〔幹事〕では、財審分科会後の会見をお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕よろしいですか。それでは、本日9時半から財政制度等審議会財政制度分科会が開催されました。以下、内容について御報告をします。
本日は令和7年度予算等について議論を行いました。まず、事務方から資料を説明し、その後、委員からの御発言に移りました。
通例どおり、委員の個人名は伏せたまま、内容について御紹介をしたいと思います。詳細は後日の議事録を御参照いただければと思います。
初めの意見でございます。昨年秋の建議の内容が令和7年度予算に反映されていることを歓迎する。与野党間で現在予算修正の議論がなされているところであるが、最終的には総花的な予算にならないよう議論を注視していく必要がある。
続いて、令和7年度予算が過去最大の歳出規模になっていることを懸念している。税収が上振れていることは明るい兆しであるが、それが過剰な歳出につながってはいけない。地道に歳出効率化努力を積み重ねていく必要がある。
次です。先日示された中長期試算ですが、ここにおいて2025年度のプライマリーバランス黒字化が達成できない見込みとなったことについては非常に残念である。昨年の経済対策の影響が大きいとされているが、補正予算も当初予算も規模ありきの予算とならないようにしていくべきである。
また、中長期試算において2026年度のプライマリーバランスが黒字化見込みであるが、黒字化後の財政健全化目標や、増加し続ける債務残高の在り方も今後議論していくべきである。
それから、金利上昇局面にある中、後年度影響試算においては、利払費が今後増加していく試算がなされている。プライマリーバランスに利払費を含めた財政収支の状況にも着目する必要がある。また、今は国と地方を合わせたプライマリーバランス、債務残高対GDP比を財政健全化目標の対象としているが、国のみのプライマリーバランスや債務残高対GDP比、こちらにも注目することが重要である。
次の意見です。今後の財政健全化目標について、本年6月の骨太に向けて議論していくことになろうが、具体的な目標年次の明確化や、目標達成を担保する仕組みの構築、また、ペイアズユーゴー原則の導入など、財審の場も含めしかるべき検討を行っていくべきである。
それから、国民に財政状況が伝わってないことが問題である。財政赤字の要因は社会保障などの国民の受益であることなどが分かるように、国民に財政の状況について分かりやすく伝えるなどの取組が必要である。
また、長期金利が上昇しており、日銀の政策金利の利上げの動きや国際収支の動向にも変化が見られる。米欧においても同様に金利が上昇し、フランス国債は直近で格下げになるなど、諸外国の動きにも注目する必要がある。金利のある世界が本格化している中、これまでとは違う局面であることを踏まえて、財政健全化目標についても検討し、有事に備えた財政バッファーを確保すべきである。
次ですが、需要ばかりに着目した政策が散見されるが、民需主導で供給サイドの生産性を高める方向にシフトしていかないといけない。生産性の向上なしに賃上げも進んでいかない。
それから、少子高齢化が進展していく中、医療・介護を担う人材確保を着実に進める必要がある。医療・介護分野の処遇改善などをしっかりと行っていくべきである。
それから、高額療養費制度について、高齢化が進展していく中、保険適用外の医療制度の在り方についても真剣に議論していく必要がある。
次に、防災担当の人員・予算が確保されたが、女性職員の増加や災害時の女性の窮状を踏まえた施策が必要である。
また、直近で道路の陥没が多い印象がある。国土強靱化関連の予算が多額に措置されている中で、老朽化したインフラ整備など国土強靱化を着実に進めるべきである。
それから、予算の繰越しや不用が多い印象がある。メリハリある予算にするためにもEBPMにしっかり取り組み、真に必要な施策に予算を配分していくことが必要である。
内容については、概略は以上のとおりでございます。私からの発表は以上にさせていただきます。
〔幹事〕では、各社さんで質問があれば、どうぞ。
〔質問〕先ほどお話もありましたが、今、政党間での話し合いが続いていて、少数与党になってから政治力学のようなものが変化してきていて、どちらかというとやはり歳出圧力が高まる方向になっているかと思うのですが、この現状について増田さんはどのようにお考えでしょうか。
〔増田分科会長代理〕立法府で予算の内容について審議する、あるいは修正するというのは、これは立法府の本来の在り方なので、従来とは景色は変わってきていますが、これは立法府がしっかりと役割を果たしている結果であると受け止めています。
その上で、先ほどの意見の中にもありましたが、やはり政府としては今の社会の在り方を踏まえた予算をきちんと精査して国会に提出をしていく必要がありますし、その場合にはやはり経済成長と財政健全化の両立を図った内容の予算にしていくことが必要です。それから、やはり財審の立場で言えば、政府として、今、予算委員会でいろいろ御説明をされていますが、予算の審議に当たってはそれぞれの予算の内容や背景、今の社会に果たす意義、効果、役割のようなものをしっかりと説明して、その上で国会の立法府の審議が行われるようにしていくべきではないかと思います。
〔質問〕高額療養費制度に関連した御意見として、高齢化が進展していく中で、保険適用外の医療制度の在り方についても議論していくべきという御意見があったということですが、これはどういう方向性という意味ですか。
〔増田分科会長代理〕本日も本当に短い時間だったので、委員の方がそうおっしゃっただけで、それについて議論したわけではございません。委員の方がおっしゃっていたのは、例えばお医者さんのところに行ったときに、皆様、ワンコイン、それが100円なのか500円なのかというのはありますが、ワンコインをまずお支払いする。それはかなりのボリュームになりますから、それもそうした医療の財源として充てていくべきと。以前からこうした議論があり、これはもう保険の適用外ということなのですが、そうしたことをお話しになりました。とにかく高額療養費というのは医療保険の中で一番核となるところなので、幅広い議論をこの問題についてはしていくべきではないかと、そうした意見であると私は理解しました。
〔質問〕先ほどの最初の質問とも関連するのですが、今、与野党間での予算修正の議論がなされているというところで、本日の審議の中で個別の政策についての言及とかはあったのでしょうか。
〔増田分科会長代理〕保険外の話ですが、先ほどの高額療養費のことで少し、そうした意見がありましたが、そのぐらいです。教育のことについて触れられた委員の方もおらず、個別の審議の内容については本日の中での議論にはならなかったと思います。
〔質問〕本日、委員の方の御意見の中でペイアズユーゴー原則の導入なども議論していくべきというような御意見がありましたが、新しい政策を打ち出すときにはきちんと財源を伴ったものにしようという原則について、これから財審で議論されていくような御予定はあるのかと、また、増田さんの御自身の考え方をお聞かせください。
〔増田分科会長代理〕これまでもペイアズユーゴー原則とか、それに類する議論は随分財審でもしてきましたし、恐らく春の財審ではまた次の健全化目標を議論することになると思います。今後も、いろいろな政策がそれぞれ社会ニーズによって出てくるとは思います。政府からも、それから立法府の各政党からもいろいろな考え方が出ると思うのですが、恒久的な政策には恒久財源で対応していかなければいけないということは、やはり大原則であると思います。
それから、これは昨年の建議でも言われましたが、コロナ禍において歳出が相当肥大化して、それを早く平常時に戻していくということも必要です。今回110兆円を超える予算になっていますが、平常時にどう戻していくかといえば、金利のある世界の中で、施策の有効性をきちんと議論し、しっかりと政策の優先度等をはかっていく。その上で、債務残高が非常に膨れ上がっていますから、財源について必ずきちんと明記をする。しっかりとした恒久財源に基づいたものであるかどうかなどは、これからも財審の中でも見ていかなければいけないであろうと思います。
〔幹事〕質問はこれ以上ないようですので、ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。