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財政制度分科会(令和3年11月8日開催)議事要旨

財政制度等審議会 財政制度分科会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和3年11月8日(月)13:00~14:50

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    (委員)

    増田寛也、赤井伸郎、遠藤典子、大槻那奈、佐藤主光、十河ひろ美、武田洋子、土居丈朗、中空麻奈、藤谷武史、宮島香澄、芳野友子、秋池玲子、上村敏之、宇南山卓、河村小百合、喜多恒雄、木村旬、熊谷亮丸、権丈英子、末澤豪謙、竹中ナミ、田近栄治、伊達美和子、田中理沙、冨田俊基、冨山和彦、福田慎一、別所俊一郎、堀真奈美、神子田章博、村岡彰敏、横田響子(敬称略)

    (財務省)

    高村大臣政務官、茶谷局長、奥主計局次長、坂本主計局次長、阿久澤主計局次長、八幡総務課

4.

    • 社会保障について

5.議事内容

    • 本日は、「社会保障」について審議を行った。

    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【社会保障】

<委員からの御意見>

  • 負担なくして給付なしという応能負担の考えを進めていくべき。若者の投票率も上がり、政治への関心が高まる中、国の財源が確保されているかにも意識を持ち始めていると思う。

  • 社会保障関係費の伸びを抑える努力を行い、高齢化による増加分の適正化を図ることは必要であるが、こうした取組の推進にあたって、全ての人の医療アクセスと医療の質が損なわれないよう丁寧に検討する必要。

  • 財審で、提示される様々な改革策が単に医療費を削減したいからではなく、コロナ禍で顕在化された様々な問題を解決する手法である、と強く打ち出し進めるべき。

  • 医療費はこの2年間、過去数年間以上の伸び。ただし、政策目的をコロナ改革で果たせたのかというと疑問。

  • ワクチン接種について、全ての自治体を巻き込んだ巨大事業であり、多額の経費がかかっているため、適正なコストであったか事後的に検証することが重要。

  • 補助金を受領した後、その使途や、コロナ患者の受入れ実績報告が無いことは由々しき事態。コロナ患者を何人受け入れたか、という成果払いの要素があってもよいのではないか。

  • 医療費について、コロナ補助金の使途を明確に示すことが必要。

  • 事業報告書のアップロードは早急に進め、早く医療経営状態を見える化し、次の策を練られるようにしていただきたい。

  • 医療の経営実態の見える化は重要。健全性を見る上では、企業の経営実態と同様にストックベースの議論もできるような調査をしていく必要。

  • コスト管理だけではなく質を上げていくため、医療についてもDXを進めていくべき。

  • 団塊の世代が後期高齢者になる2025年に向けて、具体的な次の制度改革の方針が必要。データで見える化を行い、進捗を管理するべき。地域医療構想の法制上の位置づけをより強化するとともに、医療機関の経営実態の見える化、データ管理を徹底する必要。

  • 処遇改善加算について、成果払い的な要素を診療報酬に入れていくべき。これを診療報酬の体系そのものの転換の契機にしてもよい。

  • コメディカルを中心としたタスクシフティングやタスクシェアリングを進めるべき。

  • 英国の社会保障と税の一体改革の紹介があったが、給付と負担を一体で考えることは普通の話で、安定財源の確保、負担の話も重要。

  • 医療・福祉分野の処遇改善について、労働分配率の適正化は重要。これを機に、公定価格の硬直的な制度の在り方そのものの見直し、見える化に取り組む必要があるのではないか。

  • 「医療提供体制改革なくして診療報酬改定なし」の大原則のもとで、徹底的な医療提供体制の改革を断行することが喫緊の課題。

  • 36ページの医療提供体制改革の三位一体の基本方針については、全面的に賛成。徹底的な見える化を伴う形で推進すべき。

  • 地域医療構想について、実態は現場の医師で構成される調整会議に丸投げされていて、調整会議で何も調整できていないという状況。都道府県がリーダーシップを発揮し医療の機能分化を進めていくべき。

  • 地域医療構想について各都道府県で実現を進め、実現していないところは、診療報酬の点数の格差をつけるなど、思い切ったことをしてもよい。地域医療構想を実現する具体的な手段について議論してもよいのではないか。

  • 地域医療構想について、今、世の中の関心が高まっている中、患者の立場から、かかりつけ薬局も含んで、医療にアクセスするようなライフスタイルの変化という視点から示していく必要。

  • 診療報酬体系が医療機関本位になっているというご指摘はまさにそのとおり。

  • 診療報酬・介護報酬の抑制は、国民負担の低減にもつながる。反対に、診療報酬・介護報酬の上昇は、国民負担の上昇にもつながる。国民の意見を反映するためにも、みやすくするべき。

  • 地域医療構想について、同構想が上手く進んでこなかった歴史を踏まえると、法制上の位置づけの強化は重要。地域医療構想を実行する都道府県の責務の明確化など、同構想のPDCAサイクルを強化するために、責務と対になる都道府県知事の権限の強化も医療法の中で図る必要。

  • イノベーションが十分に配分されるような薬価にするため、診療報酬体系上の課題を解決すべき。

  • かかりつけ医制度について、診療報酬改定でかかりつけ医を真に果たす医療機関を評価できるよう要件を定め、包括払い化を進めていくことが必要。入院医療についても、1人1日当たりの包括払い制度PDPSから、1入院当たりの包括払い制度PPSへの移行を積極的に進めるべき。

  • かかりつけ医について、発熱時に病院に連絡がつかない、行けないという点が記載されているが、多くの国民がそのような経験をされているのではないか。

  • かかりつけ医の制度化について賛成。パフォーマンスを見た支払い方式を導入、オンライン診療と要件を組み合わせるべき。

  • 必要なときに必要な医療にアクセスできるという医療の提供体制を実現するために、緩やかなゲートキーパー機能を備えたかかりつけ医の普及は必須。

  • 観光・ホテル・飲食に従事している方は、女性の非正規雇用が多い。セーフティネットの在り方や弱い立場にある者に向けた在り方をより具体的に考えるべき。

  • 非正規雇用について、今回は国費で支えたが、きちんとした雇用の保障の仕組みが必要。

  • 雇用分野について、支援を引っ張り過ぎると縮小した際に、国が政策を失敗したので失業率が増え、デフォルト率が悪化したという話になりかねない。どこまで国庫負担するのか、線引きを見直す必要。

  • 雇用について、ある程度時間が経った段階では過度に守ることを修正し、労働移動を進めていくべき。日本は、失業率は低いが、そのトレードオフとして諸外国と比べ賃金が上がっていない。日本は、相変わらず物価が上がらない状況が続いているが、賃金が上がらないことが大きな要素。

  • 新たな需要に向けて労働力の移動が進むように、リカレントを促す方に力をいれるべき。

  • 雇用調整助成金について、リスクにどのように備えるか、特別会計の勘定で再整理する必要があるが、その再整理をすることなく、保険料が足らないから国庫負担金を増やせという議論はあり得ない。

  • 雇用調整助成金について、出口に向かって進んでほしい。人材を留め置くことに機能しているが、健全な労働移動を阻害しかねない状況。段階的に次のステップへ進んでいただきたい。

  • 雇用調整助成金の継続について、弱者への配慮は個別に必要だが、全体としてみた場合、モチベーションの低下のほか、長期化によるスキルの低下という側面もある。労働移動が遅れれば、マクロの事業構造転換・新陳代謝の遅れによって、経済ひいては雇用に悪影響が及びかねない。スキル習得や労働移動を促す施策に切り替える時。

  • 雇用保険財政について、「この数年はむしろ保険料を少なめに徴収していた」と考えるのが妥当であり、保険料率を戻す方向で検討するのが妥当。

  • 雇用保険について、将来の危機の到来などの環境変化による雇用情勢の悪化に備える必要があり、労働保険特別会計の雇用勘定を一定以上の水準を保つことが不可欠。一般会計からの繰入を通じて、雇用保険の財源安定化が図られるべきで、まずは国庫負担割合の引上げがなされるべき。

  • 雇用保険について、何を国費で賄い、何を保険料で賄うのか、再整理が必要。雇用が不安定なフリーランスは雇用保険の枠外だが、枠内の比較的保障された人たちを助けるため、国民みんなのお金である税金から投入するということは、理解が得られない部分もある。