〔幹事〕それでは、よろしくお願いします。
〔増田分科会長代理〕それでは、私から発表いたします。
本日13時から財政制度等審議会財政制度分科会を開催しました。そして、秋の財審で深めてまいりました議論を令和7年度予算の編成等に関する建議として取りまとめたところでございます。
今回の建議におきましては、経済の新たなステージに向けた芽吹きが見られる中、広範な政策課題を認識し、先見性を持って対応していくことが重要であり、これまでの取組の進捗・成果を後戻りさせることなく、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを更に前進させ、国家として培ってきた国際的な信用を次世代に引き継ぐべき、という考え方を盛り込みました。また、社会保障をはじめとする各分野につきましても、令和7年度の予算編成に向けた歳出改革の方向性等をお示ししたところでございます。
この建議につきましては、先ほど加藤財務大臣に提出してまいりました。そして、令和7年度予算に適切に反映していただくようお願いしました。加藤大臣からは、今回の建議を重く受け止め、この内容も十分に踏まえながら令和7年度の予算編成に臨んでいきます、というお話がございました。
私からは冒頭、以上でございます。
〔質問〕
財審はこれまで財政健全化の必要性をずっと訴えてこられたにもかかわらず、なかなか財政状況が改善してこなかったこともあると思います。改めて、こうした歳出圧力が強まっている中での財審に求められる役割をどのようにお考えなのか、聞かせてください。
〔増田分科会長代理〕今の政治状況を見ますと、この間の秋の総選挙における国民の判断ということではございますが、結果としては、いくつかの政党のご主張を政府として踏まえながら予算編成をするという、昨年とは違った局面に来ております。それは、財政を拡張させる方向に働いていく可能性がありますので、そうした中にあって、財政全体のバランスを見ながら、どういう財政が必要なのか、財政が今後どうあるべきなのかということを、多方面の分野の人たちが集まって政府とは違う形で言うことは、大変意味のあることと思います。もちろん、財政健全化のみを声高に主張するということではだめだと私も思います。やはりこれまでも政府で「経済あっての財政」ということを言ってきましたが、成長をどう遂げるのか、その中であわせて財政の健全化をどう図っていくのか、こうした両立を考えていかなければいけないと私も思いますし、これまでの財審とその点で基調は変わりません。ただ、今申し上げました政治情勢の中でも、金利の上昇や物価高という今の環境を踏まえて、申し上げるべきことはきちんと申し上げていくということが財審に求められる役割ではないかと思います。
〔質問〕
今回の建議の冒頭「財政総論」で、もはやコロナ禍ではないということで、経済が新たなステージに向けて移行して、また、ほかの先進国と同様に歳出構造の平時化を図ることを求められていると思いますが、この財政総論の部分に込められた思いを改めて伺ってもよいでしょうか。
〔増田分科会長代理〕コロナ禍は平時ではなくて特別な状況であり、したがって、多くの歳出も行って、まず目先の危機をどう乗り切るか、それに集中してきた財政だったと思います。もう5類に移行してから1年半がたちました。ですから、できるだけ早く財政を平時に戻さなければいけないという考え方のもとに、個別の予算も財政当局できちんと見直しをしてほしい。しかも、この間に、先ほど申し上げましたように金利がある時代に変わり、それから、一方で物価上昇も各方面で見られる。そうした経済環境の変化を踏まえてどう国の全体の成長につなげていくかということを、財政全般の中で考えてほしい、そうした思いをこの総論の中に込めたところです。
〔質問〕
建議で、薬剤費の抑制策として、毎年の薬価改定や新薬創出加算の累積控除などのメニューがありますが、最も優先させるべきメニューについてはどうお考えでしょうか。
〔増田分科会長代理〕各論の中で今回も薬価の改定について触れております。まず、日本の、世界に冠たる国民皆保険制度を維持していくためにも、その制度の持続性を確保するためにも、この毎年の薬価改定はきちんと維持していくべきであるということ。また改定を通じて、いわゆる非常にすぐれた革新的な新薬と、必ずしもそうしたふうにならないものとの間のメリハリを一層つけて、イノベーションをつくり上げていく、建議の中ではそうした考え方を盛り込んだところです。
〔質問〕特に優先順位というのはありませんか。
〔増田分科会長代理〕薬価改定については、全体として必要なことを必要最小限触れたつもりですので、そうしたことについて、優先順位というよりは、全て、毎年毎年の中できちんと踏まえて対応していただければと思います。
〔質問〕
2025年は、団塊世代の人たちがみんな75歳になるということで、社会保障費の増大が見込まれると思いますが、それに対する分科会長代理のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
〔増田分科会長代理〕人口構成は2025年以降、どんどん高齢者のウエイトが高くなります。今の社会保障制度をつくったときと比べて、人口ピラミッドは、明らかに形が逆三角形、頭が重たい、そうした形の人口ピラミッドに変わってきていますので、それを考えれば、我々としては次の世代に可能な限り負担を軽減させていく必要があると思います。大変厳しいとは思いつつ、今のいわゆる医療においても3割負担、あるいは2割負担をされる方の数をもっと増やしていく、あるいは介護についても、2割負担についてどのように理解を得ながら考えていくのかということも、きちんと議論していく必要があると思います。大事なのは、国民、特に次の世代のために、我々の先人が築き上げてきた社会保険制度を継続させていくということで、それぞれが努力していくべきだと思いますので、特に医療の世界は関係者が大変多いですが、やはり政府でそうした負担について理解を求める努力をさらにしていただいた上で、適切な社会保障費の負担について結論をつくり上げていっていただきたいと思います。
〔幹事〕どうもありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕秋も大変お世話になりました。ありがとうございました。