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財政制度分科会(令和3年4月21日開催)議事要旨

財政制度等審議会 財政制度分科会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和3年4月21日(水)14:30~16:30

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    (委員)

    遠藤典子、大槻奈那、神津里季生、榊原定征、佐藤主光、十河ひろ美、武田洋子、土井丈朗、中空麻奈、藤谷武史、増田寛也、宮島香澄、安永竜夫、秋池玲子、上村敏之、宇南山卓、河村小百合、喜多恒雄、木村旬、熊谷亮丸、小林慶一郎、小林毅、末澤豪謙、角和夫、竹中ナミ、田近栄治、伊達美和子、田中里沙、冨田俊基、平野信行、広瀬道明、福田慎一、別所俊一郎、堀真奈美、神子田章博、米良はるか、横田響子(敬称略)

    (財務省)

    伊藤副大臣、矢野主計局長、角田主計局次長、宇波主計局次長、青木主計局次

4.

    • 地方財政について

    • 文教・科学技術について

5.議事内容

    • 本日は、「地方財政について」、「文教・科学技術について」という議題のもと、審議を行った。

    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【地方財政について】

  • 地方財政計画について、現在の地方の姿をマクロ的に表せているか、予算と決算の情報等により、今後もしっかり検証を行っていくべき。

  • 財政健全化において、生産性の向上という視点が重要。目標や進捗の「見える化」、数値化を行うことにより、自治体間に生じた差の要因を分析することも重要。

  • 地方自治体は「足による投票」、すなわちより魅力的な自治体に人々が移住するというメカニズムも働く。「見える化」を確実に行い、財政健全化した自治体の職員だけでなく、住民にも便益が及ぶようなインセンティブを与えることが重要。

  • 中長期試算において成長実現ケースでは地方のPB黒字が実現され、債務残高についても、国は増え、地方は減っている。しかし、これをもって地方は財政健全化に向け努力しており、後の問題は国だけと読み取っていいわけではない。国・地方合わせて更に健全化に向けていかないといけない。

  • 地方向けの補正予算によって、一般財源総額実質同水準ルールが尻抜けにならないよう見ていく必要。

  • 臨時財政対策債の残高の解消についても踏み込んで進めていくべき。それを解決するためにも、地方が旧態依然とやっていないかや、財政調整基金の積立の状況等も見据えてやることが必要。

  • 地方における民間活力の活用が重要。プロジェクトを始めるときの計画は良いものが出てくるが、それが終わるときの対応も考えておかなければ、残された施設の修繕などにお金がかかる可能性。

  • 兵庫県三田市の子ども医療費助成の見直し事例は注目に値する。好事例を積極的に宣伝していくべき。

  • 地方創生臨時交付金の増額が行われた一方で、地域にもよるが、日本銀行の統計でみると、地方の基金残高はまだ取り崩されていない状況。地方は、こういう時こそ国の補正予算に頼らず基金を活用すべき。

  • 新型コロナ対応を機に、行政サービスの共通性・独自性をどう両立させるかを含めて、改めて国と地方の役割分担を考えていくべき。

  • 地方創生臨時交付金が感染症対策としてどの程度効果をもたらしたのか検証が必要。

  • 新型コロナ対応を通じて、広域連携の重要性が再認識された。広域連携の深化・拡大を進めていくべき。

  • 人口減少が避けられないことを踏まえれば、地方行政の効率化の手段は、1統廃合、2アウトソーシング、3ICT化の3つ。

  • 公共インフラは、地域医療構想の考え方と同様、人口動態にあわせて、コンパクトに再編していくべき。

     

  • 行政の効率化はぜひ進めてほしいものの、基準財政需要額が減り、普通交付税の交付額が減ることで、地方自治体のインセンティブが削がれる可能性がある。地方の効率化にインセンティブが生じるようにしていく必要。

  • デジタル化について、どこにボトルネックがあるのか検証が必要。

  • デジタル行政の実現に当たっては、住民、地方自治体、国が一気通貫でつながることで初めて効率化の効果が出る。そのためにも、システムの標準化だけではなく業務プロセスの見直しが必要。業務プロセスのデジタル化ができれば、「見える化」も進展する。業務プロセスの見直しとデジタル化が進むよう、積極的に進めてほしい。

  • 情報システムの標準化に際しては、骨抜きにならないよう、細心の注意を払ってチェックしていただきたい。

  • マイナンバーカードの取得率は上がったが、それでも3割にとどまっている。この原因は「面倒くさい」というのが1番で、これをどう解消するかが問題。

  • マイナンバーカードは、取得率を上げることが目的なのではない。どのように活用していくのか議論していくべき。

  • マイナンバーカードやQRコードを活用したオンライン化、集約化を進めるべき。

  • マイナンバーの普及によって、真に支援が必要な人に迅速かつ確実に支援を提供できるようになるだけではなく、正確な所得捕捉に基づく公平な支援も可能になる。

  • マイナンバーカード取得率の向上により、行政の事務がどの程度効率化できたのかエビデンスを残すようにすべき。

  • 今後は、期限切れ・更新漏れの問題が出てくるので、マイナンバーカードの発行数だけでなく、実際にどの程度普及しているかを把握する必要。

【文教・科学技術について】

  • 大学改革について、総論として賛成であるが、大学関係者の協力が大切であり、また正しいKPIを設定することが大事。

  • 文科省は国立大学法人を適切にグリップして、護送船団方式で運営しないことを明確に示すべき。

  • 小中高大に共通される問題は組織がクローズドでタコ壺化しているということ。多様化を推進するため風穴を開ける必要があり、PDCAサイクルを回し、「見える化」した上で予算配分を進めていくべき。

  • 義務教育・高等教育両方について、その効果を把握するため、ランダム化比較実験を行うことが必要。

  • 予算配分のメリハリが問われている。資料で示されている学校の統廃合や効率化などによる余力を、いかに教育分野における有効な投資につなげるかが重要。一方、学校施設の統廃合に当たっては、立地等を考える際にも、防災の観点を考慮に入れるべき。

  • 任期無し教員を増やすためには運営費交付金が必要という声があるが、クロスアポイントメントや外部資金も活用する等の工夫ができるはず。

  • 国立大学への運営交付金の配分に「共通の成果指標に基づく相対評価」によりメリハリをさらに強化することについて、大賛成。

  • 大学に関し、多様な財源により教育研究の質を確保すべきとの御主張に賛同。

  • ITツールの普及により、教育インフラが整ったことはポジティブに評価できる。今後の、GIGAスクール構想に期待。AIドリル導入等により、学力向上も期待されるが、児童、生徒及び教師も余力時間が生じるため、導入による効果を最大限にすべき。

  • GIGAスクールについて、ICTが普及したのは素晴らしい。児童生徒らのデータは、単に優秀な児童生徒を特定するということのみならず、様々なデータの活用の仕方が考えられるので、工夫の仕方を考えるべき。

  • GIGAスクールに関連して、授業のみならず、学校の事務・校務のデジタル化を推進して教員の働き方改革につなげるべき。

  • ICT化について、一人一台端末など環境整備が進んでいるのは大変喜ばしいが、重要なことは端末をいかに有効活用するかで、教員の活用スキルを上げていくべき。産業界には、この分野の専門家が多いので、産業界が教育分野でも連携してお手伝いできるか一緒になって考えていきたい。

  • ICT化について、新型コロナの変異株の拡大を考えると、早く対応する必要。

  • ICT化については、保護者対応についてチャットボットを活用する方法等が考えられるが、これを実現するためには、必要な人材の投入などサポートシステムを同時に整える必要がある。

  • 義務教育について、外部人材の参加を図るというのは効果が見込める。週休3日制という話が出ているが、副業により外部人材が教育現場に参画する動きを促してもよいのではないか。

  • 学校施設について、運営と管理を分けるべき。運営は校長に、管理は地方公共団体の首長に分ける等しなければ、ガバナンスが進まないのではないか。

  • 教員の採用倍率が下がっていることは大きな問題。業務削減など働き方改革を進め、教員の負担を減らすことが重要。同時に、外部人材の活用を進めるべき。

  • 外部人材の活用は大いに賛成。また、先駆的な教育をやっている場合、オンラインの授業を地方でも受けられるようにすることや、保護者対応を一元化することにより教員の負担を減らすようなやり方も考えられる。

  • 義務教育における外部活用人材を進めるためには、義務教育現場におけるカルチャー変化が必要であり、そういった観点では、社会人経験者向けの教員免許を教育委員会から切り離すのも手段の一つ。

  • 教員養成課程もエビデンスベースではなくエピソードベースで行われているところ、教育の効果検証を進めるためエビデンスベースでの評価を導入してはどうか。

  • 義務教育の学校施設「横断的実行計画」について、先ほどの地方財政での発表含め、自治体リーダーによる経営マネジメント力が問われている。

  • 自治体の横断的な実行計画が必要という指摘はもっともである。自治体の境界を超えた場合の対応も考えるべき。ICTをうまく活用すれば、ある程度の行政サービスが維持できるということをと住民にアピールすれば、実行の理解を得やすいのではないか。

  • 学術界においてもマネジメント層を育てること、中高年以上の研究者の育成は重要。

  • 大学ファンドについては、運用が適切にできるか、運用益を広く薄く配分することにならないか、イノベーションに適切に貢献できるか、という点を注視。

  • 大学ファンドについて、GPIF並みの情報開示していただきたい。海外大学のファンドと日本の大学ファンドは原資が異なり、取れるリスクに差があることに留意すべき。

  • 大学ファンドについて、バラマキとならないよう注意が必要。さらに、今回の措置は時限的措置であって、将来的には大学が自ら資金を集め運用する必要。ファンドレイジング業務と同窓生業務を連携させた寄付金を集めるための体制整備も重要。

  • かつて「日本は技術で勝って商売で負ける」と言われていたが、今や技術でも負けているという不都合な真実を見つめる必要。

  • 科学技術について、国際競争力を向上させる観点から、負けてはならない分野と競争力を維持する分野を見極め、財源配分を行うとともにPDCAサイクルを回す必要。

  • デジタルやグリーン等の分野において、研究開発投資が、成果に適切に結びついているのか、厳しくチェックをお願いしたい。

  • 科学技術について、若手にお金をつけるのもよいが、より成果に焦点を当てるべき。高年齢でも成果を出す人には資金配分されてもよいはずなので、成果主義での評価を重視すべき。

  • 現在、資金を獲得しやすい分野が大学の中で地位を高めており、文系が理系よりも資金を獲得しづらい状況。だからこそ、ガバナンスが重要であり、資金を獲得しづらいような分野でも、研究の魅力だけによらず資金が担保できるような仕組みを設計すべき。