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財政制度分科会(令和6年11月13日開催)議事要旨

財政制度等審議会 財政制度分科会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和6年11月13日(水)09:00~11:00

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    (委員)

    増田寬也、秋池玲子、大槻奈那、河村小百合、熊谷亮丸、小林慶一郎、武田洋子、土居丈朗、藤谷武史、宮島香澄、安永竜夫、芳野友子、
    上村敏之、遠藤典子、小黒一正、木村旬、國部毅、権丈英子、末澤豪謙、滝澤美帆、田中里沙、中空麻奈、平野信行、広瀬道明、福田慎一、
    堀真奈美、神子田章博、横田響子(敬称略)

    (財務省)

    宇波局長、前田次長、中山次長、有利総務課長他

4.

    • 社会保障

5.議事内容

    • 本日は、「社会保障」という議題のもと、事務局から資料に基づいて説明を行い、その後質疑を行った。

    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【社会保障】

  • 現役世代の保険料負担の上昇の抑制は必須。これができないと、ようやく動き出した成長と分配の好循環が止まっていき、成長への支障が出てくる。

  • 医療・介護等の保険制度改革を通じて、現役世代の負担軽減を図っていくことが極めて重要。

  • 全世代型社会保障の構築のための「改革工程」には重要な施策がほぼ網羅されており、これをいかに実効性の高い形で早期に実現できるかに尽きる。

  • 社会保障給付費全体をコントロールする仕組みを強化していく必要がある。

  • 年齢ではなく能力に応じた負担は、全世代型社会保障の根幹をなす考え方の一つ。保有金融資産を勘案する仕組みも併せて、改革工程では検討事項となっており、早期に議論を進めるべき。

  • 医療機関の経営情報の見える化は非常に重要。

  • 少子化対策について、EBPMを徹底していくべき。「こども未来戦略」の「加速化プラン」をこれからも着実に実施していくべきだが、その費用対効果をきちんとフォローして、その実効性について不断に検証を進めていくべき。

  • 日本はポテンシャルのある技術や研究成果を持っているにもかかわらず、実際の創薬につながっていかないのは課題。薬価改定で保険内での適正な価格付けとセットで、保険外でしっかり創薬支援をすることも重要。

  • 縦割りが指摘される日本医療研究開発機構(AMED)への補助金も含め、創薬力強化にどれだけの資金が効率的に使われているかのチェックが必要。

  • 現役世代の負担軽減の観点から、薬価の毎年度改定は着実に実施するべき。その上で、過去2回の奇数年での改定にとらわれること無く、対象品目のほか、新薬創出等加算の累積額の控除や後発薬への置き換え率に基づく長期収載品の価格引下げなどのルールをしっかりと適用する必要。

  • 後発医薬品については、安定供給を阻む産業構造が問題であり、業界再編を推進していく必要。また、複数の会社で販売している同一品目で少量しか需要がないようなものについては、むしろ積極的に薬価を下げて退出を促すというようなこともあってもよいのではないか。

  • 医師偏在は、自由開業制を前提とした対策を重ねてきた歴史の中で深刻化してきた問題。医療費の大半が税・社会保険料でまかなわれている医療保障制度の下では、自由開業制、自由標榜制を見直すのは当然。規制的手法や診療報酬による対応などを含む政策手段を総動員して、実効性のある医師偏在対策を練り上げるべき。また、保険医の要件として一定水準以上の保険診療に従事することを定め、保険医を確保することも重要。

  • 医薬品に対する費用対効果の給付への反映を更に進めるべきであり、そのための体制を強化すべき。また、保険外併用療養制度や民間保険の活用も具体的に検討すべき。信頼出来るエビデンスがあれば、患者負担の観点で理解促進が進むのではないか。

  • リフィル処方の実績が積み上げられていないのは残念。KPIの設定とともに、患者の利便性向上につながるという面を国民に周知徹底することで国民の行動変容を促すことや、「出来高払い」が前提の診療報酬の在り方を見直すということも含めて、医療機関、患者、保険全てにとってプラスとなるよう取り組むべき。

  • 応能負担の強化について、一律に高齢者といっても、収入の多い方や資産の多い方もいらっしゃることを踏まえた対応が必要。それから、自助あるいは受益者負担といった考え方ももう少し反映されてもよいのではないか。

  • 改革工程に記載のある項目はいずれも極めて重要。例えば、実効給付率の低下を招いている高額療養費制度の在り方の見直しはスピード感を持って取り組むべき。さらには、能力に応じた負担に転換していく観点から、後期高齢者医療制度の自己負担割合の見直しも重要な課題。

  • 介護については、課題の先送りが続いている。多床室の室料負担の見直し、ケアマネジメントの利用者負担の導入、軽度者に対する生活援助サービス等の地域支援事業への移行について、実現を確実にするように議論を積極的に進めるべき。民間の介護保険の普及も考えるべき。

  • 介護分野における人材紹介事業者について、手数料実績の見える化も重要だが、短期間での離職率が高い場合の返金状況をしっかり公開していくことも重要。

  • 年金について、働き方に中立的な制度の構築という観点から、企業規模要件の撤廃や非適用業種の解消に取り組んでいくべき。

  • 在職老齢年金制度について、給付増の方向で見直しを進めるのであれば、低中所得者への影響を踏まえた対応も検討すべき。税制における公的年金等控除の上限引下げや標準報酬月額の引上げと併せて行うべき。

  • マクロ経済スライドの調整期間の一致については、個々人の所得を確保するだけでなく、将来の所得再分配機能にも寄与するため着実に実施すべきだが、そのための財源を確保しなければならないというコンセンサスは、法律などで確実に形にしておく必要。

  • いわゆる「年収の壁」の問題については、働きたい人が働けないといった就労抑制につながることは、人手不足の中で非常に問題。見直しにあたっては、負担だけでなく給付も含めて丁寧に示しながら、年代や働き方に左右されない公平な制度設計とする必要。

  • 第3号被保険者制度は将来的に廃止すべき。

  • 障害福祉計画について、医療費適正化計画等と同様に、適正化に関する事項の記述を求めるべき。

  • 障害福祉について、営利企業が急増するなど、「うま味のある産業」として見られている可能性。経営実態や助成内容を「見える化」し、公正な報酬改定ができる環境整備を進めるべき。

  • 生活保護の医療扶助の適正化のため、頻回受診の多い医療機関への働きかけとして、規制的手法だけでなく金銭的なディスインセンティブの設計も検討すべき。

  • 医療扶助に対する都道府県によるガバナンス強化の観点から、生活保護受給者の国保等加入は重要な施策である。

  • 雇用保険二事業による失業等給付の積立金からの借入については、雇用保険財政の適正化の観点から保険料収入を用いて確実に返済すべき。