このページの本文へ移動

財政制度分科会(令和3年11月15日開催)議事要旨

財政制度等審議会 財政制度分科会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和3年11月15日(月)15:30~16:50

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    (委員)

    榊原定征、増田寛也、赤井伸郎、遠藤典子、大槻奈那、佐藤主光、武田洋子、土居丈朗、中空麻奈、宮島香澄、上村敏之、宇南山卓、河村小百合、喜多恒雄、木村旬、熊谷亮丸、権丈英子、末澤豪謙、角和夫、竹中ナミ、田近栄治、田中理沙、冨田俊基、平野信行、広瀬道明、福田慎一、別所俊一郎、堀真奈美、神子田章博、村岡彰敏、横田響子(敬称略)

    (財務省)

    岡本副大臣、藤原大臣政務官、茶谷主計局長、八幡総務課

4.

    • 防衛

5.議事内容

    • 本日は、「防衛」について審議を行った。

    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【防衛】

<委員からの御意見>

  • 日本の限られた財政リソースの中で、安全保障にどれだけの資金を振り向けられるかについて、政府全体として考えなければならない問題。

  • 中国の防衛予算と比較しても、そもそもGDPの規模が違うのだから、規模で対抗するのはやめた方が良い。より効率的に必要なものをどう手当てするかについて、知恵を絞るべき。

  • 安全保障の戦略(ビッグピクチャー)と自己改革の視点は非常に重要。

  • 東アジア情勢の緊迫化という情勢変化の中で、それらを踏まえた政治の対応も、大きな転換期にある。安全保障環境の変化と厳しい財政需要のバランスをどう取るか、財審としても考え方を整理する大事な時期にある。

  • 防衛関係予算は、費用対効果を意識し、優先順位に基づき決まっていると思うが、予算化後に支出が増加するケースもある。コストが変化したときも費用対効果の高いものから透明性のある形で執行していくべき。

  • 安全保障環境が極めて厳しい中、相応の対応をしなければ大変なことになることは、国民も認識はあると思うが、それが一体誰の負担となるのか、もう少しきちんと考えた方が良い。

  • 実効的な防衛力の整備には、裏付けとなる持続可能な財政運営が必要。

  • 一般会計予算の6割しか今の税収では賄えていないなか、必要な部分は、今の世代で責任を持って負担することを考えるべき。

  • 防衛関係費の在り方について、どのような戦略をとるべきかを定めた上で議論すべき。景気対策同様、初めに規模ありきではない。

  • 科学技術、国土強靭化などを加えた広義の安全保障と社会保障のバランスをどう考えるかが現在の財政の最大のテーマ。

  • 宇宙・サイバー・電磁波について、もう少し資金投入すべき。この分野で日本がリーダーシップをとれないままでいると、後々、大きな問題となる。

  • 安全保障の軍事的な緊張が相当高まっていると同時に、リアルからサイバー的なものへの変化や、陸・海・空の関係のシフトが論点。特に防衛面では、変えるのが非常に難しいと思うし、費用対効果が本当に馴染むのか分からないが、ワイズスペンディングの観点も踏まえ、重層的・総合的、そして柔軟な防衛政策を国民も巻き込んでやっていくことが必要。

  • そろそろ防衛の経済効果について考えた方が良い。コストは度外視できないため、費用対効果の視点が必要というのが一般論。費用対効果を検証できる体制を整えるために、見える化が必要。輸入品の価格がかなり上がっている原因について、全体的にサプライチェーンの見える化を進め検証をしていく体制があってもよい。

  • 財政の観点から、日本の防衛戦略と防衛体制の最適化が重要。大きな国際情勢、軍事ニーズの変化に我が国の体制は十分アップデートできているのか、という戦略レベルの話がまず基本にあるべき。それと同時に、過去のレガシーの見直し、すなわちスクラップ・アンド・ビルドを行う必要。

  • そもそもGDP対比という数字ありきの議論には必ず無駄金がつきもの。中期防衛力整備計画の精査、陸・海・空の縦割りを排した既存戦略の見直しという必要な防衛戦略の特定、さらに厳格なコスト分析と調達改革を含めた防衛力の最適化を検討した上で、全体の予算の中で、防衛に一体幾ら資源を配分するのか、まさに国民的な議論が必要。

  • 米国などと異なり、日本では、軍事目的に転用できるような技術の研究はアカデミアでタブーとなっているが、この点についてそろそろ議論すべき。

  • 従来とは、色々な意味で戦争というものが変わってきた中で、防衛省はどのように切り替えてきたのか、というビッグピクチャーをはっきり見たい。

  • 社会保障に関して、歳出改革で非常に厳しい目線で見られているが、防衛関係予算も同じように、国民に対する分かりやすい説明は非常に重要であり、調達の無駄をなくすべき。

  • 調達品のトレンドや最新技術、物ありきで調達が行われていないか検証し、個々のコスト管理はもちろんのこと、全体戦略に適応した調達になっているかという視点が必要。

  • 機種選定において、ミサイル防衛と敵基地攻撃能力の保有と同様、多面的な評価項目の設定と各項目の客観的なスコアリングを前提とする評価の体系の下で、代替案の評価を示すことが必要。多面的なインパクトを考慮し、安全保障の様々なレベルでの代替案選択の基準を示し、検証可能な形で提示するという考え方のフレームワークが必要。

  • 防衛力の増強は、人口減少の中で難しさがあるが、①陸・海・空の統合、②ICT化、③民生品や民間人の登用(アウトソーシング)が重要であり、その中で新規装備の調達改革がより重要になってくる。

  • 新型戦闘機の開発について、日本が第6世代の戦闘機の独自開発を行うことは本当に可能なのか。

  • ロジスティクスの一環を成すようなコスト管理にすら改革・改善の余地があるということは、金額をいくら積んでも、そのまま投じたところで安全保障の役に立たないということにすらなりかねない状況。

  • サイバー、ハイテク関係の分野で、企業との人材の流動性をある程度覚悟しなければ、優秀な人材が入ってこない懸念がある。

  • サイバー分野の人材育成には、時間的な難しさがあり、また、他の部署からというのも専門性の観点から難しさがある。民間との関わり方をどのように考えているのか。

  • 物理的なアタックに対する脅威に比べ、サイバー攻撃の重要性、深刻さの方が相当程度高い。サイバーセキュリティの分野ほど、人材が重要な分野はない。

  • 一番難しいことは、教育をしても、トップ人材がすぐ抜けてしまうかもしれないこと。教育費に対しても無駄が生じ、秘密の漏えいの観点でも課題。どのようにトップ人材の少数精鋭をつくり上げていくのか、十分な計画性を持った検討が必要。また、費用も相当かかる可能性があるため、その他の分野の不断の見直しとともに、サイバー攻撃という非常に見えづらい分野であるからこそ、国民の方々に十分に理解していただいた上で予算を考えていくことが重要。

  • 日本は若い人に防衛意識をきちんと持ってもらうために教育が非常に遅れており、問題。

  • 大前提として、調達改革や、陸・海・空の縦割りを排除するといったことにより、無駄を徹底的に省き、合理化を行うべき。

  • 大局的な戦略に基づいて、本当に必要な防衛能力を特定し、コストがどれぐらいかかるのか、場合によっては、複数のシナリオを国民に対して提示し、国民がその費用対効果を見極めた上で選んでいく必要。

  • 今の東アジアの環境を考えると日本の防衛力はまだ不足しているという印象。特に宇宙・サイバー・電磁波の分野は更にお金を投入することも必要。