このページの本文へ移動

財政制度分科会(令和3年4月7日開催)議事要旨

財政制度等審議会 財政制度分科会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和3年4月7日(木)9:15~11:00

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    (委員)

    赤井伸郎、遠藤典子、大槻奈那、神津里季生、榊原定征、佐藤主光、十河ひろ美、武田洋子、土井丈朗、中空麻奈、増田寛也、宮島香澄、安永竜夫、秋池玲子、雨宮正佳、上村敏之、宇南山卓、河村小百合、木村旬、熊谷亮丸、権丈英子、小林慶一郎、末澤豪謙、角和夫、竹中ナミ、田近栄治、伊達美和子、田中里沙、冨田俊基、平野信行、広瀬道明、福田慎一、別所俊一郎、堀真奈美、神子田章博、村岡彰敏、横田響子、吉川洋(敬称略)

    (財務省)

    麻生財務大臣、伊藤副大臣、中西副大臣、船橋大臣政務官、元榮大臣政務官、矢野主計局長、大鹿理財局長、角田主計局次長、宇波主計局次長、青木主計局次

4.

    • 新任委員紹介、新任委員より自己紹介

    • 麻生大臣より新体制へ挨拶

    • 分科会長互選、分科会長代理指名

    • 部会設置、構成及び部会長指名

    • 事務局説明

  • 財政総論

    • 委員からのヒアリング

  • 「中長期試算の試算期間後の公債等残高対GDP比等について」

    土居 丈朗 委員

5.議事内容

    • 本日は、前半では新任委員を紹介し、財政制度分科会長互選と分科会長代理指名、部会設置と部会長代理指名を行い、後半では「財政総論」について事務局から資料に基づいて説明があり、委員からのヒアリングとして土井丈朗委員からお話を頂き、質疑を行った。

    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【財政総論について】

  • コロナ関係については、第3次補正を含めて大規模な対応を行っており、国民にきちんと支援していることが伝わるような見せ方が必要。同時に、平時の財政再建が重要ということを、国民と広く共有することも大切。

  • 中小企業支援は極めて重要だが、経営状況が厳しいという理由のみで支援するだけでは産業は成長できないまま。

  • コロナで格差問題が深刻になっており、所得再分配という観点も重要である。ある調査によると、新型コロナ以降、50%以上収入が減少した世帯は1割程度で、65%の世帯は収入が増えており、真に必要な者への支援に限定すべき。

  • リーマン時と比べると、生産年齢人口や企業業績等、当時と違う部分もあり、冷静に状況を見極めながら、危機モードからの脱却に向かっていくべき。

  • 感染抑制をしっかり行っていくことが、中長期的には財政のためになる。

  • コロナによる2020年度の出生数の大きな落ち込みは、潜在的な成長率の低下や将来世代の負担増につながりかねないことを訴え、財政健全化の必要性を理解してもらうべき。今後は一般向けだけではなく、ターゲットごとに向けた丁寧な発信が必要。

  • 若年層が貯蓄を増やしているのは、「今後はこれまでどおりにはいかない」という将来不安の表れ。政府が未来のことをしっかりと考えていると示すことが重要。

  • 企業が利益を上げるには、適正な値付けができるような経営という視点も必要。最近は、兆円単位のお金の規模に慣れているが、消費税1%で2.7兆円であり、歳出歳入の見直しを深く議論する必要。

  • PB黒字化の旗を降ろすべきではない。財政健全化に関し、税収を見通すのは難しいため、歳出の抑制に軸を置いて、目標達成を目指すべき。これまで目安が機能してきたところ、2025年PB黒字化目標の実現に向けて、どういう歳出改革の目安を設定するか、逆算ベースで考えるべき。社会保障費については、高齢化による増加分以上に社会保障費を抑えるという目標を立てるべき。

  • 過去に財政再建に成功した国は、1成長、2歳出改革、3増税を三位一体で行っていた。歳出改革の目安は一定効果があったことを踏まえ、引き続き、地道な歳出改革と目安の設定が必要。同時に、当初予算だけでなく、補正予算も一体で歳出改革に取り組む必要。

  • 土居委員の試算には大変意義があると考える。金利と成長率という観点に加え、人口構造の変化も見ていく必要。

  • 金利水準は経済や物価を勘案するのが原則であって、財政状況が厳しいから金利が下げられるというものではないと考えられる。

  • 日本は景気が良くなっても物価が上がらない状況を経験してきたが、米国においては、巨額の財政支出等によりインフレ懸念が生じ、実際に金利も上がり始めていることには留意が必要。

  • 短期国債の発行額が増えているが、短期債は海外投資家の保有率が高いことに留意が必要。

  • 過去、大量の国債発行と長期化を同時に進めた際、突発的な金利上昇が起きた事例もあり、注意が必要。

  • 成長率を高めることは重要だが、その結果自然利子率が高くなれば、日銀の低金利政策が難しくなる。成長率が高まれば金利が上がっていくということを踏まえ、効率的な財政運営、ワイズスペンディングが重要。

  • ポストコロナの経済構造の転換については、グリーンとデジタル、レジリエンスの3本柱が重要。

  • グリーン、デジタルについては、社会実装が促されて初めて意味がある。

  • グリーンについては、日本は、地理的条件により、社会実装する場が小さいという課題に留意すべき。世界中で社会実装する場を求める姿勢が重要。

  • デジタル化については、国・地方自治体におけるデータ活用による利便性向上のほか、コスト削減の程度も重要。また、予算の一括計上など進捗が見られたが、同予算を生産性向上に使っていくという大きな方針を明確に示すべき。

  • ポストコロナに向けた基金について、PDCAでしっかり評価していくことが重要。特に大学ファンドは一般会計から出資するのでしっかり注視していく必要。

  • コロナ対策に支出が必要であれば、スクラップアンドビルド等の財源確保策が必要であるという意識を持つべき。また、コロナ対策以外の恒常的赤字については、社会保障の受益と負担の在り方について考えていくべき。