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財政制度分科会(令和8年6月26日開催)記者会見の模様

〔幹事〕それでは、始めさせていただきます。

冒頭何か御説明がありますでしょうか。

〔増田分科会長代理〕それでは、私から御説明申し上げます。

本日は15時半から、財政制度等審議会財政制度分科会を開催し、春の財審で行ってまいりました議論を、「人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営」と題した建議として取りまとめをいたしました。

この建議の中では、経済力の強化と「投資と賃上げの好循環」の確立、人材希少社会における人材力の強化、不確実性が高まる中での経済社会の設計などの重要性を提言した上で、財政運営については、危機管理投資、成長投資を含め、多様な財政需要が同時に存在していく中で、全体として財政規律との整合性を確保しながら予算編成改革を進めること、不確実性の時代においてリスクマネジメントの視点が不可欠であり、有事への対応余力を確保するため、平時から債務残高対GDP比を安定的に引き下げる必要があることなどを提言させていただきました。

また、各論では、社会保障について、社会保障負担率の具体的な数値目標と年限を明確に掲げて、その達成に向けた具体的な改革項目の工程表を作成すべきこと、この工程表に沿って改革を着実に実行し、負担率を引き下げ、現役世代の負担を軽減するとともに、経済全体の賃上げ政策と相まって家計可処分所得の持続的な増加につなげていくことが重要であることなどを盛り込んでいるところでございます。

そのほか、各論についてはいろいろ分野ごとに書いてありますが、この場では省略させていただきます。

今申し上げました建議についてですが、先ほど片山大臣に大臣室でお渡ししてまいりました。今後の財政運営に生かしていただくように、その場で会長から大臣にもお願いをしたところでございます。

私からは以上でございます。

〔幹事〕ありがとうございます。では、幹事社から質問させてください。

高市政権は、新たな投資枠を創設するということになりました。これによって今後巨額の財政支出が予想されると思うのですが、これが財政規律に与える影響について、どのような議論が特に大きな論点になったのか改めて教えてください。

〔増田分科会長代理〕お話のとおり、危機管理投資、成長投資ということで別途、今、成長戦略会議で議論が行われているというところで、間もなく骨太などで取りまとめられるのであると思います。やはり今の非常に様々な問題が蓄積していく中で問題が非常に複雑化していますので、それを踏まえた形で成長戦略を確実に成功させていく必要があると、一つはそうしたふうに思っております。

ただ一方で、財政規律と成長戦略などをどう両立をさせていくのかというところが非常に重要になってくると思います。財審の場でも、本文に記載していますが、リスクマネジメントの視点が非常に重要である、不可欠であるということで、平時から債務残高対GDP比を安定的に引き下げるということで、いざというときの将来に備えると、そうした財政構造を構築していきましょうということ。

それから、中長期試算を内閣府で出されますが、それも堅実な経済前提を基本として非常に多面的な分析を行って、その上で財政の持続可能性を検証していくということを言っております。

それからあともう一つ、PB、プライマリーバランスの管理ですが、政府のほうでは、複数年度で管理するということで、従来とは少し切替えをしていこうとこうしたことになっています。やはりこれから恐らく、これは財審の議論ではないですが、金利は上昇局面にあるんだろうと思いますが、そうした金利上昇局面でも財政の持続可能性をきちんと維持、継続していくというためには、やはり市場の信認を得るためにもきちんと全体を目配りしていく必要があるだろうと思います。理論で考えれば、GDPの成長率のほうが高くて、金利がこれから上昇局面とはいえ、それを上回るだけの成長率を必ず続けていくということが非常に重要だろうと思います。

そうしますと、今、金利動向は上昇局面といいますが、まだ非常に超低金利のときに発行した国債の償還がこれから徐々に徐々に金利のあるものに切り替わっていくということになって、利払費が非常に膨れ上がってきますので、ですから、利払費を含めた財政収支の動向もよく見ながら、債務残高対GDP比、ストック目標をきちんと見ていく必要があると思っています。

そうしたこと、今申し上げましたような観点をこの建議の中に盛り込んで、是非政府としても、成長と財政規律の両立をきちんと図っていっていただきたいと、こんなことを申し上げております。建議の内容は骨太などにきちんと反映してほしいということは大臣には申し上げておりますので、政府としてそうしたことを踏まえてこれからやっていかれることを期待しております。

〔幹事〕ありがとうございました。

〔質問〕先ほど説明の中でも触れられたプライマリーバランスの部分で、昨年の建議までは、単年度のPB黒字化について一定の黒字幅の確保を求めるといった趣旨の記述があったのですが、今回はそうしたものが見当たらないということで、これは財審としても考えを変えたということになるのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕昨年と記述が変わっているというのは事実です。繰り返しになりますが、PBについては、複数年度でよくその動向を見ていくと。今までそこを前面に出して、単年度で管理をするようにと言っておりましたが、実際にはその中では、様々な時々の予算でPBについてはありました。

全体としては、PBについては目の前のところまで黒字化が見えていますので、ですから、その後、PBの黒字が達成された後どうするかというところをきちんと考えていく時期に来ているなということと、それから、先ほど言いましたように、財政の規律を考えていく上では、やはりフロー目標とストック目標両方なのですが、フロー目標についての記述が今回そのような形になっておりますが、やはり複数年度の中でトータルできちんとした、成長に向けてのものを見ていくというのは、各国の財政の中でやはり複数年度でいろいろな投資について見ていくのがかなり多くなっています。

そうした今抱えている、成長については政府のほうでは17分野ということになっていますが、62項目ですかね、いろいろ考えておられるようですが、そうしたことを考えていく中では、PBについても我々としては、複数年度管理の中で財政規律がきちんと果たされるようにという、そうした財政の考え方を今回建議の中に盛り込んであるということになります。

〔質問〕分かりました。ありがとうございます。

〔質問〕2点ございます。

1点目がかなり事務的な質問になってしまうのですが、今回の建議は、財審の本体というか親会としてなのか、それとも分科会としてなのか、これは主語がどちらになるのか教えていただきたいというのが1点ございます。

もう1点目は中身に関してなのですが、高齢者の医療費の窓口負担を速やかに3割というような提言があるのですが、こちらに関して背景だったり意義について改めて教えていただけたらと存じます。

〔増田分科会長代理〕1点目は、分科会としての取りまとめということになりますが、正確に言いますと、分科会のメンバーで取りまとめをして、財務大臣に対しては、建議のかがみの文章は、分科会がここに建議として取りまとめた、今後の財政運営に当たるように強く要請するということで、その分科会の取りまとめた建議を、親会の財政制度審議会会長の十倉さんの名前で大臣にお渡ししていると、そうした形になります。

それから二つ目、原則3割負担ということを言っておりますが、これは人口減少下の中で、社会保障、特に医療などについては応能負担の形に今、負担の考え方を、世代間というよりは応能負担で切り替えるということで、負担のいわゆる公平性を図っていくということを重視しております。従来、個別にそうした負担割合について随分議論してきましたが、それを改めて踏まえて原則3割していくということを今回書かせていただいたところです。

〔質問〕今回の提言の建議の中で整備新幹線の話が、前も分科会のときに一回出たのですが、取り上げられています。北海道新幹線の札幌延伸の事業費が増加しているということで、国土交通省の基準ではこのプロジェクトを中止するべき水準ということで結構強い言葉で指摘して、貸付料の収入を見直すということで提言されたということであると思うのですが、これはあえて「中止すべき」と強い言葉を盛り込んだ狙いというか、それで整備新幹線整備自体をやめるということなのか。毎年整備費は計上しているところなのですが、それを予算がなかなかつけられないとか、実際どう生かしてほしいのか、この狙いの部分をお伺いできますでしょうか。

〔増田分科会長代理〕狙いといいますか、数字的には0.6と0.9と二つ、いずれにしても御案内のとおり、国交省自身が基準としている1.0を下回るようなことが、最近の様々な建設資材等の高騰の中で現実に出てきているということです。一方で、建議の中で指摘していますとおり、便益、ベネフィットについては、物価が上がっていく中で当然のことながら便益の増加、数字としてもっと大きい数字になることも当然考えられるのですが、そこがまだ出ていないわけです。ですから、世の中に、どちらかというと建設費がうんと膨れ上がるということだけが伝わっているということもあります。

まだ財審の中で、それが1を下回ったからといって事業をどうするかというところまでの判断をする材料というか、そうした判断をするところまで至っていなくて、今後、秋に向けて来年度予算をいろいろ考えていく上で、やはり便益についての数字もきちんとこれはもう国交省のほうで責任を持って出して、トータルのB/Cがどうなるかというのは明らかにしていく必要がある。その上でまたいろいろ考えていく必要があるのではないかと、こうしたふうに思ってそこに記述させていただいたということです。

〔質問〕新たな段階への移行というところについて、もう少し詳しく伺います。財政運営がこれまでのPB中心の管理という段階から新たな段階に移行することを意味すると明記されました。ここは、今政権が財政運営の目標を変えようとしている、財政運営の方針を変えようとしているという点があるからではなく、PBの黒字化が見えているとかそうした財政動向があるからこのように提言されているという理解でよろしいですか。

〔増田分科会長代理〕おっしゃるとおり、PBが出てきたのは、これは委員でもあります吉川先生なんかがおっしゃっていたと思いますが、骨太2001、今から四半世紀前のときにPBの黒字化が財政目標で出来て、それで2006、その5年後に、黒字化達成後、ストック目標の債務残高GDP比を安定的に引き下げようという、達成後のことを触れ始めました。その後大分長い間なかなか達成できずに行ったり来たりを重ねてきたということですが、足もとで見ますと、非常に黒字化にほぼ近づくぐらいまで今来ているので、やはりその後どうしていくかというところについて、どうするかという議論は当然今しておくべきではないかということですので、その上でストック目標の債務残高GDP比の引下げを明確に位置づけて、それでどうしていくのかということを議論する段階に今来ているということです。

今お話のあったような、政府のほうの複数年度管理とかいろいろそうした話も出てきていますが、基本はPBの黒字化がもうほぼ達成する段階に、昨年、今年、来年あたりほぼ見えてきた段階があるので、少し補正でそうならない数字というのは現実にありますが、そうしたところがあるので、それで次のステップ、新たな段階に移行したということをこの中で書いたということになります。

〔質問〕分かりました。重ねて、これまでの財審の議論を御存じの増田会長代理に伺いたいのが、今回の財審の議論をどう振り返られるかという点です。特にこの財審の建議からも「財政健全化」という言葉がかなりなくなったような印象を受けました。ただ、現状の財政が健全な財政なのかというともちろん評価はあると思うのですが、その点について特にどう思われるかというのをお願いできれば。

〔増田分科会長代理〕やや私の感想めいたことになるかもしれませんが、やはり日本の経済が、冒頭申し上げましたとおり、経済の好循環を必ず達成すべき時期に来ているのだろうと思うのですね。投資と賃上げの好循環ということ、それから人口減少で非常に人材希少社会になってきているという、やはり大きな時代変化の曲がり角に来ているので。一方で、きちんとした成長戦略について、的を射た形で経済の活力を取り戻すというか発揮させていくことは、これはどんなことがあってもやはりやっていくべきであって、そのためにはそれなりのやはり投資も必要になってくると思います。

一方で忘れてはならないのは、財政規律というか財政健全化に向けて、一歩間違えると大変なことになりますので、そこをどう両立させるかということは、少し今までとはやはりその危機意識ももっと高めてというか、今までないということではないのですが、やはり危機意識のレベルを高めて、複雑な問題の解決に取り組んでいくべきところに来ていると思います。

したがって、そうした中で、財政規律、実際に各省が予算要求をするときに規律が緩んで、こう言うと各省あれかもしれないですが、いろいろな玉石混交のようものをいっぱい出されても困るわけですので、やはり的を射た、しっかりとした成長につながるものを是非やっていただきたい。

それからもう一つは、私自身は、成長、要するに、中には、やはり官がどんどん引っ張っていかなくてはいけないようなものは確かにあると思うのですが、やはり主役は民間投資をどう引き出していくかです。そうすると、複数年度管理でいろいろ見ていったりすることは、中にも書いていますが、予見可能性などが高まって、きちんとすると、民間投資もそれに応じていろいろな投資を引き出しやすい環境になるだろうと。

ただ一方で、我々自身が一番最後のとりでになると思っているのは、やはり財政規律はきちんとそこで健全化が図られる形になっていなければいけないわけで、それはずっと言い続けなければいけないので、そこでいろいろな具体的な取組を政府にも、特に財務省にも、この記述、書いているようなことを申し上げたわけです。それからまた、本文にも大分書き込みましたが、少し脚注のような形でもいくつか必要なことについて書かせていただいて、それで財政規律との両立を是非図ってほしいということはこの中でうたったつもりです。

要は、言いたいのは、時代が、非常に難しい課題に日本として挑戦しなければいけない時代を踏まえつつ、財政健全化のやり方も、やはり少し従来とは違う形にはなるのですが、規律であるとか健全性はきちんと担保されるように是非政府として取り組んでいただきたいなと思っています。やや私の感想めいたことも入りますが、そんなふうに思っています。

〔質問〕分かりました。ありがとうございます。

〔質問〕御説明ありがとうございました。

17の戦略分野のところに関して政府が投資を徹底的にてこ入れしていくという方針に対して、建議では、対象領域を総花的にすることなく、戦略的に絞り込みという記載があるのですが、ここが意味するところというのは、17の分野も並列ではなくてそこの中でも優先順位をつけるべきということなのか、何を意味していますでしょうかというところが1点目です。

2点目が、戦略的に絞り込むというところで、例えばこうした分野を優先すべきであるとか、こうしたものをやっていくべきのような、そうした議論があったのであれば教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

〔増田分科会長代理〕17分野でこうした分野をやっていくべきというところまでの議論は、私はなかったと記憶しておりますが、ただ、17分野はやはりかなり広く書かれていますので、その中でやはりグレードはあるだろうということは委員の中で意見はございました。

私も、17分野、それからまた、それにひもづいた形で62でしたかね、いろいろ出てきていますが、是非成功させてほしいのですが、やはりある種重点化とか絞り込みをしていく上で、今それぞれの分野の中で、例えば民間企業はどこまでその中で主体となっていろいろやっているのかと。あまり具体的にここで言うと、何かそれが重点分野みたいになると困るので、少し差し控えます。

明らかにこの分野については、民間企業がいろいろ活動していて、そこをもっとてこ入れしていけば、後押ししていけば、成長にうまく結びつけられるだろうなというところと、本当に基礎科学分野的なところであって、これは民間企業というよりはやはり官が当面引っ張っていかなければいけないだろうなというところとやはりありますので、あとは、それを所管省庁などがきちんと、今、有識者も入れて重層的な分科会をつくったりして、また、分野横断型のものもつくってやっていますので、その中でうまく取りまとめて、要は、それぞれの分野ごとで全体を取りまとめる。あるいは、諮問会議の担当のところで、経済財政担当大臣のところで全体の戦略の取りまとめをなさっていると思いますが、そこでうまくメリハリづけをして、官で投資をするところも無駄なくそれを成長に生かしてほしいなと思います。

〔質問〕ありがとうございます。

〔質問〕本日はありがとうございました。

建議の中で記載されている、財政運営の信頼性を確保するために、第三者的レビューや独立的な検証機能の在り方を検討すべきであるという文言が入っているのですが、こちらの背景について、例えば今回の予算編成改革を踏まえたものなのか、それともこれまでの財政運営の過程で出てきたものなのかということと、また、この「検討すべき」というのは、ある程度いつまでにという議論もあったのかというのをお伺いできればと思います。

〔増田分科会長代理〕今度、予算編成改革の話がこちらに書いてありますが、今お話があったものは、かなりそれ以前から財審の中で議論があって、G7とか先進国の中ではこうした独立の財政機関などを持っているところがほとんどですので、中長期試算などをしていく上で、やはりそうした第三者性、独立性を持たせたところでの推計検証のようなものが必要であるということで、これまでも建議の中で書いています。それを今回も書いたということであると思いますが、何回かそうしたことを触れた建議をやっていますので、具体的にそれの検討をより本格化させるかどうかというのは、今年の秋あるいは来年に向けて、これからそれを書くだけではなくてどうしていくかというのは、今後また審議会の中で議論をしていく必要があるなと思います。

〔幹事〕それでは、質問がないようですので、これで終わります。ありがとうございました。

〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。春の財審は本日で一応一区切りということになります。いろいろお世話になりました。ありがとうございました。