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財政制度分科会(令和4年10月28日開催)記者会見の模様

〔増田分科会長代理〕それでは、お待たせいたしました。私から財審の模様を申し上げます。本日9時20分より財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたしました。

本日は、防衛について議論をいたしました。まず有識者ヒアリングとして、神保謙慶應義塾大学教授、そして、河野克俊前統合幕僚長、このお二人よりお話をいただいた後、委員からの質問にお答えいただきました。

その内容を御紹介いたします。まず、両講師の説明内容を紹介いたします。神保講師からは、資料も配付されたのですが、かいつまんで言いますと、複合的な脅威に対抗するために、平時から有事までのあらゆる段階で日本の法執行能力の強化、防衛力の拡充、日米同盟での共同対処をシームレスに可能とする実効的な防衛態勢を構築する必要。そして、安全保障環境の変化に応じて、その優先順位、資源配分、運用体制を不断に再構築する必要。防衛装備移転の成功例をつくる必要。それから、スタンド・オフ防衛能力など実効的防衛力の確保への重点配分。日本の防衛構想に適合することを前提に、今後の技術革新のタイムラインに沿った研究開発への投資と防衛産業・技術基盤の確保が重要。さらに、自衛隊の組織改編や調達の効率化、安全保障上の優先度を踏まえた研究開発の重点化などが重要と、かいつまんで言いますと、こうした説明がございました。

続いて、河野講師からは、自衛隊が長距離のミサイルを持つと危ないという声もあるが、手段を持っておくことは重要である。これまでは正面装備に重点が置かれてきたが、今後は継戦能力に重点を置く必要がある。特に防衛装備品の稼働率を上げるための整備・維持が重要である。それから、日本は海洋国家であり、海で侵略を防ぐことを一義的に考えるべき。それから、研究開発は失敗しても構わないといった考え方や、防衛産業の育成の観点を踏まえた投資をしていく必要がある。そして、旧軍時代の施設を使っている現状も踏まえた上で、施設の抗堪性を強化していく必要、こうした説明がございました。

その後、委員を代表して私から二人の講師に4点質問いたしました。順次申し上げますと、まず1点目、目前の脅威を抑止する観点から、日本の防衛力・防衛態勢に欠けているもの、今後5年間で優先的に強化すべき分野・優先度が低い分野について質問をいたしましたところ、神保講師からは、継戦能力が重要、その際にいかに相手にコストをかけさせるかという視点が重要と、こうしたお答えがありました。河野講師からは、攻撃力こそが決定的な抑止力になることは厳然たる事実であり、そうした観点が必要と、こうした答えでした。

2点目。まず質問です。日本の防衛産業の技術や産業基盤を持続的に発展させるための課題解決策。例えば調達慣行を改めるといった政策への御意見はいかがかと、こうした質問をいたしましたところ、神保講師からは、国際的な共同研究開発の拡充を通じて技術開発の基盤を多くの国の企業と補完・拡大していき、それらの国々に対して部品を提供できる体制を整えることなどを通じて産業を活性化していくことが重要と、こうしたお答えです。河野講師からは、防衛技術は非常に特殊で、人材や生産ラインなどを維持するため損をしても入札を取りに行く可能性がある。損をする産業構造では立ち行かない。一般競争入札を含め、他の産業と一緒ではそごをきたすと、こうしたお答えです。

3点目、実証的・効率的な予算とするための防衛費の議論のされ方、そして、秘匿性が高く国民からは内容が見えない中での納税者への説明責任の果たし方はどのようにすればよいか、ということについて質問したところ、神保講師からは、幾らお金がかかったかだけでなく、全体の防衛戦略への国民の深い理解と納得を得ていくことが重要と、こうした答えがございました。河野講師からは、今回の三文書改訂に際しては、有識者会議の議論、例の佐々江さんが座長の会議のことであると思いますが、有識者会議や今回の財審など様々な場所で議論が行われており、透明性のある議論がなされていると感じていますと、こうしたお答えがありました。

最後に、新戦力の配備と合わせた既存戦力のスクラップ・アンド・ビルドの余地、それを進める上でのネック、陸上自衛隊をはじめとする定員の在り方について質問したところ、こちらは河野さんからのお答えだけですが、河野講師からは、日本は海洋国家であることを踏まえ、日本を守り抜くため重点を置いて、減らすべきところは減らすべき。今は台湾危機を想定した戦い方を前提に整備をすべきと、こうしたお答えがあったところでございます。

それから、その後、事務方の主計官から説明がありました。その内容は資料が配付されておりまして、3点中心の説明です。1点目が経済力を含めた国力としての総合的な防衛態勢の在り方、2点目が防衛力の抜本的強化に向けた防衛態勢、研究開発、防衛産業の在り方、3点目が次期中期防策定に向けた論点、この3点を中心としたものになっておりました。

以下、各財審のメンバーとの質疑の模様について、私から、従来どおり、名前を伏せて御説明を申し上げます。

まず、最初の委員です。実効的な抑止力を持つためには一定の攻撃力が必要、そのことはよく理解をしたが、どのレベルまで持つべきかということについて、十分な議論、そして、国民的な理解がまだなされていない。そうしたことがないと、結果的に財源確保につながらないのではないか。それから、この方のもう一つの意見は、防衛産業については、調達手続や条件面で圧倒的に民間の仕事に比べて劣る。発注が競争入札もあり、それから、特異性の観点から計画性を持って仕事をすることが難しい。韓国のように国と民間で一定のレベルの役割分担、共同研究、それから、ライク・マインデッド・カントリーの中で日本の防衛産業を位置づけるのか、そうしたところまで踏み込んでいかないと防衛産業の維持が難しいのではないか。それからもう一つ意見がこの方はありまして、防衛費の財源問題については国民全体で広く負担するのが基本。一義的に法人税の増税という話も聞くが、そうした話になると、企業は一方で国内投資や賃上げが求められている中で対応が難しくて、やはりどこかに偏るということではなく、負担する者、負担の程度、タイミングなどは慎重に検討することが必要だろうと、こうした意見です。

次の委員の意見ですが、次の委員は、国民も含めて防衛力を増やさないといけないのは承知しているが、負担をする側の国民から見ると、自分の財布からお金を出すか、あるいは社会保障を諦めるかと、こうしたことが問われるような話になってくる。結局、拒否をするということにつながってしまう。やはり大事なことを説明していただき、もっと国民に近づいていく、そうした態度が必要である。それから、この人の次の意見ですが、最も効率的な形を説明して、国交省とか民間と最大限連携して、今できる最も努力できる形をぜひ防衛の場合で示してほしい。それからもう一つ意見があって、借金が増えると国全体が脆弱になるのは明白なので、経済成長も含め、財政が健全であるべき。これはこの場でも強く訴えておきたいということでありました。

それから、次の委員ですが、この人の意見は、安全保障、防衛力の強化と増税とをセットで議論することからは逃げるべきではない。また、日本の国債は60年の償還ルールがあるが、防衛装備品は60年ももたない。やはり財源を確保した上で防衛費を確保することが必要。それから、防衛装備品については真に実効性があるものに限るべき。また、防衛産業支援のための補助金や基金という政策手段があるが、これは国民の理解を本当に得られるのかどうかが問題である。発注者から受注者に補助金を出すこと、そうした形になるが、それは他の産業政策では行われていないと、こうした指摘をしております。それから、基金についても、中期防で5年間の防衛計画を定めている中でなぜ基金を設けなければいけないのか。この委員は、この点については自分は理解できないと、こうした意見を言っております。

それから、次の委員です。GDP比2%の数字ありきではなくて、新たな防衛戦略に沿って優先順位、時間軸を明確にして財政資源を投入すべき。それから、一方でスクラップ・アンド・ビルドも行っていくべき。それから、産業界との協働、それから、アカデミアを含め、デュアルユースの技術の共同研究開発を推進するに当たって、省庁間の縦割りを打破すべしということです。それから、財源については、借金に依存する防衛は脆弱であって、財政運営の構造改革が迫られる。我が国の財政全体の資源配分を見直して、足りない分については純粋な公共財ということで広く負担を求めるべき。東日本大震災の復興財源の例もありますよと、こうした意見です。

次の委員ですが、この委員も、財源についてですが、増税とセットということを明示して、それで国民と議論し、どのぐらい増額するのかを決めていくべし。それから、国民の理解と説明責任について、この点については海外の事例、各国の事例のようなもの、それから、最近増額したところを特に整理されると、役立つ議論ができるのではないでしょうか、ということです。

それから、次の委員です。この委員は、限られた財源の中でいかにして国民生活を守るかについては、幅広い国民的な議論が必要である。装備品などの調達における公正な取引環境の確保の視点も入れてほしい。また、勤務環境整備に関して、施設面の課題改善や隊員教育、特にハラスメント防止教育の視点を盛り込んでほしいということです。

それから、次の委員です。この方も財源をしっかり確保すべき。そして、それは基幹税で対応すべき。防衛は仮に増やすとなると長く続く話なので、法人課税、所得課税など応能課税を中心に考えるべしということです。

それから、次の委員ですが、防衛戦略をしっかりと策定して、プライオリティーの高い分野に資源を集中投入する必要がある。それから、縦割りを打破して、総合的な防衛態勢を強化すべし。それから、同盟国との連携強化に加えて、研究開発やインフラといった分野におけるデュアルユースも必要である。それから、国防費は経常的に支出される経費であって安定財源を確保することが不可欠である。それから、最終的には増税を検討せざるを得ないが、国債で賄う場合でも、あらかじめ償還財源を明確化しておくことが不可欠ですということです。それから、情報開示を行って、国民に選択肢を提示することが重要で、防衛費は後年度負担の仕組みがあるので、翌年度以降の負担を今年度の予算に含めて見える化することが必要である。それから、この人は最後に、防衛産業を自立的な成長産業に発展させるために、コストの適正価格への反映などの徹底に加えて、防衛装備移転による市場の拡大、これをぜひ行っていく必要があるということです。

それから、次の委員ですが、国民保護法に基づく国民保護計画があるが、これについてはその理解が進んでいないが、その辺りの計画についての理解が進めば、国民の防衛力増強への理解あるいは防衛費の増額や国民負担の増加についての理解が進んでくるのではないかと、こうした意見でした。

次の委員ですが、この方は防衛調達について意見がありました。まず、具体の防衛調達レベルでの合理化・透明化についてはまだ議論すべきことが残っているのではないか。それから、現場調達レベルではやむを得ず企業に泣いてもらっているようなことが、これまでも現実に考えられるが、これは予算を倍増しても同じ構造が温存されることになりはしないか。要は、制度的な手が必要ではないか、制度を変えるということが必要ではないかと、このように考えますということでした。それから、防衛装備移転が失敗続きである。その理由の一つとして、コスト高という要因があると、こうした指摘をしております。

それから、次の委員です。この方は、防衛力を考える上で重要なのは、日米防衛を基軸としながらも、防衛戦略を、脅威に向かえる能力を急速に立ち上げることで、予算がどの程度になるか、それで、その財源をどうするのか、これをきちんと議論をしていくべき。要は、重要なのは、日米同盟が基軸であって、それで、その中で防衛戦略を拡大する。脅威に備え、向かえる能力を急速に立ち上げること、そのときの予算の程度をきちんと議論すべきということです。それから、この人の次の意見は、現在の防衛省、それから、装備庁にはデュアルユースの技術の期待はできない。それから、大学をはじめとする研究機関にはデュアルユースを行うことは、研究倫理上、現実には不可能と思いますと、この人はこうした見方をしております。それから、日本の防衛装備品の利益率が8%と紹介されているが、海外はもっと高くなっている。国が生産設備を持って運営は民間が行うといった、そうした工夫も必要ではないか。そして、防衛装備移転三原則の見直しも行っていくべきと、こうしたことです。それから、この方は、ちなみに韓国の例を触れております。韓国はこの10年間で輸出は3倍に拡大したということを付言しておきたいと、こうしたふうに付け加えていました。

それから、次の委員です。この方もアカデミアの中にはやはり防衛に関する基礎研究にちゅうちょする動きがある。ここは何らかの工夫が必要と。それから、人材については、質の問題が重要である。やはり、広報をする、それから、若い方々が活気を持って働いていただく、そうしたことが必要であって、民間の活力も使うなどが有効ではないかと、こうした意見です。

それから、次の方の意見ですが、台湾有事についてこの方は述べておりました。台湾有事に関してなかなか理解が難しいのは、日本が巻き込まれるということである。それで、ぜひこの点については、中国が日本を軍事の対象としないように外交努力を追求してほしいということです。

それから、次の委員の方ですが、総合的な防衛力強化はもちろん重要だが、健全な経済、金融、それから財政、これらがあっての国力、防衛力である。そうした総合的な視点から国としての戦略を描くべき。それから、縦割りを打破して、縦割りをなくして、財源の在り方も含めて戦略を実行していく道筋を具体化していくべき。それから、先端技術を巡る争いも重大な局面にあって、優先順位、重点化に加えて、官民合わせての総合力を高めていくことが重要と。

それから、次の委員の方ですが、この方はマスコミの世論調査を引っ張っていて、それを見ると、防衛費増額が必要であると答えた人がずっと増えていて、国民の理解が広がっている。一方、財源については、他の財源を削ることによっての捻出と答えた人が多かった。ただ、他予算からの財源を削っての捻出は大事だが、それだけで賄うというのは非常に危険で、やはり増税が鍵である。したがって、国民の理解をいかに広めるか、その努力が大事である。それから、防衛力拡大は非常に大事だが、中国と経済関係も深いので、やはり総合的な解決をしていかなければいけない問題が数多くありますと。

それから、次の委員の方ですが、次期戦闘機の開発、それから、スタンド・オフ防衛能力や総合ミサイル防空、それから、防空能力の強化などについて、やはり代替案を明確な手順で事前に評価して、国民の理解を得ることが必要。それから、有事にも機能する国債市場の構築に向けて、日本国債の信用を高めるべき。これが非常に重要であるという意見です。

次の委員の意見です。この委員は、日本の装備品が多品種で、携帯でいういわゆるガラパゴス携帯の世界になっていると思う。グローバルスタンダードにはなっていない。実戦に使えるのか、やはり様々な面で発想を転換していかないと対応ができないと思うという意見でした。

それから、次の委員ですが、この方は、昨今の防衛力の議論は戦後安全保障政策の転換点。周辺の緊張を高める可能性もあり、幅広い大局的な観点から検討していくことが重要である。防衛力だけでなくて経済・財政、さらには食料・エネルギーなどからも考えていくべきで、日本はやはり資源の乏しい島国であって、様々な脆弱性を抱えていると。それから、この方のもう一つ意見は、今は攻撃、防御を分けて考えることがもうできない時代になっていて、専守防衛の考え方を改めて整理し直すことも必要であるということです。

それから、次の委員の方ですが、ウクライナがありましたので、ウクライナ以降すぐにやらなければいけないと思っているのは継戦能力だ。それで、研究開発は時間がかかるし、陳腐化の速度も速い。したがって、時間とか空間軸、この組合せでもっておのずと優先順位が絞られていくのではないかということです。

それから、次の委員の方ですが、まず大切なのは経済力であって、しかもまた、財政力であると思う。防衛の強化と経済の成長を両立させることができるかというのがポイントである。そして、デュアルユースとか民生技術、軍事転用とかを進めるということであれば、民間経済との整合性を保てるのではないかと思う。それから、財政余力の確保が必要であると思うが、ある程度の増税はやむを得ないと思う。今のこの関係では、ある程度の増税はやむを得ないと思うが、一方で税制改革をきちんとやって、応能原則を整えていくべきであるということを言っています。さらに続けて、よくNATO基準とかが最近話題に上るが、防衛に係る予算の全体像を見せるという仕組みがあってもよいと思うという意見です。そして、防衛産業が大変であるという話もあるが、保護するのではなくしっかりと育成するという視点が必要ではないか。競争力を強化していくべきである。そして、最後にこの方は、防衛と外交とは一体的にやはり考えていく必要があるということでありました。

各委員の意見をできるだけ丁寧に御紹介しようと思いまして、少し長くなりました。

各委員がそうした意見を述べた後、今日の講師の二人にはずっと聞いておいていただいて、最後にコメントを求めましたので、そのときの講師のコメントです。

まず、神保講師のコメントです。国民保護計画に関しては、それが国民の中で認知されていないし、まして訓練も実施されておらず、見直しなど運用もなされていないというのが実態。切迫したシナリオとともに、国民がどう行動するか、実態に合わせて考えていくべき。

それから、2%という基準については、これは日本が取るべき防衛戦略がどういうものかということによって変わってくると思うが、それは一つの目標軸としては参照し得る、あり得る内容であると思いますという話でした。

それから、神保先生は引き続き、台湾について、台湾有事の可能性については中国にとってもハードルが高いと思うが、ただ、その可能性がないかと言われると、それは過去のどの段階と比較しても相対論としてはやはり高くなっているとは思いますということでした。それから、台湾の日本に対しての影響ということですが、今は台湾における有事を日本の有事と切り離すことが難しくなっているのではないかと、こうした意見でした。神保講師からは以上です。

それから、河野講師は、最後のコメントですが、GDP2%については一定の合理性はあると思いますと。それから、例の5年間ということですが、これは正面装備については、装備品が完成するまでに時間がかかるので、これは5年を過ぎてしまう。ただ、今、保有している戦力を最大限に活用できるようにするということが今、大事じゃないかということです。それから、軍需産業の国営化という話があったが、これは委員の中でそうした話があったのですが、民間に払った歴史があって、それをもう一遍買い戻すというのはなかなか難しいだろうと、こうしたことを言っていました。

それから、台湾有事についてですが、あくまで日本の国防のためにどうするのかという観点が重要だが、やはり有事があれば日本にも影響がある。それから、軍備の拡張だけはでなく外交もやるべきという意見には大賛成である。ただ、現実には、外交と抑止力の両輪をやはり回すべきではないか。外交だけで抑止力を全部なくすとかゼロにするかということではなくて、やはり外交は大事だが、外交と抑止力の両輪を回すべきではないかと、こうした話でありました。

それから、反撃能力の必要性については、やはり全面的なアメリカ依存から日米共同に移行していくべきであるということを言っておりました。

大変長くなりましたが、私からの発表というか内容の御紹介は以上でございます。

〔幹事〕それでは、各社、質問ありますでしょうか。

〔質問〕冒頭に質問されたときに、最後の質問で、河野さんが、減らすべきは減らしていって海洋のリソースをという理解は、つまり、陸上自衛隊に関しては減らすは減らしていくのだが、台湾有事などを想定して海上にリソースを重点化したほうが良いという趣旨でしょうか。

〔増田分科会長代理〕私、じっと聞いていましたら、はっきりはおっしゃいませんでしたが、というのは、自分は海自出身なのでということをちらっとおっしゃったので、ですから、陸上自衛隊を減らして海上自衛隊とは、そこまではっきりおっしゃいませんでした。はっきりおっしゃいませんでしたが、自分は海自出身なのでと少し付け加えた。

〔質問〕こう考えると。

〔増田分科会長代理〕ですから、そうしたこともあるのかもしれませんが、それは少し推察できないです。要は、台湾のあれについては、そうした考え方が大事であると、こうした言い方でした。要するに、御質問の、陸自を減らしてとか、そうしたことの言い方はされませんでした。

〔質問〕されなかったと。ありがとうございます。

関連してですが、今回財審の資料の中にも、人員のところは増員ありきではなく見直しをという趣旨が入っていると思うのですが、この辺りのことについては、さっきの陸自の話もありますが、委員からの意見とか、会長代理のお考えをお聞かせください。

〔増田分科会長代理〕今日の委員のポイントは先ほど申し上げたようなことなので、削減とかそうしたことでの意見はなかったと私は思います。全体としてはやはり質が大事になるので、ですから、これから質という意味ではそもそも確保もなかなか難しくなってくるところもあるので、これからの時代だとか、時代の推移というか、人口減ということもありますので、そうしたことは十分考えていくべきであると思います。

委員の中からは、勤務環境、ハラスメントなどの話も先ほど御紹介したように触れた方もいらっしゃったので、そうした環境をうんとよくするということは委員の意見としては出ていましたが、装備の関係についてやはり、実際の質であるとかそうしたことがどう影響してくるかというのは、今日の場では特に具体的な突っ込んだ議論はなかったと。もう少し大きな話だったと思います。

〔質問〕もともとの資料の中ではそんなに財源論について説明があったわけではないと思うのですが、今のお話を聞いていると、財源に関する意見がいろいろ出たというのは、やはり財審なのでということなのか。委員の先生の方の関心というのはやはり財源のところがあったがゆえにという話なのか。それと、やはり国民の広い負担とか、安定財源としてやはり税に求めていくと。一旦国債で出したとしても償還財源としてのということで、やはり税に求めていくという意見が全体として多かったという、そうした理解でしょうか。

〔増田分科会長代理〕財審だからということ、財審の場ではあるのですが、要は、今日は防衛力強化の必要性について、皆様お話がというか理解が、かなり委員の中でそこは理解があったと思うのですが、要は、継戦能力をいかに高めるか、要は、継続して防衛力を高めていかなければいけないということになりますので、スポット的に何かやるのではなくて、ずっと継続できるかどうかが問われているということがあって、であればやはり財源がどうあるかということが非常に重要であり、また、それを財審の中でも重視して考えているからこそ、やはり財源の問題がいろいろ出てきたのであると思います。どうやって継続をしていくかということです。

そうしたことから言うと、やはり財源も安定的な財源ということになっていくべきでしょうから、先ほど御紹介した何人かの中でも、やはり増税でやっていくべきではないかという意見もありましたし、それから、国債でやる場合も財源の明確化が必要と、こうした意見もありました。それ以上のことは、それはもう税の場での話であるというふうなことではあるのですが、やはり継続して安定的な財源ということでそれは考えていくべきではないかということが、大方の委員の考え方であると思います。

〔幹事〕ほかありますでしょうか。

〔質問〕関連してお願いいたします。念のためなのですが、中には、国債でやっておけばよいじゃないですかという御意見はなかったという理解でよろしいでしょうか。

〔増田分科会長代理〕なかったと思います。国債、恐らくそれは赤字国債ということであろうと思うのですが、それはなかったと思います。

〔質問〕それともう1点だけ。会長代理のこの件に関する御意見、お考えをお聞かせいただけますか。

〔増田分科会長代理〕もう各委員で大方のところから出てきたとおり、やはり安定的な、要するに、スポット的なものじゃなくて、安定的に継続して防衛力を支えていくということになりますので、やはり3つの原則がこれは大事であって、防衛力の内容とか、それから、規模、そして、財源と。その中の財源とすると、安定的なものでなければいけないと。継続してやっていかなければ安定的な財源になりませんので、したがって、私自身はやはり税ということを考えていかなければなりませんが、それがどういう税目になるかとか、それはまた別の場でしっかりと議論していただかなければならない。

それと、やはりどういう形であれ、国民の理解が得られるような形にしないと、これはいけませんので、まずはやはり、今日も議論の中心、有識者もおっしゃっていましたが、どういう防衛の戦略で臨むのかということ、それをしっかりと議論しないと次の財源のところにつながっていきませんので、やはりそこの戦略がどういうものであるかということをしっかりと議論し、それから、そこを分かりやすく、できるだけ多くの人に腹落ちするように示していくということが重要かなと改めて思っているところです。

〔質問〕関連してなのですが、今、戦略というお話があって、政府で議論しているスタンド・オフ、敵地攻撃能力の保有がどうかというのはこれからの議論であると思うのですが、仮に認められたとかとなったときに、例えば極超音速ミサイルとか、米国でもまだ開発途上で、予算も結構かかっているというデータも出てきている中、議論の土台に、仮に認めた場合に、日本でどれぐらいの必要経費がかかるかとかその辺りが全く示されてない中、その保有の有無というところの議論が中心になっていることへの懸念というのは何かあればお伺いできますでしょうか。

〔増田分科会長代理〕まだ少し、財審の立場ですので、今の点についてはなかなかコメントできないというか、またそれこそ官邸でやっておられる有識者会議等の場でそうした議論を深めていけばよいと思うのですが、我々の中ではそうした議論はしておりませんし、というか、その中身についてやる場は少し違うのかなと思っていますので、今の点については今の段階でコメントできないと。予算化されてくればまた少し違うかもしれませんが、今の段階ではコメントはなしということになります。

〔質問〕財務省の資料の中の論点で、防衛省自身が十分に効率化・合理化を図っているかというような論点があったのですが、ここについては会長代理自身はどのようにお考えでしょうか。

〔増田分科会長代理〕調達の仕方等いろいろ問題があると思います。それは今日の委員からの指摘にもありましたし、やはりどういうふうにこれから変えていくのかということについて、各論をそれぞれ述べると時間かかりますが、先ほど申し上げましたが、防衛省自身の自己改革努力のようなものはやはり必要であって、一方で、国民に、防衛省の防衛力であるとか、どういうことを国でやるべきなのか、あるいは民間でやるべきなのかといったようなことについても、やはりもっと、これまでも、それから、これからはなおさらきちんと議論していくことによって、その辺りが国民の理解の程度も変わってくると思うので、今までそうしたことが本当に防衛省として十分やれてこられたのかどうかといったことについては、やはり防衛省自身もよほどきちんと見ておいていただきたいなという気はいたします。

どうしてもやはり防衛省予算の枠の中でいろいろ説明してきた部分もあると思うので。前回の財審の中でも、いろいろな施設などについて、やはり防衛省自身が持つものと、それから、他省庁が持つものなどもございましたので、そうしたことは防衛省サイドが動かないとなかなか総合的な防衛力の強化につながらないと思いますので、やはりこうした局面で防衛省自身が、より今までの動きよりももっと枠を広げてやるような改革というか行動をぜひ取っていただきたいなと思います。

〔幹事〕では、質問がないので、こちらで会見を終わりにします。ありがとうござました。

〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。