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財政制度分科会(令和2年10月1日開催)記者会見の模様

〔増田分科会長代理〕分科会の会長代理の増田でございます。今日の議事の内容について御説明を申し上げます。

本日、14時から、財政制度等審議会の財政制度分科会を開催いたしました。

本日は、前半で財政総論について議論しました。事務局から資料を説明していただき、その上で質疑を行いました。コロナ対策で、足元の財政状況が一層厳しくなっているわけですが、令和3年度の予算編成に向けて、人口減少、生産性向上に対応した質の高い予算をつくるという目標に沿って議論を行いました。また、後半は、麻生財務大臣御出席の下でフリーディスカッションを行いました。

前回に引き続き、今回も3密を避ける観点から、会議室でのリアルの場と、それからウェブでの参加も認めるという両立ての開催となっております。

それでは、各委員からの主な意見について、通例どおり委員の個人名は伏せて紹介したいと思います。詳細については、後日の議事録で御確認いただきたいと思います。

まず、前半です。財政総論の議論で、各委員からの意見です。

最初の委員の意見です。コロナ対策はもちろん重要ですが、それに加えて、優先度が低い事業など、いわゆる既存の事業を見直す必要があると。また、コロナ収束後を前提に、財源確保についても議論を行うべきであると。それから、この方はさらに意見がございまして、複数の政策に関してどのように整合性をとっていくのか検討しなければいけない。これは、例えば、防災・減災対策、これは多くは現在の居住地を堤防で守るなどのことですが、一方で立地適正化政策、これは計画をつくって進めており、むしろ災害地域からの移転を前提に取り組んでいる政策もあります。そういった政策間の整合性をもっと考えるべきじゃないかという意見であると思います。それから、3点目は、社会保障の自然増について、コロナを受けた行動変容、医療提供体制を踏まえて今後の自然増の在り方を改めて考えるべきという意見でした。

次の委員の意見です。コロナ対応を経ても2025年のプライマリーバランス目標は本当に達成できるのかについて真剣に検討すべきということです。

次の委員です。9月の初めに国民の預金理由を調査したところ、収入源より将来不安のほうが大きかったと。この将来不安をどう解決するか、これが非常に重要であるというのが1つ。それから、海外の格付機関が日本国債の見通しをネガティブに下げておりまして、このように格付など外部からも財政の使い方が見られているということを意識すべきということです。そして、3点目は、日本が将来に向けて希望を持てる、そういう予算づくりをぜひ行ってほしいという意見です。

次の委員です。この方は、政府の責任として既存事業見直しをしつつ、コロナに対応した構造改革を進めて生産性向上につなげ、財政健全化を目指すべきであるという意見でした。

その次の方の意見ですが、アメリカの大統領選挙が今年の秋、11月にあります。それから、イギリスではブレグジットがあると。それから、その時期には、新型コロナの秋からの再流行リスクも出てくる。こうしたことが秋にまとめて出てくるので、予備費を有効に活用していただきたいという意見でありました。

次の方の意見です。3つあるのですが、1つ目の意見は社会保障の給付と負担のバランスを取り戻すことが重要。一方で、機動的に、必要なところに適切に給付が行えるよう、所得の捕捉など社会保障のインフラの整備をもっと進めていくべきであるという意見。2つ目は、労働者の質を高める方向、被用者保険の適用拡大などによる待遇改善を通じた、いわゆる付加価値生産性の向上を考えていくべきと。3つ目は、労働供給制約を前提として、テレワークを含め、様々な変化による生産性向上に財源をシフトしていくべきであるという意見でした。

次の方の意見ですが、この委員の方は、日本の質、サービスのよさは世界的に高い評価を得ているが、その価値を金銭としてプラスにしていくことができていない、こうした構造をもっと見直していくべきということです。安値で競争するなということをおっしゃっていました。

次の委員の方ですが、この委員からは、今年6月の生活に関する調査で、将来不安として、当然、今年は感染症に対する不安というものが出てきたということですが、それよりも高い割合であるのは財政の悪化、社会保障への不安という項目。実はこの方は、10年近くこうした調査を続けていて、この財政の悪化、社会保障への不安は不動の1位であるとおっしゃっていました。したがって、社会保障制度の見直しが重要であるということを述べられました。

それから、次の委員の方です。今回のコロナ対策で、資金繰り対策が15兆円と最大の規模で計上されますが、その政策効果などをきちんと説明すべきという話です。

次の委員の方は生産性向上について、企業だけでなく、行政における生産性向上というのも必要な観点であるという意見でした。

次の委員の方は幾つかあるのですが、新型コロナ対策の一方で、財政健全化目標に向けた取組をすることも重要で、それをいかに国民に分かりやすく説明するかが大事であると。歳出改革を緩めているというわけではないということを、様々な形で示していくべきということ。あわせて、社会保障の議論をする上で必要な見直しを行っても、財源として足りない部分がどこかという議論が必要であるということ。最後に、付加価値を引き上げていくため、日本の価格転嫁しづらい構造は見直していくべきであるということを述べておりました。

ここまでが前半戦の議論でして、その後、プレスの人にも入ってもらい、後半の麻生大臣とのフリーディスカッションを行いました。そこで出た委員からの意見を、まず初めに紹介します。ここでは、麻生大臣と一問一答でやったということではなくて、まとめて何人かの委員の皆様から意見を言ってもらい、大臣からもその中で少し話をしてもらうという流れで、必ずしも一対一で対応しているわけでもありませんし、大臣は大臣でまた違うことをお話になった場面もございます。

先に、委員から大臣に投げかけられた意見を紹介します。

長年、財務大臣を務められ、財政健全化についてどのような成果があったとお考えか、それから菅内閣の新大臣としてどうお考えかという質問が委員から出ました。

次の委員の方からは、菅総理の財政健全化に対する考え方をどう受け止めているか。

それから、国債の保有先を多様化すべき、民間の個人を増やしていくべきではないかという意見が次の方から出ていました。

その次の委員の方です。各省の概算要求がコロナ対応という名目で相変わらず便乗している、便乗予算のようなものがあるようであるが、大臣はどう思われるかという質問を投げかけられました。

次の委員の方です。全世代型社会保障改革について、大臣は、今後どのように医療改革が進むとお考えかというお話がございました。あわせて、その委員の方は、今後、新型コロナの影響により、これまで見込まれていた経済成長分野も変わっていくと大臣はお考えになっているのか、財政の支出の在り方も別のところにシフトしていくのかという問いをしておられました。

次の委員です。よく的を絞った賢い支出が必要と言われる、いわゆるワイズスペンディングについて、3つ申し上げたいと。1つ目はグリーン、2つ目がレジリエンス、3つ目がデジタルで、今後、デジタルの規格の統一が問題となっていくというお話をされました。

次の委員の方です。この方もワイズスペンディングとして取り組むべきことについて、大臣の考え方はどうかということ。それから、この委員の方は、格付のことも言っておられて、格付を下げないためにも財政再建に向けた強い意思を、大臣、あるいは政府サイドから出してほしいという意見をぶつけておられました。

次の委員ですが、かつては我が国は貿易利益によって黒字を出していたが、今は貿易利益ではなくて投資の収益によって黒字となっている。海外への投資を行うためには、財政健全化が改めて重要であり、健全化によって信認を獲得し、外貨の調達を容易にすることで、海外投資もさらに活発になるのであるという持論を述べられました。また、若年層の貯蓄性向が高まっている問題について、これは全世代型社会保障という考え方の下で、社会保障改革、特に高齢者の医療費の自己負担割合を上げて、下の世代の負担を下げるといった発信がもっとあってしかるべきという意見でした。

次の方の意見です。デジタルは、整備していく上で、コストではなくて投資であって、成果がなければならないという思想に変えていってほしいと。それから、社会保障にもデジタルと生産性の考えを導入してほしいという持論を述べられました。

次の委員の方は、障害者雇用について、雇用率で判断するだけでなく、例えば発注率、すなわち企業が一定の仕事を障害のある方に発注したことを評価する仕組みが必要ではないかという意見です。

次の方が最後になりますが、国債を発行しているにも関わらず、今、暴落をしないということは、これまで日本が真面目にお金を返してきたというこれまでの積み上げがあるからであるということを大臣が言われて、それに賛成であるという姿勢をコロナ禍で見せるべきと。それから、概算要求では、コロナ対策、デジタル関連などがよく出てきているが、縦割りの省庁別の予算編成になっているので、要求側もそこを効率的にしていく仕組みが必要であるが、査定を行う財務省側も、主計官が省庁縦割りのようになっている、その査定側も同じく効率的な仕組みが必要でないかと。

まとめて、簡略化しましたが、大体、委員からはそのようなお話がございました。

そして、大臣からは4点ほどお話がありました。1つ目は、菅政権でも経済再生と財政健全化をきちんと進めていくということをお話になっていました。新首相も、これまで財政の議論に同席しているので、経済の再生と財政健全化を進めていくということ。

2つ目に、現下の財政状況についてです。コロナ対応で大変でしたが、今後、そういう中でどうバランスを取っていくかが重要。コロナ対応も必要ですし、財政健全化も当然必要ですので、どうバランスを取っていくか、ここが大変重要なところだと。

それから、3つ目として、働く人口が減って高齢者が増えていきますが、その中で社会保障を借金で賄っているという状況は不健全であると。ここはやはり重要で、変えていかなければいけないという話をしておられました。

それから、借金を返す努力をしっかりと行っていくことが重要であり、また、これが信認にもつながっていくということをおっしゃっておりまして、こうした点を含めて、経済財政全般にわたって大臣から御発言があったところです。

概略、以上でございますが、また詳しくは議事録等を御覧いただきたいと思います。

私からは以上です。

〔幹事〕ありがとうございました。

幹事社から、1問、お尋ねいたします。新型コロナウイルス対策で多額の支出を決定し、プライマリーバランスの2025年度の黒字化目標が遠のいたという印象がございます。今後も、コロナの収束までは歳出が膨張すると予想されていますが、財政制度等審議会の分科会として、この目標の達成に向けて求めていくことがありましたら教えてください。

〔増田分科会長代理〕まず、今日の議論、それぞれの委員の方が意見をいろいろ表明されて、まだ分科会として、それをどう取りまとめていくのかという議論はこれからになるので、まだ分科会としてどうしていくかということはなかなか言いづらいところもあります。ただし、今日の御発言、お聞きになってお分かりのとおり、コロナ対策はすごく重要ですが、一方で、コロナ対策と同時にやはり経済を再生して、そのことを通じて財政を健全化していく、とにかくやはり財政健全化ということは、我々、旗を下ろさないわけですから、それに向けて、どのようなスケジュール感とやり方でやっていくのかを考えていかなければいけない。そこは、もう委員の中で、目指すところはほぼ間違いなく一致していると思います。

各論で、例えば、どのような形で、どのようなタイミングで行うかについて、今日、まだ議論しているわけではありません。財政健全化が重要であるというメッセージを財審からもっと外に出していけという趣旨の御発言もありましたので、それをどう具体化していくかは、これから秋の議論の中で深めていきたいと思います。現況、PBの2025年黒字化ということは変えておりませんし、それをどうしていくかという議論もまだなされていないのですが、とにかく財政健全化をしないと、次世代に対して非常に困ったことになるというところはみんな一致しています。これから、当面、コロナ対策を最優先にやっていかなくてはいけないということも、一方で皆様おっしゃっていましたので、コロナの状況等を見ながら、今後、今の御質問について分科会の中で取りまとめていかなくてはいけないと、私は思っています。

それにしても、いろんな議論もあって国会で認められたわけですが、予備費がまだ7.8兆円ぐらいあったと思いますから、当面は、これからコロナがいろいろな形で進んでいったとしても、そうしたものを使って財政の中では何か新たな行為をするというわけではありません。私らは概算要求の中身を見ていないので、どのようになっているか分かりません。いずれ秋に、臨時国会の中でも、この財政の問題については議論されると思うのですが、それとは別に、とにかくやはり財政健全化に向けて、こうしたコロナ禍であっても、どのようにきっかけを作れば良いのか、これをきちんと議論していきたいと思っています。

〔幹事〕ありがとうございました。

幹事社からは以上です。ここから、各社様からの御質問を受け付けますが、まずは会場内にいらっしゃる皆様からの御質問を受け付けます。よろしいでしょうか。

では、続いて、オンライン参加されている記者の皆様からの御質問を受け付けます。御質問ある方は、チャットで挙手をお願いいたします。

〔質問〕概算要求をまだよく見られていないという御発言がありました。昨日締め切られて、事項要求という額を示さない要求が非常に多いと聞いております。また、コロナ関連などの事項要求を財務省が認めるという方針を出しているということで、コロナかコロナでないのかのグレーなものから、全くコロナではないような国土強靱化を事項要求で出すなどといった状況の中で、それは不透明であるという専門家の指摘も既に出ていますが、こうした問題に対して、どのように今後検討されていくのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕便乗することはやはりよくないし、逆に言うと、事項要求で出てきたものが、各委員から再三指摘されていたワイズスペンディングにちゃんと結びついているかどうかを見ていくということは、財務省主計局の査定の力が試されている部分もあるのではないかとも思います。

国民の声も、やはりコロナだからこれだけの財政出動、そして負担を認めようという気持ちであると思うので、その原点はやはり大事にしていただきたいと。ただ、限界線上でどういうところなのかということはもう具体論になりますので、先ほど国土強靱化等々のお話がありましたが、財審の中でも歳出改革部会の中で社会資本整備の議論をすることになっております。その頃には、今回の中でどのようなものが事項要求で出てきているか御披露があると思うので、その中で、我々としても何かおかしなものがあったら意見を言うことになるかと。ただ、ワイズスペンディングという考え方自身は、特に財務省として強く持っていただきたいと思います。

〔質問〕関連でもう1点。先ほど委員の方の意見を御説明いただきましたが、概算要求に関する意見は2件ということでよろしかったでしょうか。

〔増田分科会長代理〕私もカウントしていませんでしたが、複数の方がおっしゃっていました。

〔質問〕ありがとうございました。

〔幹事〕ほかにありますでしょうか。

それでは、会見を終了したいと思います。ありがとうございました。

〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。