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財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録

令和5年10月18日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第

令和5年10月18日(水)14:28~16:36
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開会

  • 2.神田財務副大臣挨拶

  • 3.令和6年度財政投融資計画要求の概要

    質疑・応答

  • 4.令和6年度財政投融資計画の編成上の論点

    ①株式会社日本政策投資銀行

    質疑・応答

    ②株式会社日本政策金融公庫

    (国民一般向け業務、中小企業者向け業務、特定事業等促進円滑化業務)

    質疑・応答

  • 5.株式会社商工組合中央金庫の株式の処分について

    (令和5年9月20日国有財産分科会における答申)

  • 6.

配付資料

資料1

令和6年度財政投融資計画要求

資料2

説明資料株式会社日本政策投資銀行

資料3-1

説明資料株式会社日本政策金融公庫
(国民一般向け業務)
(中小企業者向け業務)

資料3-2

説明資料株式会社日本政策金融公庫
(特定事業等促進円滑化業務)

資料4

株式会社商工組合中央金庫の株式の処分について
(令和5年9月20日国有財産分科会における答申)

出席者

分科会長

百合

神田財務副大臣

奥理財局長

湯下理財局次長

藤﨑総務課長

大江財政投融資総括課長

上野資金企画室長

原山財政投融資企画官

大島管理課長

小多計画官

大江計画官

土居丈朗

野村浩子

丸田健太郎

家森信善

臨時委員

有吉尚哉

冨田俊基

山内利夫


14時28分開会

〔翁分科会長〕それでは、予定の時間より少し早いですが、皆様おそろいでございますので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開会いたします。

本日は、神田財務副大臣にご出席いただいております。開催に当たりまして、神田財務副大臣よりご挨拶を頂戴したいと思います。報道関係者が入りますので、少しお待ちください。

(報道カメラ入室)

〔翁分科会長〕よろしくお願いいたします。

〔神田財務副大臣〕皆様、こんにちは。お疲れさまでございます。財政制度等審議会財政投融資分科会の開催に当たりまして、一言、ご挨拶を申し上げます。

このたび、財務副大臣を拝命し、それから、理財局の担当となりましたので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

岸田政権が掲げます新しい資本主義の推進に向けまして、GX、DX、スタートアップの推進や新たな産業構造への転換など、官民が連携した投資の拡大を進めておるところでありまして、財政投融資についても積極的な役割を果たすことが期待されているものと承知をしております。

また、先月26日には、総理から、総合経済対策の策定について指示があり、成長力の強化、高度化に資する国内投資促進などの柱に沿って、今月末を目途に取りまとめることとしておりまして、その中でも財政投融資の積極的な活用が示されているところであります。

本日から、令和6年度財政投融資計画の編成に関しまして、ご議論をいただきますが、委員の皆様方におかれましては、財政投融資の役割が最大限発揮されますよう、忌憚のないご意見を賜りますことを心よりお願いを申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。

本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、報道関係者の方々はご退室いただければと思います。

(報道カメラ退室)

〔翁分科会長〕それでは、議事に移ります。まず、「令和6年度財政投融資計画要求の概要」につきまして、大江財政投融資総括課長よりご説明をお願いいたします。

〔大江財政投融資総括課長〕財政投融資総括課長の大江です。本日もお集まりいただきまして、ありがとうございます。

では、早速でございますが、令和6年度財政投融資計画要求の概要につきまして、資料1に沿ってご説明させていただきます。

1ページの上段の表をご覧ください。

6年度の財政投融資要求額は、全体で14兆2,527億円となっております。内訳は、財政融資が10兆6,180億円、産業投資が8,040億円、政府保証が2兆8,307億円となっております。この要求額は、令和5年度計画額16兆2,687億円と比べまして、2兆160億円の減少となっております。その主な要因は、新型コロナ対応向けの資金需要に落ち着きが見られたことなどから、日本政策金融公庫の要求額が前年度計画よりも約1.8兆円減少したことによります。

続きまして、2ページ目をご覧ください。

財政投融資計画要求がされている主な機関をお示ししたものとなっております。上から順に簡単にかいつまんでご説明させていただきます。

まず、1ポツの特別会計ですが、5年度計画から約半減という形になっております。こちらの自動車安全特別会計でございますが、空港整備事業が財政投融資の対象となっておりまして、航空需要の回復によります事業収入、空港使用料の増加が見込まれることから、要求額が減少しているということが主な要因となってございます。ただ、こちらは事業自体が小さくなっているわけではございません。また後ほど少しご説明いたしますが、事業計画自体は前年よりも伸びる形ですが、自己資金、空港使用料の収入が増えることによりまして、財政融資に対する需要が減ったという構造になっております。

2ポツの政府関係機関でございますが、こちらは5年度計画と比べて約2.2兆円の減少となっております。このうち②の日本政策金融公庫につきましては、先ほど申し上げたとおり、新型コロナ対応向けの資金需要に落ち着きが見られたことから、約1.8兆円の減少となっております。このほか、④の国際協力銀行につきましては、融資先からの回収金などのいわゆる自己資金が増加したことに伴い、6年度の資金調達の必要額が減少する見込みであるという事情がございます。一方で、⑤の国際協力機構におきましては、円借款に対する旺盛な資金需要に伴う事業量の増加が見込まれまして、約0.4兆円の増加となっております。

3ポツの独立行政法人等、4ポツの地方公共団体等につきましては、おおむね横ばいに近い数字ですので、省略させていただきます。

最後に5ポツの特殊会社等ですが、こちらは5年度計画と比べて約0.3兆円の増加となっております。

⑫の日本政策投資銀行につきまして、サプライチェーン強靱化やインフラ高度化を新たな重点分野として設定するなど、特定投資業務の取組を強化することから、0.1兆円増加していることが要因となっております。

続きまして、3ページ目をご覧ください。

参考としまして、産業投資の要求について、内訳をお示ししております。

こちら、5年度当初計画の4,298億円に対しまして8,040億円と、3,742億円の増となっております。

この主な要因につきましては、まず、①の日本政策金融公庫でございますが、こちらが910億円の増、伸び率316%となっております。こちらは、資本性劣後ローンへの資金需要の増加を見据えた要求となっております。

次に、③の国際協力銀行が、5年度計画と比べ600億円の増加となっております。こちらは、今年の通常国会において法改正されたことによる業務拡充等に伴う財務基盤強化を図るための要求となっております。

次に、⑦の日本政策投資銀行でございますが、5年度計画と比べ1,100億円の増加となっております。こちらは先ほどご説明したとおりです。

⑧の産業革新投資機構は800億円の新規要求が出ております。こちらはスタートアップ等へのリスクマネー供給の強化を図るために2年度計画以来4年ぶりに要求が出てきたという形になっております。

産業投資につきましては、NTTですとかJTの配当金などの収入を再投資をするという仕組みとなっておりまして、財源に限りがございますので、要求額が5年度計画と比べて大幅に増加しておるところでございますが、真に必要な額について年末に向けて精査をしてまいりたいと考えております。

4ページ目以降はご参考としての資料でございます。まず、4ページが財政投融資実績の推移となっております。7月の分科会でもご議論いただきましたとおり、2年度、3年度は計画全体での執行率が3割程度に落ち込んでおりました。これはコロナ対応ということで、見通し難い需要も含めて万全を期すという形で十分な額を用意しましたが、実際にはあまり実績が出なかったといったような要因がございまして、4年度の実績、執行率で見ますと、コロナ前の姿に近づいてきているところでございます。今年もこれから財政投融資計画の編成作業、査定作業を行っていく中で、当然、需要をしっかり見込んだ上での計画をつくっていきたいと考えておりますが、執行につきましては、ある程度余裕を持たせている部分がございますし、執行率を高めるために計画に近い形で無理やり貸すといったようなことはもちろんございません。いずれにしましても、しっかりと実情を見極めた形で編成を行っていきたいと考えております。

続きまして、5ページ目以降は各機関の5年度計画と6年度要求額をお示ししたものでございます。詳しくは省略させていただきますが、少しだけ補足をしますと、5ページ目の上から3番目の自動車安全特別会計、こちらが先ほど申し上げた空港整備事業でございます。財政投融資の要求としましては、先ほど申し上げたとおり、半減の姿となっておりますが、右側をご覧いただきますと、自己資金等が5年度に比べてかなり増えている。再計が事業計画のようなものでございますが、こちらでご覧いただくと、事業計画自体は5年度の1,826億円から1,988億円に伸びているという姿になってございます。

また、その下の日本政策金融公庫でございます。こちらもコロナの需要が落ち着いてきているということで、要求が落ち着いてきておりますが、財政投融資に対する要求も、1.75兆円ほど減っておりますが、それと同様に、事業計画全体も5年度の8.7兆円から6.3兆円程度にという形で、2兆円以上小さくなってきているという姿はご理解いただけるかと思います。

私からは以上で、簡単ではございますが、資料1のご説明とさせていただきます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご質問やご意見をお願いしたいと思います。会場にいらっしゃる皆様につきましては、名前の札を立てていただければと思います。オンラインでご出席の皆様につきましては、チャット欄、または、挙手ボタンでお示しいただければと思います。そちらを確認しながら、ご指名いたしますので、そのままお待ちいただければと思います。ご発言の際に資料を引用される場合には、資料番号と該当ページをおっしゃっていただきますようにお願いいたします。

それでは、いかがでしょうか。

山内委員、お願いいたします。

〔山内委員〕ありがとうございます。私からは2つ、コメントをさせていただければと思います。

まず、第1に、これは非常に評価すべきことかと考えておりますのが、コロナ対策の資金の割当てを変えるといいますか、今まで十分に確保していたものを、これからの実需をにらんだ上で絞ったという点です。今回のコロナの対応は未曽有の危機的状況に対するもので、危機管理の基本としては、大きく構えて小さく収めるということだと思います。実際に資金が使われるかどうかというのは、このファンドが出来上がったタイミングでは予測不可能だったと思います。その中で、ある程度の制限、制約など条件をつけながら資金を供給していった上で、結果的に実需がなかったといいますか、関係者の皆さんが努力をされた結果、使わなくて済んだということであれば、これは財政の運営の仕方として、1つ妥当な方向かと思います。さらにこれを、実際の需要を受けて止めるのもすごく難しい判断の部分があるかと思うのですが、これを機動的に行われているところは非常に評価できる部分ではないかと考えております、これが1点目でございます。

2点目は、今年度の内容を踏まえた上での来年度の要求に向けて、現在8,000億円ほどの要求が産投で出ておりますが、今後、同じような規模のお金が出るかどうかの保証はないという前提を踏まえた上で、各機構の皆様などからお話を伺っていく必要性があるかと考えております。現段階で、皆様もご議論されていらっしゃると理解しているNTT民営化が実行された場合、配当原資が産投の一部に組み込まれているとしますと、この原資が減少する可能性が高くなる。これがいつのタイミングでいくら減るかは当然分からないわけですが、今、実際に要求されている皆さんが、今後、産投の原資が減ることを想定した上で、各機関が出せるパフォーマンスを前提にして目標を立てていただくことが必要なのではないか。特に官民ファンドにおいては、既に設立から年数が経過していて、そろそろEXITをして、自分たちの利益で資金のリサイクルをしていくことがファンドとして必要なタイミングに来ていると考えております。

したがいまして、今回要求いただいている内容に関して考えていく際には、全体のこの先の原資のことも意識しながら、ある意味、ソフトランディングも想定した上で、議論していく必要があるのではないかと考えております。ただ、もちろんこれにつきましては、先ほど神田副大臣のお話にもございました、特にスタートアップ支援などを加速させていただく必要性というのは社会的に誰もが合意できるところだと私は個人的には考えております。めり張りをつけた上で、整理をしていくことが必要かと考えております。

以上2点でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、土居委員、お願いいたします。

〔土居委員〕私も、コロナ対応との関係での財政融資資金ないしは財投債に関連してコメントしたいと思います。

今、山内委員がおっしゃったように、コロナ対応は、私も適切に行われていたものだと思います。そういう意味では、財政融資資金がセーフティーネットというか、バックアップというか、そういうものを提供して、資金繰り支援について滞りのない体制を考えていたところはよかったと思います。ただ、資金需要がそれだけないということは、財政融資資金の体制上、財投債を発行して資金を融通するということが基本になっていて、もちろん回収金が大量にあるならば別に財投債を出さなくてもいいのですが、当初の国債発行計画でいうと、令和3年度も、令和4年度も、相当な財投債の発行を予定していたけれども、幸いそこまでの資金需要がなかったので、そこまで財政融資資金はコロナ対応で出さなくてもよいということになった。けれども、財投債を出すと最初に決めてしまっていて、それに基づいて国債発行計画を立てていて、当然、コンスタントに市場で国債を発行しなければいけないという要請があるので、そのつもりで月々の国債の発行スケジュールは変えない。そこに幸か不幸か大型の補正予算があったので、一般会計で国債を発行するということで、財投債を減らす代わりに一般会計の国債を発行するということで、のみ込めていたというのがこれまでだったのですが、今後は、2025年のプライマリーバランスの黒字化という財政健全化の大事な局面に入ってきて、補正予算で大量の国債発行というのは、私は許されないと思っていて。そういたしますとやはり、当初から、財投計画及びその裏づけとなる財投債の発行についても、しっかり見積もって、コロナ禍よりかは、ぶれは少なくなると思われるので、そこは好材料ではあるのですが、一般会計で、補正予算で大量の国債発行があるから、財投債の発行計画の一部を振り替えるというようなことを当てにしないようにする。それは理財局マターだけではなくて、主計局、主税局のマターでもあるのですが、一般会計の起債についても、慎重に進めて、しっかりと2025年のプライマリーバランスの黒字化が達成できるような方向で、財務省全体といいましょうか、日本の財政運営を健全な方向に向けていただきたい。

そのためには、やはり財投債も、しっかり資金需要を今まで以上に見極める必要性が、ポストコロナを見据えてなおさら必要になってくるという時期に移り変わっていくのかと。それがちょうど令和6年度からそういうような局面に入ってくるかということを、杞憂ではあるかもしれませんが、思った次第であります。一言コメントさせていただきました。ありがとうございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、今のご意見につきまして、理財局からご回答というか、コメントいただければと思います。

〔大江財政投融資総括課長〕まず、コロナ対応についての評価をいただきまして、ありがとうございます。土居先生がおっしゃった点、おっしゃるとおりでございまして、当然、財投計画に基づいて財投債の発行額は決まっておりますので、それが、執行率が下がってくると発行額にも影響してきますので、そこは先ほど申し上げたことと同じになりますが、しっかりと可能な限り見積りを立てていく。そのためにもこれから年末に向けて、各係においてしっかりと各機関と議論してもらった上で、私ども総括課で計画全体をつくっていくということに尽きるかと考えております。

あと、山内委員がおっしゃられたNTT株の議論です。こちらは与党また総務省の審議会でも議論が進められておりまして、現段階でどうなるかは私どもでは何とも言えないところがございますが、当然、産投原資は限りがあるものであるということは間違いないところでございますし、一方でスタートアップを、おっしゃっていただいたようなことですとか、あとは経済安全保障の観点からの資源確保のためのJOGMECなど、令和5年度では大幅な増額をいたしたところでございます。そういった個々の機関について、まずはしっかりと必要額はどれぐらいなのかを議論させていただいた上で、実際の財源との兼ね合いで、編成過程で調整をしていくことになろうかと思います。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。今の件につきまして、よろしいでしょうか。

それでは、今の委員のご意見を踏まえて、ぜひ、取り組んでいただきたいと思います。

それでは、次に、「令和6年度財政投融資計画の編成上の論点」につきまして、ご審議いただきたいと思います。日本政策投資銀行の関係者の方々が入室されますので、しばらくお待ちください。

((株)日本政策投資銀行着席)

〔翁分科会長〕それでは、小多計画官より要求の概要及び編成上の論点のご説明をお願いいたします。

〔小多計画官〕計画官の小多章裕でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私から、資料2を用いまして、株式会社日本政策投資銀行に係る令和6年度財政投融資計画の編成に向けた論点について説明をさせていただきます。

資料冒頭からの機関概要等につきましては、恐縮ながら割愛させていただきまして、早速ですが、資料の7ページをご覧ください。こちらが日本政策投資銀行(DBJ)から出されている令和6年度財投要求の概要でございます。事業規模は約2兆5,000億円、前年度と同程度となっております。このうち、一般投融資は前年度から1,700億円減の2兆2,300億円、特定投資業務は前年度から2,200億円増の3,000億円と見込んでいるところでございます。財投については、一般投融資の原資となる財政融資と政府保証について、いずれも前年度同額の3,000億円、3,500億円がそれぞれ要求されています。一方、特定投資業務の原資となる産業投資については、この後論点として提示いたしますが、新たな重点分野への投資や大型案件への柔軟な対応への用意として1,500億円の要求が出されています。前年度から見ますと、1,100億円の大幅な増額要求となっておりますが、この表のすぐ上の注書きで記載しておりますように、新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンドを解消し、ここに入れておりました産業投資約800億円を国庫納付すると想定しておりますので、実質的には差引きで300億円程度の増額要求とご理解いただければと存じます。

次のページから、財務状況、一般投融資の状況と資料をつけております。このうち12ページについて少し紹介させていただきます。こちらは参考資料という位置づけですが、このページの一番下に、「健康経営格付融資」と記載しております。これは、DBJが融資先企業に対し、少子化対策や働きやすい環境づくりなどに取り組んでいるかという観点から評価し、格付を付与しているものでございます。現下の日本社会の重要課題である少子化対策の関連で、DBJがこのような取組を行っているというご紹介でございます。

14ページ、こちらは危機対応業務についての資料でございます。コロナ禍においては、飲食業や宿泊業といった、DBJにとってそれまで比較的なじみの薄かった事業者を含め、資金繰り支援等を実施いただきました。

16ページからが、今回の議論の対象である特定投資業務に関する資料となります。16ページの図をご覧ください。真ん中やや左に赤字で「特定投資業務」と記載のある枠に向けて左からの矢印で示しておりますとおり、国が産業投資として出資をします。また、同様に、上からの矢印として示しておりますとおり、国からの出資と同額をDBJが自己勘定から繰り入れ、これらの資金を原資として、資本性資金を事業者に供給するというスキームでございます。その際、下の囲みの中に記載してございますように、DBJによる出資比率は50%以下という縛りを設けており、これにより、民業補完の原則、あるいは呼び水効果を重視して運営していただいているものでございます。

次の17ページが、特定投資業務に係るこれまでの実績を示したものでございます。グラフ上段の青い棒グラフですが、2015年の特定投資業務創設当初に想定されていた年間1,000億円程度の投資規模に対して順調に推移し、累積損益を見ましても、2022年度末で437億円の益となっており、収益性においても結果を残しているという状況でございます。

このページの右側に、「特定投資業務の全体像」という表題をつけて図を示しております。近年は、新型コロナ、グリーン、スタートアップ・イノベーションといった政策分野に使途を限定した資金枠を設置するとともに、下部に薄く黄色で記載しておりますが、これらの資金枠にとらわれないその他の分野にも使うことができる形で、財源措置を講じてまいりました。この図の1つのポイントは、上下の相互の矢印に赤のバツ印で示している点でございます。すなわち、資金枠相互の融通は認めていないという点でございます。

以上を踏まえ、ここからが、今般の編成上の論点となります。資料19ページをご覧ください。

論点の1つ目として、「特定投資業務における財源措置の方法等について」というタイトルを掲げさせていただいております。2019年度以降設けてきた資金枠という形での財源措置については、重要な政策課題にしっかりと資金を供給していただくという点で有効な手段であったと評価することができる一方、資金枠間の融通ができないことから、全体として見たときに資金運用効率が悪くなる場合があるという課題がございます。

具体的には、新型コロナ対応用に設けた資金枠について、まだ残枠が多く残っているにもかかわらず案件決定数が少なくなっており、DBJとしては、これを解消することを検討している状況でございます。一方、グリーンについては、資金枠を早々に使い果たし、枠外の資金を用いて温暖化対策等の案件に充てているという状況です。また、サプライチェーン強靱化・インフラ高度化といった、新たな政策課題も生じているという状況でございます。

以上のような状況を踏まえ、下段に論点を記載しております。論点として、新型コロナ対応用の資金枠を存置させておく必要があるのだろうか、次に、サプライチェーン強靱化・インフラ高度化という分野は、特定投資業務としてDBJに取り組んでいただくのに適当な分野なのだろうか、そして、資金枠という形で資金使途を定めることについてどう考えるかを提示しております。

なお、最後の資金枠に関する論点につきましては、資金運用効率を高める観点から、厳格な資金使途を定めないという方向性が考えられますが、さりとて、全く縛りをなくすということでよいのかという点も検討する必要があるものと考えております。特定投資業務については、まず、法律上、我が国企業の競争力強化、あるいは地域活性化に資するという要件が定められております。これに加え、サプライチェーン強靱化・インフラ高度化やグリーンといった重点分野を明示し、財投計画の編成プロセスにおいて、分野ごとの投資見込額について確認をする。さらには、年度中の案件モニタリングを通じて投資状況を確認していくことを考えております。

資料の20ページをご覧ください。こちらが、今口頭で申し上げたことについて図で表現したものとなります。現在までの姿が左側、6年度以降のイメージが右側となります。このうち青枠のスタートアップ・イノベーション枠につきましては、1,200億円程度の残枠があるという状況でございますが、DBJからは、今後も順調な執行が見込まれると聞いており、また、この分野は政策的にも重要な分野であるため、引き続きしっかりと資金供給していただきたいという趣旨から、このまま資金枠として存置していく姿となってございます。

資料の21ページは、新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンドについての資料となります。DBJの支援は、新型コロナの影響を受けた企業の業績回復に一定の役割を果たしてまいりましたが、右側のグラフにあるように、そろそろ案件決定数が落ち着きを見せている状況でございます。

続いて22ページをご覧ください。こちらがDBJとして今後積極的に取り組むと想定している新たな分野に関する資料です。左側のあずき色の部分は、サプライチェーン強靱化・インフラ高度化の分野での潜在的な案件のイメージを示したものとなります。産業用ロボット、半導体といった経済安全保障上の重要物資の供給を行う製造業への支援、物流施設の先進化、災害対応といった案件が見込まれてございます。右側は資源エネルギー庁の資料の抜粋となりますが、グリーン分野においては多額の資金ニーズがあることを示しております。

25ページに、もう一つの論点として、特定投資業務の事業規模について掲げております。

26ページへお進みください。4つのグラフのうち左上の棒グラフで記載がありますが、近年、グリーン関連で数百億円規模の大型案件が出てきており、今後も見込まれると聞いております。また、右上の棒グラフに示しておるとおり、グリーンに限らず、全体として案件の大型化が進んでいるという状況があります。

そのような状況の下で、左下の棒グラフで示しております各年度末時点における、DBJの資金余力をご覧ください。このグラフの右端の2023年度末の見込みをご覧いただきますと、網かけの新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンド部分を除いた部分、こちらが、現状、2024年度の期首において見込まれる資金余力でございます。網かけのない灰色の部分、約1,000億円程度がスタートアップ・イノベーションの資金枠でございます。したがって、それ以外のグリーンやサプライチェーン強靱化・インフラ高度化に充てることのできる資金余力は、その下のオレンジ色の部分、約100億円程度を残すのみという状況でございます。

このような状況を踏まえまして、事業規模3,000億円、産業投資への要求1,500億円について、その規模が適正かをよく精査してまいりたいと考えております。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご質問、ご意見をお願いできればと思います。それでは、有吉委員、丸田委員の順でお願いいたします。

〔有吉委員〕有吉でございます。ご説明ありがとうございました。今の計画官のお話にもありましたし、また、先ほど山内委員からのお話にもありましたとおり、スタートアップに対する資金供給は非常に重要だと思います。私もちょうどたまたま今日ここに来る前、隣の建物で成長資金供給の議論に参加していた状況でございます。一市民としてスタートアップ支援に関するDBJの役割には大変期待しているところがございます。

さはさりながらということを1点、ご質問させていただきたいと思います。近時、アメリカを中心に、日本においてもということだと思いますが、スタートアップに対する金融環境が非常に厳しくなっている、急激に厳しくなったと聞いております。民間での資金供給、資金調達が困難であるときだからこそ、公的な機関からの資金供給の役割が一層重要である、こういう面があることはもちろん否定されないものだと思うわけでございますが、一方で、投下資本の回収という観点からは、スタートアップ投資について、金融の側面からという意味でございますが、極めてリスクが高まっているということも否定できないと思います。

そういった状況において、スタートアップに関する投資の取組を高いレベルで維持し、さらに拡大していくという、この計画の背景として、近時の国内外におけるスタートアップについての金融環境をどのように見ていらっしゃって、厳しい環境であるということについてどう評価して今回の計画に至っているかという点を教えていただきたいと思います。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、続きまして、丸田委員、お願いいたします。

〔丸田委員〕丸田でございます。私からは、今回論点になっているポイントに関しての意見ということでお話をさせていただきます。

まず、財源措置の方法ということで20ページ目と、あとは25ページ目で全体的な規模感ということかと思うのですが、やはりグリーン投資の資金枠は残枠がないということで、現在、米国のIRA法等によって相当大型の米国のグリーン関係のプロジェクト等に、かなり世界から資金が流れている状況かと思います。一方で、日本を見渡すと、まだまだここの分野は、リスクマネー、規模感も含めて、取組としては少し遅れているのではないかと個人的には懸念を持っております。その意味ではこういったグリーン投資や、サプライチェーン強靱化・インフラ高度化といった非常に重要なトピックにしっかり資金を投入できるような支援を手厚くやっていただくというのは非常に重要ではないかと個人的に思っております。特に、グリーン投資関連プロジェクトはなかなかマネタイズが難しいエリアで相対的に資金需要の重要性が高いと感じています。

一方で、ここで記載されているように、やはりコロナのほうは、解消する方向性は時期的にも適切だと思いますし、今後、既存の投資残高について管理をしっかりしていただくことが重要と思います。今、既に枠がなくなってしまっているグリーン投資等について、やはり重点分野に集中的に投資をしていくということが重要と思います。ここで、若干気になっていますのが、私が誤解しているだけかもしれないですが、投資枠がスタートアップにだけ残ってしまって、他の分野はよく分からないというふうに、見える部分もございます。懸念としては、先程、有吉先生からもご指摘ございましたが、スタートアップも非常に重要な分野と理解していますので、限られた資金を有効に使うという意味では、厳密ではなくても、ある程度、分野ごとの資金の割り振りの方針を定めて、各重点分野にしっかり取り組んでいただくような方針の明確化が必要ではないかと考えております。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、次に、冨田委員、野村委員の順でお願いいたします。

冨田委員、よろしくお願いいたします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。特定投資業務の、投資枠の弾力化の話が出ておりますが、この点についてでございます。

国内投資の促進というのは極めて重要な政策課題であることは論をまたないわけですが、しかし、ここでの公的資金の注入と申しますか、産投資金の注入というのは、やっぱり国費なわけでして、その使途を弾力的というわけにはなかなか難しい問題もあるのではないかと思います。

何が申したいかと申しますと、17ページに累積損益のグラフがございます。22年度末で437億円ということで、上段にも「長期収益性を確保」とございまして、こうしたDBJの自己資金の活用ということも考える必要があるのではないか。また、国民の資金についての配分を弾力化するというのは、機動的な投資を行って国内投資を促進するという面では、一見いいように思うのですが、何のためにやっているのかということを明示する必要があって、年に1回の当初の財投計画あるいは当初予算だけではなしに、事の当否は別にして、補正予算、経済対策というのは頻繁に打たれておりますし、そうした機会も活用しながら、実質的な弾力化を国民の予算統制の中において実現していくことのほうが、やはり、これだけ大きな規模のことをやっているわけですので、重要ではないかと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、野村委員、その次、土居委員、お願いいたします。

〔野村委員〕2つございます。1つは全体の枠組みについて、新型コロナのリバイバルファンド解消に向かっていくということ、それから、サプライチェーンとインフラの高度化について強化して、グリーンの不足する部分も担っていくという、その全体の枠組みには賛同いたします。一方で、22ページの新たな重点分野を拝見しますと、これはもう本当に、いずれも重要であって、どれが優先とは言い難いものではありますが、ただ、そうは言っても財源には限りがございますので、その中でも特に重点を置いていくものがありましたら教えていただきたい。例えばですが、産業用ロボットも、ありとあらゆるものを動かすには半導体が欠かせないところですので、例えば半導体関連の支援であるとか、エネルギーがないと何も動かないのでエネルギーというような、めり張りのつけ方についての想定があれば教えていただきたいのが1点目でございます。

それから2つ目が、21ページにも出てきましたが、新型コロナのリバイバルファンドで、呼び水効果が9,100億円ほどあったという記載もあるのですが、こういう政府系のお金を投じる際に、やはり呼び水効果というのが非常に大きな役割だと思いますので、できたら、今後このように、このぐらいの額の呼び水効果があったと思われると、金額を可能な限り記載していただけたらと思うということと、もし可能ならば、何かその呼び水効果を表すような共通の指数のようなものができるならば、それを可能な限り、共通して、示していくということも、効果測定としては有効なのではないかと思いました。

以上です。

〔翁分科会長〕共通の指数というと、どんなイメージですか。

〔野村委員〕こちらにありますように、投資額に対して、どのぐらい呼び込んだというような、それがもう本当に単純に、1.何倍とか2倍とかというようなもので、それは余りにも単純過ぎるかもしれませんが、何か共通して、横串で刺して、評価できるようなものがあるとよりよいのではないかと思いました。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、土居委員、お願いします。

〔土居委員〕まず、特定投資業務について、私の評価を申し上げたいと思いますが、23ページ、17ページにありますように、累積損益が437億円ということで、これはほかの官民ファンドにも爪の垢を煎じて飲ませたいというぐらい、非常に立派な成果を上げておられるということで、高く評価したいと思いますし、ほかの官民ファンドもこういうところを少しでも見習ってもらいたいと思う次第です。

そこで、今後のことということで、計画官がお示しになられた2つの論点について意見を述べたいと思います。

まず、新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンドは、確かにポストコロナに向けては、これを一旦解消するということで、私もいいと思います。それで、衣替えをして、サプライチェーン強靱化・インフラ高度化という新たなものを立てていくということも、私もそれは非常に重要なポイントだと思います。特に、22ページに書かれている「重要物資等の供給力強化」は、ただでさえポストコロナを見据えて我が国の産業構造を転換していかなければいけないという中で、新たな稼ぐ力を見いだす意味でも、こうしたところに重点的に投資をしていくことが、ただでさえ求められている上に、経済安全保障上の重要性がさらに加わった状況ですので、しっかりと政策として効果的に講じていくべき分野だと思います。

何かと補助金に頼る傾向がなきにしもあらずですが、やはり、財政投融資の特徴をうまく生かして、リスクマネーを供給するという形で、重要分野における産業活動を活性化していく、刺激していくということが、補助金依存になりにくくするという意味においても極めて重要だと思います。きっちり成果を上げて、将来のリターンで、出資なり融資にきちんと対価を払ってお返しするということを、事業当事者がコミットして進めていただく。補助金が悪いわけではないのですが、補助金だともらいっ放しなので、万一失敗しても、しょうがないという話になってしまうかもしれないのですが、やはり、金融という手段を使うということは、出資者なり債権者にしっかり報いるという意味でも規律が働くということが、事業をより成功させるものにしていく道の1つであると思いますので、こうした分野への投資は非常に重要な局面を今、迎えているのではないかと思います。

それから、論点②ですが、論点②については26ページにご紹介いただいているように、大口案件が増えているということですので、それにしっかり対応できるようにしていく必要があると私も思います。アメリカのIRAを持ち出すのがいいのかどうかは分かりませんが、残念ながらというか、自由貿易を志向する側からすると、あいにく保護主義的な色彩を欧米の政策で取られつつあるようなムードの中で、我が国が何もしないで指をくわえているわけにはいかないというような状況でもありますから、しっかり、我が国は決して保護主義を志向しているわけではないですが、欧米の取組を横目に見ながらも、我が国は我が国として、こういう分野で大口案件があるならば、しっかりその大口案件に対応できるような規模のものを用意していく時期に、今はあるのかと私は思います。

私からは以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、財務省及び、要求側の日本政策投資銀行からご回答なり、コメントをいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

〔日本政策投資銀行森執行役員業務企画部長〕日本政策投資銀行でございます。いつも大変お世話になっております。質問につきまして、順に回答させていただきます。

まず、最初に、有吉委員から、スタートアップが重要という点でご質問いただいておりますが、いろいろなことがありまして、金融環境が非常に厳しくなっている中で、そういう意味でリスクは多分に高まっているということですが、今回どのような考え方でスタートアップをやることに、措置として考えたのか、こういうご質問だと理解しました。

おっしゃるとおり、金融環境につきましては、特にアメリカを中心に非常に厳しくなっているというところは実感でございます。ただ、これもいろいろな意見がございまして、今までが緩み過ぎであったという意見も結構あり、今は正常化しているという意見もあるわけです。ただ、方向性で申し上げると確かに調達しにくい環境にスタートアップはなっているのだろうと思っております。日本は多分アメリカほどではないのかというのは我々が持っている実感でございまして、それはやはり現政権がスタートアップの育成については非常に大事であるという、国の土台みたいなことになりますので、そこをしっかりやらないといけないというお話もしていただいておりますので、どちらかというとファンドだったり金融機関だったり、そちらについて前向きに捉まえようとしている状況でございますので、日本については、そこまでではないのかという環境認識をしております。

そのような環境の中でDBJとしてどう判断したかということですが、先ほど申し上げたとおり、政権として非常に重要な施策であるということで、これは客観的に聞いても、皆さんそうだろうと思われると思いますが、そのようなこともあるので、この問題は非常に昔からずっと言われている問題だと思うのですが、なかなか解決できていない点だと思います。ですので、今回こそはしっかりと取り組まないといけないということですが、我々のこれまでの投資経験からすると、投資で非常に大事なのは、ずっとやり続けることです。良いときだけやって、悪いときは引いていくとやっていると、うまくいかないということなので、環境が悪いときもしっかりと取り組んでいくということが非常に、投資をやり抜くという観点でいうと重要だと、我々としては経験として持っておりますので、ただ、やることは非常に重要なことなので、今回このタイミングから取り組むわけですが、ですのであまり環境的な状況というと昔ほどはよくない。もしかしたら出資するほうからすると環境はいいという言い方もできるのかもしれませんが、環境は今いろいろあると思いますが、その中でしっかりとやり続けることが重要かと思っておりますので、今回こういう判断に至っているということでございます。

次に、丸田委員のご質問にお答えさせていただきます。丸田委員もグリーンや、サプライチェーンに非常に手厚くやっていくのは重要であるということですが、スタートアップのところについては、枠が残置されておるのですが、ほかのところが、そういうものがなくなってしまったので、分かりにくいというご指摘だったと思います。これは冨田委員も多分同じようなお話だったかと思いますが、これについては、実は今、まだ行内でも相談中でございますし、これから政金課と理財局ともご相談しないといけないのですが、それぞれ目標額を明示していこうと思っております。大体、少なくとも4桁億ぐらいはこの2年間で投資できるぐらいの規模感を一応考えながら、目標額を明示して開示していこうかと思っております。

加えまして、これは冨田委員の質問にも関連すると思いますが、実際、我々案件を採択する際ですが、個々の案件を採択する際には、必ず事前に政金課にご相談申し上げております。それで、まず特定投資の要件、特定投資の要件というのは日本企業の競争力強化、もしくは地域の自立的発展、活性化というところが政策効果として必要ですし、あと資金の供給割合についても50%以下でないといけないという要件があるわけですが、そういう諸々を満たしていますかというご相談をさせていただいておりまして、その上で、該当するということなりますと一般枠、ご説明の表でいきますと「その他」と書いてあります。我々は一般枠と呼んでおりますが、一般枠を使ってやるのか、それともそれぞれ設定されている個別枠で、グリーンでいくのかイノベでいくのかあると思いますが、それもご相談させていただきながら、決めさせていただいているという形になっております。理財局のほうも、我々産投を出資していただく必要がございますので、その都度、タイミングで、今後こういう予定案件があるので、これにこれだけ使う予定でとご説明させていただいた上で、出資していただいているということでございまして、財務省にもきちんと、途中、個別案件なども見ていただきながら、案件採択をさせていただいているという形でございます。

加えて、我々は特定投資に関しましては、外部の有識者から成るモニタリングボードを設けておりまして、そこで、実はその案件採択の、良かったのか悪かったのかというところ、あと民業を圧迫しないかというところ、これについてご意見をいただく場がございまして、そこの場でも案件の採択の是非について問われることとなっており、正直我々の実感からすると、我々のサイドではなくて、案件がご相談ありますと、それでもう形が決まりますので、それで自動的に決まっていくという話になりますし、そのプロセスについておかしくないかというところについては、政金課、理財局にもご覧いただきながらやっておるという感じになりますので、そこはしっかりとした規律が働いているのかと思っております。当然、それに加えまして、途中のモニタリングフェーズの局面でも、いろいろな情報を開示させていただきながら、状況については、当然ながら、把握していただくことも必要だと思っていますので、それも引き続きやらせていただきたいと思っております。

次に、野村委員のご質問で、どの分野が重点なのかということで、おっしゃるとおり非常に難しい問題でして、なかなか甲乙つけがたいと思っております。実際問題、どれもこれも重要になってきますので、どれを一番にやるという発想も当然あっていいかと思うのですが、どちらかといいますと、どの部分が日本として最初に進んでくるのかということで、案件の出方が変わってきますので、それに応じて対応させていただくのかと思っております。ですので、ある意味で早いもの順みたいな言い方になりますが、ただ、それが実際のところ、案件の進め方になります。そういうやり方で、やらせていただくということになろうかと思います。だから、我々としては全て大事なので、全て第1優先順位で取り組ませていただきたいと思っております。

あと、効果の測定、呼び水効果の話がございました。今回、コロナファンドのところで呼び水効果と記載させていただいておりますが、それをある一定の目線みたいなものをつくっていただいて比較することがよいのではないかというお話がございましたが、我々のやり方を一つご説明させていただきますと、我々の投下した金額に対して何倍の他者のリスクマネーが投下されたのかを結構計測することに使っておりまして、実際、特定投資、現状これまで1兆1,000ぐらい、出資、融資をやらせていただいておりますが、いわゆる我々と同じようなポーション、メザニンだったりエクイティというところだけで考えますと大体4倍の呼び水効果が出てございます。ですので、4兆四、五千とか、そのくらいが出ているという感じになっております。

加えまして、その上にありますシニアローンのところを入れていきますと、大体6倍の規模になります。ですので、6兆から7兆ぐらい、そのぐらいの規模、我々が1兆出すことで、そのぐらいの資金が集まって、それでいろいろなプロジェクトが成就しているという話になっておりますので、シンプルではありますが、呼び水効果の水循環を考えるに当たって、こういう何倍ぐらいという、何倍という考え方は結構いいのかと思っておりますということです。

あと、土居先生には、すみません、過分なお褒めの言葉をいただきまして、大変ありがとうございました。これに甘んじることなくしっかりとやっていきたいと思っておりますし、論点②のところで少しお話もいただきましたが、やはり最近案件は大型化しております。我々も投資業務については力を入れて、社長が代わって、今、地下が社長をやっているのですが、投資をしっかりやっていきましょうということで掛け声をかけておりますので、今年度などのラップの数字を見ましても、例年の大体、投資の決定金額、倍ぐらいになって、件数も倍という感じになっていまして、非常にハイペースで進んでいるということございまして、金額の大型化もありますし、件数も増えているというのもございます。ですので、我々としまして、やはり財源がないと、ご相談を受けられないのですよね。財源が気になると、やはりできないかもしれませんと言えないので、大きな構えを取らせていただいて、こちらのほうはあまり心配せずに、現場には、個別案件をしっかりと議論していって、まとめ上げていってほしいと思っておりますので、今回、このようにお願いをさせていただいておる次第でございます。

すみません、駆け足になりましたが、私からの説明は以上になります。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

〔財務省大臣官房芹生政策金融課長〕政策金融課長でございます。1点補足をさせていただきます。

野村委員からのご質問で、「サプライチェーン強靱化・インフラ高度化」のめり張りのお話がございました。資料の22ページ、上の囲みの2番目の丸にございますとおり、基本的な考え方としては、「国家安全保障戦略」、それから「国家強靱化年次計画」、こういった閣議決定された文書、そういった事項にどれだけ近いかということが極めて重要になると、主務省としては考えてございます。

したがいまして、特定投資指針という財務大臣の告示を、新たな重点事項を定めるに当たって、改正をしていくわけですが、そういった際にも、当然、DBJとしては、ある程度、持ち込まれた案件を採択していくといった方法論が必要だということは私どもとしても十分理解しているわけですが、政府の重点事項としてどういったことをやるかということは、先ほど申し上げた、特定投資指針ですとか、個別の案件の協議を通じて、しっかりと見ていきたいと考えてございます。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

〔小多計画官〕計画官の小多でございます。数多くのご意見やご指摘をいただきまして、誠にありがとうございます。政投銀それから政策金融課から回答をいただきましたので、私からは、これを踏まえて、特に申し上げたい点として2つございます。

まず、1点目は、スタートアップについては、有吉委員のご認識のとおり、こういう環境だからこそ公的金融がやるべき役割はあるのだろうということで、政投銀もそうですし、この後ご審議いただきます公庫についても、創業であるとかスタートアップ、まさにこういう環境だからこそ公的金融としてしっかりやっていただきたいと思っております。

財投としてということになりますと、ご認識のとおりリスクの高い分野に対して、リスクマネーを供給していただくこと、さらにそのリスクが高まっているという状況の中でございますので、資本の部分でリスクバッファーをしっかりとつけることで、仕事をしていただける環境をつくっていくことが役目であるという認識の下、今後の検討を進めたいと思っております。

それから、丸田委員、冨田委員からありました資金枠についてどう考えていくかという点について。先ほど森部長からも話がありましたが、政投銀からの話もよく聞きながら、我々としても考えていくということだと思います。先ほどプレゼンをさせていただきましたが、資金効率、あるいは政投銀にどのような仕事をどのぐらいの規模でやってもらうのかという期待の部分と、統制といいますか、説明責任、そのような部分とのバランスの中で決めていくことになると思っております。

政投銀からどのような説明を求めれば、あるいは我々がどういう説明ができればオーケーなのかということを、よくよく精査しながら考えていきたいと思っているところでございます。

〔翁分科会長〕今の日本政策投資銀行及び財務省からのご説明で何か追加的にございますでしょうか。

1つだけ質問させていただきたいのですが、スタートアップにつきましては、DBJは非常に、いろいろ実績も残しておられるのですが、中小企業基盤機構もLP出資とか随分積極的にやっていますし、また、日本政策金融公庫も非常にスタートアップをやっていこうと考えていると思うのですが、日本政策投資銀行については、どういう分野に特に注力して、スタートアップについてやっていこうとしているのか、数多くのいろいろな、ほかの官民ファンドもいろいろやっているわけですが、その辺り少し問題意識があるのですが、お答えがもしありましたらお願いいたします。

〔日本政策投資銀行森執行役員業務企画部長〕それでは、DBJの森から回答させていただきます。

役割分担がどうなのというご質問なのかと理解しました。中小公庫とか、我々と取引規模が多分違うのかと思っておりまして、やはり我々大企業とか中堅企業の投資先が多くて、そこに非常に強いネットワークを持っておるということでございまして、残りの2つの機関はどちらかというと中小を対象とされて、日頃お付き合いされているということだと思います。そうしますと、案件が出てくるところが、当然変わってきますので、そこでうまく役割分担ができているのかと思っておりまして、我々としては大企業のCVCみたいなものもあれば、DXみたいなものもあったりとか、いろいろあるわけですが、多分、案件の出方によって、公庫などと案件の種類が違って、うまくそこは補完できているのかと考えておる次第でございます。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。ほかの官民ファンドもありますし、ぜひ、財務省の理財局としてもその辺りよく、効率的、効果的に、スタートアップ支援ができるように見ていっていただきたいと思っております。

ほかによろしいでしょうか。

それでは、日本政策投資銀行につきましては、ここまでで終わりたいと思います。日本政策投資銀行の関係者の方々には、大変ありがとうございました。

続きまして、日本政策金融公庫の関係者の方々にご入室いただきますので、しばらくお待ちください。

((株)日本政策投資銀行退席)

((株)日本政策金融公庫着席)

〔翁分科会長〕それでは、小多計画官より、要求の概要及び編成上の論点のご説明をお願いいたします。

〔小多計画官〕引き続きまして、計画官の小多より株式会社日本政策金融公庫の国民生活事業、中小企業事業、それから特定事業等促進円滑化業務につきまして、編成上の論点をご説明申し上げます。

まず、資料3-1をご覧ください。冒頭、機関概要をつけておりますが、その後の資料の4ページをお開きいただければと思います。

こちらは令和4年度末時点における、国民生活事業と中小企業事業の財務状況を示しております。ページの右側にあります損益、当期純利益の推移をご覧いただきますと、いずれもここ数年は損失を計上してきております。これは政府の要請に応え、コロナ関連融資に積極的に取り組んできていただいた結果でございます。このように赤字が続いているという状況ではございますが、一方で、これは左の資本金のところをご覧いただければと思いますが、出資金の受入れにより自己資本をかなり厚く積んでおりますので、財務の健全性という観点からは特段問題のない姿と認識してございます。

次に、6ページをご覧いただければと思います。こちらが国民生活事業及び中小企業事業の令和6年度要求の概要でございます。上の囲みに記載しておりますとおり、コロナ関連融資につきまして、昨年までのこの時期は事項要求ということで金額を明示せずに出てきていたわけですが、今年はある程度の見通しが立ってきたということで、コロナ関連融資も含めた、全体としての事業規模、要求額という形になっております。

中身を見てまいります。事業規模は、国民・中小とも、昨年度の当初計画から減少した見通しとなっております。こちらは、先ほど大江からも説明がありましたとおり、コロナ禍が落ち着いてきたことを反映したものとなってございます。これを踏まえ、財政融資への要求は大幅な減額となっております。一方で、産業投資は増額要求となっております。これも、先ほど大江から話がありましたが、コロナ対応の中で資本性劣後ローンが広く認知されてきたということを踏まえまして、今後も同種の支援へのニーズが見込まれることから、その原資として要求されているものでございます。

これらの要求を踏まえました財投編成上の論点として、この後、2点提示させていただきます。資料8ページをご覧ください。

まず、1つ目の論点として、コロナ関連融資の実績、見通しを踏まえた令和6年度の公庫の事業規模と掲げております。当分科会でも度々ご指摘をいただいておりましたように、ここ数年コロナ禍の中で万全を期すためとして大きな事業規模を確保し、結果として、多額の運用残を計上してきたところがございました。一方で、足元ではコロナ資金繰り支援は縮小しつつあり、今後の在り方を検討する段階になっております。このような状況の下で、日本公庫の適正な事業規模はどの程度であろうかということが論点となります。

資料を順に紹介してまいります。9ページをご覧ください。こちらが事業規模の推移でございます。いずれも令和6年度の要求は、コロナ禍の最盛期から比べるとかなり減少しております。コロナ前と比較すると、国民生活事業は、ほぼコロナ前の水準に戻っております一方で、中小企業事業はコロナ前に比べて依然高い水準となっているところでございます。

10ページは、コロナ関連融資に限っての推移を示したグラフでございます。ピーク時からの減少率は83%とかなり落ち着いてまいりました。下にオレンジ色で記載しておりますが、段階的にコロナ融資の制度を見直し、この10月からは金利引下げ幅を縮減している状況でございます。

11ページは、コロナ関連融資のさらに内訳ということで、コロナ資本性劣後ローンの実績を示しております。こちらも減少傾向にはありますが、コロナ融資全体のマイナス83%に対して、こちらは減少率33%ということで、依然として一定のニーズがあることがお分かりいただけると思います。この資本性劣後ローンを主に担っているのが中小企業事業でありまして、このことが中小企業事業の事業規模がコロナ前の水準まで下がっていないことの要因の1つと考えていただければ結構かと思います。

13ページはコロナ関連融資の効果検証に関する中小企業政策審議会の資料でございます。コロナ禍において倒産件数が記録的な低水準を記録したことは明らかになっておりますが、コロナ融資を利用した先と、しなかった先で比較してどうなのか。こちらの資料にある研究会では、こういった観点から分析を行い、効果検証を行っておられると聞いております。結果が出るのはまだしばらく先になりますが、こういうことが動いているということをご紹介させていただきます。

こうした状況に鑑みまして、また先ほど冒頭で、山内委員、土居委員からご指摘いただいたことも踏まえながら、適正な公庫の事業規模はどの程度かということを、今後の財投編成においてよく精査してまいりたいと考えております。

続いて、資料の17ページをご覧ください。タイトルとして、「『新しい資本主義』の実現に向けた金融支援」とつけさせていただいております。コロナ後の我が国経済社会において、日本公庫がどのように業務を遂行していくべきか、期待される役割は何かということが論点となります。まずは、コロナ関連融資の債権管理をしっかりしていく、そして、重点分野の資金需要にしっかりと応えていってもらいたいということでございます。

資料を見てまいります。18ページはコロナ関連融資の返済開始時期の実績と見通しになります。公庫のコロナ関連融資となりますと青い折れ線グラフになりますが、2021年6月をピークとして、今年の6月に最後の山があったことを示しているものでございます。

資料19ページに移りまして、この結果、コロナ融資の残高は減少傾向にあるというのが左側のグラフです。

また、この間の業種構成の特徴として、飲食・宿泊業、その他のサービス業が顕著に増加していることが下のグラフで示しているところであります。この間に、取引先数の増加が見られるということが右側のグラフで示しているものになります。

資料20ページは、令和3年3月末までに、つまり、コロナ禍の最初の1年間に、国民生活事業のコロナ関連融資を利用した約70万の貸付先の返済状況を、その後フォローしていった資料でございます。こちらをご覧いただきますと、令和5年3月末現在において、約8割の貸付先、下の8割は特に懸念がないという状況である一方、赤枠の2割の貸付先は、条件変更、あるいは借換えを含む追加融資という状況にあることが示されています。こうした約2割の返済が厳しい事業者には、それぞれの実情に応じて柔軟に対応していくということをしてもらう一方で、しっかりと債権管理を行っていく必要があると認識しております。

次の21ページからは今後の話になります。左側に政府方針、右側に日本公庫の業務運営計画における重点分野を示しております。公庫においては、政府方針に沿って、しっかりとこれらの分野の支援に取り組んでいっていただくことが期待されるところでございます。以下、個別の分野についての資料をつけております。

22ページから創業・スタートアップ支援の資料になります。公庫は、「スタートアップ」という言葉が広がる前から創業支援に積極的に取り組んでおり、現在も毎年2万5千先を超える融資を実施しております。また、資金供給のみならずセミナーやマッチングイベントといった本業支援でも実績を残していると承知しております。

23ページをご覧いただければと思います。同じく創業・スタートアップ支援関連の資料です。このページは左から右に、支援先の企業の成長段階を示しておりますが、起業からアーリー前半というステージでは国民生活事業部、以降は中小企業事業部が主に担当し、幅広いメニューで支援をしてきていることが示されております。ポイントとなりますのは、ちょうどページの真ん中に赤い字になりますが、事業部間でシームレスに支援を行っていくことが期待されるところでございます。

24ページは、ソーシャルビジネスへの支援でございます。こちらも左上のグラフにありますように融資実績が伸びている状況でございますが、それとともに、支援ネットワークの構築、あるいはビジネスプランの策定支援ということで、金融以外での支援にも積極的に取り組んでいるという資料でございます。

25ページは事業承継支援についての資料になります。

最後、26ページにつけておりますのが、経営者保証免除に関する資料でございます。左に折れ線グラフがございますけれども、オレンジ色が中小企業事業部、青が国民生活事業部になります。比較的高い水準で推移しているということが見てとれるわけですが、引き続き、一層促進していく方針であると聞いております。

以上を踏まえまして、コロナ後の我が国経済社会の抱える諸課題の解決に貢献すべく、公庫にはしっかりと取り組んでいただきたいという方針で、今後の編成作業を進めてまいりたいと考えております。

続きまして、資料3-2は、公庫の特定事業等促進円滑化業務に関する資料でございます。

2ページをご覧ください。こちらは業務の概要となっております。例えば、GX、DX、あるいは経済安保。このような特定の重要な政策課題の要請に基づき、大企業や中堅企業向けに長期・低利の資金供給を行うものです。公庫からの資金を原資とし、日本政策投資銀行等の指定金融機関が企業向けの融資を行う、いわゆるツーステップ・ローンの形を取っております。現在は、下の表に記載のとおり、6本の法律に基づきまして、計7種の公庫が実施すべき業務が定められている状況でございます。

次の3ページには、令和6年度要求の概要を示してございます。ご覧いただけますとおり、おおむね昨年並みの水準で要求が出されている状況でございます。

最後の4ページ目にありますのが、平成22年度以降の計画額と融資実績を示したものでございます。ご覧のとおり融資実績は計画額に比べて低調に推移してきているという状況でございます。今般の要求につきまして、実需がどのぐらいあるのか、どういったものがあるのかということを十分に確認しながら、6年度の編成に当たってまいりたいと考えているところでございます。

私からの説明は以上となります。ご議論をよろしくお願いいたします。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご質問やご意見をお願いいたします。要求側の方々にご質問をいただきましても結構でございます。

〔有吉委員〕有吉でございます。私からは2点、質問というか考え方を伺いたいと思います。

1点目は、資料でいえば3-1の全般に関わる観点でございますが、資料3-1の中でも度々出てきますコロナ関連融資が終了に向かっているという状況で、統計的なものを全く存じ上げない中で勝手な想像でしゃべっているところがあるかもしれませんが、コロナ関連融資によるサポートがなくなっていく中で、中小企業を中心に、財務状態が悪化している懸念があるというようなことが、一般的には言われていると理解をしております。

お聞きしたいのは、そういったサポート的な融資が終わっていく中で、今後、中小企業・零細企業の信用リスクが高まっていく、まず、そういった実態がありそうなのかどうかというところを確認させていただきたいということでございますが、仮にそういった実態がありそうだということであれば、それを踏まえて、今後そのリスクが高まる中での投資計画、融資計画をどうお考えになっているのか、それが今回の計画にどう反映されているのかを伺いたいということが1点目でございます。

2点目のご質問は、資料3-2でございまして、特定事業等促進円滑化業務について、資料でいうと4ページの実績を拝見しますと、近年の実績は、この資料の中では「低調」という表現になっておりますが、低調どころではなく項目として実施されていない年度も多く見受けられるように思われます。私の資料の読み方が間違っているのであれば、ご指摘いただければと思いますが、計画と大きく乖離した数値になっている部分について、例えばこれが、1回実際に実施されるとしたらとても大きな金額で、ただ、数年に1回しかそういったことが起きないというようなものであれば、こういう数字になることもあってしかるべきなのかなと思う一方で、もし積み上げで毎年の計画値を目指しておきながら、結果のところ実績がゼロであったりゼロに近いような数値である場合が多いということだとしますと、計画と実績の乖離が、この数値だけ見ると異常と言わざるを得ない印象を受けました。もし、これがそのような意味で本当に異常なのであれば、このような計画を立てる体制か、あるいはこの計画に従って実際に運用する体制か、どちらか体制的な問題があって、そもそも毎年の計画をどのようにつくるとかという以前に、体制面を考え直していただく必要があるのではないかと思うぐらい、何か不思議な数字だなという印象を受けたわけですが、この辺りどうお考えなのか。さらには、その体制面の見直しというものが必要ないかということについて、どのようにお考えかというところをお聞きしたいと思います。

私は以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

丸田委員の次に冨田委員、ご指名させていただきますので、よろしくお願いします。

それでは、丸田委員、お願いいたします。

〔丸田委員〕丸田でございます。ご説明ありがとうございました。

私からは論点①と②で、それぞれご質問できればと思っております。

感想や意見も含めてコメントさせていただきます、まず、論点①でコロナ融資が、基本的には、収束していくというところにつきまして、このような計画は非常に妥当だと思います。一方で、これは質問的なところもあるのですが、今後、例えば先ほどご説明いただきました資本性劣後ローンの仕組みが、まだそれなりにニーズがあるというご説明が、11ページ目であります。また、20ページ目を見ますと、いわゆる借換えも含む追加融資の割合が増えてきているという実態にあるかと思います。

ここで、私が気になっているのは、こういった借換えであるとか、あと、これからまた新規に資本性劣後ローンを組むに当たっても、実質塩漬けになっているものを、延命策のような形でやるような形で資金を使っているのか、それとも事業再生とか、そういった有効な資金がこのような劣後ローンにきちんと使われているために、当該事業の予算の要求が来ているのかというところにつきまして、どのような状況であるのか、取組も含めて教えていただきたいというのが、まず、1点目でございます。

2点目は、ここにも記載されていますが、やはりコロナの融資残高のこれからの管理というのは非常に、件数も金額も大変多く、飲食店とかそういった小口のものも多く含まれていて、日本公庫への負担が非常に重いのではないかと心配しています。一方で後半に記載されているように、事業承継等、日本の経済を底支えするために、中小企業の課題に応えるような様々な融資のパッケージが必要ということで、スタートアップから始まって、ソーシャルビジネス等の支援の必要性は十分に理解をしております。一方で過去からの融資実績を拝見しますと、プログラムごとに、それぞれ概ね右肩上がりの状況で、日本公庫がコロナ融資の残高管理で厳しい中、これらの各パッケージにどの程度取り組む余力であるかという点に疑問を持っております。これらの各分野の中でも、特に重点分野として絞ってやっていく等の方向性がないと、難しいのではないかと考えています。仮に、総花的にやろうとされているのであれば、このような環境下で、日本公庫が中小企業の課題に応えるような取組がきちんとできるような体制や状況にあるのかというところをお伺いしたい、こちらが2点目のご質問になります。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、オンラインから冨田委員、お願いいたします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。お聞きしたい点は、特定事業等促進円滑化業務ですが、これは要求は去年より若干、事業規模を縮小しますというご要求ですが、では、なぜこれまで低調だったのか。あるいは、うまくいった年度も、令和元年度とか、若干あるわけですが、なぜうまくいったのか、なぜうまくいかなかったのか、指定金融機関との関係とか、そこらをお聞かせいただかないと、どういう改善策を行うから去年比微減の要求だというご説明をいただかないと分かりませんので、よろしくお願いいたします。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。後ほどご説明いただいて、またそこでご質問ありましたら、よろしくお願いいたします。

野村委員、お願いいたします。

〔野村委員〕今までのご質問に重なるところ、2つございます。1つは、資料1の18ページ、20ページにありますように、コロナの関連の返済開始時期が、これからピークを迎えるということで今年の7月から来年の4月にまた山が来るというグラフがございました。それで20ページと併せて見ますと、これが令和5年3月末時点でのものなので、これよりもさらに返済状況が厳しくなっている企業が増えていると思われます。返済難の企業の割合が、現グラフでは2割前後ですが、さらに厳しくなっているということも想定されます。ということを考えますと、アフターコロナの新しい事業形態に対する移行を、本当の意味で支援していく、支えていくのは、これからではないかとも言えるのではないかと思います。

そこで、条件変更、追加融資というところの2割前後が一番心配されるところですが、それに対して、柔軟な対応とありますが、具体的にどのような対応を、既に行っているのか、もしくはこれから考えているのかということを伺いたいのが1点目です。

2点目が、冨田委員、丸田委員がおっしゃいましたが、資料3-2で、こちらのツーステップ・ローンは、主に大企業、それから中堅企業対象ということで、そうすると公庫の対象企業、主に取引がある企業とは少し違うグループ群だと思うのですが、その大手のニーズをどう捉えているのかということが質問です。それが、お二人の委員からございました4ページ目の案件が伸び悩んでいるということとも関連すると思いますが、大手企業のニーズをどう金融機関として捉えて支援しているのかをお伺いしたいと思います。直近の支援例など、ごく簡単に挙げていただきながら、教えていただければと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、土居委員、お願いします。

〔土居委員〕それでは、質問が3つとコメント3つで、まず、コメントから申し上げたいと思います。

順不同ですが、まず、資料3-1の13ページのコロナ関連融資の効果検証、これは非常に重要なことだと思いますので、もちろんコロナ禍で何が起こっていたかということも重要で、それは割と早い時期に、近い将来、効果が検証できるだろうと。ただ、それだけではなくて、コロナ後も、コロナ融資によって事業が継続できた企業がどうだったかというところも必要で、それがひょっとすると5年後とか、もっと先になるかもしれないけれども、そういうところまでもしっかり段階的に検証をしていくということが、今後の公的金融、民間金融含めて、我が国でどういうことが起こっていたかということをしっかり確認する意味で重要なエビデンスを残すことになるだろうと思いますので、しっかりそれを政府としても取り組んでいただきたいと思います。

その上で、この財投分科会は、政策金融機関の効果検証というところが、まずもってメインになるということではあるのですが、政策金融機関だけではなくて、それと対応する民間金融機関がどういうような融資のマッチングなり、すみ分けなりをしていたのか。しかも民間金融機関ではゼロゼロ融資があったということがあり、さらにはそれの関連するものとしては、信用保証もあった。さらには補助金もあった。本来は、これは財投分科会なので、あまり風呂敷を広げられないのですが、政策金融機関がどういう働きをしたかということを効果検証することに絞らざるを得ないのかもしれないけれど、せいぜい民間金融機関との関係でどうだったかというところぐらいまでかもしれませんが、願わくは本来は信用保証がどうワークしていたか、補助金がそれに金融を含めてどうワークしていたかというところまで、関連づけて効果検証するということが私は本来望まれることなのではないか。これはご担当かどうか分からないのですが、中小企業政策審議会なのかどこなのか、中小企業向けに関連して、しっかりそういう総合的に政策評価をするということを前提として、効果検証していただきたいと、私の願望だけ申し上げておきたいと思います。

それから、2点目は資料2ですが、特定事業等促進円滑化業務の事業規模です。先ほど小多計画官がおっしゃったように、実需に見合った適正な水準にするということで、ぜひ来年度は臨んでいただきたいと思います。

それから、3つ目ですが、また資料3-1に戻りまして、26ページ、コメントは信用保証絡みのことですが、確かに経営者個人の保証を求めるということが、いろいろな意味で金融の制約になっていた、事業の展開の制約になっていたということがあるので、個人保証ということよりかは、もう少し洗練された方法での保証というものを考えるということが大事だと思います。財政投融資絡みで言えば、日本学生支援機構は、個人保証から機関保証へという方向に切り替わってきているということだったりするので、もちろん、貸与型奨学金の話とこれとは少し違うといえば違うのですが、でもそういう保証の在り方をより洗練化していくということが大事だと思います。

そういう意味で、むしろそういう洗練化をするとともに、100%信用保証というのは、今後もう本当にやめていただきたい。経済学者は恐らく口をそろえて、100%信用保証についてどう思いますかといえば、そんなのもう二度とやらないほうがいいと口をそろえて言うぐらい、100%信用保証というのはモラルハザードを引き起こすので今後はすべきでないと思います。それは政治の要請でそうなってしまうのか何なのか分かりませんが、今回で最後にしていただきたいと思うということが、3つ目のコメントです。

それで、コメントに関連するところで、今後、3つの質問のうちの1つ目ということですが、同じ資料3-1の26ページで、右下に、経営者保証免除特例制度が設けられているということで、これは1つの方策だと思います。

その中で、②が少し気になりまして、税務申告2期以上というのは、法人税ならば、欠損法人でも申告するので、赤字であっても毎期申告していないとおかしいのではないか。だけど、2期ということは、2期以下、つまり、申告してない期があるのかというのが気になって、これは創業してから2年未満だと、まだ2期申告してないということだ、そういうことをおっしゃっているのかどうなのかというのは、私が不勉強なので教えていただきたい。

これは個人事業主だとしても、事業所得の所得税は確定申告しなければいけないので、これまた、税務申告してないということがあるということ自体が何か問題なような気もしますので、私の拙い知識の邪推では、創業が2年未満で、まだ2期目の申告をしていないという方には、これは使えないということを言うだけなのかどうなのかを確認の質問をさせていただきたいのが1点目の質問です。

2点目の質問は、同じ資料3-1の11ページで、資本性劣後ローンのことですが、確かにコロナの資本性劣後ローンは、私もオンゴーイングでこの議論に関わらせていただいた中で、コロナ禍で中小企業・零細企業が自己資本比率が下がってしまうということで、追加的な融資が受けられなくなってしまうことを防ぐために、資本性劣後ローンを提供するということは一定の役割を果たしたものだと私も思います。確かにコロナに限らず、資本性劣後ローンを有効活用するというのは中小企業金融を多様化する意味では非常に重要なものだと私としては認識をしていて、23ページには創業・スタートアップ支援のために、あまり大きくクローズアップはされていませんが、資本性劣後ローンが金融支援の中の1つとしてしっかり書かれているということは大事な認識だと私も思います。その点で、今後の、コロナ後の中小企業金融における資本性劣後ローンの役割を日本公庫とか、どなたでも結構ですが、どのように役割を期待しておられるかという位置づけについてお伺いしたいというのが2点目の質問です。

それから、3点目の質問は、特定事業等促進円滑化業務のことですが、これは、あえて業務をそれぞれ区分けして、根拠法をそれぞれ設けて、そういう業務を立てていくということにしないといけないものなのか、それとも、もう少し大くくり化できるものなのかが3つ目の質問であります。

つまり、何が言いたいかというと、1つ1つを小さくすると、1つ1つの事業規模を1つ1つ精査しなければいけなくなってしまうので、何か大くくり化できるものがあるなら大くくり化して、その枠組みの中で、要は、ツーステップ・ローンだという話なので、何かスペシフィックに1個1個がマッチングするかのごとく業務を限定しなければいけないものなのか、それとももう少し大くくりができるのかをお伺いしたいと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

山内委員、お願いします。

〔山内委員〕ありがとうございます。私からはコメント1つとご質問1つがございます。

コメントのほうを申し上げますと、ご説明いただいた資料3-1の13ページにありますコロナ資金繰り支援効果の効果検証は必ずやっていただきたいと思います。可能であれば、土居先生がおっしゃったように民間の部分も含めて、統計的な厳密性をもってぜひやっていただきたいと思います。これは、政府の方針としてエビデンスに基づいた政策立案ということを標榜していらっしゃいますので、本施策についても必ずやっていただきたいと考えます。これが1点目です。

2つ目の質問のほうですが、私は、今いただいている計画の中で挙げられている取組み項目はまさに公庫が担うべき項目で、予算要求の中に入ってくるのは全く違和感はないのですが、丸田委員のおっしゃった点に私も同感でして、事業規模が少し大き過ぎる、広過ぎるのではないか。多少選択と集中をして、中小機構ですとかほかの官民ファンドがなさっている支援、官民ファンドでも普通株と優先株、ローンに近い支援もありますので、すみ分けを考えたときに、全部公庫でカバーしないといけないのかということは、ぜひ検証していただきたいと考えています。

質問と申しますのは、今、資料3-1の4ページに機関の概要等のデータをご紹介いただきまして、この中で当期純損益の推移をそれぞれの事業について見てみますと、確かにコロナ影響があって損失が出たということは、民間でも全く同じことですので、理解できるのですが、コロナの前から赤字が出ていると、多分この説明は立たなくなってしまう部分があると思います。今後この事業を展開される上で、経営としてどのように損益を改善させていくか。もちろん選択と集中ということも1つの選択肢としてはあると思います。また、その事業のやっている組織の回し方で非効率な部分はないか。経営改善について、どうお考えでいらっしゃるかをお聞かせいただければと考えております。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

オンラインで家森委員、お願いいたします。

〔家森委員〕ありがとうございます。まず、13ページのゼロゼロ融資の検証についてですが、私は中小企業庁の委員をしておりまして、民間ゼロゼロについても別途、分析をすることを今やっております。できれば、年度内に成果を出そうということで取り組んでおります。

私の質問としては、1つは、資本性劣後ローンですが、コロナ対応分は恐らく今年度で終わるとなるのだろうと思うのですが、予算要求としては、来年度の資本性劣後ローンはどうなるのでしょうか。先ほど別の委員からもありましたように、どのように資本性劣後ローンを位置づけていかれるかについて、ご説明いただければというのが1つ目です。

それから2つ目です。これも既に委員からありましたが、取引先数がコロナ禍で1.35倍になっているということなので、きめ細やかな支援をなかなかやっていけないのではないかと思うのです。その辺りについて、どのようにお客様に支援をしていこうとされているのかという、体制整備の課題について教えていただければと思います。

それから3番目は、経営者保証免除の促進の方向で、これは内閣の方針でもあり、動いているわけですが、特に公的金融機関として率先してやっていただいております。これまでの経験で、不良債権の問題等は特に起こってないという理解でよろしいでしょうかということでございます。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、今までの委員の質問またはコメントにつきまして、ご回答なり、ご意見をお願いできればと思います。よろしくお願いします。要求側の方から、まずご回答を、いろいろ重複するご質問もありましたので、うまくまとめて、ご回答いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

〔日本政策金融公庫中小企業事業本部水谷事業企画部長〕では、日本公庫から説明させていただきます。中小事業と国民事業ありますので、それぞれの関連のものをご説明させていただきたいと思います。

まず、一番最初に有吉先生からございましたのは、コロナの終了に向かって今後、信用リスクが高まっていく中でどうサポートしていくか。また、どういう融資計画を考えていくかというようなお話でした。制度としては、だんだん縮小の方向に向かっていると思うのですが、我々としては、実際のお客様のご商売の支援を一生懸命今やっていかなければいけないということでやっております。ただ、いろいろな、先生方からもご指摘ありましたとおり、取引先の数も増えている中で、そんなこと本当にできるのかというお話はあろうかと思います。我々の中では、今、優先順位をつけながら、本業支援をやっております。特に、今後の流れとのつなぎ目みたいな話でいきますと、スタートアップ支援もやっている中で言えば、スタートアップの企業に、これだけ取引先が増えたということは、公庫にとってはそれだけの接点があるということで、そういうスタートアップの企業に、取引先に対してプレゼンする場を設けて、それでご商売を広げてもらうような場面を作ったりすることで、本業支援をやろうということで頑張っております。

それから、あと2番目は、ご質問が多かったのはコロナの資本性ローンの話でございます。資本性ローンにつきましては、これは当然一定のニーズがある中でやっております。やはり今回一番効果がありましたのは、たくさんの先生からご指摘ありましたとおり資本性ローンをご融資すれば、これを資本として、純資産としてカウントして頂けますので、民間金融機関が融資を躊躇せざるを得ないという状況を回避することができるということでございます。したがって、今も中小企業事業において、コロナ資本性ローンのニーズがあるという裏には、それまで、特に地銀がメインの先などで、業績が悪くなった後、急回復すればいいのですが、なかなかまだ回復しきってないお客さんもいる中で、そういう企業がたまたま、例えば地銀がほぼ1行で融資をしていたりすると、その地銀以外、ご支援ができない状況になっていて、それではどうしようもないということで、公庫のほうにお話があって、では公庫と一緒に、これからの経営支援を考えていきましょうということで、我々、コロナ資本性ローンでご融資させていただいて、中小企業の方の自己資本が上がって、地銀も支援しやすくなると、簡単に言うと支店が本部に説明しやすくなるという感じになるのですが、そういうところで、一緒に協力をしながらやっています。我々もそういったものをただ押しつけられるのではなくて、実際ご支援するときには、我々公庫が入るからといって、地銀が勝手に引いていくようなことは当然しないでくださいねという話をして、一緒に協調でご支援をしていくということが割と多いケースでございます。

それから、あとはそういった資本性ローンの今後についてのお話もございましたが、実は、制度としては平成20年から通常の資本性ローンをやってございました。今のようなメリットも当初からあったのですが、今回大分変わったのは、資本でカウントできますといっても、民間銀行の中で、それを本来資本にカウントして、銀行の中での内部格付上、引き上げるかというと、銀行側の体制もあって、実はコロナになる前は、我々こういう制度でやっています、そういうことで金融庁にも認めていただいているので、しっかり見てくださいというお話はしていたのですが、銀行によってはなかなか、借入は借入でしょうという側面もあって、なかなか広まってなかったのですが、今回このコロナ資本性ローンで認知もされまして、これだけたくさんご支援させていただいている中で、銀行のほうも、これはやはり資本の効果もあってやっているものなのだという認知が高まってきて、そういった意味での再生に向けての最初の支援ツールという形が取れてきていると考えております。

したがって、コロナが終わった後の、通常の資本性ローンにおいても、そういった効果が引き続き見込まれていくのではないかと我々考えております。

中小事業からは、以上です。

〔日本政策金融公庫国民生活事業本部古田事業企画部長〕では国民事業のほうから、少し補足して説明させてもらいたいと思います。

債権管理の話について、かなりご質問いただいたのですが、まさに国民事業はコロナ前も取引先数が約90万社弱あって、今回コロナで、それが120万社近くまで、一挙に30万社増えている状況ですので、当然、我々のキャパからいっても、全部のお客様に一律の支援を行うことは難しいため、お客様の経営課題とかニーズを見ながら、ターゲットを絞ったような形で支援をしております。

実際、具体的にどういうことをやっているかというと、基本的に全部のお客様に対して、ダイレクトメールで、もしご返済とか経営に困ったことがあった場合には相談を承りますのでということで、案内させてもらっています。それに加えて、例えば財務内容がなかなか厳しくて、審査のときに、かなり時間をかけて、ご融資に結びついた先だったりとか、あるいは条件変更をさせていただいているお客様、あるいは創業でご融資させていただいているお客様ということになると、経営課題もあるのではないかということで、こちらからお電話したりとか、場合によっては、お客様のほうにお邪魔して、経営課題をお伺いしております。その中で追加の融資をご希望されるお客様もいらっしゃいますし、あるいは条件変更というご希望もありますし、あと経営課題を抱えていて、公庫でアドバイスできる部分と、少し専門的な部分もあると、例えばよろず支援拠点だったりとか、地域の関係機関などの外部専門家のほうにもつなぎながら、そういった支援をさせていただいています。そういったところで、めり張りをつけながら、お客様のニーズに沿って対応をしているところでございます。

あと、いわゆるコロナ融資などについて、借換えなどは延命策ではないのかというようなご指摘もあったのですが、こちらにつきましては、我々やはり1件1件のお客様のほう、丁寧に事業計画であったりとか、もちろん財務諸表も見ますが、財務諸表だけではなくて、今後の事業計画などがどうなっているのか、見通しはあるのかどうかというようなところも十分見極めた上で、事業の継続ができるという判断をした上で、ご融資をしておりますので、我々機関側としては、延命策には当たらないのではないかと考えております。

あと、ご質問で26ページの要件のところがあったかと思いますが、要件については、土居先生のご理解のとおりで、いわゆる創業者の、まだ申告が2期たってない者については、この制度の対象にはなりませんということになっております。

あと、財務の面のご指摘もあったかと思うのですが、実はこれ、国民事業で言いますと、資料上はずっと赤字と見てとれるのですが、実はこの前、5期連続して黒字ではありました。なかなか政策金融にとって、赤字黒字というところがどこまで重視されるかはあるにしても、我々も財務の健全性は意識した上で業務は遂行しております。国民事業がお取引している事業者の方というのは、どうしても景気動向に左右される部分も大いにございますので、そうした事情もあり公庫の損益も黒字と赤字を繰り返しながら推移しているところであります。我々としましては、先ほどの債権管理をどうしていくかというところの余力の問題にも関係するのですが、こういう部分の改善というところで、当然、やはりデジタル化という部分も力を入れておりまして、極力、事務手続にかかるようなものについては、デジタルの力を借りて、そこでリソースを生み出せないかということで、業務を進めているところです。

具体的に一例を申しあげますと、来年度から、融資をするときには、通常、我々は証書貸付がメインですので、借用証書という紙の契約書をまくのですが、それを来年度から、順次ではあるのですが、いわゆる電子契約ということで、電子署名でもって、その辺り、紙のコストもなくなるということと、お客様の利便性、収入印紙などの負担もなくなるということで、我々の事務手続とこういう利便性なども考えながら、その辺りも対応していますので、こうした業務の改善という部分と、いわゆる債権管理をしていく中での余力を生み出すというところでの対応にもつながってくるのかと考えております。

以上でございます。

〔日本政策金融公庫福地危機対応等円滑化業務部長〕それでは、特定事業等促進円滑化業務につきまして、公庫からご回答申し上げます。各委員の皆様から、ご質問を頂戴しました中でいきますと、まず、計画はどのように策定をしておるのかということが1点と、あと実績でございますが、こちらの実施の規模が計画と乖離している理由は何かということと、あとニーズはどのような形で把握をしておるのかというところが、ご質問の主体かと思いますので、お答えをさせていただきます。

まず、要求に当たりましての計画額の積算でございます。公庫におきましては、各主務省において積算をされました事業規模に基づきまして、財政融資の要求をさせていただいてございます。具体的には、指定金融機関を通じまして確認いたしました各事業者の資金需要ですとか、あるいは計画の申請の見込みなどを踏まえまして、積算いただいているものと認識をしてございます。

計画額と実績の乖離でございます。低調である理由となりますが、主務省が金融機関などに確認をしたところによりますと、ツーステップ・ローンを必要とされるような大型の案件が、コロナ禍の影響などによりまして、実施が後ろ倒しになったということでありますとか、あるいは足元の金融環境などからしまして、当初見込んでおりました関係におきまして、結果としてツーステップ・ローンの活用がなされなかったものと聞いてございます。

それから、どのような形でニーズを把握しておるのかということでございます。こちらにつきましては、各事業者との接点を持ちますのは指定金融機関という形でございますので、まずは指定金融機関がご相談を頂戴するというようなケース。あと、こちらの支援対象は、事業計画について、主務大臣の認定をいただくという形になりますので、そうした申請計画が上がってきたタイミングで、ニーズを把握するというような2つが大きなところかと思います。

それからまた、ご質問の中で、各業務が区分けをしてやらないといけないのか、あるいはある程度、大くくりにできるものなのかというご質問を頂戴いたしましたが、この業務につきましては、特定の政策的な要請に沿った個別法に基づきまして、公庫の特例業務として実施をしておるものでございます。したがいまして、公庫としましては、各業務につきまして、指定金融機関からツーステップ・ローンの利用の申請があった場合には、迅速かつ正確に実施をしてまいりたいと考えているところでございます。

以上でございます。

〔翁分科会長〕お願いします。

〔財務省大臣官房芹生政策金融課長〕財務省政策金融課でございます。特定事業等促進円滑化業務について、1点補足させていただきます。

計画額と実績の乖離ですが、この事業はどうしても長期・低利の融資をするという事業の事柄からして、金融環境が非常に緩和された状況で、長期においても、民間の金融がある中では、どうしても利用が進まないといった事情があります。

ただ一方で、主務省としては、各省庁の必要性、最低限の必要性というものを踏まえて、一定の額の要求が必要であろうと考えております。

さらに、例えばこの資料の4ページ、当該融資に関する資料の4ページの事業適応促進円滑化業務というのがございますが、こちらは脱炭素の取組を支援するツーステップ・ローンですが、この指定金融機関の登録が、足元で生命保険会社など複数申請が上がってきているなど、新しい動き、脱炭素融資に力を入れたいというような動きもございます。足元ではいまだ低金利という状況ですとか、GX投資について動き始めたような、そういった状況ですが、今後、ニーズは出てくるのではないかと考えてございます。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

〔中小企業庁事業環境部神﨑金融課長〕よろしいでしょうか。

〔翁分科会長〕はい。

〔中小企業庁事業環境部神﨑金融課長〕中小企業庁金融課長でございます。効果検証のところでございますが、家森先生からも補足ございました。効果検証の検討会ですが、家森先生を始め経済学者の方々に参画頂く形で、今検討を進めております。

データセットのところが一番難しいことから、これを重点的に議論しております。お話のあった民間ゼロゼロ融資も含める形でやっております。難しい分析になりますので、中間的な報告については、年度内にやりたいと思っていますが、それで全てが終わるとは思っていませんで、来年度以降も継続してやっていく形になろうかと思っております。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

理財局からございますか。お願いします。

〔小多計画官〕様々なご意見、ご指摘をいただきまして、ありがとうございます。また、公庫それから各省庁もご回答ありがとうございました。

ご指摘をいろいろいただいた中で、やはりコロナ融資のこれからが非常に大きな課題だろうと思います。これに関して、我々として、これから財投編成の中で議論をしていくことになるわけですが、公庫の役割とは何なのか、政策金融機関として特に中小零細企業に資金繰りを行ってきたという伝統的な役割を考えたときに、これをしっかり支えていくことが、やはり最も重要な使命かと思います。とはいえ、モラルハザードを起こさせるようなことであってもいけない。そのバランスの中で、どのような業務を、どのような規模でやっていただくのかをしっかりと議論しながら、今後進めていきたいと考えております。

また、特定事業等促進円滑化業務についても、オンラインも含めて様々なご指摘をいただきました。先ほど公庫からも回答がありましたように、それぞれの法律に基づき様々な事業の計画が出されているということがまず前提としてありますので、そのような状況で一定程度の見込みが立って出てきているということではある一方、さはさりながら実績が出ていない、という問題意識を持って今回ご審議いただきました。今般の財投計画の編成プロセスにおいては、従来以上に機関あるいは主務省と十分に議論しながら、しっかり実需を見極めながらやらせていただくよう認識を新たにしたところでございます。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。時間ぎりぎりですが、もし、一言でも何かコメントございましたら。よろしいですか。

では、山内さん。

〔山内委員〕ありがとうございます。いろいろ大変な質問があったかと思うのですが、どちらかというと前向きな話でさせていただくと、先ほどご説明いただいた資本性劣後ローンについては、実際に使われた方々から先ほどおっしゃっていた銀行との関係で大変有用だったということも伺っています。

それからもう一つ、先ほど、今回の冒頭で申し上げました、ニーズがないのでやめるというのは、なかなか勇気の要ることだと思うのですが、これを実践されているということで、この機動性は今後もぜひ大切にしていただきたいと思います。

また、経営改善のDXの取組についても時宜にかなっていると思いますので、ぜひ進めていただければと思います。

フォローコメントということで、よろしくお願いします。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

〔日本政策金融公庫国民生活事業本部古田事業企画部長〕すみません、国民事業ですが、家森先生からのご質問を私答えていなくて、経営者保証免除で、要は不良債権などが増えているのではないのかというご質問があったと思うのですが、これにつきましては、我々は経営者、代表者の方が保証に入るからということでの融資判断をしているわけではなくて、あくまでも事業の見通し、見込みがどうなのかというところを主眼に判断しておりますので、保証を免除したからといって、大きく不良債権が増えているとか、そういうようなことではございません。

すみません、最後になりますが、ご回答させていただきます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、本日の議論、日本政策金融公庫との議論はこちらまでにいたしたいと思います。関係者の皆様はどうもありがとうございます。ご退席いただければと思います。

((株)日本政策金融公庫退席)

〔翁分科会長〕本日、各委員より頂戴しましたご意見につきまして、しっかりと反映させて、ご活用いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

すみません、少し時間がオーバーしてしまったのですが、最後に、商工中金の株式の処分について、大江財政投融資総括課長より簡単なご報告をいただきますので、よろしくお願いいたします。

〔大江財政投融資総括課長〕ありがとうございます。時間も押しておりますので、簡潔に行わせていただきます。資料4をご覧ください。

商工組合中央金庫の株式の処分につきまして、9月20日の国有財産分科会における答申をいただきました。こちらの商工中金の株式ですが、政府が46.5%保有しており、全て財政投融資特別会計の投資勘定での保有となってございます。背景のところにも書いてございますとおり、本年6月の改正商工中金法を受けまして、政府が保有する株式につきまして、公布日から2年以内に、できるだけ速やかに全部売却するよう努めることとされたところでございます。これを受けまして、今後どのように売却を進めていくかということについて、国有財産分科会で答申をいただいたという経緯でございます。

資料の下のほう、答申のポイントについて簡単にご説明いたします。

まず①、売却方法は、公正公平な売却方法であるという観点から、国の契約方針の原則どおり、一般競争入札が適当とされました。

②、改正法の趣旨を踏まえると、数回に分けて売却を行うという時間的な猶予に乏しいということがございますので、政府の保有する株式全てを一度に売却することが適当とされたところでございます。

③ですが、入札予定価格につきましては、各種の株式評価手法いずれかをそのまま適用するのではなく、各評価方法を総合勘案しつつ、一部の証券会社において店頭取引が行われている実態にも十分留意した上で、適切に設定する必要がある。今後、証券会社いわゆる証券アドバイザーの知見も踏まえて決定することが適当とされたところです。

④入札の実施時期は、令和6年度早期を目指すとされたところでございます。

当日の議論の中では、委員の皆様方から様々なご議論をいただきましたが、特に、国民共有の財産である商工中金株式ということで、できる限り高い価格で売却すべきであるですとか、一度に全株売却するというのはなかなか難しいのではないかといったようなご指摘ございました。参考としまして、本資料の後ろに答申の概要を添付させていただいております。

今般の答申を踏まえまして、公正な価格及び方法により株式売却が行われるよう、理財局としてしっかり対応してまいりたいと考えております。

簡単ですが、私からは以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

時間の都合上、本件に対するご質問などは、後ほど事務局にお寄せいただければと思います。

本日は予定の時間を少し過ぎてしまいましたが、ここまでの議事とさせていただきます。また、議論いただいた内容のほかに追加でご質問やご意見がございましたら、事務局までお寄せいただければと思います。

本日の議事内容につきましては、この後、事務局より記者レクを行いまして、議事録につきましては、委員の皆様のご了解をいただいた後、ホームページに掲載いたします。次回は10月26日の木曜日13時半から、地方公共団体等についての審議を行う予定としております。

本日はご多忙の中、誠にありがとうございました。これで閉会いたします。

16時36分閉会