このページの本文へ移動

財政制度分科会(令和2年7月2日開催)記者会見の模様

〔増田分科会長代理〕それでは、分科会長代理の増田でございますが、私のほうからお話し申し上げたいと思います。

本日14時から、財政制度等審議会、財政制度分科会を開催いたしました。

本日は、まず、海外調査報告について、これは2月に実施したものでございます。次に、予算フレームの透明性の向上について事務局から説明をしていただき、最後に、会長談話について会長からお話をいただき、質疑を行ったと、こういうことでございます。

前回に引き続き、今回も、3密を避ける観点から、対面とウェブの両立ての形で開催をいたしました。

まず、海外調査報告でございますが、こちらは報告書のとおりでございます。その御紹介がございました。続きまして、予算フレームの透明性の向上に関して、こちらについては、各委員からの主な意見等は、通常どおり委員の個人名を伏せて、この後、私から紹介して、最後に、会長談話につきましては、会長においでいただいておりますので、会長からお話しいただこうと考えております。詳細につきましては、後日、公表される議事録を御参照いただきたいと思います。

それで、予算フレームの関係でございますが、こちらについての質疑の状況を簡単に申し上げます。

まず、最初の委員から、この予算フレームの試みの案、試案についてでありますが、お示ししたのは当初予算ベースということになっておりますが、補正予算を組むと数字が変わるけれども、国民にとって分かりやすく示すためにも、その都度、試案のような形で示すことが必要ではないかと、こういう意見がございました。

それから、その次の委員からは、この方も試案を評価しての意見でありますが、国債の市場では、建設国債、赤字国債ということが区別されることなく、もう評価をされているということであって、どちらも同じ債務であると。今回、基礎的財政収支赤字が表の中でフォーカスされたのも見やすくてよいと、こういう意見でございました。

それから、次の委員ですが、財政健全化の目標を達成する上で肝となるのは、やはり予算編成におけるPBと財政収支、これを明示するというのは当然であると、こういう御意見でございます。

それから、この方はもう1つ意見ございまして、債務償還のための減債制度の下での特例公債脱却は、一定幅でのプライマリーバランス、黒字をもたらす大変重要な規律であると、こういうふうに思いますと。これを精神論だけにしてしまってはいけないと、神棚に上げて精神論だけにしてしまってはいけない、こういう御意見でございました。

それから、次の委員の意見でございますが、内閣府の中長期試算ございます。こちらのプライマリーバランスと一般会計のプライマリーバランスは違っていると、そこは微妙に違っているわけですが、一定の違いがあるということも説明してはどうか、こういう御意見でございました。

それから、あと、最後の委員です。この方、今回のような形で情報量が増えるというのは大変いいという前提で、政策的、今回の示し方で政策的赤字部分以外はもうしようがないのだと、こういう危機のときは仕方がないというような、財政規律が緩くなるような議論にやはり警戒をしつつ、こういうものを使っていくということが必要ではないかと、こういう御意見がございました。

主立った御意見を御紹介いたしましたが、私の受け取り方としても、各委員の皆様方、ああいうフレームでの試算、試みの試算が出てくることを好意的に受け止める、情報量が多くなることを好意的に受け止めつつ、今回は試みの案ということですので、議論が年末までに事務局のほうで深めることを期待していると、そんなことであったのではないかと、こんなふうに思います。

それでは、3つ目に議論いたしました会長談話の関係でございます。こちらについては、会長のほうからお話を申し上げます。

〔榊原分科会長〕はい。事前にお配りしていますので、お目通しいただいたと思いますけれども、今般の新型コロナの感染症の拡大を受けまして、財政制度等審議会として会長の談話というものを発出しようということにいたしました。

前回の6月1日に、財政制度等審議会、今までコロナでなかなか開催できなかったのですけれども、久しぶりに開催することができまして、コロナ対応、その他について非常に活発な議論を行ったところですけれども、その際、私から、今後の財政運営について、財政制度等審議会としてやはり何らかの、何らかの意見表明を行うべきだということを、私の考え方として申し上げたわけです。

本来、この時期ですと、春の建議という形で文書を策定して、財政制度等審議会としての考え方を発出すると。それができればいいわけですけれども、今年に限ってはコロナの影響で、この春以降、財政制度等審議会、6月1日の1回、それから今日、2回目だったわけですけれども、実質的に議論ができていない状況の中で、起草委員会による起草、あるいは素案の議論を経て建議を策定するといったことが実質的に困難な状況であったという中で、増田分科会長代理とも御相談をいたしまして、会長談話という形で財審としての意見を発信しようということにしたわけであります。形は会長談話という形ではありますけれども、委員の皆様方の様々な意見をできるだけ広く酌み取った形にしたというふうに思っております。本格的な議論は、秋の建議策定に向けて引き続き行っていくことにしたいと思っております。

お読みいただいたと思いますけれども、簡単にポイントを申し上げますと、当面の財政運営に当たっては、新型コロナウイルス感染症拡大への対応、この対応について、国民の生命と経済社会を守ると、不安を解消すると、これを最優先にすべきというポイントが1点目。

その上で、今後は、経済再生と財政健全化の両立がますます重い課題となると。その中で、ポストコロナの経済社会の変化を見据えながら、これまで以上にワイズスペンディング、選択と集中、これを徹底しながら経済・財政一体の改革を進めていく必要があるということを述べております。

それから、限られた資源の中で、真に国民が必要とするサービスに重点化をすると、選択と集中をしっかり行っていくと同時に、社会保障制度の給付と負担のアンバランス、これは前々から指摘していることですけれども、これを正していくと、この制度の持続可能性を確保するということ。

それから、現在、低金利環境があるわけですけれども、この低金利環境の継続をもう当然視、当然、これからはあるものだと、そういう見方をするのではなくて、やはり経済再生と財政健全化、この両立に向けて、歳出と歳入両面から不断な取組を進めていくと、その必要性をうたっているわけです。

私からの概要説明は以上であります。

〔幹事〕ありがとうございました。幹事社から、1点、お伺いしたいと思います。榊原会長に伺いたいのですけれども、今、会長談話について御紹介いただきましたけれど、改めてになりますけれども、財政健全化の観点から、特に重要で、強調したいポイントというのを改めてお願いいたします。

〔榊原分科会長〕今、申し上げたとおりですけれども、今般の新型コロナウイルス感染というのは極めて大きな課題ですので、まず、まず国民の生命を守る、経済社会を守る、不安を解消すると、これは最優先すべきということですけれども、ただ、その中でも財政規律というものは忘れてはいけないということですね。今般、そこにも書いてありますけれども、令和2年度の補正予算の歳出というのは160兆円を超えていると。それから、今まで言っていたPB、プライマリーバランスも、9.2兆円から、赤字から、今度は66兆円に拡大をするということですよね。令和2年度末の公債残高、964兆円と1,000兆円に近づいてきているという現実もあるわけで、これに目をそらせてはいけないということを強調しています。やらなきゃいけないことはもちろんやるのだけども、この実態から目をそらせてはいけないということですね。

それから、低金利環境だからいいのじゃないかという議論もありますけれども、やはりそれは天から与えられた永久に続くものじゃないのですよと、やはり財政健全化というのをしっかりと続けていく必要があるのだということを強調したつもりです。

〔幹事〕ありがとうございました。

各社さん、どうぞ、お願いします。

〔質問〕今日の議題にありましたフレームの見直しに関しまして、榊原会長御自身のちょっと考え方というか、どのように評価されているかをちょっと聞かせていただけたらと思います。

〔榊原分科会長〕はい。これ、各委員からの意見、増田分科会長代理から御紹介をしていただきましたけれども、私も、今般、このような見直しするということは本当に大事なことだと思っていますし、賛成しています。ただ、幾つかの改善の提案もありましたので、それを盛り込んだ上で、財務省で今後、改訂して、よりよい形で、このフレームの見直しというのを進めていただきたいなというふうに思っています。新しい財政健全化に向けて、一つの重要なステップだというふうに思っております。

〔質問〕会長に伺いたのですが、改めて、今回、会長談話、例えば出さないということも考えられたのではないのかなとも思うのですが、出す意味合いと、あと例年の建議ではなく、会長談話にとどまることによる「骨太」なり、予算編成に向けての影響みたいなところを教えてください。

〔榊原分科会長〕先ほど説明したとおり、本来であれば春の建議に向けてしっかりと議論を重ねて、今、おっしゃったような「骨太」、あるいは予算編成に向けての建議をしたかったわけですけれども、これは実質的にできない状況であったと。ただ、そういった中で、財審としてもサイレントのままで過ごすわけにはいかないということで、できるだけ皆様、委員の方々の意見を凝縮した形で、これは会長談話という形にせざるを得なかったわけですけれども、しっかりと財政としての意見を表明するということが必要だと考えたわけです。

この談話は、今日、承認いただきましたので、財務大臣には事務方のほうから御説明していただくことになっています。それを受けて、大臣としても、明日、閣議があると聞いていますけれども、そういったことを受けて活用していただけるんじゃないかなと思っていますし、この考え方というのも、当然、具体的な内容というのではなくて、こういった考え方というのは「骨太」にも何らかの形で反映されるだろうという期待を持っているところです。

〔質問〕榊原会長にお尋ねしたいのですが、この今日の談話にも書いていただいているとおり、先ほどもおっしゃられたように、補正予算でかなり財政状況というのは、急激に悪化しているという御認識だと思うのですけれども、そうした中で、政府とか与党の中でも財政健全化とか財政に関する議論というのが、この間、あまりなかったように見受けられるのですけれども、会長は、そこら辺、どのように認識されていますしょうか。

〔榊原分科会長〕今は、こういう、まさに国難ですし、国民の健康、命に関わる極めて深刻な事態ですから、まず国としてなすべきことは、国民の健康、命を守る、それから生活を守るということに優先すべきと、これはもう間違いないと思います。ただ、我々は我々の立場で、それはやらなきゃいけないけれども、財政健全化ということを忘れないでくださいよと、財政規律は忘れないでくださいよということを警鐘というか、言うことが我々の立場だと思います。ただ、今、やることは、財政健全化の見直しをするとかいう議論じゃなくて、まず、このコロナに対してしっかりと国で対応すると。まだまだ、これで収束したわけじゃありませんので、やっぱりそれを第一優先にすべきだと、これはもう間違いないと思います。ただ、絶対に財政健全化のことは、財政規律については絶えず理解をし続けていただきたいと、忘れずに頭にとどめていただきたいと。それを言うのは、財政制度等審議会の責務だと思います。そういった趣旨で、今回、私の談話を発出させていただいたわけです。

〔質問〕ありがとうございます。

〔質問〕今の質問ともかぶるところもあると思うのですが、こういう財政状況から目をそむけてはならないというコメントが入っているのですけど、実際に議論がなくて、もうどれぐらい歳出を吹かしても構わないとか、国債を幾ら発行しても構わないというような、その楽観論的な議論が非常に強くなっていることに対する危機感みたいなものが、この談話なり、フレームの問題なりにつながっているのかどうかというところを伺えればと思います。

〔榊原分科会長〕先ほどから申しているとおりで、今の規模が大き過ぎるとか、小さ過ぎるとか、そういう議論じゃなくて、今は、とにかく一番大事なことは、今の状況を何とかして克服する、国民の命を守る、健康を守る、それから生活を守るということが最優先だと思うのですね。それに対する予想規模が大きいとか、小さいとかいう議論というのは、今、すべきではないと、しっかりした対応をすべきだと。ただ、何度も言いますけれども、財政規律というのは必ず心にとどめてくださいよということを、我々は警鐘を鳴らしたということです。

〔質問〕併せて、国債の処理の仕方、例えば増税なり何なりで、どのように負担を求めていくとか、その辺の具体的な議論というのはどの辺りで始めていくべきだと。

〔榊原分科会長〕それは、これからだと思います。今、その対応をしているときに、その議論をするときではないと思います。ただ、それは必ずしなきゃいけないし、しっかりした対応をもちろんしていかなきゃいけないと思っています。

〔幹事〕ほか、皆様、いかがでしょうか。

ないようなので、これで終わります。ありがとうございました。

〔榊原分科会長〕はい、ありがとうございました。

〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございました。