能の再編や分化・連携等の推進、外来機能の集約化を進めることとあわせ、医師偏在対策については、ディスインセンティブ措置を有効に活用することで、実効性ある形で進めていく必要。
      • 若者の数が減少する中で、医学部定員が維持されており、医者は増えている。こうした方々が、将来、都市部で集中的に開業したとすると、いずれ医師が余ってくるかもしれない。優秀な人材が本来のニーズを超えて医療分野に進みがちであり、必ずしもイノベーティブではないところに人材が流れてしまう可能性がある。全体戦略を持って、医者の適正配置を進めるべきではないか。また、薬剤師が増加する中で、薬剤師へのタスクシフトも不可欠。
      • 新たな地域医療構想は、都道府県任せでは進んでこなかった現実がある。国がガイドラインを設定し、将来推計に基づく厳しい実態を突きつけることも大事だが、一定期間で成果が出ないときには、規制的な対応に踏み切るべき。
      • 診療報酬を1%下げれば5,000億円の医療費抑制となるが、例えば国民一人あたりでどのくらいの負担軽減になるのかなど、分かりやすい形で示していくべき。その上で、次回の改定にあたっては、診療所と病院では経営状況が異なることを踏まえた、メリハリある対応を期待。
      • 費用対効果や有用性が良くない医薬品が保険収載し続けることについて理由が分からない。医薬品等に対する費用対効果評価の一層の活用に向け、専門的な評価体制を拡充した上で、価格調整範囲の拡大や保険償還の可否への活用に向けた取組を着実に進める必要。
      • 保険料負担の増加を抑制するため、軽度だが頻回受診をしている方々に対して、「医療関係者の皆さん有難う」という趣旨で、ワンコインを求めるのは選択肢の一つではないか。あわせて、セルフケア・セルフメディケーションの意識を醸成していくこと、医薬品に関して分かりやすい言葉で正確な知識の普及に努め、国民の健康リテラシーを向上することも重要。
      • 保険料における金融所得の勘案は喫緊の課題。公平感の促進だけでなく、現役世代の負担軽減にもつながる。
      • 高齢者の中には、住民税非課税であっても資産が多い方々が少なからずいて、応能負担を進めることは賛成。ただし、総論賛成、各論反対が起こりやすい難しい分野でもあるので、データの整備とあわせて、幅広い国民的なコンセンサスを得るための議論が行われるべき。例えば、高齢者の自己負担も原則3割とした上で、所得水準等が低い方には自己負担割合を引き下げるということも選択肢の一つではないか。
    • 【介護】

      • 改革工程に掲げられた、ケアマネジメントにおける利用者負担の導入や2割負担の範囲の見直しは、今回こそ確実に実施すべき。
      • 介護職員の処遇改善も必要なことではあるが、限られた人的資源の活用という観点から、ICTの活用や配置基準の緩和などの生産性向上、経営の協働化・大規模化の取組も必須。また、介護保険と保険外サービスを組み合わせた取組も推進すべき。
    • 【生活保護等】

      • 身寄りのない高齢者への支援は、民間サービスとの棲み分けや資力に応じた負担が重要であるとともに、成年後見制度などの他制度との連携を進めるべき。