財政制度等審議会 財政制度分科会
〔議事要旨〕
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1.日時令和6年11月1日(金)09:00~11:00
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2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
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3.出席者
(委員)
増田寬也、秋池玲子、大槻奈那、河村小百合、熊谷亮丸、小林慶一郎、佐藤主光、武田洋子、土居丈朗、宮島香澄、芳野友子、上村敏之、
遠藤典子、小黒一正、木村旬、國部毅、末澤豪謙、滝澤美帆、田中里沙、中空麻奈、平野信行、広瀬道明、福田慎一、神子田章博、吉川洋(敬称略)(財務省)
瀬戸大臣政務官、前田次長、中山次長、吉野次長、有利総務課長他
4.議題
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国内投資・中小企業等
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外交・デジタル
5.議事内容
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本日は、「国内投資・中小企業等」「外交・デジタル」という議題のもと、事務局から資料に基づいて説明を行い、その後質疑を行った。
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各委員からの質疑や意見は以下のとおり。
【国内投資・中小企業等】
- 産業政策は、一時の勢いで推し進めるのではなく、長期的な戦略に基づき実施することが求められる。半導体支援も、これまでの補正予算による場当たり的な対応を改め、民間事業者の予見可能性を高めるためにも、必要な財源を確保しながら、複数年度の支援の枠組みを示すことが極めて重要。
- 半導体業界は変化が激しい業界であり、過去の民間及び政府による投資が必ずしも成功しなかった反省も踏まえるべき。投資には成果が求められるので、政府支援の効果について、
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- 早期の定量的な検証や、
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- 第三者によるチェックを経た上での事業計画等の見直し、
を可能とする枠組みが不可欠。
- 民間においても勝ち筋となる企業や産業が見通せない中、政府も特定企業を補助金一辺倒で支援すべきではない。政府出資等によるリスクマネー供給を通じ、官民の適切なリスク分担を図るべき。出融資の活用拡大は、配当などの形で国庫にリターンが得られ、政府支援がそのまま国民負担とならず、受益者負担の観点からも重要。
- 一時の流行りで半導体以外の産業分野にも徒に支援が拡大しないよう、「市場の失敗」に政府が介入すべき場合をしっかりと整理すべき。
- 中小企業の成長には、自主的な経営改善の取組が重要であり、これを後押しする支援に軸足を置くべき。個別の中小企業だけでなく、日本経済にとってどのような効果があったかという観点も含め、補助金の有効性をしっかりと検証する必要。
- 中小企業の持続的な賃上げのため、価格転嫁の徹底が重要。発注側にとっても、発注先と適切に向き合うことがサプライチェーンの強化にも繋がるという視点も必要。
- 一口に中小企業といっても様々。生産性向上に向けて意欲的に取り組む企業にこそ支援を行うなど、それぞれの実態に応じた対応や、生産性が高い中小企業の取組を横展開するなどの視点が必要。また、手厚い支援がかえって中堅企業へのステップアップを阻害していることも考えられる。
- グローバルサウスへの支援については、大企業も対象に入っている中、補助金を設立した目的に照らし、真に成果が上がっているか検証する必要。外交・安全保障環境の変化に対応する上で、厳しい財政事情の中で効果的な予算の活用が重要。
【外交・デジタル】
- 外交力の強化は、防衛力の強化とのバランスを踏まえながら、進めるべき。
- 厳しい国際情勢を踏まえ、情報セキュリティやインテリジェンスの強化を省庁横断的に進めるべき。
- 途上国への開発支援においては、ODAの戦略的・効率的な活用や、官民の連携強化が必要。
- ODAの規模については、一定の水準を保ちながらも、世界経済における日本の経済力の状況を踏まえるとともに、国の財政が国民生活のために使われていくことを優先すべきであり、国民の理解を得るための努力も必要。
- 無償資金協力の支払前資金の滞留については、膨張しないようにしっかり執行管理するとともに、法改正などによる有効活用も必要。
- ODAの質を向上させるため、個別プロジェクトのアウトカムを適切に設定しながら、費用対効果を高めるとともに、必要に応じてスクラップ・アンド・ビルドすべき。
- 国際機関等への任意拠出金に対する外務省の評価においては、第三者的な目線を強化することも必要。また、拠出金に充てられる経費も限られてきている中で日本のプレゼンスを確保していくため、国際機関の重要なポストで活躍できる人材の育成と配置を戦略的に進めていくことが重要。
- 情報システム予算は増加傾向となっているが、あわせて行政経費は減ったのか、または利用する国民の利便性はあがったのか、より明確に示していくべき。情報システム予算の総額をコントロールする目標を定めるべき。行政事業レビューの活用を進め、システム導入後の利用状況のチェックも迅速に行い、システムの見直しの判断をしていくべき。
- デジタルガバメントの意義として、人的リソースの捻出にもつなげた上、行政内外の生産性の高い事務へと再配置・リスキリングする必要。システムの費用対効果の明確化の際には、人的リソースの状況も明らかにすべき。
- マイナンバーカードの利活用には粘り強く取り組むべき。デジタル化はコスト削減につながる一方、デジタルに強くない高齢者や中小企業への配慮もあわせて必要。
- デジタル庁には官民混成組織の課題がまだある可能性もあるが、デジタル行財政改革に引き続き取り組むことが重要。技術の変化が早い中、デジタル庁の人事政策としては、官民の人材が効果的に活かされる形の対応をしていただきたい。
- ガバメントクラウドは外資系ベンダーが提供するものを利用しているが、国産ベンダーの活用をしていくべき。自治体によるクラウド利用はまだ十分には進められていないところ、国内IT産業育成に取り組むことが重要。