財政制度等審議会 財政制度分科会 歳出改革部会
〔議事要旨〕
-
1.日時令和6年11月11日(月)15:00~17:00
-
2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
-
3.出席者
(委員)
土居丈朗、秋池玲子、河村小百合、熊谷亮丸、佐藤主光、武田洋子、宮島香澄、上村敏之、遠藤典子、小黒一正、木村旬、権丈英子、
末澤豪謙、滝澤美帆、中空麻奈、広瀬道明、福田慎一、堀真奈美、神子田章博、横田響子、大槻奈那、芳野友子、平野信行(敬称略)(財務省)
進藤大臣政務官、宇波局長、前田次長、中山次長、有利総務課長他
4.議題
-
農林水産
-
文教・科学技術
5.議事内容
-
本日は、「農林水産」「文教・科学技術」という議題のもと、事務局から資料に基づいて説明を行い、その後質疑を行った。
-
各委員からの質疑や意見は以下のとおり。
【農林水産】
- 農業人口が減少していく中では、少人数で経営が成り立つような構造転換が重要であり、法人の参入を推進するため、規制緩和を進めるべき。
- 若者による新規就農を増やしていくことが重要であり、そのためには、労働基準法等での対応も含めた労働条件や就労環境の改善が必要。
- 農業の構造転換に向けて、長期的な将来像を描き、そこに向けてどう移行していくかという視点が重要であり、その中で、生産性を向上させ、イノベーションが生まれやすい環境を作ることを含め、自立した産業としていくべき。
- 農業政策全般に現状維持バイアスがかかっており、食料の安定供給や農業者の経営安定化という守りの政策が、成長産業を目指すといった攻めの政策に大きく優先されている。高付加価値化や輸出の促進に向けた対応が必要。
- 米価の維持のため、多額の財政資金を投入してきたことで農業の足腰が弱っている。農業の効率化や農地の集約化を進めていくことが最終的に国民にとってメリットとなり、国益となるのではないか。
- 米の備蓄については需要に応じた見直しを行うべき。「令和の米騒動」もあった中で、国民への安定的な供給がなされるような備蓄のルールの構築が求められる。
- 法人経営や農地の集約化などを進めて、災害に強い農業を作っていくことが重要。災害や輸入の途絶に対応できるよう、輸入米を備蓄に回すというような工夫をしてはどうか。
- 食料自給率は生産額ベースで考えることが重要。財政負担の少ない形で向上させるべき。
- 所有者不明農地について、食料安全保障の観点からも対応を進めるべき。
【文教・科学技術】
- まずは働き方改革をやり、残業時間を減らしながら教職調整額を引き上げて、10%に達したら残業代に移行するというのは素晴らしいアイデアだと思う。残業の見える化が1丁目1番地であり、目標を設定して施策を打つべき。
- 給与を上げても業務が減らなければ教員の不満は解消せず、「なり手不足」の問題も改善されないのではないか。業務の縮減は、自主的な取組に任せてもなかなか進みにくく、まして給与が先に上がってしまえば、業務を縮減するインセンティブが働かなくなるのでないか。
- 給与について、労働時間というインプットベースではなく、将来的にはアウトカムベース・成果主義にシフトすることが必要ではないか。一律(支給)というのは間違っているのではないか。
- 教員不足については、いわゆる「3分類」の徹底により業務の大規模なタスクシフトが必要。財政的な問題というより規制改革の問題。
- 学校規模の縮小により「規模の不経済」となっている中では、学校の統廃合・ICT化・業務のアウトソースが必要。
- 地方交付税において算定されている職員を自治体が十分に配置していないという点は非常に問題である。
- 高等教育機関について、社会に出るための教育の質を確保していくためには、定員未充足の大学等について抜本的に再編することが必要ではないか。
- 大学の再編が必要な中で、教育の無償化は大学の延命に繋がってしまうものであり、良くないのでは。奨学金制度の改良により、向学心の高い学生を支援する制度とするべき。
- 大学全体としての規模適正化を図るため、大学・学部の新設規制だけでなく、廃止・撤退を進めやすいルール作りが必要ではないか。
- 科学技術におけるトップ10%論文の数が少ないという点について、EBPMやPDCAを回していくべき。
- 科学技術については、厳格に基金ルールを適用するとともに、事務局から説明があった方向性で論文生産性を向上させるべき。
- 研究者の時間が入試管理や大学内の会議に取られていることは問題。アウトソーシングに対するインセンティブ付与を通して研究時間を確保すべき。
- 科学技術に係るKPIの設定は難しいが、ある程度の期間をとって、トップ10%論文数の目標を立て、検証を行った上で、研究費の配分を検討していくことは重要。