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財政制度分科会(令和5年11月1日開催)記者会見の模様

〔増田分科会長代理〕それでは、よろしくお願いします。

本日14時から、分科会が開催をされました。本日は、社会保障についての議論です。以下、会議での主な発言を個人名を伏せて御紹介をいたしたいと思います。

まず、総論的な分野に関わる話でございます。

初めの意見ですが、「高齢化等による国民負担率の上昇に歯止めをかける」、「税負担や社会保障負担を抑制することに重きを置いて経済財政運営を行う」ことが総理の所信で述べられておりますが、これが重要であると。そして、来年度の診療報酬を抑制していくとともに、全世代型社会保障の改革工程について、いつまでにどの程度進めるか、具体的に策定していく必要があるという意見です。

それから次です。ポストコロナの医療の受診行動の変化を踏まえて、地域医療構想を含めた医療提供体制の見直しを行わなければいけない。手厚い報酬体系であると医療提供体制の見直しが進まない。地域医療構想が未達の場合、その要因を検証すべきである。

それから、かかりつけ医の制度設計が遅く、中途半端である。オンライン診療の広がりなど環境変化にも留意が必要。診療内容の公表による標準化も検討すべき。出来高払いから包括化への転換も検討し、最終的には登録制を目指していくべきである。

続きまして、給付範囲の見直しについて、高額で広く使われる医薬品が出てきている。今後、薬の効力、薬効によっては、任意の民間保険で対応する道も考えていくべきであると。医療の見直しに追加して、サービス付き高齢者住宅、いわゆるサ高住ですね。それから、生活支援などの介護分野についても検討課題としていくべきと。

それから、高齢者を支える現役世代の負担は限界に来ている。全世代型社会保障への移行が必要である。公平性の確保の観点から、金融資産の負担能力への勘案、後期高齢者の原則2割自己負担、3割の自己負担の対象をより増やしていくべきと。それから自己負担の水準は、高齢者に手厚い控除が加味されており不公平であると、こうした意見がございました。

次です。このあたりから医療ですとか、それから薬の関係ですね。受診時の定額負担、医療費の総額コントロールによって制度の持続可能性を高めていくべきと。

それから、本日の事務局からの説明資料に入っていたものでございますが、財務省が実施をした機動的調査は、医療機関の経営状況を明らかにした画期的な取組であって、データに基づく議論をフラットに行うため、広く国民に知ってもらうべきものであると。

それから次ですが、この機動的調査で明らかになった診療所の極めて高い利益率を踏まえれば、診療所の報酬単価を大きく下げ、マイナス改定とすべきであると。その際に病院については、勤務医の働き方改革や、現場の従事者の支援をしっかり行うなど、メリハリをつけることが重要であると。

続いて、診療所の報酬単価が高いことが診療所の必要以上の開設を促し、病院における医師不足、医師偏在の加速につながる構造となっていると。そのため、地域別単価の設定を含め、診療所の報酬単価の見直しが必要であるという意見です。

それから、次です。今回は、機動的調査によって経営状況が明らかになったが、本来は、経営状況の見える化のためには、データベースの構築を進めていくべき。また、職種別給与の提出を加算の要件とするといったことを検討すべきであると。

また、リフィル処方箋の適正化効果が未達成なので、今次の報酬改定では、差し引く調整が必要であると。また、タスクシフト/シェアの観点からも、薬剤師にリフィル化の権限を与えるといったことも考えていく必要があると。

それから次ですが、薬価に関して、創薬力強化の観点や、ドラッグロスの問題も踏まえ、適切なイノベーションの評価を行っていくべきと。

それから、調剤報酬についても門前薬局が収益をあげやすいので、予算執行調査で示されている対応を行い、しっかり改革を進めていくべきであると。

続きまして、介護の分野です。まず初めです。介護についてICT化の推進による生産性の向上が重要である。データ活用により「見える介護」、「予測する介護」が可能になる。また、生産性を高めることで、事業者の収益の増加等が処遇改善に構造的につながる仕組みを構築する、このような観点が重要であると。

次ですが、ICTを積極的に活用している介護事業者については、人員配置基準の柔軟化を考えるべきであると。また、在宅サービスについては、事業者の再編成が必要であると。

次です。介護報酬の適正化に関連して、訪問介護、有料老人ホームなどの個別サービスで見れば、利益率は高い。また、厚労省の介護経営実態調査より福祉医療機構の調査の方が標本数、サンプル数が多い上に、より的確に実態を表しており、こうしたデータに基づいて実態把握をしていくべきであると。

それから医療・介護について、現場の従事者の処遇改善につなげる観点からも、職種別の給与・人数の提出を報酬における加算措置の要件として、経営状況の見える化を進めるべきと、このような意見です。

次に、こどもの関係ですが、少子化対策は日本の国力・経済力にとって最重要であり、明確かつ安定的な財源を確保した上で、スピード感を持って実行していくべきと。政策の強化が広く意識されるためにも、育休の強化や職場の意識改革などを含めて、継続性をもって取り組み、社会の構造意識の変化につなげていかなければならないという意見です。

それから、少子化対策の財源の基本骨格として、「実質的に負担を生じさせないことを目指す」という方針が掲げられておりますと。このこと自体は望ましいが、これはチャレンジングな目標であり、国民に丁寧に分かりやすく説明していく必要があると。

それから、少子化は、我が国の経済・社会システム全体に関わる課題であり、すべての世代に加えて企業・事業主も含め、負担を分かち合いながら進めることが望ましい。検討されている支援金制度については、そうした理念を体現できる仕組みである。制度設計にあたっては各参加者の納得感の高いものとする必要があると。幅広い世代が加入し、企業も参加する医療保険をベースに賦課・徴収を行うことが合理的であるという意見です。

また、3兆円半ばの予算の増加が今後いかなる効果を発揮するのかが問われている。過去、予算を増やしてきたのにもかかわらず少子化の歯止めはできておらず、その検証は必ずしも十分ではないと。3兆円半ばもの予算を投じるという以上、具体的な目標を掲げ、政策効果を検証しながら、施策をアップデートをしていくべきであると。

最後の意見になりますが、障害福祉サービスについて、質の低いサービスでも高い報酬が得られる体系となっているので過剰供給が懸念をされる。不正事案も多発しており、報酬改定ではそうしたことのないよう、メリハリのある対応が不可欠であるというものです。

以上が主な意見でございます。私から以上でございます。

〔幹事〕ありがとうございました。まず、幹事社から、一つ質問させてください。

診療報酬に関してはマイナスとすべきであるという意見の御紹介でしたが、おおむね、会はこれで一致していたといったような認識でよろしいでしょうか。

〔増田分科会長代理〕全員がその問題について発言したわけではございませんが、発言された方はおおむねそのような意見を言われておりましたので、恐らく全体の傾向としては、そうした認識が大変多かったというふうに思います。

〔幹事〕ありがとうございます。また、少子化対策に関して明確な財源を確保すべきという御意見があったということなのですが、具体的にその財源に関しての言及はありましたでしょうか。

〔増田分科会長代理〕一応、少子化についての大枠は決まっているので、また、支援金の制度設計などについても議論はありましたが、ずっと長く続くはずですので、やはり財源の個々具体的にどうのというよりは安定的な財源として、それをきちんと確保していくべきであるということだったかと思います。

〔幹事〕ありがとうございました。それでは、会場から質問を受けます。挙手をお願いできますでしょうか。

〔質問〕今回の機動的調査のところで、まず、1点目少しコメントについて確認したかったのが、本来見える化のためにはデータベースというのは、今回は機動的ですが、このコメントの趣旨としては、常に全国の分析した状況が毎年度見える状況にすべきという、そうしたものでしょうか。

〔増田分科会長代理〕今回は私も思いますが、異例のことながら財務局で、サンプル数は1万8,000ぐらいですから、大変広いものを集めて、それで調査をされたということだったと思います。ですから、ある種やはり異例というか、そうしたきちんとしたエビデンスに基づくものがやはり欠けているということで、そうせざるを得なかったという分野があったと思って、私自身も、この調査自身は大変高く評価していますし、極めて中立的な調査であるというふうに思っているのですが、そうしたデータなどは、本来であればやはり経営状況が常に分かるようなデータベースが構築されていて、その中に、委員の方もおっしゃっていました、職種別給与のデータなどがきちんと盛り込まれていることが本来望ましいと思います。

全世代型社会保障構築会議の下につくった公的価格評価検討委員会というのがあって、私もそこに参加しているのですが、やはりなかなか経営の実態の資料の提出がなされておりませんので、任意提出であったりして十分なデータが集まらないと。

ですから、やはりそもそも冷静な議論するときにはそうしたきちんとしたデータがあることが、診療報酬を改定するときには前提になると思いますので、今回は、あれだけの機動的調査というのは非常に重要なデータで、それを十分見ながらやっていくということがよろしいかと思いますが、毎年毎年というか改定のたびごとにあれだけの調査を緊急にやるというわけにもいかないと思いますので、やはり将来的に進めていく上では、委員がこの中で述べていたようなデータベースの構築なんかも今後検討していく必要はあるなと思います。

〔質問〕また、今回のところでの問題提起としては、その利益剰余金が特に病床がない診療所で増えているということから、そこが賃上げの原資というところが出ていると思うのですが、一方で、民間企業である以上、その剰余金をどう使うかというところについて、行政の立場から強制力というのは難しいとは思います。そうした中で、今回、資料もその税制の部分がありましたが、診療報酬以外であるとしたら、どういう働きかけができ得ると考えているのか。そこの考えをお伺いできたらと。

〔増田分科会長代理〕おっしゃるようにまさに税制が一つあると思うのですが、先ほどの御質問にも関わりますが、やはり見える化が大事ではないかなと私は思いますね。

実際に医療のほうにどういうふうに総額をコントロールするかというと、結局は、報酬改定のときに、単価を決めていくということになっています。今回の事務局の資料でも、まさにそれをよりきめ細かくやる上で地域別の単価といった話もありましたが、そのさらに前提としてやはり様々な状況が見える化されることが大事です。国民の多くの方は医療機関に行かれるわけですが、そうした自分が受けている医療が一体どういう形で賄われているのか。それから、相当様々な面で公費なども入っているわけですから、そうした構造が分かった上で、全国の状況、それから地域の状況なども分かった上で、それが本当に納得が得られるものかということが見えていくことが、いろんな意味で、過剰なものを抑制することにつながるのではないかなというふうに思います。

〔質問〕最後にもう1点、こども財源のところの議論であったと思うのですが、委員の発言からもそのチャレンジングな目標であるという話があって、そうしたときに歳出改革というのが出てくると思うのですが、この診療報酬の改定というのは、この子育ての財源との関係の中で議論することに対しては違うのではないかという意見も出ていると思います。会長代理御自身としては、こうしたチャレンジングな目標がある中で、この診療報酬改定をどう向き合うべきと考えていらっしゃいますか。

〔増田分科会長代理〕一応、以前は社会保障というとやはり高齢化3経費で、年金も加えて医療・介護だったのですが、以前、相当大きな議論をした上でこどもも入れて社会保障4経費、基本的には消費税で賄うという前提ですが、社会保障4経費ということで、やはり子育てということは、その中では世代間の公平の問題もありますが、やはり重要な社会保障分野の話であるということになりました。これはもう法律上もそうした形で位置づけられていますから、その中でどう効率的に、そしてまた国民にとって納得いただけるように配分していくかというのは、全体でやはり考えていく話であると思います。ですから、私も何かこの分野ごとでお互いに部分最適を競うような話ではないと思いますが、やはり全体として国づくりの基本の社会保障分野で最適な配分を考えていくという上では、やはり医療だけ例外にする、介護だけ例外にするということではなく、今、やはりこども分野は最重要と、こどもまんなか社会と言われているわけですから、その財源をどう考えるかというのはやはり社会保障全体の中でいろいろ無駄を排除する、歳出を改革するということを考えていくべきであると思います。

〔質問〕先ほどの見える化の部分について教えてください。要は、医療機関の決算書とか事業報告書は、都道府県には持たされていて、閲覧できると。ただし、それが集計されてないというか、つまり行ってみないといけないという状況かと思うのですが、そうした説明があった上で、今回一種、少しこのデジタル社会の中ではすごく後進的な状況にあるということであると思います。そうした説明を受けた上で、見える化が大事であるという点で、財審の委員の方々の中で一致したということでしょうか。

〔増田分科会長代理〕そうですね、そのように理解していただいて結構ですし、それから見える化していくというのは、その中の項目的なことについてもやはり十分なものが入っていることが重要であるということであると思います。

〔質問〕分かりました。もう1点、この機動的調査に関連して、今回資料の中で我々が見せていただいたのは、2020年度から2022年度なのですが、コロナの影響が当然ここに入っていて、それで診療所も含めて予防接種をやると1回いくらという形で補助金等も出ていたと。それを差し引くと、赤字決算になるところもかなりあるかと思うのですが、そうした分析について何か議論というか、もしかしたら事務方の方にお聞きしたほうが良いのかもしれませんが、いかがでしょうか。

〔増田分科会長代理〕少なくとも私の理解としては、やはりコロナのときの中でどういうことだったのか、医療機関の経営がね、というのは非常にやはり重要、その3年間についてのものが重要であって、それは確かにおっしゃるとおり、少しコロナ時期の数字ということであったと思います。ただ、利益率などを見ると物価の上昇よりもはるかに高くなっていますし、やはりそれにしてもここまでその期間に高くなっているということを、やはり国民の皆様はどう受け取るのかということがあるのではないかと思います。ですから、考え方によっていわゆる平常時とはどういうことなのかという点ももちろんこれからの議論としてはあるかもしれませんが、私はやはり、こうした医療が極めて必要とされるときに、その実際の経営実態は非常に重要ですし、それをきちんと念頭に置いた上で診療所と病院間の格差もやはりいろいろ生じているわけですから、それは一体どういうことなのかとか、それからやはりお医者さんも大変そうした中で奮闘されていましたので、働き方改革にいろいろつなげていく上では、どういうことをしていったらいいのかということをあの資料をベースにきちんと議論していただきたいなというふうに、診療報酬改定については思います。

〔事務方〕コロナの関係で補足させていただきますと、まず診療所です。病床がない診療所と、ベッド、病床がたくさんある病院というのは分けて考えたほうがいいと思います。ベッド、病床がたくさんある病院については、病床確保料ということで5兆円、補助金を配っています。ですので、これがあるかないかということで、かなり利益が変わってくるのであるという主張はあると思います。それは事実であると思います。

もともと病床自体で結構空きベッドが増えているというような状況がある中で、コロナが起き、病床確保料で空きベッドに対して多額の補助金が得られた。ですから、それがある、ないというのは影響があると思います。

今回我々が申し上げているのは、診療所です。要するに病床確保料は関係ない診療所ですね。診療所の単価について言えば、資料の29ページにありますが、3年間で13%増えているという中で、コロナに関係する特例、それからこの間、不妊治療が保険適用されたことによる一時的要因、そうしたものの影響というのは370円です。ですから、それを除いても、3年間で毎年3%程度は単価が上がっているということです。ですので、これは資料の30ページの注の4に入れさせていただいていますが、このコロナ関係の診療所関係の特例というのは縮小されて来年以降、基本的になくなっていきますが、発熱外来と我々は言っていますが、この特例は、コロナ患者を診療所で受け入れるに当たって追加コストがかかるということで加算していたわけです。

それが今、追加コストがかからなくなってきているという厚労省の調査も踏まえて、両方縮小していますので、両方、収入と費用が両方下がるのであれば、経常利益には影響ないはずなのです、基本的に。ですから、そうした意味でこの経常利益8.8%というのは、コロナを契機として診察行為が変わり、それを前提に今の報酬単価であるとこれだけの利益が出るということなので、引下げが必要であるというふうに事務局としては考えているということです。

〔質問〕ありがとうございました。

〔幹事〕そのほかいかがでしょうか。

〔質問〕診療報酬の本体については、マイナス改定というのがおおむねの意見だったということですが、医療費の伸びの圧縮ですとか歳出改革というのを考えた場合に、今回そのマイナス改定の幅について言及される意見はありましたでしょうか。

〔増田分科会長代理〕具体的にそこまではございませんでした。全体とすればやはりこうした、今言ったようなデータも踏まえて、マイナス改定をしていくべきではないかということでしたので、それ以上についてはそうした方針で予算編成に臨んでほしいと、こうしたことだったかと思います。

〔幹事〕そのほかいかがでしょうか。

それでは、これで会見を終了いたします。増田会長代理、どうもありがとうございました。

〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。