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財政制度分科会(令和3年11月8日開催)記者会見の模様

〔増田分科会長代理〕本日13時から財政制度等審議会の財政制度分科会を開催をいたしました。本日は、社会保障、これをテーマにして、初めに事務方から説明をしていただいて、質疑を行いました。

事務方からの説明は、社会保障の総論と、それから診療報酬、そして雇用保険制度、これを中心に説明をしていただきました。これ以降、各委員からの主な質疑や意見について、委員の個人名を伏せて紹介をいたします。議論の詳細については、後日公表される議事録のほうを御参照いただきたいと思います。

それでは、順次、申し上げていきます。

初めに、最初の委員の方ですが、かかりつけ医制度ですが、これについては診療報酬上、評価できるような要件を定めて、包括払いへの転換を進めることが重要であると。それから、入院についても包括払い化を進めるべきと。それから3点目ですが、雇用調整助成金について、いろいろ資料が入っておりますが、この方は雇用勘定における国の役割の再整理をすることなく国庫負担金を増やすのは反対であると、この方はそうした意見でありました。

それから、次の委員の方ですが、この方は医療機関の経営の関係なのですが、事業報告書の利用を早急に進めて、早く経営状態の見える化ができるようにしていくべきであるというのが1点目。それから2点目は、雇用調整助成金についてですが、出口に向かって議論を進めていくべしと。それで、この助成金について、労働移動を進めるという点では課題があると思うと。段階的に次のステップへ進んでいくべしと、こうした意見です。それから3点目ですが、雇用保険財政についてですが、この方は、この数年は少なめに徴収していたと考えるのが妥当であって、まずは保険料率を戻す方向で考えていくのが妥当であるという意見です。

次の方です。ワクチン接種についてですが、全ての自治体を巻き込んだ巨額の事業を行ったわけで、適正なコストであったか、ここで振り返ることが重要であると、こうした意見でありました。

それから、次の方の意見ですが、雇用についてですが、どこまでを国庫負担にするのか、線引きの見直しが重要であると。失業率とかデフォルト率が増えたりするといったようなことにもなりかねないので、どこまでが国庫負担をしていくのかという、国の役割をきちんと考えていくという趣旨でおっしゃっている話です。

それから、次の委員の方ですが、医療提供体制改革について、この資料の中で三位一体で進めていくべしと、こうした記載があるのですが、この三位一体で進めていくべしというこの基本方針について賛成であって、見える化を伴う形で推進していくべしというのが1点目の意見。それから2点目で、やはり同じく資料の中で、医療提供体制改革なくして診療報酬改定なしと、こうしたことを書いているですが、これについて、この方針で断行していくのが重要であると、賛成であると、これが喫緊の課題であると、こうした意見です。それから3点目で、診療報酬をアウトカム、それから質、そして患者の立場に立って、この診療報酬を考えていくと、そうした考え方にこの内容を変えていくべしと、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、この方の最初の意見は、コロナ患者の受入れ実績報告がないということは由々しき事態、これは例のコロナ対応の補助金についてですが、コロナ患者をどれだけ受け入れしたのかという実績報告がないのは由々しき事態であって、もっと成果払いの要素があってもよいのではないかというのが1点目の意見です。それから、処遇改善について、これは成果払いにしていくべきではないかと。これを機に診療報酬の体系の転換を行っていくべきではないかと、こうした意見です。それから3点目、この人は地域医療構想についてもおっしゃっていまして、この地域医療構想の実現のために、推進のために設けられる調整会議で、実は何も決まっていないという実態、これがあるということ、これは問題であると。そして都道府県がもっとリーダーシップを持つべきと、こうした意見です。

それから、次の方ですが、この方の最初の意見ですが、医療の経営実態の見える化、これは大変重要であると。そして、その際に、経営の健全性を見る上では、ストックベースの議論もできる調査をしていくのが望ましいのではないかと、こうした話です。毎年毎年、収益どのくらい上がっているかということだけでなくて、ストックベースの議論、バランスシート等であると思うのですが、そうした調査をしていくべきではないかということ。それから、あと雇用の関係についてもおっしゃっていまして、雇用について、ある程度時間がたった段階で、過度に雇用を守るという考え方を修正して、労働移動を進めていく、そちらのほうに進んでいくべきではないかと、こうした意見です。日本の場合には失業率は低いのですが、トレードオフとして賃金は上がっていない、日本は物価が相変わらず上がらず、労働移動などを通じて賃金が上がらない、このことが実際に起きているわけです。やはり労働移動を進めていくほうに適宜移っていくべきではないかと、こうしたことです。

それから、次の委員の方ですが、地域医療構想についてなのですが、各都道府県で実現を進めていくべしと、これは都道府県の責任できちんと進めていくべきで、実現をしていないところは診療報酬の点数の格差をつけるといったような思い切ったことをもっとしてもよいのではないかと。すなわち、地域医療構想を実現する具体的な手段、これについてもっと議論をしていくべしと、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、医療についてもDXを進めていくべきであって、そうした点については、国としてそうした方針を示していくことが必要と、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、かかりつけ医、それから地域医療構想について、患者の立場に立ってライフスタイルの変化という視点から、この必要性などについて説明していく必要があると、こうした意見もあります。

それから、次の委員の方ですが、負担なくして給付なしという応能負担の考え方をもっと取り入れていくべきということをおっしゃっていまして、先般の衆議院選挙で若者の投票率も上がっているという中で、将来の国の財源にも若い人たちの意識が向いていると思う。こうしたことを併せて発言しております。

それから、次の委員の方ですが、この方は社会保障費を抑えるということが重要であるが、その際に医療へのアクセス、それから医療の質が失われないように、丁寧にこの検討を進めていくべきと。それから、もう一つ意見をおっしゃっていまして、雇用関係についてなんですが、雇用保険についてですが、次の経済危機に備えて積立金について一定の水準を保つということが必要であると。そのためには、一般会計からの繰入れによって安定をさせていくべきで、まずは国庫負担割合の引上げを行うことが重要である、この方はそのような意見です。

それから、次の委員の方ですが、この方は財審のまず建議として、コロナ禍で明らかになった課題を解決するためと、このようにきちんと打ち出す必要があるのではないかと。これが1つ目の意見。それから2つ目は、雇用の関係、雇用保険について、何を保険料で賄って、何を国費で賄うのか、この点の再整理が必要であると。それから、今、働く形、形態が多様化されていて、フリーランスで働くという人たちの割合が増えてきているわけですが、国民みんなのお金である税金、それを一般会計から繰り入れて、比較的守られている人だけを守るということは、これは理解されないのではないか。やはりその枠外にあるフリーランスの人たちのことも考える必要があるということであると思います。

それから、次の委員の方ですが、この方はかかりつけ医について、御自身の体験として、発熱時に連絡がつかないとか行けないという点が記載されていると、自分もそのような経験があったと。ですから、同じような経験をされている方は多いと思うので、このかかりつけ医制度について制度化が必要であると、これが意見です。それからあともう一つ、観光やホテル、それから飲食などに従事している方は女性の非正規雇用が多いので、こうした方々のセーフティーネットの在り方をより具体的に考えていけたら良いと思うと、こうした話でありました。

それから、次の委員の方ですが、この方は医療費についてですが、コロナ補助金の使途、何に使われたのかを明確に示す必要がありますというのが1点目。それから2つ目の意見は、診療報酬体系が医療機関本意になっているのではないかと。この点については今日の資料の中でもございましたが、その点は事務局が指摘しているとおり、私もそう思うと。それから、財審としては、国民の見方、思い、これを代弁する役割を担っていくべしと、こうした意見です。それから雇用の関係ですが、雇用保険財政についての話なのですが、新たな需要に労働移動が移っていく、労働移動がなされるようにリカレントを促すことを支援するように、そうした方向で進めていくべきではないかと。それから非正規雇用について、今回は全額国費負担ということでサポート、支援を行ったわけですが、中長期的には誰もが雇用の保障を受けられるよう、雇用保険の仕組みに取り込んでいく必要があるのではないかと、こうしたことです。

それから、次の委員の方ですが、診療報酬についての議論の中で、薬価についてですが、イノベーションがきちんと配分されるような薬価となるよう、この診療報酬体系上の課題を解決していくべきではないかと、こうした意見です。

それから、この方はほかに、介護の関係なのですが、処遇改善の際に専門職としての縦割りの見直しをして、コメディカルとのタスクシフトですとかタスクシェアを進めていったらどうかと、こうした意見をおっしゃっていました。それから、かかりつけ医の制度化については賛成であると。ペイフォーパフォーマンスをその際に導入すべきではないかと、こうした意見を言っております。それからあともう1点、診療報酬、介護報酬の抑制は国民負担の低減にもつながると。反対に、診療報酬、介護報酬の上昇、上げることは国民負担の上昇にもつながると、これらのことを国民のほうにきちんと伝える必要があると、こうした意見でありました。

それから、次の委員の方ですが、地域医療構想について法制上の位置づけの強化を図るということは重要であって、この場合、都道府県の責務や権限の強化、そしてPDCAを回していくことが重要になるという意見です。それからもう一つおっしゃっていまして、必要なときに必要な医療にアクセスできる医療制度において、緩やかなゲートキーパーとしてのかかりつけ医は重要であるということですね。これが2つ目の意見。それからあともう一つ意見をお持ちになっていまして、税と社会保障の一体改革を、給付と負担を当然一体で考えるということ、これは普通の話であって、そのためにも財源の確保が重要である。これは資料の中に英国の例なども紹介をしていたわけでありまして、意見の趣旨としては財源の確保がやはり重要になるということです。

それから、次の方の意見ですが、団塊世代が後期高齢者になる2025年問題、2025年に向けて具体的な次の制度改革の方針が必要であると。その際にはデータで見える化を行って、進捗を管理する必要があると。地域医療構想を実施するとともに、医療機関の経営の見える化を進めていく必要があると。これが1点目の意見。それから、医療分野の処遇改善については、労働分配率の適正化が必要であって、同時に公定価格の硬直を見直して、これの見える化に取り組む必要があるのではないか、これが2点目の意見。それから3点目は、コロナで雇用調整助成金、これについての継続については、モチベーションの低下のほか、長期的にはスキルの低下ということが問題になるのではないか。労働市場の新陳代謝が促されるような施策に切り替えるときが来ていると、こうした意見をお持ちです。

それから、最後の意見ですが、この方は、補助金を含めると、医療機関の収入はコロナで増えてきていると。国としては十分に対応してきたように見えるが、その結果、医療機関がコロナ対策として機能を発揮できたのか。この点は疑問であると、こうした御意見でございました。

かいつまんで、意見を紹介させていただきました。私からは以上でございます。

〔幹事〕ありがとうございました。

まず、会見室にいる方から質問があれば、お願いします。

〔質問〕税と社会保障の一体改革の話で、財源の確保が必要であるという御意見があったということですが、この中の話かもしれませんが、公的価格の、要するに看護師さんとか介護職員の方の賃上げにも、これ少なからず公費の負担が発生する見通しになっておりまして、この辺の恒久財源というか、このあたりどのようにすべきかというような議論が財審の中であったのか。ないとすれば、増田さんの個人の御意見でも結構ですので、どのように今後議論を進めていくべきか、教えてください。

〔増田分科会長代理〕今日の意見の中で、今の点について具体的に委員会で議論があったというわけではないと思うのですが、ただ一方で、やはり財源が重要であるという話は出ていますので、その中には今おっしゃったような問題が包含されるというふうに思います。

財審の多くの皆様方の立場は、やはり社会保障の給付が非常に重要であると同時に、それに対して、今日、先ほど言ったように応能負担のようなことをおっしゃっていた委員の方もいますので、財源については非常に皆様、確保が大事であり、議論になれば、そうした話がもっと具体化が出てくるだろうと思います。

私個人の、あまり言うまでもないですけども、財源についてこれから具体的にどうされるのかということは、ほかの社会保障の分野全般も含めて、全体を見て考えていくべき話ですし、それからまた、今の制度の中で、例えばいろいろ補助金を渡したが、今おっしゃったような、どうも処遇の改善につながっていないような部分もあるように思われるので、そうした点などについてもよく精査して見ていく必要があるのではないかなというふうに思います。

〔質問〕診療報酬のことについてお伺いします。今回もいろいろ御意見出たようなのですが、今回財務省は、前回もそうですが、診療報酬本体部分についても、高止まりしているのであれば、ちゅうちょなくマイナス改定をすべきであるというような指摘をされています。2008年度以来、ずっとプラス改定が本体については続いておるのですが、こうした状況についてどうなのかとか、あるいは財務省が言うように、やはり今回も、本体も含めてマイナス改定というのを目指すべきであるとか、そうした意見がほとんどだったということでよろしいでしょうか。

〔増田分科会長代理〕各委員の意見は、総じて言えばやはり、財務省が今日お示しになった資料について、やはり支持をする意見が大変多かったというふうに私は理解しております。全員からこの関係について発言があったというわけでは決してありませんが、今後、建議を取りまとめていく上では、やはり今おっしゃったような点について考えていく必要はあるかなというふうに思います。

〔幹事〕すみません、私も1点質問がありまして、雇用調整助成金のところで、ある委員の方から、次の経済危機に備えた積立金で一定の水準を保つことが必要と、その際、一般会計の繰入れで安定させていくべきという御発言があったと理解しているのですが、この点について増田さん御自身のお考えを教えてください。

〔増田分科会長代理〕あまり私の個人の意見は言うまでもないので、これから財審の中でまた建議をまとめるので、その際に議論すべき課題かなというふうに思いまして、今、御指摘いただいた点については、そうした意見をお持ちの方もいらっしゃいましたし、それから、保険料のほうのきちんと料率を上げたりとか、それから、役割の再整理が必要であるという意見をおっしゃる方が大変多かったというふうに思います。

いずれにしても多様なお立場の方が入っているので、また建議を取りまとめる際に議論したいというふうに思います。

〔質問〕ごめんなさい、追加で。さっきの診療報酬の話で、厚生労働省が今月2日に開いた社保審議会のほうで、今、政府がいろいろつくっているコロナに関する補助金であるとか特例であるとか、そうしたものを今後の診療報酬にどう反映していくのか、していかないのかというような議論もあったようなのですが、そこら辺について何か意見ってありましたか。

〔増田分科会長代理〕今日は、この今日の場では特にそれを意識した意見はなかったというふうに私は理解しています。今後、建議を今月中には取りまとめる予定にしていますけど、その際に、取りまとめの際に、また、その点を意識した内容が入る可能性はありますけど、少なくとも今日の場面では特にございませんでした。

〔質問〕何か病床の確保とか、非常にたくさんの国費を使ったが、効果がどこまで上がったかということは少しよく分からない面もあると思うんです。そうしたことを平時の診療報酬のほうで、そうした病床確保とかにつなげられるような仕組みであるとか、そうしたことはどうでしょう。例えば増田さん、何かそれに対して。

〔増田分科会長代理〕内容は、いずれにしても今日、事務局でかなり詳細に用意した様々な資料がありまして、これについての全般的なトーンというか、考え方は委員の皆様方もかなり理解をされている方が多いと思うんですよね。ですから、今後、社会保障、大きなテーマで、建議の中でも大きな部分割かれるわけですが、そうした今回の、例えばコロナの中で様々な相当な巨額を出しましたが、様々な問題が明らかになったわけなので、それをどういうふうにそうした点を踏まえるかというのが、建議を取りまとめるときの大きな論点になるだろうというふうに思います。

今日の会議の中で、11月の厚労省の社保審の議論、あまり詳しく私もまだフォローしていないですが、先ほど紹介した中でも、巨額の事業がいろいろ行われていて、一言で言うと、PDCAをきちんと回すべしと、これは当然の話であると思います。そうした意見が多々出ていましたので、それを踏まえて今後の制度は組み立てていくように、特に政府、財政当局には考えていただく必要があるだろうと思います。

〔幹事〕ほか質問よろしいでしょうか。なければ以上で終わりにします。ありがとうございました。

〔増田分科会長代理〕はい。ありがとうございました。

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