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財政制度分科会(令和4年9月26日開催)記者会見の模様

〔増田部会長代理〕財政制度等審議会の財政制度分科会会長代理の増田でございます。よろしくお願いします。

本日10時から分科会を開催いたしました。春の審議会に引き続いて、今回も対面とオンラインとの両立てでの開催です。今日は、令和5年度予算編成に向けた各予算分野についての本格的な議論を開始する前に、財政の総論について事務局から説明をし、委員の皆様から率直な御意見をいただいたと、そうしたことでございます。それから、鈴木大臣にも御出席をいただきまして御挨拶を頂戴しましたし、また、両副大臣、両政務官にも御出席をいただいたところでございます。

会議の中での各委員からの主な質疑や意見について、通例どおり、委員の個人名を伏せて紹介いたしますので、議論の詳細につきましては、後日公表される議事録を御参照いただきたいと思います。

初めに、最初の委員でございますが、この方からは、2025年のPB黒字化、この旗を下ろすことなく着実に歳出の削減や抑制に努めてほしい。それから、各論の内容について、防衛費、GX等ございますが、財源負担の議論は避けて通れないので、それについてきちんと議論すべきということです。

それから、次の委員の方ですが、今現在の国際的な、世界的なマーケットの変化に懸念がありますと。改めてその中で財政の健全化を押さえていくべきという意見です。

それから、次の委員ですが、ワイズスペンディングの観点から、ターゲットを絞った政策が必要である。バラマキということに陥ることのないようにすべきという意見です。

それから、次の意見ですが、この委員からは、総合経済対策についてですが、秋にそれをまとめるという話がある。その内容について、30兆円規模などという声もあるが、GDPがコロナ以前の水準に回復している中で過度な財政出動は不要ではないかと、こうした意見でありました。

それから、次の委員です。今日の資料の中で諸外国の様子、資料も入っているのですが、ドイツの例などを見ても、海外ではコロナ後に向けて危機意識を持って対応している。日本がこのまま財政赤字の中で今の政策をずっと続けていって本当に大丈夫なのか。危険性をしっかりと認識して対応方法を考えるということを海外の事例も含めてしっかりと考えるべき。そして、その考えを伝えていくべきであると、こうした意見です。

次の委員ですが、この人も、海外を中心に今情勢は変わりつつある。日本は今は低金利できているが、情勢が変わったときにどうなるのか。コロナ対策でたくさん使った分、短期国債で賄ったようなものは借換えが今後バンバン起きてくる。危機感を持って対応することが必要であると、こうした意見です。

それから、次の委員です。財政の健全化あるいは財政の持続性の維持を目標にする、ここの部分は堅持をしていくべき。それから、我々は視点を将来の時点に移動させて、将来の視野から現在の政策を考察する、そうしたことが今後必要である。そうすると、国民全体の視点をどうやって将来世代の視点に移動してもらえるのかということ、そこが大きな課題となってくると、こうした意見です。

それから、次の委員ですが、財政について様々な政策が行われているが、自分につながっているものであるという実感が持てない層に対して、これは、要は、生活が非常に苦しくなっている層に対してということですが、しかし、そうした層の人にもきちんと政策がつながっていっているということの実感を持てていないのではないか。そうした層に対してどうやって当事者意識を持ってもらうか、そこに常に注意を払いながら議論を進めていくことが大事であるという意見です。

それから、次の委員の方です。防衛力についてのことなのですが、内容と金額と財源の3点セットで議論していくのは当然のことである。そして、総合的な防衛力を発揮するために、関係省庁と歳出分担における連携を強化して、我が国安全保障に対する財政面からの脆弱性を克服することが必要ではないかと、こうした意見でした。

それから、次の委員の方です。GDPギャップについてですが、先日22日に発表されたGDPギャップは15兆円ということであって、相対比較でも昨年の経済対策策定時点から大幅に縮小している。コロナ対策の見直しが進んでいて昨年の経済対策では20兆円近く計上されていたその関係の予算も、おおむね要らなくなるのではないかという意見です。それから、恒常的な政策には安定財源を用意することが大切であり、これをしっかりと貫いていくことが重要であるという意見です。それから、この方はもう一つ意見がございました。防衛力の抜本強化が大きな課題となっているが、関係省庁の施策・資源を総動員しているかという論点が大変重要である。研究開発や公的資本形成が今日の資料の中で取り上げられているのですが、税制とか具体的な研究開発税制、それから、社会保障施策、具体的には防衛省の共済組合による給付、それから、厚生労働省の援護施策、こうしたものにも目を配っておく必要がある。防衛力についてそうした意見をこの人は述べております。

それから、次の委員です。この委員の方は、防衛力の抜本的強化の必要性はあると思う。そうした前提の上で、防衛費の総額がいきなり40兆円超を視野に入れるというような報道が出てきて大変驚いた。これはあくまでも報道でそうしたものを目にしたということであるのですが、そうした報道が見られ、驚いた。実効性や実現性、それから、財源の部分をしっかりと詰めていかなければならない。実現可能性などを踏まえ、積み上げることが重要であると、こうした意見です。それから、この委員の方は、子育てについては、その対象となる人たちにとって、政府として支援をしているという気持ちやムードがとても大事であって、そこのところを分かりやすく国民に伝えていく必要があると、こうした意見でありました。

次の委員の方ですが、この方は、財政の関係について、将来視点を是非議論の中に入れていくべきである。コロナや物価高があるので財政の健全化はなかなか難しい、仕方がないということでなくて、やはり将来どうなるかということを考えていくべきであると。それからもう一つ、やはり財政については、分かりやすさ、それから、財政健全化の重要性を国民にどう伝えるか、その工夫が必要であるという意見です。

それから、次の委員の方です。GDPギャップについてですが、規模ありきでは駄目で、今、経済活動の正常化が進みつつあって、経済環境は明らかに1年前とは異なっている。需給ギャップは着実に縮小していく。補正予算の編成については、こうした経済情勢を踏まえた議論が求められるとともに、真に効果的な施策に絞り込んでいく必要があると、こうした意見です。

あともう少しお付き合いください。次の委員です。防衛力についてですが、防衛力の抜本強化が大きな課題となっているが、我が国の費用の中で最大のものは社会保障関係費である。その中に自衛隊の方や自衛隊から退職された方々への年金についても、共済で事業主負担をしていたり、給付も手厚く行われたりしている。こうした年金関係の予算などに限らず、社会保障に要している費用、そうしたものがかかっているということもきちんとカウントした上で、更なる防衛力の強化ということ、その議論に臨んでほしいという意見です。それから、NATO基準、対GDP比2%を目指していくという議論もあるが、我が国には独自の歴史的背景があって、なお世界唯一の戦争被爆国ということもあって、やはりそうしたことを踏まえた議論をしていくべきである。我が国が被爆国であるがゆえに行っているような事業の経費をどう考えていくか、安定財源をしっかり確保していくという議論を防衛費については丁寧に行っていく必要があると、こうした意見でありました。

それから、次の委員の方です。インフレ、諸物価高騰という、そうした議論がよくあるわけですが、今後想定される価格上昇を前提とした、徹底した低所得者対策とセーフティネットの構築に向けた予算編成を行っていくべきと、この方はこうした注文をつけております。

それから、次の委員の方です。この方は防衛費の関係についてです。日本では防衛費イコール防衛省の予算と理解されているが、本来、海上保安庁とか、研究開発、それからインフラ、サイバー対策、こうしたものも防衛に係る予算であって、同様の経費はほかにもある。省庁別ではなくて、むしろ機能に即した形で見える化していくというものも必要ではないかと、こうしたことです。そして、この方は、防衛費の後年度負担についても見える化をしていくべきと。後年度負担についても課題であって、国民に見える化していくべきと、こうした意見を述べております。

それから、次の委員の方ですが、この方は、ここ数年ずっと行われてきた補正予算の内容についてですが、補正予算を編成したが、経済が十分成長してきていなかった。そこにつながらなかった。こうしたこと、こうした失敗はなぜ起きたのか、政治の世界で是非この点はシビアに考えてほしい。年中行事での補正予算、それから、ワイズスペンディングで出していくというようなこと、そうしたことがいつも言われているが、必ずしもそうなっていない。やはり中身を見直して、アンワイズを本当の真の意味でのワイズに変えるのがこの場合必要であると、こうした意見です。

それから、次の委員の方です。イギリスで新しい内閣、トラス内閣が発足したわけですが、イギリスでは減税をして、それで成長を確保していくということを言ったのですが、マーケットがこれを先読みしてポンドの暴落が起きた。日本の財政を考えると、イギリスよりも日本の財政は今、状況が悪化しているので、今後金利が上がることにきちんと備えていく必要があると、こうした意見です。

それから、次の委員の方です。この方も、防衛、エネルギー、それから、安全保障など重要課題がいろいろある中で、ワイズスペンディングが重要であって、それに沿うように重要課題に優先順位をつけていくべきと、そうした意見でありました。

それから、次の委員の方、これが最後になりますが、成長戦略の特別枠というのがありますが、毎年名前を変えていろいろな何々枠というものが出てきているが、看板が変わることでどういう趣旨でやったものなのかというのを見えにくくしているのではないか。ワイズスペンディングGメンと、仮にですが、そうしたようなものを設けて、きちんとした予算の効果検証を行ってほしいと、こうした意見がございました。

雑ぱくですが、以上でございます。よろしくお願いいたします。

〔幹事〕ありがとうございます。

防衛力の抜本強化で安定財源の確保をという話がございました。与党内には赤字国債の発行も容認すべきといった趣旨の御議論もあるほか、仮に安定財源の確保ということで増税という選択肢を取れば、景気を腰折れさせる懸念もありますが、増田さんのこの点についてのお考えをお聞かせください。

〔増田部会長代理〕少なくとも今日の中での議論でそうした先のことについての議論はなかったので、今後、防衛費の議論の中でまた各委員から様々な意見が出てくると思います。

それから、今、私の意見をということで御質問ございましたが、あまり個人の意見というわけでもないのですが、ただ、いずれにしても、防衛費というのは一時的な経費ではなくて経常的に支出される経費という、そこは十分に留意して考えていかなければいけないのではないかと思います。やはり私も、防衛力の内容、それから、規模、金額ですが、それと財源を三位一体で検討していくということが必要になってくると、こんな風に思います。

それから、今日の議論でも委員の皆様方おっしゃっていましたが、防衛省の予算が防衛費予算ということでは必ずしもなくて、これは諸外国を見てもいろいろございます。今も委員の御意見を紹介した中で申し上げましたが、我が国は被爆国でありましたので、原爆で被害を受けられた方への援護なども行っておりますし、それから、そもそも戦没者の遺族等への援護も防衛の議論では実は入ってくる話ではないかなと私も思っております。まだいろいろ防衛について申し上げる段階に至っておりませんが、今後いずれにしても大きな議論をきちんとやっていくべきではないかと、こんな風に思います。

〔幹事〕ありがとうございます。各社さん、いかがでしょうか。

〔質問〕防衛費に絡んで2問あるのですが、一つはこの28ページにも出ている、防衛省と関係省庁が連携する枠組みを構築するべきではないかという話があるのですが、これはどういったことをイメージしているのかとか、どういうことが良いのかという、お考えがあれば教えてください。

〔増田部会長代理〕まだ具体的な、この論点というか、ここの部分については、防衛と、それから、子育てとGXがあるのですが、今日は次の本格的な議論の頭出しのようなことでやっているので、まだあまり申し上げる段階でもないなと私は思うのですが、いずれにしても、やはり研究開発などはすぐ分かると思いますが、いろいろな省庁でいろいろな研究開発を行っていて、そうしたものが同じような、政府の中で並行して行われて全く別ということではどう見てもあり得ないと思いますし、やはり連携するための枠組みというのは、これから各省各省の考え方がいろいろあるし、その中でどういうふうにして実質的な真の意味での防衛力を高めるかということの議論が、どう考えているかというのが、必ずやはり論点としてしっかりと議論を行うべきだなと私は思います。

要は、財政的な施策・資源というかツールが本当に限られていますので、そうするとなると、やはりもう縦割りなどと言っている状況ではないと思います。それから、先ほど研究開発などのことを申し上げましたが、実質的に本当にその辺りについてはコインの裏表のような格好になりますので、各省でやっているものも場合によっては防衛力の強化にうんと役立つような、デュアルユースのような話も出てくると思うので、ここはどういう枠組みを構築していくべきかというイメージとしてまだ申し上げるのは早いと思いますが、ただ、論点としてはしっかり押さえておかなければいけないなと思います。

〔質問〕ありがとうございます。関連するのですが、要は、防衛力を実質的にどう強化するかという意味での連携もあると思いますし、今日の先ほどのいろいろな意見にあったように、防衛費の範囲を見るときの議論があって、恩給費とか海保というのは確かにNATO基準でも入っていると思うのですが、インフラ整備とか研究開発も防衛費の整理の中で入れていったほうが良いということですか。

〔増田部会長代理〕そこは私なども本当これからの議論であると思います。ここで、その中に入れるべきとか入れないべきとか、まだきちんと考えてまとまっているわけでもありません。ただ、今お話しのあったように、ちょうど私もそう思うのですが、海保の予算なんかありますよね。様々やはりいろいろなことが防衛力という概念の中には考え得ると思うので、NATO基準がどうのこうのというのは、これは大いに参考にすべき話であると思うのですが、ただ、考えるべきはやはり、我が国が置かれている状況の中で、我が国の中で国民の皆様方の目から見てきちんとした予算が編成されているかどうかですから、ちょうど有識者会議も今度始まるということも聞いてはおりますが、様々なところでそうした深めた議論が行われれば良いなと思います。我々は、やはり財政を健全な財政に導いていく、そうした立場で意見が求められていると思いますので、その立場でこうした問題についても見解を表明していきたいと思います。

〔幹事〕ほかいかがでしょうか。

なければ、これで終わりにします。ありがとうございました。

〔増田部会長代理〕ありがとうございました。