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財政制度分科会(令和元年10月9日開催)記者会見の模様

(注)令和元年11 月14 日に厚生労働省「平成24年度児童手当の使途等に係る調査報告書」が修正されたことに伴い、令和元年10 月9 日財政制度等審議会 財政制度分科会配布資料「社会保障について①(総論、年金、介護、子ども・子育て)」を令和元年11月15日に修正しております。


〔増田分科会長代理〕 先ほど、財政制度等審議会財政制度分科会が終わりましたので、その内容についてお知らせをしたいと思います。

 本日の14時から16時まで、議事は社会保障について、事務局から説明の上、質疑を行い、社会保障の中で、総論と、それから年金、介護、子育て、の分野について議論しました。本日は、医療は取り扱っておりません。

 各委員からの主な意見などについて、私のほうから名前を伏せてご紹介をしたいと思います。

 まず、最初の委員の発言内容です。働き方が非常に多様化しており、中には、複数事業所で働く人も出てきているので、被用者保険の適用の在り方、いわゆる適用の拡大などについて、こうした働き方の多様化を踏まえて検討していく必要があるのではないかという意見です。

 次の委員の意見です。高所得者への児童手当特例給付、今回の資料にも入っておりますけれども、これについては特例給付ということで、区分けが960万円未満と960万円以上と分かれているわけですが、960万円という所得基準はかなり高いので、特例給付に係る財源は別のことに有効に使えるのではないかということです。こういったことについては見直しをしていくべきではないかという意見です。介護について、ケアマネジメントの関係です。介護保険制度導入から20年も経過しており、今、自己負担なしということになっているわけですが、この負担についても見直しをすべきということです。

 次の委員です。この方は、在職老齢年金の在り方は慎重に検討すべきということです。この後、ほかの委員の意見にも出てきますが、総じて言いますと、在職老齢年金制度の見直しについては、慎重な意見を申し述べる人が多かったというふうに私は思っております。

 今の方のもう一つの意見ですが、少子化対策について、長期的に見て仕組みの中身、あるいは制度設計を変えないような形にしていかないと、親が安心して子育てがなかなかできないので、長期に変えない仕組み、制度設計にすべきだという意見を述べております。

 次の委員ですが、この方は社会保障全般の給付と負担のバランス、この見直しを含めて改革を進めてほしいと。それから、社会保障の原理原則として、小さなリスクは自助で賄う、大きなリスクは皆で分かち合う、共助ということだと思いますが、そういう観点が重要であるという意見です。

 次の委員ですが、この方も在職老齢年金について、所得再分配への配慮が必要であって、もし中身を見直すのであれば、公的年金等控除、それからクローバックも含めた検討が必要であるということです。私は、この人の意見を聞いていて、慎重なというニュアンスだったと思っております。

 それから、介護についてですが、ケアマネジメント、1割自己負担のような話があるわけですが、今、社会保障審議会の介護保険部会でも多くの意見が賛成なので、やはり負担を入れると、改革を実施すべきと、こういう話をしていました。

 次の委員です。この方は財政支出、その中で非常に多く社会保障が占めているわけですが、財政支出の質を、中身をきちんと担保していくべきだという意見を言っております。あわせて、高齢者の中で、1割負担で利用する人と伸びゆく保険料を支払う者との、いわゆる世代内ギャップも重要な観点ではないかということを指摘しておりました。

 次の委員は、政府全体で多様な働き方を認めていく方向性には賛成であると。被用者保険の適用拡大の話ですけれども、500人以下の中小企業は負担が大きいという意見も一方であるけれども、全世代で支えていくという観点では、この適用拡大は重要であるという意見です。在職老齢年金についてですが、65歳以上について見直しをすれば、賦課方式を前提にすると現役世代の納得を得られない可能性が高いのではないかと、こういう意見でありました。

 次の委員の意見です。この人も、まず在職老齢年金について、今の決められたところより高い所得のある人は年金が減るからといって就労しなくなるのか、そこの因果関係がはっきりしないという意見を言っておりました。

 次の方の意見ですが、この方は社会保障改革全般については給付と負担の話に尽きると思うと、やはり改革はもう今やらなければいけないのではないかということを言っております。

 それから、同じくこの方は在職老齢年金の見直しについて、若い人も含めて、日本全体にとっていいことであると説明できないと納得されないのではないかという意見です。

 それから、もう一つ意見を言っておりまして、児童手当の特例給付の見直しについて、幼児教育無償化もある中で、もう見直していいのではないかと、こういう意見でした。

 次の方の意見ですけれども、総論についての意見ですが、支え手となる世代が、今、急激に減っていくわけで、経済的にもこういう世代は楽ではない。この現役世代に負担がかかるとどうなるか真剣に考える必要があって、今、社会保障制度の財源は全く賄い切れていないという状態をよく見ておく必要があるというのが意見の一つ。

 あと、もう一つ、年金の適用拡大について、中小企業の負担が増えるという意見が一方であるのはわかるけれども、やはり適用拡大というのはきちんと考えていく必要があるのではないかと、こういう意見でありました。

 それから、次の意見であります。社会保障改革について提案のあった全体の方向性については同感で、実効性がなるべく上がる施策を実施していくべきと、こういうことであります。それから、年金について、繰り上げ受給の実績に比べて繰り下げ受給の実績が少ないわけですが、今もらうよりも後でもらうほうが得をするというような、何かインセンティブづけをする必要があるのではないかと、こういう意見を述べておりました。

 それから、次の委員ですけれども、社会保障総論について、消費増税が実現したわけですが、まだ受益と負担のバランスがとれておらず、社会保障制度の持続可能性を高めていくことが今後の鍵であるという意見がありました。

 それから、この委員の方は、もう一つ、将来の持続可能性という観点からは、介護の利用者負担をもう少し上げていいのではないか。その際、利用頻度に応じて負担割合を幾つか設定するといったようなことなども考えていけるのではないかという話でございました。

 それから、次の方の意見です。この方は児童手当について、特例給付のところですけれども、主たる生計者という区切りが、今の時代に照らしてそもそも妥当なのかどうかという御意見を言っておりました。それから、子育て関係については、産みやすい、育てやすい、働きやすい社会をつくっていく必要があって、もっと明るいニュースを増やしていく必要があるという意見を言っております。若い人にも、繰り下げ受給で、一定年度、高齢まで働いて年金をもらうと、今の世代と同じ程度の所得代替率を確保することができる場合もあるということをきちんと周知する必要があると、そういう意見でありました。

 それから、次の方の意見ですけれども、介護というのは、いわゆる産業的に見ると成長している産業である一方で、その中身を見ると、なかなか生産性が上がってこないのはなぜなのか。抜本的な見直しが必要ではないかという話です。

 それから、次の委員ですけれども、財政健全化、社会保障の改革、いずれも待ったなしで、特に給付と負担のバランスが非常に重要な鍵であると。その中で、医療が非常に大きな問題でありますし、介護の中では利用者負担の問題が重要であるということです。

 それから、次の方です。この方は、サービス付き高齢者住宅について、サービスの提供について大分偏りがあるというか、利用量、利用頻度が非常に高いのはおかしいので、限度いっぱい使うような格好になってはおかしいので、きめ細かく対応できるような制度にする必要があるのではないか。

あと、介護について重視すべきはやはり都道府県の役割であって、都道府県の役割をもっと前面に押し出していくべきではないかという意見でした。

 総じて、今、申し上げましたようなところが審議会の中で出た意見だったかと思います。

 私からは以上であります。

〔幹事〕 幹事から、1点、質問があります。今、各委員の意見をご説明いただきましたけれども、これを踏まえて答申になったときに、年金、介護、子育てについてどういう方向性を打ち出していくというように、今の時点で考えていらっしゃいますでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 分科会としては、本日、事務局のペーパーをベースにして議論して、広く意見をもらって、ニュアンスが委員によってもちろん差がありますし、考え方も違う部分があるのですが、本日は第一読というか、広く意見を伺うという感じなので、どういう建議になるかというのはまだ言えない状況です。ただ、例えば在職老齢年金などが一つ注目点ではあると思うのですが、それについては本日の中でも、見直しについても慎重なスタンスでおっしゃる方が多かったです。それから総論的な話としても、やはり給付と負担のバランスをもっときちんととっていくべきではないかといった意見も多かったです。財審ですので、財政健全化を図るということが皆さん方の頭にあると思うのですが、社会保障の持続可能性を高めていく、その中でも、給付と負担のバランスを十分とっていくべきという発言をされた方が多かったと思っています。

 また今後いろいろ委員の皆さん方からも意見が出てくると思いますし、そういった場での意見などを踏まえて、財審としての秋のスタンスは決めていきたいと思います。

〔幹事〕 ありがとうございました。

 では、各社さん、どうぞ。

〔質問〕 本日の中で、年金の繰り下げ受給の柔軟化、70歳以降にもという話は、一応、資料では出ているのですが、このことに関しては何か。

〔増田分科会長代理〕 特に、本日の年金の中でそれを取り上げたような議論はなかったですが、繰り下げがやはり非常に少ないという問題意識は、先ほど委員の意見の紹介の中でも何かインセンティブづけが必要ではないかということを紹介しましたけれども、それについて、70歳以降まで延ばすことについて直接触れた意見は、なかったように思っています。繰り下げ受給、幅をそれぞれのご本人の働き方とか、意思を尊重しつつ、柔軟にしていくというところについては、おそらく違和感を申し上げた人はいなかったと私は思います。

〔質問〕 ありがとうございます。

〔質問〕 増田分科会長代理は、全世代型社会保障検討会議のメンバーにも入っていらっしゃいますけれども、この財審で出た議論をどのように向こうにつなげていくお考えでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 前回、第1回目の全世代型社会保障検討会議があったときに、給付と負担のバランスが、全世代型社会保障検討会議の場でも、あるいは社会保障全般を考える上でも大きな論点になるということは話してあります。全世代型社会保障検討会議、それから、こちらの財審と分けて考えるわけではなくて、政府としても全体として、いろいろな会議の機能それぞれを使ってまとめていくということにはなると思います。一方で、こちらは財政規律をうんと重要だと考える審議会でもありますけれども、やはり私は社会保障全般をよくしていく上では、どうしても今までの社会保障制度全般の中で財政がなかなか追いついていけなくて、大変苦労してきたというところもありますので、そういう今までの社会保障制度が抱えていた課題を十分理解しながら全世代型社会保障検討会議のほうで発言をしていきたいというふうに思っています。まだ、第2回目以降、どういうように全世代型社会保障検討会議の中で問題を提起していくかというのは、まだ十分に私自身も詰め切れていませんので、財審での議論と向こうのほうとどういうようにマッチさせていくか、私自身ももっとよくこれから考えていきたいというふうに思います。

〔質問〕 その際に、在職老齢年金については、多分、向こうでも論点になるところかと思うのですけれども、その場合、本日は慎重な意見が多かったということですが。

〔増田分科会長代理〕 こっちはそうでしたね。

〔質問〕 例えば、折衷案のような形で、こういう制度はどうだろうとか、具体的な提案をされる可能性もあるということでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 私自身がどうのこうのというより、向こうのほうでどういう議論をするかということで、在職老齢年金というのは、議論する場が、厚生労働省の社会保障審議会と財審でのいろいろな見直しの議論とがあり、どういうふうに考えるかという議論があると思うのですが、率直に言うと、私は、ほかの委員がどう考えているか、まだよくわからないので、全世代型社会保障検討会議の中で、まだまだ皆さん、そのことについてどうだということを言われているわけではないです。やはり支え手をうんと増やすということも一方ですごく重要な形で、現実に、いわゆる健康寿命的なものがどんどん伸びて、私の周りを見ても元気な、今までで言うといわゆるお年寄りだけれども、元気な人がうんと増えてきて、まさに現役世代そのものではないかと思う人もうんと増えていますので、そういう社会実態をよく考えて、それに合った制度を考えていければと思っています。どういうふうな形になるかというのは、私自身もまだ、これから考えていくという段階です。

〔質問〕 全世代型社会保障検討会議との関係ですね。こちらから、どういう提案とか、提言とかできるかとか、そのあたり、本日、委員の方から、どういうことをしていったらいいかというところについて何か発言などはあったでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 本日は、特にそれに触れてはいなかったと思います。前回の財審で、大臣が来られたフリーディスカッションの場がありました。私もそうですが、大臣は全世代型社会保障検討会議と両方のメンバーであるわけですので、そこでは、官邸で全世代型社会保障検討会議が立ち上がったけれどもということで、やはりそういう社会保障の検討をしっかりやってくださいというようなご発言はありました。多くの人は、やはり財政健全化を議論する今回の秋に向けての建議の中で、社会保障というのは非常に大きな比重を占めている一方、全世代型社会保障検討会議が立ち上がっていますので、いろいろな思いはあると思うのですが、私は一言で言うと、給付と負担のバランスをどのように正していくかということで、皆さん考えておられるのではないかというふうに思います。そういうことは、もう前回の全世代型社会保障検討会議で、私、申し上げていますが、各論はこれからよく考えていきたいと思います。

〔質問〕 在職老齢年金の見直しに慎重な意見が目立ったということですけれども、出席された方々は何で慎重な意見という、その理由についてはどういう意見があったのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 エビデンスがはっきりしないということを言っている方が、比較的多かったというふうに思いますね。それから、やはり現役世代の納得を得られるのかということを触れられた方も何人かいらっしゃったと思います。

〔質問〕 その在職老齢年金の部分ですけれども、慎重というのは、年金検証とかでも緩和、基準額の緩和とか、廃止とか、いろいろな段階があると思うのですけれども、皆さんの慎重というのは廃止に対して慎重という意味なのか、それとも何かしらすること自体に対しての慎重という感じですか。

〔増田分科会長代理〕 本日の段階で、限られた時間での意見だったので、そこをはっきりと区分けして言っては、多くの方はいなかったように思うのですが、私の捉え方とすると、廃止を含む見直しについて、ニュアンス的には慎重な方が多かったのではないか。廃止は反対ですと、見直しだったらいいですと言った方も、そこまでいなかったような気もしますし、何か見直しがされるとすれば、先ほど言ったように現役世代に本当に納得感が得られるのかとか、じゃあ、そういった場合に財源をどういうふうにするのか、ということでしたので、今のご質問に対しては、そこまできちんと、廃止なのか、どういう見直しなのかは意識していませんでしたけれども、制度改正するのであれば、私、冒頭に言いましたように、発言の内容を聞くと、慎重に考えるべきということをおっしゃっていたのだと思います。

〔質問〕 本日は、ありがとうございました。本日の午前中に、自民党本部のほうの人生100年時代戦略本部のほうで、全世代型社会保障検討会議に連動して、日本医師会と医療関係の、関係団体のヒアリングがちょうど終わったところですけれども、やはり事後の記者ブリーフィングで木原事務局長代行がおっしゃっていたのは、財政のみの観点から給付と負担のバランスを議論すべきではないということで、やはりどうしても給付が減であったり、負担が増というのには、医療関係団体は抵抗感があるのかなという印象を受けたのですけれども、そういったことを踏まえて、財審として、今回、どういうふうな提言をされていきたいとお考えでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 まだ本日は、意見を一巡言ってもらったような形なので、医療の問題もこれから取り上げるので、そこが出てくると、全体の中での議論の様子がもう少しはっきりすると思いますが、私も、給付を切る、あるいは本人負担を上げるだけではなくて、もっと多様な観点で考えていく必要があって、それだけ社会保障は一人一人の、ある種、人生そのものにかかわってくる話で、置かれている状況によってもすごく違いますので、医師会は医師会の観点で、歯科医師会は歯科医師会の観点で言っていると思うのですが、やはりこれ自身は国民的な議論でやっていかなければいけない。

 この問題は国民の関心も高いし、非常にデリケートな問題でもあるし、慎重に扱わなくてはいけないので、多様な観点をやはり入れていかなくてはいけない。世代間によっても受けとめ方がやはり違ってくる。みんな次世代のためという思いはおそらく一緒ですが、そこの内容が大きく異なるというふうに思っています。ですから、おそらくそういうことを含めて、党での議論も非常に重要だと私は思いますし、役所だけで到底やり切れる話ではなくて、やはり政治がそこに十二分に関わっていかないといけないと思いますが、ちょっとまだ向こうのほうでどういう意見が出されていたかとかいうこと、よくわかりませんけれども、したがって、できるだけ多様な意見を財審として汲み取る。あるいは、我々も、ほかのところでどういう意見が交わされているとか、どういう人たちが、どういうことを言っているか。自民党の場で交わされた意見がどういうことなのか、ということは、アンテナを高くして見て、財審のほうでも議論していかなければいけないのではないかなというふうに思います。

〔幹事〕 では、ありがとうございました。

〔増田分科会長代理〕 それでは、お疲れさまでした。