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財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録

令和5年7月31日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第

令和5年7月31日(月)13:58~15:23
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開会

  • 2.令和4年度財政融資資金運用報告書

  • 3.財投施策を通じた地方公共団体等との連携について

  • 4.令和5年度政策コスト分析

  • 5.質疑・応答

  • 6.

配付資料

資料1-1

令和4年度財政融資資金運用報告のポイント

資料1-2

令和4年度財政融資資金運用報告について

資料1-3

令和4年度財政融資資金運用報告書

資料2

財投施策を通じた地方公共団体等との連携について

資料3-1

政策コスト分析(令和5年度)の概要

資料3-2

財政投融資対象事業に関する政策コスト分析(令和5年度)

出席者

分科会長

百合

奥理財局長

湯下理財局次長

藤﨑総務課長

大江財政投融資総括課長

上野資金企画室長

原山財政投融資企画官

大島管理課長

小多計画官

大江計画官

野村浩子

丸田健太郎

家森信善

渡辺

臨時委員

有吉尚哉

岡田章裕

工藤禎子

小枝淳子

山内利夫


13時58分開会

〔翁分科会長〕それでは、皆様おそろいでございますので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開会いたします。

議事に移ります前に、奥理財局長よりご挨拶をお願いいたします。理財局の人事異動もございましたので、併せてご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

〔奥理財局長〕本日は、皆様、大変お忙しい中、また会場までお運びをいただきました委員の先生方には特に大変暑い中をご参集いただきまして、誠にありがとうございます。このたび理財局長を拝命いたしました奥と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

翁分科会長はじめ委員の皆様方におかれましては、日頃より財政投融資制度につきまして貴重なご意見をいつも賜っております。この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げます。

この機会をお借りしまして、この夏に人事異動がございましたので、理財局の新しい体制につきましてご紹介をさせていただきたいと思います。

まず、理財局次長の湯下でございます。

〔湯下理財局次長〕湯下でございます。よろしくお願いいたします。

〔奥理財局長〕総務課長の藤﨑でございます。

〔藤﨑総務課長〕藤﨑でございます。よろしくお願いいたします。

〔奥理財局長〕それから、皆様から向かって右側、財政投融資総括課長の大江でございます。

〔大江財政投融資総括課長〕よろしくお願いします。

〔奥理財局長〕それから、右端、管理課長の大島でございます。

〔大島管理課長〕大島でございます。よろしくお願いいたします。

〔奥理財局長〕続きまして、左側に移りまして、計画官の小多でございます。

〔小多計画官〕小多でございます。

〔奥理財局長〕小多は、日本公庫、JBIC、政投銀などを担当いたします。

次に、同じく計画官の大江でございます。

〔大江計画官〕大江でございます。

〔奥理財局長〕大江は、地公体(地方公共団体)、国交省、厚労省、文科省などを担当いたします。

続きまして、右側に戻っていただきまして、財政投融資企画官の原山でございます。

〔原山財政投融資企画官〕よろしくお願いします。

〔奥理財局長〕原山は産業投資も担当いたします。

また、その隣、資金企画室長の上野でございます。

〔上野資金企画室長〕よろしくお願いいたします。

〔奥理財局長〕以上のメンバーで財政投融資制度の企画等を担ってまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、議事に移ります。本日は、令和4年度財政融資資金運用報告書、財投施策を通じた地方公共団体等との連携について、令和5年度政策コスト分析の3つの議題についてご審議いただきます。

まず、令和4年度財政融資資金運用報告書及び財投施策を通じた地方公共団体等との連携について、大江財政投融資総括課長より説明をお願いいたします。

〔大江財政投融資総括課長〕改めまして、このたび財政投融資総括課長を拝命しました大江でございます。よろしくお願いいたします。

まず、議題1といたしまして、令和4年度財政融資資金運用報告書についてご説明をいたします。本報告書は、財政融資資金法第12条におきまして、財務大臣は、毎年度財政融資資金運用報告書を作成し、当該年度経過後4か月以内に審議会に提出しなければならないと定められていることに対応するものでございます。

関係資料といたしまして、資料1-1、1-2、1-3の3種類を用意させていただいております。このうち、資料1-3は、今申し上げました財政融資資金法第12条に基づいて提出いたします令和4年度財政融資資金運用報告書の本体になります。資料1-2は、報告書本体の項目に沿いまして概要をまとめた資料でございます。資料1-1は、この報告書のポイントをまとめた資料でございます。時間の関係もございますので、本日はこの資料1-1、令和4年度財政融資資金運用報告のポイントに沿ってご説明をさせていただきます。

それでは、資料1-1の1ページ目をご覧ください。

令和4年度の財政投融資計画の運用額でございますが、14兆2,427億円となっております。

資料の下のほうに、近年の推移をグラフ化しております。令和4年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた企業の資金需要に対応するために、十分な計画規模を確保いたしたところでございます。ただ一方で、資金需要に落ち着きが見られたこと等から、計画の執行率は6割程度というふうになってございます。この折れ線の部分をご覧いただければお分かりいただけますとおり、令和2年度、令和3年度といった最近の年度に比べますと、かなりコロナの前に戻りつつあるという状況ではございます。引き続き、財投計画の編成に当たりましては、実需を見極めながら適切な規模となるよう努めてまいりたいと考えております。

続きまして、資料の2ページ目をご覧ください。短期運用実績についてご説明をいたします。

資料の上段にございます表ですが、令和4年度中の財政融資資金の短期運用額は194兆6,996億円、回収額は195兆2,063億円となっております。

残高につきましては、前年度末比の5,067億円減少の7兆107億円となっております。主な内訳は、交付税特別会計が約5.6兆円、年金特別会計が1.4兆円程度となっております。

こちらの運用額と回収額の数字が非常に大きくなってございますが、こちらのほうは、交付税特会への貸付け・回収は数日程度の期間で繰り返されると、また年金特会への貸付け・回収も1か月程度の期間で繰り返されるということに伴いまして、こちらのほうは累計で計上されますので、特に交付税特会が大きな数字となっておりますように、こうした大きな規模になってございます。

次に、資料の左下のグラフをご覧ください。令和4年度末の財政融資資金資産現在高でございますが、前年度末比5,843億円増加の131兆59億円となっております。

主な機関の内訳ですけれども、地方公共団体向けが41.4兆円、日本政策金融公庫向けが18.4兆円、科学技術振興機構向けが8.9兆円となってございます。

恐縮でございますけれども、財投計画全体の残高も一言ご紹介、簡単にさせていただきたいと思います。こちら、資料1-1にはございませんで、資料1-2の4ページ目となります。こちらにございますとおり、残高だけ簡単にご紹介いたしますが、財政投融資計画残高の推移の中で、令和4年度末は前年度比マイナス1.0兆円の150.0兆円というふうになってございます。

それでは、資料1-1に戻っていただきまして、財投債と預託金の状況についてご説明いたします。資料の2ページ目の右下でございますが、令和4年度末における財投債の発行残高は前年度末比3兆7,880億円減少の100兆8,361億円、預託金残高は前年度末比2兆9,958億円増加の35兆4,444億円となっております。預託金が増加しておりますが、こちらは中小企業基盤整備機構や労働保険特別会計などからの預託金が増加したことが主な要因となっております。

続きまして、令和4年度におきます財政投融資特別会計財政融資資金勘定の損益でございます。資料の3ページ目をご覧ください。

資料の左上、令和4年度の財政融資資金勘定のBSがございますが、この赤枠の部分をご覧ください。令和4年度末決算におきましては損失を計上しておりまして、その額は385億円となっております。この損失につきましては、翌年度に繰り越し、金利変動準備金から補填して処理することとなります。なお、令和4年度末における金利変動準備金は1兆2,879億円となっております。

赤字の要因としましては、財投改革後の平成13年度から平成18年度にかけまして、資産と負債のデュレーションの間で資産よりも負債のほうが短いというデュレーションギャップがございましたので、これを解消するために20年債を積極的に発行したという経緯がございます。その際の金利負担が結果的に影響しておりまして、足元でこういった損失がしばらくは続くという見通しになっております。

この右上の表がございますけれども、こちらのほう、令和4年度末の実績を基に将来剰余金の推計を分析したものですが、当分の間は損失が継続する可能性があると。ただ、長期的にはまた損失ではなく利益が出る可能性が大きくなるというふうに見込んでおるところでございます。

最後に、令和4年度財政投融資使途別分類表についてご説明をいたします。こちらの円グラフでございますが、令和4年度の運用状況としまして、総額14兆2,427億円の執行のうち、教育が5兆6,882億円となっておりまして、一番大きくなっております。続きまして、社会資本が2兆6,210億円、海外投融資等が2兆6,081億円などとなっております。

前年度に引き続きまして、科学技術振興機構、いわゆる大学ファンドに対する貸付けが大きくなっておりまして、この影響で教育に対する運用額が全体の約4割を占めるという形となっております。

簡単ではございますが、令和4年度の財政融資資金運用報告についての説明は以上となります。

今回報告させていただきました4年度の実績も踏まえまして、今後、令和6年度の財投編成に取り組んでまいりたいと考えております。今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。

以上でございます。

〔翁分科会長〕続いて、地公体のご説明ですね。

〔大江財政投融資総括課長〕続きまして、資料の2をご覧ください。財投施策を通じた地方公共団体等との連携についてご報告をいたします。

1ページ目をご覧ください。まず、取組の背景及び令和4事務年度、令和5年、本年の6月までの事務年度の進捗状況についてご説明をいたします。

財投機関につきましては、地方公共団体や地方の事業者、地域金融機関等の課題解決に資する支援の施策を有しているところでございますけれども、地方の拠点の不足、あるいは人的リソースの問題等から、十分な広報ですとかネットワークができていないということで、地方での活動が限定的になっている機関もございました。

こうした中で、令和3事務年度より、地域の課題解決をサポートしている財務局を通じまして、財投機関と地方公共団体や金融機関といった地域関係者双方のニーズ把握に努め、これらの関係者をつなぐ取組を積極的に実施をしてまいっておるところでございます。

令和4事務年度におきましては、4つの取組をこれまでどおり継続するとともに、財務局においても地方公共団体と連携した取組を実施したところでございます。

この取組の中には、官民ファンド等との合同説明会ですとか、公営企業の好事例収集、また財務局で企画した勉強会等々ございます。以下、追ってご説明をさせていただきます。

次のページをご覧ください。まず、1つ目が官民ファンド等の地域金融機関等向け合同説明会でございます。

冒頭ご説明いたしましたとおり、例えば脱炭素の官民ファンド、あるいは海外展開を支援する官民ファンドといったようなものなど、官民ファンドの中にも地方拠点がないというものも多くございます。ですので、なかなか官民ファンドが何をやっているか、あるいはその官民ファンドの存在そのものが知られていないといったような課題がございましたので、令和3事務年度以降、複数の官民ファンド等による合同説明会を開催してきているところでございます。

令和4事務年度におきましては、4月に四国財務局、5月に東海財務局の2か所で開催をいたしました。こういった場で、地方公共団体、また地域金融機関の方々に加えまして、地域企業の方々の参加もいただいたところでございまして、官民ファンドの説明に加えて、懇談の場なども用意することで、それぞれネットワーキング的なものを会議の後にやっていただいたというふうなことも伺っておりますし、実際、個別相談を行うような企業も見受けられたというふうに伺っておりますので、地域におけるネットワーキングを強化していくという、その意味での目的はある程度達成できたのかなと、お役に立てた面があるのではないかなというふうに考えております。

続きまして、2番、財務省・財務局のPFIに関する知見の強化と地方公共団体への支援でございます。

地方公共団体のほうから、PFIを活用したいけれども、ノウハウや人材が不足をしているといったような声がございましたので、こちら、財務局とPFI機構が連携をする形で、地方公共団体向けの説明会を実施してきているところでございます。

1ページめくっていただきまして、3番、JRTTによる離島航路関係自治体等向け説明会でございます。

こちらのJRTT、鉄道建設・運輸施設整備支援機構でございますけれども、こちらに船舶支援部門というのがございます。定期船、貨物船等の建造支援も行っておりますけれども、あまり建造の実績が出ていないという地域もございます。一方で、離島航路事業については、船舶の老朽化等で事業の継続に対する懸念というのも出てきているといったような地域もございます。

こうした中で、四国の財務局、それから九州の財務局の鹿児島財務事務所の主催で、こういった地域、離島航路を多く抱えているという事情もございまして、そういった地域で自治体向けに説明会を実施したところでございます。こちら、国土交通省の運輸局のご協力もいただきまして、一緒に連携する形で運輸局を通じて離島航路の補助の説明をしたり、また、JRTTが持っている船舶建造技術支援といったような、より長期的、金融的な方法が必要となってくるような支援についてもご紹介をさせていただいたところです。

4番、公営企業における業務効率化等の好事例の収集と横展開です。

こちらも継続の取組でございますが、上下水道や公立病院といった公営企業は、基本的に独立採算という原則で地方のほうでやっておられるところですが、実際には、人口減ですとか施設の老朽化、それから人材の不足いったような経営課題がございまして、なかなか財政面でも地方公共団体の負担となってきているという例も多数あるというふうに承知をしております。

こうした中で、財務省と財務局が連携いたしまして、経営課題解決に向けた意思決定を行っております地方公共団体の首長の皆様方に、あるいは地方公共団体の幹部に直接働きかけて改善を促すと。その際に、業務改善効果の高い先進事例のうち比較的広く取り組みやすいと考えられるものを「事例集」としてまとめ、財務局の幹部が面談をする際に手渡しをして横展開を進めていただきたいといったような、こういった取組を行っております。

令和4年度におきましては、例えば上下水道事業の人材育成、技術承継の取組ですとか、水道のスマートメーターの導入といったICT関連の事例を新たに収集し、事例集に追加したところでございます。今後も、公営企業のニーズを適切に把握し、内容の充実を図っていきたいと考えております。

続きまして、財務局独自の取組というのを2つほどご紹介をさせていただきたいと思います。

まず1つ目、5番と書いてございます下水道事業の経営課題の解決に向けた支援でございます。こちら、関東財務局での取組事例となります。財務局が情報収集した下水道事業経営に関する先進的な取組を共有する場として、管轄内12の自治体向けに勉強会を開催したという取組でございます。こういった勉強会を通じて、PDCAの重要性が認識できたですとか、導入する際の参考になったといったような声を自治体の参加した方々、職員の方からいただいたところでもございます。

次に、6番、北陸財務局の取組でございますが、地域公共交通と財政等課題解決支援でございます。こちらのほう、交通環境・公共交通の維持に関する課題の解決に資するようにということで、こちらも国交省の北陸信越運輸局ですとか、あと地元金沢の大学の方とも連携をいたしましてセミナーを開催したという事例になります。北陸3県に加えまして、長野県、新潟県の団体も対象といたしまして、広域的な取組として実現することができまして、財務局としても、こういったお手伝いができるんだという、地域におけるプレゼンスの向上にも寄与したものと考えてございます。

簡単でございますが、以上が令和4事務年度の取組でございます。今後とも、財務省・財務局のネットワークや財投機関の機能も活用しつつ、地域関係者のニーズに沿った取組を実施してまいりたいと考えております。

長くなりましたけれど、資料1と2の説明は以上でございます。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、3つ目の議題であります令和5年度政策コスト分析につきまして、上野資金企画室長よりご説明をお願いいたします。

〔上野資金企画室長〕資金企画室長の上野でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、令和5年度分の政策コスト分析についてご説明を申し上げます。政策コスト分析の資料は資料3-1と全体資料の資料3-2となってございまして、本日は主に資料3-1を使用してご説明をさせていただきます。

それでは、資料3-1をご覧ください。表紙をおめくりいただきまして、政策コスト分析の概要でございます。

まず1つ目の黒丸でございますが、令和5年度分につきましては、25機関を対象に集計しており、令和4年度分と同じ機関数となってございます。なお、機関数に異動はございませんが、新たにエネルギー・金属鉱物資源機構の石油天然ガス等勘定が追加されてございます。

2つ目の黒丸でございますが、この25機関全体の政策コストの総額は3兆5,645億円となっており、令和4年度分と単純に比較いたしますと1兆9,153億円の増加となってございます。

ここで、資料右下の政策コスト分析の前提金利【スポット・レート】のグラフをご覧ください。黄色い線が令和4年度、赤い線が令和5年度でございますが、今回、前提金利の水準が上昇していることがお分かりいただけると思います。

資料の上から2つ目の黒丸に戻っていただきまして、今年度の政策コスト総額の増加要因といたしましては、この前提金利の上昇を背景といたしまして大きく2つ挙げられます。

1つ目は、現在価値の算出に用いる割引率の低下を主因として、国からの出資金等の機会費用が約5.5兆円増加したことによるものでございます。主な機関といたしましては、JICAがプラス3.5兆円、日本公庫の国民勘定がプラス0.8兆円、道路機構がプラス0.8兆円などとなってございます。

2つ目は、財投機関における余資運用の利回り向上を主因として、国庫納付が約3.4兆円増加、コストは減少したことによるものでございます。主な機関といたしましては、JICAがマイナス2.6兆円、日本公庫の国民勘定がマイナス0.9兆円などとなっております。

これらは、資本、国からの出資金等が大きい、分析期間が長期にわたるといった特徴を有する機関におきまして変化が大きく出る傾向となってございます。

続きまして、資料左下の表をご覧ください。こちらは政策コストを構成要素別にしたものでございます。

一番下に、昨年度と5年度を比較した増減額を記載してございます。この資料には記載しておりませんが、中身を簡単にご説明いたしますと、①の国の支出マイナス1,102億円につきましては、主なところでは、自動車安全特別会計の空港整備勘定におきまして、分析期間が1年短縮したことによる補助金の減の影響により、政策コストが減少してございます。②の国の収入マイナス3兆4,432億円と③の国からの出資金等による機会費用プラス5兆4,687億円につきましては、先ほどご説明いたしましたとおり、前提金利の上昇の影響を主因とした増減額となってございます。

なお、昨年度にお示しいたしました政策コストにおける新型コロナの影響につきましては、今回の分析に当たりまして、コロナ対策の実績から生じるコストの見込み方につきまして、改善できる余地があることが分かりましたので、令和5年度分析におけるコロナ関連のコストにつきましては、実態をより正確に反映できるよう、分析を精緻化した上で、今後の分科会で別途お示しをしたいと考えてございます。

続きまして、恐縮でございますが、資料3-2の3ページをご覧ください。

感応度分析として、令和2年度分析からマイナス金利政策導入前ケースを採用してございましたが、昨年度の当分科会におきまして、昨今の金利上昇を踏まえた金利シナリオの見直しについてご指摘をいただきました。

このため、令和5年度分析におきましては、左の表の上の右側でございますが、基本ケースの前提金利をプラス1%させた前提金利+1%ケースにより感応度分析を実施することといたしました。

なお、この手法は、令和元年度分析以前に用いていた手法でございまして、市場金利の動きに柔軟に対応が可能と考えてございます。

これによりますと、基本ケース対比で政策コストが表の一番下の合計にございますとおり約3.6兆円増加しており、金利次第では大きく政策コストが増える結果となってございます。

資料右側の真ん中、矢印下の青の括弧書きにも記載してございますが、やはり将来的な金利変動リスクが大きいことを前提に、複数の前提によって政策コストを捉えていくことが重要であるといったことに変わりはないと考えております。

簡単ではありますが、政策コスト分析についての説明は以上となります。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、ただいまの3つのご説明を踏まえまして、委員の皆様からのご質問やご意見をお願いしたいと思います。オンラインでご出席の委員の皆様につきましては、発言の際、チャット欄にその旨を書き込んでいただければと思います。もしうまくいかない場合は挙手ボタンを押していただければと思います。こちらで確認しながら指名いたしますので、そのままお待ちください。ご発言の際に資料を引用される場合には、資料番号と該当ページをおっしゃっていただければと思います。

それでは、ご質問、ご意見ございましたら、よろしくお願いいたします。

それでは、丸田委員、お願いいたします。

〔丸田委員〕すみません、丸田でございます。2点ほどご質問させていただければと思います。

1点目は、財政投融資資金運用報告について、今回、基本的には昨年のコロナからの回復で実際の執行率がかなり上がったと理解しておりますが、機関ごとに資料1-2の3ページ目を拝見しますと、日本政策金融公庫さんでかなり運用残額と運用額との間で乖離があるように見受けられます。これに関連して、1つは、何かコロナ融資とか特殊な事情でそもそも当初計画が上振れしていたからなのかという点、もう1つは、各機関で当初計画を算定するに当たって、当然、各機関、人員含めたリソースが限られていると思いますので、1人当たりの業務量等を勘案の上、実現可能な運用計画が算定されているのでしょうかという点でございます。

2点目は、政策コストに関して、非常に素人的な質問というか、各機関の資料を横並びで拝見していて、私の見方が間違っているのかもしれないとは思うのですが、感じたことをお伝えさせていただきます。この資料で、今回、感応度分析ということで、金利とか、貸倒れとか、そういったシナリオでやっていただいているというところは理解できたのですが、一方で、これをどのように解釈すればよいのかというところが完全には理解できていなかったので私なりの解釈をコメントさせていただきます。

私が非常に興味深く拝見させていただいたのが、機関別の政策コストの過去10年ぐらいの推移のグラフです。これを眺めていて感じたのが、例えば91ページ目の国立病院機構です。そちらのグラフを拝見しますと、この2年間は、やはりコロナの助成金等で収入が増えた分もあるのかもしれないですが、政策コストが下がっていたのが、また直近でかなり上がっているようなグラフになっていました。成育医療などの他の医療機関の政策コスト推移と比べると、少しこのカーブの上がり方が他の機関と異なると感じました。もちろん、出資金がかなり増えていて、それで効率が落ちているのかもしれない点は理解しています。このグラフから、分析を行うにあたって、例えば機関によっては効率性という点での同機関比較などをしてもよいのではないかと感じました。例えば、民間企業ですと、将来の、3-5年ぐらいの中期事業計画のカーブとかを見ながら、金利がこうなったらこうなっていくとか、将来的にコストが上がっていくのを効率化でもっとコストを中長期抑えなくてはいけないとか、そういった分析視点があると思いますので、そのような視点を加えてもよいのではないかと感じました。また、別の機関の例ですが、例えば金利の感応度が非常に高い機関として、高速道路保有機構の数字を拝見していますと、ページは138ページ目でございますが、非常に分かりやすくて、やはり金利が上がることによって急激に政策コストが上がってきていると思うんですが、逆に言うと、このようなかなり借入金・出資金の影響が大きいような機関は、金利が上昇傾向にあると大きな影響を受けます。そこで、例えば当初の政策目的であるとか、高速道路の無料化までの年数等にどういうインパクトがあるのかという、その長期的なインパクトを感応度で分析するといったような見方があってもよいのではないかと感じました。最後に、例えばJOGMECさんなんかを見ていると、過去おおむね政策コストが一定なのですが、イメージとしては、昨今の金属資源確保の重要性を鑑みますと、政策コストは政策的に近年かなり上がってきているのかと期待したのですが、政策コストがあまり変わらず一定ということで、政策実行のタイムラグがあるかもしれませんが、期待通りの政策をタイムリーに実行できていない可能性があるのではないかなどと感じました。

これらはあくまで気になった点の一例ですが、何を言いたいかというと、感応度という意味で、長期的な計画とか、そういったカーブとかを見ながら、こういった政策を継続するとこういうカーブになるとか、あとは、これにこういった政策を追加することによってダイナミックにコストが変化していくというのを分析的に見ていくということが有用なのではないかと感じました。私はちょっとフレッシュな視点でこの報告書を拝見させていただいて、機関の目的や性質ごとに、その見方というのが全然違うんじゃないかというふうに思いまして、単に金利等の感応度分析だけで、十分にコストと政策とのバランスといったもの、あるいはそれの政策を遂行するに当たっての効率性とか、そういったところが十分見られているのかどうかというところがちょっと分からなかったものですから、気になってコメントさせていただきました。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

今、もう1人、工藤委員がご質問いただいていますので、そのお二人のところでちょっとご回答をまずお願いしたいと思います。

それでは、工藤委員、お願いいたします。

〔工藤委員〕では、オンラインから失礼いたします。

まず、議案1につきまして、令和4年度の財政投融資執行率は61.5%と、令和3年度比で大きく改善しておりますが、僅かではあるものの、以前の、コロナ禍前の水準を下回っております。年度中の社会経済情勢の変化などの可能性を踏まえ、一切余裕のない計画を策定するのは望ましくありませんけれども、ガバナンスの観点からは、相応の執行率を確保していただきたいと考えます。財政要求の精査をしっかり行っていきながら、極力精緻な計画を策定いただけるとありがたいと思います。財投分科会委員として、本事務年度も私自身もしっかりチェックしてまいりたいと思います。

2点目、議案の2につきましては、財政投融資の政策効果を上げるものとして、非常にプロアクティブなお取組だと思います。ありがとうございます。

次、議案3につきまして、政策コスト分析は、将来の国民負担を明らかにして、財政の健全性の確保や政策の費用対効果を議論する上で非常に重要なものだと考えております。一方で、コスト分析の結果を議論に生かしていくためには、過去との比較、検証可能なデータを集計、しっかり公表していくことが大事だと思います。本日ご説明いただいた概要では、令和5年度財投計画に計上された機関のみを対象に、前年度の結果と比較されているものと理解しています。つまり、令和5年度に財投計画がないものについては計上されていないと理解します。つまり、こうした現在の分析の枠組みでは、財投残高の多い機関が対象年度の財投計画に含まれるか否かで分析結果が大きく増減すると考えられ、ガバナンスの観点からは適切なのかという疑問が残ります。本来、コストだけではなく様々な角度から、政策効果も見ていきたいところではありますが、少なくとも全財投機関のコスト分析を集計、開示いただいて、政策コスト分析結果を経年比較することができるようにするなど、分析の精緻化というのをご検討いただけないかというお願いでございます。

以上でございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、今のお二人につきまして、それぞれご回答をお願いいたします。

〔大江財政投融資総括課長〕丸田委員、工藤委員、ご質問いただきまして、ありがとうございます。財投総括課長の大江です。私のほうから運用報告に関するご質問にお答えしたいと思います。

丸田委員からは、機関ごとに見ると運用の残がかなり多く出ている機関があるんじゃないか、特に日本公庫といったご指摘をいただきました。また、工藤委員からは、相応の執行率を確保してほしいと、改善しているけれども、まだコロナ前よりは少し低いので、しっかりした計画を立ててほしいといったご質問であったかと思います。

まず、こちら、併せてご回答させていただきたいと思いますが、令和4年度財投計画の作成段階では、まだ新型コロナウイルス感染症の収束時期が十分に見通せないといったような事情もございました。そういった中で、コロナの影響を受けた事業者の皆様への資金繰り支援のために十分な融資枠を確保するということで、万全の対応を取ったところでございます。ただ、結果といたしまして、日本公庫ですとか福祉医療機構といったコロナ融資などにおきまして、資金需要に落ち着きが見られたというのも事実でございまして、こうした結果が令和4年度の財投計画、執行率が6割程度にとどまったという結果になっているというのが全体的な事情かと思います。

ちょっと個別の部分に入りまして、ご指摘いただいた日本政策金融公庫。こちら、国民一般向け業務、中小企業者向け業務、農林水産業者向け業務、特定事業等促進円滑化業務、危機対応円滑化業務というふうに5つございますけれども、特に国民一般向け業務というところで運用残が大きくなってございます。こちらの要因でございますけれども、同じ説明になってしまいますが、新型コロナの影響の長期化を受けまして、小規模の事業者等、まさに国民一般向け業務が対象としております事業者の皆様の資金調達に支障を来すことのないようにということで、貸付規模、またそれに見合う財政投融資の規模というのを確保したところでございますけれども、令和2年度のピークに比べると資金需要も落ち着いてきたというのが結果としてございました。こういった状況があったことがこの運用残が多く出てしまった事情でございます。

丸田委員からは、ご指摘いただいた、実際に執行可能な水準として算定されているのかという、こちら、各機関の事情はございますけど、当然、執行できるという前提の下で計画は作成しております。こちら、もちろんコロナの頃、かなりふだんよりも規模を拡大するといったようなこともあったかと思いますけれども、当然、そこは必要があればしっかり対応できるようにという、十分な体制も含めた対応をつくっているものと承知しております。

いずれにしましても、工藤委員からご指摘いただきました、財投計画、なるべく実態を踏まえた計画にしてほしいという点、ご指摘をしっかり踏まえて対応したいと思います。コロナも5類に移行して大分落ち着いてきたという状況もございますので、引き続き必要な対応は行いつつ、なるべく実需を見極める形で、今後、6年度の編成というのを行っていきたいというふうに考えております。

私からは以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

お願いいたします。

〔湯下理財局次長〕補足の説明でございますが、従来からコロナの理由ということで計画が過大じゃないかというご指摘、令和2年度当初からも受けてはいるんですけれども、私どもの財投計画全体の運用といたしましては、基本的には、都度都度、財投債の発行というのは、常に実際の支出がどれぐらい出ていくのかというのを見ながら、国債発行当局とも相談しながら進めているところでございます。したがいまして、当然のことながら、これ、6割だったわけですが、4割分の財投債を追加で発行してしまって、その資金をだぶついて持っていたというわけではなくて、支出動向を見ながら財投債の計画も落としていき、最終的には補正等々の場で計画の補正等をさせていただいていますので、もちろん、計画をより一層精緻にしていくという努力は必要かとは思っていますが、そのために追加で財投債を発行して、だぶついたお金を財投資金で確保、常にしているというわけではないという点はご理解いただければと思います。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、政策コスト分析についてのご質問について、お願いします。

〔上野資金企画室長〕丸田先生から、政策コストにつきまして、感応度分析の見方についてご質問をいただきました。

まず、政策コスト分析につきましては、将来に生ずると考えられます国民負担を公表することで、国民の理解が得られる適切な政策決定を施行するといった、財政投融資のディスクロージャーの観点から行っているものでございます。

他方、コスト分析の結果につきましては、金利など一定の条件の下で試算したものでございまして、財投対象事業の健全性は、政策コストの数値の大小のみならず、事業の実施に係る政策的な意義ですとか社会経済的な便益と合わせまして、総合的に評価する必要がございます。

こういった中で、感応度分析につきましては、例えば国から投入された出資金が大きく分析期間が長期にわたる機関、例えば国際協力機構ですとか高速道路機構、先ほどの感応度分析のページをご覧いただきたいんですけれども、資料3-2の3ページでございますけれども、この資料の融資系の機関のところの真ん中に国際協力機構がございます。この機関は、金利が1%上昇しますと約1兆円程増加するということです。また、高速道路機構につきましては、下の事業系の機関の真ん中にございますが、こちらではやはりプラス8,000億円ほど増えているということで、そうした出資金が大きく分析期間が長期にわたる機関につきましては、こうした出資金の機会費用増によるコスト増が大きく出る結果にございます。

他方で、同じく事業系機関のところにある都市再生機構、こちらにつきましては、分析期間が80年と超長期にわたっておりまして、途中で借換えが発生いたします。そのため、利払費の増加によるコストが大きく増える結果となってございます。

このように、金利の水準でいろいろ変わってくるということで、一定の前提条件を置いて算定をしているところでございますが、例えばプラス1%金利が上がったらどうなるのかとか、また、感応度分析のところで、こちらは4ページのところでございますけれども、同じように貸倒償却額が増えたらどうなるのかとか、そういった仮定を置いた計算を基にしながら、これが増えた場合はこれだけコストが増えるということを把握していただくために、こちらの分析を行っているところでございます。

それから、工藤先生からは、政策コストの対象につきまして、残高機関も含めた全ての機関を対象にしてはどうかというご指摘をいただきました。

こちらにつきましては、政策コストの分析は、当年度の財政投融資計画を決定した機関につきまして、財投の貸付けに伴って投じられます補助金等の財政負担が将来どの程度見込まれるのかといったことを明らかにすることで、当局の政策決定に係る透明性を高めるといった目的のために実施をしてございます。また、財投編成の過程におきまして、分析の過程で作成した長期収支を活用いたしまして、償還確実性の確認ですとか融通条件の妥当性を確認するために行っているものでございます。

ご指摘の残高機関を含めた開示につきましては、これらの実施の意義と、要求を行っていない機関への事務負担等を慎重に検討する必要があるということをご理解いただければと思います。

以上でございます。

〔翁分科会長〕今の回答につきまして、丸田委員、工藤委員に、それぞれ何かございましたらお願いいたします。

〔丸田委員〕すみません。ご説明ありがとうございます。

政策コストのほうは、私があまりここを理解できていなくて申し訳ないのですけど、イメージとしては、やはり長期的にコストが今後も含めてどういうカーブになるのかというのがあって、それがこういった前提条件を動かしたときにどういう長期トレンドとして動いていくのかというのをシナリオとして見ていくというのが重要ではないかと思っています。その中で、重点分野とかで政策が追加されればコストが急に変動するというのは当然あるべき姿だと思いますし、そこら辺が何か感応度といった中でもう少しダイナミックに見られたりすると、各機関ごとの課題であるとか、そういったものがもう少し明確になってくる可能性があるのではないでしょうか。

今回資料を拝見した中で、過去からの、政策コストの10年ぐらいの経過というのを拝見していると、何かそれなりに各機関の歴史やストーリーがあるのではないかと感じました。もちろん中には、過去は潤沢な出資金があったのが、どんどん剰余金を食い潰していって、政策コストが右肩上がりに上がっているような課題のある事業もありましたし、各機関の課題を分析するためにも感応度といったときに、よりシナリオやストーリーに基づいてダイナミックに見てもいいんじゃないかなと個人的には思ったという点でございます。

ただし、現在、どのように政策コストを分析されているかということについては、本日のご説明で非常によく理解できました。ありがとうございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

工藤委員、よろしゅうございますか。

〔工藤委員〕ありがとうございます。

確かに事務負担もあられるということで、償還条件等を決めるためにこういったことをやって、要求のあった方だけやっていらっしゃるということは一定理解をいたしました。

一方、資料3-1等で書いていただいている政策コスト分析が総和で書いてあるので、これは大きな額の要求があった年には大きくなり、なかった年には小さくなるということで、総和をもって何かを分析するというよりは、その年に要求のあった個別の機関に対しての分析と、私は理解いたしました。

ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

丸田委員からは、より政策コスト分析を生かしてさらに分析をしていくことができるのではないかというご指摘だったと思いますし、また、工藤委員からもご指摘いただいた点は私も大変重要だと思っていて、今年の分ということでやっているわけですけれども、やっぱり全体のガバナンスとかコストの状況はどうなっているんだというときに、特に残高の大きいところとか、気になる機関がございますので、そういったところについて適宜フォローアップしていくということは当然必要なのかなと思いますし、その辺りはこれからも見ていければなというふうに思っております。

ありがとうございました。

それでは、小枝委員と野村委員でお願いいたします。

小枝さん、お願いいたします。

〔小枝委員〕承知いたしました。オンラインで失礼いたします。私からはコメントを1点申し上げたいと思いました。

今後のことを考えると、金利リスク、特に金利上昇リスクというのが考えていかなければならない大きなリスクだと思うのですが、そこで、感応度分析など既にやられておりますし、この政策コスト分析も現在価値に直してという重要な分析をされていると思いますが、事業の性質上、短く借りて、最初に大規模な投資をして、長期で収入を見込むみたいな、そういった事業の性質があるものですと、やはり金利の今の前提で現在価値に直したときのプロジェクトの評価が高めに出てしまうということは性質としてございますので、そういった事業の性質を持つものは、注意深く検討していっていただきたいなと思います。同時に、そういった事業の性質があるものが駄目だというものでも全然なくて、例えばESGの投資ですと、やはり短期に大規模な投資をして、長期に収入を見込むという事業も多いと思いますので、この辺のプロジェクトの見極めといいますか、特に金利の今前提がすごく低くて、これから金利上昇リスクがあるというときに、プロジェクトの見極めというのが非常に大事なっていくのかと思いますので、引き続きこの辺、注意して見ていっていただきたいなと、お願いでございます。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、野村委員、お願いいたします。

〔野村委員〕ご説明ありがとうございます。

先ほどの質問にも少し関連しますが、まず、資料1-1の3ページ目で運用報告のまとめのご報告をいただきましたが、ここで、改めまして使途をみますと、教育目的に4割の投融資がなされたという、その大きな割合を改めて感じているところです。例年10%弱ほどだったところが4割強になっているということで、今後、今日の議題の3点目でもありました政策コストにも注視したいと思います。政策コストの公表にはルールがあると先ほどご説明いただきましたが、大学ファンドはこれだけの規模の大きなもので、注目されるものなので、ぜひ積極的に開示していただきたいと思います。

それから、これは長期的な話になりますけれども、もちろん政策コストだけではなくて大学ファンドの政策性もございますので、本来の研究性の向上にどれだけプラスに働いたのか、さらに、大学ごとの自立したファンドの育成をどれだけ後押しができたのか、みていきたいと思います。大学ファンドは恒久的なものではございませんので、各大学の資金力を増す、そのための後押しをすることが大きな目的と理解しておりますので、それにどれだけ寄与したのかについても、今後、ご報告をぜひいただきたいと思っております。

それから2点目ですが、地域連携で、各地域で非常にすばらしい取組がなされているご報告をいただいて、なるほどと思いましたが、一方で、情報が行き渡っていなくて、ここまでやらないといけないことを改めて知ることになりました。

これは釈迦に説法ですけど、やはり地方の金融機関、企業にとっては、地銀さんがいろいろな核となるプレーヤーだと思います。官民ファンドとかPFIなど様々な情報を行き渡らせる上で、全国の地銀のネットワークというのはかなり強固なものがございますので、そういうところと連携して、地方隅々までこの情報を行き渡らせるという取組もあり得るのかと思いました。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

続きまして、それでは、渡辺委員、有吉委員、お願いいたします。

渡辺委員、よろしくお願いいたします。

〔渡辺委員〕渡辺努です。政策コストについて、一言だけコメントさせてください。

先ほどから議論に上っていることと関係しているかと思うんですけれども、今、私の理解だと、あるAという存在と財投機関について総額として幾らの政策コストがかかっていると、こういうのを計算していると思うんですけれども、そうではなくて、例えば1億円当たりの融資に対してコストが幾らなのかみたいな、そういうふうに見てみると、そうするとAとBの機関の違いが、規模の要因は除いて、その2つでどちらが政策コストが高いとか低いとかということが比べられるようになりますし、それから、その1億円当たりの数字の各全機関の平均値とかというのを見た場合には、そうすると、その場合は、だから、大きな融資のところがどうなるかが、ドミナントになるとかというような問題も比較的起こりにくくなるんじゃないかというふうに思います。

なので、多分計算は大して面倒くさくないと思うんですが、1億円当たりの政策コストというのも併せて出していただけると今後はよろしいんじゃないかなというふうに思いました。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。さっきの丸田委員の議論とすごく関連するご意見かと思います。ありがとうございます。

それでは、有吉委員、お願いいたします。

〔有吉委員〕有吉でございます。私からは3点ほどコメントをさせていただきたいと思います。

1点目は、丸田先生が最初にご指摘されていた点ですが、日本政策金融公庫の執行率が非常に低いという点について、私も気になるというか、関心を持ったところでありました。その背景については、先ほどご説明いただいたとおりで、理解したところでございますが、確認させていただきたいのは、この数年のコロナ禍という非常に特殊な状況で、かつ、日本政策金融公庫という政策金融を取り扱う機関であったがゆえにこのような状況になっているということであって、コロナ禍以前においては、日本政策金融公庫の執行率も、それなりに計画と実態が合致するような数値で推移していたのかどうかということであります。それ以前から日本政策金融公庫だけ大きく計画と実態の数字が乖離しているといった、体制に問題があるということではないことを確認したいという趣旨でございます。

それから2点目は、財投機関と地公体との連携の点でございまして、こういった取組は、特に情報やノウハウが十分ではない地公体、あるいは地域の企業に対して先進的な取組を、ビジネスコンフリクトがない立場で情報共有ないし連携ができるという施策であり、ぜひ積極的に実施していただきたいと感じます。私自身の弁護士業務の経験として、例えば、地銀であっても、東京にある金融機関と比べて、情報やノウハウが行き渡っていないということはしばしば目にするところでございますので、特に地域において情報共有や啓蒙を進めることは、とても重要ではないかと感じます。ただ一方で、この種の説明会やネットワーキングというのは、やったふりのようなことをするのが非常にやりやすいものだと理解しておりまして、年に1回説明会を開催してそれっきりとなってしまうということにならないように、そのイベント自体は回数が限られているとしても、ネットワーキングを継続的に維持するとか、あるいは目に見えるような成果が生み出されるとか、アリバイづくりではない何か具体的な結果につながるような形で、施策に取り組んでいただきたいと強く感じるところでございます。

それから3点目は、政策コスト分析に関してです。はっきり申し上げて、このコスト分析を全く理解できている気がしないでコメントさせていただくので大変恐縮なのでございますが、1点伺いたいと思いましたのは、貸倒れの関係でございます。融資系の機関に関する分析において、各機関が通常どおり貸倒れを見積もって、感応度分析ということでシナリオを変えて想定を行っているというものではないかと想像しているところですが、その貸倒れを見積もるに当たって、これは今後のコロナの関係での分析で改めてご説明いただく内容なのかもしれませんが、今般のコロナ禍においては、特に政策金融機関は、特殊な形で融資を行っていたという状況があるというふうに思うわけでございます。そのことを、各機関に任せて貸倒れのベースを評価して数値に至っているのか、それとも、その点は何か客観的あるいは統一的な考え方があった上で数値に表れているのか。今日現在においてもコロナ禍の下で積み上がった融資が今後どうなっていくのか、見通しにくいものであるわけでございますし、過去、実際に融資がなされる段階においては、回収可能性がどのようになるのか、ますます予想がしにくいところであったという特殊な状況だと理解しております。この辺り、このコスト分析の中でどう評価されているのか、あるいは各機関に評価を委ねているのかというところを教えていただきたいと思います。また、この点については、次はコロナとか疫病ではないのかもしれませんけど、似たような融資が必要になる事態が生じた場合においての参考に利用できるような分析につなげられるとよいのではないかと感じるわけでございます。その前提として、今回どのように行っていたのか、それが今後に利用できるようなものなのかということをお伺いしたいというのが3点目でございます。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

続きまして、岡田委員、家森委員の順にお願いいたします。

〔岡田委員〕読売新聞の岡田です。本日はありがとうございます。

委員の皆様方からご意見があったように、私も、政策コスト分析という、このコスト分析の説明がやっぱりちょっと一般の方々向けには不親切かなという、そんな印象を持ちました。

例えばこの全体のヘッドラインの数字が、今まではあまり金利が上昇する局面じゃなかったので数字がどんどん増えていくということではなかったかもしれませんけれども、金利上昇局面では結構コストが増えていくかもしれないと。7兆とか、場合によって、日銀の政策の変更もありましたし、また10兆とかということも想定されるかもしれないというときに、将来の負担というのを、今、国民的な財政の議論で、防衛とか社会保障とかでお金が足りない足りないと言っている中で、例えばこれがもしニュースになって、金利上昇局面で将来のコスト負担10兆円ですと一般の国民が言われたときに、その10兆円というのはどう受け止めていいんだろうかという、その説明を親切にしないと、非常に専門家の方々の間では分かるかもしれなくても、一般の人はこのトータルの数字10兆というのをどう受け止めたらいいんだみたいな、そんなこともあろうかと思います。

また、個々の機関ごとに特色がありますので、その金利の感応度とかということで、コストが増えたから何か事業に制約があるというストレートな関係にはないんだと思いますし、個々に見ていくということではあるとは思うんですけれども、そうだとしても、こういった個々の機関というのは金利上昇局面というものが何らか事業を考えていく上で影響、例えば事業をより抑制的にするとか、より効率的にするとか、そうした何か影響を考えながらやるものなのか。その辺り、単純に計算上はこうなりますね、こういうコストというのは意識しながらやっていきましょうというだけなのか。その辺り、どこまで個々の機関がこうしたコストを意識しながら運営していっているのかという、そうした辺りももう少し見えやすいような工夫が何らか必要なのではないかと思いました。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、家森委員、お願いします。

〔家森委員〕神戸大学の家森です。

ちょっと制度的なことも教えていただこうと思います。資料1-1で、本年度損失が385億円というふうにありますけれども、例えば普通の財投機関にお金を貸していたときには、財投機関が潰れない限りはこういうものは出てこないということなんでしょうかというのが1つ目です。つまり、通常の赤字は、全部財投機関の中で吸収されるものということで、この資金運用の会計のところに出てくるのは、それ以外の部分が出てくるのかという点です。制度が違いますが、例えば産投のほうでは、官民ファンドでもうお金が返ってきそうにないというのがありますが、ああいうようなことが財投のところで起こると、やっぱりここに出てくるのかということです。そういう制度的なところを1つ教えてください。

それから2つ目は、地公体との連携ですけども、昨年度に地公体と財投の間の連携のお話をいただいたときにも私のほうから、単に場所貸しとか、つなぐだけでなくて、財務局としての付加価値をつけていくようにしないといけないのではないか、そうすると財務局の職員の方々の育成ということも必要になると申し上げました。私は、今、近畿財務局と東海財務局の金融行政アドバイザリーをしているので、財務局の方とも少しはお話をするんですが、いろいろなところへ取材に行ったりされています。そういう地道な取組もやりながら、このイベント事業みたいなこともやっていく必要があります。そこで、財務局の人材育成について何か取り組まれているかどうかというところを、少し教えていただければということでした。

それから3番目は、この政策コスト分析は長い歴史があって、枠組みとして確立しているものの、我々が知りたいのは、さっき小枝先生からあったように、今度、金利が上がっていくときに、財投機関として収支がどうなるのということです。単に機会費用が上がるだけでなくて、逆に融資機関でしたら当然融資金利収入も増えます。先ほど有吉先生から出たように、金利が上がれば貸倒れが増えます。そのトータルでどうなるかということが知りたいのです。この政策コスト分析とは違う目的だというところだと思うんですけれども、そちらのほうのこともまたご説明いただく機会があればと思いました。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、委員の皆様のコメントやご質問に対してお答えをいただければと思います。

まず、それでは、大江課長からお願いいたします。

〔大江財政投融資総括課長〕貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございます。すみません、ちょっと順番が前後してしまうかもしれませんが、幾つか共通してお答えできる部分もあったかと思いますので、幾つかまとめてお答えしたいと思います。

まず、足元の、あるいは今後金利が上昇した場合の影響ということでございます。こちら、政策コスト分析への影響というお話もあろうかと思いますし、また今後の財投計画全体への示唆という、それぞれご質問の趣旨があったのではないかというふうに理解してございます。

まず、私のほうから、財投に対する影響ということでお答えをいたしますと、まず、財政融資資金勘定におきましては、金利変動リスクの低減を図るために、財投債の発行年限の適切な調整も含めまして、デュレーションギャップ、またマチュリティギャップの解消に取り組んできているところでございます。

先ほど財投改革のときにかなり資産と負債でデュレーションのギャップがあったという話、申し上げましたけれども、これまでもいろんな取組をしてきた結果としまして、デュレーションギャップ、マチュリティギャップというのはおおむね解消されてきているところでございまして、金利変動リスクというのは大幅に低減してきてはおります。

ですので、金利上昇が今後起きた場合にも、財投特会財政融資勘定への影響は限定的ではないかというふうには考えておりますけれども、もちろん今後とも金利変動リスクの低減を図るために、ALMも含めて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

続きまして、野村委員からいただきました使途別分類の教育のところでございます。

まさにおっしゃっていただいたとおりでございまして、資料1-2の13ページ目をご覧いただければと思いますが、こちら、過去何年かの推移というのがございます。これを見ていただくと一目瞭然なんですけれども、教育が増えたというのは、まさに令和3年度、4年度と、この青い部分でございますけれども、まさに大学ファンドで、令和3年度で4.0兆円、それから令和4年度で4.9兆円の財政融資を貸し付けておりますので、その影響がもろに出ているというのが実態としてございます。

ご案内のとおり、令和5年度の財投計画では、この大学ファンドに対する貸付けというのは行っておりませんので、また来年この場で令和5年度の運用状況報告をさせていただく際には、また全然違う姿になるんじゃないかなと。もちろん、今後、予断を持って申し上げることはできないんですけれども、少なくとも令和5年度の当初計画を踏まえて申し上げるとそういう実態がございます。

あと、有吉委員から、公庫の執行率、コロナの前はどうだったのかというご質問をいただきましたけれども、ご参考までに、コロナ前、令和元年度の計画でいきますと、日本政策金融公庫の計画額が約3.9兆円、それに対しまして実際の運用額が約3.3兆円ということで、84%程度というふうになっておりますので、コロナ以前は少なくともある程度の執行率があったというふうに申し上げてよろしいかと思います。もちろん、大震災の際ですとか、今回のコロナだけでなく、様々な場合に万全を期すために、十分、最悪の場合を想定してといいますか、計画を大きくすることはございますので、今後も執行率が結果的に上がらないということはあり得るかと思いますが、それは先ほど次長の湯下からもご説明したとおり、それが必ずしも資金をだぶつかせるということにはなっておりませんし、まさに国民生活に大きな影響を生じさせかねないような場合には、しっかり政策機関として対応できるということを考えての措置というふうにご理解いただければと思います。

それから、すみません、ちょっと飛ばしてしまった部分があるかもしれないですが、家森委員からいただきました損失385億円のところでございますけれども、こちらのほうは、財政融資勘定全体でいきますと、まず費用のほうは、当然、財投債発行の金利の負担の部分と、それから収入のほうは、貸付期間に対する貸付けの金利収入といったような部分が中心でございまして、今回の385億円というのは、先ほど申しましたように、平成13年度から18年度までの20年債を発行した当時、金利が2%程度であったというふうに聞いておりますので、それの影響が引き続き出てきていると。逆に言いますと、最後に発行した平成18年度が、令和8年度で20年債が終わりますので、その後は影響というのは剝落をするというふうに考えてございます。

ご質問いただきました、もし貸倒れが生じた場合ということですけれども、この場合、財投特会財融勘定のPLで見ますと、受取利息の減等という形で損失の要因になりますけれども、これまで貸倒れの実績はないというのが現状でございます。

それから、地方の関係で幾つかコメントをいただきまして、ありがとうございます。

まず、地方での取組を評価いただいたことについてはお礼申し上げます。またこれからも財務局と連携してしっかりと対応していきたいと考えております。

その上で、地銀との連携というご意見、野村委員からいただいたかと思います。ご説明しましたとおり、地域金融機関もこういった場には来ていただいてはおるんですけれども、もちろんより大きな地銀協といったようなグループもございますし、何らか我々としても、より地銀がお持ちのネットワークを活用して、我々の活動、あるいは財投機関、官民ファンドの活動を知っていただくという可能性は追求してみる価値はあるというふうに考えておりますので、ちょっと私も着任早々でまだ具体的にどうこうしますというふうに申し上げることはできないんですけれども、こうした財務局を通じたイベント等を充実させることと、ほかにも何かやり方はないかというのは考えていきたいなというふうに考えております。

それから、有吉委員からいただきました、やったふりになってはいけないというご指摘もありがとうございます。ご指摘の点、ごもっともな点もございますが、一方で、やったふりというわけではなくて、ある程度人的リソースの我々の限界もあるんですが、その中で、個別のイベントをやることで、バーチャルにやるほうが数は稼げるのかもしれませんけれども、まさに現場で人を集めると、また、そういった場で地方公共団体と地域金融機関と、それから地域の企業が一堂に会するという場を設定することには、それは非常に意義があると考えております。例えば内閣官房さんのホームページで私どもの取組のバナーを貼らせていただいて、この財務局の取組なんかも含めて提供するようにはしておりますけれども、ただ、バナーだけ貼ってもなかなか、それにあまり関心を持つ人はそれほど多くはないのかもしれませんし、そういうバーチャルとリアルをうまく融合させながらやるということになるんだと思いますけれども、引き続き先ほどの地銀との連携も含めましてしっかりと考えていきたいなというふうに考えております。

それから、家森委員からいただきました人材育成に関する部分は、計画官の大江のほうからお答えをさせていただきたいと考えております。

〔大江計画官〕すみません。計画官の大江です。どうも、よろしくお願いいたします。

財務局での連携のベースになっているのは、財務局のほうでやっている財務状況把握とか実地監査なんですけれども、それに関しましては、融資課でやっているんですけども、融資課の席におのおの専門の会計士の資格を持っている人、分析官みたいなのを置いて、全体のそういう分析能力の向上をできる体制をやっていると。本省においても、会計士の方に来ていただきまして、いろいろ分析において悩ましいところがあれば本省としてもバックアップするという仕組みになってございます。当然、そういうことをやるに当たっても研修も行っていますし、そういう専門家の方の力も借りつつ分析能力を高め、それで、分析している中で、財政上いろんな、こういうPFIを使って合理化したほうがいいとか、水道事業、こういうふうな問題があるとかというのを、さらに各自治体さんの手助けができるようにつなぐというところかなという形で考えております。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、政策コスト分析につきましてご説明をお願いします。

〔上野資金企画室長〕それでは、まず、小枝先生から、金利の上昇リスクにおいてプロジェクトの見極めをきちっとしておくべきとのご意見をいただきました。こちらにつきましては、いただいたご意見を踏まえながら注視をしていきたいと考えてございます。

次に、野村先生からいただきましたJSTの開示の件でございます。こちらにつきましては、JSTにつきましては、5年度要求はなくて、財投計画外ということで、本来分析の対象ではないため資料には記載してございません。しかし、非常に大きなポートフォリオを有しているということに鑑みまして、今回、昨年と同様に、既に確定している国からの出資金、1.1兆円ございますけれども、こちらの40年間の機会費用につきまして、令和5年度の前提金利を基に試算するとどうなるかということをJSTのほうに確認いたしました。確認しましたところ、5,426億円となっていることをご参考としてお伝えしたいと思います。いずれにしましても、JSTにつきましては、こうしたコストがかかっているということを認識していただきながら、その業務運営を行っていただきたいと考えているところでございます。また、JSTの運用状況等につきましては、適時適切にJSTによります決算ですとか運用状況の報告等を通じまして、継続的に国民に対する情報開示がなされていくものと承知しているところでございます。

それから次に、渡辺先生から、1億円当たりの政策コストを出していってはどうかというコメントをいただいたところでございますけれども、こちらにつきましては、補助金が入っている機関、入っていない機関もございますので、そういった機関の性質も踏まえて、先生おっしゃったことができるのかできないかも含めて考えてまいりたいと思います。

それから次に、有吉先生からいただきました貸倒れについてでございます。こちらは、統一的なもので行っているのか、機関のほうに任せているのかというご質問をいただきました。こちらは、前提条件につきましては、共通の前提と個別の前提というものがございまして、各機関でそれぞれ事業の特性に応じて設定しているということで、この貸倒れにつきましては個別の前提とさせていただいております。このように、その結果、機関ごとに方法は異なるところでございますけれども、一般的には資産査定による分類をベースに正常債権については過去のデフォルト実績を用いて計算いたしまして、より保守的な分析を行う観点から、要管理以下の債権につきましては、個別に回収可能性を判断しているものと認識しているところでございます。

次に、岡田先生からいただいたコメントでございます。こちら、政策コストにつきましては、一般の方に対してはちょっと不親切ではないかというご指摘をいただいたところでございます。資料3-2の2ページをちょっとご覧いただきたいんですけれども、政策コストにつきまして、資料3-2の2ページの右下に、【留意事項】ということで、政策コスト、分かりにくい点を少し補足して説明をしているところもございます。例えば留意事項のほうで、その前提条件によって相当程度変化することに留意が必要ですということですとか、その下に将来の資金移転に伴う財政負担を示すものではないとか、そういったことも付記をさせていただいているところでございます。さらに分かりやすくするためにどういったことができるのかできないのかも含めまして、今後考えてまいりたいと思います。

それから、家森先生からは、金利が上昇することによりまして、融資が増え、貸倒れが増え、その結果、トータルでどうなるのかといったご質問をいただいたところでございます。こちらにつきましては、いただいたご意見を踏まえまして、どういったことができるのかも含めて、今後考えてまいりたいと思います。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、時間が過ぎましたので、この辺りで質疑を終了させていただきたいと思います。本日、いろいろ意見やコメントがございましたので、ぜひこれを参考に今後の仕事に生かしていっていただきたい思っております。またもし追加的にご質問やご意見がございましたら、事務局のほうまでお寄せいただければと思います。

本日の議事内容につきましては、この後、事務局より記者レクを行います。議事録につきましては、委員の皆様のご了解をいただいた後、財務省ホームページに掲載いたします。

それでは、本日はこの辺りで終了といたしたいと思います。ご多忙の中、本日はどうもありがとうございました。

15時23分閉会