このページの本文へ移動

ダウンロード(PDF:337KB)

財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録

令和5年12月21日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第

令和5年12月21日(木)14:39~15:52
財務省国際会議室(本庁舎4階)

  • 1.開会

  • 2.副大臣挨拶

  • 3.令和6年度財政投融資計画等

    (議案第1号)令和6年度財政投融資計画

    (議案第2号)令和6年度財政融資資金運用計画

    (議案第3号)令和6年度の財政融資資金の融通条件

  • 4.(議案第4号)令和5年度財政融資資金運用計画の一部変更について

  • 5.報告事項

  • 交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還計画の変更について
  • 政策コスト分析(新型コロナ関連融資)について
  • 6.質疑・応答

  • 7.閉会

配付資料

議案第1号

令和6年度財政投融資計画

議案第2号

令和6年度財政融資資金運用計画

議案第3号

令和6年度の財政融資資金の融通条件

議案第4号

令和5年度財政融資資金運用計画の一部変更について

議案関係説明資料(1)

議案第1号、第2号及び第3号関係

議案関係説明資料(2)

議案第4号関係

参考資料

令和6年度財政投融資計画の機関別事業計画・資金計画

資料1

交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還計画の変更について

資料2

政策コスト分析(新型コロナ関連融資)について

出席者

分科会長

百合

赤澤財務副大臣

奥理財局長

湯下理財局次長

藤﨑総務課長

大江財政投融資総括課長

上野資金企画室長

原山財政投融資企画官

大島管理課長

小多計画官

大江計画官

土居丈朗

丸田健太郎

家森信善

臨時委員

有吉尚哉

工藤禎子

冨田俊基

山内利夫


14時39分開会

〔翁分科会長〕少し予定の時間より早いですが、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開会いたします。本日は、財政投融資計画に係る4つの議案に加え、2つの報告事項についてご審議いただきます。時間が限られておりますので、ご質問、ご意見などは、できるだけ簡潔にお願い申し上げます。

本日は、赤澤財務副大臣にご出席をいただいております。開催に当たりまして、赤澤副大臣よりご挨拶を頂戴したいと思います。報道関係者が入りますので、そのままお待ちください。

(報道カメラ 入室)

〔翁分科会長〕それでは、お願いいたします。

〔赤澤財務副大臣〕皆さん、こんにちは。財政制度等審議会財政投融資分科会の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。私、11月13日に図らずも突然財務副大臣になりました。よろしくお願いいたします。

委員の皆様におかれましては、これまで大変ご熱心にご議論いただきまして、また、年末のお忙しい中、ご出席を賜り誠にありがとうございます。心より感謝を申し上げます。

本日は、これまでのご議論を踏まえ編成いたしました令和6年度の財政投融資計画などについてのご審議をお願いしておりますが、当該計画は、国内向けには賃上げやスタートアップ支援、GX、サプライチェーン強靱化など、成長力強化に向けた重要分野への投資をはじめ、海外に向けては日本企業の海外展開の支援や天然資源確保など、国際環境の変化に対応するための海外投資などを行っていくこととしております。

いつも大変お世話になっております委員の皆様におかれましては、忌憚のないご意見を賜りますことを心からお願い申し上げて、ご挨拶とさせていただきます。

よろしくお願いします。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、報道関係者の方はご退室ください。

(報道カメラ 退室)

〔翁分科会長〕なお、本日は、予算案の決定を間近に控えていることから、事務局側におきまして、業務の都合上、現状、少し離席されておりますが、戻られたり、また、その後、退席される場合もあるということでございますので、あらかじめご了承いただければと思います。

〔赤澤財務副大臣〕申し訳ありません。少しばたばたしております。

〔翁分科会長〕それでは、議事に移ります。議案第1号、第2号及び第3号、令和6年度財政投融資計画等につきまして、大江財政投融資総括課長よりご説明をお願いいたします。

〔大江財政投融資総括課長〕ありがとうございます。財投総括課長の大江です。本日もありがとうございます。

私からは、議案第1号「令和6年度財政投融資計画」、議案第2号「令和6年度財政融資資金運用計画」、そして、議案第3号「令和6年度の財政融資資金の融通条件」について、議案関係説明資料で説明をさせていただきます。

それでは、1ページ目、令和6年度財政投融資計画のポイントをご覧ください。

まず、規模につきまして、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況変化等を受け、計画額全体は約13.3兆円となり、前年度計画比で約2.9兆円の減少となっております。

一方で、積極的にリスクマネー供給を図った結果、産業投資の規模は、当初計画額として過去最大の4,747億円となりました。ご参考までに申し上げますと、令和5年度計画以前では、令和2年度の当初計画額4,510億円が最大規模でございました。

また、資金供給先につきましては、令和6年度計画では、成長力強化に向けた重要分野への投資や、国際環境変化に対応するための海外投融資等に重点的に資金を供給することとしております。

資料左下の、財政投融資計画額の推移の棒グラフをご覧ください。令和6年度計画額は、青色の当初計画で見ますと、コロナ前に策定された令和元年度、令和2年度の計画並みの水準となっております。

次に、資料右下の産業投資の出資先の円グラフをご覧ください。過去最大となりました産業投資の出資先を示したものとなります。詳しくは、機関ごとに後ほどご説明をいたします。

次に、2ページ目をご覧ください。令和6年度計画における主な施策として大きな柱を2本立てております。

1つ目は成長力強化に向けた重要分野への投資、2つ目は国際環境変化に対応するための海外投融資を掲げております。こちらの具体的な内容につきまして、次の3ページ目から始まる主な機関ごとの資料でご説明をいたします。

まず、1つ目の柱、成長力強化に向けた重要分野への投資に掲げる機関の主な施策でございます。

3ページ、日本政策金融公庫(国民一般向け業務・中小企業者向け業務)でございます。左の表にあります事業規模ですが、新型コロナ対応向けの資金需要の落ち着き等を踏まえまして、令和5年度、令和6年度と減少傾向にございます。

令和6年度の取組としましては、賃上げに取り組む中小・小規模事業者への金融支援や、スタートアップの資金需要に的確に対応するとともに、物価高の影響等により厳しい状況にある事業者に対し、資本性劣後ローンを含めた資金繰り支援を推進することとしております。これらの対応のため、国民一般向け業務に財政融資1兆7,600億円、中小企業者向け業務には、財政融資1兆2,300億円、合わせて財政融資2兆9,900億円を措置することとしております。

次のページをご覧ください。日本政策金融公庫の農林水産業者向け業務でございます。

こちらも事業規模はコロナ関連融資の減少等により減となっておりますが、スマート農業技術の普及による農業の生産性の向上を後押しするといったようなことなど、農業者の前向きな経営改善の取組を支援することとしております。これらの対応のため、財政融資7,235億円を措置することとしております。

次のページをご覧ください。日本政策投資銀行(DBJ)でございます。10月の財投分科会では、特定投資業務における重点分野の設定などのご議論をいただきました。これらも踏まえまして、産業投資850億円を含め、財政投融資7,350億円を措置することとしております。なお、産業投資については、令和5年度補正で措置した500億円と合わせますと総額1,350億円となりますが、資金運用効率に課題がある点も踏まえ、資金枠によらない形で措置をすることとしております。

他方で、10月の財投分科会でご意見をいただきましたとおり、資金枠によらない形とすることで、産業投資を活用してDBJが資金供給する分野が分かりづらくなるおそれもあることから、年明け以降、DBJより、今後2年間の各重点分野の具体的な投資見込額を対外公表する予定にしております。

次のページをご覧ください。住宅金融支援機構です。住宅金融支援機構が発行するグリーンボンドに対し政府保証を付与することにより、省エネ性能に優れた住宅の普及を促進するため、2,400億円の政府保証を措置することとしております。

また、被災住宅の早期復興を支援するために、財政融資263億円を措置することとしております。

続きまして、産業革新投資機構(JIC)でございますが、スタートアップの中でも、特にリスクマネー供給が不足している分野等への投資に注力をするとともに、民間のみでは対応が難しい中長期の成長投資や事業再編・業界再編に取り組む企業を支援することとしており、産業投資800億円を措置することとしております。

11月の財投分科会におけるご議論の中で、投資規模の検討や資金計画の作成を行い、マーケット環境が変動していく中で、不断に検証し、見直していくことが重要であるといったご意見をいただいたところです。これを踏まえまして、編成期間中のみならず、今後とも、主務省、また、機構と密に連携をし、機構の業務運営に関する検証を深めてまいりたいと考えております。

次に、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT 地域公共交通等勘定)でございます。「物流2024年問題」を踏まえまして、既存の融資による金融支援に加え、新たな支援手法として、法改正を行い、出資による支援を実施することとしております。

こちらも財投分科会でご議論いただいたところでございますが、これらの財源として、財政融資112億円、産業投資10億円を措置することとしております。

次のページからは、2つ目の大きな柱の国際環境変化に対応するための海外投融資に関する機関の主な施策でございます。

まず、国際協力機構(JICA)でございます。質の高いインフラ輸出等の支援を行う円借款を中心に、開発途上国の社会経済の安定や、グローバル・サウス諸国との連携強化の促進等に貢献していくため、財政投融資1兆6,420億円を措置することとしております。

左側の事業規模及び財政投融資の欄をご覧いただきますと、令和6年度の財政投融資計画額は令和4年度計画に比べて約1兆円増加しております。これは特に大型のインフラ案件に対する円借款につきまして、新型コロナの影響が縮小する中で、事業が順調に進捗してきていることを受けて資金需要が高まっており、令和6年度においても引き続き、高い水準が見込まれていることから、このような計画としております。

次のページ、国際協力銀行(JBIC)でございます。今年の通常国会での法改正による業務拡充を踏まえまして、日本企業の更なるリスクテイクにつながる取組の支援を行うとともに、引き続き、地球環境保全を目的として、グリーン・トランジションを含むGXの取組を支援することとしております。なお、令和6年度計画においては、業務拡充等に伴い、事業規模が2兆8,600億円と、令和5年度当初計画比で2,100億円増加しておりますが、財政投融資は1兆1,040億円と、令和5年度当初計画比で8,680億円減少となっております。これは、令和6年度は、融資先からの回収金などのいわゆる自己資金が増加すると見込まれていることで、資金調達の必要額が減少することが要因となっております。

次のページ、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)でございます。経済安全保障やカーボンニュートラルへの円滑な移行の推進等の観点から、天然ガスや、レアメタル等の金属鉱物資源の安定的な供給確保等に取り組む企業を支援するため、財政投融資852億円を措置することとしております。

続きまして、2本柱以外の施策として整理させていただいておりますが、まず、福祉医療機構でございます。保育所や特別養護老人ホーム等の社会福祉施設及び病院や診療所等の医療関連施設の整備に必要な資金として、財政融資2,102億円を措置することとしております。

こちらの新たな取組といたしまして、右側の新規制度のところですが、令和6年度では、少子化対策の強化等を図ることを目的とした産後ケア事業に係る融資制度等を創設することとしております。

次に、地方公共団体でございます。地方債計画に基づいて、住民生活に密着した社会資本整備や、国が責任を持って対応する災害復旧等の分野を中心に、地方公共団体へ財政融資資金を供給するため、財政融資2兆3,258億円を措置することとしております。

以上が、各機関のご説明です。次のページは、産業投資の概要でございます。

ご説明いたしましたとおり、令和6年度当初計画における産業投資は、サプライチェーン強靱化やスタートアップ支援のほか、GXへの取組支援等のため、積極的なリスクマネー供給を図った結果、当初計画額としては過去最大の4,747億円となりました。

左下の産業投資の内訳の表をご覧ください。令和5年度当初計画と比べますと、全体で449億円増加しております。

主な増減の要因としましては、一番上の国際協力銀行が260億円増加、日本政策投資銀行が450億円、産業革新投資機構が800億円増加となっております。

一方で、出資案件の蓋然性等を精査した結果としまして、エネルギー・金属鉱物資源機構が544億円の減少、海外交通・都市開発事業支援機構が213億円の減少となっております。

次のページは、産業革新投資機構以外の官民ファンドの取組でございます。官民ファンドに対しては、各ファンドの収益状況に留意しつつ、令和6年度の自己資金や出資の蓋然性の精査を行い、案件を積み上げた上で、財政投融資を措置することとしております。

11月の財投分科会における官民ファンドのフォローアップのご議論の中で、それぞれの強みが一層発揮できるよう、どういう投資領域やステージ等に投資していくかの見える化が重要であるといったご指摘、また、官民ファンドは民間投資家が収益を確保するのが難しいと考えるような案件に取り組むのが基本だが、強みがない分野に取り組んで回収可能性があるのか疑問であるといったようなご意見をいただいたところでございます。こうしたことを踏まえまして、令和6年度における投資分野についての事業の絞り込みを行いました。

また、官民ファンドのパフォーマンスが向上されるよう、今後も理財局として引き続き取組を促してまいりたいと考えております。

17ページに飛んでいただきまして、こちらは財投計画をポイント紙の柱ごとに整理したものとなります。

主な増減としまして、まず減の要因は日本政策金融公庫の2兆900億円、また、国際協力銀行の8,680億円といったものがございますが、これまで説明しなかったところといたしまして、3つ目の柱、「教育、福祉・医療、インフラ」の中に入っております日本高速道路保有・債務返済機構が2,300億円減少しております。これは政府保証の額になりますが、コロナ禍で減少していた交通量が回復したことによりまして、機構の収入の前提となる高速道路の料金収入が増加し、償還財源として調達すべき金額が減少しているという要因があることに基づくものでございます。

逆に、増の要因としましては、国際協力機構(JICA)、こちらが3,734億円となっているのが最も大きなものでございます。

次のページはご参考までですが、財投機関債発行予定額を金額順に並べたものでございます。

以上の説明を踏まえて、議案をご覧いただきたいと思いますが、まず、議案第1号「令和6年度財政投融資計画」、こちらを簡単にご説明しますが、対象機関ごとの措置額を財政融資、産業投資、政府保証の原資別に整理した資料でございます。

4ページの原資見込をご覧いただければと思います。

資料の下の注書きの2で記載しておりますが、令和6年度の新たな貸付け等に必要な財源といたしまして、財政投融資特別会計国債、いわゆる財投債について10兆円の発行を予定しております。

次のページは使途別分類表となっております。こちら、(1)の中小零細企業が2兆円減少しておりますが、これは申し上げたとおり、日本公庫の計画額が減少したことが主な要因でございます。

続きまして、議案第2号「令和6年度財政融資資金運用計画」です。

こちらは財政投融資計画のうちの財政融資のみを切り出した資料になっておりますので、説明は割愛させていただきます。

最後に、議案第3号でございますが、「令和6年度の財政融資資金の融通条件」について設定させていただいているものです。

令和6年度は財政融資に関する新規業務等はございません。昨年同様、各機関の資金ニーズに沿った条件を設定しております。

以上が議案の説明になります。私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、続きまして、議案第4号「令和5年度財政融資資金運用計画の一部変更について」、大江計画官よりご説明をお願いいたします。

〔大江計画官〕計画官の大江です。よろしくお願いいたします。

地方公共団体に係る財政融資の弾力追加についてご説明いたします。

ご審議いただくのは議案第4号の資料となりますが、私からは、議案説明資料を用いてご説明させていただきます。

1ページ目をご覧ください。本年11月に閣議決定されました「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を受けて、令和5年度補正予算第1号が成立いたしました。今回はこの補正予算に伴い、地方公共団体が実施する事業に必要な資金を確保するため、地方公共団体に対する財政融資資金の貸付けを9,014億円追加することについてお諮りするものでございます。これにより、地方公共団体に対する財政融資資金の計画額は3兆3,252億円となります。

2ページ目をご覧ください。左側に地方債計画追加額、右側に財政融資資金追加額を記載しております。

この追加額についてご説明いたしますと、今回の補正予算により措置された事業の地方負担分のうち、地方債により資金調達を行うものを地方債計画に追加計上しておりまして、そのうち財政融資資金については、基本的に当初計画と同じ割合で引受けを行うものとなります。

具体的な事業といたしましては、例えば災害復旧事業では、本年5月の豪雨等により被災した公共土木施設等の復旧を図ることとしております。

また、補正予算債の防災・減災・国土強靱化緊急対策事業では、地域における防災・減災対策や老朽化対策を推進していくこととしております。

3ページ目をご覧ください。財政投融資計画総額と地方公共団体向け財政融資の計画額の推移をグラフにしております。

一番右側が令和5年度の計画額となりますが、今回の弾力追加により、財政投融資計画総額は18.1兆円となります。

4ページ目以降は参考資料となりますので、説明は割愛させていただきます。

私からの説明は以上となります。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、続きまして、報告事項に移りたいと思います。

まず、初めに、「交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還計画の変更について」、大江計画官よりご説明をお願いいたします。

〔大江計画官〕引き続きまして、計画官の大江でございます。

地方向け財政融資に関わる事柄といたしまして、ご報告申し上げます。「交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還計画の変更について」と題しております資料をご覧ください。

1ページ目をご覧ください。交付税特会につきましては、地方公共団体に対して、国税の一定割合等を財源として地方交付税及び地方譲与税を配分しておりますが、この財源が不足した場合に、借入金により補てんしておりました。

バブル崩壊以降、税収の落ち込み等を背景にした地方財源不足から、借入金が増加いたしました。

平成22年度末の借入金残高33兆6,173億円について、平成23年度より、「2.現状」にございますように償還計画に基づく償還がなされております。

2ページ目をご覧ください。交付税特会においては、財政融資資金からの短期借入れと、民間金融機関からの短期借入れを行っており、令和4年度末の残高は29兆6,123億円、このうち財政融資資金からの借入額は5兆5,669億円となってございます。

3ページ目をご覧ください。こちらが本日のご報告事項であります交付税特会の借入金償還計画の変更に関する資料でございます。先ほども申し上げたとおり、交付税特会の借入れは短期ですので、令和5年度財投計画に直接表れるものではありませんが、毎年度、同特会に対する年度越しの短期貸付けにつき、年度末にご意見を伺っていることから、本日、償還計画の変更をご報告するものでございます。具体的な内容については、上の段が令和5年度当初予算における償還スケジュール、下の段が変更案となってございます。

令和5年度において1兆3,000億円の償還を行うこととしておりましたが、臨時財政対策債の償還費0.3兆円の財源とするため、1兆円に変更がされております。この結果、償還完了予定が令和35年度から令和36年度に後ろ倒しになりました。貸し手としては、引き続き、償還計画どおりに残高を減らすことが大前提となっておりますので、今後、着実な償還を進めていただくようにお願いしていきたいと思っております。

私からの報告は以上となります。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

では、最後の報告事項になりますが、政策コスト分析(新型コロナ関連融資)につきまして、上野資金企画室長よりご説明をお願いいたします。

〔上野資金企画室長〕資金企画室長の上野でございます。よろしくお願いいたします。

新型コロナ関連融資の政策コスト分析につきまして、資料2によりご説明を申し上げます。

それでは、表紙をおめくりいただきまして、1ページをご覧ください。

1つ目のポツでございますが、政策コストにおける新型コロナの影響につきましては、実態をより正確に反映できるよう、本年7月の財投分科会におきまして、別途分析の精緻化を図った上で、今後の分科会でお示しをさせていただくとしたところでございます。

2つ目のポツでございますが、今回、一定の仮定の下で実態を反映しつつ、これまでの新型コロナ関連融資の実績を盛り込む形で、政策コストを可能な限り見込んだ結果、日本公庫、沖縄公庫、福祉医療機構の3機関の政策コストの合計は1.4兆円となりました。

3つ目のポツでございますが、このうち、プラスの政策コストの主な要因は、表の赤色の枠のAのところでございますが、日本公庫の国民勘定と中小勘定における分析期首までに投入されたコロナ対策の出資金に係る機会費用、それぞれ1.2兆円と0.6兆円の合計1.7兆円と、また、表の緑色枠のBのところでございますが、日本公庫の危機対応勘定の損害担保事業における、分析期間中に見込まれる補償損失引当金の繰入に伴う欠損金の発生による2,413億円でございます。

4つ目のポツでございますが、一方で、表の青色の枠Cのところでございますが、日本公庫の国民勘定と中小勘定におきまして、合計で8,464億円のマイナスコストとなっております。こちらは、国民勘定と中小勘定におきまして、これまで措置されたコロナ対策のための財務基盤強化としての出資金が、結果的に貸付原資に回り、事業者から回収した元本が余資運用に回ることで、分析期間中に利益の発生が見込まれ、国庫納付金や剰余金が発生することによるものでございます。

2ページをご覧ください。こちらには、今回精緻化を図った主な科目の試算方法の例を記載しております。試算の前に、まず、各機関におきまして、令和4年度末時点における貸出金残高のうち、コロナ債権の残高を特定して、貸出条件との紐づけを行いました。その上で、(1)の貸付金利息につきましては、正常債権及び要管理債権を対象として、当初または条件変更があったものは条件変更後のデータを基にするなどして、将来の各年度の利息を計上しております。

このほか、(3)の一般貸倒引当金につきましては、コロナ対応期間中の実績に限って見込むといった精緻化を図っております。

その他のものにつきましても、コロナ債権残高の割合で按分したり、コロナ債権を管理する人員の割合で按分するといった工夫を図っております。

左下は、分析に用いた前提金利と割引率でございます。赤い線が今回の前提金利でございまして、各機関の作業期間を考慮した上で、可能な限り足下の金利状況を織り込むこととした結果、令和5年8月31日時点における国債流通利回りに基づいて算出をしております。

右下は、ご参考までに、各機関の新型コロナ関連融資の実績として、令和4年度末時点の融資件数と融資金額の累計を記載しております。融資件数は125万件、融資金額は26兆円となっているところでございます。

次ページ以降はご参考までに、政策コスト分析の概要をつけておりますが、説明は割愛させていただきます。

簡単ではございますが、政策コスト分析についての説明は以上となります。

〔翁分科会長〕ご説明どうもありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご意見、ご質問をお願いしたいと思います。こちらの会場にいらっしゃる皆様は名前の札を立てていただきたいと思いますし、オンラインのご出席の皆様につきましては、チャット欄または挙手ボタンでお示しいただければと思います。チャット欄を確認しながら、指名させていただきますので、そのままお待ち願います。

また、ご発言の際には、資料をもし引用される場合には資料番号と該当ページをおっしゃっていただきますようお願いいたします。

それでは、冨田委員、工藤委員、よろしくお願いいたします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。今ご説明いただきました、令和6年度の財政投融資計画は、大筋で成長力強化への対応、そして、国際環境変化への対応という政府の方針に適合した、政府の現行にふさわしい計画となっているように思います。その上で2点、質問させていただきます。

1点目は、日本政策金融公庫の賃上げに取り組む事業者への融資、すなわち融資後2年間金利負担を軽減するという融資の要件を具体的にお教えいただきたい。コロナ関連融資など、日本公庫からの融資では、運用残が問題視されることがありましたが、それは公庫からの融資の要件を満たす事業者には、全てに公平に融資されていたかが問われるべきであって、最悪の事態に備えて計画を立てておれば、その後の景気金融の動向いかんによりましては、運用残が生じ得るものだと思います。この意味で、賃上げに関わる融資の条件についてお聞きしたい。

2点目は、産業革新投資機構の計画についてです。巨額の自己資金などが予定されておりまして、1兆3,000億円余りの5年未満の政府保証借入とされています。財投計画外で、参考資料とされていますが、財政投融資特別会計の資金繰りにも影響を与えますので、その返済計画についてお教えいただきたい。

あと、今日の審議では報告事項となっておりますが、交付税特会の償還計画の変更についてであります。5年度の補正予算で、交付税特会からの債務返済が3,000億円減らされて、最終返済期限を1年延期するリスケが示されております。この問題を、財政規律の緩みという観点から私は何度も指摘してまいりました。

少し異なる観点からですが、この問題は、国債整理基金への積立てと借換債の発行との関係に似ていると思います。定率繰入れを停止いたしますと、国債整理基金特別会計からの借換債を発行しなくてはなりません。同じように、交付税特会から財融資金への返済が減りますと、財投債の発行につながりかねないのではないでしょうか。規模の問題はもちろんございますが、この問題は、質問といたしまして、財政投融資特別会計の資金繰りという観点、あるいは問題意識から見て問題はないのでしょうか。

以上でございます。

〔翁分科会長〕冨田委員、どうもありがとうございました。

それでは、質問を続けてお願いしたいと思いますが、次に工藤委員、お願いいたします。

〔工藤委員〕ありがとうございます。私は質問ではなくコメントでございます。

本日ご説明いただいたように、短期間で各機関からの財投要求を精査していただいて、令和6年度の財政投融資計画を策定し、本日お示しいただいたことに、まず、感謝いたします。

10月18日にお示しいただいた令和6年度の要求額は14.3兆円だったわけですが、本日お示しの計画額は13.3兆円となっており、我々委員の意見も踏まえて、調整をいただいたものと理解をしております。新型コロナウイルスの影響が落ち着きを見せていて、計画額自体はおおむねコロナ前の水準に戻ったと伺いました。

一方で、私も既に何年か委員を務めさせていただいておりますが、近年は状況の変化が速く、新たな政策課題が次々に生まれて、毎年の個別の取組の内容は相当に異なっていると思います。イノベーションやGX、また、中堅中小のサプライチェーンの維持、農業、林業、国際競争力の維持や経済安全保障の観点からも様々な課題が入れ替わり立ち替わりというのでしょうか、中長期で取り組むものもありますが、発生している状況だと思います。

各財投機関において、長期的に継続して取り組むべき事項と、短期的にスピード感を持って取り組むべき事項をしっかりと峻別いただいて、後者については、適切なタイミングでEXITいただくことが重要だと考えています。

財政投融資の執行状況についても、今後しっかりと、本分科会で議論させていただければと思っております。

以上です。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、続きまして、丸田委員、お願いいたします。

〔丸田委員〕丸田でございます。ご説明いただきまして、ありがとうございました。

質問と意見を述べさせていただきます。

最初に、この議案1号、2号、3号関係というところで、今までの分科会での議論を踏まえまして、しっかりとした、メリハリのある資金の配分というのが行われているのではないかと感じました。特に、コロナ関連は縮小しつつ、新しい分野も含めたリスクマネーの供給と、重要分野を絞って、国内外も含めて必要な分野を特定して、重点的に資金配分を行われているということで、非常に、明確かつ妥当なものであるという印象を受けました。

本件に関して、1号、2号、3号関係で1点質問があります。この自己資金等のところで1つ分からなかったのが、日本政策金融公庫が、新しいコロナ融資は令和6年度から減少するのですが、一方で、自己資金に融資の回収が多く含まれていると推察しますが、令和5年度よりも令和6年度の自己資金等が随分少なく見えるのですが、こちらはどのような理由によるものでしょうか。コロナの融資の新規融資が一段落すると、逆に今度、回収フェーズに入るのではないかと思いまして、その中で、自己資金等に含まれる融資の回収というのが、かなり減っているように思えまして、その点を質問させていただきたいと思います。

次に報告事項になりますが、私も十分に理解が進んでいない面もございますが、冨田委員からもご指摘ございました点に関連して、交付税及び譲与税配付金特別会計の償還計画の変更ということで、今回、令和5年度の臨財債への手当てで、自動的に、将来年度に償還期限が繰り越される計画になっております。こちらについて、一般にはやはり財政の健全性を維持するためには、例えば返済計画自体を1年延ばすだけではなくて、その前の年度の償還計画からしっかり見直しを行って、資金を捻出するであるとか工夫をして、なるべく償還期間を延ばさないようにというような考え方で精査がされたのかどうかをご質問させていただきたいと思います。

最後に新型コロナ融資関連につきましても、非常にデータが明確になって、今回1.4兆円の政策コストがコロナ関連にかかったということで、融資件数で割りますと大体1件当たり100万円ぐらいですか、そういった金額ということで非常にイメージもつきましたし、1ページ目に記載されておりますが、参考として令和5年7月に公表した政策コスト25機関の合計3.5兆円のうち、コロナ関係が1.4兆円ということで、かなりの部分を占めているということも理解ができました。

ただ、やはりこちらの金額が本当に政策目的からして妥当なものだったのかというところについては、やはりこのコストを投じることによって、実際どのような効果が得られたのかというところと比較をして、イメージを持ちながら、この融資件数1件当たりなのか、もしくは国民1人当たりの負担がいくらなのかというところを含めて、効果と併せてコストというのは見ていくことによって、この妥当性というのが検証できるのではないかと感じました。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、有吉委員、お願いします。

〔有吉委員〕有吉でございます。私からはコメントを2点申し上げさせていただきたいと思います。

コメントに先立って、まず、議案1号から3号までの次年度の計画につきましては、計画額全体は減少させつつ、リスクマネー供給の観点から産業投資の規模を拡大するという方針には全く違和感はなく、ぜひこういった形で進めていただきたいと思っているところでございます。

その上で、1点目のコメントは、こちらの議案の1号から3号との関連でございますが、今申し上げましたとおり産業投資の規模を拡大するという方向は、それはそれでよいと思いますが、図体ばかり大きくするというだけではなくて、全体的に、効果的に資金を供給するということが一層重要になってくるだろうと思います。

その上で、この会合でも、私を含めてしばしば同種の発言がなされているところかと思いますが、例えばスタートアップ投資という分野については、幾つかの機関が共通して、テーマとして掲げているところでございますし、次年度の計画ですと、ご説明にありましたとおり、GXという言葉が特に多く見られるように思います。

複数の機関でそれぞれ特色があったり強みがあったり、テーマは同じでも全く同じことをするわけではないということは十分承知をしているわけでございますが、とはいっても、重複がある分野について、お互いを補い合ったり、それから情報を共有し合ったりということができるような取組につきましては、ぜひお金の出し手という立場から、それぞれの共同作業を促し、結果として、全体としてより効果的にお金が使われるよう、取組を進めていただきたいと思っております。

ノウハウ、あるいは市場環境といったことについては共有できる情報も、それなりにあるのではないのかという気がいたしますので、ぜひ、各機関での情報共有を進めることで専門性を高めていって、より効果的な投資活動につなげていってほしいというのが1点目のコメントでございます。

それから2点目のコメントは、資料2のコロナ関連融資の点でございまして、丸田委員のおっしゃったことと完全に重複するかもしれませんが、今回の政策コスト分析は、これはこれで精緻に分析を進めていらっしゃるものだと思いますが、何分、非常に金額自体甚大なものでありますし、ぜひこれを次の危機があったときの参考に使えるように、今後分析を進めていっていただきたいと思います。

そういった中では、今のタイミングというよりは、もう少し時間が経って、実際に、例えば、コロナ関連融資を通じての、最終的な貸倒れがどれぐらい生じたかといったことも含めて、データが把握できるようになった段階で、まさに後知恵として、施策がどう評価されるべきものだったのかということについて、これは誰かが良い悪いということを責めるということではなくて、次に似たようなことが起きてしまったときに、どこまで、今回の施策をそのまま使うべきなのか、あるいはどこを直すべきなのかということに使えるツールとして、ぜひ、この辺りの分析を、引き続き進めていただきたいと感じております。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕大変重要なご指摘、ありがとうございます。

それでは、山内委員、お願いいたします。

〔山内委員〕ありがとうございます。山内でございます。私からはコメントとして3点申し上げたいと思います。

まず、1点目は、本年度、議論させていただいた内容を踏まえた次年度の計画に関しまして、非常にメリハリがついたものではないかと考えております。と、申しますのは、先ほど冨田委員、工藤委員からもご説明ありましたとおり、コロナ対応で対処していたものが、結果的にどのように執行されたかを踏まえて、今後、先ほど赤澤副大臣おっしゃったように、今後の計画に向けて、どのように使っていくかということが反映された結果、成長資金に振り向けながらも、大きなものを減らしていくといいますか、効率的に使っていくというところが明確になったのではないかと考えております。民間企業の資金運用の際に、やめる勇気を持つのは非常に大変で、財政の分野ではなおさらそうだと思うのですが、そういった中でこのような機動的な対応をされたというところは、プラスに評価できるところではないかと個人的に考えております。これが1点でございます。

2点目はそれに関連するのですが、当初の令和6年度の要求、特に産業投資に関しての要求の中では、産業投資、出資から出してもらうという当初計画に対し、私どもから、なるべく自己資金を使うことも考えていただきたいとコメント致しました。その結果、政府保証債も含めてですが、自己資金を使っていく動きになって、結果的に、限られた産業投資の予算の中で回せる目途がついたというところも、プラスに評価されてよいところではないかと考えております。これが2点目でございます。

3点目が政策コスト分析に関連してでございます。先ほどのご説明の中で、今後実際に政策コストに対して、どのように国民に対して説明をしていくかという点がございました。

個人的に、国際協力関係の資金に関して最近、いろいろニュースが出ていますので、ツイートでどういう反応が出ているかと見ているのですが、国際協力のための資金が全部譲許的だ、つまり、渡して終わり、無償資金と勘違いされている方が多いように感じます。

本来であれば、国際協力機構などで新しく行われてくるものには融資なども入ってくるので、財投から出る分については、最終的に償還される、あるいは出資の場合だと結果的に戻ってくる前提になると思います。これはどちらかというと主務官庁の皆様のお役目の部分が大きいのかと思うのですが、特に国際協力関係のところは誤解が生じないように、どういった形でお金が出されて、どういった形で返ってくるのかといった点も含めた上で説明され、今後政策コスト分析の対象をさらに広げる場合説明の仕方も意識していただけたらよろしいのではないかと思います。3点目でございます。

ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、土居委員、お願いいたします。

〔土居委員〕ご説明どうもありがとうございました。令和6年度の財政投融資計画が、規模として13.3兆円ということで、コロナ前の姿に規模としては戻ってきている、そういう計画の姿だというところは、経済全体も平時に戻していくというところと非常に平仄が合っていると思いますし、さらには成長力強化、国際環境の変化に対応するための海外投融資ということで、新たな展開にも財政投融資を活用するというところで、非常にいい内容になっているのではないかと思います。

個別には幾つか申し上げたいと思いますが、まず、議案関係説明資料の3ページ、日本公庫ですが、スタートアップ支援、これは現政権でもスタートアップに非常に力を入れているという意味で、平仄が合っているということではあるのですが、そもそも日本公庫はもともと中小零細融資を伝統的に行ってきている機関で、実は、ある種のスタートアップ支援の老舗のような面があるわけでして、そういう意味では、何かと新しい取組をするということでフィーチャーされるところが昨今多い中で、やはりこれまでにも携わってこられた日本公庫の強みを引き続きスタートアップ支援に生かしていただきたい。そういうことで、新旧両スキームを織り交ぜながら、日本のスタートアップ支援をしていくということに、財政融資が使われることを期待したいと思います。

それから、DBJのところですが、5ページで、確かにサプライチェーン強靭化とか、GXとかで、どういう形の大型案件が出てくるかというところが必ずしも予見できないところがあるということですので、その辺りは柔軟に対応していただくということで、私はそれでいいと思います。しっかり目利きを働かせていただいて、よりよい投資先に、しっかり支援していただくことが、私としても必要だと思いますので、それをぜひお願いしたいと思います。

それから地方公共団体、13ページですが、これで当初計画として、2兆3,000億円余ということで固まったということで、特に、地方財政、地方消費税が増税されて以降、コロナ禍はあるとはいえ、税収がそれなりに堅調であるということで、臨時財政対策債も金額を減らせる局面になっているということですので、もともとの財政投融資における役割を、地方向け財政融資資金の供給でも引き続き果たしていただきたいと思います。

最後に、交付税特別会計に関しての件ですが、先ほど冨田委員もご指摘がありまして、私も同意するところであります。特に償還計画が後ろ倒しになるというのは、確かに、できれば避けてほしいという思いはあります。ただ、政策の方針ということでありますので、令和5年度分についての償還額を3,000億円減らすということですが、今後、確かに令和11年度以降1兆円ずつ毎年償還するということが特別会計法の附則で、今までも記されていて、恐らくこれは法改正されて、また、そういうふうに規定されるということですが、補正予算のタイミングで税収が上振れるということが、これは国税・地方税、国税といっても交付税財源となる国税補塡分ということを意図していますが、国税・地方税で税収の見通しが年度途中で上振れするような局面になれば、むしろそこは積極的に、補正予算段階で償還計画を改めていただいて、前倒しで返済していただくというようなことも、今後機会を捉えて取り組んでいただきたいということを申し上げて、私の意見とさせていただきます。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、家森委員、お願いいたします。

〔家森委員〕どうもありがとうございます。神戸大学の家森です。私も全体について、何ら異論はございません。その上で少しだけコメントをさせていただきます。

1点目は、議案説明資料の日本公庫のところです。これは質問にもなるのですが、賃上げに取り組む事業者に対して融資後2年間金利負担を軽減、マイナス0.5%とのことですが、これは財政の支援がされるということであるかを、念のために確認をしておきたいと思いました。この政策は中小企業にとって非常に重要であるとは思いますが、日本公庫でやるとなると難しいと思いますので、お尋ねしたところです。

それから、DBJについては、事前説明のときにもお願いをしましたように、従来、すごく的確に実施されているところでありますが、急激に規模が大きくなっていっているので、その体制についてもしっかりとつくっていただきたいという点を念のため申し上げます。

それから、3点目は、この報告資料の最初のページの、ポイントというところですが、ここの右下のところに、どこにお金を出したかが書かれているのは、これはこれで大事ですが、他方で上の括弧書きの中で、賃上げ、スタートアップ、GXへの投資と書いています。実際、例えばGXに今回の財投計画でどのぐらい使っているのだとか、サプライチェーンにどれぐらい使っているというのは、もちろん厳密な定義は難しいと思うのですが、これが分かると、去年までGXがこれぐらいだったのが今年はこんなにGXに資金を出しているみたいなことが分かると、より重点的に資金を供給したということが明らかになります。各項目にそれぞれ出てくるのですが、全体として実際どうなのだろうかというところでございます。

以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、様々な貴重なご意見、それからご質問をいただいたと思うのですが、まず、政策公庫関係から、よろしくお願いいたします。

〔小多計画官〕計画官の小多でございます。先生方、様々なご質問、ご意見等ありがとうございました。

まず、冨田先生から、賃上げの貸付要件についてご質問をいただきました。要件としては、従業員の給与等支給総額について、直近年度と比較して2.5%以上の増加が見込まれることを要件としてございます。この要件を満たすと見込まれる中小企業等に対しまして、日本公庫の各融資制度について、2年間、0.5%の金利負担の軽減を行うとなってございます。

それから、同じく冨田先生から、JICについて、ご質問がございました。自己資金でございますが、現在までのところ、政府保証というのは一般会計の短期の政府保証で行われておりまして、実際上は、1年の短期の政府保証借入という形で行われております。

ただ、これがこのままでいいのかという点は、当然論点としてはございます。従来に比べて投資規模が拡大しているところでございまして、また、現在の金融状況を見たときに、このままでいいのかということもございますので、11月の分科会の際にご議論させていただいたように、資金計画をしっかりと作っていただく。これを我々、財投当局も含めて、しっかりと議論しながら、今後については見ていくことを考えているところでございます。

それから丸田先生から、日本公庫の自己資金の部分でご質問がございました。貸付回収金の減少要因としては、繰上償還が非常に減っていることがございます。コロナの貸付けにつきましては、そもそもの貸付期間というのはまだ先が長いですから、当然回収は長くございますので、コロナ融資の貸付け回収の影響ではないということでご理解いただければと思います。

それから、家森先生からご質問が1点あったのが、これも賃上げの話でございましたが、賃上げについて財投で出しているのは貸付けの原資でございます。金利の引下げ分につきましては、一般会計から手当てをしているということでございます。

あとは、これはご意見ということでございましたが、土居先生から、日本公庫のスタートアップ、日本公庫の国民の場合は創業支援と呼んでいますが、こちらについてエールをいただいたということで、我々としてもしっかりサポートしていきたいと思っております。

それから、DBJにつきましてもご意見いただきまして、ありがとうございました。議論の中で、私からDBJに対して、自由には責任が伴うので、しっかりと仕事をやっていただきたいと申し上げております。当局としても、今後、DBJとともに、しっかりと政策的に意義のある分野へ投資をしていくことに取り組んでまいりたいと考えてございます。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、交付税特会関係で幾つか質問がありましたので、お願いします。

〔大江計画官〕計画官の大江です。委員の皆様、ご質問どうもありがとうございます。

冨田先生から、今回の償還計画変更に伴う財政融資資金への影響について、そのほか、冨田先生、丸田先生、土居先生、共通して、償還計画の改善の努力という点について、コメント、ご質問いただいたと理解しております。

まず、財政融資資金への影響について、償還計画の資料1の2ページを見ていただきたいのですが、現状、借入金残高のうち、財政融資資金で5兆円引き受けておりまして、その他は民間資金で引き受けております。今回のような年度途中の変更の場合は、財政融資資金は当初の予定通り1.3兆円償還し、逆に民間資金からの借入を3,000億円増やすという形にしておりますので、財政融資資金そのものへの影響はないと理解しております。

いずれにいたしましても、今回、償還計画が後ろ倒しになったことについて、一般則としては、税収の伸びに左右されまして、土居先生からもご指摘ございましたように、税収が伸びたときには積極的に前倒しして、景気後退などにより税収が落ち込むときはどうしても後ろ倒しせざるを得ないという状況です。一方、令和5年度の補正、来年度の計画の関係で、外部環境を申し上げますと、足下で税収は伸びており、例年であれば、令和6年度の償還額を上積みたいというところだったのですが、地方公務員給与改定など支出増の要因でありますとか、さらに、来年度には減税があり、その財源も繰り出さなければいけないというような政策的なこともありまして、何とか、6年度償還額が削られないように最低限維持するという形で努力させていただきました。今後、一般的には、税収が伸びたときには、おっしゃるとおり、償還計画を少しでも前倒しできるように頑張りたいと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕では、次お願いします。

〔大江財政投融資総括課長〕では、私から、順番は前後しますが、家森委員のご指摘のありました、賃上げですとかスタートアップ等々の項目ごとのボリュームということで、申し訳ありません、全てを積み上げた数字というのは持ってないのですが、幾つかご参考で申し上げられる数字がありますので、ご紹介したいと思います。

まず、公庫につきましては、賃上げ支援のための事業規模として、こちらに全体像を書いておりますが、この中で8,000億円程度を賃上げ支援ということで想定しているというのがございます。また、中小企業者向け業務として行うスタートアップ支援は400億円程度といったようなことを想定されております。

また、産業革新投資機構につきましては、こちらは6,100億円という事業規模がございますが、この内訳は以前の分科会でもご紹介しましたが、例えばスタートアップ支援が900億円、子会社のJIC VGIを通じた支援ということで、想定しております。また、LP出資を通じた支援が700億円といったような事業規模を想定してございます。

こういった個別の紹介になってしまって恐縮ですが、あともう一つご紹介できるとしましたら、駆け足で詳細説明は省いてしまったのですが、議案第1号の資料の5ページ目です。

こちらをご覧いただきますと、例えばスタートアップですとかそういった分野は(6)の産業・イノベーションというところが大体当たるのではないかと考えております。

こちらをご覧いただきますと、家森委員からご指摘のあったもの、そうでないものを含めまして、住宅ですとか社会資本、それから中小零細企業、こちらご紹介したとおりコロナの影響、需要が落ち着いてきたということで2兆円ほどの減になっております。こちらのほうでおおむねの規模感というのは、ある程度ご理解いただけるのではないかと考えております。

この際、せっかくですので少し補足させていただきますと、教育というのが、令和4年度の実績などでは大きくなっており、これは大学ファンドの関係で大きくなっておりましたが、その意味では使途別分類のバランスというのは、ある意味、以前の状況に戻ったといいますか、社会資本ですとか中小零細企業、また、海外投融資といったような分野が主なシェアを占めるといった姿になってきているということも申し上げられるかと考えております。

その他、いただいたコメント、ご質問等につきまして、簡単に回答させていただきたいと思います。

まず、工藤委員からご指摘いただいた、コロナ前の水準に戻ったが、変化が激しいニーズも様々あるということで、取り組む時期、事項をこれからも整理し、大変重要なご指摘、ありがとうございます。まさに今回もそういったことを踏まえまして、政府方針との整合性も考えながら、それぞれ精査をしてきたところでございます。引き続きそういった心構えで、また、分科会でご指摘いただいた事項、説明の中でも申し上げましたが、令和6年度計画が固まったから終わりではないと考えております。DBJの、いわゆる資金枠をどうするかといったような話ですとか、産業革新投資機構との議論を積み重ねていくといったこともございます。

また、スタートアップの関係で、有吉委員からご指摘いただいたこととも関連しますが、官民ファンドのフォローアップの中でも、各ファンドの連携をどうやって増やしていくか、また、知見の共有をどのように考えられるかといったようなことも、先般の分科会のご意見を踏まえまして、現在、中で検討しているところでございます。また年明け、どこかのタイミングでご披露できればと考えております。

また、丸田委員からご指摘いただきましたコロナのコスト分析に関する政策目的との関係での妥当性という部分は、恐らく、我々がやっております財投だけではなくて、政府全体でコロナ対応はどうだったかというのは本来分析が必要なのかもしれません。そういった意味で私の手に余るところは正直ございますが、コロナの関係で様々、いろいろな政策が政府全体で打たれた中で、もともと財政投融資という制度自体が有償資金を活用することで、極力国民の負担を少ない形でやっていこうという制度でございます。コロナという、これまでにないような事態への対応ということで、1.4兆円という、私どものできる限り精緻化した中での分析の数字でございますが、これで100万件を超えるような事業者への支援ができたというのは、一定の意味はあったのではないかと考えております。こちらは正確な分析ではなく、感想めいたことで恐縮ですが、そういったコメントとさせていただきたいと思います。

また、山内委員からいただきました産業投資のほう、なるべく自己資金、政保債を使って限られた資金を効率的にという、大変ありがたいお言葉をいただきまして、ありがとうございます。こちらも、今後もリスクマネーの供給はますます重要になってくるかと思います。我々もどうやって、こういった産業投資の部分で、まさに国民生活に役立つ形、また、成長に生かしていけるようにするという意味で、どのような使い方ができるかを、財政投融資の在り方も含めて、またしっかり考えていきたいと思います。こういったこともまた、年明け以降よくご相談をさせていただきたいと考えております。

私からは以上です。

〔翁分科会長〕ご説明ありがとうございました。

ただいまのご説明につきまして、追加的にご質問、ご意見ございますでしょうか。

土居委員、お願いいたします。

〔土居委員〕交付税特別会計について、ご回答ありがとうございました。一言だけコメントを申し上げておきたいと思います。交付税特別会計も、国と地方の基礎的財政収支の中に含まれているものでして、そうすると償還を早めるということは、それだけしっかり収支を改善することに貢献するということになる。何かと、交付税財源の税収が増えると、歳出を増やしたいという形での交付税の増額というものが割とリクエストが来るわけですが、これは財政投融資と関係ないところですが。ですけれども、特に年度途中で税収が上振れるということであるとすれば、やはりそこは追加で交付税を増やして、地方歳出を増やすというのではなくて、将来の交付税を確保するために今、交付税特別会計の借入金を減らしていくという形で、財政収支の改善にも貢献していただくように、地方交付税特別会計の運営には、そのようにお願いしたいということを申し上げたいと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございます。

交付税特会の償還計画につきましては、皆さん、意見はほとんど同じ方向だと思いますので、今回、こういう形になってしまいましたが、しっかり規律を守る形で、できるだけ計画に沿った形で償還するという形を貫いていただきたく、よろしく今後もお願いしたいと思っております。

そのほかいかがでしょうか。お願いいたします。

〔上野資金企画室長〕政策コストの件で補足をさせていただきます。

有吉委員から、政策コストにつきまして、今回コロナの分析を行いましたが、今後、貸倒れがどの程度生じたかの評価ということで、引き続き行ってほしいというご意見をいただきました。ありがとうございます。

こちらにつきましては、今後、各決算における貸倒れの動向ですとか、また機関の事務負担もかかりますので、この辺も考慮しながら、適切に検討したいと考えております。

それから、山内委員から国際協力機構の政策コストということで、ご意見をいただきました。こちらにつきましては、基本的に主務省の問題でございまして、ただ、政策コストで、どういったツールで貢献ができるのかどうかということも含めて、検討してまいりたいと思います。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

家森委員、お願いいたします。

〔家森委員〕ありがとうございます。私のコメントに対してご説明いただきまして、ありがとうございます。もう少しだけ言葉を足させていただきます。例えば、GXについて言うと、政府の文書で150兆円ぐらいこれから10年で必要ですというような議論があって、そのためにGX債を20兆円発行するとかという形で対応されているわけです。そういったときに財投でGXについてどの程度貢献していくのだという話があるはずです。我々の今年につくった計画ではGXにどの程度貢献したのかというのを見たいと、みんな思うと思うのですが、その数値はいろいろなところに分かれているので、一体財投としてどの程度貢献したのかというのが見られたりするといいかと思ったところです。個々の数値を全部、自分で足していけば分かるのかもしれませんが、そういうふうに見えると政策当局の意図もよく分かるのではないかという意図でのコメントでした。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。そのとおりですよね、本当に。ぜひ、GXとかスタートアップ支援もそうですが、様々な機関で共通にやっているテーマが多いです。確かに知見の共有とか、そういうことも大事ですし、あと個別機関ごとにメリハリをつけるとか、そういうことも大事ですが、一方で、財投全体としてどういう効果なのだというところが、それぞれ機関別にご説明いただくと少し見えにくいと思いますので。ですから、この辺りも今後ぜひ、お願いしたいと思います。

〔大江財政投融資総括課長〕ありがとうございます。どういうことができるか、よく考えさせていただきたいと思います。

〔翁分科会長〕政策コスト分析も、私も非常に今回、精緻にやっていただいてよかったと思います。また、こういうコロナ禍のようなことが起こる可能性もあるわけですので、そのための知見として、ぜひ今後に生かしていくことを考えていただきたいと思っております。

ほかには、よろしいでしょうか。

ありがとうございました。それでは、この辺りで質疑を終了したいと思います。議案第1号から第3号、「令和6年度財政投融資計画」等及び議案第4号「令和5年度財政融資資金運用計画の一部変更」の4案については、本分科会としては、了承したいと思いますが、ご異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

〔翁分科会長〕ありがとうございます。それでは、議案第1号から第4号の4案につきまして、本分科会として了承とさせていただきます。

それでは、予定の時間より少し早いですが、本日の議事はここまでといたします。

本日使用しました資料は、後日、財務省のホームページに掲載いたします。

議事録につきましては、委員の皆様のご了解をいただいた後、財務省ホームページに掲載いたします。

本日は、年末の大変ご多忙なところをお集まりいただきまして、活発なご議論をいただきまして、どうもありがとうございました。それでは、これにて閉会いたします。

15時52分閉会