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財政制度分科会(令和元年5月22日開催)記者会見の模様

令和元年5月22日
財政制度等審議会 財政制度分科会


 
〔幹事〕 では、よろしくお願いいたします。

〔増田分科会長代理〕 財政制度等審議会の財政制度分科会を開催しましたので、その内容について御報告申し上げたいと思います。

 本日、15時から17時5分まで開催をいたしました。

 テーマは、3本立てになっておりまして、5月13日に大阪で行った地方公聴会の報告、これが最初、それから2つ目が地方財政について、そして3つ目が財政に関する広報について議論したと、こういうことであります。

 地方公聴会については事務局から報告をした後、3つ目の財政に関する広報とまとめて議論するような形になりましたので、これから会議での委員の方々からの御意見を紹介していきますが、地方財政についての部分を先に紹介して、その後、まとめて大阪での公聴会、財政に関する広報についての部分という順番で御紹介をしたいと思います。

 まず、地方財政について、臨財債ですが、個別団体の中には自らの債務との認識がないところもある、こうした認識を改めていくことが重要ではないかと、こういう意見であります。

 次の委員でありますけれども、地方にとって今、一番の制約要因は、ヒト・モノ・カネのうちヒトになりつつあると。これまで住民サービスの受け皿は市町村となってきたが、こうした認識を改めて広域連携を進める必要があると、こういう意見です。それから、本年10月から始まる幼児教育の無償化です。これまで自治体が単独事業で行ってきた部分がありますので、今回、国費が入ってきた時に、浮いた財源がどのように使われていくのか、ここをきちんと見ていく必要があると、こういう御意見がございました。

 次の委員でありますが、世界経済の見通しが下方修正されてきていて、今後も順調な地方税収が続くか分からない。したがって、特会借入金の償還など、税収が良いときに着実に、財政健全化を進めることが重要だという御意見です。

 次の方ですが、地域医療構想などの計画をどう実行に移していくかが重要であって、公聴会で紹介されたような頑張っている自治体、例えば先般の大阪で行われた地方公聴会に出てきた滋賀県、奈良県、大阪府などの自治体の取組を横展開することが重要ではないかという御意見です。

 次の委員ですが、人口減少が地方でこれから進んでいく中で、各自治体で住民サービスをどう維持していくかが課題であって、IT化などによって事務の効率化をより進めていくことが重要であると、こういう御意見であります。

 次の方でありますが、国民健康保険の財政運営の主体が、従来の市町村から都道府県になったわけでありますけれども、医療介護について、都道府県が積極的な役割を果たしていくべきであるという認識をさらに広めていく必要があると、こういう御意見でありました。

 次の方の御意見ですが、この方も自治体の業務の関係であります。業務のデジタル化については、先行事例を横展開するなどの取組が効率的ではないかという御意見でございました。

 ざっとでありますが、地方財政については以上であります。

 次のテーマでありますが、地方公聴会、それから財政に関する広報の関係、こちらについての質疑の状況であります。

 まず、初めの委員でありますが、大阪の地方公聴会では、会場に来られた方々、あるいはインターネット中継を見ておられた方々が、公聴会で取り上げた国民健康保険の制度改革について、いろいろ3県がこういう取組をしているということを紹介したわけですが、それを見た人や、ほかの県が、この3県の取組はすごいと、うちでもやろうと、そういう雰囲気づくりが重要だと、こういう意見であります。

 次の方の意見ですが、地方公聴会について、今回の経験を生かして、財審の各委員が数名ずつ分担して、いろいろな全国の地域に行くという形も考えられるのではないかという御意見でありました。

 次の委員であります。大阪の地方公聴会にも財審の委員として参加された方の意見ですが、公聴会は大阪でも話題になり、市民にもアプローチできたのではないかと思います、ということです。この方も、今後もさまざまな地域でやっていくことは意味があると、こういう御意見であります。

 もう一方、この方も大阪での公聴会に参加した委員の方でありますが、公聴会はうまくいったと感じていると。滋賀県、奈良県、大阪府の知事等が具体的な事例を紹介した点が非常にうまくいった要因ではないか、今後も是非やってほしいと、こういう意見であります。

 次の方の意見ですが、この資料の中で財政教育についての御紹介があったのですが、財政教育についてはツールも素晴らしく、これを継続していくべきという御意見であります。

 別の方でありますが、財政についての広報ということでありますが、その方は大学で教えていらっしゃる方で、ロールプレイングをやると一番理解が深まっていると言っておられて、例えば授業の中で模擬財審のようなことを過去の財審の資料を使ってやってみるとか、そのようなことはどうなのかという提案がございました。

 次の委員の意見でありますが、テレビでいろいろ財政についてやっているけれども、正確なことをしゃべり、誤解を解くというだけではなくて、更に進んで、では自分たちで何ができるのかということを考えてもらうことにつなげていくことが重要だと。財政が大変だと分かった人が、それじゃあ明日からこういうことをしようと、できることを示す、アクションにつながる何かを埋め込んでいくことが重要だと、こういう意見であります。

 次の方ですが、この方は、どう広報するかについて、これはもう、特に一番リーチしたい、若者たちに意見を聞いてみるということが考えられるのではないかと、こういう意見でありました。

 次の方ですが、財政について大事だとは考えているけれども、自分事として考えているわけではないという人が多いと思う、こういう意見をおっしゃっています。

 別の方でありますが、財政について、財務省の職員たちが出ていってやるというのはやはり限界があるので、財政のことについて伝えてくれる人をどう増やしていくのかが重要ではないかと。この人は、例えば学校の先生が一つのそういう人になるのではないか。次は自治体の職員、住民の近くにいて、財政がきつくなったときにどんなデメリットが大きいのか、具体的な話ができる。あとは学界ではないかと、こういう話でありました。

 別の方であります。若者へのアプローチについて、財政というテーマ設定をすることでもう、若い人たちはその段階でそもそも興味を持たない、引いてしまう。高校の授業として「公共」という科目がこれから始まるわけですが、「公共」ということでもいいかもしれないけれども、もっと大きな枠組みの中で、応用問題として財政を語ることが重要だと、こういう御意見でございました。

 大変雑駁ではありますけれども、本日出た議論の御紹介は以上であります。

〔幹事〕 ありがとうございます。各社さん、お願いいたします。

〔質問〕 地方財政のほうで、委員の意見の中で、臨財債が自らの債務との認識がないという意見の御紹介がありましたが、これはどういう点がそういうふうに見えているということでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 自治体行政に携わっている人の多くが感じていることかもしれませんが、地方の債務であることは変わりないのですが、その中で臨財債については、後で交付税で補塡されるので、これはあまり心配ありませんということを自治体が住民に言う。借金の中には含まれているけれども、臨財債の部分については別です、というような認識が自治体において多い。

 これは臨時の措置として新たに作った制度なので、これは少し別に考えましょうと、こういう言い方をしていると。臨財債については、結局、借金には変わりないですけれども、そのような見方を、自治体などが言うと、住民の方もあまり借金と考えないのではないかと、そういうことであります。

〔幹事〕 ほか、よろしいでしょうか。では、ありがとうございました。

〔増田分科会長代理〕 どうもありがとうございました。

(以上)