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財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録

令和6年10月30日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第

令和6年10月30日(水)14:00~16:01
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

    • 1.開会

    • 2.海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)

有識者委員会の状況報告

質疑・応答

    • 3.令和7年度財政投融資計画の編成上の論点

地方公共団体

質疑・応答

  • 4.閉会

配付資料

資料1

「海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)の役割、在り方、経営改善策等に関する有識者委員会」の状況報告

資料2

説明資料地方公共団体

出席者

分科会長

百合

窪田理財局長

森田審議官

坂口総務課長

吉住財政投融資総括課長

村松資金企画室長

天井財政投融資企画官

原井管理課長

横山計画官

伊藤計画官

土居丈朗

丸田健太郎

家森信善

辺努

臨時委員

有吉尚哉

岡田章裕

工藤禎子

小枝淳子

冨田俊基

山内利夫


14時00分開会

〔翁分科会長〕それでは、予定の時間となりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開会いたします。

本日は、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)有識者委員会の状況報告及び令和7年度財政投融資計画の編成上の論点として、地方公共団体についてご審議をいただきます。全体として時間が限られておりますので、ご質問、ご意見などは、簡潔にお願いできればと思います。

それでは、JOIN有識者委員会の状況報告につきまして、国土交通省よりご説明をお願いいたします。なお、資料1のうち、5ページから9ページ及び11ページにございますJOIN有識者委員会での主な意見等についてですが、現在、国土交通省で未公表の内容となりますので、本日この内容に言及いただくことは差し支えございませんが、これらのページの公表は後日とさせていただきますので、ご承知おきください。

それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

〔国土交通省田中国際統括官〕国土交通省の田中でございます。7月の財投分科会でJOINに関する有識者委員会についてご説明をしたところでございますが、JOINにつきましては、今般の大規模な損失計上を踏まえまして、組織の役割や在り方といった根本的な課題から経営改善策に至るまで幅広い論点について抜本的な議論が必要ということで、国土交通省にこの有識者委員会を設置したところでございます。

JOINの今後の在り方につきましては、前提条件は置かずに幅広くご議論いただくこととしまして、節目で財投分科会にもご報告するということで、本日、これまでの議論の状況についてご説明させていただくものです。

有識者委員には財投分科会の委員でもあります土居先生に委員長を務めていただきまして、また、山内委員と丸田委員にも加わっていただいております。

8月に第1回を開催しまして、これまで4回ご議論いただいております。直近の10月18日の第4回の委員会で、これまでの議論を論点としてまとめております。この論点整理は、あくまでも、これまでの議論を踏まえて、今後深掘りしていくべき論点の洗い出しを行ったものでございまして、有識者委員会として、JOINの今後の方向性や存廃について結論を出したものではございませんが、議論を深めていく項目をリストアップしたところでございますので、今回説明させていただきます。

資料の2ページから10ページまでは、これまでの4回の有識者委員の主な議論をまとめたものでございます。

まず、2ページ目、第1回の委員会でございますが、こちらはJOINの設立経緯、法制度、事業プロセスなどについて説明を行っております。

会議資料の一部は15ページ以降に参考資料として添付させていただいております。

16ページにJOINの設立経緯を説明しております。海外において民間を活用するインフラ事業が増加している中で、交通や都市開発といったインフラプロジェクトは民間だけでは参入が困難であるということで、平成26年(2014年)に官民ファンドとして設立をしております。

法制度の概要は17ページ、それから、ほかの官民ファンドとの比較を18ページに記載しております。

19ページ目以降にJOINの事業プロセスとしまして、支援基準、出資までのプロセス、モニタリング体制、JOINが行っているハンズオンなどを説明してございます。

戻っていただきまして、2ページ目の第1回での議論としましては、JOINの役割や在り方に関しまして、ほかの機関とのデマケの中でJOINの意義を分析する必要性が指摘されております。

また、インフラ投資案件を、官民ファンドというツールを活用すべきだったのかといった議論が必要というご意見もいただいております。

また、設立当時と異なる社会情勢や、時々刻々変化している地政学的状況なども踏まえて、JOINの役割を今日的観点から見ていく必要があるといった意見もございました。

また、リスク管理や審査に関しては、海外インフラ投資は投資対象としてそもそも難易度が高く、民間単独での進出には限界があるということ。その中で、どのような経緯で案件決定をしたか、なぜブレーキがかからなかったのかについての検証が必要という意見がございました。

また、ポートフォリオ全体の管理の必要性や、職員のケイパビリティと担当案件がマッチしていたかといったところも、今後の論点として重要であるという意見をいただいております。

続きまして、3ページ、4ページに第2回の委員会の概要をまとめております。こちらでは、JOINの投資に対するニーズや他機関との役割分担について、関係者のヒアリングを実施しております。冨山和彦先生に、官民ファンドの専門家としてのご意見を賜っております。官民ファンドの守備範囲として、政策的必要性と経済的効率性の重複領域であること。そして、長期のプライベートエクイティ投資は、投資基準を守っていればよいというわけではなくて、投資のプロによる経験や目線が重要であり、そういう観点で人材確保は重要でありかつ難しいというところもご指摘をいただきました。

JOINのパートナー企業からは、許認可の手続について、相手国政府の交渉のサポートをしてもらえるので大変助かるということ、あるいは相手国企業からも、政府系ファンドが参画しているということで信頼していただけるといった、JOINのメリット、強みなどが説明されております。

政府系機関として、JBICは金融機関として退出戦略や退出手段の確保を行った上で、有期限で民業補完を行っていると説明がなされまして、また、出資者と融資者は利益相反が生じるということで、同一機関が両者を兼ねるということは望ましくないという説明もございまして、JOINとの一定のすみ分け、あるいは役割分担があると考えられます。

また、鉄道プロジェクトでは、ホスト国と事業者のコミットメントを確認して、民業補完の原則に沿ったバンカビリティの確保が必要とのことでございました。

JICAは、当然ながら途上国の経済・社会の開発をやっていらっしゃるわけですが、JICAが途上国の公共インフラに円借款や技術協力で支援を行い、JOINがそれに附帯する交通や都市開発事業に出融資を行うといった連携が行われております。

この第2回の委員会では、有識者委員の方からは、4ページ目にございますが、出資が急ぎ必要な場合にスピード感を持って対応できる機能が有益という意見があった一方で、損失が出た場合のリスク管理を踏まえた事業運営となっていたか、想定し得ないリスクによる損失が発生した際にカバーできる自己資本を備えておくべきだったのではないかといった意見もございました。

また、ハイリスクの案件をつかんでしまうことを避けるためには、民間事業者が自らリスクにコミットすることが大前提というコメントもございました。

続きまして、第3回、第4回の委員会では、損失計上を出しました事業についての個別検証を行っております。個別事業検証の公表資料は、お手元の資料の後半、26ページ目以降、添付しているとおりでございますが、有識者委員会ではこれらの公表資料のほかに、パートナー企業の情報が含まれていたり、非公表情報があるために公開できない資料も用いて事業検証を行っております。

また、個別事業の中には、事業そのものが公表できないものも含まれておりますが、こちらでは公表できる4つの事業の検証の説明をさせていただきます。

5ページ目、まず、テキサスの高速鉄道でございます。詳細は後ろの26ページ目以降にございます。

こちらは政府のインフラシステムの輸出戦略を踏まえたものでございまして、事業の開発段階でJOINが先行投資を行い、その後に民間事業者が参画するということを想定しておりました。しかしながら、事業が大幅に遅れて、結局民間企業からのコミットが実現しなかったものでございます。

減損に至った要因としましては、建設が始まる前の、事業がまだ不確実な段階から参画していたこと。また、許認可取得までに、結果として、想定以上の長期間を要してしまった。その間、資金を投入し続けることになってしまったこと。そしてさらに、鉄道専門家やプロジェクト管理の人材が不在だったこと。そして、JOINの体力を超えた規模の支援になってしまったということを挙げております。

有識者委員からは、民間企業が出資していない状況でJOINの出融資が続いていたということの問題点が指摘されたほか、高速鉄道の建設は、本来は官民ファンドではなくほかのツールが必要だったのではないかといった意見もいただいております。

続きまして、6ページ目に、ブラジル都市鉄道事業について記載しております。詳細は32ページ、33ページになります。

民間事業者と共同で出資する日方のSPCを通じまして対応した4つの都市鉄道整備・運営事業になります。こちらは、当初は収益性や事業の見通しについて問題ございませんでしたが、リオオリンピックの後の景気低迷や、コロナによる需要悪化、そして、何よりもリオ州政府による補償金支払いの拒否といった政治リスクの顕在化によりまして、減損に至った事案でございます。

こうした政治リスクによるところが大きかった面がございますが、州政府に対応できる有力な現地パートナーを確保すべきだったという点は反省点として挙げております。

また、有識者委員からは、この件につきまして、民間事業者のほうが損失計上のタイミングが早かったものでございまして、これに関して、事後的でも損失計上が遅れた経緯を説明することが肝要といったご指摘もいただいております。

7ページ目がミャンマーの都市開発事業でございます。詳細は34ページ目以降でございます。

こちらは3つの都市開発事業でございますが、いずれも官民一体となってミャンマーへの経済支援、事業進出を行うというもので、当時は大変機運が盛り上がっていたものでございます。本邦企業の投資意欲も高く、投資が加速化していた状況の中で、JOINが参画することで、現地の許認可あるいは制度変更によるリスクの軽減が図られていたというものでございました。しかしながら、政治リスクといいますか、クーデターの発生ということで、工事がストップしまして、減損に至ったところでございます。政治リスクを考慮した慎重な調査が必要だったのではないかというところが、振り返りのポイントとしてございます。高リスク国への投資につきましては、全体ポートフォリオの中でバランスを慎重に検討する必要があったということも考えられます。

有識者委員の皆様からも、カントリーリスクは不可抗力とのコメントもあった一方で、撤退基準を定める必要があったのではないかというご意見や、損失計上の前に投資損失引当金などを使えたのではないかといったご意見もいただいております。

8ページ目は、アメリカの代替ジェット燃料の運搬・供給事業でございます。詳細は38ページ目以降でございます。

民間事業者と共同出資するSPCを通じて、航空機の代替燃料、いわゆるSAFを製造・運搬・供給するものでございます。SAFの供給確保は今日でも喫緊の課題でございますので、有識者委員からも、こういった事業にJOINが参画することには意義があるというコメントをいただいた一方で、この件は、製造プラントに不具合が頻発しまして、結局SAFの製造・販売に至らなかったというものでございました。

この投資先はアメリカのベンチャー企業でございまして、また、一般廃棄物からSAFを製造するという、世界でも初めての商業化案件ということでしたが、こういったことにつきまして、もっと入念に、慎重に調査、評価すべきであったということ、それから、日方の出資比率が非常に割合としては小さかったので、株主としての発言やハンズオンにも限界があったということ、こうしたところが減損の要因でございました。

ベンチャー投資をどのように取り扱うべきか、ベンチャー投資を行う人材をどのように確保していくかといった点が、論点として提起されております。

また、9ページ目に、国交省としての事業検証の振り返りを行っております。これは損失計上した事案全体に共通するものでもございますが、個別事業のJOINによる支援につきましては、国土交通省としては、JOIN法に基づいて、JOINによる支援決定が支援基準に従って行われているかを確認しておりました。しかしながら、テキサス高速鉄道事業について、こちらもやはり支援基準に沿って民間の後押しとなるようにしていた、先行出資をこれは行っていたものですが、結果として、民間事業者の参画がないままの状態が続いてしまっていた点は、民間イニシアチブの観点で不十分であったと認識をしております。

また、テキサスやブラジル、ミャンマーと、1つの事業の投資規模が過大だったり、あるいは高リスク国への投資割合が過大だったという点も問題点として認識しておりまして、ポートフォリオマネジメントの適切性をより厳格に見ていく必要性があったと考えております。

こうしたところにつきまして、有識者委員からは、支援基準に従っているものの、資金構成などを含めた妥当性の判断まで踏み込めていなかったのではないか。案件に問題があったときの責任の所在が不明確といったご指摘をいただいております。

これまでの説明をいたしました各回の委員会での議論をまとめた資料が、10ページ目の論点整理の概要ペーパーになります。また、11ページ目は論点整理をしたときの委員会での有識者委員からのご意見でございます。また、12ページ目から3枚紙は、この論点整理をさらに詳細に説明した資料でございます。これまでの説明と重複する部分もございますが、簡単にポイントのみを説明させていただきます。

まず、有識者委員会でご議論いただく最重要ポイントとしては、JOINの役割に関する課題が挙げられます。

海外インフラ事業について官民ファンドというツールが適切なのかという点は、今後のJOINの在り方の方向性を考える上での大前提となる論点となります。また、海外インフラ整備において官民ファンドが重要であるとしても、民間事業者がコミットしない案件になっていれば官民ファンドというツールを使うことは適切なのか。あるいは、海外インフラ事業の中でもJOINの扱うべき範囲はどこなのかといった点も、今後の方向性を考える上で重要でありまして、さらにまた、ほかの機関とのデマケも存在意義を考える上で整理すべき点になるかと思います。

こうした課題につきまして、有識者委員からは、民間だけで海外に出ていくことは、海外インフラ事業の分野では難しく、JOINの役割は大きいというご指摘があった一方で、事業分野によってはJOINがツールとして適当だったのか検証が必要という意見もございました。

また、人材確保の適切性などもJOINの在り方としては重要な点であるほか、持込み案件について受動的に対応していくのではなく、JOINが担うべき分野の中から適切な案件や、国交省と協力して案件探しを行った中から案件を取捨選択するなど、案件のパイプラインを充実・強化していくことの必要性についてのコメントもいただいております。

さらに、JOINとしての役割やニーズがあった場合におきましても、今回の大型の損失計上をしていることを踏まえますと、その要因を深く検証して、今後繰り返さないために何をなすべきか、どこが課題かを明確にすることが重要になります。

これらの点が2.3.4.の論点となります。投資リスク管理につきましては、カントリーリスクの高い国やベンチャー企業への投資規模はどのようにあるべきか、審査・モニタリングはどうあるべきだったかといった点の掘り下げが重要になってまいります。

この中で、本来は民間事業者のイニシアチブを補完する役割の官民ファンドとして、民間イニシアチブをどのように担保すべきかという点も重要な課題となります。また、政府系機関との連携の在り方についても今後議論を深める必要があるほか、海外インフラプロジェクトに国交省が関与していることの意義も問われることとなります。プロジェクトに役所が関与しているのであれば、例えば民間事業者の参画ですとかプロジェクトの資本構成に課題がある場合に是正する仕組みがなかったのか、何らかのブレーキをかける仕組みを用意すべきではないかという点も、今回の損失計上を踏まえた課題の1つになると認識しております。

有識者委員からは、このほかベンチャー投資についてその特殊性から自立的な縛りが必要というご意見も出されております。また、高速鉄道の建設につきましては、先ほども申し上げましたが、この事業リスクは、本来は現地国側が引き受けるべきだったのではないかといったご指摘もございました。

3番目の課題としまして、損失計上や公表のタイミングがございます。これにつきましては、どのように対応すれば国民に対する説明責任が果たせるかといった議論が必要になります。

有識者委員からは、投資計画の遵守などに対する観点から、無理な投資や損失計上のタイミングの遅れにつながっている側面もあるのではないかといったご指摘もいただいております。

4番目の組織体制の課題といたしましては、ハンズオン支援を行うための専門的知見はどのようにして確保していくべきか、事業推進に対する歯止めを効かせる組織ガバナンスはどのようにあるべきかといった点について、議論を深めていく必要がございます。

また、JOINは設置期限のない官民ファンドでございますが、有識者委員の中からは、今後もこのままでよいのかどうか精査が必要というご意見もいただいております。

以上がこれまでの議論の全体的な対応でございます。

今後は、まず、JOINの役割や在り方などの存在意義について、さらに議論を深めていただきまして、JOINの今後の方向性を見いだしていただくということになります。JOINに一定の役割や意義があるといたしましても、今般の損失計上を踏まえますと抜本的な改革が必要になると考えておりまして、その場合はどのような方策を講じればJOINの事業継続が許容できるか、改善策の議論も進めていく予定でございます。

11月中にこの論点整理に基づき、JOINの今後の方向性の議論をさらに深めていただきまして、12月上旬までには有識者委員会の最終報告を取りまとめて、また財投分科会にもご報告することになるかと思います。

私からの説明は以上でございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、JOIN有識者委員会の委員長である土居委員より、補足があればお願いいたします。

〔土居委員〕発言の機会をいただきましてありがとうございます。

私は、まずは本分科会の委員であるということを肝に銘じつつ、有識者委員会の委員長を仰せつかりました。先ほど紹介がございましたように、JOINの存廃の結論について予断を持たずに議論をしてまいりまして、損失計上した個別事業について検証を進めてまいりました。不可抗力ばかりで、なすすべがなかったというようなことではなくて、様々いろいろな問題点があったということを明らかにしたところで、10月18日に、この資料1の10ページ、12、13、14ページに論点整理という形でまとめさせていただきました。時期が時期だけに、ここに結論めいたものを明記できるという状況ではなかったものですが、今ご紹介あったような形で問題点なり検証の論点というものは、ある程度明確にできたかと思います。今後12月上旬に、この最終報告を取りまとめる予定にしておりまして、その最終報告というのは、12月、取りまとめた後に、本分科会でJOINの新規案件について、今後お認めいただけるのかいただけないのかということを分科会の委員の皆様にご議論いただくというところにつながるものでございます。そういう意味で、10月18日に取りまとめた論点整理の中で不足している論点とか、さらには踏み込むべき検証点といったところを、委員の皆様から忌憚のないご意見を今日は賜りたいと思っております。よろしくお願いいたします。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明と、土居委員からのコメントを踏まえまして、40分程度で、委員の皆様からご意見やご質問をお願いしたいと思います。

こちらの会場にいらっしゃっている方は名札を立てていただきたいと思います。オンラインでご出席の皆様につきましては、挙手ボタンまたはチャットにてお示しいただければと思います。

ご発言の際に資料を参照される場合は、資料番号と該当ページをおっしゃっていただくようお願いいたします。

それでは、まず、有吉委員、岡田委員、家森委員の順でお願いいたします。

〔有吉委員〕有吉でございます。非常に丁寧なご説明をどうもありがとうございました。

まず、全体的な所感としまして、おまとめになって公表された論点整理につきましては、中間的な論点の整理ということで、もう少し内容があるものが出てくるものと期待していたところでございますが、過去の振り返りについても、それから今後の方向性についても、全く示されてないような内容が出てきたので、正直、少し拍子抜けをした印象を持っておりました。

ただ、今日のご説明の中で、実際に有識者委員会のご議論の中では、パーツパーツとしては議論が進展しているということだと理解いたしましたので、引き続き、ご議論を進めていただきたいと思います。もっとも、先ほどおっしゃっていた年内に今後の方向性も含めた最終報告を取りまとめるということですと、これだけの多岐にわたる論点について、有識者委員会の先生方や、それから当分科会のメンバーの納得が得られるような検証報告書をまとめるというのはなかなか大変そうだという印象を感じております。特にJOINと国交省の事務方の皆様には、一層本腰を入れて取り組んでいただかないとスケジュールどおり進めるのは難しいのではないかと感じました。

その上で2点、視点的なコメントをさせていただきたいと思います。

まず、論点整理の1番の部分で、JOINの役割に対する課題ということで、主に経済的合理性の観点については、ここで課題として掲げられていると理解しました。一方で、そもそもJOINの取組に政策的必要性があるのか、政策的必要性がないということはないのだと思いますが、それがどれぐらいレベルが高いものなのかということであるとか、それからまた、実際に財政的なリスクを取ってまで実行する政策的必要性がある案件が、きちんと選択されていたのかどうかという点については、この論点整理の文章だけを拝見しますと、取りまとめの対象にならないようにも見えました。

ただ、先ほどのご説明にあった有識者委員会でのご議論の中では、そういった政策的必要性、そもそもの政策的必要性であるとか、各案件における政策的必要性、これがしっかり審査されたのかということについても、委員の方々のコメントがあったようにお聞きしましたので、そういった点についてもどうだったのか、それから今後どう考えていくべきなのかということを、しっかり取りまとめていただきたいと思ったというのが、1点目のコメントであります。

それから2点目のコメントは、7月の分科会でもコメントをさしあげたつもりでございますが、特に再発防止という観点からは、ガバナンスであるとかリスク管理の在り方といった、JOINの体制面の検証が最重要であると思っております。この点、論点整理では4の2点目のところで一言ガバナンスに関する言及があるのは承知しているのですが、ただ、もう少し扱いが高いレベルのものではないかと思っております。審査、支援決定が、例えば利益相反の問題などもなく適切に行われる体制になっていたかどうかであるとか、実効的なモニタリングとかフィードバックが可能な体制になっていたかどうかであるとか、あるいは形式的に体制が備わっていたというだけではなくて、きちんと適格性のある人選がされていて、実際に機能するような人的体制が備わっていたのかどうかといった点はJOINの役割に関する課題と並んで一番重要な項目としてしっかり検証していただいて、不備があれば、必要な見通しをご検討いただきたいと思います。

例えば、7月の分科会において、私自身、社外役員が機能しているかどうかといった点もしっかり検証していただきたいと申し上げたつもりでありますが、どうも今日のご説明を聞いていると、有識者委員会のこれまでのご議論では、社外役員の存在などあまり議論の対象になっていなかったようにもお見受けしたわけで、このあたり、重要度をより高めてガバナンスや体制面について、しっかり検証していただいて、必要な見直しをすることをご検討いただきたいと思います。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、岡田委員、お願いします。

〔岡田委員〕岡田です。説明ありがとうございます。

私から、感想というか意見というか、そもそもJOINができて、インフラ輸出を強化するというのは、安倍内閣のときに非常に力を入れていた、海外へのインフラ輸出の強化、そうした大きい政策目標があったのだと思います。

ご説明の中で、リスクを当初把握できなかったというご説明もあったと思いますが、もともと非常に政治的な、政治主導で始まっているようなものだと思うので、もともとリスクが高いというのは分かっていたのではないかという気もいたします。リスクが高くても、政策的に意味があるからやるのだということで、国主導で進めたということなのではないかと思います。

例えば、テキサスの高速鉄道は、日米関係においても非常に重要な案件だったと思いますし、ミャンマーなどに関しては地政学的な、アジアの安全保障環境が厳しくなる中で、ミャンマーとの関係を強化していくという、大きい、全体としての政治的なメリットみたいなものが強く意識されながら、当初からリスクはかなり高いと思いながらも、踏み込んでいったのではないかと思います。

その上で、今、ファンドの在り方というときに、当初JOINがキックオフした頃とは、国際政治・経済の環境はまるきり変わってしまっていて、ロシアのウクライナ侵略、あるいは先進国とグローバル・サウスとの対立とか、分断とか、中東のガザ情勢もあります。

そうすると、海外の地政学リスクも非常に増す中で、当初の、発足したときのような、海外に成長戦略のインフラ輸出を一貫してやっていくのだという最初のコンセプトが、今は全く見直さなくていいのか、何も変わらないのかという、JOINのガバナンスで損失を何とかコントロールすればそれでいいのか、そこで収まっていいのか、そのあたりはどのように考えていくべきなのかという、そのあたりも考えた上で、最後の結論を出していったほうがいいのではないかと思いました。

以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、家森委員、お願いいたします。

〔家森委員〕ありがとうございます。神戸大学の家森です。

3点ございます。1つは、JOINは今回こういう問題が起こったから検証していただいているのですが、1件1件の問題を見るべきなのか、ポートフォリオとして考えるべきなのかというところです。ある1件が悪かったから、赤字が出たから、即もう組織として駄目だということは、普通はないと思います。ほかのところできちんと利益が出ていればよいということから言えば、なぜ、全体として組織が存続できないようなリスクが出てしまったのかという、ポートフォリオ全体としてのリスク管理の観点も同時にご議論いただきたいです。1件1件については精査していただいているのですが、そこについてもぜひ、なぜ分散が効かなかったのか、本当にまれなことが起こったのか、そのあたりについての要望が1つです。

これはほかの官民ファンドでも同じで、今後も、1件でも赤字を出したらダメという形ではないと理解しているのですが、そのあたりの観点もあるので、申し上げました。

それから2点目は、今既に大きな問題が発生しているものの、少しでも損失を小さくしていただきたいということも、同時にここの課題ではないかと思います。もう議論されているのかもしれませんが、いかにこの損失を早く少なくできるのかについても議論が必要ではないのかと感じました。

それから3つ目は、今日頂いた資料の5ページのところで減損の要因評価の中の黒ポツの4つ目に、鉄道プロジェクトの専門家やプロジェクト管理を行う人材の不在によりとあるのですが、JOINはそういうものの専門家が集まっていて目利き力があるので、民間だけではリスクが取れないところ、目利きを補完されているのではないのかと思っていたのですが、単にリスクだけ、お金だけの補完だったのかというところです。ここが事実だとしたら驚いているというところです。目利き力について、JOINそのものが持たない仕組みでこれまで運営されていたのか、そういう疑問というか質問でございます。

以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、オンラインでご参加の渡辺委員、冨田委員、工藤委員の順にお願いいたします。

まず、渡辺委員、お願いいたします。

〔渡辺委員〕事実関係を2点ほど教えていただければと思います。

まず、1点目ですが、今日、失敗した事例、大きな損失が発生した事例の幾つかについて詳しくお話いただいて、そこはよく分かったような気がするのですが、必ずしもJOINがやった全ての案件で失敗したというわけではなくて、恐らくそれなりに成功したものもあるのだと見ております。失敗したものが、なぜ失敗したかを知りたかったら、失敗したものだけ見ていたのでは絶対分からないわけですので、失敗したものと成功したものと差があって、何が成功と失敗を分けたのか、そういう視点で見ないと、失敗した理由は分からないと思うのですが、JOINの場合についても、もし成功した事例があるのであれば、成功した事例と失敗した事例を、分岐点になったものは何だったのかということについて、何かご知見があれば教えていただきたいと思います。

それから、今の話の関係ですが、もしかしたらJOINでやったことは全て、押しなべて失敗して、成功した事例はなかったということかもしれないのですが、そうかどうかも含めて、このことについて教えていただければと思います。

それから2点目は、今日のお話にも何度か出ていますが、こういうインフラ絡みのものは、もともとリスクが高い。だけれども、いろいろな政策的な理由でやる価値があるということで行ったというのが大きな、事前での建て付けだったかと思うのですが、そう考えると、リスクが高いわけですので、もし、行っているプロジェクトの数が限られているとすると、リスクが高いということを踏まえると、その全てで失敗するということも決して、確率的にはないわけではないと思います。もしそうだとすると、もっとたくさんやれば、幾つかは成功するかもしれない。そうすると、そこの大きな成功のところで全体の損失を十分にカバーできるということもあり得るのかと思うのですが、そこの辺のところについて、今のこの時点でリスクの高いものとしたということは、よく理解していますが、そのリスクの高さというのは、現時点で予想したどおり高かったのか、あるいは予想以上に高かったのか、あるいは、もし仮に予想したとおり高かったにすぎないのであれば、なぜ今の段階で損失が大きく膨らんでいるのか。もう少し何とか続けていけば、損失が消えていくのか、この辺のことについて教えていただきたいというのが2点目です。よろしくお願いします。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

一旦、ひととおり質問やご意見を伺ってから、お答えをお願いしたいと思いますので、お待ちいただければと思います。

それでは、冨田委員、お願いいたします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。手短に、2点です。

1点は、資料1の12ページ、議論に当たっての前提として、最初のパラグラフに、この春に当分科会で産業投資の在り方を検討した際に、安易な財投回しは問題であると、再三警鐘を鳴らしてきたわけですが、そのことが書かれている。そのことは、私は評価できると思います。

2点目、同じく資料1の13ページ、一番最後のところです。情報開示の適切性について、7月の当分科会で私は、損益大幅悪化の突然の発表について、民間出資者も同じ状況なのかと質問いたしました。JOIN社長からは、特に民間事業者からはあまり詳細な数値は開示しないでほしいという議論があって、今般、このような形で民間事業者の了解を得てから開示した、とのお答えをいただきました。

官民ファンドの仕組みによって、官だけで出資する場合に比べて出資の判断、リスクの判断、そして、プロジェクト開始後のモニタリングなどが改善することによって、プロジェクトの成功確率は高まるものと期待していたのですが、ウォーニングすら出せず、会計報告すらもが遅れてしまった。この問題は、今回の特殊なことなのか、今回の事業に特殊なものであって、JOINの問題に限られることなのか、それとも一般的に、官民ファンドで民間事業者のマーケットへの情報開示、株主への報告の在り方、そういったことも絡んだ問題なのか。後者の場合には、その改善策について、今回のJOINの問題を契機といたしまして、全ての官民ファンドの問題としても、検討すべきではないかと思います。

ですから、まず、質問といたしましては、この報告の遅れといったことは、今回のJOINに特殊なことなのかどうかということをお聞きしたいということでございます。

特殊かどうかということは、JOINにお聞きしても分からないので、会計の専門家、監査の方も有識者として参加されておりますので、お教えいただきたいということでございます。

以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、次に、工藤委員、お願いいたします。

〔工藤委員〕発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。幾つかコメントをさせていただきたいと思います。

JOINが設立された2014年当時を振り返りますと、日本政府の成長戦略の中でインフラシステム輸出の拡大を打ち出す中、民間企業からは、カントリーリスクや運営リスクが高いので国も出資してリスクを分担してほしい、国が参画すればトラブル発生時に相手国との交渉力が高まる、国が参画すれば躊躇しているインフラ企業も踏み出せるといった、政府による海外インフラ案件支援を期待する声があったと認識しています。こういった民間のニーズは、今でも相応に存在していると理解しています。

一方で、JOINは多年にわたり累積損失を抱えていることから、機関存続の大前提である政策的必要性と経済的合理性をともに達成できるように、改革工程表2018を踏まえ、本分科会において投資計画の進捗状況を議論し、改善策をこれまでも幾度も議論してまいりました。

今回の大規模損失の原因となった主な事業については、かなり前から進められてきた案件も含まれておりますが、早期の損失計上や資産売却によって、もっと早いタイミングで見極めをつけることができなかったのかという点については、引き続き検証が必要なのではないかと思います。

加えて、近年の損失案件におきましては、追加支援が行われていた案件も含まれていると理解しています。一般的に追加出資案件は、新規案件を検討する際よりも、既に入手できている情報は多いわけですが、既往出資の劣化可能性も考慮して検討する必要があるわけで、新規案件とはまた異なる難しさがあると考えています。そのため、新規案件同様、追加支援についても、案件のリスクに見合った組成や審査・モニタリングの工夫が行われているかという点も、しっかり検証を行う必要があるかと思います。

ガバナンスについてですが、外部の有識者も含め、案件の詳細な情報が適時適切に共有される体制を、やはり、いろいろな理由はあったということではありますが、基本的には目指すべきだと考えます。バッドニュース・ファーストが重要であり、財投分科会を含む関係機関、関係者に対して、損失可能性を含むリスク情報を、可能な限り早期にかつ適切に出していくべきだと思います。

案件の適切な組成管理という点では、省庁の関与についても、一言コメントさせていただきたいと思います。

JOINに対しては、政府系機関の関与による相手国との交渉力向上を期待する声が当初より存在していたわけですが、現地政府が密接に関わる案件においては、JOIN単独での交渉力や情報収集力に限界がある場合も当然に存在しているのではないかと思います。案件の組成検討段階から、ほかの政府系機関に限らず、関係省庁が一層関与することは有効なケースもあるのではないかと思います。JOINを直接に所管する国交省をはじめとする関係省庁が適切な形で、より関与、サポートする体制についても検討すべきではないかと思います。

加えて案件組成、リスク評価の観点で、国際部局のみならず、類似の国内事業に関する知見を有する国内部局の協力が有効な場合もあると考えます。そういった点も踏まえ、関係省庁にも一層の関与をお願いしたいと思います。

さらに、JOIN自身の体制面という点では、海外のインフラ出資という特殊性に鑑み、海外融資案件や海外インフラ事業経験を持つ方々など、隣接領域から多くのエキスパートが参画し、専門性を持った事業運営が行われてきたと思います。

これに加えて、直接的に海外インフラ等への出資経験がある方をマネジメントに入れていくということも、事業の高度化のためには有効ではないかと考えます。

以上です。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

今まで、多くの方からご意見のほかにご質問も出てきているところですので、まずJOINから、また、国土交通省から、ご回答いただけることについては、まずご回答いただいた上で、財務省からお願いしたいと思っております。お願いいたします。

〔国土交通省田中国際統括官〕いろいろな論点がございましたので、1つ1つご回答あるいはご説明させていただきたいと思います。

まず、有吉委員から、もっと内容があることを期待していたがというコメントをいただきました。今回、論点整理のペーパーとしましては、簡潔なものをお示しさせていただいたのですが、各事業の詳細なものは、本日公表資料としてお示ししているものの中にも、本日ご説明を全部できなかった部分も含めて記載をさせていただいているところですが、こうしたところも含めて分かりやすい形でまとめていきたいと考えております。

役割として、経済合理性はあるが政策的な必要性はどれだけあったのかにつきましても、今回お示ししている各事業の説明の中には、政策的意義も少し書き込んでいるのですが、やはり基本的には経済合理性と政策必要性が両方備わっていないといけないという認識でございます。

それから、組織ガバナンスをもっと高い次元で取り扱うべきというご指摘がございました。こちらはまさに、組織体制の強化が必要だと思っておりまして、今後、論点整理の中の論点の1つとしてしっかりと、きっちりガバナンスの部分、組織体制の在り方は、ご議論を深めていただくようにしたいと思っております。

岡田委員からは、政治主導ということで進められていた案件は、そもそもリスクは分かっていたのではないかというご指摘がございました。

こちらも、先ほどのご説明とも少し重複しますが、政治的、政策的な意義があれば、リスクがあってもいいというわけではなくて、やはり両方、経済合理性と政策意義が重なっていないといけないので、そこのバランスをしっかり取っていくところが重要でございまして、政策的意義はあるが、途中でうまくいかなくなってきたときに、どうやってブレーキをかけるべきだったのかといったところは、しっかりと掘り下げていく必要があると考えております。

ファンドの在り方も、当初とは大分変わっているというところは、有識者委員の中でも話が出ておりました。ただ、今でもやはり、インフラ輸出全体については、政府全体の戦略を作って進めていくところがございまして、意味合いはこの10年で変わってきているところはありますが、引き続き重要性はあるということで、そことしっかりと合致できるような取組を考えていく必要があると考えております。

家森委員からは、1件1件の問題なのか、ポートフォリオ全体なのかというご指摘がございました。

こちらは家森委員がおっしゃるように、1つ駄目だったから即全体で駄目というわけではございませんで、論点の中でも出てきておりますようにポートフォリオ全体のマネジメントの問題というところも、かなりご指摘をいただいております。1つ、1件1件が問題だった場合に、規模としてこの規模でよかったのかという問題もありますし、全体のポートフォリオの中での位置づけをどう考えるべきか、こういったところが今後の再発防止策の中でも含めてご議論させていただくところかと思っております。

あと、JOINは目利きがあるのかどうかということで、鉄道の専門家がいなかったというご指摘がございました。これは、JOINとしては、プロジェクトに専門家を送っているということで、インフラプロジェクトの専門家は当然関与していたわけですが、特にここでの問題点は、高速鉄道というのがやはり都市鉄道とも違う、かなり特殊な世界でもあって、そこの部分に特化した専門家がやはり足りなかったという問題意識なのではないかと考えております。

いずれにしましても、ハンズオン支援の在り方のところは、しっかりと議論していかないといけない点だと認識をしております。

渡辺委員から、全てが失敗したのではないのではないか、それとも押しなべて失敗したのかという点がございましたが、JOINのこれまでの認可案件44件の中で、利益を出してEXITしたものも、一部EXITも含めて数件出ておりますし、今回損失計上した事業以外につきましては、基本的には計画どおりの中で進んでいるものでございまして、今回、損失計上したところが、規模も大きかったということで、JOINの経営にも大きく響いてきたところでございます。

たくさん案件をやればカバーできるのかというと、必ずしもそういうわけではないかと思いますので、先ほど、ご意見をいただいているようなポートフォリオのマネジメントをどのように考えていくのかを含めて、ご議論させていただくのかと考えております。

冨田委員からお話のありました開示の遅れにつきまして、官民ファンド全体の問題なのかどうかというご議論もございますが、JOINの問題としてご指摘いただいている部分は、開示の在り方について、引き続き、今後の方策を含めてご議論いただきたいと思っております。

工藤委員からは、もっと早いタイミングでブレーキがかけられなかったのかというお話がございました。このあたりは、どういった仕組みが必要なのかが今後の課題として挙げられていると考えております。

省庁の関与を一層強めるようにというところは、私どももそういう認識がございまして、省庁も含めて、政府の関与も含めて、サポートできるところはサポートしていくことになろうかと思いますし、JOINの単独交渉に限界があるというところについては、これまでも、例えばブラジルですとかテキサスの案件については、JOIN単独ではなくて、国交省あるいは外務省など政府レベルも含めて、相手国政府、州政府などに対応はしていたところですが、それでもやはり限界があったところではございまして、こうしたところはポートフォリオマネジメントなり、あるいは方向性に問題が出てきたときに、どうやってブレーキをかけるのか、こういったところを今後しっかりと考えていくということではないかと考えております。

〔海外交通・都市開発事業支援機構武貞代表取締役社長〕ありがとうございます。機関として答えにくいところもございますが、有吉委員のところで、人的体制ですとか、体制の検証というところは、国交省とも相談しながら、私どもでできる限りの体制の検証は行っていきたいと思います。

また、岡田委員がおっしゃるとおり、当初、やはり政治主導でリスクが高いものということではございますが、完全に経済合理性を無視してやったわけではなく、リスクは高いが、JOINとしてリスクマネジメントができると判断したものが、マネジメントができなかった。高かった、低かったというよりも、マネジメントできるかできないかの判断を誤ったというところは、機関としての問題だと考えております。

また、地政学リスクが高くなっているというのはご案内のとおりでございますので、やはり10年たったところで、どういう案件を取り上げていくかというのも変わっていくべきかと、おっしゃるとおりかと思います。

家森委員のご指摘も、ポートフォリオ全体として見るかというところも、がむしゃらにということはないのですが、40数件やってきまして、今回、大規模損失を出したということで、ポートフォリオ管理という形でも、今後見直していきたいと思っております。

専門家の不在は、有識者委員会で少し説明したのですが、専門家というところを私どもとしても取り違えておったと。テキサスの場合、開発事業でございまして、建設とかの専門家だけではない知見が必要だったところ、開発と建設段階と、そういう細かな専門家の適性につきまして、テキサスについては判断を誤ったと考えております。

渡辺委員からいろいろ、心づくお言葉をいただきました。40数件のうち、大規模損失は今回のところでございまして、40数件のうち数件、10件弱ですが、配当はいただいております、プラスでEXITした案件もございます。また、10数件は累損を解消次第、配当ができるような形で、フローでは黒字になっているという状況ですので、また、この辺についても、有識者委員会でご議論させていただきたいと思います。

情報開示の適切性につきましては、決算のタイミングも含めまして、JOINにできるところは引き続き見直し、また、有識者委員会でご議論いただきたいと思います。

最後、工藤委員のご意見につきましても、ガバナンスの強化ですとかにつきましては、JOINとしても、引き続き、検討してまいりたいと思います。

すみません、家森委員の損失を小さくというところはおっしゃるとおりでございまして、今のところ有税償却でございますので、あれを全損にすることなく、あれから満額と言いたいところですが、できれば、かなりの部分を回収すべく、引き続き努力をしてまいる所存でございます。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

冨田委員からのご質問について、お願いします。

〔横山計画官〕計画官の横山でございます。冨田委員から、情報開示について、JOINの場合、パートナー企業との関係で開示が遅くなったのではないかと。これが官民ファンド全体の問題なのではないかというご指摘でございました。

JOINについては、個々の案件への投資について、最大出資者にならないという原則でございますので、パートナー企業が基本的に必ず存在するという構造です。ほかの官民ファンドも同じような、最大出資者にならないというルールの下でやっておられるファンドが少なからずおられますので、JOINで起きたような課題というのは、ほかのファンドでも起き得るものと思っております。

従いまして、今後、有識者委員会において、情報開示の在り方がどうだったのかという点が、整理して、まとめられると思いますので、それを踏まえてほかのファンドについて、どうすべきかということも検討が必要ではないかと思っております。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

今のご回答に関して、追加的にご質問ございますか。または、発言されていない委員でコメントございますか。

丸田委員、お願いします。

〔丸田委員〕丸田でございます。ご説明ありがとうございます。

私はJOINの会議にも出ておりますので、内容というよりは、冨田委員からご質問いただいた件について補足として、あくまで個人的な意見でございますが、お伝えできればと思っております。

今、横山計画官からもご説明ありましたが、本件は官民ファンドのJカーブでの損益のモニタリングの枠組みの中で、やはり損失を出したくないというインセンティブが働いていた可能性は非常に高いと思っております。

今回、これはあくまで一般論でございますが、JOINは日本基準で決算を報告しているのでIFRS決算よりは少し遅れて損失が計上されることはあり得るのですが、他の日本企業が、いろいろ事情はあれ、JOINより先に損失を計上していたという事実があります。さらに、いずれの案件もトリガーイベントのようなものがございまして、例えばテキサスであれば実はもっと前に債務不履行が生じているとか、ミャンマーであればクーデターが起きているとか、これらの投資評価に重要な影響を及ぼすようなトリガーイベントが起きている投資について、これらのイベントが生じた時点でのタイムリーな情報提供が、本来は資金の出し手である財投分科会に対してあるはずだと思うのですが、そういったものがなかったということで、これは恐らく他の官民ファンドも、Jカーブでのモニタリングが行われている中で同様の可能性はあると思いますので、官民ファンドで損失が適時に計上されていないリスクはあるのではないかと個人的には思っております。

ただ、そこを補完するために、前回の産投の取りまとめでもございましたように、やはり公正価値であるとか、これらのトリガーイベントを含む情報をしっかり把握して資金の出し手に伝達する仕組がないと、こういったことが二度と起こらないように、ガバナンスを効かせるのは非常に難しいと思います。JOINさんも、現在、公正価値評価をご準備いただいていると伺っておるのですが、やはりそういった取組がないと、こういったリスクが、他の官民ファンドでも存在している可能性は否めないのではないかというのが、私の個人的な意見でございます。

以上でございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。よろしいですか。

私、一委員として個人的な意見ですが、地政学リスクとか皆様おっしゃっていたのですが、非常に大きくなってきていて、インテリジェンス機能というのがますます大事になってきていますし、また、本当に、投資家、それからそれぞれの交通の専門家、そういった人材を集めること自体も非常に難しい状況にいらっしゃるのだろうと思います。今まで60名でやっていらっしゃっているということですが、こういった非常に厳しい国際環境になった中で、態勢をどうするべきかということをぜひご議論いただく必要がある、このままであると不安という意味でご議論いただく必要があるという感じがしております。

存廃については、全くフラットにということでございますが、存続という場合であっても、省庁の関与の在り方も、あるところでは強化する必要があると思っています。工藤委員がおっしゃったようなサポート、そういう意味では強化は大事ですが、やはり委員会が経済合理性を貫ける決定ができるようにしていくということも非常に重要です。そこは省庁等は、ある意味一線があって、省庁は委員会の決定を監督する立場でありますので、そういった監督の在り方というか、省庁の関与の在り方についても、また、ぜひご議論を深めていただくことが大事と思っております。それはガバナンスの在り方ということにも直結する話だと思うのですが、私の個人としての意見でございます。

そのほか特にございませんでしょうか。土居委員からはいかがでしょうか。

〔土居委員〕皆様からいただきましたご意見を踏まえまして、皆様にご納得いただけるような最終報告をとりまとめたいと思っております。

〔翁分科会長〕ご尽力いただきまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、本件につきましては、ここまでといたしまして、皆様のご意見を参考にして、土居委員長におかれましては最終報告書をおまとめいただきますように、よろしくお願いいたします。

ここで、国交省とJOINの関係者の方々にはご退席いただきます。どうもありがとうございました。

(JOIN関係者 退席)

〔翁分科会長〕続きまして、令和7年度財政投融資計画の編成上の論点につきまして、ご審議をいただきます。地方公共団体の関係者の方々が入室されますので、しばらくお待ちください。

(地方公共団体関係者 着席)

〔翁分科会長〕それでは、伊藤計画官より、要求の概要及び編成上の論点の説明をお願いいたします。

〔伊藤計画官〕計画官の伊藤でございます。それでは、資料2に基づきまして、ご説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

まず、地方公共団体向け財政融資でございます。3ページをご覧いただければと思います。

7月にもおまとめいただきました報告書にもございましたが、民業補完性、償還確実性、こういった原則を堅持する観点から、法律やこれまでの分科会での議論も踏まえていきますと、「引き続き地方公共団体の課題やニーズを踏まえて対応していくとともに、財政融資資金のより効果的な活用を実現させるよう努力をしていくべきではないか」、こういう考えが基本ではございますが、その際、資金調達能力が低く、公的資金による資金手当てがされている地方公共団体に対しては、市場機能の代替として「実地監査や財務状況把握により、償還確実性を確認するとともに、財務健全化や課題解決に向けた取組を支援する役割を積極的に果たすべきではないか」、そのように考えている次第でございます。

続きまして、4ページでございます。地方債全体の残高の推移を確認させていただきたいと思いますが、平成16年度にピークを迎えて以降、減少しておりまして、令和3年度が182.1兆円、令和4年度が178.1兆円となっております。このため、財政融資資金の残高も同様に減少しており、令和3年度が43.9兆円、令和4年度が42.6兆円、一方、市場公募資金は令和3年度が51.6兆円、令和4年度が50.9兆円となっており、結果として地方債残高に対する財政融資資金の割合は減少傾向にございまして、一方で市場公募資金の割合が上昇しております。特に平成28年度以降、両者の比率が逆転する状態になっております。

こうしたことから、地方公共団体におきましては、分科会でこれまでご指摘いただきましたとおり、市場公募等の民間資金が基本となりつつ、財政融資資金を含む公的資金がこれを補完する位置付けとして機能しておりまして、地方公共団体の自律的な財政運営の促進が進展していると認識している次第でございます。

続きまして、5ページでございます。こちらは総務省から提出いただきました令和7年度要求の概要でございます。

地方公共団体が必要とされます地方債の額については、8月末の地方財政収支の仮試算を踏まえた地方債計画案に基づいて算出されておりまして、規模として9兆5,383億円、前年度と比べて3,199億円の増加となっている次第でございます。

地方税収等の増加が見込まれておりますが、既往債の元利償還に係る臨時財政対策債の発行の増加が見込まれていることによるものでございまして、財政融資資金の要求額も2兆3,988億円と、前年度に比べ736億円の増加となっております。

6ページは参考資料でございますので、割愛させていただきます。

続きまして、編成上の論点①臨時財政対策債への配分に移らせていただきます。

8ページをご覧いただければと思います。地方財政法第5条の特例として発行される臨時財政対策債でございますが、財政融資資金による引受割合は、平成24年度の28%から、新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受けました令和3年度を除けば、できる限り抑制的に配分しておりまして、令和6年度の時点では23%となっております。

9ページをご覧ください。今度は、臨時財政対策債の貸付実績を貸付先別、資金区分別にお示ししたものでございます。都道府県と指定都市、指定都市を除く市町村に分け、2枚のグラフにまとめました。ご覧のとおり、財政融資資金は、分科会でのご指摘を踏まえつつ、都道府県・指定都市に対する引受割合を減少させておりまして、令和2年度以降、コロナ禍の令和3年度を除けば、資金調達能力が低い、指定都市を除く市町村に限り配分している状況でございます。

今後も引き続き、財政融資資金としては、抑制的な関与にとどめ、資金調達能力の低い地方公共団体への対応を行っていくこととしたいと考えております。

10ページをご覧ください。地方債計画上の臨時財政対策債の発行額、フローの推移でございます。

令和元年度以降は、令和3年度を除けば、いわゆる折半対象分がなかったことから、既往債の元利償還金に充てる額に限定されておりまして、令和7年度の要求も0.8兆円と低い水準となってございます。

続きまして、11ページ、こちらはストックでございます。

既往債の元利償還金を補塡するための発行が例年実施されているというのは先ほど申し上げたとおりでございますが、近年では発行額が償還額を下回る状況が続いておりまして、現在高は減少しており、本年度末も45.8兆円と、令和5年度末に比べ3.2兆円減少する見込みとなっております。

臨時財政対策債については、今後も発行額の縮減はもとより現在高を着実に減少させ続けていくこと、これが重要であると考えております。

12ページをご覧ください。こうした臨時財政対策債につきまして、財政融資資金の引受けは、これまでの分科会でもご議論いただきましたとおり、投資的経費の範囲内にとどめることを基本とすべきと考えており、財政融資資金における引受割合を検討する際には、引受対象となる地方公共団体が支出する投資的経費のトレンドを確認していきたいと考えております。先ほどご説明させていただいたとおり、財政融資資金で臨時財政対策債を引き受けるのは指定都市を除く市町村でありますので、こちらについて一般財源で支出した投資的経費の推移を確認させていただいたところ、グラフにありますとおり支出額、歳出総額に占める割合ともに減少傾向にございます。

続きまして、13ページをご覧ください。このように、ここ数年でございますが、投資的経費は減少基調にあります。

今後の動向を確認する必要もございますので、投資的経費のトレンドを示す指標の1つとして施設の更新需要、その中でも代表的な事例として、一般廃棄物処理施設、特にごみ焼却施設の更新需要を示したところでございます。ごみ焼却施設は稼働開始から廃止まで平均年数が約30年とされておりますので、平成3年から平成15年頃にかけて多数整備された施設が、足もとで更新需要を迎えていると考えられまして、今後そうした点が増加につながる可能性もございます。こうした点も留意しつつ、編成過程では全般的なトレンドに基づいて内容を精査し、総務省と議論してまいりたいと考えている次第でございます。

14ページをご覧ください。臨時財政対策債への配分について、論点をまとめたものになっております。

先ほどからご覧いただいておりますとおり、財政融資資金で臨時財政対策債の引受を行う地方公共団体の歳出トレンドについては、一般財源で支出した投資的経費は減少傾向にあるといった現状を踏まえ、一方で今後発生が見込まれる施設更新需要といったことのバランスも勘案しながら、全体としては、引き続き「抑制的に財政融資資金を配分することを基本とすべきではないか」、そのように考えている次第でございます。

続きまして、編成上の論点2つ目の交付税特会借入金の償還に移らせていただきたいと思います。

こちらのグラフでございますが、地方公共団体の債務のストックを示したものでございます。全体としては減少傾向にありますが、特に建設地方債等については、平成14年度にピークの159兆円を記録して以降、足もとでは105兆円まで減少しております。この状態に比べますと、先ほどのパートで取扱いました臨時財政対策債や交付税特会の借入金は償還が遅れておりまして、引き続き早期の償還を促していく必要があると考えてございます。

続きまして、17ページ、こちらは交付税特会の償還計画でございます。

バブル崩壊以降、税収の落ち込み等を背景として、地方財源不足が続いておりまして、借入金が累増してまいりましたが、平成23年度より償還計画に基づく償還がなされております。昨年12月の分科会においても、償還計画の変更についてご議論いただいたところでございますが、その後特会法の改正がありまして、現在の償還計画では令和36年度に償還が完了する予定となっているところでございます。

令和6年度の償還額自体は5,000億円でございますが、これから毎年1兆円の本格的な償還が始まります令和11年度に向けて、償還額が毎年1,000億円ずつ増えていくフェーズとなります。令和7年度はその初年度でございますので、償還計画に基づいた確実な償還が重要であるという観点から、今回論点とさせていただいたところでございます。

18ページをご覧ください。交付税特会においては財政融資資金、そして民間金融機関それぞれから短期借入を行っておりまして、令和5年度末の残高は総額28兆6,123億円、このうち財政融資資金からの借入分が4兆2,669億円となってございます。

以上を踏まえまして、論点でございますが、「交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金は、引き続き償還し、現在高を減少させていくことが重要ではないか」とさせていただいております。

最後の論点でございます過疎対策事業債への配分に移らせていただきます。

20ページでございます。地方財政法第5条の特例でございます過疎対策事業債ですが、ご承知のとおり、議員立法による特別措置法に基づき過疎地域とされた市町村が、過疎地域持続的発展市町村計画に基づいて行う事業の財源として発行が認められた地方債となってございます。充当率100%、交付税措置率70%と、一般事業債に比べて有利な条件で起債が可能となっており、令和6年度の地方債計画では5,700億円の計上、令和7年度要求においても、仮置きではございますが、前年同額の5,700億円が計上されております。今後、予算編成過程で必要な検討が行われる予定となっております。

右下に対象事業を記載しておりますが、過疎対策事業債の特徴として、平成22年度に行われた法改正によりまして、ハード事業に加えソフト事業も対象となっており、現行法にも同様に規定されております。なお、現在高については、左のグラフのとおりとなっております。

続きまして、21ページでございます。過疎対策事業債向けの財政融資資金の引受割合とその残高の推移を表したものを示させていただいております。

発行対象となる過疎地域とされる地方公共団体は、規模の小さい団体が多くございまして、過疎対策事業は国が責任を持って対応すべきとされていることから、8割超の大宗を財政融資資金が引き受けているという状態になっております。

続きまして、22ページでございます。これまでマクロのお話をさせていただきましたが、ここで少しミクロについても取り扱ってまいりたいと考えております。

過疎対策事業債でございますが、水道施設、廃棄物処理施設、病院といった厚生施設や公民館、学校関連施設のような文教施設をはじめ、多様な施設が対象となっております。活用事例の中には人口減少を踏まえ、複合化、広域化、共同化あるいはPFIなどの官民連携を行っている事例、こうした工夫がされている事例がございます。幾つか紹介させていただければと思っております。

1例でございますが、北海道の小清水町では、町役場の庁舎新築の際に、庁舎に防災拠点としての機能を持たせるとともに、町民が日常的に利用する施設と複合化し、防災拠点型複合庁舎として整備している、そういった事例がございます。

また、石川県の七尾市と中能登町では、ごみ焼却施設の新設に当たりまして、広域化するとともにPFIを活用し官民連携を積極的に推進してございます。

さらに、岡山県の矢掛町では、汚水処理施設の新設に当たりまして、広域化、共同化を推進しています。いずれも財政融資資金で引き受けた過疎対策事業債を活用し、過疎地における公共施設の広域化、共同化、複合化等の推進を図っているところでございます。

続きまして、23ページでございます。先ほどご説明させていただきました、対象として新たに追加されたソフト事業でございますが、現行法を検討する際に、「観光イベントやプレミアム商品券といった一過性の地元消費喚起策が使われている事例」があり、「ソフト事業への起債が建設公債の原則の例外として認められることに鑑み」、「中長期的な地域の資産・財産となり得る事業に充当していくことが望ましい」との議論がなされたことから、現在の地方債同意等基準においては対象外経費に、内部管理経費、法令に基づき負担が義務づけられている経費、元利償還金に加え、地域の持続的発展に資することなく効果が一過性である事業に要する経費が追加されたところでございます。

こうした中、活用事例を見ますと、コミュニティバスやスクールバスの運行事業といった地域交通インフラとして活用されている事例、空き家対策等に活用されている事例もある一方で、敬老祝い金、音楽イベントのような地域の持続的発展に資すると明らかには言えず、効果が一過性ではないかと疑われるような事例も散見されております。

この点につきましては、今後、同意等基準に規定された対象外経費の考え方を全国で実効的に反映させていくためにどのような対応を取るべきか、そういった課題があるのではないかと感じている次第でございます。

24ページをご覧ください。過疎対策事業債への配分について、論点をまとめております。

過疎対策事業は、国が責任を持って対応すべき分野とされ、引き続き財政融資資金を積極的に配分することが基本とはされているものの、財政融資資金のさらなる有効活用を推進することも大切なポイントになりますので、過疎地域における持続的発展に効果的な形で実施されるよう政策誘導を行うことが重要ではないかと考えております。

したがいまして、論点としては、「過疎地域における広域化を含めた施策効果の高い事業を推進し、もって地域の持続的発展に資するような経費へも配分していくべきではないか」としております。

なお、こうした取組を実効的に進めていくには、7月の報告書でもご紹介いただきました、財務局・財務事務所等が担う地方の課題解決を支援するコンサルティング機能を活用していく必要があると考えております。このため総務省とともに、過疎地域の市町村が日常的に相談する各都道府県庁の市町村課等との連携を強化していくことができるよう、必要な検討を進めてまいりたいと考えてございます。

26ページ以降は参考資料となってございますので、説明は割愛させていただきます。

私からの説明は以上でございます。どうもありがとうございました。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご意見、ご質問をお願いいたします。なお、要求側の方々にご質問いただいても結構でございます。

それでは、土居委員、丸田委員の順にお願いいたします。

〔土居委員〕ご説明どうもありがとうございました。

まず、私は交付税特別会計の借入金の償還について1点、今のところ償還が進んでいるという点については評価したいと思いますが、今、税収が毎年度、過去最高を更新する、これは交付税のみならず地方税も更新しているという状況でありますから、交付税財源となる税収が増えているという現下の状況を踏まえつつ、交付税特別会計において着実にこの償還計画どおりに、ないしは、場合によっては償還計画を前倒しするぐらいの勢いで、交付税特別会計の借入金の償還を進めていただきたいと思います。

それから、続きまして、過疎対策事業債につきましてですが、今、計画官からご説明があったように、ソフト部分も、今では起債が認められるということにはなっているのですが、20ページにありますように、残高が累増しているような状況であります。過疎対策事業債が出せる市町村というのは、これから我が国全体で人口が減少していく中で、さすがに当該市町村だけが人口がどんどん増えるということは考えにくいわけでありまして、そういたしますと、償還負担を後世に付け回すというおそれがなくはない。20ページにもありますように、元利償還金に対する交付税措置は70%ですので、当然地元負担もあるということですから、むやみに過疎対策事業債の起債に依存するような形で当該市町村が事業を行うことにならないように、まずはしていただくというところから始めていただかなければいけないのではないか。その上で、国の関与として、過疎対策事業として、国の責任を果たしていくという順番なのだろうと思います。

ですから、国が責任を持って対応するということだから、どしどし事業を営んでいただいて結構ですという順番ではなくて、本当にその地域にとって必要なものなのかというところを、まずは地元で精査をしていただいて、やはり必要だと、かつ、財務局のコンサルティング機能を生かしながら、本当にその地元のためになっているのかというところも、きちんとみんなでいろいろ知恵を出し合いながら、過疎対策事業を企画していただいて、そして、それで必要であれば、国が責任を持って対応するという形で、過疎対策事業の起債につなげていただくということが必要なのではないかと思います。

残高の累増というのは大変気にしております。私としては大変気になっておりまして、そういう意味では、23ページにありますような敬老祝い金の支給のために起債するということで、果たして本当に地元のためになっているのか。むしろ敬老祝い金の財源を起債に依存して、自地域や他地域の納税者にその分を負担させるようなことになってはいないのかというところを、やはり同意等基準に照らして、より精査していただく必要があるのだろうと思います。

もちろん同意等基準の厳格適用をお願いしたいところはございますが、先ほど計画官がお触れになった財務局のコンサルティング機能、それから、財務大臣協議で起債について、財政融資資金を充てるというところでも、やはり理財局におかれましては厳しく、本当に地元に資する事業なのかどうかについて精査していただきたいと思います。

私からは以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、丸田委員、お願いいたします。

〔丸田委員〕丸田でございます。ご説明ありがとうございました。

私からの意見として、論点に合わせて1つずつ申し上げさせていただきます。最初に、論点①ですが、12ページ目のグラフにありますように、確かに右肩下がりで投資的経費が下がっているように見えるのですが、ごみ焼却場もそうですが、恐らくインフラ系のものというのは今後、かなり更新投資の需要というのが出てくる可能性は非常に高いのではないかと思いますので、今右肩下がりだから安心というわけではなくて、今後これが増えてくるような事態も想定されるのではないかと思っております。その意味では抑制的にということであればしっかり案件の必要性の見極めをしていただきたいというのが、まず1点でございます。

2点目の交付税・譲与税特会の償還計画は、土居委員のおっしゃられたように、私もこの手のものというのはやはり、安易に長い方に流れる傾向にあると思います。新聞報道等でも、地方でかなりお金が余ってきているという話もあるようですし、やはり今後、1兆円レベルの返済を令和11年から行うというのであれば、資金の出し手としては、規律をもって、このスケジュールにかかわらず、より早期の回収促進をより積極的に取り組む必要があると考えます。今後また、災害やパンデミック等の突発的な事情が発生して、仕方なく返済期間が長くなるということも想定されますし、このままずるずる返済時期が後ろ倒しにしかいかない可能性があると思いますので、この点はしっかり見ていただきたいというのが2点目でございます。

3点目の過疎対策事業債でございます。私も、20ページ目の残高のグラフが右肩上がりになっているところは、土居委員と同じく非常に気になっておりまして、ここは規律の保持が非常に重要と思っています。もちろん今後、日本全体の過疎化がより進む可能性が高いのも事実でございますので、次の21ページ目を見ても、今回ソフト分の使い方の問題点をご指摘されておりましたが、やはりハードも、過疎のところに箱物を建てることが果たして必要なのかといったところを、しっかり精査をしていく必要があるのではないかと思っております。

また、ソフトも課題が多いと思います。ソフトに関しては、日本企業もそうですが、日本はカルチャー的に無形資産とかノウハウとか、そういったソフト投資が苦手と思いますが、地方自治体も同様ではないかとこのグラフを見て感じました。過疎の自治体では、やはりその使い方次第で、実はハードよりもソフトのほうが、資金を投入してアセットを積み上げることに意味がある投資は、実は結構あるのではないかと個人的には思います。ソフトは、もっとポテンシャルを考えて好事例を増やしながらしっかり見極めをしていただく必要があるのではないかと感じました。

以上でございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、有吉委員、お願いします。

〔有吉委員〕有吉でございます。ご説明どうもありがとうございました。

論点の①と②につきましては、それぞれ資料の14ページ、18ページにお書きになっている方向性に違和感はなく、賛同するところであります。

その上で、過疎対策事業債との関係について、2点ほどコメントさせていただければと思います。

まず、既に、土居委員、丸田委員からコメントされていたところと思いますが、あまり必要のないものにお金を出さないようにするという観点は、とても重要だと思います。それとともに、お金を出す以上はしっかり有効活用していただくということが非常に重要だと思います。

そういった意味で、一旦出した後において、実際に過疎対策事業債に基づく配分によって取られた施策が、事後的に想定したような効果が実現できているのかどうか。数値基準というのはなかなか難しいのだろうとは思いますが、しっかり検証することが大事ではないかという気がいたします。

先ほどから度々出ている、例えば敬老祝い金の支給、見るからにどうかなという気はするものの、実際に何らかの効果が出ているのかもしれません。一方では、コミュニティバスを運行するとか、あるいは、庁舎にコミュニティ等の交流施設を備えるとか、こういったものも、一見、企画の段階ではとても地域に資すると思えるものの、例えばコミュニティバスが実際は誰も使ってないということであったならば、やはり無駄だということだと思います。無駄だったからそれを実施した者が悪い、責任を取れという話では決してなくて、どういった使い方が事後的に有効になるのか、今後、ほかの地域なり、あるいは当該地域が改めてお金を使うに当たって有効になるのかということを議論するためにも、実際に過去に実施されたものの検証をしっかりした上で、その中で特に好事例が見つかるのであれば、全国的に情報共有するようなことをご検討いただきたいというのが1つ目のコメントであります。

それからもう一つは、法令上どういったことができるのか、よく分からないところではございますが、インセンティブづけというか、良いものを考え出した人、良いものに改善した人にはプラスの効果があって、駄目なものを出してきて、結果駄目だったところにはマイナスの効果があるような、何らかインセンティブ付けが効くような運用をしていただきたいと思います。それとともに、あまりうまくいかない取組が続いているような先には特に重点的に、お話に出ているようなコンサルティング機能ということで、アドバイスなのか指導なのか分かりませんが、いろいろな形で働きかけて、プラスの方向を目指すことを、重点的に取り組むといった、メリハリをつけた対応を、インセンティブの面、それからコンサルティングの面、両面で進めていただきたいと思います。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、オンラインで冨田委員、お願いいたします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。3つの論点、いずれもこれまで当分科会で議論してきたことを踏まえたものであって、今日のご説明も、私は全く違和感を感じません。

それで質問ですが、過疎対策事業債です。これは、財融とともに、地方公共団体金融機構が行っている事業なわけですが、それら両者の地方公共団体に対する融資条件の違い、あるいは融資対象の違いというか、それはどのようになっているかということについて、お聞きしたいのです。

その心は、財融は言うまでもなく、我が国で最も信用力の高い国債、財投債で資金を調達している。対して金融機構は、独自に債券を市場で発行し、そして、競馬の納付金とかそういうもので金利を低めている。そこらで融資が仕上がるわけですが、それによる地方公共団体への融資条件とか、先ほど来、ハードだソフトだいろいろ、事業の違いについてのご説明もあったのですが、それは具体的にどういうところにそれぞれ融資しているのだろうかということについて、お聞きしたいと思います。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。では、後ほどご回答をお願いします。

それでは、山内委員、お願いいたします。

〔山内委員〕ご説明ありがとうございました。私も論点3点については、全く違和感はございません。

その上で、総務省の皆様、財務省の皆様にご検討いただければと思いますのが、運用に当たって、行政トップの方との対話、啓蒙を全体の枠組みに織り込んでいただくことです。例えば昨年も総務省の皆様から、広域化や公営企業体の健全例などを各自治体の担当の方に共有しているという事例のご紹介がありましたが、トップの方々もそういう意識を共通して持つということが大切なのではないかと考えています。

大都市に住んでいると自治体間競争が明白に感じられ、例えば東京都と川崎市と横浜市では小児医療費など自治体政策に関する話が住民の間で出てきます。しかし、地域によっては住民の方々が政策への要望を潜在的にもちながらもそれを必ずしも強く意識していないケースもあるのかと思います。

他方で、行政トップの方々が、問題意識をお持ちでありながらも、住民の方々が本当は何を望んでいるかを把握できているわけではない現状もあるかと思います。市民アンケートなどを行って、こういうところに投資をしてほしいということを集計はしているものの、政治的に使ってないケースもあると聞きます。市議会の議員の方などからやってほしいことを市長に言っても進まないケースもあるとも聞きます。行政トップの方々が実現したい自治体の将来像の中身をまず具体化して、その中で財政融資なり債券にフィットしたものに対応していく考え方が必要ではないかと考えます。

その点、これまで委員の皆様からもご指摘ありましたとおり、償還する必要があることを考えると、民間のケースでも同じになりますが、1度限りで消費してしまうものに回すのは、事実上、運転資金に回しているだけで、将来に対して何も残らず、本来的には融資の性質にはあまりなじみません。もちろんお金に色がついてないのでトータルで考えてということだと思いますが、何をやるかという内容の部分と、それをどうやるか、特にお金の面で税収のほうからやっていくのか、融資の枠組みを使いながらやっていくのか。啓蒙も含めて、総務省、財務省の皆様には対話をご検討いただければと思います。

そういった点を突き詰めていきますと、例えば今日ご説明にあった資料の12ページに投資的経費の支出額推移がございますが、先ほど丸田委員がおっしゃったとおり、今後のインフラ維持・更新需要を考えると支出額は増えるはずで、単なる推測ではあるのですが、本当は投資したいのだけれどもお金がないためやっていないというケースも、潜在的にはあるのかもしれません。これは自治体ごとに細かく見ていく必要があるかと思います。過去はこうであったからということに限らず、まず行政のトップの方々との対話を重視いただいて、本当に投資の必要があれば支出は遠慮しない。

また、当然に、自治体によって政策の多様性があると思います。我々はインフラを重視したい、我々はハードではなくてソフトのほうをやりたいなどです。ソフトの中でも一度で渡し切るのではなくて、将来的な資産になるものもあります。例えば子育て支援でも、一時金の渡し金ではなく、教育で使われているソフトウエアの充実、これはハードウエアとセットになるので資産化となります。あるいは、教育人材の派遣のためにかかるコスト。これも長い目線で見ると人材育成というインフラにつながっていくと考えるのであれば、それに重点をおいていく。

いずれにせよ、地方行政の方々のご判断、自律性と自立性を尊重いただきながら、対話を重視していただき、成功事例を横展開していくことを一つのアイデアとして申し上げたいと思います。

私からは以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

次に、オンラインの小枝委員、岡田委員、家森委員の順にお願いいたします。

それでは、小枝委員、お願いいたします。

〔小枝委員〕

ありがとうございます。私からは1点、過疎対策事業債についてコメント申し上げたいと思いました。既に委員の方たちがご指摘されているとおりだと思います。その上で20ページを見てみると、やはり少し違和感があって、出どころが総務省資料と書いてありますが、将来の行政サービスを考えた上で、その質を落とさずに、どういった対象事業が必要なのかを、ハード分、ソフト分を区分せずに考えるべきなのではないかと思います。そうすると必然的にハード分のところを閉じて、ソフト分を充実させていく必要があるとか、そういった可能性も出てくると思うので、一体で考えていく方向を模索していっていただきたいと思います。やはり高齢化、人口減少でどんどん残高も上がっているところでございますから、その点、お願いをできればと思いました。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、岡田委員、お願いします。

〔岡田委員〕岡田です。ご説明ありがとうございます。

私からは質問2点でして、石破首相が所信表明演説で地方創生の交付金を2倍にしたいということをおっしゃっていました。実際に、それだけの手当てができるのかどうかはまだよく分からない面もあるのかもしれませんが、地方にお金が渡っていく上で、そうした地方創生交付金が増えていくということと、こちらの事業との計画とは、何かしら関係するのか、あるいは全然関係しないのか。政府においては地方創生の本部もまたできて、そこでいろいろな議論が行われると承知していますが、そこでの議論に、こちらの計画というのは、全然別立てで関係しないのか、何がしか関係するのか、それが質問の1点目です。

もう一つは、今年は日銀がマイナス金利を解除して、金利のある世界ということで、予算案を考える上でも、国債の金利の上昇などもいろいろ念頭に入ってくるのかと思いますが、地方債を発行するということに関して、そうした全体の金利の上昇のようなことは何がしか影響があるのか、何かしら考えていくべき必要があるのか、あまり考える必要がないのか。直近では衆議院選も行われて、これも予算編成のプロセスで分かりませんが、マーケットでは拡張的な財政金融政策というのが想定されて、やや長期金利も上昇に圧力がかかるかもしれないという中、そのあたりは何か影響があるのか、あまりそのあたりは影響しないのか、それが質問の2点目です。

以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、家森委員、お願いします。

〔家森委員〕ありがとうございます。

今、金融機関が融資をするときに、特に機関投資家レベルのところが融資をするとき、そのお金の使い道についてはもちろんですが、環境負荷の問題にも、すごく関心を持っているわけです。この財投分科会でも去年、GXにもこれだけの貢献をしているというご説明があったのですが、例えば、焼却施設の例が出ていますが、焼却施設も環境負荷は大きいが、財務的な効率はいい、つまり費用はかからないという提案があったときには、どこがストップをかけたり、かけなかったりするのか、その仕組みについて教えていただければと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、ご回答をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

〔伊藤計画官〕まず、私から。どうもありがとうございます。

我々と見ているところについて、論点について同じような考え方を持っていただいていて、ご指摘はどれもそのとおりだと思っております。

まず、土居委員にもご指摘いただきました償還計画について、可能であれば前倒しというのは当然我々も思っておりますし、それは大切なことだと思っておりますので、地方税収をどう使っていただくのか、やはり過去の負債をできるだけ将来に残さないようにするということを、ぜひ考えていただきたいと総務省には思っております。

過疎対策事業債の残高について、ご指摘ありがとうございます。残高が累増しているというところはやはり我々も見るべきところですので、引き続き注視していきたいと思っております。

また、おっしゃったように、今回これを調べてみて財務局でいろいろ把握していることもあって、同意等基準改正後のソフト事業の現状なども見つけられたのだと思っておりますので、こういった地道な作業を続けていって、いい事例悪い事例をしっかりと我々としても把握して発信していきながらで、しっかりと規律付けをさせていきたい、そのように考えている次第でございます。

冨田委員から、過疎対策事業債について、機構と財政融資資金で違いがあるのかということでございますが、まず、財政融資資金ですが、多少違いはありますが、基本的にソフト事業については12年、ハード事業については固定金利で12年、利率見直し金利についても基本的に12年ですが事業によっては25年や30年という形で、融通条件が設定されているところでございます。一方で、機構資金においては、財融同様にソフト事業については12年ですが、ハード事業については固定金利、利率見直し金利、2つとも30年を基本、利率見直し金利で一部事業については40年という形で貸し付けております。

このように、多少違いがある中で、しっかり財務局を通じて個別の事例を見てみて、これだけ使われ方にも多様な部分があるということがよく理解できましたので、そういったことを踏まえて対応できればと思っております。

小枝委員などからもご指摘がありましたように、やはり人口減少や高齢化が進む中で、ほかの委員の皆様からもご指摘がありましたように、単純に更新需要があるから建てるというわけにはいかないと思っております。今回ご照会したハードの3事例は、広域化、共同化ということを、人口減少を踏まえて検討している事例でございました。やはり複合化しているというのは、有吉委員などからもご指摘ありましたように、使い方の問題があり、これも検証しなければいけないというのは確かですので、それも財務局を通じて、しっかりとそういった自治体との対話の中でやっていきたいと思います。実際、複合化しているというのは2棟建てるよりかはいい話なので、これだけでも少しましではないかと思います。広域化していたり、矢掛町の事例などは、実際、その前に、人口減少を踏まえてある程度ダウンサイジングした上で広域化、共同化をしているということなので、やはり、使い方を頑張って考えているところは人口減少を踏まえた形でやっております。そういった知恵についても、しっかり伝えていきたいと思っております。特に、ごみ処理施設や水道施設のようなところは、そういった面が一番大きく出てきますので、しっかりやっていきたいと思います。

その際に、山内委員からご指摘がありましたとおり、やはり、自治体間競争ではないですが、トップの方にまず問題意識を持っていただくというのは、非常に重要かと思っております。潜在的に、実は住民の方々が思っていることを具体的な論点に落とし込むというのは、やはりトップが方のリーダーシップを発揮する部分でございますので、こういったときに、もやもやと感じているものを、我々が対面でお話をしていく中で、こういう事例もあってそれに近いのではないですかとお伝えしていく中で、具体化させていくということをしていきたいと思っておりますので、ぜひ、そういった事例も含めて、今後、総務省と一緒に考えていきたいと思っている次第でございます。

我々としては、やはり今回挙げた事例は、これまで何年にもわたって財投分科会で議論をさせていただいてきたところでございます。その際に、基本的にマクロで議論することが多かったかと思っておりますが、もう少し、財務局、財務事務所等で個別事例も見ているところでございますので、少しミクロな部分にもよく配慮しながら、今後進めていきたいと思います。

ぜひそういった点、ご報告をいろいろさせていただきながら進めてまいりますので、何とぞよろしくお願いできればと思います。

以上でございます。

〔総務省森川自治財政局地方債課長〕それでは続きまして、総務省からお答えをさせていただきます。

まず、臨財債でございますが、これは過去の分科会でもご説明してまいりましたとおり、言わば交付税の代替財源ということでございます。そういうことを踏まえますと、個々の地方公共団体の財政運営の結果生じている赤字ということではございませんで、国のほうで一定の対応、資金を確保する必要があるのではないかと認識しているところでございます。

ただ、その上で基本的には臨財債、ストックベース、フローベースでも抑制をしていくということは大切であると考えておるところでございます。

それから、交付税特会の関係でございますが、交付税特会の償還計画は法定されたものでございますので、基本的にはそれに沿って償還していくべきものとは考えてございます。一例でございますが、令和3年度の補正で、交付税特会の繰上償還を実施したという実績もございます。

いずれにしても、その時々の状況、いろいろございますので、財政当局とも協議をされながら、その時々の状況を踏まえて対応されてきていると承知しているところでございます。

それから、あと、地域のトップマネジメントもいろいろと地域の見通しみたいなものを踏まえていく必要があるのではないかというご指摘がございました。これにつきましては、総務省でも地域の未来予測という取組をしてございます。おおむね2040年頃を見ながら、そのときの人口状況でございますとか、あるいは老朽化するインフラの状況、こういったものをデータの分析を交えまして、バックキャストで今何をやっていくべきか、こういったものを地域の住民も巻き込んで議論していくという取組をしているところでございます。こういう形で、言わばトップ以下、そういう地域の実情、将来像を見ながら、議論をして確認をしていくことが大事なのだろうと考えておるところでございます。

それから、地方創生交付金のお話がございました。こちらについては、今現状、検討が進められているところではないかと考えてございますが、今のところ特段、何か具体の動きとしては、承知しておるところではございません。

それからあと、地方債の金利の状況、金利が引き上がっていくことで、何らか対応を考える必要があるのではないかというご指摘がございましたが、当然ながら足下、金利上昇傾向ではございますが、当該金利は新発債ということでございます。当然ながら過年度分については、低金利で借りたものが利子ということになりますので、当面直ちに、すごく利払いが急増する事態は想定されませんが、この先、マーケットの状況はしっかりと注視をしていく必要があると考えておるところでございます。

以上でございます。

〔伊藤計画官〕すみません、1点、私から補足で、家森委員より、GXの話、環境の話をご指摘いただきました。基本的に我々が地方債、特に財政融資で出す地方債については、国の補助事業のいわゆる補助裏と言われるものに当たります。基本はやはり補助事業のほうにおいて環境性能が求められるようになってきており、その裏に当たっておりますので、同様の効果が出ているものと思っておりますが、極めて大切な論点でございますので、何か工夫できるものがないか、もしくは十分できてないところがないのかについては検証させていただき、我々も全部を見たわけではございませんので、今後考えていきたいと思います。貴重なご指摘、どうもありがとうございました。

〔総務省野本自治財政局財務調査課長〕続きまして、総務省財務調査課長の野本でございます。過疎債につきまして、様々なご指摘をいただいたところでございます。

まず、過疎債のほうが非常に現在高積み上がっているといったご指摘があったかと思います。こちらは、近年、令和3年の過疎新法の施行に伴いまして、過疎市町村数が増加しております。それに加えまして、人口減ですとか、本日の資料にもございましたが、施設の老朽化等に伴いまして、小中学校の統廃合ですとか、ごみ処理施設の建替え、そういった需要の増加等によりまして、過疎債の要望が強くなってきているところでございます。

本年度の地方債計画が5,700億円となっているところでございまして、これは前年度比300億円の増となっているところでございますが、これは資材価格の高騰によります建設事業費の上昇等を踏まえつつ、公共施設の整備等に取り組んでいけるように対応したものでございまして、こういった背景などの中、過疎対策事業費が積み上がって5,700億円となっているところでございます。

続きまして、整備内容でございますが、より効率的なものにということですが、令和3年に施行されました過疎新法におきまして、過疎市町村の市町村計画に基づき実施される施設整備につきましては、公共施設等総合管理計画の適合義務が設けられたところでございまして、これに伴いまして過疎対策事業債につきましても、公共施設マネジメント特別分が創設されております。この公共施設マネジメント特別分につきましては、公共施設等総合管理計画に基づいて行われます公共施設の統廃合を伴います集約化・複合化事業につきまして、他の事業に優先しまして同意等を行うものでございまして、例えば、近隣市町村が共同で実施します広域的な市町村廃棄物処理施設の整備事業、こういったものも含めているところでございまして、こういったところに非常に重点的に配分するといったことがございます。

それから、過疎ソフトのほうで様々なご指摘を頂戴したところでございます。過疎債でございますが、ご存じのように議員立法に基づきまして発行が認められた地方債でございまして、過疎地域の持続的発展を支援するために不可欠な財源となっているところでございます。ソフト分につきましては、将来にわたり安全に安心して暮らすことのできる地域社会の実現を図るための事業として、対象事業を広く設定しているところでございまして、過疎地域の市町村におきましては、財政力が弱いことから、当該年度の一般財源におきまして、持続的発展に資するソフト事業が十分できない状況に配慮するために設けられたことによるものでございます。こうした法律の趣旨を受けまして、同意等基準が定められたところでございます。

こうした過疎法の趣旨を踏まえまして、地域の実情に応じて、市町村において多種多様なソフト事業を展開しているところでございますが、過疎債の活用に対しましては、対象となる事業につきまして、市町村議会の議決を経て定めます、過疎地域持続的発展市町村計画に記載する必要がございまして、過疎法の趣旨に適合するかにつきましては、まずは市町村議会におきます審議を踏まえまして、各市町村において判断されるべきものと考えるところでございます。

議論もございましたが、過疎債も確かに将来に負担があるわけでございまして、各団体におきまして、当然ですが、そういったことを見越しながら、地域の実情に応じて様々な事業を考えているところでございますし、また、同意権者であります県におきましても、様々な市町村の相談に応じながら、事業を進めているところでございますので、そういったこともご理解いただければと考えてございます。

以上になります。

〔翁分科会長〕冨田委員、追加でご発言ですよね。どうぞよろしくお願いいたします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。先ほどのご説明で、過疎対策事業の貸付期間について、財融が12年、地方機構が固定で30年というお話をいただいたように思うのですが、資金調達コストの面から見たら、より長期なもののほうが相対的に国債でのファイナンスがよいのがマーケットで一般的だと思うのですが、貸付条件について、調達コスト以外のことが考慮されているということがあるのでしょうか。

つまり、貸付期間が12年と30年になっているわけですが、これはどうなのでしょうかということが質問です。素直に調達コストだけを考えた場合と少し違うのではないかというのが私の考えなのですが、いかがでしょうか。

〔伊藤計画官〕ご指摘ありがとうございます。過疎債について、機構資金のほうがどういった論理で、どういった調達をされているからこういう長い期間にしているのかというのは、我々も承知をし切れておりませんが、先ほど申し上げたように少し政策的誘導をある程度する中で、調達面を踏まえた上で検討してまいりたいと思っております。

以上でございます。

〔翁分科会長〕冨田委員、よろしいでしょうか。

〔冨田委員〕よく分かりませんので、また、よろしくお願いします。

〔翁分科会長〕追加的にまた、質問をお寄せいただくなり、ご説明いただくなりでご対応いただきたいと思います。

そのほかにございますでしょうか。それでは、このあたりで質疑を終了したいと思います。今日の委員の皆様からのご意見を反映して、伊藤計画官には、ぜひ引き続き、ご対応をいただきたいと思っております。

それでは、ここで地方公共団体の関係者の方々にはご退席をいただきます。どうもありがとうございました。

(地方公共団体関係者 退席)

〔翁分科会長〕それでは、予定の時間となりましたので、本日の議事はこれまでといたします。各委員より頂戴いたしましたご意見につきましては、今後の財投計画の策定にご活用いただきたいと思っております。

ご議論いただいた内容のほか、もし追加のご意見、ご質問がございましたら事務局までお寄せください。

また、本日の議事内容につきましては、この後事務局より記者レクを行います。議事録につきましては、委員の皆様のご了解をいただいた後、財務省ホームページに掲載いたします。

次回は11月15日の金曜日14時から、独立行政法人日本学生支援機構及び株式会社産業革新投資機構につきまして、審議を行う予定としております。

それでは、本日はご多忙の中、ありがとうございました。これにて閉会いたします。

16時01分閉会