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財政制度分科会(令和元年11月6日開催)議事要旨

財政制度等審議会 財政制度分科会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和元年11月6日(水)15:00~17:00

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    (委員)

    赤井伸郎、遠藤典子、大槻奈那、黒川行治、神津里季生、佐藤主光、角和夫、武田洋子、中空麻奈、増田寛也、宮島香澄、宇南山卓、葛西敬之、河村小百合、木村旬、進藤孝生、末澤豪謙、竹中ナミ、田近栄治、伊達美和子、田中里沙、土居丈朗、冨田俊基、広瀬道明、堀真奈美、神子田章博、村岡彰敏、横田響子(敬称略)

    (財務省)

    井上大臣政務官、宮島大臣政務官、阪田主計局次長、角田主計局次長、宇波主計局次長、阿久澤主計局総務課長

4.

事務局説明

  • 地方財政について

有識者ヒアリング

  • 「NIRA オピニオンペーパーNo.45整合性のある政策論議を~財政の長期検証なき社会保障論議への警鐘~」

    ― 小塩 隆士 一橋大学 経済研究所 教授

  • 「人生100年時代を支える財政・社会保障制度へ」

    ― 山藤 昌志 三菱総合研究所 政策・経済研究センター 主席研究員

5.議事内容

本日は、「地方財政」について、事務局から資料に基づいて説明があったのち、質疑を行った。また、講師として小塩 隆士 一橋大学 経済研究所 教授と、山藤昌志 三菱総合研究所 政策・経済研究センター 主席研究員をお招きし、それぞれお話を頂き、質疑を行った。

各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【地方財政について】

<委員からの御意見>

  • 令和元年度の地方財政計画において、折半対象財源不足がゼロとなり、臨時財政対策債の発行額が減少していることは評価。

  • 令和2年度の地方財政計画について、総務省の仮試算では、折半対象財源不足はゼロである一方、臨財債は増加する見込みであるため、臨財債の償還を進め、残高を着実に減らす必要があるのではないか。

  • 計画と決算の乖離について、地方税収が上振れた時と下振れた時の扱いが非対称であるのはそのとおりであり、是正が必要。

  • 交付税特別会計においては、30兆円を超える借入金があり、1年以内の短期借入で借換えを繰り返している。将来金利が上昇した場合のリスクが大きく、早期に償還を進める必要があるのではないか。

  • 地方交付税について、基準財政需要額の算定においては人口に比例する部分が大きい。地方歳出は、人口減少に伴い、それほど大きくならず、むしろ中長期的には減っていくはずではないか。

  • 歳出効率化効果をマクロの地方財政計画に結果的に反映させていないのは問題。地方団体のやる気は重要だが、歳出効率化効果の一部は財政健全化に充てるべき。

  • 自治体での業務については、徴税業務以外にも、同種の業務、共通の業務が少なくなく、システムの標準化、共同化を進めていく必要があるのではないか。

  • システムの標準化、共同化を進めるには、まず業務の標準化を進める必要。システムの入替えの時期に共同化を進めることが効率的であり、工程表を作成するとよいのではないか。

  • 上下水道の問題については、コストと料金の適正化・見える化を図ることが最大の課題。これが不透明なままでは、広域化や民間委託等のプレッシャーがかからない。

  • 地方財政に余裕があるときにこそ改革を進める必要があるのではないか。

【有識者ヒアリング】

<資料2に基づき小塩隆士一橋大学経済研究所教授から御説明>

  • 現在の日本社会が直面している、低成長・人口減少という転換期を乗り越えるためには、整合性のある政策を実施することが必要不可欠。

  • 政府が関わっている試算は、内閣府による2028年までの中長期試算、内閣官房など4府省による社会保障見通し、厚労省による年金の財政検証などがあるが、全体の体系化は不十分であり、体系化する必要がある。年金の財政検証も、年金という分野だけについての検証になっており、年金の持続可能性を保障する意味での財政の持続可能性というのは、そこでは十分議論されていない。

  • 財政見通しは歳出改革の想定にかなり依存している可能性があり、政府の経済前提を用いてEU等で用いられている一般的な歳出の想定を用いて計算をすると、政府の債務残高対GDP比は上昇を続け、財政の長期的な持続可能性が十分に確保されていないことが明らかになった。

<資料3に基づき山藤昌志三菱総合研究所政策・経済研究センター主席研究員から御説明>

  • 健康寿命延伸が大前提の上で、豊かで持続可能な社会を実現していく上で3つの柱があり、1つ目はエビデンスに基づいた技術の活用、2つ目は働き方、地域と就労の関係、3つ目は国にかかわる、社会保障制度改革をしっかりと行っていくこと。

  • 健康寿命が延びること自体は喜ばしいことだが、疾患リスクや一人当たりのコストの増加により医療費が増加し、これにより、財政の持続可能性を脆弱化させることとなる。健康でかつ働けるのであれば働いてもらい、税収は拡大する。その分ではとても医療費の増加を賄えないので、医療・介護の制度改革が必要。それでも足りない場合は、消費税増税などの財政措置が必要。この辺りを組み合わせで考える必要。

<委員からの御意見>

  • 長期推計は、社会保障以外の経費を物価上昇率ではなく名目GDP比一定で計上した場合には、財政収支が大幅に悪化するという点を示唆しており、今後もこれまでの歳出改革に倣い歳出を抑制する必要があるということを意味するのではないか。

  • 長期推計は、政府の検証に対する独立した検証であり、こうした取り組みを継続していくことが重要ではないか。

  • 長期推計のPDCAが必要。データをオープンにして外部の有識者が検証できるようにするのも一つの考えではないか。

  • 政府の試算を毎年チェックする仕組みづくりを政府においても行うべきではないか。

  • 年金の財政検証について、年金財政は大丈夫でもその裏で財政全体が悪化するというご指摘は大変重要。

  • 健康寿命の延伸に伴い、医療費の支出が増えるのはそのとおりだが、就業者の増加による増収に社会保障改革の効果を足せば全体として財政的にもプラスの効果が出る。社会制度改革が大事ではないか。

  • 財審としては、「予防は進める」という姿勢を保ちつつ、他方で「長生きをした場合には自己負担を増えて公費負担がかかる」という点を国民に理解してもらうことが大事。