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財政制度分科会(令和4年2月16日開催)議事要旨

財政制度等審議会 財政制度分科会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和4年2月16日(水)14:00~15:40

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    (委員)

    増田寛也、遠藤典子、大槻奈那、佐藤主光、十河ひろ美、武田洋子、中空麻奈、藤谷武史、宮島香澄、秋池玲子、宇南山卓、河村小百合、喜多恒雄、木村旬、熊谷亮丸、小林毅、末澤豪謙、角和夫、竹中ナミ、田近栄治、田中里沙、冨田俊基、平野信行、広瀬道明、福田慎一、別所俊一郎、堀真奈美、神子田章博、横田響子、吉川洋(敬称略)

    (財務省)

    高村大臣政務官、茶谷主計局長、奥次長、坂本次長、阿久澤次長、八幡総務課

4.

    • 事務局説明

    • 令和4年度予算等について

5.議事内容

    • 本日は、「令和4年度予算等について」という議題のもと、審議を行った。

    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【令和4年度予算等について】

<委員からの御意見>

  • 国の信用の根幹・礎は、健全な財政。その意味で、財政健全化の旗は掲げ続けるべきであり、2025年度PB黒字化目標も堅持すべき。

  • 財政は国家経営の根幹。いかに限られた経営資源を有効に使うか、いかに全体最適を実現するかという戦略が必要。

  • 日本は、先進国の中でリスク管理的に問題があるので、絶対的な目標としてプライマリーバランス、相対的な目標として先進国の中の位置づけのようなものも考えた方が良い。

  • 中長期的な姿が自然体ではどうなるのか、何をしたら財政健全化を具体的に実現していけるのか、優先度を立てて、工程表をつくり、明確かつ具体的なプランを世界に示していくことが財政の信認を維持する上で重要。

  • 毎年のように「15か月予算」が組まれているが、1年は12か月しかないことを考えれば財政が膨らむのは当然。

  • 2025年度PB黒字化目標の実現をより確実なものにするために、予見しがたい経済事情の変動その他やむを得ない事由で編成される補正予算についても十分に検討する必要。

  • 長期にわたる財政出動を続けてきたにも関わらず、期待されたような効果が得られていない。巨額の補正予算を計上し、公債残高が累増するという悪循環を招いている。

  • コロナに対する知見が蓄積してきたと思うので、コロナの存在を国家運営のシステムに組み込む必要がある。

  • コロナの支出を継続していては、いよいよどうしようもなくなることに関して、国民の関心、意識が低い。給付と負担はバランスしなくてはいけないという財審では当然のことが、ほかの国のようには一般の人たちの意識の根底に備わっていない。

  • コロナで2年たつが、日本は危機になるとずっと大変だと言って危機対策を引きずってしまうところがあるが、もうそうした時期ではない。企業の業績にもばらつきがあり、好調な業界もある。国の信用を守るためには負担できる人が負担しながら、しっかりと持続可能な財政運営をしていくことを打ち出し、訴えていく必要。

  • 財政から見たコロナ対策の実態・実像について示すべき。具体的には、それぞれの支出項目がどうなったのか、例えば、雇調金・自立支援金などの所得保障、医療への財政支援、地方への支援は適切だったのかを示すべき。

  • 地政学的リスクや南海トラフ・首都直下型地震のリスク、別のパンデミックが発生する可能性、地球温暖化に伴う気象災害リスクなどがある。イギリスのスナク財務相が次の危機に備える必要があると言っているが、こうしたバッファーの必要性を国民に御理解いただく必要。

  • 内閣府の中長期試算について、世界的にインフレが進んでいて、日本にも金利上昇の動きが出ているため、より保守的な見積もりが必要。

  • 例えば、イギリスは2回利上げしており、資産縮小にも着手している。日本ももちろん国際金融市場を通じてつながっており、今後、長期金利の動向や利払費を抑えられるかということに注意する必要。

  • 今後の財政運営においては、インフレリスク、金利上昇リスクについて考えることが重要。

  • 2025年度PB黒字化目標も見据えながら、財源の議論から逃げることなく、コロナ対策の出口戦略、どのような形でコロナで生じた財政赤字、赤字国債を償還していくのか議論すべき。

  • 今後の人口動態を踏まえると、歳出改革と同時に歳入面の財源論も逃げずに議論すべき。診療報酬の改定、医療提供体制の改革について前進したと思うが、反映されなかったところもかなりあり、今後も継続的に、例えばかかりつけ医の制度化も財審で議論していくべき。

  • 執行レベルに落ちたときにメリハリがついているかが重要。例えば、科学技術予算でいえば、国家戦略としてやるべきところには十分に配分すべきだが、これもエグジットが必要で、だらだらと予算をつけ続けるわけではない。

  • 2023年度以降の予算編成を視野に入れると、優先順位付けが極めて重要で、今後変えるべき最大のものは社会保障。給付の徹底的な効率化や医療提供体制の抜本改革などを図ることが必要。全世代型の社会保障改革を行わなければ、本当に必要なところにお金が回らなくなる。

  • 世代間の格差の解消について真剣に議論する必要。社会保障の面では、終末医療の在り方について国民の議論を啓発するための財政当局の議論が必要。また、少子化対策が何よりも重要で、財政当局が議論でき得る成長戦略はこれに尽きる。

  • 令和4年度予算においては、一般財源総額同水準ルールが守られたことはもちろん、国と地方の税収の回復に支えられ、地方交付税の特例加算が解消された。交付税特会の地方負担分の借入金については、償還年限を2年前倒しした。臨時財政対策債の発行額も削減され、その残高も減少が見込まれている。今後も一般財源総額同水準ルールを遵守し、地方財政の健全化を進めることが重要。

  • PB黒字化がなぜ必要なのかについて、もう一度多くの国民と共有できるよう、分かりやすく説明すること、発信力を高めることが必要。

  • 2022年度から高校で金融経済教育が公共の科目として本格的にスタートするが、この流れも生かしながら、財政に関する広報と、全世代が各人の人生設計と照らして、財政を理解するための情報提供、対話の機会や環境整備が重要。

  • 若い世代においても財政への不安はあるが、知識が曖昧であり、アクショナブルではない。何らかの行動変容に結び付くよう、将来像も含め、今後のシナリオと自分たちが何をしていくべきなのかということをこれまで以上に発信していくべき。