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財政制度分科会(令和5年11月1日開催)議事要旨

財政制度等審議会 財政制度分科会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和5年11月1日(水)14:00~16:00

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    (委員)

    増田寬也、秋池玲子、大槻奈那、河村小百合、熊谷亮丸、小林慶一郎、櫻田謙悟、佐藤主光、武田洋子、土居丈朗、藤谷武史、宮島香澄、芳野友子、上村敏之、遠藤典子、木村旬、権丈英子、末澤豪謙、田中里沙、中空麻奈、平野信行、広瀬道明、福田慎一、堀真奈美、神子田章博(敬称略)

    (財務省)

    神田副大臣、瀬戸大臣政務官、佐藤大臣政務官、寺岡次長、吉野次長、大沢総務課

4.

    • 社会保障

5.議事内容

    • 本日は、「社会保障」という議題のもと、審議を行った。

    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【財政総論】

<委員からの御意見>

  • 「高齢化等による国民負担率の上昇に歯止めをかける」「税負担や社会保障負担を抑制することに重きを置いて経済財政運営を行う」という、総理の所信が重要。来年度の診療報酬を抑制していくとともに、全世代型社会保障の改革工程について、いつまでにどの程度進めるか具体的に策定していく必要。

  • ポストコロナにおける医療の受診行動の変化を踏まえて、地域医療構想を含めた医療提供体制の見直しを行わなければいけない。手厚い報酬体系だと医療提供体制の見直しが進まない。地域医療構想が未達の場合、その要因を検証すべき。

  • かかりつけ医の制度設計が遅く、中途半端。オンライン診療の広がりなど環境変化にも留意が必要。治療内容の公表による標準化も検討すべき。出来高払いから包括化への転換も検討し、最終的には住民による登録制を目指していくべき。

  • 給付範囲の見直しについて。高額で広く使われる医薬品が出てきている。今後、薬効によっては任意の民間保険で対応する道も考えるべき。医療の見直しに追加して、サービス付き高齢者住宅、生活支援なども検討課題とすべき。

  • 高齢者を支える現役世代の負担は限界に来ている。全世代型社会保障への移行が必要。公平性の確保の観点から、金融資産の負担能力への勘案、後期高齢者の原則2割自己負担、3割の自己負担の対象を増やすべき、自己負担の水準は高齢者に手厚い控除が加味されており不公平。

  • 受診時定額負担、医療費の総額コントロールによって制度の持続可能性を高めるべき。

  • 財務省の機動的調査は医療機関の経営状況を明らかにした画期的な取組であり、データに基づく議論をフラットに行うため、広く国民に知ってもらうべき。

  • 機動的調査で明らかになった診療所の極めて高い利益率を踏まえれば、診療所の報酬単価を大きく下げ、マイナス改定とすべき。その際に、病院については勤務医の働き方改革や現場の従事者の支援をしっかり行うなどメリハリをつけることが重要。

  • 診療所の報酬単価が高いことが、診療所の必要以上の開設を促し、病院における医師不足、医師偏在の加速につながる構造となっている。そのため、地域別単価の設定を含め、診療所の報酬単価の見直しが必要。

  • 今回は機動的調査によって経営状況が明らかになったが、本来は経営状況の見える化のためにはデータベースの構築を進めていくべき。また、職種別給与の提出を加算の要件とすることを検討すべき。

  • リフィル処方箋の適正化効果が未達成なので、今次の改定では差し引く調整が必要。また、タスクシフト/シェアの観点からも薬剤師にリフィル化の権限を与えることも考えるべき。

  • 薬価に関しては、創薬力強化の観点やドラッグロスの問題も踏まえ、適切なイノベーションの評価を行うべき。

  • 調剤報酬についても、門前薬局が収益をあげやすいので、執行調査の対応の改革をしっかり進めるべき。

  • 介護について、ICT化の推進による生産性の向上が重要。データ活用により、「見える介護」、「予測する介護」が可能になる。また、生産性を高めることで、事業者の収益の増加等が処遇改善に構造的につながる仕組みを構築するという観点が重要。

  • ICTを積極的に活用している介護事業者については、人員配置基準の柔軟化を考えるべき。また、在宅サービスについては、事業者の再編成が必要。

  • 介護報酬の適正化に関連して、訪問介護、有料老人ホームなどの個別サービスで見れば、利益率は高い。また、厚労省の介護経営実態調査より福祉医療機構の調査の方が標本数が多い上に、より的確に実態を表しており、こうしたデータに基づいて実態把握をすべき。

  • 医療・介護について、現場の従事者の処遇改善につなげる観点からも、職種別の給与・人数の提出を報酬における加算措置の要件とし、経営状況の見える化を進めるべき。

  • 少子化対策は日本の国力・経済力にとって最重要であり、明確かつ安定的な財源を確保した上で、スピード感を持って実行していくべき。政策の強化が広く意識されるためにも、育休の強化や職場の意識改革などを含め、継続性をもって取り組み、社会の構造意識の変化につなげる必要。

  • 少子化対策の財源の基本骨格として、「実質的に負担を生じさせないことを目指す」との方針が掲げられている。このこと自体は望ましいが、今後の人口動態を考慮すると、相当チャレンジングな目標であり、達成可能なのか、国民の不安が払拭できていない。丁寧にわかりやすく説明していく必要。

  • 少子化は、我が国の経済・社会システム全体に関わる課題であり、すべての世代に加え、企業・事業主も含め負担を分かちあいながら進めることが望ましい。検討されている支援金制度についてはそうした理念を体現できる仕組みであり、できる限り早期に導入すべき。制度設計にあたっては、各参加者の納得感の高いものとする必要。幅広い世代が加入し、企業も参加する医療保険をベースに賦課・徴収を行うことが合理的。

  • 3兆円半ばの予算の増加が、今後いかなる効果を発揮するのかが問われる。過去、予算を増やしてきたにも関わらず、少子化に歯止めはきいておらず、その検証はかならずしも十分ではない。3兆円半ばもの予算を投じる以上、具体的な目標を掲げ、政策効果を検証しながら、施策をアップデートしていくべき。

  • 障害福祉サービスについて、質の低いサービスでも高い報酬が得られる体系となっているため、過剰供給が懸念され、不正事案も多発しており、報酬改定ではメリハリのある対応が不可欠。