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財政制度分科会(平成31年2月4日開催)記者会見

平成31年2月4日
財政制度等審議会 財政制度分科会


 

〔増田分科会長代理〕 お待たせいたしました。本日の14時から、財政制度等審議会の財政制度分科会を開催いたしました。

 本日は、平成31年度予算のポイント、31年度予算の編成等に関する建議の反映状況、中長期試算について事務局から説明をしていただいて、議論を行いました。

 そのほか、今後の当審議会の在り方についての意見も取りまとめておりますので、これからその議論の内容について御説明をしたいと思います。

 まず、予算の関係であります。

 冒頭、ある委員の方から、認知症の対策についての神戸モデルの紹介がありました。1月28日から、神戸市で「認知症の人にやさしいまち『神戸モデル』」として、個人市民税に400円上乗せをして、広く市民の負担のもとで認知症への対策を行い、その財源は市民の負担によると、こういう取組が始まりました。全国の自治体で大変好評だという御紹介と、是非財審でもこの取組を参考にして、一般財源からの拠出だけではなく、こうした共助の在り方も考えるべきと、こういう意見をいただきました。 

 次の委員ですが、来年度の当初予算について、臨時・特別の措置を除けば100兆円未満ということですが、国民からすれば、総額で今後の発射台が100兆円を超えたと認識をしているのではないか。これからの人口減少の中での適正な政府規模はどの程度なのか議論しなければいけないという意見がございました。

 別の委員の意見です。社会保障関係費の全世代型への対応ということで、この方向性は評価をすると言っております。それから、消費税率の引上げに伴う需要変動対策ですが、果たして政策効果が本当にあるのか、今後しっかりと見ていかなければならないという意見であります。そして、今後について、財政の大きな将来像や税財政の道筋を国民に見せていくことが必要であるとのことでした。

 別の方の意見でありますが、今、問題になっております基幹統計の不正についてであります。その基幹統計の不正で見通しが狂ってしまうと、よくEBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングと言っていたわけですが、EBPMに不可欠なエビデンスがそもそも信じられないという事態になるため、正しい統計に向けた取組が必要であることを強く申し上げておきたいという意見であります。

 別の委員の意見ですが、先月の下旬に経済財政の中長期試算が出ました。IMFや、海外の成長見通しが軒並みピークアウトしている中では、中長期試算のうち、高目の成長見通しである成長実現ケースではなくて、ベースラインケースで議論することが重要ではないかという意見をおっしゃっております。

 別の方の意見ですが、この方は、関西でインバウンドが増えているけれども、外国人観光客が来てストレスに感じているのは、1つは情報が少ないということ、もう1つは現金とか小銭がないと支払いができないということだと。特に、後者の問題については、来年度の当初予算の中で、消費税対応策としてキャッシュレス対策も入っているわけですが、そういうキャッシュレス対策も考慮しながら、早急に対応を進めてもらいたいという意見をおっしゃっております。

 別の方の意見です。この方は防衛予算についてです。防衛装備品について、歳出の合理化を行ったとしているけれども、さらなる方策として包括契約の取組も進めてほしいという意見であります。

 別の方の意見ですが、社会保障関係費について、それを抑えたというのは良いことだけれども、従来から掲げていた抑制についての44項目の対策があって、この44項目もPDCAをきちんと回しながら進めていく必要があるという意見でありました。

 別の方の意見です。教員の働き方の関係であります。働き方や、教員の業務の適正化に関することについて、予算の中で反映されていて、まず第一歩としてこれを前向きに捉えたいという意見であります。そしてその後、具体的にどのようにしたら教員数を縮減できるかという点に踏み込んだ、建設的な議論となっており、今後、さらに議論を進めていくことが必要という話であります。

 別の方の意見ですが、この方も消費税率の引上げに対応した臨時・特別の措置について言及していますが、引上げによる影響を緩和するとあるけれども、もともと消費税率引上げは、将来世代の負担を緩和するという考え方に基づいて実施されているということを改めて認識する必要があるのではないかという話であります。

 別の方は、補正予算についてまず話しておりまして、補正予算が毎年のように組まれている中、中身をどのように厳しくチェックして支出総額を増やさないようにするのかについて、中長期的な仕組みをつくっていくことが重要ではないかということと、消費税率の引上げについて、2.3兆円の措置が必要ということは理解できるが、こうした臨時・特別の措置をずるずる続けないで、財源を財政健全化に回すことをどう進めるか、これが今後、非常に重要な議論だとおっしゃっていました。

 別の方の意見ですが、予算から受ける金融市場の反応について、金融市場というのは非常に単純であって、財政について分かりやすいメッセージを常に発信するということが必要であって、今回の予算についてもそういうような分かりやすいメッセージの発信が、今後必要になってくるのではないか。それから、消費税率引上げの対応としての臨時・特別の措置ですが、これについては効果があるのか、しっかりと今後検証していく必要があるという話であります。

 別の方の意見ですが、1つは統計の不正についてであり、これは由々しき問題で、今後に向けてきちんと対応していくべきという意見。あと、建議の反映状況について、中の資料にも、どのように予算に反映されたかという資料が出ているのですが、その中で関係審議会において検討とか、必要な措置を検討、といった状況のものについては、反映状況をもっと掘り下げてフォローしていくべきだろうという意見でありました。

 全体の予算についての意見は以上であります。

 それから2つ目、資料の中に入っておりますが、財審の在り方について委員の中からいろいろ意見をいただいて、取りまとめをしております。これは、昨年の秋の建議の際に、会長のほうからも会長代理の私と起草委員に対して、今後の在り方について委員の中の意見を取りまとめくれという指示があって、お手元にある3枚紙をたたき台として、本日お諮りをして、案が取れまして、皆様方からこういう意見の整理でよろしいということで了解をいただいたものであります。

 重要な部分は下線を引いてあるところでありますけれども、これを議論した際に、ある委員の方から、この資料の中には国民と直接対話する機会を増やすと触れておりますが、国民に伝わる情報発信には、要素をかみ砕いて相手の方々それぞれに応じた発信とすることが重要だと。大半の人が理解できる統一的な資料を財審で整理するなど、今まで以上に何かの新しい方法を考える必要があるのではないかという話がありました。

 次ですが、今と似たような意見でありますが、伝え方を工夫することが大変重要であって、分かりやすさだけではなくて、内容のバージョンアップが必要ではないか。この委員は、我が国の財政状況はもう、特に先進国の中で未知の領域にあって、高齢化が進む中でPBの黒字化が非常に難しい中、財政は破綻しないと言われたときに、国民にどうやって説明するかを考える必要があると。したがって、SNSとか、伝える方法にばかり行かないように、内容のバージョンアップも必要ということで、くぎを刺されたというふうに理解しております。

 最後に、この方は関西在住の方なので、東京で議論していると、関西から見てその議論は非常に遠いという印象がある。全国津々浦々まで、もう少し距離感が伝わるような取組を考えられないかという話がありました。

 意見は、これまで何回か全員に意見照会をした上で取りまとめたということでありますので、それほど大きな異論はなく、この形で取りまとめられましたが、今後これをたたき台にして、どういうふうな方策を実行していくかについては、財務省で考えるべき話でもありますし、財審のほうで実行すべき話もありますが、これからの実行策が問われるのではないかと思っております。

 以上であります。

 あと、もう1つ別の資料で、平成の財政を振り返って、次の新たな時代に向かう意見募集を行ってはどうかという提案を榊原会長がされまして、各委員が了承して、具体的には本日から実行するということになります。その意見募集の概要についてはお手元の資料4を御覧いただきたいと思います。

 我々は昨年11月の建議で平成の財政の総括を行いましたけれども、財政健全化を実現するために、広く国民一人一人に、財政の問題について当事者意識を持って考えていただくことが必要だと、こういう認識で、平成から次の新たな時代に向かうこの機会に国民の皆様方から意見を募集しようと。そこで、本日から4月5日の金曜日まで約2か月間、国民の皆様方から財政健全化に向けた御意見を伺いたいと考えています。もちろん、財審なり、それぞれのところで、どういうことが必要かということを考えるわけでありますけれども、さらに国民一人一人からも問題を吸い上げて、その過程で是非国民の皆様方にも、当事者意識を持ち、こちらの考え方をさらに深く理解していただく上でも、こういう試みを行いたいと思っております。

 我々の任期が3月までということになっていて、その後、新しい財政制度分科会が立ち上がりますから、集まった意見については、意見募集の期間の関係上、新体制で整理していただくということを想定しておりますが、取組は本日から意見募集を始めるということであります。

 私からは以上であります。

〔幹事〕 ありがとうございました。何点か教えてください。

 まず、委員の意見の整理案の案が取れた資料3ですけれども、前提として昨秋の財審の建議が今回の予算にどの程度反映されたのかという評価の部分を教えてください。

〔増田分科会長代理〕 建議はかなり大部にわたりますけれども、おおむね予算の中に建議で言っていることは反映されたのではないかと評価をしております。その中で幾つか、今回の建議の反映の資料の中でも、引き続き検討課題として整理されているものがあって、これについては今回の予算に反映されずに、引き続きの持越しということになっていますが、全体として見ると、建議で指摘したことについては予算の中におおむねの項目は反映されたのではないかというふうに考えております。

〔幹事〕 それに関連しまして、発信力の強化というところで、当審議会の存在意義は政策にどこまで反映されるかに直結していると言っても過言ではありませんが、改革の方向性として発信力の強化につながるというのは、今は専門家の方たちだけで議論しているけれども、国民を巻き込んでいなくて、今後政策にどうやって反映させるか、そこの力をつけていくと、そういう流れということなのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 やはり財審のメンバーとすると、財政の現状が非常に厳しい今の国家財政の状況を国民はどれだけ理解できているのか、その辺りがまだまだ不十分であって、それをどうやって伝えたらいいのか。国民からしてみると、行政、あるいは国や地方公共団体のいろいろなところでやるべきだと考えていることが非常に無数にあると思うのですが、今の財政状況の中で、どれを優先していくのかという点で意見が非常に分かれてきますし、財政の状況が基本にないと、どんどん財政が肥大化することになると思います。

 一方で、我が国は歴史的に見ると、国民に対して負担を求めていくことについて、政治がその時々で対応してきたとはなかなか言いがたい状況もあると思います。財政の状況がきちんと理解された上で初めて財政健全化という話も出てくるものだと思うので、財審も、今まで財政当局に対して建議という形でいろいろ言っておりましたけれども、それはそれで当然進めながら、ただ、財審のわずか40人ぐらいのメンバーと財政当局だけの議論ということではなくて、国家の一番基本となるような議論は、国民の基盤の上で議論していかなければいけないのではないかということ。

 財政の内容が複雑化するにつれて、やはり使う用語も非常に専門的になって、どんどん細分化していく。そういうことについて、もう一度、国民を基軸とした取組を進めていくべきではないか。このような問題意識で、委員の意見の整理を行ったところであります。

〔幹事〕 最後に1点、資料3のⅡ.改革の基本的方向性について質問ですけれども、①で先ほども言及がありましたが、「エビデンスに基づき」という表記に関連して、厚生労働省の不正問題というのをどのように捉えていらっしゃるのかという点と、②の中で財政に関する長期推計を行っていくというお話がありますけれども、同じ配付資料の中で内閣府のものが出ていますが、成長実現ケースなどは民間の予測などに比べて非常に高目に出ており、甘い見通しではないかというような指摘もあるわけですけれども、財審として、民間シンクタンクも連携しつつこのような長期推計を別途行っていく問題意識の部分について教えてください。

〔増田分科会長代理〕 基幹統計の問題が認識されたのは極めて最近ですが、やはりこれは大きな問題で遺憾なことですし、政策の基礎が崩れてしまうので、私どもも大変危機的に捉えております。

 それからもう1つ、財審の今後の在り方について、意見の中で財政に関する長期推計を行っていくというのは、実は昨年の11月からこういう取りまとめをしていた、非常に初期の段階から出ていた話であって、例えば昨年の春も財審の中で、財政に関する長期推計を一つの議論の参考にして行ったという経緯もあるので、国の基幹統計の最近の問題を受けて、急遽何か新しい推計をこちらのほうで行うというものでは決してありません。要は、判断する材料を多様な視点でいろいろ設ける必要があるのではないか。それから昨年は、経済同友会の財政についての将来の見通し、推計などのヒアリングも行いましたし、民間や、それから財務省も財務総合政策研究所というシンクタンク機能を持っていますので、そういう民間の蓄積だとか、財務省の蓄積も入れて、広い資料のもとでこれからの財政を考えていくべきではないかということでこれを入れてあります。

〔幹事〕 ありがとうございました。

 幹事社からは以上です。各社さん、お願いします。

〔質問〕 2問お伺いいたします。1つ目は情報発信のところで、SNSを含めた情報発信の在り方について検討を進める必要があるとありますけれども、具体的に、SNSといってもいろいろあるものですから、何かこういうものというイメージがあれば教えていただきたいのと、それによってどういうメリットがあるとお考えなのか、もう少しかみ砕いていただければと思います。

〔増田分科会長代理〕 具体的に、どうやるかまでの議論はありませんでした。ただ、そのことを言っている方の背景にあった意見の中で、やはり速報性・同時性を重要視しているというか、内容を議論している段階でSNSを通じて発信して公開していくような、そういうイメージでおっしゃっていましたので、やはり適宜、時期に応じてどんどん一般の人たちの意見を広く取り入れるようなイメージでおっしゃっていたと思います。具体的にどういう形でやるかという議論は、中では共有しておりません。

〔質問〕 大体イメージするのはツイッターとかですが、そのようなイメージですか。

〔増田分科会長代理〕 具体的になると、それぞれの良し悪しがあり、またあまりに限られていると内容がきちんと正確に伝わらないとか、そういう問題があると思うので、そこは非常に意見が分かれるところだと思います。

〔質問〕 もう1点、アイデア募集のほうですけれども、アイデア募集の狙いというところで、先ほどもお話あったかと思いますが、これは今まで考えていた範囲だけではアイデアが足りないということなのか、それとも、募集することによって、もっと関与してほしい、考えてほしいということなのか、どのような狙いが特に大きいのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 私は、やや後者のほうに重きを置きたいと思っていますが、委員の中には両者を考えている方もいらっしゃると思います。やはり国民に我が事として考えていただくという手段としてアイデアを募集して、そこで1回、国民に今の財政状況を見てもらって、意見があれば出していただくということだと思います。財審には専門家がそろっていますが、財審内ではすでに相当議論があってもうアイデアが枯渇したとかそういうつもりは全然なくて、やはり国民の皆様方にどれだけ我が事として考えてもらえるかという一つの手段として考えていただく。それからやはり財審は敷居が高く、先ほども委員の意見として紹介したように、東京の財務省という建物の中だけで集まって議論しているように、大阪からは見えるというようなこともあるので、そういうところを超えて、広く国民の皆様方の中に一つ入っていくというか、国民の中にどんどんそういう考え方を伝えていく一つの手段ではないかと思います。

〔質問〕 この平成という時代が、政治の歳出増圧力に抗えなかったとありましたけれども、その裏には世論があるわけで、世論が財政健全化を受け入れていかないといけないと、そういう認識でしょうか。

〔増田分科会長代理〕 財審が世論を変える力を持ち得るとか、あるいは世論が変わらなくてはだめだとか、あまり上から目線的に言うつもりもないのですが、やはり最終的に民主主義というのは国民であり、そこで健全性が保たれるので、皆様方が判断する上で、あるいは考えていただく上で、必要な情報を過不足なくお伝えできればという気持ちで、やはり国民に直接働きかける一つの手段として考えたいと思います。

〔質問〕 ありがとうございます。

〔質問〕 来年度予算案についての委員の意見で確認ですけれども、100兆円フレームについて、適正規模か議論していかなければいけないと言った委員と、臨時特別の措置についても政策効果があるのかしっかり見ていかなければいけないと言った委員が2人いらっしゃいますけれども、この3人の方は、いずれもこの予算のフレームや額に対して批判的な立場で述べていらっしゃるのか、その辺りは分かりますか。

〔増田分科会長代理〕 その方々が100兆円にどれだけ意味を持たせているのかということまでの御披露はなかったのですが、これから人口減少の中で、国家の予算規模がこれでいいのかという視点で今まで実はあまり議論していなかったのではないですかという問題意識だと思うんですよね。

 今回の臨時・特別の措置についても何人かの方が触れていましたけれども、2年間ということですが、一方で災害等があった際に補正予算でいろいろ対応したり、財審とすると、補正予算でいつも歳出が肥大化するではないかという危機意識があり、本予算のほうでも、今回、消費税の引上げについての対応策ということでいろいろな項目があったものですから、その対応策をとったものについて、今の段階ではそれが過不足なく行われたものかどうかという評価はできないので、今後きちんと評価をしなければいけないという財審としての議論の方向性を示されたのではないかと、私は理解しています。

 その上で、規模として適正なものかの議論をしなければいけないのではないかと、その人は言っているので、今の段階で、100兆円を超える予算が過大だとか決めつけた言い方はしていなかったと思います。

〔質問〕 臨時・特別の措置で、ポイント還元制度などがありますけれども、このような具体的な政策が本当にワークするのかとか、そういう意見はございませんでしたか。

〔増田分科会長代理〕 今の段階で、これについて、こういう仕組みになっているからワークするかとか、そういう話はありませんでした。これからまた、いろいろ政府で検討して、10月までに具体的にどうするかが決まっていくと思うので、政策が行われた後、それが本当にうまくワークしたのかどうかをきちんと財審で見る必要があるという意見でした。

〔質問〕 そういう意見はありましたか。

〔増田分科会長代理〕 ありました。

〔質問〕 同じく臨時・特別の措置で、ワークするかどうか以外に、始めてしまったらやめるのは難しいのではないかという意見は特になかったですか。

〔増田分科会長代理〕 それはなかったです。まだそこまでの突っ込んだ意見は出てこなかったですね。要するに、臨時・特別の措置にはいろいろ書いてありますが、それがどういう効果だったのかきちんと検証しましょうと、そこまでの話でした。

〔質問〕 財審としてこういう作文を募るのは、今回初めてということになりますか。

〔増田分科会長代理〕 審議の在り方や今後に向けての文書の公募は、少なくとも私の記憶はないですね。

〔質問〕 財務省としても、資料4にあるような、作文コンクール的なことをされたことはあるのですか。

〔調査課長〕 この手のことは初めてだと思います。作文コンクールというのが適切かどうかは分からないですが。

〔質問〕 要するに、資料3の中の現状認識のところの「加えて……」という部分の問題意識が具体化しているものが意見募集というような認識でいいわけですか。

〔増田分科会長代理〕 そうだと思います。財政の問題については、財政の仕組みぐらいは教育の中でも取り組まれているけれども、今現在の状況だとか、社会保障制度がこれからどういう形で、年金や医療、介護がどういうふうになっていくかということを、十分に伝え切れているか、あるいは国民の中に広く浸透しているかというと、結局そこがなかなか思うようにいっていないという問題意識を財審は持っていますから、そこで国民の皆様にどうやって伝えたらいいのか、あるいは考えてもらったらいいのか。やはり意見を募集するということは、各自皆、今、どういう状況になっているかということを踏まえて、いろいろ意見を言ってくるでしょうから、資料4の意見募集をとおして、国民の皆様方に自分事として受けとめてもらう第一歩とする、そういう意味合いが強いのではないかと思っています。

〔質問〕 分かりました。ありがとうございます。

〔質問〕 2点お聞きします。1つは、補正予算の話ですけれども、補正予算にもっと規律をもたせるべきだというのは、毎回財審でおっしゃっている話だと思いますけれども、今回、財審の改革に取り組むに当たって、これを機に本格的にやろう、要は通常の予算編成、本予算と同じような仕組みにしようではないかとか、そういう具体的な話はなかったのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 今までも何回か問題になっていて、今回も補正について先ほど御紹介したような言及はあったんですよね。今年度、非常に災害が多発しており、多くの皆様方の認識として、今年、ある程度の補正を組むのはやはりやむを得ない状況であるという認識はあると思いますが、補正予算についての在り方については、財審としても、財政規律が緩まないようにという問題を指摘しており、その問題意識は変わらないと思います。これからも引き続き補正予算については検討しなければいけないと、財審の委員皆に対しての注意を促すような言及は本日ありました。

〔質問〕 ありがとうございます。

 もう1点、意見募集の部分ですけれども、正直、財審の存在自体が、国民に広く知られているかというとそうではないと思います。そういう状況で、こういう作文募集とかをしてしまうと、要は既に分かっている人、プロの人たちからしか意見が来ないと思うのですが、正直、何通ぐらい来るという予想、もしくは目安はおありでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 そういうKPIみたいなものは持っていなくて、やはりやってみないと分かりません。財審の意味とか役割というのは、当然、募集するときにそれをつけて、その上で財審というのはこういう役割を果たしていて、その財審に何か皆様方の意見を寄せてくださいというものですから、その辺りから分かりやすい議論が必要かなというふうに思います。

 それと、多くの意見数を期待するというよりは、それほど数が集まらないとしても、国民の考えている中身や相場観は一体どういうものか、そちらのほうをできるだけ集めたい、出していただきたいという気がします。

 財審に対しての存在が分からない、期待が全くないみたいなことですと、非常に寂しい感じはしますが、いずれにしても、それはそれとして現実の姿がそういうことであれば、さらに別のやり方で発信力の強化を考えなければいけません。会長も私も同じですが、まず第一歩、一度こういうことを始めてみて、一体、今、財審というのは国民の中でどういう認識の対象になっているか、ということを知ることも大事ではないかと思います。

〔質問〕 私は、先ほど質問でも申し上げたように、いわゆるプロからの意見が来るのかなというふうに思っていたのですけれども、皆様は割りと素人からも来るとお考えですか。

〔増田分科会長代理〕 プロからも来るかもしれませんし、プロの方ももちろん大事ですけれども、国民全体に広く浸透し、国民が十分にみずからの問題として受けとめていないという現状があるので、本当に今まで財審は敷居が高いと思っていた人たちの意見提出は大歓迎だなと思っています。そこが一番、これまで我々として触れてこなかったところ。プロの人たちであれば、批判も含めていろいろなやり方でやりとりはできると思うので、そのあたりを期待したいと思います。

〔質問〕 今の話に関連して、意見募集の件で、集まった意見をどうするかというのは新体制で考えていくということでしたけれども、現にもう本日から意見募集が始まってしまうので、具体的に持っているイメージなり、何でも教えていただければと思うのですが、財審の中で意見をまとめて、それを紙にして話し合うんだとか、あるいはほかにいろいろ具体的な考えがあるのかとかその辺りについて、意見をどう活用していくのか。

〔増田分科会長代理〕 締切りの関係もある中で、あえて申し上げるとすれば、やはり来た意見を委員の中できちんと共有することが必要だと思いますし、それからやはり、名前とかいろいろなところをどう処理するかは別にして、広く国民の中で共有される必要があるだろう。

 その上で、それを春だとか秋の審議の中でどう処理するかは、次の財審のメンバーの人たちの見識にかかわってくるところなので、なかなか申し上げられませんが、一般論でいうと、こういう意見募集をして何の応答もないということは非常に無責任な形になりますので、何かしらの形でやはり国民、あるいは応募してきた皆様方に応答していくというようなことが必要になってくるのではないかと思います。これについては、次の体制の中で考えていただきたいと思います。

〔質問〕 今の話に関連して追加の質問なのですけれども、もともと昨年11月の建議の中でも、「一部の専門家や関係団体だけで議論が行われることとなれば、財政の議論が民主性を失い、財政健全化に対する国民的コンセンサスを醸成する妨げとなる」と書かれています。

〔増田分科会長代理〕 はい、そう書きました。

〔質問〕 意見を書く側も、その意見がどう扱われるのかが分からないと、書く気もあまりなくなってしまうと思うので、何かしらのフィードバックというのは検討事項ではあると、そういうことですね。

〔増田分科会長代理〕 そうですね。

〔質問〕 意見募集の提出方法、提出先の詳細は財務省ホームページに掲載予定ですとありますが、これはもうアップされていますか。

〔調査課長〕 本日この後掲載します。

〔質問〕 秋の建議といい、今回の異例の取組もそうだと思いますが、やはり平成が終わるという背景が、委員の方々の意識にあった、あるいは背中を押した部分にあったのか、その辺りについて、どう受けとめていらっしゃるか教えていただけますか。

〔増田分科会長代理〕 秋の建議の書きぶりの背景については、やはり時代の節目ということがあり、平成の始めから終わりに向かっての財政状況の悪化に対しての危機意識、あるいは、十分に財審がその歯止めにならなかったという一種の焦燥感みたいなものがあって、さらにバックボーンには、やはり国民の皆様方に十分伝え切れていないがゆえに今の事態を招いたという問題意識がありましたので、それを踏まえてこういうやり方をとったということです。

〔幹事〕 ほかは、よろしいですか。

〔増田分科会長代理〕 はい。それではありがとうございました。

(以上)