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財政制度分科会(令和5年5月11日開催)記者会見の模様

〔幹事〕最初に御説明をお願いします。

〔増田分科会長代理〕それでは、御説明申し上げます。本日、財政制度等審議会の財政制度分科会が開催されました。午後2時から先ほどまで行われました。

本日の議事内容を御紹介いたします。まず最初に事務方から、財政総論の補足、そして、財政各論のこども・高齢化等について説明があった後、委員からの発言に移りました。

その発言の主な内容について御紹介をいたします。

まず、少子化について初めに出てきた意見を紹介します。まとめて何人かの委員の方が同様の趣旨を言っておりますので、そこについてはまとめております。異次元の少子化対策を実施する上で、非正規雇用や両立支援などの働き方改革を含め、社会全体の構造や意識を変え、若い人たちへメッセージを伝えていくことこそ重要ではないか。それから、次の意見ですが、こども・子育て政策の強化については効果的なものに絞り、納得がある形にする必要がある。また、これまでもこども関係予算を増やしてきたが、少子化問題の解決には至っておらず、併せてPDCAを回して効果検証をしっかりと行っていくことが重要ではないか。それから次ですが、児童手当については、例えば多子世帯への支援について、第3子以降がいる世帯が大きく減っていることを踏まえ、重点を絞るなど政策効果が高いところに重点を置くべきではないか。

それから、こども・子育て政策の財源については、こどもにツケを回さず、安定財源を確保すべき。その際には、子育てを社会全体で支えるという観点から検討していく必要がある。幅広い層が負担することで、子育て世帯が子育て期間全体として手取り増となることは不可欠ではないか。具体的な財源については、税や社会保険料、歳出改革、このベストミックスを考えるべき。子育て世帯以外も含めて薄く広く徴収し、消費性向が高い子育て世帯に集中的に還元することで消費活性化策にもなるのではないか。

それから続いて、医療の関係になります。医療・介護の報酬を1%引き上げると年間3,000億円の保険料負担増となってしまうので、報酬改定に関しては、負担増を抑制する観点から十分注意していくべき。それから次に、病院の経営状況を見ると、コロナ補助金などにより年間で総費用の5%ずつ多額の純資産が積み上がっており、賃金・物価高への対応においてはこうした資産を活用すべき。それから次ですが、医療機関の経営情報の見える化を強力に進めていくべきであり、そのためには職種別給与の提出の義務化も行っていくべき。

それから、続いてですが、リフィル処方箋は普及が進んでいない。医療機関の協力を得られないのであれば、薬剤師からの働きかけや、OTC類似薬について薬剤師の判断でのリフィルへの切替えも早急に検討すべき。また、リフィル処方箋による適正化効果が未達であるのであれば、次の診療報酬改定においてその分を差し引くことも検討をすべき。

それから、次の意見ですが、医師の偏在についてです。医師の偏在は、国民皆保険の維持の観点からも解消すべき課題であり、自由開業制の見直しも検討すべき。それから、次の意見です。病院の機能分化・連携の推進のため、地域医療構想進捗の実現が必要であり、そのためには更なる法制的な対応も必要である。それから次に、病院の機能分化は本来果たしている医療機能に基づいて行うべきであるため、看護配置ではなく、患者の重症度等の実績を反映した診療報酬体系に転換をしていくべき。

それから、次は介護の関係です。こちらは、介護保険料の上昇を抑制するため、昨年末に取りまとめられた介護保険部会、これは社会保障審議会のほうの介護保険部会ですが、その意見に沿って2割負担の範囲拡大等について早急に結論を得るべき。それから、介護事業者の経営の大規模化やICTの活用に向けた取組を進めていくべき。それから次が、介護給付の増加を抑制するため、要介護認定のばらつきの是正や軽度者向けサービスの地域支援事業への移行に加えて、全てを公的保険だけで賄うのではなくて、地域・民間も担うことが重要であるということです。

それからあとは、全体を通じての意見になろうかと思います。将来的な給付の伸びの予測の資料があるが、事務方から提出された資料の中に入っていますが、この給付の対GDP比や社会保険料負担の2025年度予測値をもう実績が既に超えている。今後、社会保障給付費が伸び続けると、国民負担が50%を超えて、可処分所得も低下するので、伸びを抑制する取組が重要になってきますと。それからもう一つですが、2025年に向けて最後の取組を進めていくべき。実現可能性について総括をし、PDCAを回すべき。全世代型社会保障の実現に向けて、年齢によって給付を変えている窓口負担などを見直すべき。それから、個人の資産保有状況についても着目していくべきということです。

それからまた、今日の資料の中に財政総論の補足の資料が入っています。そちらの関係では、フューチャーデザインについてですが、熟議民主主義の取組の一つとしてこれは重要であり、教育の一環としてのみならず、役所・企業など組織内部の意思決定に取り入れたり、官民連携プラットフォームといった社会全体の巻き込みを一層深めていくべきと。

以上主立った意見でございますが、御紹介をさせていただきました。私から以上でございます。

〔幹事〕児童手当の論点の部分で、多子世帯への支援については支持する声があったということであると思うのですが、ほかの、所得制限の撤廃と、高校生への支給拡大について何か賛否とかが出ていたら教えてください。

〔増田分科会長代理〕概略で申し上げますと、所得制限の撤廃について、これはそちらを支持する意見もございました。全ての子供を支援するという姿勢、それを国がきちんと示すべしということでそうしたことを支持する意見もありましたが、一方で、今御紹介した効果検証をしっかりと行って、その効果に基づいてやっていくべきということや、あとは、働き方改革などが重要であって、やはり政策効果を考えてこの問題は考えていくべきということで、いろいろな方が触れられたのですが、今日は両側の意見があったと言えるかと思います。

〔幹事〕全体としては、政府のたたき台で示されている拡充策を絞り込んだほうが良いという意見が多かったということですか。

〔増田分科会長代理〕全体ではまだどちらのほうが多いとか何とも言えないような感じであるとは思います。ですから、今日のこれを、いろいろな方がぎりぎりまで意見をおっしゃったので、まさに次、今度、建議をまとめるときに財審としてはどういう形でそれをまとめていくかというのは、これからよく中で起草委員中心にたたき台をつくって考えていきたいと思います。

〔幹事〕ありがとうございます。

質問ある方いらっしゃいますか。

〔質問〕財源のところでベストミックスという意見があったということだったと思うのですが、例えばこの中で歳出改革というのもありましたが、これは具体的に例えば社会保障費でいうと、別のところの項目の意見の中で、年齢によって給付を分けない窓口負担の在り方、財源としてそうした歳出改革の具体的なところが出ていたのか、あとは、今回、意見の中ではベストミックスということでしたが、それ以外に例えば税でやるべきであるとか、保険料の仕組みでやるべきであるとか、ほかにも意見があったのかどうか、その辺りをお聞かせください。

〔増田分科会長代理〕これもやはり結構御意見がありました。税の中には消費税も入れて考えるべきということも触れつつ、だが、これでやるべきと決め打ちした委員はいなかったと記憶しています。あとは、資産課税も、税の中ではそこまで広げて考えるべきとおっしゃる方もいましたし、それから、歳出改革についても、2割負担の拡大のようなことをおっしゃっていた方もいらっしゃいました。まだまだ今日の各委員の中には直接出ていなかったが、私などもやはり介護などもっと改革ができる分野もあると思います。ですから、やはり今日もそこについては、財源については多様な意見があったということで、まさに大きく言うと、三つの項目、保険料と、税と、歳出の効率化・改革、それで生み出していくべき。それも社会保障分野であったり、非社保の分野とか、おそらくいろいろあるのではないかと思うのですが、そこは別に、歳出改革のどことまでは決めつけて言う方はいらっしゃいませんでした。ですから、私は、まさにそこをうまく組み合わせるべきということをおっしゃった委員が複数おりましたので、これも建議の中でよく議論する、どういうふうな書き方をするか考えていく必要があると思っております。

〔質問〕今のお話の中で、歳出改革も社会保障費と非社会保障費と分けた感じだったということですか。

〔増田分科会長代理〕そこまできちんと分けて言ったようには。あまりそこは決めつけずに柔軟に考えるべきというような言い方をされた方もいましたし、それから、やはりなじみがあると思うので、社会保障分野で先ほどの2割負担の拡大のようなことをおっしゃった委員の方もいらっしゃいました。

〔質問〕あともう1点、最初のところの、やはり働き方とかも含めた子育ての政策の充実が重要であるというこの文脈の中でいうと、政策にとってはやはり優先順位が重要になってくると思うのですが、今、たたき台で出ているようなものの中で、まずこうした施策をやるべきではないかとか、そうしたところに踏み込んだ意見とかもあったのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕そこまでたたき台の中でこうであるという印象は私は持っていないのですが、ただ、働き方の改革などやはり社会の仕組みを大きく変えないと駄目であるということは何人かの方がおっしゃった。それが異次元であるという、そうした言い方をされたと私は理解しています。

〔質問〕ありがとうございます。

〔幹事〕ほかにありますでしょうか。

〔質問〕児童手当の財源構成のところで企業の拠出金の割合が非常に低下しているので、そこを考えるべきという論点がありましたが、そこに関してはどういう御見解で、今日どういう意見が出ましたでしょうか。

〔増田分科会長代理〕企業がどうのこうのとか、それについてはあまり踏み込んではおっしゃっていなかったと理解しています。

〔質問〕分かりました。ありがとうございます。

〔幹事〕ほかにありますでしょうか。

〔質問〕病院の経営状況が改善しているという話のところで診療報酬のお話が出ていたと思うのですが、これは介護報酬とかではなくて診療報酬についての話ですか。

〔増田分科会長代理〕診療報酬と介護報酬と両方についてです。

〔質問〕薬価は違うということですか。薬価も含めてですか。

〔増田分科会長代理〕薬価についてもあったが、特に報酬改定については診療報酬と介護報酬であると思います。1%上げると3,000億という資料がありましたし、そこをよく注視してということです。

〔質問〕なので、コロナの間の補助金とかで純資産とかが増えているので、簡単に上げるのではなくて、そこにたまっているところをちゃんとまず充当すべきというか、そこを使うべきではないかという話があったという理解でよろしかったですか。

〔増田分科会長代理〕そうです。

〔質問〕分かりました。ありがとうございます。

〔幹事〕ほかに質問はありますでしょうか。

〔質問〕御説明の中で、少子化対策のところで手取り増という話があったと思うのですが、これをもう少し詳しく伺いたいです。

〔増田分科会長代理〕その方は、手取りがちゃんと増えるようにという言い方でしたので、おそらく、今、賃金の値上げのあれが、春、ずっと春闘等でありましたが、そうしたことも念頭に、やはり中に入ってくる部分がきちんと増えるということが重要であるという意識がバックグラウンドにあったのだと思います。

〔質問〕分かりました。

〔増田分科会長代理〕おそらく資料でいうと、28ページの上の枠の①に書いているのですが、企業を含めた、要は、薄く広くということ、社会に参加する人全員が広く負担することで、子育て世帯がその期間中に全体として手取り増、給付増が負担増を上回るということですが、手取り増になるようにしていくということが重要ではないかということを意味していると思います。

〔質問〕ありがとうございます。あともう1点、御説明の中で、診療報酬・介護報酬の引上げについて慎重な意見があったと。あとは、窓口負担についても2割負担引上げというような御意見があったということですが、これは少子化対策との絡みでの御発言もあったのですか。

〔増田分科会長代理〕一応医療の分野のほうに移ったときの考え方であると思います。ただ、おそらく回り回って、2割負担の拡大はまた歳出改革につながるから、そうしたことによってそちらに回している公費が節約されて、それを財源にして少子化対策に充てられるとか、そうしたことにおそらくつながってくるのであると思いますが、おっしゃったのはおそらく、医療の中の話として、やはり昨年の暮れに向こうの部会のほうでも先送り的な感じがあったので、本来もっと、私も全世代型の社保をやっていくべきで、2割負担の拡大はやはりより必要になると思いますから、そうした中でそれを先送りせずにちゃんときちんと取り組むべきと、こうしたことであると思います。

〔質問〕増田さん御自身の御意見として、今回の異次元の少子化対策の財源を確保するための歳出改革の一つの手段として、この2割負担引上げとかそうしたものが必要ではないかと、そうした御意見ですか。

〔増田分科会長代理〕いや、今のは私個人としてといいますか、私自身はやはり組合せであると思います。財源はやはり長期で安定的なものをとにかく見つけていかなければいけないわけですから、それであれば、やはりいろいろなものを組み合わせるということで、それでしかも国がしっかりと取り組む、効果が大きいものをちゃんと実行するということが必要なので、そのためには、もちろん私自身も広く、税目まではこれということはないですが、やはり税も当然必要でしょうし、それから、保険料でやっていくということ、これも非常に分かりやすいというか、負担として考えられると思いますし、それから、やはり歳出改革を行って、その中で財源を生み出していくということが必要になります。

こどもについては、昨年の暮れから特に今年になってからぐっとプレイアップされてきましたが、本来そもそも2割負担をもっと広げていこうという話は従来からあったわけなので、そうした意味では、こどもということよりも、医療・介護の制度改革の中で本来必要であったという認識は私自身は持っています。しかし、考えてみれば、回り回って少子化対策にもつながる話ですし、やはり全てのそうした分野を取りこぼしなくやっていく必要があるのではないかと思います。

〔主計官〕付言させていただきますと、資料の中に今日は二つ2割負担の話が出てきます。介護の2割負担の拡大と、それから、後期高齢者の2割負担についてさらに拡大すべきではないかと。介護については、実は事実関係を申し上げると、去年の年末に決まらなかったので、今年の夏までに結論と。

〔増田分科会長代理〕さっきの部会の関係でしょうか。

〔主計官〕はい。そうしたふうに厚労省の審議会で決まっております。だから、これをすぐにやるべきであるという御意見を今日もいただきました。

あとは、後期高齢者の2割負担については昨年の10月に導入したところですが、さらに次の課題として拡大すべきではないかという御意見もいただきました。両方でございます。

〔増田分科会長代理〕2割負担というのはおっしゃるとおりで両方で、しかも医療について、は原則2割負担にすべしという話もございました。

〔質問〕それは理由としては、現役世代の負担を抑えるためという理解でよろしいですか。

〔増田分科会長代理〕そうです。

〔質問〕ありがとうございます。

〔幹事〕ほかに。なければ、これでありがとうございました。

〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。