財政制度等審議会 財政制度分科会
〔議事要旨〕
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1.日時令和6年4月9日(火)09:00~11:05
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2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
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3.出席者
(委員)
増田寬也、秋池玲子、大槻奈那、河村小百合、熊谷亮丸、小林慶一郎、佐藤主光、武田洋子、土居丈朗、宮島香澄、芳野友子、上村敏之、小黒一正、木村旬、國部毅、権丈英子、末澤豪謙、角和夫、滝澤美帆、伊達美和子、田中里沙、中空麻奈、平野信行、広瀬道明、福田慎一、堀真奈美、神子田章博、横田響子、吉川洋(敬称略)
(財務省)
進藤大臣政務官、茶谷事務次官、新川主計局長、前田次長、大沢総務課長他
4.議題
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成長、人口・地域等
5.議事内容
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本日は、「成長、人口・地域等」について事務局から資料に基づいて説明を行い、その後質疑を行った。
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各委員からの質疑や意見は以下のとおり。
<委員からの御意見>
- 成長戦略においては、政府の役割を、EBPMなども活用してよく検討し、必要性や質の低い財政出動を避けるとともに、民間主導による企業投資を通じた成長を実現する環境整備の推進が必要。
- 行政事業レビューシートの改善が進んだことは評価できるが、成果が上がっていない事業の廃止等、予算編成への反映を担保するための実効性を確保していくことが重要。個々の事業の評価にとどめず、同様の政策目的を持つ施策間で優先順位を比較して、効果の高い事業に集中していくことも必要。その際、第三者による評価の仕組みを活用することも重要。
- 基金の見直しについて、大きく進んだことは評価。ただし、政府文書において既に方針が決定されている基金事業についても、金科玉条にせず、見直し余地がないか精査が必要。十分な成果があがっていない基金は廃止すべき。
- リ・スキリングや労働移動の円滑化の施策が、成長分野の人材の育成や、実際の就労に結びつく取組を引き続き進めるべき。
- 労働生産性の向上の観点から、三位一体の労働市場改革によるリ・スキリング、職務給の導入、労働移動の円滑化や、就労促進策などを進めるべき。
- 半導体支援等の産業政策については、取捨選択が重要であり、民間資金や人材を呼び込めるような安定的な支援を講じるため、財源確保の議論が必要。
- 支援手法として、補助金ばかりに頼るべきではなく、出融資等を活用し、成功やリスクを分かち合う仕組みが必要。官民の役割分担・リスク分担の在り方を見直し、民間の自律的な投資を促進していくべき。
- ODAはその効果測定をしっかりしつつ、民間資金と連携し、日本のソフトパワーにつながるよう戦略的に実施すべき。
- 個別の業界では、人が必要だから待遇の改善が必要と主張がなされるが、全体としての人手不足の中では、待遇改善による解決には限界があることを直視する必要があり、生産性の向上やコンパクトシティ化等、人口減少下における必要な対応の議論を深めていくことが必要。
- 人口減少が進む中で、将来世代も意識しながら持続可能な社会を作っていくことが必要であり、コンパクトシティを前提としながら、国土のグランドデザインを描いていくべき。
- 災害が頻発化・激甚化する中で、事前防災の観点から、危険性の高いエリアに国民が住まないように規制していくことも重要。防災のハード整備だけでなく、こうした規制や自治体のデータ連携などソフト施策も含めて進める必要。
- 能登半島地震からの復旧・復興に当たっては、地域の意向を踏まえつつ、集約的なまちづくりやインフラ整備が必要。事前防災に当たっては、地震が起こる可能性を自分事として、コンパクトシティ化を進める重要。
- システムの投資対効果を可視化して投資のメリハリ付けを行う旨の文書がデジタル庁と取り交わされたことを評価。単純にシステム予算を増やせばよいというものではなく、投資対効果を明確化した上で、一元的に広く共有していくことを検討すべき。
- 自治体DXはそれぞれの自治体に任せきりにせず、従来の地方行政をそのままデジタル化するのではなく、人口減少を踏まえて、行政のあり方も検討しながら、自治体間のデータ連携も含めて取り組んでいくべき。
- 教員の処遇改善を行う場合は、地方負担分を含め相当の予算が必要であることを踏まえ、「安定財源の確保」と「負担に応じたメリハリある給与体系」を徹底すべき。
- 教員の数ではなく質の議論をすべき。授業については、例えば、質の高い教員が端末を活用して進度に応じた授業を行う方が、保護者や子供にとっても望ましいのではないか。また、人手不足の中、教員の数を増やすのは困難であるため、民間やICTを活用し、教員は授業など子供の相手に専念すべき。
- 人口減少に伴い、行政サービス需要総量の減少や自治体職員の確保の困難化が見込まれるため、業務の在り方の見直しや、施設の再編・長寿命化等も含め、自治体業務を効率化していくことが重要。
- 東京都の豊かな財政力を背景にした手厚い行政サービスは、自治体間の行政サービス格差の拡大を招いており、更なる一極集中を是正するためにも、偏在性が小さい地方税体系を構築することが重要。