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財政制度分科会(令和5年4月28日開催)記者会見の模様

〔幹事〕それでは、始めたいと思います。御説明お願いします。

〔増田分科会長代理〕お待たせしました。それでは、本日の財政制度等審議会財政制度分科会の内容について御紹介をいたします。3時から始めまして、少し延長して先ほどまでございました。それでまず、今日は財政各論の人口・地域、こうした切り口で資料がありまして、事務方からそうした内容について説明がありました。

委員の皆様からの発言について主な発言を紹介いたします。まず全体を通してということになります。名前は省略させていただきますが、委員のほうから、まず一つ目、少子化対策は重要である一方、効果が出るのには時間を要するため、インフラ整備、農業など各分野において、ある程度人口減少を前提とした持続可能な経済社会の在り方をデザインしておくべき。それから、自治体の広域連携やDXなどによる行財政の効率化などを進める必要があると、こうした意見です。

それから、次の人の意見ですが、同じ地域に対して各省庁から別々の観点で政策、施策が打たれているが、どのような地域社会を目指すのかという前提条件を一致させていく必要がある。また、様々な施策の全体を見て横串を刺しながら、その上で優先順位をつけていく必要があるのではないかと、こうした意見です。

それから次に、少子化の、今日は総論でありましたが、そこについての意見をいくつか紹介いたします。まず初めの意見でございます。少子化の問題は、正規・非正規の課題をはじめ、労働市場の課題と通じており、今後ともセットで議論していくべき。それから、女性が活躍できる社会をつくっていくことも、長期的に見て少子化対策に資するものである。女性の労働参加率が高い国ほど出生率が高くなっているという、この指摘をしっかりと外に向かってアピールしていくべしと、こうした意見です。

それから、次の意見ですが、育児休業については、取得によってキャリアが途絶してしまうことも取得に踏み切れない大きな要因となっている。給付の充実にとどまらず、キャリア形成を阻害しない制度とすることも重要である。まず、大企業が率先して取組を進め、中小企業を含めた社会全体に広げていくとともに、中小企業において取得が進まない要因を分析し、リモートワークの導入などを進めていくべきと、こうした意見です。

それから、この関係で次の意見です。少子化対策は、日本経済が縮小していく中で待ったなしの課題であり、社会全体で考えなければならない問題である。財源については、国債発行のような将来世代にツケを回す形とすべきではなく、しっかりと財源を確保すべき。その際には、徹底した歳出改革に加えて、現役世代に負担が偏らないよう、全世代型で負担をしていくべき。その財源については、社会保険料や税の活用、そして、その最適な組合せなど、様々な意見がありました。また、金融所得や資産の勘案や、受益者負担を増やすなど、公平な負担となるような幅広い取組や検討も重要であると、このような意見でありました。

それから次に、地方財政の関係です。一つ目の意見です。国の借金で賄ってきた臨時交付金は廃止をし、地方の歳出を平時の段階に戻す必要がある。臨時交付金の出どころである大型の補正予算や予備費もこの際見直すべし。また、地方税収が過去最高となっており、地方交付税を借金の返済のほうに回していくべきではないかと、こうした意見がありました。

それからもう一つ、自治体のサービス格差は好ましくなく、地方税収の偏在についてこれから議論していくべきと、こうした意見がありました。

それから、社会資本整備の分野です。少子化対策は重要だが、現実的には人口減少が続くことも前提として地域や社会の在り方を考える必要がある。自然災害やインフラ老朽化への対応の観点から、既存インフラの最大限の活用やまちづくりのコンパクト化が重要である。これまでの立地適正化の成果検証を行い、予算編成においてもよく議論をしていくべきであると、こうした意見がありました。

それから、教育のほうです。こちらのほうの意見を御紹介します。教師不足の問題に関して、教職あるいは教師の魅力をどのように高め、どのように教員を確保していくのか、この点のより検討が必要である。教員の業務が多様化している中で、どういった分野が不足しているのか、このような分析も必要であると、こうした意見です。

それから、次のもう一つの意見ですが、児童生徒数に比して教員数は減っていないということであるが、これは少子高齢化により規模の利益が損失に転換していることが原因である。こうした問題に対応していくためには、一つはやはり、これは統廃合の意味であると思いますが、集約化、もう一つがICT化、そして、もう一つ、三つ目が民間へのアウトソーシング、この三つを進めていく必要があると、こうした意見でありました。

意見のおおよその内容は以上でございました。私から以上でございます。

〔幹事〕ありがとうございました。それでは、質疑応答に入ります。質問のある方は手を挙げてください。

〔質問〕少子化財源のところで、今日の資料に新たな枠組みとか新たな財源という記述があるのですが、それは何ですかといったことに関連しての財務省からの説明とか、委員からの指摘はどういったものがありましたか。

〔増田分科会長代理〕まず資料説明は、事務方のほうから非常に簡単に、1枚10秒もあるかないかぐらいでばっと行きましたので、説明自体はそうしたことになりました。特に財務省からの新たな付け加えはございません。

それから、委員の皆様方からの財源についての発言ですが、やはり働き方の変化とか社会の前提が変わっているところをきちんと検証して、そして、少子化対策の中身をよく分析するようにという前段があって、その上で効果のあるものをきちんとやっていく上で、一つはやはり歳出改革をきちんと行っていくべきではないかと。それから、あともう一つは、やはり社会保険料も財源としてあり得るだろうと。それから、やはり広く負担を求めるための税ということでございます。委員の皆様方の発言は、やはりそうしたものをうまくベストミックス、組み合わせて、それで財源を安定的に確保していくべしと。

私が聞いている限りでは、やはり安定的な財源をきちんと確保していくことが非常に重要であって、そのためには幅広くそうしたものを求めていくべしと、そうしたことを委員の皆様方はおっしゃっていたと思っています。その中にはやはり、税といっても非常に広い言い方を皆様されておりましたから、資産課税のようなことも含めて広く税のことは考えておられるだろうと思いました。

〔質問〕ありがとうございます。関連してですが、社会保険料の活用のところですと、要は、消費税以上の逆進性とか賃上げの影響とか、税以上に課題が多いという指摘があるのですが、何かそうした関連の発言はありましたか。

〔増田分科会長代理〕社会保険料の場合には、賃上げのモメンタムをやはり損なうのではないかという御発言された方もいらっしゃいました。

〔質問〕ありがとうございます。

〔幹事〕ほかに質問はありますか。

〔質問〕今の少子化の財源の関連ですが、税でやるべきではないというような明確な反対の意見はあったのでしょうか。全体の会議の雰囲気がなかなか分からないのですが、税と社会保険料の組合せというのは、ある種、委員の皆様のそうした意見が相次いだというような受け止めで良いのかどうか、その辺りのニュアンスを教えていただけますか。

〔増田分科会長代理〕税についての反対を述べられた方はいなかったと思っております。それで、やはり安定財源が財審の立場であり必要であるということが皆様方の頭の中にあるので、非常に幅広くこうした財源を考えていくべきではないかと。したがって、何人かの方がベストミックスとか最適な組合せとおっしゃったと、私はそこが頭に残っていますが、やはり歳出改革のことも含めて、それから、社会保険料のことも、それから、税ということで、それを皆様方はおっしゃったのであると思っております。非常に多くの皆様方が今回発言をされていましたが、どこにということで決め打ちするような言い方ではなかったと思っております。

〔質問〕私は地方財政のところで伺いたいのですが、先ほど意見の中で、臨時交付金についても廃止をすべきではないかという意見もあったということですが、増田会長代理としてどのようにそれを捉えているのかという点と、あとは、これを続けること、平時に、5類に移行した後も続けた場合に、やはり国の国債が増えていくことというところがデメリットとしてあると思うのですが、地方の財政にとってもこのような状況が続くということは望ましくないと思っているのか、そこの理由をお伺いできたらと。

〔増田分科会長代理〕今日の財審の中の議論として、今おっしゃったことを深くいろいろ議論した、委員の方でおっしゃる方はいなかったのですが、私も、コロナ関係の様々な予算措置というのは緊急時、非常時のものでありましたので、やはり平時にできるだけ早く戻すべきであると。

それから、実は税収だけを見ると、昔、私も総務大臣をやっていたことがあるのですが、あの頃に比べると、40兆をずっと超えるぐらいの非常に大きな税収がありますし、こうしたときにやはり地方財政、税の使い道をきちんとしておく必要があるので、今日、中でも少しおっしゃった方もいましたが、できるだけ中身を開示して、それで、地域の住民の皆様方に理解を得るようにしていくべしということをおっしゃる方がいました。やはりこれまで地方財政については、災害等もあったり、それから、コロナがあったりすると非常に膨れ上がるような傾向がありましたので、ですから、その辺りはやはり相当気をつけていく必要があると思います。

一方で税の偏在などが非常に気になりますので、やはり偏在性が小さい安定した税財源を地方で見つけていくという努力が必要であると思います。それから、今言いましたように、かなり国からの予算に頼ったような財政構造からは早く脱却していくべきではないかというのが、今ちょうど地方財政全体で考えると重要なことではないかと私は思います。

〔質問〕2点あるのですが、さっき税のお話も出たということだったのですが、具体的に何の税が挙げられたのか、思い出せる限りでよいので教えてください。

〔増田分科会長代理〕税でいうと、資産課税などのことも、税目まで具体的に言っているわけではないと思いますが、やはりできるだけ幅広くということをおっしゃっていまして、例えば資産課税でいえば、やはりあれですね。また、譲渡税とか相続税とかそうした関係のこともおっしゃった方がいらっしゃったと思います。それから、やはり消費税も中で挙げていらっしゃる方もいました。ですから、非常に幅広く税を考えていくべしということと、やはり歳出改革、社会保障分野などはまだそうしたことが必要なのだろうと思います。そして社会保険料ですね。社会保険料ですと、御承知のとおり、かなり現役世代になってきますから、そうした税以外のところと、それから、税のところも非常に。税目については、それほど皆様おっしゃっていなかったと思いますが、できるだけ幅広くということで皆様お考えになっていたと思います。

〔質問〕ありがとうございます。2点目ですが、また子供の関連で、岸田政権の目玉政策になっていると思うのですが、たたき台も出てきていると思うのですが、今日の会議の中では、女性の働き方の改善も少子化対策につながっていくというような話があったと。今、結構、政府や国会の議論では給食費などの議論にスポットが当たっていると思うのですが、その辺り、もう少し働き方に焦点を当てるべきとか、そうしたような意見はあったのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕働き方の変化などをきちんと捉えて、政策の実効性というか、効果をきちんと見ていく必要があるということをおっしゃった方は中にいらっしゃったと思います。やはり今ちょうど、昨日かおとといあった、こども未来戦略会議がありますね。あそこで集中的に議論、たたき台も向こうのほうで示されましたが、これから連休明けてから向こうのほうでいろいろ議論されると思うので、私自身はあそこで相当深い議論をしてもらえればと。その中で特に財政的な問題などについては、財審のこちらのほうでも内容に応じていろいろ見ていく必要があるのではないかなと思います。常に我々も、財政のことだけではなくて、やはり政策についてもよく意味合いを見ておく必要があるのではないかと思うのですが、これからも恐らく、未来戦略会議のほうでいろいろ具体的な取り運び、まとめなどが進められていくと思いますので、そうしたものを、向こうでいろいろやるのをこちらはこちらの立場でいろいろ見ていくことがこちらのスタンスとしても大事ではないかと。

その辺りについては、まだ最初のたたき台があそこで出て、昨日が2回目ぐらいですかね、ですから、これからあと3回か4回ぐらい議論があると思うのですが、まだもう少しそれがどんな形で展開されるのか見ながら、我々のほうの審議のやり方というか内容も考えていくべきかなと。今の段階ではまだもう少し向こうの様子を見ておきたいなと思います。

〔質問〕少子化対策の財源の問題でお伺いしたいと思います。先ほど国債については反対の意見があったということですが、この反対の意見というのは複数の意見からあったのですか。

〔増田分科会長代理〕国債(についての反対意見)は複数いらっしゃったのではないかと思います。やはり将来世代に負担を送るということに対して、それはよくないのではないかという趣旨だったと思いますが、複数の方が言われたと思います。

〔質問〕逆に国債の発行もやむなしなのではないかという意見というのもあったのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕お一方いたかな、国債。一方で、それは真正面から国債をよしとしたのではなくて、一時的なつなぎ国債的なことであれば、要は、税などをやはり入れるまでには国民的な理解とかいろいろあるので、待ったなしということで、つなぎ国債的なものは、どうしても容認できるとしてもせいぜいそれくらいでしょうという趣旨で言われていましたが、お一方そうしたことを言われたかなと思います。

〔質問〕また、増田さん御本人の御意見についてお伺いしたいのですが、少子化対策の財源について、どういった措置が適していると思われますでしょうか。

〔増田分科会長代理〕私個人としても、十倉会長も前にいろいろおっしゃっていましたが、私はやはりあれですね、まずとにかく相当長く続けなければいけないですよね。要は、一つは、歳出改革以外の分野のものもきちんとやっていくということが大前提で、その中で当然、歳出を拡大していくものもちゃんとやらないと安心感につながりませんし、安心して出産、子育てするということはつながらないので、当然、歳出も、総理がおっしゃったように相当かかるのですが、それが一時的なものでは全く駄目なので、将来に安定的に持続可能なものでなければいけないとなると、世の中を見渡して、どこか特定のところに負担がうんとかかっていくということよりも、やはり広くそこはみんなで分かち合いながらやっていかなければいけないと思いますので、歳出改革もまだまだやはりやっていかなければいけない。それは非社保分野だけではなく社保分野も、全世代型社会保障でいろいろ出していましたが、やはりそうしたこともやらないといけないし、歳出改革で、それから、最近よく新聞紙上でも書いていますが、やはり社会保険料もそれも一つ考えていかなければなりませんし、ただ、広くという意味では、税についても考えていくと。社会保険料はどうしても現役世代が重くなるでしょうから、やはり税のことも考えていかなくてはいけない。

ただ、私も、ほかの委員も今日おっしゃっていましたが、それぞれベストミックスを考えていかなければいけませんし、負担増になると、相当丁寧に綿密にやっていかないと、やはり国民理解がないといけませんので、ですから、そこは今の段階でもまだまだいろいろ、絞り込むよりは、まだ広く、それぞれどういうことが問題になってくるのかというのをきちんと丁寧に世の中に示していくことが必要ではないかと。私自身も、本当にベストミックスでいろいろなやり方をうまく組み合わせるべきだなということで、それ以上のことはまだきちんとまとめられるところまで行っていないです。

〔質問〕ありがとうございます。

〔幹事〕ほかに質問のある方はいらっしゃいますか。

ないようなので、これで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。