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財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録

令和7年6月25日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第

令和7年6月25日(水)15:00~16:51
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開会

  • 2.議題

    • 財政投融資分科会長互選について
    • 官民ファンドのフォローアップ等について
      • 質疑・応答
    • 財政融資資金等の実地監査について
      • 過疎対策事業債に関する取組状況について
        • 質疑・応答
  • 3.閉会

配付資料

議事次第

資料1-1 財政制度等審議会財政投融資分科会名簿
資料1-2 財政制度等審議会関係法令等
資料2-1 説明資料官民ファンド・フォローアップ等
資料2-2 改善計画の進捗状況

(国土交通省、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構)

資料2-3 投資計画等の進捗状況

(経済産業省、株式会社海外需要開拓支援機構)

資料2-4 投資計画等の進捗状況

(総務省、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構)

資料2-5 投資計画等の進捗状況

(農林水産省、株式会社農林漁業成長産業化支援機構)

資料2-6 これまでの活動の総括(株式会社INCJ)
資料3 財政融資資金等の実地監査について
資料4 過疎対策事業債に関する取組状況について
参考資料 特別会計に関する法律の一部を改正する法律について

出席者

分科会長

百合

窪田理財局長

森田審議官

吉住財政投融資総括課長

村松資金企画室長

天井財政投融資企画官

原井管理課長

横山計画官

伊藤計画官

土居丈朗

丸田健太郎

家森信善

渡辺

臨時委員

有吉尚哉

岡田章裕

西野和美

山内利夫


15時00分開会

〔吉住財政投融資総括課長〕それでは、予定の時間となりましたので、すみません、当方そろっていない者もございますけども、進めさせていただけたらというふうに考えております。

ただいまから、財政制度等審議会財政投融資分科会を開催いたします。

本日は、4月1日付で財務大臣より任命がありました委員の皆様によります初会合となります。分科会長選任までの間、事務局にて議事進行させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、議事に移ります。このたび財政投融資分科会の委員にご就任いただきました皆様は、資料1-1の名簿のとおりでございます。

ここで、新たに委員にご就任された方からご挨拶いただきたいと思います。

それでは、西野和美委員、お願いいたします。

〔西野委員〕一橋大学の西野でございます。所属は経営管理研究科でございまして、専門が経営学、経営戦略論、そして技術経営論になります。そして今は、副学長として広報・社会連携担当をしております。どうぞよろしくお願いいたします。

〔吉住財政投融資総括課長〕ありがとうございました。

このほか、小橋文子委員にもご就任いただいておりますが、本日は予定がつかないということで欠席されております。次回ご出席の際にご挨拶いただきたいというふうに考えております。

次に、財政制度等審議会令によりまして、分科会長の互選を行います。

分科会長の選任について、ご意見がございましたらお願いいたします。

丸田委員、お願いいたします。

〔丸田委員〕 丸田でございます。私としましては、やはりこれまでのご実績等を踏まえますと、引き続き翁委員に分科会長をお務めいただくのが適切と考えております。

〔吉住財政投融資総括課長〕 ありがとうございます。そのほかご意見ございますでしょうか。

それでは、ただいま丸田委員からいただきました翁委員を分科会長に推薦する旨のご提案について、皆様、ご異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

〔吉住財政投融資総括課長〕ありがとうございます。委員の皆様のご了解によりまして、翁委員が分科会長にご就任されることとなりました。翁委員、分科会長席へ、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、今回分科会長にご就任されます翁分科会長より、一言ご挨拶を頂戴したいと思います。なお、この後の議事につきましては、翁分科会長に進めていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

〔翁分科会長〕皆様のご指名でございますので、会長をお引き受けしたいと思います。皆様のご協力、ご支援を得て、任務を全うしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、議事を進めさせていただきます。

最初に、財政制度等審議会令において、「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する」と規定されておりますので、分科会長代理を指名させていただきます。

私といたしましては、分科会長代理は土居委員にお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

土居委員、一言お願いいたします。

〔土居委員〕土居でございます。ただいま翁分科会長からご指名をいただきましたので、僭越ながら、お役に立てればと思いまして、お引受けをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございます。

なお、分科会の招集や議事の公開など、これら運営については、資料1-2の関係法令等に従い、進めてまいります。

まず、議事に先立ちまして、今回の委員改選前となりますが、3月24日付で書面によりご審議いただきました「令和6年度財政融資資金運用計画の一部変更」については、原案のとおりとなっておりますので、ご報告いたします。

それでは、議事を進めたいと思います。

まず、官民ファンドのフォローアップ等についてご審議いただきます。5つの官民ファンド及びその関係省庁の担当部局の方々が入室されますので、しばらくお待ちください。

(官民ファンド関係者着席)

〔翁分科会長〕それでは、天井財政投融資企画官兼産業投資室長及び各ファンドのご担当の方よりご説明をお願いいたします。委員の皆様からのご意見、ご質問については、全ての機関の皆様からのご説明が終了した後にお願いいたします。

なお、資料2-1の参考資料のうち、令和6年度決算資料につきましては、各機関における正式手続前の資料を含んでおりますので、公表は後日とさせていただきます。この内容につきましては、公表までは対外的にお話しすることはお控えください。

それでは、よろしくお願いいたします。

〔天井財政投融資企画官〕企画官の天井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

私からは、今回の議題である官民ファンドのフォローアップについてご説明いたします。まず理財局から、官民ファンドをめぐる最近の状況として、会計検査院の検査結果についてご報告させていただきます。しかる後、4ファンドから改善計画の進捗状況について報告いただいた後、令和7年3月に運用期限を迎えましたINCJからこれまでの活動報告をしていただくという段取りで進めさせていただきます。

それでは、資料の2-1をお願いいたします。3ページをお開きください。こちら官民ファンドをめぐる最近の状況でございます。会計検査院の動きでございますけれども、参議院からの要請を受けまして、本年5月、会計検査院は官民ファンドの業務運営状況について、その検査結果を国会に報告したところでございます。

報告書の内容でございます。資料中段、検査の結果でございますけれども、3点ございます。①官民ファンド間でKPIの計上方法が異なるなど、官民ファンド間の達成状況について比較検証にあたり留意が必要な状況だったということ。②一部の官民ファンドにおいて、想定エグジット時期を超過して、有価証券評価額等が実支援額を下回っている案件があり、回収に懸念がある状況にあったということ。③クールジャパン機構、JOINにつきましては、改善計画等の最終年度の累積損益額が、産業投資の資本コストの額を下回っていたということが報告されているところでございます。

これらの検査結果に対する会計検査院の所見でございますけれども、①KPIの計上方法について具体的な方法等を周知するということ。②その原因分析を十分に行って、適切な措置を講ずること。③累積損失の解消を目指すとともに、産業投資の資本コストを上回る収益の確保に向けた一層の改善努力に努めることなどが会計検査院から指摘をされているところでございます。

この後、各ファンドから改善計画の進捗状況についてご説明いただきます。その際、今般の検査院の報告で触れております②と③について、その取組状況についてもご報告いただきます。

また、詳細な説明は割愛させていただきますけれども、参考資料1-Ⅰに各ファンドの進捗状況について載せております。令和6年度の累積損益の状況でございますけれども、JOIN、CJ、JICTの3ファンドについては計画値を達成しているところでございます。他方でA-FIVEについては未達成という状況になっているところでございます。

理財局の説明としては以上でございます。

続いて、各ファンドのほうからご説明をお願いいたします。

〔国土交通省田中国際統括官〕国土交通省国際統括官の田中と申します。資料に沿いまして、昨年12月にJOIN、国土交通省で策定しました改善計画の進捗状況についてご説明いたします。

資料2-2の1ページをご覧ください。2024年度は、改善計画上の投資目標額は329億円であるところ、それを上回る369億円の投資を行っております。当期純利益は36億円を計上しておりまして、単年度黒字を達成しております。その結果、2024年度末時点における累積損益額はマイナス919億円となりまして、改善計画上の目標額でありましたマイナス1,021億円よりも累積損失額が改善している状況でございます。

昨年12月に策定しました有識者委員会の最終報告に基づく経営改善策の進捗状況につきましては、今年の3月に土居委員長の下で開催されました有識者委員会のフォローアップ会合におきまして報告し、着実に必要な措置が実施されているということを確認いただいております。2024年度は7月以降、有識者委員会の検証、検討結果が出るまで新規支援決定を見合わせていたところでございますが、今年度は、経営改善策で示した投資リスク管理等を着実に実行しつつ、新規支援決定を再開し、新規案件の形成にも取り組んでまいります。こうした取組によりまして、可能な限り早い累積損失の解消を目指しつつ、累積損失の解消後は、最終的に資本コストを上回る収益が確保されるよう取り組んでまいります。

続きまして、2ページ目をご覧ください。有識者委員会の最終報告を踏まえた経営改善策の進捗状況でございます。

投資リスク管理等の3つの柱に沿って実施しております。まず、投資リスク管理につきましては、リスク管理の状況を事後的にチェックする第三者評価の本格導入に向けた試行をJOINにおいて実施しまして、評価の視点や評価項目を確認したほか、支援案件のモニタリング強化、撤退基準の明確化に関する措置を実施しております。

続きまして、損失計上と公表につきまして、パートナー事業者と計上や公表時期がずれた場合に、ステークホルダーへの説明を行うため、令和6年度決算より、全投資案件のパートナー企業の減損実施状況、減損実施の有無を確認しております。組織体制につきましては、人材紹介会社も活用しながら、エクイティーファイナンスの知見を有する適切な人材の募集を実施するなどしております。

最後に、監督官庁である国土交通省における対応としまして、省内関係部局の実務者連絡会議を1月に発足しまして、JOINに対するG to Gの情報共有の強化を図るため、政府間枠組みの中でJOINをアピールする機会を設けるなど、オール国交省で取り組んでいくこととしております。また、外部有識者の目を入れた5年ごとの見直しなどについても告示等で措置をしております。

以上のほか、前回までの分科会においてお示しした取組の進捗状況については、JOINからご説明いたします。

〔海外交通・都市開発事業支援機構武貞代表取締役社長〕JOIN社長の武貞でございます。よろしくお願いします。

3ページをご覧ください。JOINといたしましては、2023年度決算における多額の損失計上を踏まえ、2024年7月以降、新規案件の支援決定は行っておりません。一方で、今後の新規案件の組成に向けて、シンガポールの都市コンサルティング企業とMOUを新たに締結するなど、引き続き、国内外の機関・企業と情報交換を続けております。2025年度におきましては、改善計画の達成に向けて、より着実かつ早期に収益が見込まれる都市開発、物流分野、特にブラウンの案件について重点的に案件形成に取り組んでまいります。

4ページ目をご覧ください。2024年度決算において、ロシア・ハバロフスク国際空港整備・運営事業につきまして、ロシア側と協議を続けてまいりましたが、回収時期や金額が見通せないことから、全額0.9億円の損失を計上いたしております。24年度におきましては、4事業で一部エグジットを行っており、一部エグジット含めて、累計で7事業エグジットしております。既存案件におきましては、現状で大きな損失計上が想定される案件はございませんが、為替動向、それから米政権の動向による世界経済の動向等、投資相手国経済や投資案件の採算性への影響があるものについて、引き続きモニタリングを通じて十分に注視してまいります。

次に、足元の収益性でございますが、2024年度は14事業で約79億円の収益を計上しております。このうちテキサス高速鉄道事業の社債債権の売却が約47億円でございます。それを差し引いても、通常案件で約32億円の収益となり、通常の経常費用29億円を上回る収益を得ることができております。結果、累積損益額は約919億円のマイナスとなり、テキサス高速鉄道事業社債債権の売却収入、配当・償還等の追加確保等により、計画値のマイナス1,021億円を約102億円上回ることになりました。

改善計画には2023年度減損案件の回収額は見込んでいないことは、前回の分科会でご説明いたしましたが、テキサスの高速鉄道事業の社債債権の処分が早期に実現したことによる上振れでございます。なお、今後、可能な限り早いタイミングで累積損失の解消に向けて、引き続き改善計画・経営改善策の着実な実施に努めてまいります。

5ページをご覧ください。先ほど国土交通省からご説明がありましたが、社内に改革推進本部を設置し、経営改善策の実施に鋭意努めてまいりました。本年3月下旬の有識者委員会のフォローアップ会議以降の取組として、投資リスク管理につきましては、より効果的な案件管理やハンズオン支援を実施するために、支援案件の進捗管理の方法のルール化等を行うとともに、第三者評価委員会の初回開催に向けて着実に準備を実施しております。また、損失計上・公表につきましては、こちらに記載のとおり、鋭意公表を進めてまいるよう改善しておるところでございます。

組織体制につきましては、事業推進部の体制の見直し、プロジェクト管理部及び財務・監査室への人員の増強による組織体制強化を実施したことに加え、事業性評価の強化のために、事業委員会等において不動産評価、需要予測、カントリーリスク予測等の知見を有する外部専門家を活用しております。これら昨年12月の本分科会でのご指摘を踏まえております。

6ページ、本年5月の会計検査院報告の指摘につきましては、まず、改善計画に基づき、累積損失の解消を達成するため、より着実かつ早期に収益が見込まれる分野に支援を重点化するなど、昨年12月に策定した経営改善策を着実に実施してまいります。また、ご指摘いただいたように、累積損失を解消した後、また速やかに資本コストを上回る収益を達成するべく努力を続けてまいります。

令和6年度末時点においてもまだエグジットしていない案件のうち、支援決定時の計画よりもエグジット時期を延長している案件は1件でございます。こちらはコロナによる工事遅延、それから販売遅延で遅れたものでございますが、現状、着実に償還と配当受領が進んでおります。

その他、新規支援決定に当たりましては、民業補完に十分留意し検討すること、政策性のみならず、収益性にも配慮した支援を実施すること等について、経営改善策も踏まえ、引き続き適切に対応してまいります。

JOINからの説明は以上でございます。

〔翁分科会長〕次、クールジャパンファンド、お願いいたします。

〔経済産業省江澤商務・サービス政策統括調整官〕経済産業省商務・サービス政策統括官の江澤でございます。資料の2-3をご覧いただければと思います。

1ページ目をご覧ください。まず、投資の進捗状況でございます。中段の赤枠のとおりでございまして、2024年度の投資額は、計画の90億円に対して、126億円の投資を行いました。2024年度末の累積損益でございますけど、計画値のマイナス432億円に対して、マイナス383億円となっております。

下に移りまして、1つ目の丸でございます。2024年度の当期純利益は約15億円のプラスでございました。初の単年度黒字を達成しまして、累積の投資損益、前年度のマイナス86億円からマイナス35億円に改善しております。3番目の丸のとおりでございます。機構において、修正後計画における最低限達成すべき目標、こちら2033年度末でプラス10億円ということでございますけど、達成すべき目標、この達成には、さらに資本コストを上回る収益の確保、会計検査院からもご指摘のあったとおりでございますけれども、それを目指すため、政策目的の実現を大前提としつつ、収益の蓋然性の高い案件を厳選しまして、リスク検証を行った上でしっかり投資をしてまいります。また、既存案件についてもモニタリングを行いながら、モニタリング頻度も高めまして、ハンズオン支援による企業価値の向上に取り組んでまいります。その上で、支援決定時よりもエグジットを後ろ倒ししている案件も含めて、マクロ経済の情勢や事業の進捗状況等を総合的に勘案しまして、収益の最大化ができるタイミングを見極めたエグジットに取り組み、ポートフォリオの最適化に取り組みます。

残り、投資状況について、CJ機構のほうから説明します。

〔海外需要開拓支援機構川﨑代表取締役社長CEO〕CJ機構、社長の川﨑でございます。投資状況や経営改革の進捗などについてご説明いたします。

2ページ目をご覧ください。まず、新規案件組成の状況や見通しについてですが、2022年11月に策定いたしました修正後計画において、2024年度の投資額は90億円を見込んでいましたが、実績としては126億円を投資し、計画額を上回りました。2024年度は、インバウンドの促進に資する欧米の富裕層向けの日本旅行プランの企画・提供に強みがあり、日本の地方への送客の実績も有する旅行会社への投資などの案件に取り組みました。2024年6月の財投分科会におけるご指摘も踏まえ、欧州の案件をポートフォリオに組み込むなど、投資先地域の分散に努めております。為替変動、資源価格の高騰などを含む国際的な社会経済情勢や地政学的リスクなどの影響を受けることを踏まえつつ、引き続き、新規投資案件の検討及び既存案件のモニタリングを行っております。今後は、政策目的の実現、収益確保のため、様々な支援手法を駆使しつつ、投資先の地域・分野のバランスの取れたポートフォリオの構築を目指し、投資案件の検討を進めてまいります。

次に、既存案件の状況や見通しについてですが、2024年6月の財投分科会において、既存案件のエグジットを進め、政策性と収益性が両立する案件に投資することなどを通じてポートフォリオの早期改善を図っていくべきとの指摘をいただきました。2024年度は11件のエグジットを実施し、エグジットの累計件数は29件となりました。1件の上場済み案件については、株価動向を注視しながら、売却のタイミングを模索しております。その他の案件も今後のエグジットに向け、モニタリング、企業価値向上のためのハンズオン支援に取り組んでおります。

新型コロナの影響が残る2022年に、当機構がリスクマネーを提供した株式会社刀が、25年7月、来月ですが、ジャングリア沖縄を開業予定です。沖縄北部の観光・インバウンド拠点として大きく期待されております。

次に、足元の収益性の状況及び修正後計画の進捗状況についてですが、2025年度も、エグジット案件からの収益、LP出資先からの配当、メザニンローン案件の利息収入を見込んでおります。

次に、3ページをご覧ください。今後の経営改善の取組についてですが、2022年11月の修正後計画において、2025年度の投資額は189億円を見込んでおります。良質な案件への投資と質の高いエグジットを両輪で進めていくため、シニア、若手の投資人材の採用・育成を進めております。投資リスク管理についても、2024年に確保した投資経験豊富なシニア人材の知見も活用しながら、投資検討・実行、モニタリングなどの場面でしっかりと取り組んでまいります。2022年11月の修正後計画策定時の指摘を踏まえ、引き続き、外部に委託する調査項目を絞り込むなど、調査研究費の増加の抑制に取り組みます。

機構の支援先には、我が国の海外需要の獲得に貢献するポテンシャルのある者が多数存在します。例えば、欧米富裕層を顧客とするInside Travelや、台湾で多数のユーザーを抱えるKKdayは、インバウンドを促進するプラットフォーマーとして日本の地方との連携に取り組んでおりますが、さらなる展開の可能性も有しております。また、ジャングリア沖縄や、高級旅館ブランドATONAの開発・運営事業は、その地域にインバウンドを呼び込む拠点としての機能が期待されております。さらには、Buyandshipは日本の地場産品の海外展開に寄与する事業者です。こうした投資先同士や多くの企業・地域との連携の促進に取り組むことで、海外需要開拓という機構に課せられました政策目的の実現にも着実に取り組んでまいります。

最後に、会計検査院の検査報告における指摘事項への対応についてですが、修正後計画における最低限達成すべき目標の達成、さらには、資本コストを勘案した収益の確保を目指していくため、政策目的の実現を大前提としつつ、収益の蓋然性が高い案件を厳選し、リスク検証を行った上でしっかりと投資してまいります。既存案件につきましても、モニタリングを行いながら、ハンズオン支援による企業価値の向上に取り組みます。その上で、支援決定時の想定よりエグジットを後ろ倒ししている案件も含め、マクロ経済の情勢や事業の進捗状況を総合的に勘案し、収益を最大化できるタイミングを見極めたエグジットに取り組んでまいります。

投資は、実行からエグジットまで数年を要することを念頭に置いた上で、人材の確保、定着、育成にも取り組んでまいります。良質な投資と適時適切なエグジットに取り組み、ポートフォリオの最適化を進めていきたいと思っております。

クールジャパン機構からのご説明は以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

次、JICTのほうから、よろしくお願いします。

〔総務省国際戦略局森下国際戦略課長〕総務省国際戦略局国際戦略課長の森下と申します。よろしくお願いします。JICTの改善計画の進捗状況についてご説明申し上げます。

資料2-4の1ページ目をご覧いただければと思います。令和6年度JICTにおきましては、データセンター案件2件、ファンドへのLP出資案件3件の計5件について支援決定を行いました。投資額については227億円となっており、令和6年度の計画額である56億円を上回ってございます。また、令和6年度は、大型案件からの配当やエグジット案件1件に係る投資回収等により、収益が経費を上回ってございまして、前年度に引き続き、2年連続となる単年度黒字を達成しました。その結果、累積損益額は、令和6年度末時点においてマイナス122億円となってございまして、令和6年度末時点での計画額であるマイナス190億円を68億円上回るとともに、当初策定した投資計画における計画額であるマイナス131億円も上回っている状況にございます。

さらに、JICTにおきましては、昨今の米国をはじめとする世界各国の投資環境の不透明化を踏まえまして、地政学リスクに係る分析・検討の高度化を図るべく、本年4月より、マクロ経済環境及び地政学の専門家を顧問として招聘するなど、投資リスク管理の強化にも取り組んでいるところでございます。総務省としましては、JICTがさらなる経営改善を進め、引き続き改善計画を上回る実績を積み重ねていけるよう、適切に監督を行ってまいります。

詳細につきましてはJICTからご説明いたします。

〔海外通信・放送・郵便事業支援機構大島代表取締役社長〕JICT社長の大島でございます。よろしくお願いいたします。

ただいまご説明ございましたとおり、24年度の純利益については1億円強となりまして、23年度に続きまして単年度黒字を達成しております。また、投資額や累積損失の実績につきましても、改善計画を大きく上回ることができました。

2ページ目をご覧いただければと思います。新規投資案件といたしましては、既存のデータセンター事業への追加支援、また、米国におけるデータセンター事業の展開支援のほか、米国や東南アジア等を対象としたLP出資案件3件の支援を実施しております。米国におけるデータセンター支援事業というのは約2億ドル弱でございますけれども、従来の欧州における大型案件とのバランスが整うなど、案件数の増加に伴うポートフォリオの分散がこれによって進捗しております。これらの支援実行によりまして、経済安全保障と密接に関連するハードインフラ案件からスタートアップ支援案件まで、また、投資地域としましても、欧米先進国にとどまらず、グローバルサウス諸国に至るまで、バランスよくカバーできてきつつある状況でございます。

また、人員の充実に努める中、地方の人材育成も念頭に、地方銀行からの出向者を1名増員しておりまして、本年4月からは地銀からの出向者は計2名となっているところでございます。

25年度の見通しにつきましては、大型ハードインフラ案件を含め、組成に向けて調整中の案件が複数控えておりまして、今月も総務大臣からご認可をいただき、1件の新規案件の投資実行を行ったところでございます。支援範囲拡大とエコシステム推進活動に加えまして、昨年7月には投資戦略部内の体制を変更し、ソーシング活動の強化を一層図っておりまして、案件増加の手応えを感じているところでございます。

既存案件の見通しにつきましては、ポートフォリオ全体を対象とした定期的なモニタリングと投資先のバリューアップに努める中、既存の投資案件について大きな懸念は生じておらず、事業が安定的に推移している案件からの配当支払いも堅調でございまして、順調に収益を上げている状況でございます。また、先ほどお話ありましたとおり、米国をはじめとして世界情勢が一層不透明化を増しているということも踏まえまして、この4月より、マクロ経済環境及び地政学の専門家を顧問として招請するなど、分析力を強化しているところでございます。

3ページ目をご覧いただければと思います。足元の収益性でございますけれども、エグジット案件が1件生じたことで単年度黒字ということでございますが、24年度の純資産額が1,470億円超となりまして、また、その他有価証券評価差額金、これは主に為替差益のところでございますけれども、利益剰余金を上回るなど、財務健全性も維持しているところでございます。投資期間全体を通じてリスクに見合ったリターンの確保が見込まれておりまして、ポートフォリオ全体の収益性の見通しに特段の懸念は生じてございません。

経営改善に向けた取組につきましては、投資戦略部の体制変更に加えまして、今年1月には社内に財務企画グループを立ち上げて、財務・経理運用について一層強化を図るなど、ガバナンス体制を強化しております。JICTといたしましては、定期的なモニタリング等によるプロジェクト管理の下、3期連続の黒字を達成できるよう、改善計画及び社内で策定いたしました中期経営計画に基づきまして、着実に支援実績を伸ばしていくことを目指していきたいと思います。

JICTからは以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、次はA-FIVEです。よろしくお願いいたします。

〔農林水産省大臣官房新事業・食品産業部石田新事業・食品産業政策課長〕農林水産省新事業・食品産業部の石田でございます。A-FIVEについて、資料に沿ってご説明をさせていただきます。

資料2-5、1枚おめくりいただきまして、1ページをご覧いただきたいと思います。上段に経緯がまとめてございますけれども、A-FIVEにつきましては、2021年度以降は新たな出資の決定を行わず、可能な限り速やかに解散する、このような方針の下で、2020年の5月に、損失を最小化するための改善計画を策定いたしまして、投資回収等の取組を進めてきているという状況にございます。

その下段に現状整理してございますけれども、2024年度末の累積損失につきましては、決算見込みで190億円となってございまして、計画額の137億円に対して53億円下回っているという状況にございます。このような計画との乖離につきましては、2023年度末、前年度末の時点で計画を24億円下回っていたところでございます。これに加えまして、コロナの影響、あるいは資材・人件費上昇の影響等を背景として、出資先の業績が低迷してございまして、減損損失を追加計上したこと、このようなことを要因とするものでございます。

また、投資回収の進捗でございます。件数ベースでございますけれども、これまで163件の出資を行ってございまして、2024年度末で残り34件となっているところでございます。なお、足元最近の状況を補足させていただきますと、今年度の5月末時点で残り25件という状況まで来てございまして、回収は進んでいるということでございまして、引き続き、年度内の確実な回収に努めてまいります。

また、最終的な累積損益の額でございますけれども、2024年度の決算を踏まえますと、今後の大幅な改善、これはなかなか見込み難い状況にございます。昨年の分科会におきましても委員の皆様からご指摘を賜りましたが、A-FIVEでは役職員一丸となりまして、引き続き運営経費の削減に努めますとともに、売却先の探索につきましても、外部仲介、あるいは民間ファンドへの売却を含め、多様な手法を活用し、有利なところを確保するということで、計画との乖離を縮小させるべく最大限の努力をしてまいります。

2ページ以降でございますけれども、記載が重複する部分は割愛させていただきたく、3ページのほうをご覧いただきたいと思います。

上段に今後の見通しということで整理してございます。その中の下段のなお書きをご覧頂ければと思います。昨年の分科会におきまして、これまでの取組事例から成果として導き出せるものを抽出してまとめてはどうか、このようなご意見をいただいたところでございます。今後、投資回収、さらには解散に向けた取組の中で、しっかりこの成果の整理ということをしてまいりたいというふうに考えてございます。

最後に、会計検査院の検査報告におきまして指摘を受けた件でございます。支援決定時の想定エグジット時期を延長した案件の状況などへの対応ということでございますけれども、該当案件、A-FIVEにつきましては3件ございました。この3件のうち1件は、6年度末時点、昨年度末時点で回収が完了してございまして、実支援額を上回る回収、これを実現してございます。残る2件につきましても、ほかの案件とともに、年度内かつフェアバリューでの回収に努めてまいります。また、業務運営に関する指摘についてもしっかり受け止めまして、適切に対応してまいりたいと存じます。

あと最後に、農林水産省としてということでございますけれども、投資回収の最終年度を迎えてございます。本年度内における回収の完了、そして累積損失の縮小に向けて、A-FIVEにおける取組、これが確実に実行されるように適切な監督等を行ってまいりたいと存じます。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、INCJのほうからお願いいたします。

〔INCJ志賀代表取締役会長CEO〕株式会社INCJ会長の志賀でございます。私自身は産業革新機構、株式会社INCJと、会長を10年務めてまいりまして、来週の月曜日、取締役会、株主総会で退任をすることになります。最後にこのような機会をいただきまして感謝申し上げます。

2ページ目をお開きください。2009年7月に発足いたしました産業革新機構、当初から15年の時限の会社でありまして、途中2018年に産業革新機構から新設分割して、名前は株式会社INCJとなりましたが、全ての事業を承継する形で、継続して事業を行ってまいりました。2025年、今年の3月に業務を完了することを努力目標としてやってまいりまして、トータル144件中143件をエグジットいたしまして、残り1件残っているのですが、上場株ということで、ほぼ会社全体の店じまいに入っているというところでございます。

3ページ目をご覧ください。総投資144件のうち、下の表で見ますと、スタートアップに投資するベンチャーキャピタルの機能と、業界再編等をやるバイアウト系のPE、プライベートエクイティーの両方の機能を持つファンドですが、アーリーベンチャーへのスタートアップ投資が件数でいうと約8割、ただ金額ベースでいうと2割という、逆に一方、件数でいうと10%に満たない業界再編、これはルネサスとかジャパンディスプレイとか、そういう案件ですが、金額的にいうと6割ぐらい、その他が海外投資という形になります。

4ページ目をご覧ください。全体の出来上がりですが、これはちょうど来週の月曜日に決算の発表をやりますので、これは24年3月末時点で少し数字が古いですが、最終的な出来上がりでいうと、ここは1.7倍と書いていますが、1.8倍ということで、約1兆3,000億円投資して、2兆3,000億円、1兆円稼いだという状態になっております。

次の紙に、それぞれアセットクラスごとですが、ルネサス独り勝ちというようなことをよくメディアで言われるのですが、全てのアセットクラスで、アーリーベンチャーを含めて元本を回収できているという形の出来上がりになっております。

6ページをご覧ください。1兆円の粗利益の中で約1,000億円の経費を使いましたので、トータル9,000億円の利益ですが、もう既に法人税等で3,300億円、配当で1,700億円という形で国庫に戻させていただいております。残り3,000億円がまだ剰余金で残っておりますので、今後これが清算されていく形になります。

7ページ目をご覧ください。INCJとしては投資意義とリターンの両立を図ってきたのですが、もう一つ重要なテーマは、特にスタートアップエコシステムを強靱化していくということで、人材を輩出していこうということで、ここに書かれておりますように、INCJの卒業生が自ら起業する、あるいは民間ファンドをファンドレイズするというケースが非常に増えてきております。ちょうど今年の6月で専任の職員についてはほぼ全員退職いたしますが、ほぼ皆さん方、ファンドの世界もしくはスタートアップの世界で次のキャリアを磨かれるという形であります。

8ページ目、これは総括した形で書いております。

まず、総論としての官民ファンドへの期待についてですが、まず一つ、リスクマネーの供給というのが重要なテーマになるのですけれども、ここについてはスタートアップエコシステムで、二千数百億円という形で底上げが図れたという実績があるわけですが、一方、反省も含めて申し上げますと、1兆3,000億円の投資のうち約半数が大型3案件に使われたということで、全体のポートフォリオを考えますと少し偏りがあったのかなという反省があります。

2つ目が産業政策の社会実装で、先ほど申しましたエコシステムの底上げというのはできたのですけれども、政策意義と事業評価のバランス、これは非常に重要なテーマでありました。幸運なことに、INCJとしては最終的に元本1.8倍で回収できたのですが、やっぱり世の中の評価というのがリターンだけなのですけども、実際問題、もう少しこの政策の意義、やっぱり公共政策、経済政策、産業政策に基づく社会実装としての官民ファンドなので、こういう政策の意義がどうであったかということを、もう少しマスコミ含めて評価していただけると、官民ファンドで働く人間としてはやりがい感が出るなと、リターンだけではないということを申し上げたいと思います。

それから、呼び水効果ということですが、特にスタートアップ投資についてはリードの投資をやることが多かったのですが、民間のベンチャーキャピタルにフォローオン投資ということで、ある程度の民間の呼び水効果があったのかなと。ただ、そうはいいましても最終的に、皆さんご存じのとおり、機関投資家のLP投資はPEファンドに偏っていて、まだまだベンチャーキャピタルのところには投資が少ないわけですが、その機関投資家のLP投資の呼び水というところまでは力不足だったのかなという反省をしております。

次に、官民ファンドへの批判というところですが、これはガバナンスのところなのですけれども、私自身、10年、産業革新機構、INCJにおりまして、非常に経済産業省といい形で議論をさせていただいて、これはよくメディアでは経産省の都合のいい財布だとか、いろんな言い方をされたわけなのですが、正直申し上げまして、そういう使われ方は、一切ありませんでした。極めて健全なディスカッションの中でやれたかなというように思います。個別の案件への介入はほぼなかったというように、私自身思っていました。このガバナンス、投資意義、政府としてはやっぱり投資意義に沿った形で投資していただきたいという気持ちは当然あるわけですが、官民ファンドである以上、個別案件の投資は民の人が決めるという、そこのバランスが非常に重要なのかなというように、10年やって感じております。

累積損益に関しましては、先ほど申し上げました1.8倍でよかったのですけれども、少し投資の中身については偏りがあったということは反省点としてあります。

民業圧迫批判というのは当初ありました。やはり1兆円を超える大きなファンドで、実際にファンドレイズをせずに国のお金を預かった形で大規模な投資を、特にスタートアップのところでやったので、当初は批判もあったのですが、我々、民業圧迫批判にならないようにということでいろいろ工夫をしながら一緒になってやってきたということで、今はほぼそういう批判がなくなったのかなというように考えております。一部エグジットのときに外資系のPEファンドと競合するようなケースがあって、ただそうはいいましても、いろんな面での安全保障だとか、そういう技術の海外流出だとかということも考慮した中でのエグジットの手段ということで、上手にできたのかなというように思っております。

それから、企業救済批判は、いわゆるゾンビ批判というやつなのですが、これは私自身付きまとわれた批判の目であったわけですけれども、ここはものすごく難しいなというように今も思っていまして、例えば大型案件でその会社を、通常のPEであれば見切りをつけて法的整理に行くということも考えられるわけですが、官民ファンドがそういうことで店じまいするのかとか、あるいはそのためのサプライチェーンが崩れてしまった場合どうするのだとか、いろんな形を官民ファンドとして悩ましく考えざるを得ないところがあって、これは個別に合理性を踏まえた追加投資をしていくしか方法がないのかなというようには思っております。

それから、コスト意識ですが、民間ファンドは、ご存じのとおり、投資家から預かったお金で投資をしているので、いわゆるマネジメントフィー、通常であれば2.5%とか、それぐらいの中でマネージしているわけなのですけれども、どうしても官民ファンドはそういうマネジメントフィーという発想がありませんので、使い過ぎてしまうということもあったわけですが、ここは我々は、民間の人間が非常にたくさんいた関係で、割とコスト意識を持ってやれたのかなと。ただし、結局取れなかった案件で、億を超えるデューデリジェンスの費用を払ったとか、そこら辺は反省点としては幾つかあろうかと思います。

最後、情報開示の部分ですが、これはもう最後の最後まで付きまとわれて、やはり相当頑張って記者会見、あるいは個別の開示をやってきたわけなのですが、実際にその案件が成功したのか失敗したのか個別の開示がないということで、相当メディアからも批判を受けたわけですが、これは投資先さんの意向もあって、その意向に従ってやるということで、官民ファンドとしてどこまで個別開示ができるのかというのは一つの課題かなというように思っております。

最後のページですが、今後についてですが、15年間、成功もありましたし、失敗もありました。失敗の中には学びの多い失敗もたくさんあったわけで、これらのナレッジを、この15年関わった職員だけが暗黙知として持ってしまうというのは非常にもったいないということで、様々なナレッジの継承をやってまいりました。全ての案件を振り返る、あるいは同じようなアセットクラスの横串の案件の振り返り、それから15年間で、これは社史をつくりまして、7月1日のINCJシンポジウムの参加者の皆さん方には配ろうかなというように思っています。

それから、後段に書かれていますが、我々なりの自己評価ではなく、第三者的に評価していただこうということで、日本ベンチャー学会と「INCJプロジェクト」を共同して発足しました。この中で15件ぐらいの論文を6月、実際には英文も含めた論文集として8月ぐらいには出るということで、INCJの活動について、アカデミアからの中立的な評価も含めて世に出していきたいなというように思っています。

最後になりますが、6月30日、現在の取締役はほぼ全員退任いたしまして、極めて規模を小さくして残るわけですが、ほぼ業務は完了しておりますので、7月1日、INCJ15年の軌跡ということで、INCJシンポジウムを開催する予定になっております。多くの方々に招待状が出ていると思いますが、ぜひご参加される方がおりましたら、後々言っていただければと思います。

私からは以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、ただ今のご説明を踏まえまして、委員の皆様からご意見、ご質問をお願いしたいと思います。官民ファンドの関係者の方々に直接ご質問いただいても結構です。

こちらの会場にいらっしゃる皆様につきましては、名前の札を立てていただき、オンラインの方については、挙手ボタンもしくはチャットにてお示しください。なお、ご発言の際に資料を引用される場合は、資料番号と該当ページをおっしゃっていただくようお願いいたします。

それでは、丸田委員、有吉委員、岡田委員の順でお願いいたします。

〔丸田委員〕丸田でございます。ご説明ありがとうございました。私からは意見、感想と、あと少し質問も含めて、手短にできればと思います。

最初に、全体の会計検査院の指摘でございますけれども、2点目において、EXIT時期を超過しており、かつ評価額等――といっても、これは恐らくまだ公正価値が導入されておりませんので簿価ベースかと推察しますが――が実支援額を下回っているものが多く指摘されておりますが、こちらについては、もちろん、中にはEXITが遅れて価値が下がっているものもあるかと思います。一方で、恐らく、バリューを上げるためにEXIT時期を見極めている案件や、既にバリューが上がっているものもあるかと思いますので、今後、現在検討されている公正価値評価が導入されますと、投資ポートフォリオの公正価値の見える化によって、透明性を高めることで、社会に対してより説明責任を果たしていくことができるようになると思います。このような方向で、前向きに解決をいただくことを期待をしているというのが1点目でございます。

続きまして、JOINさんでございますが、JOINさんにつきましては、私もフォローアップ会合に出席させていただいておりますので、そちらの内容については特に本日は触れませんが、様々な取組を進めている中で特に気になるのが、今後、ブラウンフィールド案件に重点化しつつ、新規投資を検討するに当たって、国土交通省さんとの連携などで、早期に収益が見込まれる案件を含め、優良なパイプラインが揃ってきているのかどうか、進捗状況を教えていただければと思います。

続きまして、クールジャパンさんです。今年度に初の黒字を達成した点に加え、今回EXITがかなりされておりまして、昨年議論がありましたように、ポートフォリオの入れ替えを積極的に進めていただいているということで、すばらしい取組かと思います。

ただ一方で、10ページ目の出資残高ベースを拝見しますと、まだまだ想定EXIT年数が5年超の出資残高がマジョリティを占めている状況でございますし、会計検査院の指摘でも9件ほどEXITを後ろ倒ししている案件があるというご指摘もありますので、こちらについては引き続き、ポートフォリオの入替えとブラッシュアップを進めていただければというふうに期待をしております。

1点、クールジャパンさんにつきましては、今期の新規投資のうち、金額が大きいものでファンド系のLP出資がかなり増えているように見受けられたのですが、これは何か今後の投資のポートフォリオとして考え方として、こういったFOFのような投資を増やしていかれようとしているのかどうかという点を教えていただきたいと考えております。

続きましてJICTさんでございますが、JICTさんにつきましては1点、今回拝見していると、昨今の環境事業的には理解できるのですが、既存データセンター案件の追加投資に加え、大型の米国データセンター新規案件ということで、かなりデータセンター案件の割合がポートフォリオの中で増えておるのですが、データセンター事業に関する取組、全体のポートフォリオでどのように取り組まれていくのかということを可能であれば教えていただきたいと考えています。JICTさんは過去からも、投資案件が、特定地域や特定分野に集中している傾向があったかと思いますので気になっています。

最後、A-FIVEさんは、主要案件として7ページ目に載っている案件の顔ぶれも昨年から全く変わっておりませんので、恐らく金額が大きいものはまだまだEXITが進んでいないということで、相当ご苦労されているということが理解できました。一方で、あと1年で解散ということであれば、売却損の発生が予想されるものは、恐らく本年度の決算で既に減損いただいているかと思いますので、これらの金額が大きい案件のEXITによる回収額を、最終年度で是非改善をいただくように、ご尽力いただければと考えております。

最後、志賀会長からすばらしいINCJさんの成果や課題意識等につきましてご共有いただきまして、本当にありがとうございました。個人的な意見としまして、中でもご指摘いただいたような、政策意義と事業評価を含む、官民ファンドに対する様々な期待、批判や共通の課題について、INCJさんの経験から得られたアセットは、官民ファンド全体で生かせるものが多いと思いますので、それらをぜひ他の官民ファンドの皆様にも共有し、生かしていただくことにより、更なる改善に取り組んでいただければと感じました。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、有吉委員、お願いします。

〔有吉委員〕有吉でございます。私からはJICTさんに1つ質問させていただいて、あとA-FIVEさんに関して1点コメントをさせていただければと思います。

まず、JICTさんへのご質問でありますが、今、丸田先生がおっしゃっていた内容と重複するところがあろうかと思うのですけど、JICTさんの先ほどのご説明の中で、ポートフォリオ全体について地域の分散を考慮して投資判断を行っているといったお話があったと認識しております。ただ、資料2-4の7ページのポートフォリオの投資上位10先を拝見すると、数値の見方はいろいろあろうかと思いますけど、大体上位4番目ぐらいまでに大きな金額がまとまっていると思います。また、8ページを拝見すると、昨年度の新規案件の中で、読み方を間違っていれば恐縮ですが、先ほどの上位で特に大きい4先のうちの2先が、この直近の年度で加わっている、あるいは追加支援の対象になっていると理解をしております。

そして、こういった個別案件のベースで見ると、特に丸田先生がご指摘されていたデータセンターが中心と思いますが、案件ベースでは非常に集中度が高くなっていると見受けられるわけであります。この点と地域分散や、あるいは全体のポートフォリオの分散ということについて、リスク管理の観点からどのように評価されているのかということをお聞きしたいというのがJICTさんへの質問であります。

それから、A-FIVEさんへのコメントですが、資料2-5の3ページ、上の段の4つ目の丸のところです。昨年の分科会でのコメントも踏まえて、これまでの取組事例から成果として導き出せるものを抽出してまとめるというご説明を先ほどしていただいたということであると理解しています。

食や農の分野は規模が大きくなりにくいとか、有形無形のいろいろな決め事があるとか、政策にも左右されやすいとか、投融資についても新規ビジネスについても非常に難しい領域であると思います。一方で、日本の産業の中では潜在的な発展可能性、ポテンシャルを秘めた領域であるということも言えるのだと思います。そういった意味では、回収の最大化ということももちろん重要なわけでありますけど、ぜひこれまでのご経験について、地方創生のような分野に積極的に取り組んでいらっしゃる金融機関などにうまく伝承されるような取組を進めていただきたいと思います。

そういった中で、資料2-5の3ページの成果を抽出してまとめるという、この「成果」の意味合いでございますけど、先ほどINCJの志賀会長からのお話の中でも少し出てきたところで、プラスのほうの成果だけではなくて、失敗体験というか、個々の取組、案件がなぜうまくいかなかったのかということも含めて、ぜひ取りまとめる、あるいは金融機関やファンドなどの継承していただける先に伝わるような、そういった取組を進めていただきたいと思います。そういった観点でぜひ、ちょっと言い方が悪いかもしれませんが、無駄死にならないように取り組んでいただきたいと強く期待するところであります。

私からは以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、岡田委員、お願いします。

〔岡田委員〕岡田です。本日、ご説明ありがとうございます。

JOINさんの関係で、昨年も少し申し上げたところではありますけれども、改めて今日の1の資料を見ても、ずっと10年間、もう少し上向くかもしれませんけれども、底ばいのような状況がずっと続いていくと。2048年になって、収支相償でよかったのではないですかというふうな絵を見せられているわけですけれども、こうした投資の性格から、そんなに劇的に改善というのは難しいという中でいろいろご苦労されているとは思うのですけれども。そもそもJOINさんのコンセプト、なぜ公的資金を入れるかというときに、一般の国民から見ても、インフラの輸出というのはいろいろな国との関係強化等々を含めて前向きな感じがあって、理解が得られやすいということなので、最初の構えというか、コンセプトはしっかり理解を得られるようなものだとは思いますけれども、それは今日的な地政学的な変化、安全保障環境の変化、経済安全保障の観点の変化等々を踏まえると、むしろ今日性というか、よりそうした存在の意味は大きくなっているのかもしれませんとは思います。

それに対して、改めてですけれども、このJOINの資料等々を見て、一般の、それも国民のほうから見て、高速鉄道あるいは輸送供給網整備事業とか有料道路運営事業というと、どれぐらい収益性があるかは、ここはよく分からなくても、戦略性はあるのかなと。もちろんその結果として、収益性というのは、収支相償になるというのは望ましいわけですけれども、全体として戦略性はあるという形かと思います。

一方で、個別の事業、詳細は存じ上げませんけれども、住宅都市開発とか、ショッピングセンターの開発とか、そうしたものを住宅等々というのは、収益性は手堅く見込めるけれども、それはなぜ公的資金を入れなきゃならないのか。別に大手不動産の方々などもそれぞれやっているのに、なぜやらなきゃならないのか。ここから24年間もこうしたマイナスの管理みたいなことをいろいろやりながら、なぜやらなければならないのかというのが、説得力があまりないというような気がします。

全体としては、収益性の観点から必要な投資かとは思われますけれども、その点で、今すぐに攻めのというか、こうしたインフラ輸出というのはリスクも結構大きいと思うので、なかなかすぐは踏み出せないかもしれませんけれども、ずっと10年間、汲々とこうした損失を少しでもましなものにしようということで動いていくというのでは、何のために組織があるのかなというのがよく分からなくなってしまうので、1年、2年、3年、フォローアップ等々もありますので、そうしたビジョンというものを改めてたたき直して、中長期のビジョンというのをたたき直しながら進めて、国民の理解を得ていくような形にしていただければというふうに思います。

もう一つはA-FIVEのほうですけれども、有吉先生おっしゃったように、そもそも農業分野というのは収益性が非常に何かというと厳しいと。農林漁業のその分野というのは何かと厳しいと言われている中で、そもそも官民ファンドでやるというスタートのコンセプトが正しかったのかというところから問い直すべきではないのかという。今回、2025年度が最終年度ということでもありますので、そうした観点で、例えば1の資料でずっと右肩下がりになってきているわけですけれども、21年度で、出資の決定を行わず等々となっていますけれども、もっと早く引き返せなかったのか。あるいはうまくいかなかったのは人材の問題なのか、事業の環境が想定を超えていたのか。仮に途中、悪化していった場合に、どこで転換することができるか。指針というか、考え方というか。最後落ちてくると、大体こういう負の組織にそんなに有為な人材も集まらなくなってくるので、敗戦処理みたいなことになってくると、より負の連鎖というか、悪い方向にばかり転がっていくと。そうであるならば、そこも見越して、もっと早くけじめができなかったのかなど、そうしたことを、最終年度でもあるということなので、損失処理の最小化とともに、将来の検証、官民ファンドもいろいろあるので、ほかにうまくいかなくなるところもまた今後出てくるかもしれないので、そうした意味の教訓という意味でも、そうした観点からの整理を行っていただければと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、土居委員、お願いいたします。

〔土居委員〕どうもご説明ありがとうございました。まずはJOIN、CJ、JICTの単年度黒字ということが令和6年度に達成されたことは多としたいと思います。図らずも、今日、INCJの志賀会長も総括してくださったところで、その視点を踏まえながら、既存の官民ファンドの今日のご説明を伺うと、大型案件、ないしは大企業とともに共同出資するという形のものと、それから、ベンチャー支援、ないしは中小企業に対して官民ファンドから支援するということのバランスの難しさというか、悩ましさというか、そこを上手にそれぞれで収益を上げていくということが重要か、それをきちんと我慢しながら収益を確保していくということがいかに大変かということが、まさにそれぞれのご発表を伺っていて感じたところであります。

改めてポートフォリオの基本情報、各機関から出されているものを改めて拝見していると、JOINとかJICTは比較的、大企業が共同出資者として名を連ねているというものがよく目につくところで、まさに共同して出資して事業を進めていく上でも、もちろん官民ファンドとしての責任はあるのだけれども、パートナー企業もしっかりしたガバナンス体制を持って臨んでいるというところで、しっかりエグジットするときは、きちんと共にゲインを得るということができているところがあるのかなと思います。

CJは両方あるのだと思います。規模の大きい企業とパートナーを組んでやっているものもあれば、比較的ベンチャー支援みたいな部分もあると。だけども、令和6年度は単年度黒字だったというところで、上手にエグジットできたところは上手にエグジットできて、それはそれで多としたいというふうに思います。けれども、A-FIVEがいかにもあまり大企業はなくて、中小規模のパートナーで、本当にガバナンスが支援先できちんとできているのか、事業の進捗管理というものが本当にその企業でできているのか。ベンチャー支援的な玄人の目があれば、プロの目があれば、そこでしくじらなかったかもしれないけれども、やはり規模の経済も稼げないし、それでいてベンチャー支援を主たる目的として、このA-FIVEで営まれていたかというと、別にそういうところが主たる目的ということでもなさそうだということだとすると、規模が小さいがゆえになかなかそれぞれの案件を上手にテイクオフさせることが相当困難だったということが結果として表われているのかなというふうに、私なりに見ているところです。

そういう意味では、今年、2025年度で、A-FIVEは店じまいするということのわけですから、それこそ来年の今頃には、志賀会長が総括されたのと同じような形で、A-FIVEもしっかりこれまでの取組でどういうところがよかったけども、どういうところが悪かったのか。特に有吉委員も先ほど触れられましたけど、まさに駄目だったところはどういう意味で駄目だったのかということはしっかりほかの取組にも活用できるような教訓が引き出せるような形で、来年度、何というか、来年の今頃に総括していただくということが必要になるのかなというふうに思います。

それから、総論的なところで、資料2-1で理財局からご説明をいただいたところで、会計検査院の検査報告もあったわけですけれども、それを踏まえて、官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議幹事会も開催されていて、これは以前も私がこの分科会で指摘させていただいたところではあるのですけれども、経費総額に法人税等を含めるとかそういう話がこの幹事会で議論がなされたということが資料2-1の3ページで記されているというところで、大変気になったところです。各機関も租税公課を含んだ総経費というものを数字として損益計算書等で示されているということではあるのですが、INCJの志賀会長のプレゼンテーションにもありましたけれども、法人税として国に還元しているという部分、そういうふうに理解できるものもあるということなので、経費という見方でいいのか。それとも、配当だけではなくて、法人税という形で、国に還元できたというふうに、官民ファンドとして評価するという見方もできるでしょうし、さらには租税公課のところで、これは分科会で以前も申し上げましたけれども、多くの官民ファンドは東京都に位置していて、そこで東京都に事業税の付加価値割と資本割を払っていると。1億円を超える資本金を持っていれば、外形標準課税が課されるということなのだけれども、まさにこの分科会での年末にかけての議論の中で、来年度の財投編成があって、特に産業投資で官民ファンドに来年度どれぐらい出資をするのかと言って、議論し、そして最終的に政府でお決めになって、そして出資が実施されるや否や、増資することになって、資本金が増えて、それに比例して、事業税資本割はより多く東京都に納めなければいけないということになっていると。しかも、元手は、大半が産業投資であると。いきなり出資したら召し上げられるという対応関係ではないとはいえ、国が産業投資で一生懸命出資していると思ったら、東京都に資本割で納税せざるを得ないということになっていて、結局それが東京都の税収になって、日本全体を見渡したときに、東京都がたくさん税収を稼いで、地域間の税収格差が拡大するということになっているとすると、一体何をやっているのだろうかというふうに大局的に見ると思うわけですね。

そういう意味では、全ての官民ファンドで外形標準課税が課されているわけではないということは承知していますけれども、官民ファンドの中では外形標準課税を課されている官民ファンドがあって、官民ファンドがその元手の出資は産業投資であるとなっているということだとすると、もうちょっと何かこう、いいやり方というのはないのかと。しかも、それが地域間の税収格差を助長するかのような方向に働いているということだとすると、ますます矛盾を感じるわけですね。

願わくは、総務省や東京都にきちんと理解していただいた上で、官民ファンドには政策目的があり、公益に資するような事業に取り組んでいるということであるからには、事業税を課すといった、少なくとも資本割を課すということは矛盾しているのではないかという問題提起を私はここでさせていただきたいと思います。

私から以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、山内委員、その次が西野委員ですね。よろしくお願いいたします。

〔山内委員〕山内でございます。ご説明いただきまして、ありがとうございました。私からは2つ、コメントを差し上げます。どちらかというと全体の話になります。

1点目は、今、土居先生がおっしゃっていた法人事業税の取扱いにつきまして、産投から出ている資金は本来、利益を伴ってちゃんと産投に戻ってくる前提であるところ、法人事業税として特定の自治体に流れているというのは、国と地方の関係でちょっとおかしいのではないかと私は考えているところでございます。

もちろん今まで様々なご議論があった上で、産投機関によって適用されているところ、適用されていないところの差があると思うのですが、私が知る限り、公開された情報としては、適用されているか否か、それはなぜかが明確ではないという点がございます。もし可能であれば、こういった議論を整理した上で開示をいただきたいと。

開示がなかなか難しい場合、別の観点ですが、官民ファンド幹事会で機関同士を比較する際、ベースが合っていないとapple-to-appleの比較にならないので、適用されている法人とそうではない法人を分けた上で比較する必要があるかも知れません。官民ファンドで働いている方の間でも、なぜ機関間で差がつけられているのかといった話になることも考えられます。関わる方々のモチベーションとともに、財政の国と地方のバランスを考えた上で、取扱いのポリシーについてご検討いただきたいというのが1点目でございます。

2点目は、先ほどINCJの志賀会長からご説明いただき、また、A-FIVEについてもお話がありましたとおり、私も丸田先生、有吉先生、岡田先生おっしゃったとおり、やってきたことをデータとして開示いただきたいという点です。私が特に申し上げたいのは、INCJさんは、これから組織が解消されますし、A-FIVEさんも解消されることになると思いますので、そのときにデータが逸失しないようにしてほしいという点です。INCJさんがベンチャー学会さんと研究されているのは非常に良い試みと思っています。最終的に第三者が検証しましたという点は大切で、あえてこういう言い方をしますけれども、お手盛り批判を避けるということもありますし、何より外部の目でクールに見ていただくことで、成果、良い点、悪い点をより客観的に評価できると思います。

ただ、専門の先生方がいらっしゃる前で申し上げるのも僭越なのですが、研究はデータをもらったからといって三か月、四か月で完成するものではなく、様々な統計手法を組み合わせ、特にヒアリングを中心した定性調査をすればかなりの手間と時間がかかります。それを考えると、活動が終わったからデータを消しますとなりますと、公共財としてのデータの役割がなくなってしまうと考えています。官民ファンドとして投資をしてきた結果というのは、私個人は一つの公共財と考えています。守秘義務の点はもちろん大切なのでその点を考慮した上で、まずデータそのものは非開示の部分を含めて関係省庁の皆さんのお手元には残っている形にしておいたほうがよろしいのではないかと。開示するとすれば、そのデータをほかの方が第三者的に利用できるようなオープンアクセスのような形で、可能であれば整備されることをご提案差し上げたいと思っております。

私からは以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、西野委員、お願いいたします。

〔西野委員〕ご説明ありがとうございます。私からはちょっと別の方向からということで、ファンドに係る専門職人材についてお話をさせていただきたいのですが、先ほどINCJの志賀会長からのお話に、人員、人の育成がございました。これはINCJの事業を行っているところで、ファンド関連のスキルといいますか、経験を持った職員が育って、それが民間のファンドとか、自らスタートアップを立ち上げるというようなところにつながっているとのこと。これは、単純にファンドでのお金のやり取り業務以上に、人の育成というところでも大変望ましいものであったと思います。

他方で、今回の各ファンドにつきましては、先ほど、例えばJOINで人材紹介会社を通じて専門職を募集しているというような話もございましたけれども、ファンドの専門職人材、デューデリができるとか、エクイティーファイナンスができるとか、プロジェクトファイナンスができるとかいった人材、つまり、お金を貸すだけではなくて伴走支援をも伴う可能性を考えますと、このような各ファンドのフェーズにおきましては、より高度な、といいますか、優秀な専門職人材が本来は必要かもしれないと考えられます。とはいえ、やはり機構側の給与体系というものもございますでしょうし、優秀な人材というのはファンド業界のネットワークの中で自由に動いていけるというような傾向もあるかと思います。そして、彼らのキャリアということを考えたら、言い方は悪いですけど、勝ち馬に乗っていくということがキャリアとしてはあり得るものとも考えられるので、こういったところで頑張ってくれる優秀な専門職人材をどのように獲得して、そして継続して雇用していくかということは大変重要な課題であろうと考えております。

そういう中で、これら機構がそれぞれ別個に採用し、人材を募集しているということは、もしかしたら限界があるかもしれなくて、より優秀な、といいますか、より高度な専門職とか専門知識、スキルを持った人材というものをあえて投入することがこれらファンドに必要なのであれば、そうしたことについてもご配慮いただき何かしらの工夫というものがあってしかるべきではないかなというふうに考えております。

以上でございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、今までの委員の質問やコメントにつきまして、ご回答をお願いしたいと思います。

それでは、財務省からよろしくお願いいたします。

〔天井財政投融資企画官〕ご意見賜りました。ありがとうございます。

まず、丸田委員からいただきました、評価額を下回っている案件でございます。ご存じのように、会計検査院は令和5年度末の件数を積んでおりまして、各ファンドから報告いただきましたとおり、一部エグジットしているものもありますが、ご指摘のとおり、公正価値評価を使って透明性ある経営に努めて、回収の最大化を図っていただくということが必要かと思っております。財務省としても必要な対応を促してまいりたいと考えているところでございます。

また、土居委員と山内委員からいただきました、産投でせっかく出資しているのに、資本割で地方に納税されてしまってという点でございます。こちらにつきましては、恐らく地方にどれだけ貢献しているかどうかという観点から決まっているものかと思われますけど、その点は一度総務省とも話しながら今後研究させていただきたいと考えているところでございます。

官民ファンド幹事会でも、税をどのように計上するかということは、現在、事務的にも検討しているところでございますので、そこで並行しながら検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

最後に、西野委員からいただきました専門人材をどうやって獲得しているかということは、本当に官民ファンド全体として非常に難しい問題であるということは承知しておりますけれども、どういった対応ができるかということも今後研究していきたいと考えております。

各ファンドから、もし良い取組などご紹介できるものがあれば、その点ご紹介いただければと思います。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕それでは、先ほどの発表の順にご回答をお願いいたします。

〔海外交通・都市開発事業支援機構武貞代表取締役社長〕JOINでございますが、丸田先生からご指摘いただきました新規投資のところでございます。まず、国交省との連携は、引き続きやっていくのですが、具体的に言いますと、今まで割と個別個別、ハンドメイドだったもので、案件ごとにいろんな情報が錯綜していたのをある程度、定型化と言ったら変ですけれども、統一化するとか、そういうところから今、国交省の連携も強めております。

また、新規案件のところですが、ちょっと心配しておったのですが、幸いにして、インフラということで、もともとDD期間が長いものですから、現時点であればまだ新規を提出する前の案件等が残っておりまして、それをご指摘いただいたように複数回、事業委員会で審議するというプロセスで、新規の案件を数件、今やらせていただいておる状況でございます。

また、当然、手持ちの内談が減ってきておりますので、今後、再度新たな内談をつくっていきたいと思います。幸いにして、比較的、海外勢、それから、国内インフラ企業さんの評価はいただいておりますので、こういう状況でも、交通案件も含めて内談いただいておりますので、引き続きこの内談を確保しつつ、ご指摘賜ったようなDDの充実、事業委員会の議論の充実を含めて新規案件を今後進めていきたいと思っております。

〔国土交通省田中国際統括官〕国土交通省から、岡田委員からのご指摘につきまして、ご説明させていただきます。高速鉄道ですとか輸送道路のような戦略性があるようなものでなく、今後重視しようとしている住宅、ショッピングセンター、こういったものについては、そもそもJOINがやる必要があるのだろうかというご指摘がございました。中長期的なビジョンが必要というところでございましたが、結論から申し上げますと、そうした中長期的なビジョン、しっかり戦略的な意義を踏まえたものが必要だという認識でございます。

その上で、少し補足を申し上げますと、事例として挙げられました鉄道ですとか輸送系、こういった戦略性があるとおっしゃっていた部分、まさにそのとおりでございますし、収益が出たら大きな収益につながるものでございますが、やはりどうしても時間がかかるということ、リスクも大きいということで、こういったところだけをたくさんやっていくと、やはり底をはっているような期間が長くなってしまうというところはございます。

したがいまして、当面は、まずは今回、単年度黒字を達成できましたけれども、それを常態化させるということが必要でございます。なので、まずはブラウンフィールドですとか都市開発のような短期間で収益ができるものをバランスよく、まずはやっていくことが必要でございますが、長期的には戦略的な、地政学的なコネクティヴィティといった観点での輸送系のもの、あるいは港湾ですとか空港などもあるかと思いますが、そういったところも組み合わせた上で、しっかりと戦略的な意義が発揮できるようなファンドとして成り立たせていくというところが必要だと思いますので、こうした長期的なビジョン、こういったものは引き続きしっかりと検討していきたいと思っております。

以上でございます。

〔翁分科会長〕それでは、クールジャパンからお願いいたします。

〔経済産業省江澤商務・サービス政策統括調整官〕クールジャパン関連について、経済産業省から、及びCJ機構からご説明します。租税公課について、土居委員、山内委員からご指摘をいただきました。まさに、その後は租税公課も含めて累積の損として計上しているところでございます。累積の損益のうち、383億円のうち、55億円、こちらが法人事業税等を含む租税公課になっております。法人税というよりは、むしろ収益を今回上げたのが初でございますので、むしろ法人事業税によって、法人事業税を東京都に納めているといった状況でございます。こちらにつきましては、全体のファンドの比較可能性などの考えを踏まえまして、全体として比較可能なように、全体の並びで回答ができればというふうに考えております。

それから、丸田委員のご指摘のエグジットとLP出資については、CJ機構の川﨑社長からお願いします。

〔海外需要開拓支援機構川﨑代表取締役社長CEO〕丸田委員からご指摘、ご質問いただきました2点につきまして、私からご説明させていただきます。

まず、会計検査院検査報告の中で、エグジット時期を超過している案件が、令和5年3月末時点で15件あるという指摘を受けましたけれど、令和7年3月末時点ではそのうち7件は既にエグジット済み。昨年エグジットした案件のうち、エグジット時期を超過していますということで指摘いただいた案件で大きなリターンを挙げた案件もございます。今後もしっかりと回収額の最大化に努めてまいりたいと考えております。

また、もう一つありました、今後、LP出資を増やすのかというご質問に対してですが、これまでのLP出資につきましては、当然のことながら十分な政策的意義を満たすことを大前提として、なおかつリターンの期待できるファンドに出資してきたということですが、クールジャパン機構の場合、33年度までという期間が区切られておりますので、ここから十分な投資期間が確保できるようなLP案件はあまり出てこないのではないかと考えておりまして、今後一、二件がラストチャンスとなるのではないかというふうに考えております。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、JICTのほうからお願いいたします。

〔海外通信・放送・郵便事業支援機構大島代表取締役社長〕それでは、大島のほうから申し上げます。ご質問、ご指摘ありがとうございます。

データセンター需要は今、大変、非常に強いということでございまして、丸田委員、それから、有吉委員からのご指摘のとおりで、まさに世界競争というところでございますが、案件を幾つか実績を積み上げる中で、ご相談も今、非常に増えているのが実情でございます。その中で、どの案件を選んで効果的にやっていくか。これは予算との兼ね合いも含めて大きな課題だというふうに認識しています。そういった意味では、まず、先ほどお話がありましたように、大企業の、あるいは、日本を代表するような企業様からのご相談が多いわけですので、世界戦略もよくお伺いしながら効果的に取り組んでいけるところはどこかということはしっかりと見てゆきたいと思っております。

その中で、やはり地域の分散でありますとか、事業パートナー全体の戦略の中でご相談案件にどういった意味合いがあるのか。それから、案件そのものの裏側にある最終需要者がどこで、キャッシュフローが安定しているのか、ストラクチャーはどうなのか、こういったようなところをしっかり詰めながら、堅確な案件に投資の機会を見つけていくという形で取り組んではございます。

一方で、ポートフォリオ全体のバランスということでございますと、理財局様の資料の2-1の7ページ目に、ちょうどポートフォリオ構成の投資額上位というのを載せていただいておりまして、JICTのほうは右下に円グラフがございます。昨年度、この左下にございますインドにおけるデータセンターの整備の追加をし、米国におけるデータセンターの投資をしたわけですけども、それ以前の絵姿でございますと、欧州の大型案件2件に偏っていたということで、足元では、新しい案件を実施したことで、むしろ地域性のバランスを確保するという効果を見いだしているところでもございます。今後も、データセンター案件は金額的には大きいということですので、多角的に分析しながら、ポートフォリオの安定性を引き続き維持していくということは非常に重要かと思います。

先ほど報告資料の中の資料2-4のところに記載がございまして、支援範囲拡大後に14件案件を実行させていただいておりますけども、ソフトウエアやLPの領域が10件ということで、件数的には非常に幅広くなっているところでございますが、先ほどからのご指摘のように、投資分野によって金額の多寡がかなりございます。この辺りをどうバランスしながら、かつ、場合によっては踏み込んだ対応が政策的に必要だということもあろうかと思いますので、この辺りはしっかり主務官庁ともご相談しながら取り組んでまいりたいというふうに思っております。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、A-FIVE、お願いいたします。

〔農林漁業成長産業化支援機構矢花取締役専務〕ありがとうございます。A-FIVEでございます。

まず、丸田委員からご指摘のありました、最終年度ということで、残る案件の数はかなり限られてまいりました。回収は進んでおりますが、やはり残った案件の中にまだ規模の大きなものが残っておりますので、こちらをしっかり期限内に、そして、計画からの乖離を縮小すべく、全力を傾けていきたいというふうに思っております。

また、併せまして、有吉委員、岡田委員、土居委員、山内委員からご指摘をいただきました。これまでの成果の整理、それだけではなくて、この失敗の経験というものもしっかり振り返って、次に生かせるような形で整理をしていくというご指摘をいただきました。こちらについては、監督官庁とも相談しながらしっかり対応してまいりたいと思っております。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、志賀会長、お願いします。

〔INCJ志賀代表取締役会長(CEO)〕私から、先ほどちょっとINCJシンポジウムのご紹介をさせていただいたのですが、INCJシンポジウム、RIETIと、それから、日本ベンチャー学会との共催をします。パネルディスカッションでは、相当辛口のメディアの方も呼んで、官民ファンドの在り方はどうあるべきかという、わくわくするような議論をしたいというように思っています。さすがにこの会場におられる皆さん全員をご招待するわけにはいかないのですが、RIETI(経済産業研究所)のYouTube、rietichannelでもライブ配信していただけますので、ご興味のある方はぜひrietichannelをご覧いただければと思います。

私から以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。これで質疑は終了したいと思います。大変皆様から貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。今日の委員の意見を踏まえまして、今後しっかり4ファンドにつきましては検討を深めて、業務を執行していただきたいと思います。また、志賀会長には大変貴重なご経験をご披露いただきまして、大変ありがとうございました。

それでは、官民ファンドの関係者の方々にはご退席いただきます。どうもありがとうございました。

(官民ファンド関係者退席)

〔翁分科会長〕続きまして、「財政融資資金等の実地監査」について、原井管理課長よりご説明をお願いいたします。ちょっとすみません。時間が本当は16時半に終わるはずだったのですけれども、簡潔にご説明いただいて、質疑もできるだけ短めにお願いできればと思っております。

続きまして、伊藤計画官より、過疎対策事業債についての取組状況のご説明を続けてお願いいたします。

〔原井管理課長〕管理課長の原井でございます。私からは、資料3に基づきまして、「財政融資資金等の実地監査」について説明させていただきます。

3ページをご覧ください。法人等への実地監査でございますが、令和6事務年度におきましては、資料中に記載の3機関に対して監査を実施しております。

各機関の監査結果の概要につきましては、まず4ページをご覧ください。国立長寿医療研究センターでございますが、繰越欠損金解消計画の見直しとリスク管理プロセス等の整備に係る指摘を行っております。

5ページをご覧ください。自動車安全特別会計(空港整備勘定)でございますが、空港使用料の見直しについて、前広に検討を進めることを求めたものでございます。

6ページをご覧ください。株式会社海外需要開拓支援機構でございますが、内部統制の実施状況に係る指摘のほか、現預金の適正な管理に係る指摘を行っております。

続きまして、8ページをご覧ください。全国の財務局等で実施している地方公共団体に対する実地監査の結果を記載してございます。

9ページをご覧ください。この後、伊藤計画官から、地方公共団体の課題解決に向けた取組への支援について説明がございますが、ここでは監査を通じて実施した公営企業の課題解決に向けた取組への支援について、2例ほど記載しております。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

お願いいたします。

〔伊藤計画官〕計画官の伊藤でございます。資料4に基づきまして、ご報告いたします。

2ページをご覧ください。こちらは国会修正を経て成立いたしました令和7年度財政投融資計画における地方公共団体向けの財政融資の概要でございますが、昨年12月から財政融資資金部分の金額に異同はございません。

3ページをご覧ください。こちらは昨年の分科会でご議論いただいた内容をまとめたものでございます。

4ページをご覧ください。こちらは過疎対策事業債の概要となっております。過疎対策事業債は、総務省の告示である「地方債同意等基準」において、地域の持続的発展に資することなく効果が一過性である事業に資する経費については対象外とされております。

5ページをご覧ください。こちらは、過疎対策事業債の現状をまとめたものでございます。棒グラフの地方債計画額、グラフ下の表1段目の過疎関係団体数、いずれも2009年度を底として増加に転じているところでございます。

6ページをご覧ください。日本の人口が減少局面を迎えていることを背景に、過疎対策事業債の根拠法の目的規定が、過疎団体の自立促進から持続的発展に変化しております。低い自己負担額で事業を実施できる財政上の特例措置でございます過疎対策事業債は、地域開発を促進するための譲許的融資であると言えると考えられます。

7ページをご覧ください。譲許的融資であることを背景に過剰に借入れをしますと過疎団体の財務が悪化することが考えられますので、財務局のコンサルティング機能を発揮してまいる所存でございます。そのため、今年度の財務状況把握のヒアリングでは、過疎対策事業の運営状況を確認するため、積極的に過疎団体を選定しております。また、その際には好事例の情報収集を行ってまいります。

8ページをご覧ください。ヒアリング等で集めました好事例を効果的に横展開できますよう、令和7年度より総務省と協力いたしまして、全国で財務局・財務事務所と都道府県市町村課との連携を強化してまいりたいと考えております。

9ページをご覧ください。全国の財務局・財務事務所から担当者が都道府県市町村課に訪問する際に活用できるようにリーフレットを作成したものでございます。

10ページをご覧ください。先ほどの先行事例として、宇都宮財務事務所において、本年5月の地方債起債に当たってのヒアリングで把握した地域課題について、栃木県市町村課と共有した上で、合同でオンラインセミナーを開催したところでございます。その際には、総務省のアドバイザーリストを活用したほか、北海道財務局より紹介を受けまして、北海道小清水町の事例を説明するなど、全国組織である財務局のネットワーク機能を通じて好事例の効果的な横展開につなげているところでございます。

最後に11ページをご覧ください。まず資料の左側でございますが、分科会でのご議論等を踏まえ、総務省と連携しながら、過疎団体に説明を続けているところでございます。次に右側について、投資的ソフト事業に関して、現在、知見のある機関等からの情報収集を行っているところでございます。ただ、過疎団体の課題解決につながるものとしては、やはり人づくり、人への投資ということが重要になってくると思いますので、今後、先生方からご意見を頂戴できればと考えております。

私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、ただいまの2つのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。岡田委員、丸田委員、土居委員の順でお願いいたします。

〔岡田委員〕ご説明ありがとうございます。この過疎対策事業、6ページにある過疎対策事業の目標は、過疎地域の自立促進から過疎地域の持続的発展に変化していくことが分かるというのは非常に重要な視点かなと思います。日本全体で人口が縮小するのは確実という中で、地方の経済、過疎が特にそうですけれども、あらゆる面で人が減っていくという中で、例えばローカル線をいつまで残すのだとか、あるいは地方のインフラ、上下水道なども老朽化して、どこまで修繕するのだとか、そうした課題が全てあると思います。例えば最近、米の話などで議論していて、米農家の実情というのは、やっぱり都会の人はあんまりよく分かっていないというのがあって、米というのは本当に地方に根を張った、経済に広い意味で根を張っているという形がありますけれども、基幹的農業従事者は、20年で200万人から100万人に減って、今後20年でさらに30万人減っていくという中で、最近はスマートシュリンクという言葉が言われたりしますけれど、そうした過程ではソフトランディングというか、スマートシュリンクというか、どのようにダウンサイジングしていくのかということを地方の方々が切捨てのようにならない形でどういうふうにシュリンクしていくのかというのを、大きいコンセプトがある中で、石破政権自体も地方創生と掲げていますので、そうしたコンセプトを踏まえて、個別にこうした対策債というのをどのようにやっていくべきかを考えていくのが大切ではないかと思いました。

私から以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

丸田委員、お願いします。

〔丸田委員〕丸田でございます。ご説明ありがとうございました。私からは簡潔にですが、まず実地監査でございますけれども、やはりちょっと気になったのがクールジャパン機構に対する指摘です。改訂工程表のJカーブを達成していかなければいけない厳しい環境の中で、このような事項が指摘されるというのは、質的によろしくない内容のように見受けられますので、しっかりフォローアップをしていただきたいと考えております。

これが1点目です。

過疎対策事業債につきましては、昨年、いろいろ議論ございましたが、ここに書かれている取組をしっかり進めていただきたいと思います。特にソフトはなかなか不透明な部分もありますので、好事例をしっかり共有いただいて、コンサルテーションを積極的に行っていただくことを期待しております。よろしくお願いいたします。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、土居委員、お願いします。

〔土居委員〕私は、過疎対策事業債に関して一言申し上げたいと思います。まさにこの資料4の6ページの一番下に書かれているように、譲許的融資ということだと思いますので、やはりマネジメントはしっかりやっていただきたいというふうに思うわけです。

5ページにあるように、人口減少も相まって、過疎関係団体数は近年増えているわけでして、人口減少があるがゆえになかなか、これが減るという方向には単純には行かないとは思うのですけれども、だからこそ対象団体が多くなっているがゆえに、ますます8ページ以降に書かれているような事業の展開の工夫というものが今まで以上に求められると思います。しっかり理財局、それから、各地域の財務局におかれては、当該団体が、条件が緩いということであるがゆえに、事業展開において気が緩まないようにしっかりとモニターしていただきたいなというふうに思うわけです。

特に4ページに、対象事業について過疎対策事業債が充てられる対象事業が列挙されていますけれども、過疎関係団体でなければ、一般の公共事業債で起債して事業を展開しなければいけない。しかも、そのときの起債充当率は、過疎対策事業債よりも充当率が低いということが往々にしてあるわけですし、さらには元利償還金に対する交付税措置率も低いということになっている中で、過疎対策事業債よりも厳しい条件で事業を進めるということが、過疎関係団体でない地方自治体はそういう状況に置かれているということとの関連で、やはり条件が厳しいがゆえに、その事業の採否についてより厳しく見ている過疎関係団体でない市町村と、そうでない過疎対策事業債が出せる団体との間で、あまりにもかけ離れたような事業の展開があると、やはり同じ日本に住んでいながら、どうしてこれほどまで条件が違うのかという話になりかねませんので、そういうようなことにならないように今後も引き続きしっかりと理財局、財務局におかれましてはモニターしていただきたいなと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。もしご回答ありましたら簡潔にお願いしたいと思いますけど、まずこちらから、原井管理課長から。

〔原井管理課長〕ありがとうございました。丸田委員からご指摘いただきました、指摘に対するフォローアップでございますが、いずれの法人もそうですが、指摘先から対応方針を求めまして、財投編成過程等を通じて議論していくということとしております。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕伊藤計画官、お願いします。

〔伊藤計画官〕ありがとうございます。岡田委員、丸田委員、土居委員から非常に貴重なご意見をいただいております。昨年の分科会でいただいたご意見を通じて、今回こういう取組を進められましたので、今後とも、今日のご意見も踏まえて、またさらに取組を進めてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、予定の時間、大分過ぎてしまいましたけれども、本日の議事はここまでといたします。ご議論いただいた内容のほか、もし追加のご意見、ご質問などがございましたら事務局までお寄せいただければと思います。

なお、昨年7月に当分科会で取りまとめた「財政投融資の在り方に関する議論の整理」に基づき、特会法改正法が成立しております。この法律の具体的な運用については、今後適宜、当分科会で議論する機会もあろうかと思いますので、参考資料として配付しております。資料をご確認いただければと思います。

また、本日の議事内容につきましては、この後、事務局より記者レクを行います。議事録につきましては、委員の皆様のご了解をいただいた後、財務省ホームページに掲載をいたします。

次回は、7月31日木曜日14時から、「財政融資資金運用報告書」等について審議を行う予定としております。本日はご多忙の中、誠にありがとうございました。これにて閉会いたします。

16時51分閉会