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財政制度分科会(令和5年4月14日開催)記者会見の模様

〔幹事〕それでは、御説明をお願いします。

〔増田分科会長代理〕それでは、説明を行いたいと思います。

まず、本日、財政制度審議会の総会及び財政制度分科会が開催されました。午前9時からの開催ということでございます。

そして、新体制の初回ということになりますので、まず、総会そして分科会の会長の互選を行いまして、十倉会長が選任をされました。そして、会長代理につきましては、こちらはいずれも会長からの指名ということになっておりまして、総会のほうについては翁百合さん、そして、分科会のほうにつきましては、私、増田が指名をされました。分科会委員のほう、私はこれまでに引き続きというふうになりますが、どうぞよろしくお願いします。

初めに、このたび分科会長に御就任をされました十倉会長から御発言がございます。それでは、会長、お願いいたします。

〔十倉分科会長〕本日の財政制度審議会及び財政制度分科会におきまして、委員の皆様から会長に選任いただきました十倉でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

新体制でも、引き続き、各界の第一線で御活躍される有識者の方々にお集まりいただいております。委員の皆様とともに日本経済、財政が抱える構造的な課題にしっかり切り込み、今後のあるべき姿、道しるべを示すという使命を果たしてまいりたいと思います。私自身しっかりと取り組んでまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。

続きまして、本日の財政総論が議題でございましたが、こちらの議事内容を御紹介いたします。初めに、事務方のほうから財政制度総論について資料に基づきまして説明があった後、委員からの発言に移りました。以下、いつもどおり、主な発言について紹介を申し上げたいと思います。名前は伏せて紹介をいたします。

初めの委員です。歴史の転換点を迎えつつある状況である。そして、円高、デフレ、低金利がいつまでも続くという前提に立たないで、隙のない財政運営が必要である。民需主導の経済成長と財政の二兎を追うべく、サプライサイドエコノミクスを念頭に置きながら、イノベーションを起こして生産性を上げていくべきという御意見です。

それから、次の委員です。日本は危機対応はできているが、広げたものを平時に戻すのが遅い傾向があって、有事が結局平時になってしまう。スタートする段階から、終わる時点を決めることや、広げたままにしたことのデメリットも同時に示すことが重要である。

それから、次の委員の意見です。全体最適の視点が重要であり、分野横断の議論にし、それを予算編成につなげていくべき。過去の政策の検証・評価を行って、将来に生かしていくことが必要であるという意見です。

それから、次の委員です。財政は規模ありきではなく、アウトカム・オリエンテッドとすべきであり、そうした予算編成をしていくべきであるということです。

それから、次の委員です。グランドデザインに基づく政策の優先順位づけということが大事であって、予算に限りがあるわけだから、優先度の高い政策からリソースを投入するため、スクラップ・アンド・ビルドが欠かせないという意見です。

それから、次の委員です。この委員の方は、マーケット、市場の視点を意識して、支出を確実に経済成長に結びつけ、債務をいたずらに膨張させないという、そのような確信というものを海外投資家に持たせる、そうした財政運営を行っていくことが重要であるという意見です。

それから、次の意見でございます。ダイナミックな経済財政運営が重要である。限られた厳しい財政状況の中で、メリハリをつけるべき。ワイズスペンディングを免罪符としないで、効果がはっきりとする政策を実施すべきである。重要な政策に関する安定財源の確保が重要である。経済あっての財政であり、二兎を追いたい。経済成長と、それから財政健全化と、こうした二兎を追っていきたいという意見でありました。

主な意見は以上でございます。また、詳細については、議事録のほうを後ほど御確認いただければというふうに思います。

私から会議の内容は以上でございます。

〔幹事〕それでは、質疑応答に移りたいと思います。質問のある方は挙手をお願いします。

〔質問〕アフター・コロナ、まさに今、5月8日以降、人々の気持ちというのも変わってくると思いますが、この財審として新たなスタートをする上で、新型コロナの検証をどの程度重視されるおつもりか、思いをお聞かせください。新型コロナ予算の検証です。

〔十倉分科会長〕ワイズスペンディングやアウトカム・オリエンテッド・スペンディングという言葉が出てきますが、きちんと検証・評価する必要があると思います。コロナ対応のスピード、科学的な根拠、人々に求める規範性が本当に確かなものであったかどうか等、単に予算に限らず、総合的な検証が必要であると思います。

〔質問〕ありがとうございます。

〔質問〕今日は少子化対策についてのスライドが入っていたと思うのですが、委員の方からどういった御意見がありましたでしょうか。

〔増田分科会長代理〕少子化対策について、もちろん触れられた方はいらっしゃるのですが、基本、少子化対策についてはまた別のときにきちんと議論したいということで、代表的なのは、少子化が危機的な状況にある、ああいう形で、外国人も含めてですが、80万を切るような出生数に昨年なりましたので、そこで危機的な状況がある中で、真に効果のある少子化対策を行っていくことが必要であると、それから、また、必要な安定財源を確保していく必要があると、こうした意見を述べられた委員の方がいらっしゃいます。

〔質問〕以上ですか。一人の方だけ?

〔増田分科会長代理〕いろいろおっしゃっている中で、これから、まだ大分、大きな歳出につながっていくような話があるという中で、防衛と少子化対策について挙げられる委員の方が複数おられました。

〔質問〕分かりました。また、十倉会長にお伺いしたいのですがが、以前というか、つい先日、子育て予算の財源では税の議論も必要であるというお考えをお話しされていたと思うのですが、その理由ですとか、特に賃上げでの影響とか社会保障制度からの拠出の課題についてどう考えているのか。

〔十倉分科会長〕先ほどの会議で委員の方からも意見がありましたが、防衛やこども・子育ては社会全体の問題です。特に、「静かなる有事」とも言われる、少子高齢化や人口減少は社会全体の問題なので、社会で広く薄くお金を集めて、重点的に投資をしていくというのが基本であると思います。ある特定の世代やある特定の分野の人々に負担が偏るようなものではないと思います。日本全体の社会の課題であるという意味で、社会保険だけに限るのではなくて、税も含めた幅広い安定財源の確保の議論が必要であると、こども未来戦略会議の議論で申し上げました。

さらに、もう一つ申し上げたのは、既存の政策の積み増しではなくて、骨太の議論を是非してほしいということです。少子高齢化や人口減少の問題は、全世代型社会保障や働き方改革の議論に関わるので、是非骨太の議論をして、ビジョンを示した上で、優先順位を決めてメリハリをつけるとともに、財源は社会全体から広く薄く集めるべきであると申し上げました。

〔質問〕ありがとうございます。最後に、もう一点だけ十倉会長に。今日参加されてみて、財審ですが、今回、メンバーを少なくしたりとか、女性の委員の方も多いとは思う一方で、若干、伝統的なインフルエンサーというか、そうした方が多かったりですとか、財政の健全化を求める意見の方が強いのかなということで、財審の議論の場の多様性ですとかについてどう考えているかお聞かせいただいてもよいですか。

〔十倉分科会長〕委員の皆様の意見はみんな正論であると思いました。スタンスは経済諮問会議の骨太の方針でも言われているように、やはり「経済あっての財政」です。そうでないと拡大均衡に向かっていきません。一方、財政健全化は絶対外してはいけないポイントです。財政健全化をただ単年度でやるのではなくて、中長期的な視点でダイナミックにやろうというのが、皆様の全体の意見だったと思います。どなたも様々な角度から、御専門の立場から正論をおっしゃったと認識しています。

〔幹事〕ほかに質問はありますでしょうか。

〔質問〕会長代理にお伺いしたいのですが、今の少子化対策の関係で、後日また議論をする機会を設けるという話がありましたが、これは6月にまとめるとしている政府の骨太の方針を前に、例年ですと建議という形で出していると思うのですが、それに向けてその前にやるという理解でよいでしょうか。

〔増田分科会長代理〕スケジュールについては、まだきちんと全体のスケジュールを決めているわけではありませんが、大事なテーマなので、恐らく5月には議論できるように持っていきたいなというふうに思っておりますが、いずれにしても、まだいくつかテーマがありますので、その中で必ずこうした問題については取り上げなければいけないと今思っております。

〔質問〕今年も、建議という形でその方向性を出すことも予定はしているという。

〔増田分科会長代理〕春の財審も建議をまとめたいと思っております。

〔質問〕ありがとうございます。その上で、議論はこれからであると思うのですが、今、この少子化対策について、どのような政策が効果的なのか、あとは、財源をどうするのかというのに注目が大きく集まっていると思うのですが、議論はこれからですが、会長代理としてはどのような方向性、議論が必要であると思っているのか、今、財源も含めてですが、考え方を伺えたらと思います。

〔増田分科会長代理〕今日、財政総論でしたので、その内容を御説明するのが一番この場かというふうに思っていますが、まだ少子化についてのきちんとした打合せ等々は行っておりませんし。ただ、御承知のとおり非常に重要な問題ですので、また、社会的にも大変関心の深い問題ですので、非常に幅広く内容を議論していかなければいけない。要は、財政でそれが影響して解決していかなければいけない分野もあれば、恐らくそうでない分野も大きくあって、そうしたこの問題全体を見通した上でどうしていくかという判断が重要であると思いますので、財政ということになれば、当然、財源の問題が非常に大きく関わってきますから、それについて議論する。ただ、やはり全体を広く見通した議論というのが大事であると思います。

要は、未来会議、ちょうど会長がそちらのほうにも御参加になっていますが、政府のほうでは、そちらでまたきちんとした議論をするということを聞いておりますので、どうしても、こちらの財審の役割とすれば、その中で予算であるとか財政に影響を与える分野はどうなのかということを中心に、そうした角度で取り上げるということになると思いますが、こちらも恐らく、全体を広く見る視野で、広く見るというそうしたスタンスは持ってなければいけないのではないかなと、こんなふうに思います。

〔質問〕ありがとうございます。

〔幹事〕ほかに質問はありますでしょうか。

〔質問〕十倉会長にお伺いします。日本は危機的な対応ができているが、広げたものを平時に戻すのが遅い傾向という意見があったということで御紹介がありましたが、それは海外と比較した今回のコロナのことを想定しているのか、そうしたことを詳しく伺いたいというのと、そのような意見は何人ぐらいの方がおっしゃっていたか。

〔十倉分科会長〕数人の方がおっしゃっていたと私は記憶しているのですが、これはコロナに限ったことではないと思います。どうしても既得権益の議論が出てきますので、メリハリ付けや優先順位、効果の検証にもつながってくるのですが、有事と平時では対応が違うと思います。有事で得た既得権益をずっと平時にも引きずるというのは良くないということで、メリハリを利かすという意味であると思います。これは本当に必要なことであると思います。

〔質問〕現状認識をお聞きしたいのですが、有事と平時というお話がありましたが、現状としては、もう平時に移行しつつあるのか、会長として、どういう今の状況なのか、ウクライナの問題はまだ続いている一方で、先ほどコロナも平時に戻りつつあると、その辺、総合的に見てどう思われるか教えていただければと思います。

〔十倉分科会長〕有事か平時かというのは非常に難しいですが、コロナのように、単発的に起こって一旦収束するような有事もあるのですが、長く続きそうな有事も起こっています。「静かなる有事」と言われる人口減少や少子化、地政学的な問題もこれに含まれると思います。岸田首相の言葉を借りれば、「時代を画するような出来事」が同時にいくつか起こっています。まさに時代の転換点であると思います。

そうした意味では、我々は厳しい財政下でそれに対応していくわけですから、本当に大きな視野、中長期の視点からグランドデザインをしっかり描いて、優先順位をつけて対応していく必要があると思います。

〔幹事〕ほかに質問はありますでしょうか。

ないようですので、これで終了したいと思います。ありがとうございました。