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財政制度分科会(令和4年2月16日開催)記者会見の模様

〔幹事〕それでは、お願いします。

〔増田分科会長代理〕本日の14時から財政制度分科会を開催いたしました。本日は、議題は、令和4年度予算等についてということでありまして、令和4年度予算の編成についての建議を昨年の秋に私どもでまとめましたが、その反映状況などについて事務方から説明をいただいて、質疑を行ったところです。

内容はそうしたことでありまして、以降、個人名は伏せて、議論の内容について御紹介をしていきたいと思います。順次、各委員の発言の内容を御紹介いたします。

まず初めの委員ですが、この方は、コロナ対応についての財源の議論が必要になると。具体的には、今後どのように償還していくのかを考えていかなければならないということです。

それから、次の委員の方ですが、コロナの経験がこれまでに蓄積をしてきたので、国家運営のシステムにコロナを前提に組み込むべきと。コロナないしは感染症が起こったときのことを前提にもう組み込んでいくべきであるということです。

次の委員の方です。いわゆるPBの黒字化、これについて、なぜこれが必要で、なぜこれを追求していくのか、これを多くの国民に向けて明確に発信をしていくべきではないかという意見でした。

それから、次の委員ですが、この委員は、毎年のように、15か月予算あるいは16か月予算などが組まれているが、1年12か月であるということを考えると、財政支出が多くなっているのはまさに当然であると思う。そうした前提として、きちんと実態に即した説明をしていただければと思うと、こうした意見でした。

それから、次の委員の方ですが、内閣府の中長期試算について、諸外国と同様、日本も金利上昇の動きが出ておりまして、より保守的な見積りが必要となるのではないかと、こうした意見です。

それから、次の委員ですが、2023年度以降の予算編成について、ですから、1年後ということになりますが、2023年度以降の予算編成について優先順位づけが重要で、今後変えるべき最大のものは社会保障である。給付の徹底的な効率化や医療提供体制の抜本的な改革が必要と。それから、この方はもう一つ意見を言っていまして、国の信用の根幹は健全な財政にある。2025年度PB黒字化の目標を堅持すべきと、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、令和4年度予算の中で地方の臨時財政対策債の残高が減っております。減少がその中に盛り込まれています。今後も一般財源総額同水準ルールを遵守して、この健全化を行うことが重要であるということです。それから、またもう一つ意見を言っておりまして、PBの黒字化の2025年度目標達成を確実にするためには、本来緊急の経費に限定されているはずの補正予算の在り方を十分に検討する必要があると、こうした意見でした。

それから、次の委員の方ですが、2022年度、今年の4月からですが、高校で金融経済科目、これが出来ますが、それらを活用して広報を強化して、財政を理解してもらうための環境整備が重要であると、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、コロナ対応を継続していてはどうしようもなくなるということに対する意識がやはり国民全体として低い。給付と負担のバランスという当然のことが一般の皆様方の意識に備わっていないということが今の現実ではないかと、こうした意見でありました。

それから、次の委員の方ですが、この方は、イギリスであれば、2回利上げをしていて、資産の縮小も早くから行っている。今後長期金利の動向や需給面の影響が出てくるのではないか、それが心配である。日本への影響を注視する必要があるということを言っております。それから、もう一つ言っておりまして、コロナ禍でもう既に2年以上たっている。危機になると、このようにずっと大変であると言ってそれを引きずっている。好調な業界も中にはある。国の信用を守るためには、負担できる人が負担していく必要があると、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、財政は国家経営の基幹である。いかに限られた経営資源を配分するか、いかに全体最適な配分にしていくかという戦略が必要になってくる。それから、もう一つ意見がございまして、長期にわたって財政出動しているにもかかわらず、期待するような効果がなく、巨額の補正を計上して公債残高が累増するという悪循環が起きている。これが今の現状であると、こうしたことです。

それから、次の委員の方です。例えば科学技術予算でいえば、国家戦略として進めていくところには十分に配分すべきですが、競争力があるのか、あるいは実現可能なのか等の観点も踏まえて、言わば出口を見ながら予算配分をしていくということが今後必要になるのではないかという意見です。

それから、次の委員の方ですが、この方は、地政学的なリスク、それから、南海トラフ地震や首都直下地震のリスク、それから、別のパンデミックが発生するというリスク、そうした可能性、地球温暖化の影響などが現実にある。そして、イギリスのスナク財務大臣が、次の危機に備えると、こうしたふうに言っているわけですが、そのためにも、財政のバッファーが必要になるので、バッファーの必要性も国民に理解していただく必要があると、こうした御意見でありました。

それから、次の委員の方ですが、先進国の中で、日本はリスク管理的に問題があるので、絶対的な目標としてPB、プライマリーバランス、それから、一方で相対的な目標として、先進国の中の位置づけのようなものも考えてよいのではないかと、こうしたことです。

それから、次の委員の方ですが、今後の財政運営において、インフレリスク、それから、金利上昇リスクについて考えていくことが必要であると、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、この委員は、歳出改革とともに償還の財源も議論していく必要があるのではないか。診療報酬についても反映されていないところもかなりある。今後も継続的にかかりつけ医の制度などを進めていければよいと思うと、こうした意見でありました。

それから、次の委員の方ですが、この方は、中長期的に何をして実現していくのかという優先度を、工程表などをつくり具体的なプランを示すということが、財政に対する信認を維持する上で必要になるのではないか。要は、前段として、PBの黒字化が維持されることは極めて重要である、その達成にしっかりと取り組んでいく必要があると、こうしたことが前段の意見であって、そのためにも、先ほど言ったように、中長期的に何を行ってどういうふうにPB黒字化を実現していくのか、それの工程表などをつくって具体的なプランを示すということが財政の信認につながると、こうしたことです。

それから、次の委員の方ですが、この方は、春の財審に向けて必要なこととして、財政から見たコロナ対策の実態、実像というものをきちんと示すべき。雇用調整助成金、それから、自立支援金などのこうしたコロナで行った所得補償が適切だったのか、それから、医療分野における財政支援、地方への支援は適切だったのかなど、そうしたものについての実態、実像をきちんと示すべきと、こうした意見でありました。

それから、次の委員の方ですが、世代間の格差の解消に向けて真剣に議論する必要があるのではないか。財政当局ができる成長の議論というのはまさにこのことであると、こうした意見でありました。

それから、次の委員の方、この方が最後になりますが、若い世代においても財政に対する危機感はあるが、その人たちが何らかの行動変容に結びつくような、財審としての発信の仕方を工夫していくべきではないかと、こうしたことでありました。

以上20名になると思いますが、20名の委員の方から意見が各種出たということです。

私からは以上でございます。

〔幹事〕ありがとうございました。それでは、質疑応答に移ります。どうぞ。

〔質問〕本日、委員の受け止めでも会長代理の受け止めでも結構ですが、今日財務省から示された建議の反映状況についてどういうふうな評価をされるのかと、また、総論について、建議で、戦後最大の例外で、そこから正常化を進めなければならないとか、聖域なき歳出改革を進めなければならないといった指摘があったと思うのですが、令和4年度予算がそうした建議の趣旨をきちんと反映したものになっているのかどうかという評価についても併せてお聞かせください。

〔増田分科会長代理〕今日の各委員の議論の中で、昨年の秋の建議についてはかなり丁寧に各予算項目に反映したのではないかと。個々には申し上げませんが、今日の資料の中にもその反映状況がありましたので、なかなか予算で数字に落とすということは難しい部分があるので、そのことについては各委員から、評価する、そうした声が多かったと私は思っております。

それから、その上でですが、今の総論についての、まさに例外であるというようなことを昨年の建議、この総論について、今日の資料についても各論についての事務局の資料になっておりましたので、総論についての捉え方については恐らく各委員いろいろあったと思うのですが、やはり補正予算についての額がそれなりになっていて、先ほど15か月予算とかそうした話も議論の中に出ておりましたので、やはり全体とすると、昨年秋、建議の中で言ったような、補正の在り方は従来から問題になっていますが、それから、当初ではなくて補正に、今日も少し意見のところで申し上げましたが、補正に送り込まれている予算もあるし、全体とするとボリュームが大きくなっていることは否めないので、今日皆様の意見を集約したわけではありませんが、やはり相当予算額全体が膨れていることについての問題意識は、各委員の中でも非常に高かったのではないかと。

むしろそうしたことを含めて、今は総体的にはやはり各委員とも、コロナの真っ最中であるのと、それから、予算編成がもう作業が終わった後にはなりますが、年明けてからもオミクロンで相当今やはり深刻な状況になっているという、そうしたことについてのコロナ予算が必要であるという意識は皆様は持っていますので、むしろ今紹介した意見の中でございましたように、では、それが終わった後、どこかで終わるわけなので、その財源をどうするのか、それから、様々なそうやって組んだものについての例えば償還をどうしていくのかということについての議論が今後非常に重要になるねということは、今日の意見の端々にも出てたと思います。

その際には、紹介した意見の中にもありましたが、金利などに更に十分注視していくことが必要であるということありましたので、今年の春の議論の中では、その次に向けての予算の議論の中で、やはりややインフレ的になる可能性もありますし、金利の動向などについて利上げの動きも出てきています。そうしたところを十分注意して、今後、財源であるとか、それから、どうやって全体の債務を償還していくのか議論が必要になると、こうしたことをみんな意識しているのではないかと、こうしたふうに思います。

〔質問〕委員の意見の中でお二方ほどの、今まさに増田さんおっしゃったように、償還について触れられた方がいらっしゃると思うのですが、すみません、この発言の文脈を少し教えていただきたいのですが、秋の財審のたしか一番最初の総論のときに、区分経理のような話も出ていたと思うのですが、償還について触れた発言をされた方は、今日はそうしたことを何か念頭に置いたり、具体的に発言、指し示した上でのこうした御発言だったのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕区分経理の話まで今日の発言の中では触れてはおりませんでした。以前またそうした話もあったかと思うのですが、議論していく中でやはりその辺りが明確になっておいたほうが良いという議論は今後あり得るかというふうにも思いますが、今日は特にございませんでした。

〔幹事〕よろしいでしょうか。それでは、レクを終わります。ありがとうございます。

〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。