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財政制度分科会(令和6年10月28日開催)記者会見の模様

〔幹事〕よろしくお願いします。 土居部会長代理から冒頭、御説明いただいてもよろしいでしょうか。お願いします。

〔土居部会長代理〕本日14時から財政制度等審議会財政制度分科会の歳出改革部会を開催いたしました。歳出改革部会で部会長代理を仰せつかっております、慶應義塾大学の土居でございます。よろしくお願いいたします。私が議事進行をいたしました関係で、私から本日の議事を御紹介させていただきたいと思います。

本日は、防衛及び社会資本整備につきまして、議論を行いました。まず、事務方から資料の説明をしていただきまして、委員からの発言に移りました。各委員からの主な御質問や御意見につきまして、通例どおり、委員の個人名は伏せさせていただきまして、御紹介をさせていただきます。なお、議事の詳細につきましては、後日公表される議事録を御参照いただければと存じます。

まず、防衛につきましては、次のような御意見がございました。

総論として、厳しい安全保障環境の中で防衛力を強化していくことは必要だが、新しい戦略や技術の変化を踏まえつつ、中長期的な必要性も踏まえた予算のメリハリ付けを強化していくべきであるという御意見がありました。

また、防衛に関する具体的な支出内容については、透明性が低く、ガバナンスが効いていないということが課題であり、最適化を進めるためにはチェック機能の強化などに取り組むべきであるという御意見をいただきました。そして、有事における持続的な対応能力といった観点からも、財政余力の確保の重要性が高まっており、財政の健全化は日本の抑止力につながるという御意見をいただきました。

次に、防衛装備品の運用の観点からも、自衛官の確保は重要であり、自衛官の再就職環境の整備や、他の産業との比較をした上で自衛官の魅力向上に努めるべきであるという御意見をいただきました。それから、生成AIやロボティクスの技術の活用による省人化や無人化、そして、技術のある高齢人材の活用、定年の延長などによって、人口減少の中でも自衛隊の機能維持を図るべきであるという御意見をいただきました。それからまた別の御意見として、自衛官という職業の魅力向上の観点からも、ハラスメントの防止などに努めるべきであるという御意見をいただきました。

最適な装備品確保と防衛産業の在り方に関連する御意見として、次のような御意見をいただいております。日本の防衛産業の高コスト・低生産性は、対象市場が国内に限定されていること、かつ少量多種であることに加え、市場参加者の統合が進んでいないことが要因なのではないかという御意見をいただきました。また、日本の装備品はハイスペックかつ独自仕様で汎用性に乏しいと言われる中、防衛産業育成の上で何をもって市場を拡大していくのか、国としてもマーケット戦略を考えるべきであるという御意見をいただきました。それから、サプライチェーンの維持・強化のため、完成品メーカーのみならず、部品メーカー間の垂直統合、水平統合も視野に入れるべきであるという御意見をいただきました。それから、技術開発につきまして、軍事、民生、それぞれがばらばらで開発するのでは非効率であり、デュアルユースを推進していくことが重要であるという御意見をいただきました。ここまでが防衛に関する御意見です。

続きまして、社会資本整備につきまして、次のような御意見をいただいております。

まず、これまでの国土強靱化の取組の成果と課題についてしっかりと検証し、優先順位付けなど、次に策定する実施中期計画に反映していくことが必要であるという御意見をいただきました。また、国土強靱化の議論をするには、人口動態を含む経済社会動向を踏まえた大局的なグランドデザインを描いた上で、事前防災計画の推進や、規制等によるインセンティブ付けなどのソフト対策も含め、効果的で必要な取組を議論することが重要であるという御意見をいただきました。

次に、強靱化の費用対効果を高め、地域経済の活力を高めるためにはコンパクト化が不可欠だが、各自治体において立地適正化計画の策定、見直しが十分に行われていない。諸外国の事例を踏まえ、土地利用規制の厳格化などの手法にさらに取り組むべきであるという御意見をいただきました。また、別の御意見としては、地方の切捨てにならないように留意しながら、縦割りを排除し、地域のまちづくりや産業構造等も踏まえつつ、民間活力の活用など工夫に取り組むことも必要であるという御意見をいただきました。

次に、都心部の市街地再開発事業や、新築住宅取得支援、費用対効果の低い道路事業などは、国土強靱化の優先順位付けに際し、緊急性等の観点からよく議論をする必要があるのではないかという御意見をいただきました。また、南海トラフ、首都直下の地震などの際には非常に大きな財政支出を余儀なくされると見込まれるため、平時においては可能な限り財政余力を確保しておくことが必要であるという御意見をいただきました。最後に、整備新幹線の着工の判断に際しては、様々な課題やリスクを含め包括的な視点で十分に検討、評価を行うことが必要であるという御意見をいただきました。

ここまでが本日の歳出改革部会において委員の皆様から出されました御意見でございます。

私から以上です。

〔幹事〕ありがとうございました。続きまして、幹事社から1点質問させていただければと思います。最後にお話しいただいた整備新幹線について、与党では来年度中の着工を目指すとの議論が今進んでいたかと認識しておりまして、来年度着工となると、この年末の予算編成で予算をつけていくことになると思います。一方で着工5条件を満たすかどうかがまだ判断されてない中での予算づくりとなりますが、与党内に条件の見直しを求めるような声も一部ある中で、このあたりについて委員の方からどのような意見があったか。また、財源の負担について、貸付料のJR負担に関する現状の仕組みについて委員の先生方から御意見等ございましたら、お聞かせいただけますでしょうか。

〔土居部会長代理〕基本的には、事務局からの説明に関して強い異議は全くなくて、ほぼ賛意が示されたと言ってよいと思います。ただ、具体的に着工の路線に関連することや、その他、今御紹介したもの以外で、明確に整備新幹線に言及される委員の方はおられませんでした。

〔幹事〕ありがとうございます。各社さんいかがでしょうか。

〔質問〕昨日の衆院選の結果が出て、これから歳出増加圧力が一層高まってくることが予想される中で、財審としてもう一段ギアを上げて歳出増加圧力に立ち向かっていかなければならないような局面が来るかと思うのですが、本日その点について何か御議論があったのかどうかということと、土居先生個人としてはどのような心構えで今後の議論に臨んでいくかを聞かせてください。

〔土居部会長代理〕まず、本日の議論につきましては、特に選挙にまつわる部分で何か御意見があったということはございません。ただ、本日の議論が防衛と社会資本整備ということで、かつ先ほど御紹介させていただいたように、インフラ整備にせよ、防衛力強化にせよ、やはり平時の財政余力の確保が極めて大事であるということは多くの委員から御発言がありました。まさに選挙があろうがなかろうが、とにかくインフラ整備や安全保障に関連するところでは、日本の財政においては残念ながら現在余力が確保できてないという御認識及びそれを確保していくように財政健全化を進めていくべきであるという御意見が多くの委員から出されました。

まさに私も、今後の財審の議論中でも、財政余力をどういう形で確保できるのか、それから、財政健全化を進めていくという観点からどういう工夫ができるのかという点について、私なりに意見を述べさせていただく場面も今後あるのかなとは思っております。

〔質問〕今の質問に関連して、本日の財審の議論とはもしかしたら直接関係ないかもしれないのですが、今回の衆院選の結果が財政に及ぼす影響について、伺えればと思っております。今回、自公で過半数が維持できず、今後ほかの党との調整が続くのかと思います。調整の結果ほかの党の要求を聞くようなことがもしあった場合には、歳出圧力がかかるのではないかと思うのですが、今回の衆院選の結果が財政に及ぼす結果について、土居先生御自身はどのようにお考えでしょうかというのをお聞かせください。

〔土居部会長代理〕この財審は政治について議論する場ではございませんので、政治について今後どのようになるかということについてのお答えは差し控えさせていただきたいと思っております。ただ、経済が平時に戻っていきつつある中で新しいステージに移行するという局面でもありますので、引き続き経済再生と財政健全化の両立に取り組んでいただきたいという視点は今後も財審の基本的なスタンスになるのだろうという雰囲気を本日委員の皆様から感じました。

経済学の研究では、連立政権で加わる政党が増えると歳出増圧力が高まって財政赤字が増えるという傾向が先進国の過去のデータでは観察されるという先行研究があるということは承知しております。そうした過去に倣えというよりは、むしろそれを教訓として今後どのような財政運営ができるのかというところを見守っていきたいと思っております。

〔質問〕先ほどの整備新幹線の貸付料について、追加的に需要見込みを適切にして追加的に貸付料を徴収したらよいのではないかという提案や、あるいは駅舎についての提案などがあったと思うのですが、先ほどのお答えを聞くと、あまり明確にそれに対して意見した人がいなくて、委員からは賛意が示されたと受け取ってよいということですか。

〔土居部会長代理〕そうであると思います。貸付料そのものについての強い意見はもちろんありませんでした。ただ、先ほど御紹介した財政余力に関連して費用対効果をもっときちんと検証するべきであるという御意見などを総合すると、整備新幹線そのものだけでなくて社会資本整備全般にわたる意見として先ほど御紹介したような御意見が出あったと言えます。

繰り返しますが、あくまでも個別の路線について何か強い御意見はございませんでした。最後に御紹介したお一方の御意見のみが具体的に整備新幹線に言及された御意見ということです。

〔幹事〕これで終わらせていただきます。

〔土居部会長代理〕どうもありがとうございました。