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財政制度分科会(令和3年10月11日開催)記者会見の模様

〔増田分科会長代理〕本日10時半から、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたしました。今回から各予算分野についての議論ということで、本日は、まず初めに政務三役、鈴木大臣、それから、両副大臣、両大臣政務官に御挨拶もいただきました。すみません、繁本政務官は途中で来られて、御挨拶をして帰られたと。大臣、両副大臣等々は、マスコミが入られたオープンの場でやりました。

その後、有識者ヒアリングとして、渡辺幸子グローバルヘルスコンサルティングジャパン代表取締役社長から「急性期医療提供体制、医療資源分散がもたらす「医療の質」と「医療費」への影響」について、それから、草場鉄周さん、日本プライマリ・ケア連合学会理事長から「コロナ禍を乗り越えてあるべきプライマリ・ケア」について、そして、井伊雅子一橋大学国際・公共政策大学院教授から「医療機関に対する新型コロナ関連補助金の『見える化』」について、それぞれお話をいただいた後、事務方から医療機関の収支データについて説明した上で、質疑を行ったところです。

それが前半でございまして、後半が地方財政について事務局から説明を行って、質疑を行いました。こちらの事務局からの説明は、一般財源ルールの下での財政健全化の継続、それから、コロナ対応に係る地方への財政移転の検証の必要性、公営企業の広域化・民間サービスの活用といった健全化の実現手法が中心でありました。

以降、各委員からの主な質疑や意見などについて、個人名を伏せて紹介をしたいと思います。

初めに、前半の社会保障についてのヒアリングの関係です。

初めの委員でございますが、この方は渡辺先生の資料についての意見でございまして、こう言っております。急性期医療について、DPC制度を取っているが入院期間が短くならないという点、そして、地域医療構想は病院間の話合いでは進まないという点、さらには、1日当たり払いから疾病単位への転換をすべきと、こうした渡辺先生の指摘についてそのとおりであると、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、この方は、井伊先生の資料に記載してあるのですが、医療法人事業報告書を利用できるようにという意見に賛成であると。「骨太」にも記載があったようにぜひ速やかに実行していただきたいと。それから、草場先生の資料にあるのですが、今回の問題は、構造的問題ということはまさにそのとおりと。今回のパンデミック、医療の逼迫化ということです。医療提供体制の改革を速やかに行わなければ、今後もまた今回のパンデミックと同様のことが起こる可能性があるという意見です。

それから、次の委員の方ですが、医療提供体制や補助金に関して、病院側は説明責任の観点から、データなどを提出する必要があるという意見です。

それから、次の委員の方ですが、かかりつけ総合医制度に賛成であると。特定の臓器・疾病に特化した病院が多く、総合医をいかに養成していくかという、そうした供給面での対応が重要ではないかと、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、医療機関の実態把握のために中医協では2年に一度調査を実施しているのですが、例えば診療所についてサンプルが20分の1、それから、有効回答も半分と、データにバイアスがかかっていると思うと。それから、もう一つこの方は意見言っておりまして、診療報酬の在り方については、医療提供体制とセットでもっと議論をすべきであると、こうした意見でありました。

それから、次の委員の方ですが、コロナ禍で起きた問題、先ほどの方と同じように医療の逼迫化ですが、コロナ禍で起きた問題は構造的な問題と言われており、エピソード主義になり、全体の把握が難しくならないように、全体を見渡した上で判断する必要があるということです。

それから、次の委員の方ですが、この方はプライマリ・ケアについてなのですが、かかりつけの患者を囲い込んで後発組が参加できないということがないように制度設計しなければならないと、こうした意見です。

それから、次の委員ですが、かかりつけ医は重要であるが、お題目になりがちなので、しっかりとした制度化が必要ではないかという意見です。

それから、次の方ですが、コロナで露呈した課題からプライマリ・ケアの必要性が理解をされるという、今そうした土壌があるので、今はまさに見直しの好機ではないかと、こうした意見です。

それから、次の方も、プライマリ・ケアについてです。プライマリ・ケアについて今後どういった時間軸で進めていくかという議論が必要であろうと。その際、オンライン診療とセットで議論を進めていくべきという意見です。

それから、次の委員ですが、第5波が落ち着いている今こそ、医療供給体制の制度改正について議論すべきで、緊急時には強権的な集約や一元的な司令塔に基づく体制が必要ではないかと、こうした意見です。

それから、次の方ですが、この方は、医師や看護師を爆発的に増やそうという議論があるが、そうした議論は違うということがよく分かったと。今日のプレゼンの資料に入っていました。それから、もう一つ意見で、診療報酬のベースとなるものがサンプルの少ない医療経済実態調査で決まっていては根拠が弱いと思う。データを明確にして、ちゃんとしたデータから診療報酬を変えるべきという意見です。

それから、最後の委員の方ですが、5月の建議でも財審で医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なしという話が出ていたが、やはり医療提供体制改革を進めるためには診療報酬にも手をつけなければならないと思うので、財審としてもこの点について言及していかなければならない。それからもう一つ、1日払いから1入院当たりの支払いへの実質的な転換が必要であると、こうした意見でございます。

医療の関係についての御紹介は以上とさせていただきまして、次に、地方財政のほうの御発言を御紹介します。

まず、初めの委員です。この方は、コロナの収束に合わせて地方財政も平時に戻していく必要があると。そして、令和2年度からの今年度へ向けての繰越金に地方のものが幾らあるか。そして、決算と計画の乖離がいつも指摘されておりますが、その影響を検証する必要があると、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、これはレジリエンスの関係であると思いますが、インフラについて、例えば先日も地震があったが、被害の大きさとコストの関係から優先順位づけして効率的に対応していく必要があると、こうした意見です。

それから、次の方ですが、令和2年度の一般会計の税収決算額は5.7兆円上回ったと。それで、今回の予算編成では余裕を持った状況であるので、これまでの負の遺産を整理すると同時に将来を見渡した予算編成を行ってほしいということです。

それから、次の方ですが、マイナンバーカードについて金銭メリットで発行枚数を増やしていく、その金銭メリットの効果はもう頭打ちであって、例えばこれはデジタル化の入り口にはなるが、ヒューマンタッチが効果的である。要は、窓口でいろいろ申請する際に手続等があるのですが、やはりそうした窓口でのサポートなどを厚くすることが効果的であるという意見です。

それから、次の委員の方ですが、地方創生の臨時交付金について、地方の感染防止にどうつながったのかなどについて効果検証していくべきということです。それから、この方、もう一つ意見を言っていまして、マイナンバーカードについて、地方は窓口の役割が中心で、これは対面が前提になっているが、カードが普及すると、必ずしも自治体を通して認証する必要はなくなると。そうした先を見渡して普及を進めていくべきという意見です。

それから、次の委員の方です。地方創生の臨時交付金は大きな役割を果たしたと思うが、同時に問題事例があったことも事実であって、この交付金の使途を検証した上で、例えば標準的なパッケージを提示してはどうかと、こうした意見です。それから、この方はもう一つ、マイナンバーカードについて、迅速かつ確実な支援体制の確立のためにもこれは重要であって、また、平時においても、正確な所得把握をした上での公平公正な税制の運用という観点からもこれは重要な成果であるということです。

それから、次の方ですが、地方創生臨時交付金について、コロナ対応のための交付金にもかかわらず、もともと予定した事業への代替財源のような形で充てられているケースがあって、よく検証が必要であると。

それから、次の委員の方ですが、同じく地方創生の臨時交付金事業ですが、KPIや実態把握が必要ではないかと。そして、目的と使途を明確にしてお金を配っていくことが必要であると、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、この方は地方の基金ついて、大都市の緊急事態宣言が長く出ていた地域が非常に影響を受けている中、額ベースで見ると、37道府県で基金の額が増加している可能性があるという報道は、悲観せずに捉えられるが、やはりその内容について細かくそれぞれ、どういう理由なのかといったことを見ていく必要があるという意見です。

それからまた、これが最後の委員の方ですが、地方財政の中で従来から取られている一般財源総額実質同水準ルールというものがございますが、それに満足せず、税収が上振れたときにどうするのかや、自治体の基金が積み上がり過ぎていないかをよく検証していくべきと、こうした意見でありました。

取り急ぎ、今日質疑があった内容について御報告を申し上げました。私からは以上でございます。

〔幹事〕ありがとうございました。

それでは、質疑応答に移ります。会見室にいらっしゃる方で質問がある方は挙手をお願いいたします。

〔質問〕医療のことについて、2点ほどお伺いします。

1点目は、財務省が分析した補助金の収支データ分析について、病院によってこの補助金のコストパフォーマンスが大分いろいろであるという調査結果であると思うのですが、これについて何か御意見はあったのですか。

〔増田分科会長代理〕特に詳しくそれについて何か質問が出たとかそうしたことではなかったのですが、基本的にはそうしたものについて、今日ヒアリングに呼んだ方も言っておりましたが、きちんと補助金について事後検証したり、それから、医療の見える化を推進したりすべきというトーンでお話しになっていて、恐らくそれに皆様賛同される方が多かったのではないかと思います。

〔質問〕ありがとうございます。もう1点は、先ほど御紹介いただいた御発言の中で、第5波が落ち着いている間に医療供給体制の制度改正の議論をという話で、それはそのとおりであると思うのですが、この方が言われたとされる「強権的な集約」や「一元的な司令塔」という部分なのですが、この「強権的な集約」とは何を指しているのか。恐らく日本は8割ぐらい民間病院であると思うのですが、それが民間だからなかなか進まないのが、政府が強く言えないというところが根本的な問題であると思うのですが、それを強権的に集約するということは、法改正やそうしたことを何か前提にされているのか。

〔増田分科会長代理〕私が言ったときのメモを少し。緊急時には「強制的」な集約です。失礼、失礼。

〔質問〕似たようなものであると思うのですが、強制的にできるのですか。

〔増田分科会長代理〕強権的であると、更にもう何か大上段な構えで。一応、強制的な集約が必要ではないかとはよく言われている。日本ではなかなか難しいとは実際に私は思っていますが、民間中心の病床、医療体制になっているのでなかなか難しいと思うのですが、病床を転換したり何なりするということを意味して、やはり緊急時は平時とは別に、やはりコロナに一番効果的な形で医療資源を提供していくということであると思います。そうした御発言について、ほかの方からまた、「それは具体的にどうするのですか」とかいろいろやり取りがあったわけではないので、今の話についても一種推測になりますが、要は、1人での診療所とか、それから、やはり民間の病床などがずっと日本の場合には中心になっていますしね。ただ、緊急時にはやはりそれを集約化して、それでコロナに対応していくほうが恐らく効果的ではあろうと思いますので、そうしたことを考えていくべきではないかと。

ただ、第5波が落ち着いている今こそというときに、それだけの時間的な余裕があるかどうかの問題もあって、恐らくもう少し冷静に議論できるときにやはりこうした議論をしておく、もう少しというか、こうした冷静に議論できるときに議論しておくべきと、そうしたことではないかと私は思います。

〔幹事〕ほかいらっしゃいますか。

〔質問〕医療についてお尋ねいたします。今日は事務方、財務省から病院の収支データのお話があったと思うのですが、医療提供体制の充実につなげていくためにやはり補助金の費用対効果のような検証が必要ということかと思うのですが、改めて会長代理としては、今後どのような検証が必要、見える化が必要であるとお考えでしょうか。

〔増田分科会長代理〕具体論はこれからになりますが、やはり財審全体とすると、国費をいろいろ投入して、それが一体どこに手厚くつながっているのか。今回の場合には、通常ではあまり行われないようなことが行われていて、それはやはりコロナに対しての命を守るという大命題についてなので、やはりよく言われているように、その補助金の行き先がどこに行って、そのことが本当に患者さんの命を守ることにつながっているのかという、その経路をきちんと追っていく必要があると思います。

当然、今いろいろな事態が行われていますが、同時並行というか、少しそうしたことが落ち着いた段階では、やはり今回やった措置に効果があるのかどうかきちんと見ていく必要があるのだろうと思います。具体論について、どういう手法でということについて特に今思っているものはございませんが、いずれにしても、次のパンデミックに向けての教訓という意味では非常に重要なことではないかと思います。

〔幹事〕ほかはございますでしょうか。

〔質問〕地方創生臨時交付金なのですが、様々な問題点が今日も指摘されました。今の状況は、概算要求で内閣府が臨時交付金ではなくて、新規の事項要求として交付金を上げているのですが、これへの見解とこのことの是非を少し教えてください。

〔増田分科会長代理〕個々の省庁の概算要求について私も承知していません。いずれにしても、出来上がりとしては、どこがどういう形で所管するにしてもやはり、国から地方への移転の財源については、効果、目的、それから、省庁間でダブりないようにしていく必要があるので、そうした観点で実際には財務省できちんと査定されることになると思いますが、そうした作業をしっかりやっていただきたいなと思います。

〔質問〕すみません、もう1点、財務省の矢野事務次官が先日『文藝春秋』でばらまきが過ぎるという批判の文章を載せられていますが、これについて今日の審議会で話題が出たのかということと、もし出ていなければ、増田さん御自身の感想を教えていただきたいです。

〔増田分科会長代理〕特に今日の審議会の場でその点について議論になったことはございませんでした。

それから、私のあまり個人的感想を言う場でもないのですが、当然、私も内容は読みました。読みましたが、次官が述べているような内容の意見について、そうした考え方は当然あってしかるべき話であって、ルールにのっとってというか、前の大臣にも事前にお話をして述べられたことですから、やはり国民に自分としての思いをきちんと伝えるということでやられたのであると思います。そうしたことをきっかけにしてまた国の財政の在り方について議論をされるということであれば、それはそれで一つ良いことではないかと思います。それはもう本当に一般論で、反対の方も、違う意見の方もいろいろあると思うのですが、まさにそうしたことを議論されるということは当然必要なことであろうと思います。

それからまた、あのような意見を述べる方が財務省の事務方のトップにきちんと就いているということで、財務省としてやはり組織として、個人の意見ということではあるのですが、そうした勇気を持って言う方をきちんと組織のトップにするということはやはりしっかりした組織だなと私は改めて思います。

〔質問〕ありがとうございました。

〔幹事〕ほかはございますでしょうか。

〔質問〕2点お願いいたします。まず、社会保障なのですが、事務局資料で国立病院を詳細に分析したデータがありますが、1人当たりの患者の補助金が、一番多いところであると平均の大体6倍ぐらいに上っています。この資料自体、状況に対する、増田さんの受け止めをまず教えてください。

〔増田分科会長代理〕受け止めというか、随分そこのところは乖離があるなと思うのですが、実際に内容についてまだきちんと分析をして、これからこうしたことについて、これは国立病院機構のデータ分析ですが、どういうふうにこれを考えていくかということはこれからということですが、今日はそうした、大分違いがありますが、それをきちんとデータとして今後分析する材料を出していただいたと、そんなふうに受け止めております。まさにこうした具体的なデータが医療関係については必要であると思います。

〔質問〕すみません、続けてもう1点なのですが、地財のほうでマイナポイントに対する言及が複数の委員の方からあったようですが、これは、例えば今、衆院選を控えて、またポイントのようなものを掲げられている政党もありますが、そうした文脈で出ているのか、あるいは何か議論の中でそうした言及もあったのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕御発言の方がそうした形で捉えて言っておられるのではないと思いますが、マイナンバーカード自身の必要性については、皆様、ここで重要であると言っておりますので、それをどうしてこれから更に普及率を伸ばしていくか。先ほどあったように、この中でもある委員が言っておられましたが、カードの様々なメリットだけよりも、やはりサポートの煩わしさとかその辺りをもっと、窓口での問題を解決していくということが良いのではないかと。まだファーストタッチで今4割かな、そのぐらいまでしか行っていないので、もう少し普及率が更に伸びていけば、その先の議論がいろいろまた出てくるかと思いますが、今日はもう少し入り口の意見だったと私は理解しています。

〔質問〕重ねてのお伺いで大変恐縮なのですが、医療のところで、増田さんの個人の意見ということに恐らくなると思うのですが、岸田政権の所信表明演説でも、医療の何がボトルネックだったか検証するというふうに表明をしていて、その中でこうした補助金の制度だったり、在り方だったりもテーブルにのせて議論すべきであるというふうにお考えでしょうか。

〔増田分科会長代理〕私も金曜日の所信表明の文書を拝読しましたが、いろいろ医療に触れていますが、まだまだこれからであると思います。議論の場をつくって、それでいろいろ議論を深めていくようなそうしたくだり、御承知のとおりにございますしね。ですから、私自身も、様々な議論がやはり今回のコロナということで、医療について従来から、平時のときから言われた議論がもう一回再燃して出てきたように思うのですが、当然そうした実態を踏まえれば、議論がこれから必要だろうと思います。総理もそうしたことを所信表明の中でおっしゃっておられましたので、どういうふうに展開されるかはこれからより具体化されていくのだろうと思いますが、そうしたコロナを通して政権として見えてきたことについて所信表明で述べられたのではないかなと理解しております。

私というか、私自身、財審の場で、それぞれどうしていくかということはこれからまた財審の中で考えるべき話であると思います。

〔幹事〕御質問大丈夫でしょうか。

ないようですので、ありがとうございました。

〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。