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財政制度分科会(令和2年10月8日開催)記者会見の模様

〔増田分科会長代理〕本日、13時から、財政制度分科会を開催いたしました。本日の議題は社会保障についてです。事務局から資料を説明してもらった後、質疑を行いました。事務局の説明は、社会保障の総論と、それから医療、これはボリュームがあり、それから、子ども・子育て、そして雇用と、総論も含めて4つの分野についてでございます。

恒例によりまして、質疑の様子については、委員の個人名を伏せて紹介いたします。

まず、最初の委員の方ですが、今回の薬価の指摘のように必要な統計があれば、どんどん意見を述べていくべきであるという意見です。今回の資料の中でも、そうした旨を書いております。それから、その方はもう1つ、保育、待機児童の文脈の話ですが、真に必要な人が一定の負担の上で保育所を利用できる仕組みにするために、保育料の負担にメスを入れるべきではないかということです。もう1つ、この方の意見があり、児童手当の所得の算定の範囲について、世帯ベースの所得へと切り替えるべきであるという意見でした。

次の方の意見です。例の後期高齢者の窓口負担2割の関係ですが、これはぜひ実現をしていただきたいという意見です。

さらに次の委員の方です。雇用調整助成金について、自律的な経済活動を促すという観点から、段階的にこれは閉じていくべきであると、出口をきちんと持つべきであるということです。

それから、次の方の意見です。全世代型社会保障の下で、幅広い世代で負担を分かち合うということは非常に意義があるという発言でした。

次の方の意見です。まず、不妊治療の保険適用化は十分に検討に値するという意見がありました。もう1つ、少子化対策の財源として事業者の拠出金も今後、検討したらいいのではないかという意見がありました。

次の委員です。資料の中にもございます、法定外の一般の繰入れが自治体で行われていますが、法定外の一般繰入れの解消に向けて、期限を定めて取り組むように厚労省に対してきちんと求めていくべきであるという意見が1つ。それから、後発医薬品の数値目標が資料の中に入っていますが、数量だけでなく、金額で設定するということも考えてみてはいかがかという意見でした。

次の方の意見です。この方は、大病院受診時の5,000円の定額負担の制度について、病院の利益になる制度でなく、公的医療保険の負担の軽減につながるような指針としてほしい。この方は、当然、定額負担を取っていくべきであるという意見ですが、さらに、それが病院の中で経営の改善だけに使われるというのは駄目なので、公的医療保険の負担の軽減につながるような仕組みとしてほしいということ。それから、この方はもう1つ意見を言っておりまして、児童手当の特例給付ですが、廃止を含めた見直しと資料に書いてありますが、これでは弱いと、もう廃止を実現していただきたい、もっと強く書くべきであると、そして、実際にそのとおり廃止をすべきではないかという意見でした。

次の方の意見です。この方は、不妊治療の保険適用は賛成と、保険適用によって安全、安心で、コスト対比の質の維持が可能な医療が提供されるという意見でした。

それから、次の方ですが、この方は、生活保護費、生活保護受給者の医療扶助について、国民皆保険の利点をうまく生かしながら、国保等の適用を進めていくべきという意見をおっしゃっております。

次の方です。2つ言っておりまして、地域医療構想の推進について、国民の広い賛同を得ながら、その中で、医師の働き方改革、それから偏在是正の対策というのを進めていくべきであるという意見が1つ。もう1つは、児童手当について、これも、主たる生計者ではなく、世帯として収入を考えていくべき。女性が社会にどんどん進出し、女性のほうが収入が大きいというケースも出てきている。そうした時代の流れを考えると、世帯としての収入を考えていくべきであるという意見でした。

それから、次の方も、児童手当について1つお話をしておられて、高所得者に対する児童手当の在り方はもう見直していくべきであるということです。それから、もう1つ意見を言っておられて、デジタル化に関して、国民の健康という視点で考えたときには、当然、重複の検査、それから重複の投薬、こういったものをデジタル化によって是正していくべきであるという意見でした。

次の方の意見ですが、この方は、医療費適正化計画について、都道府県が主体的にPDCAを回す仕組みをつくっていくこと、それから情報開示など、もっと適正化に向けた、しっかりとした取組を進めていくべきであると、こういう意見を述べられました。

次の委員です。薬剤費について、新しく医薬品の保険収載を行うことを決めたのであれば、既存の薬価を引き下げるか、あるいは保険収載から外すべきで、その基準をきちんと設けるべきであるという意見を言っておられました。それから、この方は、もう1つ、医療保険の患者負担、療養の給付について、本来、年齢を問わず一律の負担で良いはずであるという意見をおっしゃっています。

次の方は、医療費負担について、やはり風邪などの小さなリスクへの対応はもう少し本人負担を増やしても良いのではないか。自助の部分をもっと増やして対応していくべきであるという話です。

次の委員です。まず頻回受診について、今回のコロナの中で様々な得られたデータがありますので、そういったデータを深掘りして、頻回受診を減らすために取り組んでいくべきであるという意見がございました。

次の委員の方は、マイナンバーカードに保険証の機能を持たせるというマイナンバーと保険証の一体化について、どちらも使えるということではなくて、国民が利用したいと思うインセンティブを付与することが重要であるという点を言っておられました。

次の委員の方は、先ほども出ました医療費適正化計画について、医療費の見込みが目標値として設定されておらず、きちんとしたマネジメントにつながらない。医療費の抑制額を目標にするとともに、医療費の抑制額について、保険制度改革によるものと自治体の努力によるものとに、きちんと区分けをしていくべきであるということです。そうして、医療費適正化計画をきちんとしたものに切り替えていくべきであるということを述べておられました。

次の委員の方が最後です。薬価について、薬価の加重平均を取って、さらに2%の上乗せをするという方式が取られており、これは国民負担軽減の余地があるのではないかという意見を述べられました。

大変ボリュームが多かったのですが、かなりかいつまんで御紹介しました。今日、13時から15時15分まで行われた会議ですが、主立った意見は以上でございます。詳細は、後日、公表される議事録を御参照いただければと思います。

私からは以上です。

〔幹事〕ありがとうございました。

幹事社から1点だけ質問です。後期高齢者の窓口負担について、対象の線引きのような具体的な話は何かあったのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕やはりそこをきちんと広く取っていくべきであるということを皆様がおっしゃっていました。そのため、財審でどうするのかということは、もちろん建議の中でもありますが、具体的に今、全世代型のほうで議論されているので、そちらに対して、今、言ったようなメッセージが非常に重要になってくると思います。

〔幹事〕ありがとうございました。

では、まず、会見室にいらっしゃる方で、質問がある方は挙手をお願いします。

〔質問〕先ほどもありました雇用調整助成金について、1点、伺いたいのですが、財務省としては、上限額を引き上げるというこの特例措置について、高度人材の流動性を阻害するおそれがあるなどとして、早期に段階的に廃止するように提言をしています。この点について、先ほど一部の委員の方から出口を持つべきであるという意見があったかと思いますが、このほか、例えば慎重な見方であったりとか、否定的な意見であったりとかいった意見はありましたでしょうか。

〔増田分科会長代理〕コロナの中で、雇用調整助成金が非常に効果があったと。それで、今、失業率がもちろん増えてはいるものの、今の状況で抑えられているということについて、やはりこの雇調金があったからこそであると評価する意見がありました。ただ、私が聞いている限りでは、いつまでも続く制度というよりは、いろいろな自律性を回復する上で、やはりきちんと出口を設けて、それで制度を考えていくべきであるということを皆様述べられたと思っております。

〔質問〕年末にかけて失業率が少し高くなってきて、改めて延期を求める声もありますが。

〔増田分科会長代理〕はい、そうですね。そのため、やはり皆様の発言の中でも、そうした状況の変化はやはり見ていくべきであるということであったと思います。出口を設けて、自律的な回復を目指すということと同時に、今、おっしゃったように、これからどうなるかということはありますが、もし、何かが現実に起こってくれば、それへの対応ということが委員の中からも出てくると思います。そこは、我々の財政制度等審議会の中でも、最終的にまとめるときに、そのときの状況をよく見てまとめなければいけないと思います。恐らく11月の下旬ぐらいまでには建議をまとめることになると思います。

〔質問〕ありがとうございます。

〔質問〕今の質問と関連して、雇用調整助成金は企業に支払われるものであって、例えば休業すれば国から助成金をもらえるから、従業員を休ませてしまって、経営者のほうが甘えてしまうという指摘もありますが、そうした意見はありましたでしょうか。

〔増田分科会長代理〕そこまで直截的な意見を今日述べて、だからやはり問題であるとか、経営者がどうということまではおっしゃらなかったと思いますが、やはり正常な自律的回復みたいな話や意見を述べられていましたので、そういうことまで含めたのかもしれません。やはり本来であれば、出口に向けて進んでいくべきものであると私も思いますし、今日の委員の意見の中でもやはり出口に向かっていくべきであるとおっしゃっていた方がいらっしゃったのは、そうした意味であろうと思います。

〔幹事〕ほか、いかがですか。

〔質問〕コロナを受けた受診控えについてお尋ねします。先ほど御説明の中で、頻回受診についてのデータを深掘りして、頻回受診を減らすために取り組んでいくべきであるという意見が御紹介されました。このほかに、特にそうした医療費に与えているコロナの影響に関する意見というのはなかったでしょうか。

〔増田分科会長代理〕頻回受診について言うと、今まで実はデータがあまりなくて、本来、望ましくないというか、抑えるべきであるということですが、今回、初めて、コロナがあって医療機関が空いたわけでもないですが、それにより医療費が下がりました。月ごとにきちんとしたデータが初めて得られたので、コロナ状況下でないときも、本来望ましい医療費というか、受診の姿として使っていけるのではないかということであると思います。

頻回受診の関係など医療費に直接当たるものは大体紹介したと思います。急いで速記をまとめましたが、今申し上げたものが代表例かと思います。

〔質問〕関連で、事務局の資料には、今回の受診控えというものが一時的なものであって、影響についても小さいのではないかという見方が示されていますが、増田分科会長代理はこの件についてどのようにお考えでしょうか。

〔増田分科会長代理〕影響が小さいということはどこの話でしたでしょうか。

〔質問〕資料の11ページの話です。

〔増田分科会長代理〕医療の影響は相対的に小さいと。私自身は、これは月別に、7月ぐらいまでのデータがこう出ていて、一旦コロナが落ち着いたところのデータなどもあれば、余計、分かるかもしれません。全体の中で見ると、高齢者の皆様方、特に75歳以上の医療費というのは大変大きなものがあるので、その中で見ると、こういう診療科目別であるとか、それから地域別とか、いろいろありますが、全体で見ると、それほど大きくないのではないかなと、大きな傾向について言いますとそのように思います。ただ、正すべき、それから直すべきところは、大胆にメスを入れていかなくてはいけないのではないかと思います。

〔質問〕重ねて、最後にもう1点、伺いたいのですが、そうすると、やがては患者さんが戻ってきて、医療費も膨らむので、医療費の抑制にはこれまでどおり努めていくべきだと、そういうお考えという理解でよろしいでしょうか。

〔増田分科会長代理〕そうですね。ですから、もう少し長く見ていく必要はあるとは思いますが、やはり今まで、これだけ医療費が膨れ上がってきた中で、コロナの今の傾向というのはかなり一時的な動きで出てきた部分があって、制度の根幹というか、抜本的な部分でどうしていくかということは、議論を緩めてはいけないのではないかといます。

〔質問〕ありがとうございます。

〔幹事〕ほか、いかがですか。

会見室にいらっしゃる方、何か質問があれば。よろしいですか。

ありがとうございました。

〔増田分科会長代理〕それでは、ありがとうございました。