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財政制度分科会(令和5年5月29日開催)記者会見の模様

〔幹事〕では、時間になりましたので、まず本日の御説明からお願いいたします。

〔増田分科会長代理〕お待たせしました。本日、財政制度等審議会財政制度分科会を開催して、春の財審で深めてきました議論を「歴史的転機における財政」として取りまとめたところでございます。

この建議では、歴史的転機ともなり得る場面にあり、グローバルな経済・金融環境も急速に変化する中で様々な課題への的確な対応が必要であること、危機に機動的に財政を運営するため、平時にこそ財政を健全化し、財政余力を確保することが不可欠であり、コロナ対策により一層低下した財政余力の回復が急務であること、少子化対策の成否は国家の命運を左右する取組であり、真に効果的な対応が求められることなどを盛りであるところです。

この建議については、先ほど十倉会長から鈴木大臣にお渡しいたしまして、今後の財政運営に生かしていただくようお願いを申し上げたところです。

本日の財審の内容については、私からは以上でございます。

〔幹事〕ありがとうございます。それでは、会見室の方で質疑応答を行います。質問のある方は挙手をお願いします。

〔質問〕1点、子育て政策の少子化対策の財源のところで、今回の建議の文言の中では、「これから生まれるこどもたちの世代に先送りことは本末転倒であり、そのような対応あってはならない」という文言があります。現在の財政運営の中でも国債は一部もう使われていて頼っている部分があると思うのですが、この「本末転倒」、「あってはならない」という言葉を盛り込んだ狙い、意図というところをお聞かせいただけますか。

〔増田分科会長代理〕文字どおり、こどものための政策であって、それが今現在ではなくて、将来になって逆にその対象であるこどもたちの両肩に降りかかってくると、これは本末転倒であって、やはり現在いる世代でそうした負担などについて考えていくべきと、そういった考えを込めてそうした表現を取ったところです。

〔幹事〕ほかにいかがですか。

〔質問〕私からも少子化対策の財源に関連してお伺いします。昨日自民党の茂木幹事長が、現時点で社会保険料の引上げや積み増しについては考えていないという旨の発言をされたのですが、それについて委員の先生方から御意見があったり、あるいは会長代理のお考えがあれば、教えていただけないでしょうか。

〔増田分科会長代理〕昨日などの茂木幹事長の御発言に対して、今日の財審の中で特に触れた委員はございませんでした。それについて触れた方はございませんでしたが、考え方とすれば、関連することで申し上げれば、今回、子育ての財源については、歳出、歳入両面から幅広く検討すべしと、こうした考え方は建議の中に盛り込んであるところです。これから具体的には政府のこどもの関係の会議で、官邸での会議で議論を深めていくというか決めていかれるのであると思います。それを骨太のほうに盛り込むということでいくと思うのですが、こども未来戦略方針になるのですかね、そこをこれからまとめていく中でこの建議の考え方、歳出、歳入両面から幅広く検討していくと。それから、先ほど御質問あったように、将来にわたってこどもに負担がかかるといったようなことは本来あってはならないことですから、そうしたことを丁寧にその議論の中に反映していただきたいと思います。

〔質問〕ありがとうございました。

〔質問〕1点、少子化対策のことをお聞きしたいのですが、児童手当の所得制限のところで、建議の中で両論併記のような形で書かれていましたが、増田さんから見られて、委員の意見としてはどういったトーンだったのか、どちらのトーンが強かったとか、その辺りを少し伺えればと思います。

〔増田分科会長代理〕両論併記をまさにおっしゃるとおりしたのですが、私から見ても、どちらも委員の皆様方の意見はそれぞれ同じようにあったなと感じております。どちら側の意見が、所得制限を撤廃してやはり強いメッセージを送るべきというほうが強かったという、ずっとそちらに寄っていたというわけでもありません。また、それから、所得制限をやはり残して、限られた財源をきちんと使っていくべきであるという、要は、両論の意見についてどちらかが強かったということは私の印象でもございません。やはり両方それぞれの皆様方が意見を述べられたと私は受け止めています。したがって、今回両論併記ということにいたしましたが、これもこども未来戦略のほうできちんとそこをどう扱うのかを決めていただきたいと思っております。

〔質問〕所得制限の撤廃についてお伺いしたいのですが、政府としては、所得制限を撤廃する方向で検討が進んでいるかと思うのですが、このタイミングであえて反対意見も含めた両論を示すことによって、どういったことを狙ってそうした両論を、割としっかりしたボリュームを盛り込んでいるのか、その意図についてお願いいたします。

〔増田分科会長代理〕正直、財審の中でやはりここは一つの論点になるなということで皆様意見をおっしゃったわけで、それで、内容的にはやはり二つ、両方の意見がございました。なかなかこれをどちらかで決めるというわけにもいきませんし、これはかなり広範囲の人たちがやはりそれぞれの考え方があって、それで意見述べておられるのではないかなとも思いますので、あえてそのとおりの内容をこの中に盛り込んであると私も考えております。

ですから、こどもの未来戦略をいろいろ考えていく上で非常に多方面のことをやはり考えなければいけませんし、それから、実行に当たっての財源も含めて、やはりここも従来と違って非常に範囲を広範囲に広く捉えていかなければいけないと思っておりますので、一番スタートの時期ですので、やはりこうした意見、大きく二つの意見をきちんとこの中で盛り込む、紹介して政府のほうに意識をしてもらうというのが重要であると思っております。

〔質問〕つまり、あっさり決めるのではなくて、まだ大きな議論が必要であるというのがあったと。

〔増田分科会長代理〕この中でそうした意見が両様あるということをきちんと書いておりますので、もちろん決めるということは、その中でいろいろな議論をした上で決めていかれるのであると思いますが、やはりこどもの今回の関係については丁寧な議論を是非していただきたいと思います。

〔質問〕ありがとうございました。

〔質問〕子育て財源等も含めた社会保障の歳出改革の断行のところですが、後期高齢者の窓口負担であったり、介護の部分の2割負担の範囲拡大であったり、かなり実現するには相当大きなテーマであると思います。その負担の在り方も含めた歳出改革への意気込みといいますか、会議の中でどのような意見や思いがあったのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕その部分を議論した回というのは、前々回ぐらいですかね、ございましたが、委員の多くが、やはり歳出改革が必要であるし、それから、財源についても、様々なものを組み合わせた、ミックスした財源というものを考えていかなければいけないと。いずれにしても、非常に将来までずっと恒常的に続くものですから、財源についても安定的に確実なものを考えていかなければいけないと。

そして、そのためにも、やはり国民的な理解を得ていく上でも、歳出の改革、特に医療・介護の改革についてはやるべきことをきちんとやっていく必要があるということで、これは以前から随分、医療・介護の関係では社保の改革の中で議論になってきているテーマですし、一部先送りしてきた、先送りされてきたと言ったほうがいいかな、そうしたテーマでもありますので、是非今回ちょうどこの節目でやはり歳出改革についても徹底をしていただきたいと。その上でこどものほうのきちんとした対応をしていく、そうした時期であると思っております。

医療・介護の関係は、これから暮れにかけて様々な問題がその中で議論されていくと思います。今、例として挙げられた2割負担の問題もありますし、恐らく今回は診療報酬とか介護報酬などの改定の問題もありますが、やはりそうした様々な点についてこの際きちんとした取組をそれぞれのところで行っていただきたいと思っています。

〔質問〕医療・介護の歳出改革を行うべきというのが少子化のくだりでも建議に書いてあったと思います。歳出改革の部分が大分ボリュームでありましたが、こうしたところはどのような思いを込めてつくられたかというところや、印象に残っている議論などありましたら教えてください。

〔増田分科会長代理〕やはり先ほども少し申し上げましたが、歳出改革と歳入の両面の見直しをしていかなければいけない。当然、歳入の見直しということになれば、この中でも書いていますが、先送りをしないで、社会全体で安定的にこども世代を支えていくという考え方になります。そうした意味で、広く皆様方から御理解いただく上でも、やはり歳入面の額があまり多くなり過ぎてしまっても十分な理解が得られないわけですから、歳出のほうでもできるだけ改革を行って、それで歳入歳出がうまく合うようにしていかなければいけない。

したがって、歳出改革は、今回のこども対策が非常に強く浮上する前から様々な課題があって、それで、医療・介護の社会保障制度全体の持続可能性がいろいろ問われてきたのであると思います。御承知のとおり、2040年に社会保障給付費でも190兆という巨額になっていくわけですから、どうやって持続可能性を維持していくのかということもありますので、やはりこの問題にもしっかり取り組んでいかなければいけないと思っています。

印象というのは、全てがそれぞれ、これまで議論してなかなかハードルが高い、壁の厚い分野ではありますが、例えば前々回でしたかね、議論した中でも、先ほど少し言いました例えば診療報酬なども、介護報酬と診療報酬を1%上げれば、保険料が3,000億ぐらい増えてくるといったこともございますので、財政に与える額的な量的な影響がすごく大きいわけですから、この際やはり歳出改革についてもきちんと、また年末にかけてしっかりとした議論で理解を深めて取り組んでいくことが必要ではないかと思います。

〔質問〕先ほど歳入のほうもミックスで考えていかないといけないというような発言も会長代理からありました。今回その辺り、税に関しては選択肢から排除すべきでないとの意見はあったというような記述もありますが、要は、社会保険料の引上げも含めてどういった形で歳入を確保していくかというところはあまり明確には書かれていないかと思います。その辺りの記述ぶり、どういった議論を経てこの今回の結果になっているのかというところのお考えをお聞かせください。

〔増田分科会長代理〕歳出に合わせて歳入もきちんと確保していかなければいけないと、そこはこの中ではっきりと述べたつもりです。やはり財審という場ですので、歳出については我々もいろいろなことをこの中で議論していくわけですが、歳入のほうについていうと、それが今、世の中では社会保険料であるとか税、税の中でもいろんな税目が言われていますが、そこまで財審の中できちんとこれであると言う場では必ずしもないのではないかと。やはり歳出に見合った歳入をしっかりと確保するということで、その上で必要な場でまた、どういった形でやるのかというようにそれは議論していただきたい。ただ、財政健全化に反するような形になっていけないと、そこをこの中で強調したつもりです。

〔質問〕ありがとうございます。

〔幹事〕そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。

では、ありがとうございました。これで終わります。

〔増田分科会長代理〕どうも大変ありがとうございました。