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財政制度分科会(平成31年度4月23日開催)記者会見の模様

平成31年4月23日
財政制度等審議会 財政制度分科会


 
〔増田分科会長代理〕 それでは、財政制度分科会に関する記者会見、議論の内容を御紹介いたします。

 本日10時から、先ほどまで行っておりました。テーマは社会保障であります。お配りの資料に基づいて事務方から説明をして、その後、質疑とさせていただきます。

 質疑の内容について、御説明したいと思います。個人名は省略しており、発言順に出てくるので順不同でありますが、よろしくお願いします。

 最初の委員ですが、社会保障について国民に広く論点を知らせるのが重要であると。本日、論点を全部カバーしたような形になっていましたので、まずはそういう話。それから、ケアマネジメントについて、利用者負担を設けて、そのもとで質の向上に努めるべきということです。あと、最後のほうで在職老齢年金について記述してありますけれども、高齢者の就労の障害になっているのかどうかのエビデンスが必要であると。見直す場合には、公平の観点から、年金課税の強化、クローバックを同時に行う必要があるという意見であります。

 次の委員ですが、歳出削減のためには社会保障に真正面から立ち向かっていかなければならないということ。それから、世代間のバランスについて、お年寄りにもう少し頑張ってもらえないか、受益と負担について、能力のある人にもう少し頑張ってもらえないかなどというように、コンセプトを具体的な策につなげていくべきではないかという意見でありました。

 次の方ですけれども、高齢者の自己負担増については、高齢者の社会貢献という側面もあるのではないか、こういう形で理解をもらったらよいのではないかという意見。それからもう1つ、要介護の段階を低くすることへの個人におけるインセンティブがないので、こういう視点も必要ではないかという意見であります。

 次の委員ですが、社会保障改革はどうしても暗い話になりやすいので受け入れてもらいづらいと。そのため、明るい話も入れながら、しっかりと歳出改革を行う必要があるという意見です。

 次の委員でありますが、今回の資料全体を通して、改革の全体の方向性は正しいのではないか。社会保障の改革は暗いと捉えられがちだが、しかし一方で、今のままでは持続可能ではなくなると。結局、船が沈んで困るのは国民一人一人であって、改革は必ずしも暗い話ではなく、持続可能にするための話だと理解していただく必要がある。それから、地域医療構想についての進捗状況を説明した資料がありますが、それを見て、県単位の改革が必ずしも進んでいないという点について、各県任せというより、政府がその点の改善に乗り出すべきだという意見であります。

 次の委員の方ですが、社会保障改革の意味をいかに伝えるかという点について、国民に不公平感があるので、そういう不公平感が出ないように資産をどう捕捉するかといった点について、もっと工夫する必要があるのではないかということであります。

 次の委員でありますが、この方は調剤薬局の関係について取り上げていまして、全国で調剤薬局がコンビニより多い現状で、対物よりも対人関係を調剤師に求めていったらどうかという考え方に賛成すると、このように言っていました。

 次の委員ですが、調剤の負担額設定についても、投与日数に応じて金額が上がることになっていますが、過去の時代を前提としていて、今の経理システムにうまく合っていないのではないか、そこを今の経理システムに合わせることが重要だという意見であります。

 次の意見の方であります。この方も、国民に情報開示をするに当たって、分かりやすい例えで伝えていく必要があるということを言っております。例えば、資料16ページのOECD諸国と我が国との比較で、天の川のような大きな線があって、そこに各国がプロットされている図があるのですが、彼があの図を外部で説明する際には、国民負担率と一般政府の社会保障支出の両方の諸元で比較しているのですけれども、例えばフランスやデンマークは、天の川の中で右側の上のほうにありますが、これは比較的高い水準になっていますので、いわば銀座のレストランでフランス料理を食べている。それから、韓国は、天の川の中に入っていますが、左側のずっと下のほうにあるので新橋の牛丼屋で食べている、そういう例えだと。日本は、天の川から外れて上側のほうにずっとずれていますが、料亭で、しかも支払いはツケで食べていて、子や孫の世代にツケ回しをしていると、そんな表現をしています、ということを例えとして言っておりました。とにかく、言わんとする趣旨は、国民一人一人に分かりやすい例えが必要だということでありました。

 次の委員でありますが、この方も時間軸を持って考える必要があると。全体の改革の方向性とかメニューについて賛成であって、では、どうやって実現していくかということで、やはり優先順位としては、後期高齢者の自己負担率引上げの早期実施が高く、そこをどういうふうに実現していくかを、よく考えていくべきだということであります。

 次の方ですが、この方は制度論についての考え方は賛成であって、さらにITの導入やAIの活用等によっての生産性向上という観点も重要だという意見であります。

 次の委員ですが、社会保障の制度、医療、介護については能力に応じた負担とするべきということは、皆、総論的には分かるのですが、やはりそれなりの心の準備が必要なので、今回の建議、議論で改革の意義と理由をきちんと伝えることが重要であるということであります。

 次の委員でありますが、この方は、医療を取り上げまして、医療のダウンサイジングの議論が十分進んでいないと。インセンティブ付けの改革や、保健者機能を発揮させる取組、それから法定外繰入の問題などについて、供給体制の改革がないと、結局、他の改革が進まない。これは、地域医療構想等で病床数の削減を行うことになっているのですが、なかなか十分に進んでいないので、いわゆるダウンサイジングの議論が進んでいないと、こういう意見を言っておりました。

 次の委員の方ですが、今回の資料の中で、リスクが大きい場合、リスクが小さい場合ということで医療制度の説明があったわけですが、リスクの大小にかかわらず、すなわち小さなリスクでも自己負担を引き上げていく必要があるのではないかという意見であります。

 次の方ですが、社会保障支出と国民負担率の関係を示した図の中に各国がプロットされている議論ですけれども、結局は国民全体の負担を国民で上げていくしかないということを国民の皆様方に伝え、理解してもらうことが重要だという意見であります。

 次の方の意見ですが、小さいリスクは自助、大きいリスクは共助という考え方については、国民は総論としては納得すると思うが、自分のこととして置き換えると、まだ議論し尽くされていないという感覚を持つのではないか。やはり国民的な議論を活性化すべきという意見であります。

 次の方の意見は、社会保障制度の持続可能性について、給付と負担の適正化を進める必要があると。それから、後期高齢者の窓口負担はしっかり引き上げるべきと。年齢ではなく能力に応じた負担としていくという考え方を前面に出していくべきと。本当に困っている人は、また別制度で、違う仕組みで救済していくべきと、こういう意見でありました。

 最後の方ですが、この方は、70歳を超えて働こうという人が大勢いると。したがって、このような人たちの就労インセンティブについて、もっとストレートに出していくべきということ。それから、在職年金についても、そうした観点から必要な見直しをしていくべきではないかということであります。

 議論の概要については以上であります。なお詳細については、後日、公表される議事録を御覧いただきたいと思います。

 私からは以上であります。

〔幹事〕 ありがとうございました。

目先の財源の話になってしまいますが、教育無償化の財源などに充てる消費税の増税ですが、最近、萩生田氏の発言もあり、先送り論がくすぶり続けているという現状があるかと思いますけれども、こうした状況に対しての警戒感とか、その辺りの話はありましたでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 本日の審議会の中で、今の点について触れる意見はありませんでした。私の意見ということになってしまうかもしれませんけれども、萩生田氏個人の意見だということを御本人が言っていることと、それから政府として、官房長官などによれば、予定どおりリーマン・ショック級の出来事がない限りは消費税率を引き上げるということですので、おそらく皆も、予定どおり政府として引上げに向けて準備を進めていくのだと理解していると思います。

〔幹事〕 分かりました。

消費税率10%から先への増税の必要性についての意見や議論はありましたでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 本日はそのような具体的な議論はありませんでした。社会保障が全体の財政構造の中で非常に大きな割合を占めているわけで、その中でのかなり根幹的な議論ではありましたけれども、ただ、10%後を意識した議論までは、本日はしておりません。

〔幹事〕 分かりました。

幹事社からは以上です。

〔質問〕 今の消費税の関係について、政府がリーマン・ショック級ということをずっと言い続けていることについて、どのように捉えていらっしゃるのか。ずっと言い続けていると、本当に上げるのかということが国民に浸透して、根づいてしまう気がするのですけれども、この辺りをどう捉えていらっしゃるか。

〔増田分科会長代理〕 本日、財審で議論していないので、これも私の個人かもしれませんけれども、さすが今回は上げるんだというふうに理解していますけどね。現実に、幼児教育ですとか、いろいろな形で、もう予算上、全部組み込まれて、それで準備も着々と進んでいるという実態がやはりあって、今、もう半年を切った段階ですから大混乱が起きますし、政府としての言い方のように、最後のリーマン・ショック級のことがあったときはさすがに上げないかもしれませんが、セービングクローズを政府でとっているのは知っていますし、そういうことをあえて言うことの是非もあるかもしれませんが、基本的には私はもう、今回は政府としてもきちんと引き上げるだろうと。

〔幹事〕 ほか、いかがでしょうか。

〔質問〕 本日、資料の中で出ている改革の方向性については、概ね異論はなかったということでしょうか。

〔増田分科会長代理〕   そうですね。皆様、何人かの方が、全体の改革の方向性については賛成ですと。さらにそれを補強する意味で、こういうことを十分に考えておくべきじゃないかと、そういう意見が大勢でありました。

〔質問〕 あと、先ほど御紹介いただいた御意見の中で、能力に応じた負担とかも言っていることは分かりますが、心の準備がなかなかできないとか、結論は納得でも個別に当てはめるとどうかとか、その辺りは今後どうやって埋めていくとかという議論はありましたでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 実は、今回の資料の中でも、全体の負担の考え方について、1人当たりに直して、置き換えた資料なども新たに入れてあります。一人一人の胸に、規模感でもすとんと落ちなくてはいけないということ、それからやはり、例えば高齢者が負担を納得するためには、やはり制度の持続可能性とかいうことをきちんと理解していただく必要があるので、今言ったような、1人当たりで見るとどのくらいの規模感になるのかとか、やはり分かりやすい資料にしていく必要があるのだろうなと。

 それから、前回も申し上げましたように、地方公聴会等、あれはもう大阪の1カ所だけですから、それがすぐに効果が出るというわけじゃないのですが、やはり国民の中にもっともっと入っていって、直接、いろいろ理解してもらうような試みを増やしていくとか、具体論でどうするかはこれからの議論になると思いますが、より分かりやすい説明に心がける、それから意味を多様にお伝えするということが必要だと思います。

私は、やはり、特に社会保障の分野について言いますと、例えば社会保障給付について見直しをして、より効率化を図るといったようなことで、制度について不公平感を持たれないように、きちんと一番効率化された体制の中で制度が実施されている状態に近づけていく必要があるので、やはり全体の制度を常に見直し、公平感を損なうことがないよう心がける必要があると思いました。

〔質問〕 改革のメニュー、非常にたくさんありますけれども、一部の委員の方がおっしゃっていたように、優先順位をつけてやっていくようなものなのか。それとも、全部書かれてある網羅的なパッケージとしてやっていくのか。この辺りのコンセンサスはどうなのでしょうか。

〔増田分科会長代理〕 本日は、コンセンサスづくりまで行きませんでしたけれども、例えば御紹介していきますと、ある方は、本日の資料の中で、まさに今、御質問されたような観点で、分量的にも医療のところが大分厚いですねと。ですから、やはり医療のところの改革に大分力点を置いていくのですね、やはりそういうメリハリとか優先順位づけが必要ですねということをおっしゃっていました。その方は、やはり医療からやっていくということが重要じゃないかという観点で、多分、そういうことを言われた。

どうしても、全体をとおしていろいろ目につくところを手直ししなくてはいけないということになるかもしれませんが、複数の方が、メリハリをきちんとつけていく必要があるということをおっしゃっていましたので、春の建議をまとめるところでは、やはりメリハリで優先順位が分かるような、そういうまとめ方をしていかないといけないいうふうに思います。

〔幹事〕 よろしいでしょうか。では、終わらせていただきます。ありがとうございました。

〔増田分科会長代理〕 はい、ありがとうございました。

(以上)