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財政制度分科会(令和7年4月23日開催)記者会見の模様

〔幹事それでは時間になりましたので、お願いいたします。

〔増田分科会長代理本日、財政制度等審議会財政制度分科会が開催されました。本日は、財政各論の2回目として、持続可能な社会保障制度の構築について議論を行いました。まず、事務方から資料を説明し、その後、委員からの御発言に移りました。

以降、通例どおり、個人名を伏せて、主な発言を御紹介させていただきます。それでは、順次、申し上げます。

初めの意見ですが、今年は団塊の世代が75歳以上となる節目の年。高齢化だけでなく、金利上昇など経済情勢も複雑化する中、社会保障の持続可能性の確保はより切迫感を持って取り組むべきである。

次です。受益と負担のバランス確保に向けて、医療・介護を中心に不断の改革努力が求められているが、医療・介護の効率化は、単なる緊縮財政でサービスが低下するということではない。質を保ちながら効率化することが、現役世代の保険料負担の軽減や、経済情勢に対応するためにも必要である。こうしたことを国民に理解していただくことが重要である。

次です。限られた財源の中で社会保障改革を遅滞なく進めるためには、受益と負担に具体的にどのような影響があるのか、その全体像を示すべきであって、一定の痛みが伴うことへの国民理解の醸成が不可欠である。

次です。令和7年度予算においても経済・物価動向等に配慮しつつ歳出改革に取り組むことで、メリハリのついた予算編成がなされた。こうした現在の枠組みの下、経済・物価動向等に適切に配慮することと併せて、コスト削減の取組や保険給付範囲の見直しなどの改革に取り組むことで保険料負担の増加を最大限抑制することが重要。

次です。経営情報をはじめ、データ整備ができていないのはゆゆしき事態である。エビデンスを示して不公平感を解消し、負担すべき人には納得感を持って負担いただけるような仕組みを構築すべきである。

次です。あるべき理想像からバックキャストで考えるアプローチ、今回の財審の資料がそうなっているが、そうしたアプローチは重要である。これは持続可能な社会保障制度の構築に向けた国民理解の醸成にも資する。理想と現実のギャップはどの程度あって、国民にどのようなメリットがあるのか、さらにブラッシュアップを続けて分かりやすく示していくべきである。

次です。医療保険制度の見直しに当たっては、大きなリスクは共助、小さなリスクは自助、そして能力に応じた負担、こうした原理原則に立ち返る必要がある。若者の負担感に対して、保険料を軽減する形で応えていく必要がある。

次です。医療政策についてエビデンスに基づく議論を進める前提としても、公的財源の投入に対する説明責任を果たす観点からも、職種別給与も含め医療機関の経営情報の徹底的な見える化を断行すべきである。また、かかりつけ医機能報告制度に関して、国民・患者目線での有意義な情報開示となるよう、不断の見直しを図るべきである。

次です。人口減少が進む中で、希少な医療資源を可能な限り効率的に活用することにより、持続可能な医療提供体制を構築していくことが重要である。病院機能の再編・統合や分化・連携の推進、外来機能の集約化を進めることと併せて、医師偏在対策については、ディスインセンティブ措置を有効に活用することで、実効性のある形で進めていく必要がある。

次です。若者の数が減少する中で、医学部定員が維持されており、優秀な人たちが本来のニーズを超えて医療分野に流入している。特に、今後も都市部での開業が続くと、必ずしもイノベーティブでない診療所に人材が流れてしまう可能性がある。全体戦略を持って医者の適正配置を進めるべきではないか。薬剤師が増加する中で、薬剤師へのタスクシフトも不可欠である。

次に、新たな地域医療構想は、都道府県任せでは進まないという現実がある。国として厳しい実態を突きつけることも大事だが、本来はより強い規制的な対応に踏み切るべきである。

次です。1%の報酬改定で5,000億円の医療費抑制となる。国民一人一人にどのような影響があるのか、分かりやすい形で示していくべきである。その上で、次回の改定に当たっては、診療所と病院のメリハリある対応を期待する。

次です。追加的な効果が認められない高額な医薬品が保険対象となることは、常識的に考えて不適切である。医薬品等に対する費用対効果評価の一層の活用に向けて、専門的な評価体制を強化しつつ、価格調整範囲の拡大や保険償還の可否への活用といった取組を着実に進めるべきである。

次です。薬剤、自己負担の見直しに関して、ワンコイン制度の導入などを訴えていくべきである。保険料負担の増加抑制のため、軽度だが頻回受診をしている方々に対して、医療関係者の皆様ありがとうと、こうした趣旨で定額負担を求めるのは選択肢ではないか。あわせて、セルフケア・セルフメディケーションの意識を醸成していくこと、医薬品に関する基本的な知識を含め国民の健康リテラシーの向上も重要である。

次です。保険料の金融所得の勘案は喫緊の課題である。公平感の観点はもとより、現役世代の負担軽減のためにも、これに早急に取り組むべきである。

次です。高齢者の中には、低所得者であっても資産が多い方々が散見される。総論賛成・各論反対となる難しい分野ではあるものの、応能負担を進めていくため、データの整備と併せて幅広い国民的なコンセンサスを得るための議論が行われるべき。例えば、高齢者の自己負担も原則3割とした上で、金融資産を勘案して自己負担割合を引き下げるということは一つの選択肢ではないか。

先ほどまでは医療の話で、ここから介護になります。二つあります。

一つ目、改革工程に掲げられたケアマネジメントへの利用者負担の導入や2割負担の範囲の見直しは、これまでも繰り返し主張されてきたもの。年末にかけて検討し、今回こそ確実に実施をしていくべきである。

もう一つの意見です。介護職員の処遇改善も必要なことではあるが、限られた人的資源の活用の観点から、ICTの活用や配置基準の緩和など生産性の向上、協働化・大規模化の取組が必須である。また、介護保険と保険外サービスを組み合わせた取組も推進をしていくべきである。

最後、これは生活保護の関係です。身寄りのない高齢者への支援は、民間サービスとのすみ分けや資力に応じた負担が重要であるとともに、成年後見制度などの他制度との連携を進めていくべきである。

概略の内容は以上でございます。

〔幹事御説明ありがとうございました。幹事社から質問させていただきます。

まず、1点目ですが、医師偏在対策について、ディスインセンティブ措置を含めて検討という意見を御紹介いただきました。この点について、もう少しほかの意見や具体的な方策についての声があったら御紹介いただけたらと思います。

〔増田分科会長代理医師偏在対策について本日何か具体的にこうすべきということがあったわけではないのですが、昨年来から、あるいはもっと前から、医師の地域偏在、また診療科目の偏在の議論が財審としてはなされてきています。経済的なディスインセンティブや、医師が多く集まっている地域での開業規制など、かなり強い実効性のあることをやらないとこれは解消できないと言っています。そうした流れの延長線上で本日も、やはりこの問題にきちんと取り組むべき、このような意見だったと思います。

〔幹事ありがとうございます。もう1点ですが、少し抽象的な質問で恐縮ですが、冒頭、改革をやるためには痛みを伴うことも国民に理解してもらう必要があるという御意見を御紹介いただきました。一方で、言うほど簡単ではないというか難しい場面も多いと思います。痛みを伴う改革の重要性などはどうやって国民に理解してもらう必要があると思いますか。

〔増田分科会長代理本日も、もっとベーシックな考え方、原理原則などをきちんと表明していくべきではないかという意見もございました。医療保険なども世界に冠たる医療保険制度等と言われているのですが、持続させないと意味がないため、大事なのは制度全体がどうやったら持続していくのか。また、痛みというのは、もちろん消費税が増えるということもあるかもしれませんが、基本的に保険料負担などが増えていくということです。誰のためにそうしたことに取り組んでいるのかということを、十分分かっていただく必要があるのだろうと思っています。高額療養費はもう根幹の制度ですから議論がいろいろあって、秋にまた検討するようなことになりましたが、やはり現役世代の人たちにとっての負担をどう軽減していくかというところに大きな狙いがあるのだと思います。

もちろん直接の関係者の意見をきちんと聞くことも必要になりますが、やはり一番大きな狙いのようなものをまずしっかりと伝えていくことが必要で、そのために、最低限やはりこうした痛みについては理解していただきたいという、そうしたアプローチになるのではないかなと思います。そのあたりを、やはり制度をいじるときにもっと丁寧にやる必要があるのだろうなと思います。これは財審の発信の仕方にも関わってきますが、政府で制度を具体的に構築、見直していくときにそのあたりをよく考えていただく必要があると思います。

〔幹事ありがとうございました。それでは、各社さんから質問をお願いします。

〔質問御説明ありがとうございます。

大きく2点ありまして、まず、今回財務省から、OTC類似薬に係る保険給付の在り方の見直しを具体的に進めていくべきだという提言がまた改めて示されましたが、これについて委員の方から何か御発言があったのか、あるいは増田会長代理のお考えがありましたらお聞かせくださいというのが1点目です。

〔増田分科会長代理OTC類似薬について直接的に触れて、ダイレクトの意見を言われた委員の方はいなかったと思います。ただ、先ほど紹介をいたしました、セルフケアやセルフメディケーションの意識を醸成していく、また医薬品に関する基本的な知識を含め国民の健康リテラシーの向上も重要という意見がありました。やはり国民の健康リテラシーの向上に資するような取組・改革をしていくべき、こうした意見が出たと理解をしております。

〔質問もし増田会長代理のお考え等がありましたら、お聞かせいただければ。

〔増田分科会長代理私も、薬については秋の大きなテーマの一つにはなると思います。やはり自分でセルフケアとかセルフメディケーションの意識をきちんと持って効果的に使っていくということ、また先ほど言いましたように、いろいろな評価、費用対効果の評価は毎年やっているわけですが、やはりそうしたところをしっかりと取り組んでいくということが大事ではないかなと思います。

〔質問今の質問に関連して2点目ですが、スイッチOTC化の一層の推進についても、委員の方から具体的な御発言はなかったという認識でよろしいでしょうか。

〔増田分科会長代理本日はそこまではなかったです。

〔質問分かりました。ありがとうございます。

〔幹事ほかに御質問のある方いらっしゃいますか。

〔質問医療に関連してですが、本日、健康保険組合連合会が2025年度の予算を発表していまして、その中で平均の保険料率が過去最高になるとの見通しを明らかにしております。現役世代の負担が増え続ける現状について、増田先生はどう受け止めていらっしゃるか、また、どんな対策が考えられるか、それぞれコメントをお願いします。

〔増田分科会長代理やはり保険料負担の増加というのが、今とても問題になるのだと思います。減税よりももっと保険料負担のほうが恐らく効いてくると思うので、そこをできるだけ適正な負担になるようにしていくためには、やはり制度全体の効率化や見直しを十分進めていく。各分野それぞれいろいろ課題はあると思いますが、いずれにしても、医療にしても介護にしても、やはりできるだけ制度の無駄を省いて効率化をしていくことを、それぞれのステークホルダーに対して提案をして実行していかなければいけないなと思います。

具体的な分野は、医療についても介護についても多々広がると思いますが、最新のテクノロジーをどんどん入れていくようなことも必要になってくるでしょうし、また今までなかなか手がけられなかったような領域にもやはり踏み込んでいく必要がある。物価も今非常に上がっている中で、保険料の負担というのは非常に厳しいものがありますので、そこの議論をまた引き続き秋にしっかりとやらなければいけないなと思います。

〔幹事ほかに御質問のある方はいらっしゃいますか。

〔質問今、社会保障の持続可能性や保険料負担のお話があったところですが、社会保障関係費についてです。メリハリある予算編成という今日の資料について、高齢化による伸びに抑えるという方針、これは継続すべきというご趣旨かと思うのですが、一方、賃金の物価の動向で医療界からなかなか厳しいという意見も出ております。この点については、基本的にはこの方針を維持していくのがよろしいとお考えなのか、もし増田会長のお考えがあれば、お聞かせください。

〔増田分科会長代理基本そこは堅持する、続けていくという中で、令和7年度でもいろいろ工夫できるものは全部取り入れて、物価対策等についていろいろ工夫されたと思っています。これから3年ぐらいはそうした方針が決められていますが、毎年毎年の物価動向等を十分注意しながら、やはり取り入れられる工夫はできるだけ取り入れていくということが必要になると思っています。

〔質問病院団体が2024年度の診療報酬改定後に経営が非常に悪化していると盛んに主張していますが、それへの増田会長代理の受け止め方をお聞かせ頂けますでしょうか。

〔増田分科会長代理物価・諸経費などが恐らく効いてきている部分があるのだろうと思います。一般的な物価動向が変わってきている。そうした大きな環境変化はきちんと見ていく、受け止めていく必要があると思いますが、一方で、病院や診療所、特に診療所などの経営情報の見える化が十分に進められていない。診療報酬等でいろいろな措置をしたものがきちんと現場に届いているかどうか、そこも併せて十分確認できるようにしておかないと、なかなかトータルの理解は進まないですし、やはり次にどういう手を打ったらいいのか分からないと思います。

そのため先ほど紹介をいたしました、様々な経営情報の見える化などは是非それぞれのところで御努力いただいて、進めていただきたいなと思います。

〔幹事ほかに御質問のある方はいらっしゃいますか。

では、すみません、会見はここまでとしたいと思います。ありがとうございました。

〔増田分科会長代理どうもありがとうございました。