〔幹事〕では、時間になりましたので、御説明をよろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕本日9時から財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたしました。本日は、「こども・高齢化」という議題の中で事務局から説明をしていただきました。その後、委員の意見交換と、こうした順番で進めました。
以下、主な御発言を名前を伏せて御紹介させていただきます。パートごとにお話しします。総論、それから、少子化の関係、それから、医療、介護、そして年金と、大きなくくりでそれぞれ主立った意見を御紹介したいと思います。
まず、総論の関係です。初めに、誰もが生涯安心して暮らせる全世代型社会保障を実現するため、世代内・世代間の公平性を確保するという理念、制度の持続可能性の確保、質と効率の向上を掲げて、国民の理解を得て改革工程のメニューに取り組むべきであると、これが最初の意見です。
続いて、改革工程については毎年度の予算編成過程で具体化されることになる。財審においても議論を深めて、団塊ジュニアの方が高齢化するということも見据えて、できるだけ早期に実現をしていくべき。
次です。社会保障制度改革の意義・目的として保険料負担の抑制がある。労働者の手取り増、中小企業の賃上げ原資の確保にもつなげていくべき。それから、社会保険負担を最大限抑制するため、マクロの視点も重要である。現実的な経済前提に基づいた上で、医療や介護の伸びが雇用者報酬や物価の伸びを上回らないようにすべきである。
続いて、少子化の関係です。まず初めに、子育ては社会全体で取り組む必要があることを国民全体に共有していく取組を強化すべきである。加速化プランによる予算の拡充だけではなく、企業を含めた意識改革が必要である。
それから、少子化対策について、PDCAの考え方に沿って、加速化プランの各施策についてKPIを定め、データやエビデンスに基づいて政策効果を検証しながら不断に見直しを行い、真に効果のある施策を行う必要がある。
また、支援金制度の、社会全体の支え合いという意義や歳出改革を前提とした取組であるということについて、国民の理解を深めることが重要である。
続いて、医療の関係になります。まず初めの意見ですが、医薬品の適正な使用に向けては、諸外国と同様に費用対効果評価の本格適用が必要であり、このことは製薬企業の国際競争力の強化にもつながるのではないか。
それから、外来機能を含めた医療提供体制に関して、規制的手法や診療報酬によるインセンティブ・ディスインセンティブを用いて、医師の偏在対策や地域医療構想を強力に推進していくべきである。
また、国民皆保険を維持していくため、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しなどを進めるとともに、保険外併用療養費制度を活用し、費用対効果が明らかでないものは民間保険に委ねることなどを検討していくべきである。
続きまして、介護についてです。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅において、併設型の関連法人が過剰な介護サービスを提供している問題について、早急に対応すべきという意見です。
また、介護の保険外サービスの活用については、利用者の利便性の向上とともに、事業者の収益拡大にもつながるので、ルールの明確化に取り組むべきである。
それから続いてですが、ケアマネジメントに対する利用者負担の導入、軽度者に対する介護サービスの地域支援事業への移行、2割負担の対象者の範囲拡大について、次の介護保険事業計画の開始までに必ず結論を出すべきであるという意見がございました。
介護の大規模化・協働化への誘導、人材紹介会社に対する高額の手数料支払いの問題について対応していくべきである。
最後に、年金の関係になります。いわゆる年収の壁については、共働きが増えるなど環境が変化している。2025年改正において制度的対応を行って、就業調整を行わず希望どおり働くことができる仕組みを作っていくべきである。家計の所得が増えるので、このことは少子化対策にも有効である。このような意見でした。
主立った意見は以上のとおりでございます。私から以上でございます。
〔幹事〕ありがとうございます。何か質問ありますでしょうか。
〔質問〕薬価のところで費用対効果評価の制度の本格適用の文脈の意見がありましたが、ここで製薬業の国際力の強化にもつながるという意見があったと思うのですが、費用対効果の適用とこの強化というところをもう少し、なぜつながるのかというところはどういうふうにおっしゃっていたのでしょうか。
〔増田分科会長代理〕委員の方はそうしたことをふわっと言われたのですが、今の関係、何か分かりますか。
〔事務方〕資料の59ページを見ていただきますと、その関係が解説されていると思います。
〔質問〕それに沿った形で発言されたという理解でよいでしょうか。
〔増田分科会長代理〕はい。そうした趣旨のことをおっしゃっていました。必ずしも企業のいろいろな体質を弱くするということではなくて、むしろそれが海外との関係で強化につながっていくと、このような趣旨でおっしゃっていました。
〔質問〕分かりました。その上で、今回この費用対効果評価の本格適用というところの問題提起というのは、高額な医療品が増加傾向にあるという背景もあると思うのですが、改めてこの費用対効果評価の運用が2019年から始まって5年ほどたつわけですが、現状の評価とどのような運営が必要と見ているのかというところを伺えたらと思います。
〔増田分科会長代理〕海外と比べて、保険収載や推奨品の割合が日本と海外でだいぶ違っているという現実があって、恐らくこのような費用対効果評価をやり出してそうしたことも浮き上がってきた部分があると思います。薬価については特に毎年改定という形で、やはりこれも患者さんにとっては非常に重要なことですし、ドラッグの問題、過剰投与等はかえって健康を害するような話にもなりますので、やはりこの費用対効果評価について日本が抱えている特異な状況などについて、このように浮彫りにされたことを真摯に踏まえて、今後薬価改定などにも反映させていくべきです。それから、今、関係して申し上げたように、やはり医薬品市場というのは市場としても競争力を高めていく必要があるので、そのことに向けても、5年ほどたちましたが、きちんとつなげていくような改革が今後必要になってくるのではないかと思います。
〔質問〕あともう1点、薬価の関係でいうと、セルフメディケーションはかねてからやはりその必要性は言われてきていると思うのですが、OECDの直近の調査でも日本はまだかなり高い水準にあると思います。これを、やはり現状をどう見ているのかということと、問題提起をしながらも、今の局面といいますか、見直すべきタイミングとしてどういう危機感を持っているのか、そのあたりを伺えたらと。
〔増田分科会長代理〕本日かなり突っ込んだ議論をそこの部分についてしたわけではないのですが、ただ、お話があったように、セルフメディケーションで自ら健康に気をつかって治していくようなチャンスというか選択肢は、以前に比べて非常に増えてきたと思います。これは御承知のとおり、ステークホルダーの中でいろいろな意見があるわけですが、やはり自らきちんと健康をチェックして、それでそれを改善していく努力は非常に重要なことですし、そのための意識づけ、それから、選択肢、チャンスを広げていくということをさらに今後進めていくことが必要だろうと思います。
〔幹事〕ほかにございますか。
〔質問〕もう一つ医療分野で、医師の偏在対策を強力に推進すべきであるというポイントの中で、規制についても踏み込んでいくべきではないかという御意見があったと御紹介があったのですが、これはどのような規制を念頭に置かれたものでしょうか。
〔増田分科会長代理〕医療提供体制の中で、2025年までに地域医療構想をつくって、それでその面の提供体制を強化していくということにはなっているのですが、なかなか少し遅れている部分もその関係です。それから、人口構造がかなり変わってきているということもあって、それでだんだんに医師過剰な地域が一方で出てきたり、それから、過少な地域があったりということで、今、自由開業制というような形になっていますが、現実にやはり社会のいろいろな人口動態とか変化にうまくお医者さんであるとか診療科目が対応しているかということがあります。具体的にどういう手法があるかというところまでは、こちらのほうで考えるというよりは、そのあたりは厚労省で考えていただくということになると思いますが、現実に今までのやってきた制度ではどうもやはりスピード感が追いついてこないという問題意識がありますので、限られた医療資源を最大限使うということでいえば、やはり医師偏在についてもう少し踏み込んでよいのではないかと、このような問題意識を持っております。
〔幹事〕ほかにございませんか。
〔質問〕今の質問に続いて医師偏在対策についてですが、本日の資料の中に偏在対策として地域別の診療報酬、地域別に単価を設定すべきではないかという提言があったと思うのですが、増田代理は、知事の経験なども踏まえて、この提言についてはどのように考えられているかお聞かせいただきたい。
〔増田分科会長代理〕中医協で一応診療報酬を決めているのですが、あれは「中央」というのが名前についていますが、たしか歴史を見ると、昔調べたことがあるのですが、昔は中央と地方にあって、分かれていた時代もあったと。時間は短かったようですが、それが今のような形になったと。各県ごととか非常に細かく一遍にできるかどうかというのはあるかと思いますが、やはりそうした歴史も踏まえると、今の診療報酬体系、中央で一本で一律に決めるということとは別の考え方もあり得るのではないかと思います。やはりそうしたものを取り入れていくかどうかも含めてもっと議論をしていく必要があるのではないかと。
というのは、御承知のとおり、財政的にもいろいろなものが、医療資源自体が本当にもう限界に達しつつありますし、一方でまだまだ高齢者の数も今後も2040年の少し先まで、特に後期高齢者の数が増えていくわけですから、そうした中で適正な体系にしていくためには、今お話があったような地域別の考え方というのは当然あり得るのではないかと思います。
〔幹事〕ほかございますか。
〔質問〕薬価の関係で伺うのですが、たしか23年度も、今回、不採算品の再算定の特例適用があって、どうしても不採算品とか、あとは足もとで医薬品の供給問題が起きているというのもあって特例的な対応が2年続いて行われている状況にあるのですが、こうした薬価の下支えの部分についての議論は本日はありましたでしょうか。
〔増田分科会長代理〕薬価についての意見では、下支えとかいう話は特に本日は出ていなかったと思いました。先ほど御紹介したようなこととかですね。本日の資料についてはかなり薬価のところは、今年も改定がありますし、厚くしていますが、今言ったような話は委員から出てこなかったかと思います。
〔質問〕ありがとうございます。
〔幹事〕ほかございますでしょうか。
〔質問〕資料の57ページの改革の方向性の中に、保険償還の可否判断に用いるということが書いてあります。これは昨日の担当主計官の事前の御説明についての確認でもあるのですが、保険償還の可否判断に用いるというのは、最初に収載するかしないかという判断だけではなくて、一旦収載された薬が一定期間たった後に保険から外すかどうかという、そうした判断をするという、この二つの意味ということでよろしいでしょうか。
〔事務方〕御指摘のとおりです。
〔質問〕ありがとうございます。関連でもう1点で、同じところに費用対効果評価を実施する体制という記載があるのですが、この体制というのは具体的にどのようなものをイメージすればよろしいでしょうか。
〔事務方〕現に今、費用対効果評価をされている専門家の方がいらっしゃいますよね。そうした方の体制を強化して、もう少し多くの品目について速やかに費用対効果評価ができるようにと、そうした趣旨です。
〔質問〕ありがとうございました。
〔幹事〕ほかございますか。大丈夫でしょうか。では、どうもありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。