財政制度等審議会 財政制度分科会
〔議事要旨〕
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1.日時令和3年10月5日(火)13:00~14:50
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2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
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3.出席者
(委員)
赤井伸郎、遠藤典子、大槻奈那、神津里季生、榊原定征、佐藤主光、十河ひろ美、武田洋子、土井丈朗、中空麻奈、藤谷武史、増田寛也、宮島香澄、安永竜夫、秋池玲子、上村敏之、宇南山卓、河村小百合、喜多恒雄、木村旬、熊谷亮丸、権丈英子、小林慶一郎、小林毅、末澤豪謙、角和夫、竹中ナミ、田近栄治、田中里沙、冨田俊基、平野信行、広瀬道明、福田慎一、堀真奈美、神子田章博、横田響子、吉川洋(敬称略)
(財務省)
茶谷主計局長、奥主計局次長、坂本主計局次長、阿久澤主計局次長他
4.議題
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財政総論
5.議事内容
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本日は、「財政総論」について審議を行った。
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各委員からの質疑や意見は以下のとおり。
【財政総論について】
<委員からの御意見>
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分配の重要性が指摘されているが、財政の持続可能性にもぜひ取り組んでほしい。
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プライマリーバランス黒字化目標を凍結するという議論があるが、やるべきではない。
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財政を立て直すことと、困った方々に対して支援することは両立可能。健全化目標を後退させることのないように進めていく必要。
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財政健全化をしたら、消費が盛り上がり、企業の投資につながって給与も上がる、といった腹落ちしやすい形で発信していくことを財審としても意識してはどうか。
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内閣府の中長期試算における経済見通しについて、前提となる成長率の見通しが甘いのではないか。
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危機感を国民全体で共有し、財政の現状の姿を理解して未来に向かって活動することが必要。
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割引短期国債に頼らざるを得なくなっており、非常に厳しい。歳出の中でどれだけ債務償還に回せているのかなどを国民に示すべき。
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コロナで増えた分の借金をどう返済するか、区分経理をするのかについて、方向性を出すべき。
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新規政策には財源確保義務を課すと明確に示す必要。
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緊急時に対して財政出動するためにも健全化が必要。債務の法定上限の導入などを考えることもありうるが、少なくともプライマリーバランスの黒字化は必要。
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コロナ対策に財政支出をするのであれば、それに見合った財源、償還スケジュールを考えるべき。ドイツの例が紹介されていたが、日本もドイツのようにあらかじめ償還ルールやスケジュールを考えるべき。
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財政規律を保って、ワイズスペンディングを実現するため、中長期の財政計画を立てていくための制度的枠組みが必要。
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無駄を徹底的に省き、ワイズスペンディングを行っていくことが重要。聖域を設けることなく施策・制度の抜本的見直しを行うべき。
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必要なところに労働を再配分して生産性を高めるための、ワイズスペンディングが重要。
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ワイズスペンディングの精度を上げることを上げることが大事。失敗だったところは失敗として見せるべき。例えば、医者も非常に一生懸命やっている人と暇になった人がおり、お金のつけ方が効果的だったのか評価してほしい。
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金利が安くても企業は無駄な投資はしない。補正予算を含めてどうだったのか成績表がつくので、財務省は当初予算を抑えたことで胸を張らないようにしてほしい。
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予算は執行されていても、国民の手元に届いておらず、それが不満につながり、更なる補正予算の編成につながったのではないか。
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給付のターゲット、効率性を高めていくことが重要。
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助成金が利益にどう反映されているか、精査する必要。
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一定の規模の財政出動は不可避だが、規模ありきの議論ではなく、必要性の十分な精査を行うべき。
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社会保障が公費に頼る構造となっている。社会保障そのものが自律的に維持できる仕組みになるべき。
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全世代型社会保障の歩みを止めてはならない。給付と負担のバランスの適正化、適切な社会保障範囲の議論を進める必要がある。
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フリーランチは存在しない。受益があるのは負担があるからということについて理解を得ていく努力が必要。極端な歳出増に慣れてしまうことが一番怖い。
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ある程度収束した段階で、借金を返すということになると、社会保障改革、増税のようなものは避けられない。コンセンサスを取る努力を今からやっておく必要。
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医療体制については、日本は世界でもトップレベルなのに、目詰まりやひずみがあってうまくいっていない状況。
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デジタル化の余地をもって生産性をあげていくといった、変容が起こるような形で取り組んではどうか。
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デジタルトランスフォーメーションについて、働き方改革は相当進んだが、官庁や中小企業は全然進んでいない。
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デジタル、グリーン、少子化、人材育成などの分野は、効果測定が短期的に難しいが、方向性が間違っていないことを確認できるよう、PDCAを回していくことが課題。
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気候変動と財政には、共有地の悲劇という、似た面があるのではないか。
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財審は、敢えて世の中の空気を読まず、何をすべきかを伝える場にしたい。