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財政制度分科会(令和3年10月5日開催)記者会見の模様

〔増田分科会長代理〕財政制度分科会が本日13時から開催をされました。いわゆる秋の陣と言われているものの、今日が第1回目ということになります。今回も、対面とオンラインの両建てで先ほどまで開催をしておりました。

今日は、令和4年度予算編成に向けた、各予算分野についての本格的な議論を開始する前に、現在の経済財政状況について、委員の皆様方からいわゆる財政総論について意見を頂くということで進めました。初めに、事務方から資料を説明して、その後、質疑ということでございます。

以降、各委員からの主な質疑や意見について、委員の個人名は伏せて紹介をさせていただきたいと思います。詳細については、後日の議事録を御参照いただければと思います。

順次申し上げます。初めの委員でございます。この方は、コロナで増えた分の借金をどう返済するか。例えば、区分経理をするのかなどについて、方向性を出すべきではないかという御意見です。

次の方です。割引短期国債の発行が増えていて、財政の状況は非常にやり繰りが厳しいことが分かる。どれだけ債務償還に回せているのかなどを国民に示して、今の財政がどのように厳しいのかということを見せていくべしという意見です。

次の委員の方。分配の重要性は変わらないが、財政の持続可能性にもしっかりと取り組んでほしいと、こうした意見です。

それから、次の委員です。新たな政策を行うには、財源確保義務を課す必要があるのではないかと、こんな意見をおっしゃっていました。

次の委員です。緊急時に対して財政出動をするために、債務の法定上限の設定などを考えることも必要ではないか。それから、社会保障が公費、特例交債に頼る構造となっているわけですが、社会保障そのものが自律的に維持できる仕組みになるべきであると、こうした意見です。

それから、次の委員の方です。この方は、デジタル化の余地をもって生産性を上げていくといった変容が起こるような形で取り組んでいってはどうかと、こうした意見です。

それから、次の委員の方。財政健全化をしたら、消費が活発化し、企業にも個人にもプラスになるといった、腹落ちしやすい形で発信していくのを財審としても意識してはどうか。財審の意見を国民にできるだけ広く伝えるという意味で、腹落ちしやすい形で発信していくのも意識してはどうかということでした。

それから、この方はもう一つ言っておりまして、デジタル、グリーン、少子化、人材育成などの分野の施策を進めていく必要があるが、それとともにPDCAも回していくことが重要と、こうしたことです。

次の委員の方です。内閣府の中長期試算の前提となる経済見通しについて、前提となる成長率の見通しが甘いと、こうした意見を言っております。

それから、次の方でございます。この委員の方は、プライマリーバランスの凍結という議論があるが、これはやるべきではないと、こうした意見です。

それから、あともう一つ、この方は、無駄を徹底的に省くなどのワイズスペンディングをすべきであって、聖域を設けることなく、施策、制度の抜本的見直しを行っていくべきと、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、この委員の方は、予算は執行されていても、必要としているものに届いておらず、それが不安につながって、更なる補正予算の編成につながったのではないか。これまでの取組や予算の執行を見て、こうした意見がございました。

次の委員の方ですが、助成金が、コロナの関係で財政支出があったわけですが、その助成金が企業の利益にどう入っているかは精査する必要があると、こうした意見でありました。

それから、次の委員の方ですが、一定の規模の財政出動ということはコロナでは不可避であるが、規模前提の議論ではなく、十分な必要性を検証することが重要であると、こうした意見です。

それから、次の委員の方、財政支出をするのであれば、それに見合った財源、償還スケジュールを考えるべき。ドイツの例が紹介されていたが――これは事務方のほうで、今日の資料の中で、各国、アメリカとヨーロッパの例を説明していたわけですが、それを挙げてです。ドイツの例を紹介されていたが、日本もやはりドイツのようにあらかじめ償還ルールやスケジュールを考えるべきではないかと、こうした意見です。

それから、次の委員の方です。国民に財政の現状の姿を理解してもらうことが大事と。それから、もう一つです。ワイズスペンディングになっていたか中身を検証していくべきと、こうした意見です。

次の委員の方ですが、この方は、必要なところに労働を再配分して生産性を高めるためのワイズスペンディングが重要であると、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、雇用対策を中心に事後的な評価をきちんと行うことが必要という意見です。

それから、次の委員の方ですが、プライマリーバランスの黒字化を2025年に達成する可能性が示されているが、これは疑問であると。それで、幾つか理由を挙げているわけですが、特に、GDPの見通しが計算どおり進んでも、税収が伸びない可能性がある、このことに留意すべしと、こうした御意見です。

次の委員の方ですが、全世代型社会保障の議論を止めてはならない。給付と負担のバランスの適正化、適切な給付範囲の検討を進める必要があると、こうした意見です。

それから、次の方ですが、この委員の方は、財政規律の必要性について、中長期の財政計画を作成していくための制度的なアプローチが必要ではないかと、こうした意見でありました。

それから、次の委員の方、この方は、中身というよりは、財審の場の議論の中でのある種立ち位置ということですが、財審はあえて世の中の空気を読まず、何をすべきかということを、国民の皆様、外部に伝える場にしていくべきと、こうした意見でありました。

それから、次の委員の方ですが、コロナの関係で様々必要な支援が行われたわけですが、そうした必要な支援を行うことと財政健全化は両立可能と考える。健全化目標を後退させないことがこの際重要であるという意見です。

それから、次の委員の方ですが、給付のターゲットを高める制度をいち早くつくることが重要と、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、日本の医療体制については、世界でもトップレベルなのに、目詰まりやひずみがあってうまくいってないという状況、こうした現状をきちんと認識すべきであると、こうした意見です。

それから、次の委員の方ですが、一般の企業では無駄な借金はしないのが当たり前であると。財務省は、当初予算額を抑えたということに胸を張っては駄目で、補正予算を含めて、年末に全体をきちんと再検証が必要であるという意見です。

それから、次の委員の意見ですが、ワイズスペンディングの観点から、失敗だったところは失敗として見せていくべき。それから、お医者さんにしても、極端に忙しい人と、どうも余裕がある人、余裕があるように見えるお医者さんがおり、いろいろ差があるようであると。したがって、お金のつけ方にどれくらい効果があったかを見せていくべしと、そうした意見でありました。

それから、次の委員、この方が最後ですが、デジタルトランスフォーメーションについて、これはぜひ進めるという、そうした意見の下に、それによって働き方改革は相当進んだが、官庁や中小企業はまだ全然進んでない。こうした分野をこれから進めていくべしと、こうしたことでございました。

以上、意見を紹介いたしました。私からは以上にこの場ではさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

〔幹事〕ありがとうございました。

幹事社からは特にありませんので、質問がある方は挙手でお願いします。

〔質問〕ありがとうございました。基本のキかもしれませんが、改めて、複数の委員の方がプライマリーバランスの凍結の議論があるがやるべきではないとか、健全化目標を後退させるべきではないとおっしゃっていますが、その理由についてはどういうふうにおっしゃっていたのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕それぞれ、力点、多少強弱があるかもしれませんが、我々の議論している場が財政制度等審議会でございまして、財政の健全化を主に議論するという場でございます。私が聞いている限りでは、皆様方、コロナでのいろいろな様々な対策、財政出動については、これは十分理解しているものの、一つは、例えばワイズスペンディングになっているのかどうか一つ一つきちんと検証すべきということもおっしゃっておられますし、それから、あれだけ補正も含めて国債発行額が多額になって、次の世代への負担が増すような形になっていますので、そうしたことに鑑みると、やはり財政健全化に向けて強い推進力を必要としているということであると思います。

今、御紹介した中でもプライマリーバランスについていろいろな見方もあったわけですが、ただ、財政健全化に向けてプライマリーバランスの果たしている役割を考えると、このプライマリーバランスをきちんと2025年に向けて維持していくという目標、これは財政健全化の旗頭になっていますので、それを捉えて、皆様方やはり安易にこれを撤廃してはいけないと、そんな意見をおっしゃったのだろうというふうに思います。

〔質問〕建議の時期について、何か話し合われたりですとか、分科会のほうでまとまった考えがあったのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕今日、特にスケジュール、最後のまとめの時期を議論したわけではありません。むしろ、会長などと御相談して考えていく話であると思いますが、我々のほうでは従来のスケジュール、一応、11月末ぐらいに取りまとめをするということになるのでしょうか。今回は総選挙等もあって、政権がどういうふうになるかというのがまだ見えない状況ではありますが、一応、議論自体はこれまでの取りそろった材料を踏まえてきちんとやっておいて、最終的に、建議の取りまとめ時期については、そうした新しい政権体制が確立したところでよく相談すると、こうした形になろうかと思います。

〔質問〕まず、お伺いしたいのですが、昨日、岸田さんが新しい内閣総理大臣になったばかりですが、どうでしょう。委員の皆様から岸田内閣に対するコメントというか、期待とか注文とか、そうしたことはありましたでしょうか。

〔増田分科会長代理〕岸田内閣に対してということ、直接的な発言は私はなかったように思いますが、ただ、委員の皆様方が御意見を言う際に、「成長と分配の好循環」といったようなフレーズを引用されたりしておられまして、だから、分配についてもやはり一方で財源が必要だし、それから、成長も必要である。パイの拡大も必要であると、こうしたことでしたので、まだ、これから会議体を設けて新しい資本主義、日本型資本主義についても議論されるということになります。まだ具体的な内容については、私自身もそうですし、我々もまだこれからというところではありますが、少なくとも分配のほうには比重を今まで以上に移されていくでしょうから、どういう内容になっていくのか皆様御関心は大変強いのではないかなと、そんな気はいたします。

〔質問〕ありがとうございます。もう1点教えてください。今、御発言の中で、財務省は当初予算の枠が減ったということに胸を張っていたら駄目で、補正も含めて年末に検証すべしという御意見があったという、個人的には私も共感するのですが、この御意見はどういった文脈で出てきたか、もし御記憶にありましたら教えてください。

〔増田分科会長代理〕やはり、前年度も三度ほど大きな額の補正があって、これはこれでコロナという未曽有のいわゆる災害がありましたので、それに基づくものということで、通常ではあり得ない規模のものがありましたが、したがって、文脈的にはやはり、そうした中での予算編成は大変難しいですね。国民に理解を得るということは難しい状況ではあるということは一方で理解していますが、やはり、従来から、今回のコロナが始まる前から、当初予算と補正予算との関係で、財審の中で、どうしても当初は割と厳格にいろいろな指標も踏まえて作っているのですが、補正になると、やはり緊急性があったり、いろいろな補正をせざるを得ないという理由の中で行われていくのですが、全体的に甘くなっていて、トータルで見ると、それなりの額が年度としては予算編成されていると。その構造については、以前から、補正についてもっと厳しく見ていくべきではないかとの意見が委員の中で出ておりましたので、そうした背景があって、先ほど私が紹介したような議論につながっているのではないかと、こうしたふうに思います。

〔質問〕すみません。私の最後の質問です。何問も申し訳ありません。先ほど、予算の執行、必要な人に届いてないからそれが不安につながって、更なる補正につながっているのではないかと言っていますが、これは、今、岸田さんも言っているような、次、数十兆円というような補正もうわさされておりますが、そうしたことを念頭に牽制したような発言だったのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕私には、牽制したという感じではなくて、コロナ対策で本当に必要なところに支援がスピーディーに届いているのかどうか、その届ける制度のむしろ目詰まりのようなことについて意識があって、それでそうした発言をされたのではないかと、そんなふうに感じられました。これから、恐らく、経済対策が新内閣のほうで編成されるということになる。それはそれでまた様子が分かってきたら、この中でいろいろ議論が出てくるのではないかと思います。

〔質問〕冒頭で御紹介いただいた各委員の方の文言があったと思います。その中で、財源確保、財源論、ここに関する言及もあったと思うのですが、これは岸田政権に対してですとか、先般の総裁選ではあまり財源論に触れる議論がありませんでしたが、そうした特定のところを意識しての御発言ということではなかったのですか。

〔増田分科会長代理〕どういう財源確保策をするのかということは様々なやり方があって、今日、岸田政権で、分配などについて、成長が必要であったり、それから、分配のための財源は必要だろうという意識は皆様しておられたように思いますが、具体的にどういうことなのかは、これから政府のほうでもいろいろお決めになるでしょうし、形も決めていくので、まだ今日の議論の中では、深まったというか、それぞれ深い意見があったように私は思いませんでした。

〔幹事〕すみません。次の予定がありますので、最後の一問とさせていただきます。

〔質問〕今、いろいろお話を伺いましたが、最後に、来年度の予算編成に向けて、財審としてどのような役割を果たしていきたいか、意気込みをお聞かせいただければと思います。

〔増田分科会長代理〕多少、私の意見にはなりますが、やはり、コロナについて必要な対策が行われているということと、コロナ後を見据えて、経済社会全般がどういう形になるか、それをきちんと支えるような予算、ただし、財政健全化の旗をきちんとその中で国民の皆様が感じ取られるような予算になる必要があって、そのあたりの考え方は、今年の春、建議で政府のほうにお示ししましたが、秋も、今年の春の建議の線に沿って議論をしていきますが、今申し上げましたようなことが来年度予算の中できちんと表現されていけばよろしいのではないかなと。多少、私の意見も入っておりますが、そんなふうに思いますし、今日の財審の議論全体から言うと、大きく今のような考え方は外れてはいないと思います。

〔幹事〕すみません。時間になりましたので、ここで終わらせていただきます。ありがとうございした。

〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。