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財政制度分科会(令和5年11月20日開催)記者会見の模様

〔幹事〕冒頭、増田代理から御説明をお願いいたします。

〔増田分科会長代理〕それでは、私から発表いたします。

本日、9時半から財政制度等審議会の財政制度分科会を開催しまして、秋の財審で深めてきた議論を令和6年度予算の編成等に関する建議として取りまとめたところです。建議では、我が国でも物価高や金利上昇の常態化という、これまでとは異なる局面に入っていく可能性があり、利払費急増のリスクを念頭に置きながら、責任ある財政運営を行っていくことが一層重要であること。我が国の経済の現況に鑑みれば、今がまさに財政健全化に軸足を移すべきときであり、この機会を逃してはならないことといった考え方を盛り込んであるところです。

また、社会保障をはじめとする各分野についても、令和6年度予算編成に向けた歳出改革の方向性等をお示しをいたしました。この建議については、先ほど鈴木財務大臣にお渡しし、令和6年度予算に適切に反映していただくようお願いをいたしました。なお、診療報酬について一言申し上げておきますと、診療報酬とは国民医療費そのものでございまして、その財源の半分は皆様が納める保険料となります。総理が国民、これは現役世代ですが、の実質賃金、手取りの上昇を政策課題に据える中で、必要な水準以上に診療報酬を維持すれば、その分、保険料は引き下がると、こうした関係にございます。

令和6年度予算編成に向けては、足もとで収益状況がよい診療所の収益を守るのか。一方で、勤労者の手取りを守るのかといった、このような形での国民的な議論を是非お願いしたいと、このように考えております。今、ここですね、もう一度申し上げます。

総理が、国民の実質賃金の上昇を政策課題に据える中で、必要な水準以上に診療報酬を維持すれば、その分、保険料は引き上がることとなります。失礼しました。必要な水準以上に診療報酬を維持すれば、その分、保険料は引き上がることとなります。そうした意味合いで、令和6年度予算編成に向けては、足もとで収益状況がよい診療所の収益を守るか、勤労者の手取りを守るかといった、国民的な議論を是非お願いしたいとこのように考えております。

私から以上でございます。

〔幹事〕ありがとうございます。それでは、質疑応答に移ります。御質問ある方は挙手をお願いいたします。

〔質問〕診療報酬についてですが、今回の建議では医療機関のうち、規模の小さいいわゆる診療所についての言及が中心だったと思うのですが、改めてその意義と、あとは医療機関全体としての比較的規模が大きいところはどうしていくべきと考えているのか、その辺りも含めてお願いします。

〔増田分科会長代理〕まず、御承知のとおり、財務局を使って2万か所以上の法人の調査を行いました。これは今までない規模のEBPMに基づく基礎資料であると、このように思っております。その中で特に診療所については、やはり非常にほかと違って収益率が高いと、こうした実態が明らかになりましたので、このデータを十分に今回の診療報酬の改定に生かしていくべきであると、このように考えて、今回の建議の中には特に盛り込んだものでございます。

それ以外のものについては、そうした診療所と、それから中小病院とは収益率に大きな差がございますので、特にほかのものは触れておりませんが、やはりメリハリをつけた予算編成にしてほしいと、こうしたことを申し上げておりますので、報酬単価5.5%、切り込むとこうしたことを今回申し上げていますが、それでいきますと診療報酬の本体部分で1%マイナスということですが、全体として見ればやはりマイナス改定、数字ということではなくメリハリをつけてマイナス改定が適当であると、このように申し上げたところでございます。

なお、これについては、医師会などからもその後反応が出ているように私も見聞きしたのですが、御承知のとおり、様々なそうした調査の中で今回のものは非常に箇所数も多くて、非常に実態をよく反映されているものということにもなりますし、それから、そのデータ自身が今閲覧可能なものが2020年から3年分と、こうしたことになりますので、そうした形では調査というのは非常に意味のある、特にコロナの状況の中でそこだけをとったというよりは、そうしたその閲覧可能なものから導き出した調査ということですし、改定に当たっては、そうした直近のデータを使って、経常利益率が2022年度8.8%という診療所、そうした利益率になっていますから、まずそこをベースに考えていく必要があるのではないかと、このように考えたものです。

〔幹事〕ほか、いかがでしょうか。

〔質問〕少し冒頭おっしゃられた金利上昇に伴う利払費上昇のリスクのところなのですが、今回、責任ある財政運営を行っていくことが一番重要であるというふうに盛り込まれていますが、具体的にもう少し詳しくどういった観点を、こうした観点を重視してどういう形での財政運営が必要であると考えているのかというお考えを教えてください。

〔増田分科会長代理〕恐らく金利の動向については、やはり長期金利のみならず短期のものも含めて、十分注視をしていく必要があるというふうに思っておりまして、そうしたところで言うと、我が国で相当多額の借金をして予算を編成していると、こうしたことになりますので、そうしたことを考えますと今非常に金利が低いので、利払費については予算編成上、大きな割合を占めておりませんが、これから、金利上昇の局面では利払費が非常に大きくなって、財政の硬直性をより増していくということになります。

もう毎年毎年そうした利払費によって、かなりの部分がそちらに回さざるを得ないということになりますと、政策的な財政で行っていくものが非常に難しくなってきますし、やはりここで、この中で強調しておりますように、財政健全化ということに切り替えていく非常に大きな節目であると思っておりますので、そうしたことをここで込めたものでございます。

〔幹事〕ほか、いかがでしょうか。

〔質問〕先ほどの診療報酬の改定なのですが、やはり今現状の岸田政権の支持率が下がっていて、政策執行力が、執行に対する影響力というのが限定されつつあると思うのですが、そうした中でもこの診療報酬マイナス改定にする必要があるということで、国民への支持は果たして得られるのか、そうしたことについてのお考えをお聞かせください。

〔増田分科会長代理〕政治の局面で最後予算などが決まってくると、これはもうそのとおりだろうというふうに思います。一方で、先ほど診療報酬についての考え方であえて申し上げましたが、どうしても国民の中に例えば、今お話ございました医師会と財務省の間のお金についてのやり取りであると、戦いであると、こうした形で矮小化して取られてしまうと、やはり本質を見誤るのではないかと。

先ほど言いましたように、そこの部分については収益状況、経営状況がよい診療所の収益を守るのか、あるいは保険料が引き上がるということで勤労者のその手取り、あるいはそれによる生活を守るのかと、こうした大きな文脈で考えていく必要がありますし、それはさらに将来の若い世代、今いる15歳以下の若い世代のみならず、これから生を受けようとしているそうした若い世代の負担にも跳ね返ってくる議論なので、そこを財審として問いかけたつもりですが、そのことを我々としても国民の多くの皆様方に御理解いただくように、きちんとこれからも発信をしていかなければいけないというふうに思っております。

まず、今日建議、取りまとめました。これを先ほど財務大臣にお出しをして、そうした政府の様々な場での検討に供するとともに、やはり同時並行で国民の多くの皆様方にこうしたことをお伝えをして、それでそうした国民の目の中で、民主主義としての予算の編成に向かっていただければと、こうしたふうに思っています。

我々も、その意味でこの建議の内容については継続して発信をしていく必要があると、そうしたふうに思っております。

〔質問〕私も診療報酬なのですが、例えば東京都の医師会などは、コロナ禍で不眠不休の対応を診療所もしてきたと、楽をしてもうけたわけではないというような反論をしています。また、利益が上がったことで税金も増えて、人件費も上がっているので厳しいというような主張を、これは特に具体的な数字を示しているわけではないのですが、反論していますが、こうした気持ち的な面での反応に関しては、どのようにお考えでしょうか。

〔増田分科会長代理〕コロナの中で、医療従事者の皆様方が大変御努力をされてきたと、これは多くの国民が自ら感じている部分もあると思います。やはりこの診療報酬の議論の中で大事なことは、やはり医療法人、これは一方で診療と同時に持続可能性という意味では、経営上のことも考えていかなければいけないと思うのですが、やはり保険料という、通常の民間企業とは少し違うそうした収益構造になっておりますし、税金もかなり多くそこに入っておりますので、やはりその実態を見える化して、多くの人たちから見て公平な使われ方、あるいは公平な形になっているかどうかということがより高く問われるのではないかというふうに思いまして、そうしたことから言うと、医療、診療所でお働きになっている方々も含めて皆様、大変努力していると、このように委員もそこの点は理解していると思いますが、結果として、収益率などで言えば中小病院、さらには大きな大学病院などと様々な差が出ておりますので、その点は、メリハリのついた形で診療報酬の中でそれを表していっていただきたいと、こうしたことを政府のほうに今回の建議でお願いしたところです。

〔質問〕もう1点、同じ診療報酬ですが、これも医師会の反論の一つですが、賃上げの原資として、彼らが求めているのはストックではなくフローから出すべきであるという主張なのですが、この辺り、利益剰余金からということも今回の建議の中には入っていますが、この辺りの反論についてはいかがでしょうか。

〔増田分科会長代理〕まず政府のほうで今回賃上げ税制をまた大幅に、大幅というか、内容はこれからでしょうが、改正をするというふうに聞いておりますし、賃上げ税制を活用するというのが一つあると思いますし、それからあと今お話しになったように、剰余金ですね、剰余金を活用するということもあります。

それ以外にも、様々な賃上げの場合の加算措置もありますので、そうしたものをうまく活用していただいた上で、やはり、全体の働く方々の給与に反映させていただくということが大事ではないかというふうに思います。

〔質問〕今の剰余金のところなのですが、これは言わば一般企業における内部留保のようなものであると思いますが、これを使うことに、やはり賃上げの原資とすることに医師会は反対しているのですが、それについてはいかがでしょうか。

〔増田分科会長代理〕少し一般の企業とは構造が違うということは今申し上げましたとおりで、保険料、国民が負担する保険料が収入の多くのものですし、さらに、かなり多くの税金も入っているということから、完全に民間の企業と同一で、そこを考えるということはできないのではないかとこうしたふうに思っております。

〔幹事〕そのほかいかがでしょうか。

では、ないようなので、以上で終わります。ありがとうございます。

〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。