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財政制度分科会(令和3年4月15日開催)記者会見の模様

〔増田分科会長代理〕本日、午後2時半から、財政制度等審議会財政制度分科会を開催しました。

本日は、社会保障等について事務局からの説明があり、その後、質疑がありました。

事務局からの説明は、資料が配付されていると思いますが、社会保障の総論、年金、医療、介護・障害、雇用・生活支援、くわえて水道も入っていましたが、そうした分野を中心としたものでございます。

各委員からの主な質疑、意見について、個人名を伏せて申し上げます。

順次、申し上げます。初めの委員の方です。この方は、子供・子育てと介護は成長産業として位置づけて考えていくべきではないか、ということです。この発言の前段は、社会保障はこれまでコストと位置づけられがちでしたが、特に子供・子育てや介護はむしろ成長産業として位置づけて考えていくべきではないか、ということです。

それから、次の方です。この方は、今回のコロナ対応ですが、米国と日本との比較をして、アメリカは金もかけているが有事対応は素晴らしく、一方、日本は平時には細かく突き詰めてやっているが平時が有事になっただけで急に回らなくなる、そうした特性があるのではないか、という意見でありました。

それから、次の方の意見です。社会保障給付費の規律の必要性について、国民にとっては、公費で賄われているか保険料として支払っているのか、それらは医療費の負担という観点では、もう同じであると。したがって、国民の視点で給付費の規律を考えていくべきという意見です。それから、医療機関相互の役割分担、連携体制の強化が必要であって、なぜ、いまだに連携が進まないのかが不明瞭であるため、医療機関の連携を妨げている構造的な要因を見直し、より踏み込んだ提案をしていくべき、という意見を述べています。

それから、次の委員です。効率的な医療を提供するよりも、過剰な医療を提供したほうが儲かる仕組みとなっているが、この方はそのように言っていますが、このインセンティブを変える必要があるという意見です。それから、保育と教育をトータルで議論することができるよう、政府のこども庁創設に係る議論が必要であるという意見です。

それから、次の委員の方です。診療報酬改定の議論には、公定価格である以上、個別事例についても財政当局も関与していくべきではないか、こうした意見です。

それから、次の委員の方です。パンデミックによって医療の課題が一般国民の知るところとなりました。従来は、財審で発信するだけでは伝わりにくかった医療の課題が、ここに来て国民が問題意識を持つタイミングに来ているので、こうした時期を捉えて、確実に発信し、前進していくということが必要ではないか、とこうした意見です。

それから、次の方です。この方、事務局資料の26ページに書かれていますが、医療資源が散在して、手薄な人的配置になっている我が国医療提供体制の脆弱性が明らかになっていると、こうした記述があります。そのためにミスマッチが起きている。これは、まさに今、解決すべき課題であるとこうした意見でありました。

それから、次の委員の方は3つ意見を述べています。一つ目は、この方も事務局の資料の中で、医療給付費のコントロールがこれまでできていなかったのではという指摘に同意するとの意見です。これは、資料の中で、2005年の厚労省の当時の見込みよりも、医療給付費の実績は実際には高くなっており、15年来のまさに蹉跌であり、そこを見直なければいけないと書いてありますが、そこを捉えての意見です。2つ目は、医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なしという考え方に同意をするという意見です。それから、3つ目は、保険料の公平性の確保について、健保組合において保険料率に大きく差があるなど、医療保険料の問題をどうするかという観点で大きな問題、という意見です。

それから、次の委員の方です。コロナ下においても高齢化社会を前に、財政健全化の本丸である社会保障改革はきちんと進めるべきという意見です。それから、また、福祉用具について、購入よりも貸与のほうが40万円以上コストがかかるといったような事例が後のほうで書いてありますが、このようなことは速やかに是正すべきだ、という御意見です。

それから、次の委員の方です。この方はまず御質問がございまして、昨年12月の年金数理部会で示された追加試算が、なぜ今日の資料で触れられていないのかという事務局への問いかけをされました。事務局からは、将来において国庫負担の増加が見込まれる試算であることから慎重な検討が必要であり、具体的な制度改正の内容も明らかでない今は取り上げる段階にない、という回答がありました。それから、この委員の方は次に、今度は御自分の意見ですが、医療の効率化と質の向上はトレードオフではないということは重要なポイントであるということ。それから、医療のフリーアクセスとは必要なときに必要な医療にアクセスできるというものであって、そのために緩やかなゲートキーパー機能を備えたかかりつけ医の普及は必須であると思う、とこうしたことを言っています。それから、あともう1つ、財政、診療報酬、法制の面からも、かかりつけ医の意義について国民に伝えていくべきと。後半の2つは、かかりつけ医についての意見でありました。

それから、次の委員の方です。この方は、日本の医療機関についての経営データを、平均的には2年に1回ぐらいしか取れていないという実態があるのですが、これには大変驚くという意見です。リアルタイムでこのような経営データがないと、経営判断はできないのであって、したがって病院の経営努力にはデータが必須であり、日本の病院経営そのものが掘り下げていくべき課題を有していると思います、とこうした意見でありました。

それから、次の委員の方です。この方は、介護サービスについても、現役世代や企業負担の抑制、それから世代間格差の是正の観点から、利用者の2割負担を拡大していくべき、とこうした意見です。それから、もう1つ、雇用調整助成金の果たした役割はコロナ下では大変大きかったと認識をしているという意見です。そして、あわせて円滑な労働移動も重要である一方で、雇用保険の財源の安定化はやはり必要である、とこうした意見でありました。

それから、次の委員の方です。今、コロナ下でコロナ以外の病気の受診控えも起こっているのかもしれないが、むしろ、この水準が本来の適正受診のレベルなのではないかという意見です。こうした観点も含めて診療報酬の本体改定を行ってほしいと。それから、この委員は水道についても述べております。インフラ老朽化に対応するため、水道について検討を進めるべきということでありました。

それから、次の委員です。この方は、小規模の医療機関については無理をして急性期患者対応をするのではなくて、身の丈に合った、地域のかかりつけ医としての在り方を進める等すべきではないかという意見です。この方も受診の適正化を図るためにも、かかりつけ医の推進が必要と、こうしたことを述べていました。それから、今の委員の方は、診療報酬の概算払いという手法について法改正がなくてできるものなのか、という御質問をされました。これに対しその場で事務局から、災害時の概算払いについては法改正を行わず通知だけで実施した実績が度々あり、法律上の立てつけという意味でいうと、今回のケースも大きくは変わらないと考えているが、法制的な論点は引き続き確認していく、といった回答がございました。

それから、次の委員の方です。この方からは、負担と給付のバランスを回復することが重要であると、まさに「入りを量りていずるを制する」の考え方が重要という意見です。それから、もう1つ、医療費に関する目標を都道府県ごとに設定して、各都道府県においてPDCAを回していくことが必要であるという意見です。くわえて、その中では、地域別診療報酬の採用など、きめ細かな対応も必要ではないかと、こうした意見を述べております。

それから、次の委員の方です。診療報酬の概算払いについての意見ですが、マクロで見ると十分支援されていても、ミクロでは支援が不十分であるという可能性も現実にあるので、こうしたことに対応できるよう、制度を作るに当たっては細部をよく詰める必要がある、とこうした意見でありました。

それから、次の委員の方です。まさに医療提供体制の改革なくして診療報酬の改定なし、という意見です。また、診療報酬ではプラスの、加算の議論しかなされないということに違和感があると。医療機関がコロナ等の有事に適切に協力しない場合などにあっては、診療報酬をマイナスで活用する制度にしないといけないのではないかと、という意見を述べています。それから、この方はもう1つ、障害サービスの地域差につきまして、サービスの供給が過剰になっていないかという面と併せて、サービスを必要とする人にきちんとサービスが提供されているかという面からも考えるべきであるという意見でした。

それから、次の委員の方です。この方も、出来高払いから包括払いへのシフトが課題であるということが、このコロナの中で明らかになったという意見です。より包括的に、1回の入院当たりで医療費の算定を行う方法について検討していく必要があるのではないかと、こうした御意見です。それから、あと2つ意見を言っておりまして、次の意見は多剤投与についてのことですが、この多剤投与については、次の計画である医療費適正化の第4期計画についてはエビデンスを基に策定して、ぜひ多剤投与について骨抜きにならないようにすべき、とこうした意見でありました。それから、もう1つ、介護を成長産業にするという観点や、ケアマネジャーが職業人として責任を持つという観点でも、ケアマネジメントの利用者負担の導入は必須である、とこうした意見を述べております。

それから、次の委員の方ですが、曖昧になっている社会保険と公的負担の境界を見直すべきであるという意見です。例えば、雇用調整助成金への一般会計からの繰入を段階的に外してはどうかという意見を述べておりました。

それから、あと2人ですが、次の委員の方は、後期高齢者医療制度について都道府県が中心的な役割を果たしてガバナンスを利かせることができる仕組みにしていくべき、また生活保護受給者の国保加入はガバナンスを利かせる観点から大変意義がある、という意見です。それから、また水道事業について、水道事業者は小規模な事業者も多くて、医療と同様、広域化とともに都道府県のガバナンス強化がこの分野でも必要であると、こうした御意見を言っています。

最後の委員の方です。高齢者医療などの自己負担について、資産の保有状況を把握して、能力に応じて適切に負担をしてもらうことが重要という意見です。

ざっと申し上げましたが、以上が今日の分科会の中での発言の模様でございます。

私からは以上でございます。

〔幹事〕ありがとうございました。

それでは、質疑応答に移ります。まず、会見室にいらっしゃる方で、質問ある方は挙手をお願いいたします。

〔質問〕先ほど雇調金に関係して、幾つか意見があったかと思いますが、もし、ほかにも御意見がありましたら幾つか御紹介いただけたらと思っています。また、これまでも人材の移動を妨げるということで、雇調金に関しては段階的に縮減していくという話がずっとあったかと思います。足もとでまた緊急事態宣言が出て、その後また、まん延防止等重点措置が出てということで、雇用環境は厳しいという声も中にはありますが、この辺りで、逆に言うと、もう少しやはり感染拡大の状況を見極めないと段階的な縮減がしにくいだろうという、そうした意見やそうした観点の御発言はございましたでしょうか。

〔増田分科会長代理〕雇調金については、昨年もこれについて、今、お話になったように縮小の方向性を出しましたが、コロナの状況を見ながら見定めていくべきだと、あの時も申し上げておりましたので、もちろん足もとの状況を考えていくべきであると思います。

今日、特に雇調金について、今、御質問いただいたような形で、当面、足もとの状況から見てどうすべきかといった発言はございませんでした。どちらかというと、やはり雇用保険の財源の問題についてやはり心配があるといったような意見や、制度全般と、それから、これから進むべき方向は、先ほど申し上げましたように、一応、考え方をきちんと切り分けていくべきといったような意見でございました。従って、今の足もと、日々、今週も感染が拡大してきている中で、まん延防止等重点措置の範囲も拡大してきている中での、極めて短期的な形で、今日、雇調金について触れた方はなかったと、こうしたふうに私は認識しております。

ただ、足もとの雇用情勢について、コロナの状況を見てやはり考えるべきということは、昨年も財審でも考えていました。しかし、やはりコロナは克服されていくわけですから、その時に、今日の意見にありました労働移動、制度としてのあるべき姿及び目指すべき方向を、今日、委員として述べられたと思います。

雇調金については、先ほど紹介した意見が、その関係ではほぼ網羅されていると、こうしたふうに思っています。

〔質問〕分かりました。ありがとうございます。

〔質問〕御説明ありがとうございました。2点お伺いしたく思います。今、お話しいただきました、発言者の3人目の方だったかと思いますが、社会保障給付費の規律の必要性について、国民の視点で給付費の規律を考えていくべきであると、公費か保険料かは国民にとっては一緒であるというお話がありましたが、要するに給付費全体で規律も必要であるという財務省からの資料が出ていると思いますが、それに賛意、賛同されているという理解でよろしいでしょうか。

〔増田分科会長代理〕はい、そうです。確かに、国民の側から見れば、それが公費、税金という形になるのか、保険料となるかということは、やはり負担という意味では同じであるということで、いずれにしても給付費の負担という意味ではやはりきちんとした規律が必要であると、そうした御意見であると思います。

〔質問〕ありがとうございます。もう1点ですが、今年、前回も少しお伺いしましたが、歳出改革の目安をどうするかという議論がこれからまた政府の方であると思いますが、現状、社会保障費に関してはこれから高齢化の増加分に相当する伸びにおさめるということですが、以前は数値目標が示されております。本日、出席の委員の方から、何かしら新しい目安の設定に関して御意見であるとか、御発言ございましたら、少し御紹介いただけますでしょうか。

〔増田分科会長代理〕今日、そこの具体的な目安について触れるという意見はなかったと私は理解しております。全体としては、やはり過去のトレンドを伸ばしていっただけで、そこを考えていくべきなのかどうかということをおっしゃった方やそうした趣旨でおっしゃっていた方はおられたと思います。したがって、やはりこの春の建議の中や、これから後の場で、やはりそうしたことについてお話が出てくる可能性はもちろんあると思っております。今日は、基本的には大変ボリュームが豊富でしたが、事務局で用意した資料を念頭にいろいろ議論をされたので、この次、建議の内容を取りまとめる時にどうしていくかを、我々は考えなくてはいけないと思います。

〔質問〕ありがとうございます。発言の中で、医療費の目標を都道府県に設定してPDCAを回すことが必要、また、地域別診療報酬の採用など、きめ細かい対応も必要であるというお話がありました。こちらの発言者の方の、ほかに何かこうしたことに関連して、何かほかに発言があったかについてはいかがでしょうか。また、地域別診療報酬についてはどういったことを念頭に置かれての意見でしょうか。

〔増田分科会長代理〕御承知のとおり、今、診療報酬、1本ですよね。制度的には、もちろんそうした地域別の診療報酬という形もあって、やはり地域ごとの医療提供体制やどういう方向に効率的な医療提供のインセンティブを持っていくかということを、診療報酬で誘導していくような話です。それから、あと疾病構造も違ってきますので、やはりそこはもっときめ細かく見ていくべきではないか、という意見です。やはり背景とすると、社会保障改革の中で残された改革の中に、やはり地域医療構想、特に都道府県がどれだけこの分野で、医療についてガバナンスを利かせられるのかについては、まだまだ取組が不十分であると思います。ガバナンスの利かせ方の中で、どれだけ都道府県知事にこの分野をリードしてもらうのかということが重要になるので、そのうえで地域別の診療報酬を導入して、やはり地域で責任を持ってもらうと、地域で「見える化」をしてもらうということが必要であるということが、全体とすると背景に出てきているだろうと思います。

〔質問〕国民健康保険の保険料の在り方であるとか、そうしたことについては、特に今日、御議論はあまりなかったということでしょうか。

〔増田分科会長代理〕そこまでは少しなかったです。

〔幹事〕ほか、質問ある方、いらっしゃいますか。それでは、会見室の質問に引き続き、オンラインで参加いただいている方の質疑応答となります。オンライン参加者で質問がある方は、「手を挙げる」ボタンを押していただき、お待ちください。後ほど指名させていただきます。なお、パソコンにマイク機能がない方は、チャットメッセージに直接、質問を打ち込んでください。すみません、オンライン参加者の方で質問ある方は「手を挙げる」ボタンを押していただけますでしょうか。

ないようなので、改めて会見室で質問ある方、いらっしゃいますか。なければ、私のほうで御質問させていただきます。御説明ありがとうございました。今、後期高齢者のうち年収200万円以上の方を2割負担とするという話もあったかと思います。今、200万円の医療費の2割負担、一定の方を引き上げるという話がありましたが、そこから先の議論のような話は何か、高齢者の医療費の負担の問題で意見等ありましたでしょうか。

〔増田分科会長代理〕まず、2割負担については妥当であるということで、むしろ全体とすると、恐らく、もっと早くこうしたことを踏み込まなければいけないのではないかということだったと思います。それは、当然のことながら高齢者にとっては負担増となりますが、やはり世代間の公平という意味で、それだけ後年世代の負担を軽減させることにつながっていくので、やはりきちんとやるべきということです。今日は、それは前提として、今、国会で審議されているとは聞いていますが、それはもう当然のこととして、先ほど御紹介したように、むしろ介護についても2割負担の話があるのではないかといったようなことでした。したがって、今日は例の税制の話、社会保障の中で言われていた問題については、やはり政府としてきちんと早くこなしてほしいという、そうした皆様方の理解だったのではないかと思います。

〔幹事〕分かりました。ありがとうございました。ほか、御質問ないようですので、あと何か質問ある方は個別でお願いします。ありがとうございました。

〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。