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財政制度分科会(令和6年11月11日開催)記者会見の模様

〔土居部会長代理〕本日開催されました財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会で司会をさせていただきました。部会長の代理を仰せつかっています。

本日15時から開催されました部会の内容につきまして御紹介させていただきたいと思います。

本日は、農林水産及び文教・科学技術についての議論を行いました。

まず、事務方から資料を説明し、委員からの御発言に移りました。各委員からの主な御意見、御質疑につきましては、通例どおり、委員の個人名を伏せさせていただいた上で御紹介をさせていただきます。なお、議事の詳細につきましては、後日公開される議事録を御参照いただければと存じます。

まず、農林水産から御意見を紹介いたします。

農業人口が減少する中では、少人数で経営できるような転換が重要であり、法人の参入を推進するため、規制緩和を進めるべきであるという御意見をいただきました。

次に、若者による新規就農を増やしていくことが重要で、そのためには労働環境、条件の改善が重要であるという御指摘がございました。

また、農業の構造転換に向けて長期的な将来像を描き、そこに向けてどう移行していくかという視点が重要であり、その中で生産性を向上させ、イノベーションが生まれやすい環境をつくることを含め、自立した産業としていくべきであるという御意見をいただきました。

次です。農業政策全般に現状維持バイアスがかかっており、農地の維持や食料安全保障の確保という守りの政策が、成長産業を目指すといった攻めの政策に大きく優先されている。高付加価値化に向けた対応が必要であるという御意見をいただきました。

また、食料安全保障に関連する御意見としては、米の備蓄については、需要に応じた見直しを行うべきであると。いわゆる令和の米騒動もあった中で、国民への安定的な供給がなされるような備蓄のルールの構築が求められているという御意見をいただきました。

それから、法人経営や農地の集約化などを進めて、災害に強い農業をつくっていくことが重要である。災害や輸入の途絶に対応できるよう、ミニマム・アクセス米を備蓄に回すというような工夫をしてはどうかという御意見をいただきました。

また、所有者不明の農地については、制度によってしっかりと対応していくべきであるという御意見をいただきました。

最後に、食料自給率は大切だが、財政負担の少ない形で向上させることが重要であるという御意見をいただきました。

以上が、農林水産に関する御意見の御紹介です。

続きまして、文教・科学技術につきましての御意見で、まず義務教育についてです。

義務教育につきましては、今般、事務局から示されました財務省案に対しては、賛成する委員が大半でありました。

個々についての御意見ですが、調整額の引上げについて、残業時間の縮減というインセンティブ付けをするのは非常に良い。その残業時間の縮減というインセンティブ付けという点において、現場の教員からも賛同する声があると聞いているという御意見をいただきました。

また、調整額は10%以上に引き上げていくべき、教員数について、加配定数を増やし、負担の軽減を図るべきという御意見をいただきました。

それから、給与増は賛成だが、一律引上げはやめるべきであるという御意見もいただきました。

次に、教職員給与について、勤務時間というインプットだけでなく、アウトプットも一定程度評価をするべきであるという御意見をいただきました。

それから、教育現場はムラ社会に至ってしまっており、タスクシフトといった規制改革が重要である。また、自治体任せ、現場任せにするのではなく、国が3分類の厳格化等のルールを主導するべきであるという御意見をいただきました。

また、働き方改革と外から言うのは簡単だが、不登校、いじめ等の教育環境は変わってきており、教育界の閉鎖的な環境、価値観を変えていくべきであるという御意見をいただきました。

それから、児童生徒数の減少に伴い、学校規模の縮小による規模の不経済が生じているのではないか。統廃合、デジタル化、アウトソーシングが必要であるという御意見をいただきました。

それから、自治体が配置すべき外部人材を配置していないのは問題であるという御意見をいただきました。

以上が、義務教育に関連する御意見です。

続いて、高等教育につきましては、次のような御意見をいただきました。

高等教育機関において、社会で活躍するために価値の高い教育がしっかりできているのか検証が必要である。定員未充足の大学の抜本的な再編を図らないと、大学全体の質の低下を招くのではないかという御意見をいただきました。

また、大学の再編は喫緊の課題である。奨学金の全面的拡大は大学の延命につながるのみであり、悪手ではないか。奨学金は学習意欲の高い学生にこそ支援するものではないかという御意見をいただいております。

それから、大学、学部の新設には規制がしっかりあるが、廃止、撤退についても進めやすいルール作りが必要であるという御意見をいただいております。

以上が、高等教育に関連する御意見です。

それから、文教・科学技術の最後になりますが、科学技術に関連する御意見ということで御紹介をいたします。

科学技術におけるトップ10%論文の数が少ないという点について、EBPMやPDCAを回していくべきであるという御意見をいただきました。

また、科学技術については厳格に基金ルールを適用するとともに、事務局から説明のあった方向性で論文生産性を向上させるべきであるという御意見もいただいております。

次に、研究者の時間が入試管理や大学内の会議に取られていることは問題である。アウトソーシングに対するインセンティブ付与を通じて、研究時間を確保するべきである。これは大学に関係するところでのアウトソーシングということですが、そうした御意見もいただいております。

最後に、科学技術に係るKPIの設定は難しいが、ある程度の期間を取ってトップ10%論文数の目標を立てて、検証を進めて、研究費の配分を検討していくことは重要であるという御意見をいただいております。

私からの御意見の御紹介は、以上でございます。

〔幹事〕ありがとうございます。各社から、ありますでしょうか。

〔質問〕教職員の給与についてですが、財務省案はすべての委員の同意を得られたということですが、文科省の概算要求、これは13%ということになっておりますが、この要求について、今回議論されたのであれば御紹介いただきたいのと、代理のお考えとして、この13%の要求を単年度でいきなりやるということについてどのようにお考えなのか、お聞かせください。

〔土居部会長代理〕本日の会議で13%という数字に言及された方は一人もいらっしゃいませんでした。10%以上ということはありましたが、13%ということについてはありませんでした。

また、実際に財務省案に賛同する意見がありましたが、その御意見の理由として委員が挙げられたのは、他の公共部門の状況も踏まえた持続的なシナリオだということです。持続的な賃上げを後押しする観点から、経過措置を取った形で調整していく。つまり、一気に10%台の金額を上げるということではなく段階的に上げていくということに対して賛同があったということです。

それから、そもそも今4%で、これはいわゆる残業時間の8時間分に相当しているということと、中央教育審議会の御意見で、残業時間を月20時間程度に縮減するべきであると主張していることとの平仄を考えても、10%を目指すというところは整合性がある、そこに着目しているような御意見もあったと認識をしております。

〔質問〕先ほどの御意見の紹介の中で、私も教職調整額についてご質問です。一律引上げはやめるべきということなのですが、これは教員の皆様を、若い方高齢の方含めて一律にすべきではないという趣旨なのでしょうか。

〔土居部会長代理〕むしろ、残業していない方でも一定率の給料という形で調整されるということに対する問題意識ですね。もちろんいきなり全面的に実際の残業時間に相当する形でということには、今の仕組みではできない。ただ、事務局からの説明にもありましたように、いずれ実際に残業した時間に対応する形での給与という形に変えていくということに対して、それがよいのではないかという御意見であるということです。

〔質問〕農業の飼料用米について伺います。本日、事務局の資料の中で、飼料用米について令和9年度以降の見直しで交付対象から外すべきという提言がありました。今、飼料用米については、交付金なしで経営が成り立つということは、現状不可能な状況にありまして、ただ一方で農地を守る、あるいは国内の飼料自給率を高めるという点で、食料安全保障の観点から考えるとプラスの面もあるかと思います。今回、もし交付対象から外した場合、飼料用米を経営作物として選ぶことはほぼ不可能に近い状況になると思うのですが、今後その飼料用米の生産については、財審としてはどうあるべきと考えられているのか、お聞かせください。

〔土居部会長代理〕特に飼料用米をこうすべきということについての御意見は、直接的にはございませんでした。ただ、補助金の依存度が高いということについての問題意識が感じられる御意見が、何人かの委員からはありまして、補助金頼みで飼料用米を作っているということについては、できるだけ早い時期に生産性を上げる、あるいは構造的な転換を進めていくということを通じて、いきなり全廃するというわけではないですが、できるだけ補助金に依存しなくても経営が成り立つような、そうした方向に政策としては向かうというようなことはあってよいのではないかという御意見がございました。つまり、現状のままでよいという御意見はほとんどなくて、できるだけ補助金に依存しなくても十分に経営が成り立つというような形で、さまざまな取組を進めてほしいというような御意見が何人かの方からありました。

〔質問〕教職調整額に戻ってしまうのですが、これに対して10%以上に引き上げるべきであるという意見があったのですが、すべての委員が賛成だったという理解でよいですか。それが1点目です。

〔土居部会長代理〕財審は多数決で決めるものではないので、そこまで決を取っているわけではございません。ただ、表立って、こんなのは門前払いである、あるいはこんなのは評価するに値しないというような御意見はなかったということは確かですが、一人の反対もなく全面的に皆賛成だった、ということでもないということです。

〔質問〕大半というか、ほぼすべてのような感じですか。

〔土居部会長代理〕はい。

〔質問〕別の方の質問にもありましたが、13%に言及はなかったということですが、事務局の資料には13%の問題点の指摘も資料のスライドにあったと思うのですが、それでもやはり文科省の要求の13%の引上げは問題であるという意見は一切なかったということですか。

〔土居部会長代理〕13%という数字自体が高いとか低いとかということについて言及される方がおられなかったという意味で、13%ということに言及される方はいらっしゃらなかったと申し上げました。ただ、事務局の資料の中の19ページにあるように、メリハリ付けがなされていないということについて、残業時間が実際は出ているのに給与を調整されている、あるいは働き方改革に連動しない形で教職調整額のパーセンテージを引き上げるということに対しては、委員からは問題だからこうしたやり方にはしないほうが良いという御意見が多くを占めたということです。

〔事務局〕補足いたします。委員の先生方の中に、財務省案ではなくて文科省の要求どおりやったほうが良いとおっしゃった先生がいたわけではありません。財務省案に概ね皆様、賛成していただいたのですが、教職調整額を10%以上とした中央教育審議会の答申を踏まえるべきであるという意見をおっしゃられた先生もいらっしゃいます。これがどういうことを意味しているのかといえば、中央教育審議会は10%以上を目指していくと書いてあって、我々の案もそうしたようになっていますが、これが10%以上をすぐにやるべきであるという意見であれば、我々の意見とは違うことになります。御意見の真意がよくわからなかったものですから、そこはまだ確認していない。現時点で申し上げられるのは、そうした意見がありましたということです。

〔質問〕同じく教職調整額について、先ほど御意見の紹介の中で、給与総額に関係なく一律引上げはやめるべきという意見があったと思うのですが、これは、認識としては財務省案に賛成しているわけではない、そのような感じなのでしょうか。

〔土居部会長代理〕いや、むしろ逆です。賛成した上で、特にこの19ページにあるような文科省からの一律に引き上げようということに対して、そうではないのではないかという意見です。

〔質問〕全体的な確認をさせていただきたいのですが、本日出席されたのは委員9人で、全員出席されたということでよろしいですか。

〔土居部会長代理〕いや、何人か欠席されています。

〔幹事〕ないようですので、会見を終わります。ありがとうございました。

〔土居部会長代理〕どうもありがとうございました。