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財政制度分科会(令和元年11月1日開催)記者会見の模様

〔増田分科会長代理〕すみません、お待たせをいたしました。

これから、本日、10時から開催をいたしました財政制度分科会の内容についてご説明をしたいと思います。

本日の議題は、社会保障のうちの医療、そして文教・科学技術、この2つであります。事務局から説明をしていただきまして、その後、質疑を行いました。内容については、これからご紹介いたします。

なお、次回は、11月6日、15時から、テーマは地方財政と有識者からのヒアリングを予定しております。最近、民間のシンクタンクから、財政の長期推計などについて扱っているレポートが発表されておりますので、有識者のヒアリングといいますのはそちらの関係をヒアリングするということであります。

それでは、本日の議論の内容について、先に医療、そして、その後、文教・科学技術と、こういう順番でご説明をしていきたいと思います。委員の個人名は伏せて紹介いたします。

初めに、医療について、順次、申し上げていきます。最初の委員ですが、今回の内容で受診時の定額負担の話がございますが、これについては賛成であると。多数回の受診は、働く方の生産性にも悪影響を与えるし、医療機関、医師への負担も相当なものになると、そういう意見であります。

次の方の意見ですが、その方の発言内容をそのまま伝えますと、後期高齢者の窓口負担については負担能力に応じた負担としていくことが重要と、負担能力に応じた負担ということを強調した意見であります。

次の委員の意見です。この方は、アメリカとの比較で、日本は長寿命化が進んでいますが、アメリカの平均寿命が最近の3年間で0.3歳、実は短くなったそうであります。アメリカの医療費というのは3.5兆ドルと大変多額であって、アメリカの実態を見ると、お金をかけたとしても必ずしも健康になるとは限らないと、こういうお話でありました。日本の医療費がどんどん膨れ上がっているということについて、アメリカの実例との比較ということで、そんな意見を言っておりました。

それから、次の方の意見です。本日の資料の4ページに、制度改革の視点ということで大きな方向性が書いてありますが、そこに書いたような制度改革の方向性をぜひ進めていってほしいと、全体としてはそういうことに賛成であると。そして、特に新たに75歳になる人の自己負担割合を2割維持するという関係ですが、これはもう先送りはできないと、団塊世代が2022年から後期高齢者入りするということを踏まえると、もはやこの問題は先送りできないのではないか。それから、診療報酬改定については、改定率に着目するだけではなくて、資源配分のめり張りづけのような中身の議論も、今後、丁寧にしていくべきと、こういう意見であります。

次の方の意見です。医療費の増加について、仕方がないということではなくて、バジェットがまずあって、その中で何に幾ら充当するか、何を選んで、何を諦めるのか、そういうことについてきちんと検証していくことが重要だと、こういう意見であります。

それから、次の方の意見です。この方の意見は、全世代型社会保障の改革の議論が今、進められていますが、その中で、若い世代の負担を抑制するということが鍵となるのではないかと。新たに75歳になる患者の2割負担を維持するということや、現役並み所得の判定基準の見直しについては重要性が高くて、これについては早期に実行すべきという意見です。それから、この方はもう一つ言っておりまして、医療法人が事業報告書を都道府県に提出しているわけですが、これを活用してより厳密に経営状況の分析をしていく、そういう取り組みが重要だという意見です。

それから、次の方の意見です。この方、高額医療のあり方について、費用対効果をよく見て線引きをしていく必要があるという意見。それから、もう一つ言っておりまして、大きなリスクは共助、小さなリスクは自助ということを本日の資料の中でも強調しているわけですが、こういう考え方は重要であると、こういう意見でした。

それから、次の方の意見です。この方の意見は、保険制度が大きなリスクをカバーしていくためのものとして受診時の定額負担をぜひ導入すべきと。それから、もう一つ診療報酬については、本体部分の抑制に手をつけるべきと。さらに、この方は、3つ目の意見として、地域医療構想を通じた病院の効率化を着実に実施していくべきと、こういう意見です。

それから、次の方の意見です。受診時の定額負担は、負担を増やすというものではなくて、給付の中身を見直すという観点で必要な改革であるというふうに考えるべきではないかという意見であります。

それから、次の方の意見です。新たに75歳以上になる高齢者の2割負担について、世間一般の理解は多分、窓口負担が2割負担に引き上がると理解している人が多いのではないか。そうではなくて、一人一人の個人で見れば負担が増えるという人はいなくて、74歳の人が75歳に新たになったときに、それまでの負担がずっと続くということで、個人で見れば負担が増えるということではない、そういう点をきちんと説明することが重要ではないかということです。それから、もう一つ言っておりまして、受診時の定額負担は大きなリスクのときに支えてもらうためにあるのだということを丁寧に説明する必要がありますということ。それから、もう一つ。薬剤の保険給付範囲の見直しは、給付の中身を適正化するという観点からきちんと進めていくべきと、こういう意見です。

それから、次の方の意見ですが、この方は地域医療構想の関係ですが、過剰な急性期病床の削減が重要である。そして、地域医療の切り捨てというようなことではなくて、地域に必要とされる医療を提供していけば、医療機関も黒字になるなど結果はついてくるし、最終的には医療費の増加傾向にも歯どめがかかる、そういうことできちんと地域医療構想の実現に取り組むべきという意見です。

それから、次の方の意見です。この方は、診療報酬の関係で、診療報酬本体のマイナス改定を今回はきちんと実現すべきと。それで、特に薬価のマイナスで帳尻を合わせるのではなく、これは前回とか、前々々回ですかね、この方の発言をそのまま言えば、薬価のマイナスで帳尻を合わせるのではなくて本体の抑制にきっちり取り組むべき、という意見でありました。

それから、次の方の意見ですが、この方は国民健康保険の保険者努力支援制度について、見える化という観点から、都道府県レベルだけではなくて市町村ごとの点数の状況を、それぞれの指標ごとにきちんと公表すべき、見える化を推進すべきと、こういう意見でありました。

それから、次の方の意見です。この方、医療法人の収益性についてですが、収益率の比較グラフについて、病院や診療所の収益はもっと高いのではという研究者の指摘もあると。そういうことで、特に研究者が、さまざまな医療機関のデータをホームページ等で公開して、それをもっと使いやすくするような制度にしてもらえないかと。医療機関のデータを請求に基づいて研究者が見るということではなくて、もっとホームページ等で広く公開していくべきという意見でありました。

それから、次の方の意見ですが、この方は、国民皆保険制度を、我々は当たり前と思っているのですが、これは国際的に見れば非常にありがたい制度であって、これを今後、どう維持していくか、どう持続可能なものにしていくかと、こういう観点が必要だという意見です。

次の方の意見ですが、病床の認可に関する都道府県知事の権限の実効性の担保をもっとしっかり議論すべきという意見。それから、地域医療介護総合確保基金について、今、900億円をもとにしているんですが、きちんと病床の再編に使われているのか、その検証が必要であるということです。この方のもう一つの意見として、世代間の不公平の問題というのは、負担の構造だけではなく、高齢者の1人当たり医療費91万円をどう抑制するかという問題を、まず考えていくことが重要であろうという意見でした。

それから、次の方の意見です。この方は、大きなリスクは共助、小さなリスクは自助で対応すると、こういう理念は共有できると、重要な考え方だということをおっしゃっています。

それから、次の方の意見ですが、この方は、法定外一般会計繰り入れについては早期に解消と本日の資料に記載があるのですが、その達成期限をきちんと示す必要があるのではないかと、こういう意見でした。

医療については以上であったと思っています。

次に、文教・科学技術についてです。

まず、最初の委員の方ですが、この方は文化について、ある程度予算をこちらにつけていくことも必要ですが、中身の精査を行って、インセンティブをつけた上で、閉塞感を打破していくことが大事ということです。

それから、次の委員の意見です。こちらは教員の話について、若手研究者の支援が重要で、特に事務負担の軽減ということが重要ではないかという意見でした。

それから、次の委員の方ですが、事務局で提示した資料の全体の改革の方向性には賛成であると。一方で、情報開示や効果を把握する指標の整備が進んでおらず、これが重要であると。特に教育分野はこういったことが遅れているというコメントがありました。それから、この委員は、大学改革について、新たな相対評価が機能し始めていて、これを着実に進めていくべきということです。それから、もう一つ、この方は言っておりまして、国立大学については、令和4年度の国立大学の第4期の中期目標期間に向けて抜本的な見直しが必要であり、情報開示や評価制度の改善をさらに進めていく必要があるという意見です。

それから、次の委員の方ですが、この方は、今の教育に危機感を持っていると。ICT整備はもう必須なのですが、これは自治体を動かしていく必要があり、うまく自治体に理解してもらって実際に使える形でやってほしいと。それから、もう一つ、大学改革を何年もやってきているが、成果が十分に上がっているのか。そういう意味では、評価の上での、その評価に基づく重点支援というものを徹底することが重要ではないかという意見でした。

それから、次の委員の方です。この方は、教育というのは将来の人材を育成にするという、まさに未来への投資であると。ICTは不可欠であるが、ハード、それからソフトインフラの双方が必要であるし、さらには人材インフラも一体的にそろえなければ、きちんとしたICTが回っていかないという意見です。

それから、次の委員の方ですが、科学技術について、国費というのは民間の呼び水であって、民間ではできない基礎研究の分野、あるいは戦略的な分野への集中、こういった観点から予算編成に臨んでほしいと、こういう意見です。

それから、次の方の意見ですけれども、日本の博物館について、自己収入というのは非常に少ない一方で、特別展で高い入場料を設定して、そこでお客様が来るという場合もあると。要は、付加価値を高めた展示をするということが大事であって、そういうことを行った上で入場者数を増やす。さらには博物館自体に対して広く寄附を募って、寄附を増やしていくということが重要ではないかという意見です。

それから、最後の方の意見です。ICTの重要性を否定するわけではないのですが、なぜこんなにお金がかかっているのか、この点について十分精査をして、執行できているのかどうかを確認することが重要であると、こういう意見でした。

最初に、社会保障のうちの医療、あとは文教・科学技術ということで、中身がかなり盛りだくさんでございましたので、今、概略、説明いたしましたが、10時から始まって、ちょっと時間超過して12時10分ぐらいまで行っておりました。

私のほうからのは以上でございます。

〔幹事〕ありがとうございます。社会保障の議論が2回終わりまして政府の全世代型社会保障検討会議がこれから開催されていくと思うのですけれども、財審の議論とどうつなげていくかというお考えはありますでしょうか。

〔増田分科会長代理〕全世代型社会保障検討会議は、まだ1回しか開かれていないのですが、その1回目の会議のときにも、やはり給付と負担の話が重要であるとか、あるいは負担増などのことをはっきりとおっしゃった委員の人たちもいますので、今後、当然その問題が全世代型社会保障検討会議のほうで論点になると思っております。私も、給付と負担の関係は大きな論点になると申し上げていますので、全世代型社会保障検討会議の議題の中でやはりきちんと議論していかなければいけないと思っています。

〔幹事〕ありがとうございます。

各社さん、質問あればお願いします。

〔質問〕これまで負担の見直しというのは、長年、議論しながら、今回もテーマに上がって、わりと皆さん、負担、これからは必要だということをおっしゃっているのですけれども、やはりタイミングとして、もう皆さんも待ったなしというか、さらに今まで以上に危機感が募っているというような印象だったのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕全体としては、制度を持続可能にするために、さまざまなことをやらなくてはいけないのですが、先ほどご紹介したように、例えば75歳以上に新たになる方に対して、やはり2割負担ということが必要であって、そのときに何か誤解で、新たに負担が上がるというよりも、個人、一人一人を見れば従来と同じ負担が継続される形になると、そういう説明をきちんと尽くした上で理解をいただくようにというような意見も出ましたので、やはり負担を増やしていくということについて、皆さん方全体の形の中では、そういうことの理解をきちんと求めていくべきというような意見が支配的だったのではないかと思います。

もちろん、一方で診療報酬の問題、特にマイナス改定を言っていますが、診療報酬本体について切り込んでいくべきというようなお話もございましたので、多様なものを、どれもやっていかなくてはいけないというふうには思っておりますが、やはり社会保障をどう持続可能にしていくかという観点で、私も多様な面、給付をどういうふうに見直しをしていくか、それから負担についてもどういうのが適正なのか、公平性をどうやって担保していくか、さまざまな角度からの議論をしなければいけないと改めて思っています。

〔質問〕やはり負担となると、国民にとっては耳が痛い話になりますけれども、今もおっしゃったように、言い方であったり、伝える目線を工夫しながらということですか。

〔増田分科会長代理〕そうですね。単なる言い方でするというよりは、正確に理解をしていただくこと、そのことがどういうふうにつながっていくのかということを、やはりそこはもう繰り返し丁寧に明らかにしていく必要があるという意見だったと思うのですよね。ある委員の方は、先ほどもちょっと紹介しましたけれども、全世代型社会保障で、全体としては若い人たちに対してどう対応できているかということについて、今、新たに、若い人たちに給付をさらに増やすというのはなかなか難しくて、もう幼保の無償化なども行っています。そうすると、一方で若い世代に対しては、どうやって負担を下げていくのかということを考えると、やはり年齢の高い方々に対して適正な負担を求めていくということになるので、新たに75歳以上になる方の負担を従来どおりの形で維持するということは、結局は若い人たち、次の世代に対してどう効いてくるかということを、きちんと言っていかなくてはいけない、というご指摘が本日ありました。やはりもっと大局観を持った説明が必要なのかなと、そういうご指摘だったと思いますが。

〔質問〕あと、もう一点、先ほど全世代型社会保障検討会議の話ありましたけれども、増田分科会長代理も委員として出られていますが、本日出たような、なるべく全て実現するような気持ちで臨むのか、それとも、どれか一つでもできればというぐらいの意気込みなのか。

〔増田分科会長代理〕あちらのほうの議論は、まだ全く深まっていないのでこれからですが、基本はやはり大事な問題で、それぞれのいろいろな立場で、私も社会保障審議会なんかの立場で入っていますけれども、やはり結局は背後に大勢の国民の方がいらっしゃって、そういう方々にどれだけご理解いただけるかという問題ですから、やはり本日あったような議論全体を通じて、全世代型社会保障検討会議ではバランスよく議論ができればなというふうに思っていますが。

〔質問〕ありがとうございます。

〔質問〕医療についてなんですけれども、先ほど委員からの意見として、診療報酬本体の抑制に注力すべきですとか、本体のマイナス改定を進めるべきだという意見があったということなのですけれども、資料1の9ページの上の四角の1つ目の丸の最後のほうに、「診療報酬改定において2年間で▲2%半ば以上のマイナス改定とする必要」とあるんですけれども、これについては、診療報酬本体のことを言っているのか、診療報酬全体のことを言っているのか、どちらなんでしょう。

〔増田分科会長代理〕これは診療報酬全体についてです。

〔質問〕全体について。

〔増田分科会長代理〕はい。

〔質問〕ありがとうございます。

〔質問〕診療報酬に関してなんですが、今回、財審として診療報酬、薬価で帳尻合わせという話もありましたが、本体まで切り込んでマイナス改定を行うというような方向で今回は一致されたのでしょうか、そのあたりの見解を教えてください。

〔増田分科会長代理〕本日は、非常に多くの方がいろいろご発言されたので、財審として、そこのところは、建議を議論するときに最終的に取りまとめをするという形になっています。ただ、本日の皆さんのご発言を聞いておりますと、全体としてマイナス改定であるし、それから本体についてももっと切り込むべきということについて、それ以外の意見をおっしゃっている方はいなかったという状況です。

〔質問〕高齢者の1割、2割負担についてなんですけれども、春の財審の資料では、既に75歳になっている人も数年かけて段階的に引き上げるべきというような記載もあったと思うのですが、今回は、現在1割負担となっているものの、負担の引き上げではないという記載に、一部、文言の修正のようなものが見られますけれども、ちょっとこの議論の変遷についてお伺いできますでしょうか。

〔主計官〕今回、より差し迫った話だというのは、本日の委員からもいただいておりますけれども、事務局から提出した資料においても、現実的なアプローチとしてしっかり政策に具体化していくということで書いておりますので、今回、一人一人にとって負担になる引き上げではないというようなアプローチを、事務局としても資料として提出させていただいたということであります。

〔増田分科会長代理〕全体のあれでは、75歳以上の人たちの負担について、やはりきちんと問題意識を持ってやらなくてはいけないということは、委員も皆さん持っていると思いますけれども、事務局の資料についての意図は、今のご説明のとおりということだと思います。

〔増田分科会長代理〕どうぞ。

〔質問〕受診時定額負担の議論の中で、ワンコインというのは例えば幾らぐらいがいいのかとか、そういった議論は、本日、あったのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕そういう具体的な数字の議論は、本日はありませんでした。

〔質問〕増田分科会長代理の中で、幾らぐらいとか、もしイメージがあれば。

〔増田分科会長代理〕イメージありません。実現するかどうかというのが、まず大事だと思いますが。

〔質問〕わかりました。

〔幹事〕各社さん、ありますでしょうか、ほかにないようですので、これで終わりにします。ありがとうございました。

〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございました。