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財政制度分科会(令和5年10月11日開催)議事要旨

財政制度等審議会 財政制度分科会 歳出改革部会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和5年10月11日(水)14:00~15:40

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    (委員)

    土居丈朗、秋池玲子、河村小百合、熊谷亮丸、武田洋子、安永竜夫、上村敏之、遠藤典子、小黒一正、木村旬、末澤豪謙、田中里沙、堀真奈美、神子田章博、吉川洋、大槻奈那、芳野友子、國部毅、平野信行(敬称略)

    (財務省)

    神田副大臣、矢倉副大臣、瀬戸大臣政務官、佐藤大臣政務官、新川主計局長、寺岡次長、前田次長、吉野次長、大沢総務課長他

4.

    • 文教・科学技術

    • 国内投資・中小企業

5.議事内容

    • 本日は、「文教・科学技術」「国内投資・中小企業」という議題のもと、審議を行った。

    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【文教・科学技術】

<委員からの御意見>

  • 教育については、量ではなく質の向上が最大の課題。働き方改革のインセンティブが働きにくい構造にあり、業務の削減による本来業務やプライベートの充実にトップダウンで取り組むべき。運営費交付金や私学助成について、教育の質を向上させるためのインセンティブとなるメリハリ付けが必要。

  • 教員の勤務環境改善のため、定数の改善や外部人材の更なる配置が必要。外部人材について、効果的な配置や活用が必要。

  • 高等教育は定員管理が最大の課題。国立大学も関係ない話ではない。国全体として適正な定員管理をしていくべき。

  • 充足率改善のための具体的方策を策定していない大学が多い。具体的方策の策定を求めることを補助の要件とすることは検討に値する。

  • 奨学金については、働いても返還できないという状況になるのが問題であり、そのためには免除の拡大ではなく、大学教育の効果測定が重要。

  • 科学技術予算については、公平性に留意しつつも、メリハリ付けが重要。

  • 研究者を志す若者が将来に夢を持てることが重要。限られた財政資源を有効活用して側面支援すべき。

  • 大学の任期付きポストが増えているが、企業で働く方が大学教員を兼務する流れができると、博士人材のキャリアパス多様化にもつながると考えられる。

  • 博士人材の「専門性」を柔軟に捉えるようにすれば、博士人材の企業での活躍につながると考えられる。

  • 博士人材の企業における活用が進まない背景には、ジェネラリスト志向、学卒一括採用、年功序列の人事管理といった日本の慣習があると考えられる。専門性が求められる時代であり、企業も慣習を改めていくことが重要。

  • 海外の博物館・美術館では、入場料だけでなく、所蔵品の貸出や物販収入など、多様な手段で自己収入を得ている例がある。我が国の博物館・美術館の自己収入比率を引き上げる上でも、そうした多様な発想が重要。

  • 文化財について、クラウドファンディング等により資金を集める取組は重要。こうした取組が刹那的なものにならず、国民が継続的に文化を支援していく仕組みとしていく必要。

【国内投資・中小企業】

<委員からの御意見>

  • 産業支援は、「AI」や「半導体」等の流行り言葉の下に一括りにして誤魔化すのでは無く、例えば、AIであれば、オープンAIのような言語モデルをやるのか、サービスを育てるのか等、何に投資をしてどういうリターンがあるのか、具体的・明確な説明をすべき。

  • GXは、投資内容の明確化や財源確保がされており評価する。DX・半導体も、個別の投資に注力するばかりではなく、そうした大きな戦略を描くべき。

  • 国内投資に関連して、財政支出に際しては、足元のインフレ傾向に十分留意すべき。

  • 中小企業対策には「経済政策」の側面と保護を目的とする「社会政策」の側面が混在するが、前者に重点を置くべき。今後は一律の補助金ではなく、価格転嫁対策に徹底して取り組むべき。

  • 賃上げを実現する上では意欲ある中小企業を応援する仕組みも重要だが、既存の補助金は、意欲ある中小企業に重点的に配分される仕組みになっているのか疑問。

  • ものづくり補助金などの中小企業向け補助金は、実際には労働生産性向上につながっていない。あるいは事後的な効果検証がなされていない。中小企業の補助金依存を招き、逆に生産性を悪化させるようなことがあってはならない。

  • 中小企業対策については、どのような支援をした場合にどのような効果があったのかという効果検証がまったく行われておらず問題。しっかりと検証すべき。

  • コロナ禍で膨れあがった中小企業対策費を縮減するのは当然。事業再構築補助金については、交付を受けた個々の事業者のレビューに加え、全体として、これまでに投じた国費約2兆円が日本経済の構造転換の資するものだったのかという検証が重要。