財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録
財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第
令和6年12月26日(木)13:29~14:14
財務省国際会議室(本庁舎4階)
-
1.開会
-
2.議案
- (第1号)令和7年度 財政投融資計画
- (第2号)令和7年度 財政融資資金運用計画
- (第3号)令和7年度の財政融資資金の融通条件
- (第4号)令和6年度 財政融資資金運用計画の一部変更について
-
3.報告事項
- 交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還計画の変更について
-
4.質疑・応答
-
5.閉会
配付資料
議案第1号 | 令和7年度 財政投融資計画 |
---|---|
議案第2号 | 令和7年度 財政融資資金運用計画 |
議案第3号 | 令和7年度の財政融資資金の融通条件 |
議案第4号 | 令和6年度 財政融資資金運用計画の一部変更について |
議案関係説明資料(1)議案第1号、第2号及び第3号関係 | |
議案関係説明資料(2)議案第4号関係 | |
参考資料 | 令和7年度 財政投融資計画の機関別事業計画・資金計画 |
資料1 | 交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還計画の変更について |
出席者
分科会長 |
翁百合 |
窪田理財局長 森田審議官 吉住財政投融資総括課長 村松資金企画室長 天井財政投融資企画官 原井管理課長 横山計画官 伊藤計画官 |
|
委員 |
土居丈朗 野村浩子 |
||
臨時委員 |
有吉尚哉 岡田章裕 工藤禎子 冨田俊基 山内利夫 |
13時29分開会
〔翁分科会長〕それでは、予定の時間となりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開会いたします。
本日は、財政投融資計画等に係る4つの議案に加え、報告事項についてご審議いただきます。時間が限られておりますので、ご質問、ご意見などはできるだけ簡潔にお願いいたします。
なお、本日は、予算案の決定を間近に控えていることから、事務局側において、業務の都合上、やむなく途中退席をする場合もございますので、あらかじめご了承願います。
それでは、議事に移ります。
令和7年度財政投融資計画等に係る議案第1号、第2号、第3号について、事務局よりご説明をお願いいたします。
〔吉住財政投融資総括課長〕ありがとうございます。財投総括課の吉住でございます。「議案関係説明資料(1)議案第1号、議案第2号及び議案第3号関係」という資料に沿いましてご説明させていただきます。
まず4ページをご覧いただけますでしょうか。令和7年度財政投融資計画のポイントという形で書かせていただいております。ここにございますように、令和7年度財政投融資計画の総額は12.2兆円という形になっておりまして、その内訳は、貸付けの財政融資が9.8兆円、産業投資が0.5兆円、政府保証が2.0兆円という形になっております。
令和6年度当初計画との比較で申し上げますと、総額で四捨五入しますとマイナス1.2兆円となっておりまして、内訳は、財政融資がマイナス0.5兆円、政府保証がマイナス0.6兆円という形になっております。
他方、表の右側の産業投資は単位が億円と小さくなっておりますが、公的なリスクマネー供給の必要性の高まり等を受けまして、右肩上がりで増加しておりまして、令和7年度計画の4,799億円は過去最大の規模となっております。
次のページをご覧いただけますでしょうか。ここで財政投融資計画の主な機関について、表を載せさせていただいております。このうち6年度と比較いたしまして、増減額の大きな機関をご紹介させていただきます。
まず増加したところでございますが、計画額が増加した機関といたしましては、表の上から2番目の国際協力機構でございまして、円借款などを行っており、これを着実に実施するため、十分な資金を措置するためにプラス2,400億円程度となっております。
その下、国際協力銀行は、日本企業の海外進出あるいは日本企業による海外企業の合併、買収などを支援しており、資金需要の高まりを受けまして、プラス3,600億円程度となっております。
減少のほうでございますけども、計画額が減少した機関といたしましては、表の一番上、日本政策金融公庫でございまして、資金繰り支援に係る資金需要を的確に見極めまして、必要額を措置した結果として、マイナス8,500億円程度となっておりまして、これが全体総額の減少の主な原因となっております。
なお、政府保証の減少につきましては、表にはございませんが、日本高速道路保有・債務返済機構の政府保証額が1兆円から5,000億円程度に減少していることが、政府保証の減少の主な原因となっております。
それでは、10ページをご覧いただけますでしょうか。先ほど申し上げましたけれども、国際協力銀行、JBICでございます。財政投融資は、正確に申し上げますと、1兆4,680億円となっております。10月の分科会では、一般業務勘定の自己資本比率につきまして、JBIC設立時の自己資本比率である23.4%を目指す必然性はないのではないかといったご意見や、特別業務の案件組成実績が乏しい現状において、要求の背景にあるような大口案件の形成を行うことは非常に唐突な印象を受け、リスク分散が効かなくなるため、問題があるのではないかといったご意見をいただいたところでございます。
こうしたご意見を踏まえまして、一般業務勘定につきましては、一定の自己資本比率を確保する必要性を認めつつ、引き続きJBICと適切な業務遂行に必要な自己資本やリスク管理について議論を行うとする一方で、ご指摘いただきました特別業務勘定につきましては、ポートフォリオ管理の観点から、追加の財投措置は行わない、見送るということにいたしまして、その上で着実な案件組成を努めていただくということにしております。
12ページをご覧いただけますでしょうか。12ページは、日本学生支援機構でございます。財政投融資5,147億円を措置することとしております。こちらは11月の分科会で、所得連動返還方式の導入に関する分析等に関するご意見をいただいたところでございます。所得連動返還方式選択者の返還状況等に係るEBPMを適用した分析といったお話につきましては、6年度中に工程表を策定の上、今後、複数年かけて実施していくという形にしております。
15ページをご覧いただけますでしょうか。15ページは産業革新投資機構でございます。財投、これは産投ですけども、財政投融資800億円を措置することとしております。11月の分科会におきましては、スタートアップの創出、育成へのJICの役割を期待しているといったご意見や、LBOのスキームでは、借入れを含めてエクスポージャーが大きく、想定IRRがどの程度ポジティブか見えないため、大型案件にアクセルを踏み込んでよいか判断が難しいといったご意見をいただいたところでございます。
資料の事業内容のところに、7年度の投資計画の内訳を記載しておりますが、大型の投資案件以上に、スタートアップや地方創生に資する投資に注力していくこととしております。
最後、18ページをご覧いただけますでしょうか。18ページは地方公共団体でございます。後ほど計画官の伊藤から説明させていただきますが、財政投融資2兆2,699億円を措置することとしておりまして、その次のページに、地方公共団体における融通条件改定の資料をつけさせていただいております。
最後に、21ページをご覧いただけますでしょうか。21ページでございます。前回の分科会においてご紹介させていただきましたけども、産業投資につきましては、新たな取組といたしまして、地方経済の活性化につながる事業につきまして優先的に資金供給を行うという形にしております。
具体的には上のほうに書いておりますように、日本政策投資銀行、産業革新投資機構、脱炭素化支援機構等に対しまして、産業投資386億円を措置して、民間資金と併せますと事業規模1,040億円、政府保証を併せますと、事業規模約1,900億円の資金を供給することとしております。本日、いろいろとご意見を賜りたいと思っておりますので、私からの説明は、簡単でございますが、以上にさせていただきますが、引き続き計画官から補足説明させていただきます。
〔横山計画官〕計画官の横山です。私から、まずJOINについてご説明させていただきたいと思います。同じ資料の24ページをご覧いただけますでしょうか。24ページは、JOINの改善策等ということでございます。前回の分科会で国土交通省から説明がありました、有識者委員会の最終報告、改善策について記載しておりますが、説明は、この場では割愛させていただきます。
25ページをご覧ください。来年度の財政投融資をどうするかということでございます。前回の分科会におきましては、改要求について、事業規模が250億円、そのうち財政投融資227億円の要求額でございましたが、この表の上段にありますように、投資計画額の見込みが220億円で将来やっていくという改善計画でございますので、来年度当初計画としましては、右下段にありますように、事業規模は218億円、そのうち財政投融資197億円、産業投資162億円、政府保証35億円という形にさせていただきました。
支援が想定される案件例としましては、左下にございますようなアジアにおける複合施設管理・運営事業とか有料道路管理・運営事業といったものを想定してございます。
それから、資料にはございませんが、日本政策投資銀行について一言ご報告させていただきます。同行の特定投資業務については、投資決定期限が令和7年度末とされておりますところ、その在り方の検討を行うために勉強会が開催されていたところでございます。12月20日付で公表された取りまとめにおきましては、この特定投資業務の投資決定期限を5年間延長すること、業務完了期限を10年間延長することが適当であると整理されておりますので、ご報告させていただきます。
私からは以上でございます。
〔伊藤計画官〕計画官の伊藤でございます。私からは、資料の19ページに戻っていただきまして、10月にもご議論いただきました過疎対策事業債についてご説明させていただきます。
過疎対策事業債につきましては、広域化、集約化、複合化といった効率化に資する事業推進のインセンティブを高める観点から、1970年の導入以降、55年ぶりに融通条件の見直しを検討いたしまして、資料下の表にありますように施設に対象を限定し、統廃合や延床面積の減少などを要件とした上で、令和12年までと期間を区切って特例的に措置することといたしました。
なお、導入後は利用実績などのフォローアップについてしっかりと実施してまいりたいと考えている次第でございます。
どうもありがとうございます。以上でございます。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
それでは、次に、令和6年度財政投融資資金運用計画の一部変更に係る議案第4号及び交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還計画の変更について、事務局よりご説明をお願いいたします。
〔伊藤計画官〕続きまして、議案第4号、地方公共団体に係る財政融資資金の弾力追加でございます。議案説明資料の表紙をおめくりいただきまして、2ページ目、資料の中段の表にございますように、地方公共団体に対する財政融資資金の貸付けを1兆1,366億円追加してよいかお伺いさせていただきます。こちらにつきましては、令和6年度補正予算(第1号)等に伴うものでございまして、主に1月の能登半島地震、それに続く9月の豪雨災害に対する災害復旧事業に充てるためとなってございます。
詳細については3ページ以降となりますが、今回は割愛させていただきます。
なお、令和6年度の地方公共団体に対する財政融資資金の計画額は、今回の追加によりまして、表の一番右上の箱にありますとおり、3兆4,624億円となります。
続きまして、併せて報告事項といたしまして、10月にもご意見を頂戴いたしました交付税特会借入金の償還計画についてご説明いたします。資料1、交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還計画の変更についての2ページ目をご覧ください。こちらは交付税特会の借入金でございますけれども、令和7年度の償還額は当初6,000億円を予定しておりましたところ、足もとの国と地方の税収動向や財政健全化の重要性を踏まえまして、臨時財政対策債の発行が、既往分も含めゼロとなるとともに、令和7年度償還額が2兆8,000億円に変更されまして、償還完了予定も令和36年度から令和33年度に前倒しされるところでございます。今後も変更に伴う所要の特会法改正が行われる予定でございますが、我々としては今後とも着実な償還を進めていただくことが重要と考えております。
私からの報告については以上となります。どうもありがとうございます。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
それでは、ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご意見、ご質問をお願いしたいと思います。こちらの会場にいらっしゃる皆様につきましては、名前の札を立てていただきますようお願いいたします。オンラインでご出席の皆様につきましては、挙手ボタンもしくはチャットでお示しください。ご発言の際に資料を引用される場合には、資料番号と該当ページをおっしゃっていただくようお願いいたします。
それでは、ご質問などございましたらよろしくお願いいたします。
それでは、岡田委員、その次、工藤委員、お願いいたします。
〔岡田委員〕岡田です。本日はご説明ありがとうございます。政策金融について、今年の査定で伺いたいんですけれども、政策金融公庫、コロナ禍から大きな役割を果たしてくる中で、なるべく手厚めに積んでということでやって、結果として結構余るということが繰り返される中で、今年はそれでもまだ、何というんでしょうか。コロナから大分たちましたけれども、まだやや手厚めに、いろいろ損失なども出ているようですけれども、そのやや手厚めにということなのか、もう平時にということで、かなり絞ったものなのか。その辺りの査定のご判断を伺えればと思います。
〔翁分科会長〕ありがとうございます。
次に、工藤委員、お願いいたします。
〔工藤委員〕ありがとうございます。短期間で各機関からの財投要求を精査し、令和7年度の財政投融資計画等を策定し、本日お示しいただいたことを感謝いたします。10月18日にお示しいただいた令和7年度の要求額というのは12.7兆円だったわけですが、本日お示しの計画額は12.2兆円となっており、私たち委員の意見も踏まえて調整いただいたものと理解しております。昨年のこのタイミングの財投分科会で、私のほうから、近年は状況の変化が早く、新たな政策課題が次々と生まれるため、毎年の個別の取組の内容が相応に変化するのは当然であるという趣旨のことを申し上げたかと思います。
議案関係資料の4ページにおいて、産業革新投資機構が地方の大学発スタートアップ等に対して、資金供給を行うために800億円の産投を措置することが主な施策として記載されております。我が国においては、東京を中心にSaaS系のスタートアップが先行して次々に生まれてきておりますけれども、スタートアップエコシステムが地理的には全国に、また、分野としてもディープテックに広がりつつある状況を踏まえた、まさに変化を捉えた措置であるというふうに理解しています。
スタートアップ支援という一つの政策テーマの中でも、このようにマーケット状況の変化を捉え、資金が不足している有望領域に的確に資金供給を行うことが重要であり、また、他の財投機関、政策テーマについても同様と考えております。財投という手段が適切と考えられる対象をしっかりと機敏に判断していくことが求められており、今後も財投分科会で議論していければと思っております。よろしくお願いいたします。
〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。
それでは、野村委員、次に土居委員、お願いいたします。
〔野村委員〕ご説明ありがとうございます。全体の規模感としては、コロナの感染拡大も落ち着いているところでございまして、適正なものだというふうに考えます。特に全体を通して力を入れようとしている地方創生関連予算について、お伺いと意見でございます。
21ページに、産投は、地方創生イニシアティブとして386億、事業規模約1,000億とありますけれども、その他、金融公庫などの投融資では、資金需要にももちろんよるとは思いますけれども、どの程度の規模を想定していらっしゃるのか。それら全体含めて、石破総理の言うところの地方創生関連予算の倍増の一部と、これを考えてよいのかということをお伺いしたいと思います。
それからもう一つ、ちょっと細かなところで、7ページに関連するところでひとつコメントです。こちらに地方創生に関する融資の過去事例がございますが、例えばギャラリーカフェとか体操クラブとか、これだけではどのように地方創生につながるのかがちょっと見えてこないところではありますが、何らかの活性化につながっているのであろうと想像いたします。それぞれの過去の事例、プロジェクトがいかに地域の潜在ニーズを掘り起こして、地方の魅力の創生、創造につなげているのかという辺りをもう少しご紹介いただくといいかと思います。そうしたプロジェクトの組成に関して、こちらの金融公庫がコンサルティング型営業といいますか、窓口となりまして、ノウハウの提供をされる、資金の供給だけではなくて、そういうソフト面でもサポートされるといいのではないかと思います。
以上です。
〔翁分科会長〕ありがとうございます。
それでは、土居委員、お願いします。
〔土居委員〕幾つかコメントと、あと1点、質問させていただきたいと思います。順不同なんですけれども、まず地方公共団体、資料18ページで、臨時財政対策債は、令和7年度当初計画では発行しないこととなったということは隔世の感があるなというふうに思います。これは地方税収、それから、地方交付税の国税法定分の財源が順調に増えているということもその裏側にはあるだろうというふうに推察するわけでありまして、もちろん事業規模との比較で、それほどの財源不足が生じなかったという形で、ある意味で引き締まった地方財政計画がその裏側にあって、こういう形で臨時財政対策債を出さずに済んだというところは、それはそれとして評価したいと思います。
もちろん国の財政はどうなんだというのは、またそれはそれとして悩ましい問題はありますので、地方財政さえよければそれでいいというわけではないということは付言しておきます。けれども、少なくとも来年度の地方債計画においてそういう形になったというところは評価したいと思います。
それと併せて、これは報告事項ではありますけれども、交付税特別会計における償還計画の変更ということで、令和7年度に2兆8,000億円の償還をする計画となったというところは大変よいことだと思います。特に交付税特別会計の借入金というのは、一部には交付税の先食いという呼ばれ方をして、結局、本来、当年度で地方交付税を出すところを前借りしてしまったがために返済に回さざるを得ないということで、これは1990年代、2000年代に先食いをしてしまった結果ということなので、今日、その後処理をしているということですから、これ以上先延ばしにされないようにするためには、令和7年度において着実に2兆8,000億円の償還を実施していただくということはもはや不可欠だと思います。これは揺るぎない形で実現するということを願ってやみません。それが地方公共団体関連のコメントです。
それからもう一つは、JOINについてであります。25ページに、改善計画と、実際に令和7年度当初計画で、先ほど横山計画官からご説明あったように、改善計画と整合性を持たせながら令和7年度計画で措置されたということでありますので、これを再スタートを切る最初の重要な第一歩として、着実に改善計画が果たされるように、令和7年度からの新規案件についても、これまでこの分科会でも議論したことを踏まえながら、JOINにはしっかり改善計画を上回るような勢いで累損解消を目指していただくということを期待したいと思います。
最後に1点は質問なのですけれども、先ほど横山計画官から、口頭でということで、日本政策投資銀行の特定投資業務が期限を延長するということになったということですけれども、それはそれで、私としても是とするところですが、何かこの後、法改正とかが必要になるものなのかどうかという、今後の手続的なところについて教えていただきたいと思います。
以上です。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
そのほかはいかがですか。よろしいでしょうか。
それでは、冨田委員、お願いいたします。
〔冨田委員〕新年度の財投計画は、私どもの議論をいろいろと踏まえていただいてできたものだと全体像を評価させていただきます。その中で二つ質問です。1点は民都で、政府保証が1,100億円とありますけども、これは何に対する政府保証か。この点、今年議論していませんので、それをお聞きしたい。
もう1点は、産業投資に関わることなんですが、今回、こうした要求にとどまったのですが、いろいろと見ていますと、ラピダスに関わる支援を独立行政法人に出資機能を持たせるという形の議論などが出ておりまして、それについてどのように見ておられるのかということについてお聞きしたい。
以上です。
〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。
それでは、ご回答お願いいたします。
〔横山計画官〕ご質問ありがとうございます。私からまず公庫についてお答えさせていただきます。
岡田委員から査定の判断についてのご質問がございました。公庫につきましては、この分科会でもご指摘が以前ありましたように、執行率が低い状況が続いていたということでございまして、令和5年度の事業規模で言いますと、国民、中小部分を併せて4割弱ぐらいの執行率にとどまっていたということでございますので、今回、事業規模を精査しまして、足元の執行に見合った形で縮減させていただいたということでございます。
他方で、今、あまり事業規模を過剰に削りますと、それはそれで、貸し渋りですとかそういう懸念もございますので、そういったことがないようにしっかり事業はできるような規模は確保しつつ、実態に合わせた縮減というか、見直しをしたということでございます。
それから、公庫に関して、野村委員からご指摘がありました、地方創生に関する過去の融資の実例についてもうちょっとイメージが湧くようにということでございまして、3つ、事例を掲げていますけど、2つ目のギャラリーカフェの事業だけ、ちょっとエピソード的に紹介させていただきますと、山梨の事業者の方は、もともと都会に住んでいて、違うところに住んでいたわけですけど、総務省が力を入れている地域おこし協力隊という制度がありまして、その制度を使って山梨に移住されたと。そこで3年間活動されていて、そこの町に移り住んで、根を下ろしてやっていこうということで、カフェを開店されたということでございますので、かなり地方創生の文脈としては典型的というか、そういう事例かなというふうに思っております。
公庫の支援としても、従来からそういう創業支援ですとかそういうのは地域密着型で取り組んでいるというふうに認識しておりますので、こういった事例を引き続き頑張っていただきたいというふうに私どもとしても考えているというところでございます。
それから、土居委員からご質問がありました日本政策投資銀行の特定投資業務の期限について、これは法律で期限が決まっているものですので、延長するとなると法改正が必要となるということでございます。この勉強会での取りまとめを受け、どのように対応していくか、今、事務局である政策金融課で検討しております。
〔伊藤計画官〕ありがとうございます。まず冨田先生からご指摘いただきました民都の1,100億円でございますけれども、民都については、メザニン支援業務として民間都市再生事業計画の認定を受けた者に対して社債の取得等を行っておりますが、この資金として民都自身が社債を発行して資金を調達しておりますけれども、その民都が発行する社債に対して、1,100億円の政府保証を措置するというものでございます。最近はいろいろ都市開発もかなり進んでおりますので、その関係で、昨年に比べると増えているという状況でございます。
〔吉住財政投融資総括課長〕私のほうからお答えいたします。
まず工藤先生からの大学発スタートアップのお話をいただきました。経産省が発表しているところによりますと、今、スタートアップと呼ばれるものが日本で2.2万社ぐらいあって、そのうち4,300ぐらいが大学発と言われるものだと。そして、そのうちの1,600ぐらいが東京にあるということだというふうに聞いております。
具体的には、大学発は、大学の研究成果の活用でありますとか、あるいは学生が開発したものに対して支援するとか、そういったこととなっていると聞いております。過去もこれまでも産投といたしましては、これは大阪のほうですけども、例えばiPS細胞由来の心筋細胞シートの開発を行うスタートアップに対応したり、あるいは太陽電池の配線等に用いる銅ペーストの開発を行うスタートアップ、東北大学のほうですけども、そういったところに支援して、研究成果を開発していただく。そして、今般それを東京だけではなくて、いろんな各地でやっていただくということに対してリスクマネーを供給すると。そして、それと同時に、官が先鞭をつける形で、できるだけ民間出資を呼び込んでいくといった対応となります。
その意味で、野村先生から、規模感はどれぐらいなんだというお話がありまして、おっしゃいます通り、結局、スタートアップに対してどれくらいだというのがクリアカットに出せたらいいなとは思っているものの、例えば先ほど融資の話も申し上げましたけども、その審査がリスクマネーとしてなのか資金繰りなのかとか、なかなか色分けしづらい部分もございまして、では、今回はどうしたかというと、産業投資のほうに焦点を当てまして、逆に産業投資のほうで重点的にお金を出すと。それをリスクマネーとして、地方の創生に役立つものに出していくという捉え方から、やったものでございます。それが先ほど申し上げました民間出資で挙げますと、1,000億程度で、PFI機構の政府保証と併せますと1,900億円程度という形になっているというところでございます。
それで、交付金の倍増の一環なのかというご質問につきましては、あれは一般会計でやっている話でございまして、こちらは、我々、特会としまして、産業投資のほうで進めていくということになろうかと思います。
最後、冨田先生からご質問のございました半導体系のお話でございます。これにつきましては、先月、11月22日に経済対策の中で、AI半導体の産業基盤強化フレームといったものが出されたところでございます。その中におきまして、その一環として、補助委託のために産業投資、投資勘定からの繰入金といったものも規定されているところでございまして、そういった中身につきまして、今後進められていくものというふうに承知しております。そういったことを踏まえながら対応してまいりたいと思っております。
私からは以上でございます。
〔窪田理財局長〕最後のところで少し付け足しさせていただきますけれども、産業投資とIT投資の関係ですが、もちろん成長型経済に移行するという観点から、産業投資としても取り組んでいくべき課題と思いますが、それに加えて、財政の観点からも、これまで委託費という形で、完全な補助金でこういうものを応援していたわけですけれども、本来、収益性のある事業については、初期段階を超えた、あとは、投資という形で関わり、それを長期的にフォローしていくと。その上で、収益があれば、それをある程度お返しいただくという形の関わり方のほうが、国としての関わり方としても健全ではないかという考えを財務省としても持っているところでございます。
〔翁分科会長〕ご説明ありがとうございました。
今のご説明に関しまして、追加的にご質問などございますか。岡田委員、お願いします。
〔岡田委員〕ご説明ありがとうございます。まだ決まっていないというか、まだ流動的な話で、この質問が適切かよく分からないですけれども、ただ、世間で話題になっている103万の壁ですね。今の予算案については一旦決定するということでありますけれども、国会で修正含みではないかというふうなことも伝えられているところかと思います。103万円の壁がどの程度上がるのかということに関しては、まだ全く現時点では、明日の予算案の決定以上のことは何も、おっしゃることは難しいということかも分かりませんけれども、上げていくときの議論として、地方税収が減った場合に臨財債で対応するのかどうかという、それに対して地方のほうがそれは困るという議論が起きていたと思いますけれども、この辺りは、臨財債ゼロということで、地方財政の健全化で望ましい流れだということでありますけれども、この辺りの臨財債をめぐって今後どうすべきかという辺りは、何か基本的な財務省としてのお考えはあるんでしょうか。
〔伊藤計画官〕おっしゃるとおり、103万円の壁については、もちろん地方税収に影響が出てくるところでございますけれども、臨時財政対策債で対応するといった財源の話についてはまだ全くなされていないところですので、我々も状況を注視していくのが一番大切であると思っています。
〔翁分科会長〕それでは、土居委員、お願いします。
〔土居委員〕今の関連で少しコメント申し上げたいと思います。まさに、伊藤計画官がおっしゃったように、当然、予断を許さない段階だというふうに思います。それとともに、もう少し国民の方々に、単に税制だけの話にとどまらないということをご理解いただくということも必要で、それは地方財政対策とか、地方財政計画にも個人住民税の影響が及んでくるんだと。さらには地方債発行がどうなるかというところにも効いてくるしということですので、単に手取りを増やすか増やさないかというような次元の話に、狭い議論にとどまらないように、広い視野で国民的な議論が必要なんじゃないかなと改めて感じたところであります。
それとともに、18ページで、今、財政の話が出ていたところで、はたと気がついたことは、今の計画で、令和7年度の財政融資の事業別計画額は、シェアで言うと22%が辺地及び過疎対策になっていると。そして、19ページには、そのうち融通条件として、令和12年度まで30年、固定金利を措置するということを認めるという話になったと。それはそれとして特に異論はないんですけれども、その分だけ固定金利になる期間が長くなるということになりますと、やはりALMをしっかりしていただくという必要があると。過疎債の規模がそれほど大きくなければ、このぐらいは飲み込めるという話なのかもしれませんが、先ほど申し上げたように、それなりのパーセンテージで、地方債計画の中で措置されるということになりますので、もちろん起債をする地方団体におかれても有効に活用していただくということが当然として一番にあるわけですけれども、理財局におかれても、固定金利にするということに伴う金利変動の影響というのをうまくマネージしていただくということを期待したいと思います。
以上です。
〔翁分科会長〕ありがとうございます。今の点について何か。お願いいたします。
〔伊藤計画官〕土居先生、どうもありがとうございます。ご指摘のとおり、過疎対策事業債については財政融資資金全体に占める規模が大きくなっておりますので、個別の中身もそうですが、全体のマネジメントをしっかりしていきたいと思っておりますし、特に固定金利での融通条件を一部変更いたしますので、その点は財投総括課ともしっかりと話をしながら、無理のない形で進めてまいりたいと考えております。いずれにしても、我々としては、今後フォローアップもしっかりしていきたいと思っておりますので、引き続きご議論、ご指導のほどよろしくお願いいたします。
〔翁分科会長〕ありがとうございます。
そのほか、よろしいでしょうか。今回の予算案が、今後どういう状況になりましてもまた改めてご説明をいただくということで、ご了解いただければと思います。
それでは、皆様からいただいた様々な意見をもちまして、本分科会の意見とさせていただきたいと思います。
それでは、予定の時間より少し早いですが、本日の議事はここまでといたします。
なお、本日使用した資料は、後日、財務省ホームページに掲載いたします。議事録につきましては、委員の皆様のご了解をいただいた後、財務省ホームページに掲載いたします。
本日は、年末のご多忙のところ、お集まりいただきまして、熱心にご議論いただきましたこと、誠にありがとうございました。これにて閉会いたします。ありがとうございました。
14時14分閉会