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財政制度分科会(令和3年3月18日開催)議事要旨

財政制度等審議会 財政制度分科会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和3年3月18日(木)9:30~10:55

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    (委員)

    赤井伸郎、遠藤典子、大槻奈那、黒川行治、神津里季生、榊原定征、佐藤主光、角和夫、十河ひろ美、武田洋子、中空麻奈、藤谷武史、増田寛也、宮島香澄、上村敏之、宇南山卓、葛西敬之、河村小百合、喜多恒雄、木村旬、権丈英子、小林慶一郎、小林毅、進藤孝生、末澤豪謙、竹中ナミ、田近栄治、田中里沙、土居丈朗、冨田俊基、冨山和彦、平野信行、広瀬道明、別所俊一郎、堀真奈美、村岡彰敏、横田響子、吉川洋(敬称略)

    (財務省)

    伊藤副大臣、元榮大臣政務官、角田主計局次長、宇波主計局次長、青木主計局次

4.

    • 事務局説明

  • 令和3年度予算等について

5.議事内容

    • 本日は、「令和3年度予算等について」という議題のもと、審議を行った。

    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【令和3年度予算等について】

<委員からの御意見>

  • 財政赤字の問題は、先送りしてきた問題の中でも最大の問題。

  • 過去6割弱の確率で税収の実績が見通しを上回っているが、オイルショック、リーマンショック、新型コロナなどの危機時に大きく見通しを下回り、多額の補正予算を計上したため、結果として財政状況は悪化している。国際情勢の不透明感を踏まえれば、財政については、不測のリスクに備えるための余力(バッファー)を確保する必要がある。

  • 財政健全化を図っていくためには、中長期の財政計画を立てて、財政規律を立てるのが重要ではないか。

  • 中長期試算について、公債等残高GDP比が下がっていくことは、経済成長率と金利の関係として金利の方が低いという内閣府の試算前提が影響している。この前提が継続するのか等は検証する必要がある。

  • 当初予算に関して歳出改革の目安が働いていることは高く評価したい。2022年度以降の歳出改革の方針をしっかり定めることが重要。補正予算を打つとしてもその中身を点検・厳選して効果的にする必要がある。

  • 新たな予算をつけるのであれば、各種社会保障など、既存の財政支出の見直しが必要ではないか。

  • 新型コロナ対策の効果の検証や、収束を見据えた財政再建の道筋も検討すべき。検証すべき令和3年度予算の具体例として、35人学級や地方自治体の効率的運営、公共事業のコスト効率化などがある。

  • 令和3年度予算案は、デジタル化、脱炭素社会の対策が盛り込まれているが、いずれも、人材育成、労働移動がなければ成り立たない。包括的な雇用パッケージを導入すべき。

  • 民の力ではできない財政出動をするためにも、財政の持続可能性を取り戻しておくべき。官主導の財政出動だけでは自律的な経済成長は難しい。民の力を引き出すことが重要。

  • DXやグリーンを進めるためには、雇用の流動性確保や新陳代謝を前提とした社会づくりが不可欠である。

  • 株式市場は好調で成長率も高いが、格差が拡大していないかなど、全体論だけでなく、個別のミクロの部分も見ていく必要。

  • 国土強靭化について、ハード面の防災だけでなく、財政審ではソフトの重要性も強調してきたが、どこまで反映されたのか整理が必要。

  • 新型コロナによって財審の役割が更に高まった。厳しいことを言うのが財政審だと思う。専門的な話、各論も大事だが、国民のコンセンサスをどうとっていくかが重要。

  • 財政再建の議論を投げかけるのは難しいが、新型コロナのお金はどこからきているかという点を国民に意識してほしい。イギリスでは、スナク大臣が法人税の増税を発表したにもかかわらず、支持率が上がったという現象も紹介したい。

  • 格付けアナリストなら格下げをしたくなる状況。政府の債務は増加し、特に短期債務も増えている。財審等の場で財政健全化をしっかり進めていくというメッセージを発信していくことが重要。

  • 令和2年度第3次補正で規模40兆円の対策を行ったが、財政の悪化が深刻度を増しており、規模ありきではだめである。

  • 一時的な支援が恒常化することのないよう、広げた風呂敷を閉じる方向に舵を取るべき。

  • ワイズスペンディングについて、効果の検証は重要である一方、検証するためのKPIが見えづらいことは懸念。

  • ワイズスペンディングも大事だが、見せ方の工夫が大事。日本のグリーンは欧州に比べても十分な金額を計上しているが、うまく見せられていない。

  • 感染抑制が経済・財政にとって重要。飲食店への給付金などをある程度柔軟に行って、国民に行動抑制をお願いして感染者数を抑えていくことが長期的にはプラス。

  • 新型コロナにより発生した債務については、各国と協調して環境税等を導入するなど、国際協調の枠組みの中で債務削減していくという考え方はできないか。

  • 病床確保など、国・自治体から通知しても現場が動かないなど、政策と現場の乖離が浮き彫りになっている。諸外国に比べ病床数は多いのに新型コロナの病床数が足りないのは、改革策が分かっていたのに問題解決を先送りにしてきたツケの一例である。

  • 「求職者支援制度」は労働市場の柔軟性と補償や安定性を上手に組み合わせる制度と評価できる。雇用調整助成金を通じ、1つの会社における雇用維持も大切だが、労働市場全体の雇用を維持し、成長が期待できる分野への移動をはかり、生産性向上につなげることは大事。